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2017-04-13 第193回国会 参議院 農林水産委員会 第8号
公式Web版
会議録情報
0
平成
二十九年四月十三日(木曜日) 午前十時開会 ─────────────
出席者
は左のとおり。
委員長
渡辺
猛之君 理 事
舞立
昇治君
山田
修路
君 徳永 エリ君 紙 智子君 委 員
礒崎
陽輔君
進藤金日子
君 中西 祐介君 野村 哲郎君 平野 達男君 藤木
眞也君
山田
俊男君 小川 勝也君 櫻井 充君
田名部匡代
君 舟山 康江君
竹谷とし子
君
矢倉
克夫
君 儀間 光男君 森 ゆうこ君 国務
大臣
農林水産大臣
山本 有二君 副
大臣
内閣
府副
大臣
松本 洋平君
農林水産
副
大臣
礒崎
陽輔君
大臣政務官
農林水産大臣政
務官
矢倉
克夫
君
事務局側
常任委員会専門
員 大川
昭隆
君
政府参考人
文部科学大臣官
房審議官
松尾 泰樹君
農林水産省消費
・
安全局長
今城
健晴
君
農林水産省食料
産業局長
井上 宏司君
農林水産省生産
局長
枝元
真徹君
農林水産省政策
統括官
柄澤
彰君
農林水産省農林
水産技術会議事
務局長
西郷 正道君
参考人
秋田
県
農林水産
部長
佐藤
博君
龍谷大学経済学
部教授
西川
芳昭
君 ───────────── 本日の
会議
に付した案件 ○
農業機械化促進法
を
廃止
する等の
法律案
(
内閣
提出
、
衆議院送付
) ○
主要農作物種子法
を
廃止
する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) ○
政府参考人
の
出席要求
に関する件 ─────────────
渡辺猛之
1
○
委員長
(
渡辺猛
之君) ただいまから
農林水産委員会
を開会いたします。
農業機械化促進法
を
廃止
する等の
法律案
及び
主要農作物種子法
を
廃止
する
法律案
の両案を一括して
議題
といたします。 本日は、
参考人
として
秋田
県
農林水産部長佐藤博
君及び
龍谷大学経済学部教授西川芳昭
君に御
出席
いただいております。 この際、
参考人
の
皆様
に一言御挨拶を申し上げます。 本日は、御多忙のところ本
委員会
に御
出席
をいただきまして、誠にありがとうございました。 ただいま
議題
となっております
法律案
につきまして、それぞれのお
立場
から忌憚のない御
意見
を賜りたいと存じますので、どうぞ今日はよろしく
お願い
をいたします。 本日の議事の進め方について御
説明
いたします。 まず、
佐藤参考人
、
西川参考人
の順序でお一人十五分程度で御
意見
をお述べいただき、その後、各
委員
の
質疑
にお答え願いたいと存じます。 なお、
意見
の陳述、
質疑
及び答弁のいずれも着席のままで結構でございますが、御発言の際は、その都度、
委員長
の
許可
を得ることとなっておりますので、よろしく
お願い
をいたします。 それでは、
佐藤参考人
から
お願い
をいたします。
佐藤参考人
。
佐藤博
2
○
参考人
(
佐藤博
君) おはようございます。
秋田
県の
農林水産部長
の
佐藤
でございます。 まずもって、
参議院農林水産委員
の
先生方
には、日頃から
本県農林水産行政
の
推進
に多大なる御
支援
と御協力をいただきまして、この場をお借りして厚く御礼申し上げたいと思います。 本日は、
主要農作物種子法
の
廃止法案
の
審議
に当たりまして、
現場
で
種子
の
生産
、流通を担っている県の
立場
から
意見
を申し上げたいと思います。 前段、
本県農業
の現状や
振興方針等
につきまして若干
お話
ししたいと思いますので、御了承願いたいと思います。
本県農業
は、十二万四千ヘクタールの
経営耕地面積
で、約四万九千戸の
農家
が稲作を
中心
とした
水田農業
を営み、一千六百億円強の
農業産出額
を上げ、これまで我が国の主要な
食糧供給基地
としての
役割
を果たしてまいりました。しかしながら、
農業産出額
全体に占めます米の割合、これがかつては六割から七割、最近でも五割を超えておりまして、米に偏った
