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古賀之士君
民進党・
新緑風会の
古賀之士です。
私は、会派を代表いたしまして、
所得税法等の一部を
改正する等の
法律案について
質問をいたします。
冒頭、先ほどこの
参議院で
抗議の
決議が行われました、
北朝鮮が
弾道ミサイルを
発射し、
我が国の
排他的経済水域に落下した事案について
お尋ねいたします。
本
参議院においては、昨年二月九日にも
抗議の
決議を行いましたが、それを無視する四発ほぼ
同時発射という、まさに
暴挙と断ぜざるを得ません。今後、
我が国としてどのように対応すべきか、特に
拉致問題解決の意思とともに
総理にお伺いをいたします。
この
所得税法改正案は、言うまでもなく税を定める
法律です。税の
在り方は
国民の
生活に大きく
影響を与えます。特に
負担の追加をお願いされる
国民にとっては、税の
議論は必ずしも心地の良いものではありません。それでも、政治を信頼することができれば、多くの
国民が国の
未来のために受け入れてくれると考えます。
ところが、残念なことが起きております。ある小学校では、
総理の名を冠して寄附金を募り、
総理夫人が名誉校長を務めていました。その学校に国有地が格安で払い下げられました。豊中市に売却されたすぐ隣の国有地の実におよそ十分の一の価格です。地下にごみがあるからという理由ですが、見積りは外部の業者ではなく、今までやったことのない国交省が行いました。そして、経緯を示した公的文書は既に廃棄されています。官庁に便宜を図るよう学校理事長が自民党の国
会議員に働きかけていたことが明らかになりましたが、事実関係を調べようともしていません。
当時、国有財産を管轄していた財務省理財局長は、現在、税務行政をつかさどる国税庁長官です。言わば、歳入のプロ中のプロです。しかし、この問題について
説明責任を果たすお考えはないようです。
森友学園をめぐる疑惑は、単に一学校法人の問題ではありません。国の貴重な財産の処分がずさんに行われている。その上、国会での調査要求に対し真摯に応じているとはとても言えません。
総理、この
所得税法改正案の
参議院での
議論の前に、強いリーダーシップを発揮され、財務省及び国土交通省の担当部局に対して、政治家から働きかけを受けたことがあるかについて、
総理大臣として徹底的な調査を行うお考えをお持ちか
お尋ねをいたします。また、本件が国有財産法などの法令、告示、訓令及び通達などに違反していないか、財務大臣に確認をいたします。
売買交渉記録が廃棄されたなど、公文書管理がいかにずさんであったかも白日にさらされました。この問題については、南スーダンのPKOの活動を記録した日報が僅か三か月で廃棄され、自衛隊の安全に関する情報が隠蔽されていた事実もあります。
そこで、公文書管理を担当する山本大臣に
お尋ねをいたします。
公文書管理法によりますと、「行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の
国民に
説明する責務が全うされるようにする」とされております。その公文書管理法の目的を鑑み、今回の財務省の
行動は適切とお考えでしょうか。また、目的がより徹底されるよう法令など見直すお考えはないのでしょうか。
さて、昨年六月二日に閣議決定された
経済財政運営と
改革の基本方針二〇一六において、
税制の構造
改革として、税体系全般にわたるオーバーホールを進めるとされました。
まず、
総理にお伺いいたします。
今後、
我が国はどのような
経済社会を目指すべきであり、そのために必要な税体系のオーバーホールとは一体どのようなものとお考えなのでしょうか。その中における本法案の位置付けも含めてお答えを願います。
基本方針二〇一六を受けて、
政府税制調査会では、
経済社会の構造変化を踏まえた
税制のあり方に関する中間報告など、様々な検討が行われてきました。しかし、いざ法案、出てきたものを見れば、項目として税体系全般の
改革とは程遠く、その内容も中途半端で、まさに羊頭狗肉と言わざるを得ません。
まず、
個人所得課税
改革、その中でも大きな論点である
配偶者控除及び
配偶者特別控除の問題について
お尋ねいたします。
政府は、働き方の選択に対して中立的な
税制を
構築する一環とうたっていますが、その効果があるようには思えません。今回の
配偶者特別控除の百五十万円への
拡大によって、どれくらいの
納税者に
影響が及ぶのでしょうか。また、どれくらいの
配偶者がどの
程度就労時間を増やすのでしょうか。対象となる人数や増加する時間数など具体的な御答弁を財務大臣よりお願いをいたします。
配偶者控除及び
配偶者特別控除の問題については、
納税者とその
配偶者との関係を整理することも必要です。そもそも、現行の
配偶者控除については、
納税者の控除と
配偶者自身の控除の両方が存在するといういわゆる二重の控除の問題も
指摘されています。さらに、現在は
法律婚の
配偶者を
要件としていますが、これを事実婚などへ
拡大するという考え方もあります。これらの点につき、財務大臣のお考えをお示しください。
ほかにも検討すべき
課題が残っております。
配偶者控除及び
配偶者特別控除を別の控除方式に変えるえることができないかどうかです。
政府税制調査会の
経済社会の構造変化を踏まえた
税制のあり方に関する中間報告では、移転的基礎控除を
税額控除方式で導入する案や、