生産構造
となっていることから、今後の
本県農業
の持続的な
発展
を図るため、現在、
園芸メガ団地
や大
規模畜産団地等
の整備を全県展開するなど、複合型の
生産構造
への転換に向けた
取組
を集中的に進めているところでございます。 こうした
取組
の
推進
に当たっては、国の
産地パワーアップ事業
や、それからいわゆる
畜産クラスター事業
、さらには
生産活動
の
基盤
となります
圃場整備事業等
をフルに活用させていただいております。おかげさまで、
平成
二十七年の
農業産出額
が全ての
作目
で増加しまして、前年からの
伸び率
が
全国
のトップとなりまして、二十八年も更なる拡大を見込んでいるところでございます。引き続き、
地域農業
の
構造改革
を後押しするため、こうした
事業
の継続と
予算確保
を
お願い
したいと思います。 一方、米につきましては、
本県
の
基幹作物
として、今後一層厳しくなります
産地間競争
に打ち勝っていかなければならないと
考え
ておりまして、
平成
三十年以降の
米政策
の見直し後を見据えて、
実需者
、
消費者
との
結び付き
を強めながら、
産地
全体で
販売
を起点とした
米作り
に取り組んでいくこととし、現在、その指針となる県独自の新しい
生産
・
販売戦略
の策定を進めているところでございます。 御案内のとおり、
本県
は、広大な
水田
、台風や冷害といった災害の少ない気候、豊富な
水資源
を
背景
に、
全国有数
の
米産県
として
安定生産
、
安定供給
に取り組んできておりまして、二十八年産の
食用米生産量
はおよそ四十万トンで、北海道、新潟に次いで第三位となっております。 また、
本県
が
開発
しました
主力品種
のあきたこまち、デビューして三十三年目になりますが、これまで長きにわたりまして
消費者
や
実需者
の
皆様
から広範な御支持をいただいておりまして、その
ブランド力
は三十年をたった今でも健在であるというふうに思ってございます。
全国
的に
業務用米
が不足する中で、抜群の知名度と、
食味
が良く、
値頃感
があり、年間を通じて
安定供給
できる
ロット
を有することから、最近改めて引き合いが強くなっておりまして、市場から
需要
に見合った
供給
を
お願い
されているところであります。 近年、
全国各地
で良
食味米
の
開発
、デビューが相次いでおります。そうした中で、
本県
でも、今、将来の
秋田米
の
プライスリーダー
となる新しい
品種
の
開発
を急いでおりますが、それと同時に、今後の
米作り
に当たっては、
中食
、
外食
など年々増加する
業務用需要
に対し迅速かつ的確に
対応
していくことにより重きを置いた
取組
を進めることが極めて重要であるというふうに
考え
てございます。 こうした
米作り
の
根幹
を支えているのが
品質
の確かな
種子
の
安定供給
であります。水稲で申し上げますと、
本県
では、
種子法
及び
関係通知等
に基づきまして、
ウルチ米
では県が
開発
した七
品種
、それから他県、これは宮城県でございますけれども、
開発
されました二
品種
、それから
酒造好適米
と
モチ米
でそれぞれ二
品種
、計十三
品種
を
奨励品種
として採用し、
原原種
は
農業試験場
内で、
原種
は、近隣の
農業法人
の
圃場
を借り上げ、県の直轄の下、
管理作業
を
当該法人
に委託して
生産
を行っております。また、
農家
に
供給
される
種子
につきましては、
県内
十六か所、およそ七百ヘクタールの
指定採種圃場
で約三千トンの
種子
を
生産
、
供給
しております。
本県
は、過去に
種子生産圃場
で異
品種
混入問題が発生したり、ばか
苗病
が多発したことを受けまして、
原種圃場
を現在地に移転するといった苦い
経験
を有しております。このため、現在では、例えば
種子
を
生産
する
圃場
だけでなく、半径五百メートル以内の
周辺圃場
についても
防除基準
を設定したり、また異
品種混入リスク
を回避するため
水田クリーニング
を実施するなど、県独自の厳格な
基準
の下で
種子生産
に取り組んでいるところでございます。 こうした中で、今般、