配偶者控除に代えて夫婦世帯を対象とした新たな控除を設ける案を検討した上、両案について様々な
課題が記されていました。
まず、前者について、
配偶者の
所得を適時、正確に把握して
納税者本人に課税を行うことが実務上困難であると
指摘されていますが、マイナンバーの本格的稼働によってもなお困難と判断されているのか、財務大臣のお考えをお聞きいたします。
また、後者について、規模
拡大に伴う財源の
確保のための
課題が
指摘されています。この点については、与党がまとめた
税制大綱でも、夫婦控除は非常に多額の財源を必要とすると
指摘されました。しかし、いずれも抽象的表現であり、検討の結果としては不十分です。
政府として夫婦控除の導入に伴う財源の試算は行われたのでしょうか、財務大臣に
お尋ねをいたします。あわせて、
税制大綱では、世帯単位の
所得把握が難しいともしていますが、これもマイナンバーの活用でもなお困難とお考えになるのか、お聞かせ願います。
金融
所得課税、特に今回の積立NISAの創設についてもお伺いをいたします。
初年度、五年後及び十年後における利用人数と市場規模はどの
程度と試算していらっしゃるのでしょうか。また、既存NISA及び個人型確定拠出
年金、いわゆるiDeCoとのすみ分けについてどうお考えなのでしょうか。いずれも金融担当大臣よりお答えをください。特に、既存のNISAについては、非課税期間及び
制度自体の恒久化又は延長を望む声がありますが、この点に留意して御答弁願います。
なお、
経済社会の構造変化を踏まえた
税制のあり方に関する中間報告では、老後の
生活に備えるための自助
努力を
支援する公平な
制度の
構築という項目がありますが、自助
努力の
支援の本当の目的は、公的
社会保障制度の責任を放棄することにあるとの懸念があります。この点について、
総理大臣より御回答をお願いいたします。
次に、デフレ脱却、
経済再生
措置に向けた
税制措置についてお伺いをいたします。
総理は、今年の年頭記者会見を含め、度々デフレ脱却の
決意を述べられています。しかし、デフレではないがデフレから脱却していないという禅問答のような表現をされているのもまた事実です。では、デフレ脱却を宣言できるのはいつをめどとされているのか、
総理大臣にお聞きいたします。
デフレから脱却するに当たっては、
総理もおっしゃるとおり、
賃上げが重要かつ必要です。本法案では、
賃上げを促すための
所得拡大促進税制の
見直しも含まれております。この
見直しによりどれくらい
賃上げが実現すると見込まれているのでしょうか、財務大臣よりお答えください。
個人のみならず
企業、特に
中小企業の
状況を
改善していくことも求められます。
地域経済を牽引する
企業向けの設備
投資促進税制の創設及び
中小企業向け設備投資促進税制の
拡充について、対象となる
企業の数はどの
程度で
経済効果はどれくらいと見込んでいらっしゃるのか、財務大臣に
お尋ねをいたします。
麻生財務大臣の
総理大臣時代に道路特定財源は一般財源化されました。自動車関係諸税については受益と
負担の関係はなくなったはずです。本
税制によるエコカー減税の縮小ではなく、自動車取得税の廃止、自動車重量税の当分の間税率の廃止を含む自動車関係諸税の抜本的
改革を可能な限り早期に行うべきと考えますが、財務大臣の御所見を伺います。
税を徴収する現場の
状況について
お尋ねをいたします。
あらゆる税の徴収は
法律の制定のみでは不十分であり、最終的には優秀な人材によって
確保されるものです。しかし、現状には大きな不安を抱えております。
所得税や法人税の申告件数は、趨勢としては増加傾向にあります。また、国際課税をめぐる
状況について言えば、海外現地法人
企業数は十年間でおよそ一・六倍に増加、国外送金等調書提出枚数に至っては二倍以上になっています。さらに、今後は、消費税率の
引上げや国際取引の一層の課税適正化に対処するため業務量が増加する見込みです。
その一方で、国税庁の定員は過去五年間で五百九十七人の減員となっており、ようやく来年度で増員が予定されているものの、定員五万五千六百六十六人に対し僅かに一名、全体の〇・〇〇一八%にすぎません。また、国際課税を担当する国際税務専門官は三百六十三人であり、
全国五百二十四の税務署の数と比べても少な過ぎると考えられます。業務量の傾向に見合った人員配置とはとても言えないのではないでしょうか。
人員不足の結果は、実際に調査する割合、実調率の低下として表れています。法人は全体の三・一%、個人は一・一%。単純に計算すれば、それぞれの調査は三十三年に一度、百年に一度となります。こうした
状況のままでは、
納税者のコンプライアンスに悪
影響が及ぶことは間違いありません。適正、公正な課税と徴収の実現及び歳入の
確保のためには、国税職員の定員
確保と機構の
拡充が急務であり、今後とも
計画的、中長期的に定員の
拡充、増員を行っていくことが重要と思われますが、
総理大臣のお考えをお聞かせ願います。
結びに、繰り返しになりますが、
総理に再び申し上げます。
国民の信頼なくして税の
在り方を決めることはできません。まず、税金の無駄遣いは許さないと、
安倍総理自ら、行
政府の長として強いリーダーシップを発揮されることをお願いいたしまして、私の代表
質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(
拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君
登壇、
拍手〕