農業競争力強化プログラム
の一環として
種子法廃止
の話が出てきたわけでございますけれども、正直申し上げまして、
現場
とすれば
唐突感
が否めず、特に
県内
の
農業団体
や
種子生産組合
の方々からは、国も県も手を引くのか、これからどうなるのかといった不安の声が寄せられたことも事実であります。もとより、県とすれば、現在の
体制
を変更しなければならない
必要性
は特段感じておらず、県の
産米改良協会
と協議し、今の
体制
はしっかりと堅持するという
考え
を
現場
に早々にお伝えしたところで、現在は
JA
、
農家
ともおおむね冷静に受け止めているところでございます。
農家
や
JA等
の
現場
にとっては、これまでと同じように良質な
種子
が安定的に
供給
されるかどうかが最大の
関心事
であります。
米産県
である
本県
としましては、
種子法
の
存廃いかん
にかかわらず、これまでと同様、
産米改良協会
と連携しながら
優良種子
を安定的に
生産
、
供給
していくことが県の
責務
であり、引き続き、
普及指導員
や
JA
の適切な
指導体制
の下で手を緩めずに取り組んでいく
考え
であります。 その一方で、仮に
種子法
が
廃止
され、
原原種
、
原種
の
生産
や
奨励品種決定試験
など県の
義務
がなくなるとすれば、これまで以上にマーケットの多様なニーズや
生産現場
からの要望に
スピード感
を持って柔軟に
対応
できる場面も出てくるのではないかと
考え
ております。 具体的な検討はもちろんこれからになりますけれども、例えば
本県
では、
豊田通商
さんが扱っているしきゆたかという
品種
、これは収量も多くて売る先も決まっているということで、
JA
を含めて十一
法人
、約五十ヘクタールで今栽培されておりまして、今後更に拡大することが見込まれております。このしきゆたかのように、
農家
の
所得向上
に資するような
民間品種
につきましては、例えば簡易な
現地適応試験
をもって
奨励品種
にすることで迅速に
県内普及
を図ることが可能となります。 実は、
豊田通商
と
農業法人
とのマッチング、県が自らコーディネートしたものでございます。
業務用
は
一定
の
ロット
が必要だということから、県が
JA
やそれから
農業法人
に
声掛け
をいたしまして、
豊田通商
さんに
秋田
に来てもらって
説明会
、
商談会
を開催したという経緯がございます。 また、主要な
米産県
においては、
奨励品種
の数の増加に伴いまして
原種等
の
維持生産コスト
が掛かり増しになっていることから、
複数
の県で共通する
奨励品種
については、
種子生産
や備蓄を例えば各県が分担して行うといった言わば
種子
の
分業体制
を確立することで、効率的な
原種供給
を行うことも
考え
られるのではないかというふうに思ってございます。 更にもう一歩進めて、県と
民間企業
とがお互いの知見を持ち寄りながら、共同で新たな
品種
の
開発
を行うこともこれからは十分
考え
られるというふうに思ってございます。 今、
生産現場
では、
平成
三十年以降を見据えまして、新たな販路を開拓したり、それから
中食
・
外食事業者
と
複数年契約
を結んだりといった
実需者
と
結び付き
を強める
動き
が加速化してございます。その際、前段申し上げましたように、
業務用需要
にスピーディーに
対応
するということが
一つ
重要なポイントになってくるだろうというふうに
考え
ております。 そうした観点から見ますと、県が全ての
品種
を自前で
開発
するのではなく、場合によっては他県や国の
研究機関
、
民間
が
開発
した
品種
を導入したり、これらの
機関
、
団体
と連携、共同して
育種開発
に取り組むといった柔軟な姿勢がこれまで以上に求められ、ひいてはそれが
国内
の
米需要
の
維持
、喚起にもつながるのではないかと
考え
ております。 以上、
種子法廃止
の受け止め方、それから
本県
の
対応等
について述べてまいりましたけれども、法が
廃止
されること自体はそれほど大きな問題があるというふうには思ってございません。また、先ほど申し上げましたような新たな
取組
が促進される
可能性
もありますので、
廃止
という判断も理解できるものであるというふうに
考え
てございます。 しかしながら、
優良種子
の
安定供給
は
農業生産
の
根幹
であり、
供給
される
種子
の
品質
は
農家
の
経営
にとって何よりも重要でありますので、
現場
を預かる県といたしまして、
廃止
に
当たり次
の二点を申入れしたいというふうに思います。 一点目は、
安定供給
への
対応
についてであります。 今回の
種子法廃止
によって、間違っても
全国
的に不良な
種子
が
生産
されたり流通するといったようなことがないよう、国において、現行の
種子法
及び
関係通知
、これは
基本要綱
、
運用等
にあると思いますけれども、これの実質的な代わりとなります
ガイドライン等
を速やかに明示するなど、
民間
の
種子
を含めて流通する
種子
の
品質保持
に万全の
措置
を講じていただくことであります。 その際、
種子
の
圃場審査
や
生産物審査
など、今現在、
都道府県
が行っております
審査
の実態を踏まえまして、これまでの
取組
を生かす形で柔軟な
運用
ができる仕組みとしていただきたいというふうに思ってございます。 二点目が財政的な
支援
についてであります。
主要農作物種子
の
生産
、
供給
においては、これは各
都道府県
が
中心
的な
役割
を果たしていることから、その
業務
に対する
地方財政措置
、いわゆる
地方交付税
ですね、これにつきまして法のあるなしにかかわらずこれからも継続していただき、万が一にも
地方交付税
が減額されるといったことのないよう強く申入れしたいというふうに思います。 あわせて、今後、国が提案しておりますような他県や
民間企業
と連携した
取組
、こうしたものの
推進
に対しまして、ソフト、
ハード両面
から
助成制度
を創設するよう要望しておきたいというふうに思います。
最後
に、国においては、
現場
の無用の混乱を招かないよう、
主要農作物
の
種子政策
に関して、今後、拡充強化することはあっても決して手を引いたり弱体化するということはないと、こういうことを様々な機会を通じて
現場
に伝え、
不安払拭
に努めていただきたいというふうに思います。
本県
としましては、
種子法
がもし仮に
廃止
された際には、それを
一つ
の契機といたしまして、
実需者
、
消費者
から求められる
米作り
、それを支える
優良種子
の
安定供給
にこれまで以上に主体的に取り組んでいくことを改めて申し上げまして、私からの
説明
に代えさせていただきます。 どうもありがとうございました。
渡辺猛之
3
○
委員長
(
渡辺猛
之君) どうもありがとうございました。 それでは、続きまして
西川参考人
に
お願い
いたします。
西川参考人
。
西川芳昭
4
○
参考人
(
西川芳昭
君) 御紹介いただきました
龍谷大学経済学部
の
西川
です。 今の
佐藤参考人
の
お話
は
現場
からの
取組
ということですが、私は一
研究者
として、
種子
の
システム
、またその国際的な枠組みを
背景
として
お話
をさせていただきたいと思います。
事務局
の方の御
許可
をいただきまして、
委員
の
先生方
には資料をお手元にお届けしておりますので、それも
参考
にしてお聞きいただけたらと思います。 時間が十五分と限られている中で、一分間だけ私のことを
お話
しさせていただきますが、私は奈良県のタマネギの
採種農家
に生まれたんですけれども、
昭和
四十年代、
採種
が海外に移る中で、うちの
事業
というのは廃業したわけなんです。したがって、もう本当に子供の頃から
採種事業
というものの
国際競争
というものの厳しさというものをもう身をもって、要は家の収入が途絶えるわけですから、そのような身をもって育ってきました。
大学時代
は、国の
奨学金
を得て、
アメリカ
の
農務省
の
遺伝資源導入プロジェクト
にインターンとして派遣していただきまして、国の
戦略物資
としての
種子
というものの
立場
をこれも体感する形で
経験
させていただきました。
大学
を卒業してからは、ルワンダの
内戦復興
後の
プロジェクト
で
アメリカ
の
国際開発庁
の
種子返還プロジェクト
、又はJICAのエチオピアの
小規模農民
のための
種子供給プロジェクト等
に関わることを通して、良質な
種子
を安定的に
供給
することの大切さ、
農民
にとって、国民にとって、国の
食料安全保障
にとって非常に大切なことであるということを理論的にも、また体感的にも体験してまいりました。そのことの
経験
を通して、またこれまで
農水省
や
農民
の
方たち
、また市民の
方たち
から学ばせていただいたことを皆さんにお分かちしたいと思います。 本題に入らせていただきます。 基本的な
メッセージ
は、
種子
は公共のものであるということです。誰か個人のものではない、又は
特定
の
企業
が所有するものではないということが基本的な主張になっています。
人間
にとっての
種子
の大切さ、そして
人権
として全ての
人間
、特に
農家
ですけれども、が
種子
にアクセスすることの
権利
というものが保障されるべきであると、このような
考え
方を支えてきた
法律
的なインフラの
一つ
が
種子法
であるというふうに理解しております。
種子
をこよなく愛した先人の
言葉
の中に、
種子
が消えれば、
食べ物
も消える、そして君もという
言葉
があります。これはベント・スコウマンという、
世界
で
最後
の
種子庫
を造る、
世界
で本当に
種子
がなくなった場合に
最後
のとりでとなる
種子庫
を造るのに尽力を尽くしたスウェーデンの方ですけれども。種が消えれば、
食べ物
が消えます、そこまでは分かると思います、
農業
をしている人なら誰でも分かることですけれども、そして君もということは、
食べ物
がなくなれば当然私
たち
も生きていけないわけですから、
種子
の大切さということを
メッセージ
として伝えている大切な
言葉
だと思います。 また、
食料
、
農業
に関する責任を持っています
国連機関
のFAOは、土壌、水、そして
遺伝資源
、すなわち
種子
ですけれども、これは
農業
と
世界
の
食料安全保障
の
基盤
を構成していると。この
遺伝資源
、
種子
は我々の配慮と
保護
に依存している
資源
であるというふうに書かれています。我々というのは、もちろん一人一人の
人間
でもありますけれども、
企業
も含めて様々な
社会
の
プレーヤー
、アクターが関わってこの
保護
に努めていかなければいけないというふうに
考え
ています。 今回、
種子法
の
廃止
に当たりまして一部その規則を
種苗法
の中に取り込むという
お話
が出ておりますけれども、そもそも
種子法
と
種苗法
というのは
目的
が違っているというふうに私
自身
は理解しております。
種子法
は、
主要農作物
の優良な
種子
の
生産
及び
普及
を促進することを国、
自治体
を含めて、
責務
又は
義務
として定めたものであります。一方で、
種苗法
は、新しい
品種
を
開発
した
育成者
の
権利
を守る、
知的財産権
を守ることを主たる
目的
とした
法律
でありますので、
目的
とするところが違うわけで、
育成者
の
権利
を守る
法律
のその
要綱
なりまたその
実施事項
の中に国の
義務
というふうなものを持ってくるということは非常に難しいと思います。何らかのそごが生じるというふうに
考え
ます。 また、この
種子法制定
の
歴史
を振り返りますと、
昭和
二十七年、一九五二年の五月というのは、その前月、一九五二年の四月に
日本
が
サンフランシスコ講和条約
の発効に伴って主権を取り戻した、その時期です。この時期には多くの今の
日本
を支える
法律
が成立しておりますけれども、新しい
日本
をつくっていく、そのような
動き
の中で、
農水省
の官僚の
方たち
、当時の
政治家
の
方たち
が
日本
の将来の
発展
を目指してこの
法律
を制定されたというふうに私は思っております。 また、
国連
の
人権宣言
、第二次
世界大戦
の惨禍の後、これを繰り返さないために
国際社会
が
人権宣言
というものを発表しておりますが、これを具体化する
規約
、いわゆる
社会権規約
の中では、この
締約国
、
日本
も含めてですけれども、全ての者が飢餓から免れる基本的な
権利
を有すること、そしてそれぞれの国は
食糧
の
生産
、保存及び分配の方法を改善することということが決められております。
日本
の
政府
としても、これに従っていく必要があるかと思います。 具体的に、
種子
に関する
システム
について
お話
をさせていただきます。 これは
品種開発
後の話ですけれども、
種子システム
の
研究
の
世界
では、フォーマルな
システム
と
インフォーマル
な
システム
があるというふうに言われています。フォーマルな
システム
というのは、
政府機関
の
管理
の下に
供給
される主として
改良品種
の
認証種子
に関わる
制度
です。多くの場合、
知的財産権
と関係しますので、
種苗法
で
管理
されています。一方、
インフォーマル
な
種子システム
といいますのは、
農家自身
による
採種
や
農家同士
の交換による認証されない主に
在来品種
、
固定種等
の
種子供給
を担っています。これは、人類の
歴史
とともに始まっている
制度
というふうに言ってもいいかと思います。
種子法
は、フォーマルな
システム
の中に位置付けられるものではありますが、一般にフォーマルな
システム
の中では
知的財産権
が強調されますので、
企業
、特に圧倒的な資金又は
技術力
を持つ多
国籍企業
が主たる
プレーヤー
となることが多くなりますので、国が
一定
の
管理
又は介入をしなければ本当の意味での自由な取引というものができない
可能性
があります。その結果、フォーマルと
インフォーマル
の
システム
が
相互補完
、連携することができなくなると思います。
種子法
があることによって、
日本
では
世界
的にも例外なグッドプラクティスとして
インフォーマル
な
システム
とフォーマルな
システム
が連携しているというふうに
考え
ています。 お配りしている図の中にあるんですけれども、
インフォーマル
な
システム
というのは、どちらかというとそれぞれの
地域
の中で
種子
が循環している
システム
というふうに
考え
られます。フォーマルな
システム
の場合は、そこから
遺伝資源
を取り出して、ジーン
バンク等
又は
育種組織等
、
企業
も含めましてですけれども、そこで
改良品種
を作り、その
改良品種
を条件的に恵まれた
地域
で商業的に
生産
する、そのような形で
遺伝資源
、
種子
が使われることになります。 この件に関しましても、
民間企業
が
中心
な
プレーヤー
となりますと、条件不利な
地域
、
日本
の多くの中
山間地等
がそのような
地域
になるわけですけれども、こちらの方に優良な
種子
が安定的に
供給
されるということは非常に
可能性
が低くなるというふうに
考え
られます。一方、
種子法
の下では、先ほど
佐藤参考人
から費用が掛かるという
お話
がありましたけれども、あえて国から財政的な
支援
をすることによって、それぞれの
地域
に見合った
品種
をそれぞれの
地域
で循環させるという
システム
が存立しているかと思います。
種子
の
システム
、今は
品種
を
開発
した後の
システム
について
お話
をしましたけれども、
遺伝資源
の
管理
という面では、実は最初に
育種
の素材、例えばある
特定
の病気に強い、又は、今話題になっているものですと
地球温暖化
に対して適応するような
品種
、このような遺伝子を持っている
品種
を探索すること、集めてくることから始まります。そして、それを
研究機関
で
研究
し、この
研究機関
は公的な
研究機関
もありますし
民間企業
もございます。それを、多くの場合は
産業
としての
農業
や、一番利潤が上がるのは薬品、
製薬関係
ですけれども、そういうところで
利用
される商業的な
利用
を通して利益を出していくという
利用
が非常に一般的なんですけれども、同時に、循環型の
利用
の仕方がありまして、
日本
の
国内
で、例えば米の場合ですと、
農林水産省
の
研究施設
それから
都道府県
の
研究施設
で
品種
を
開発
し、それをそれぞれの
地域
に返していく。その際に、多様な
関係者
、
農家
、
自治体
、農協、その多様な
関係者
が参加できる
システム
を形成しております。そのことによって、フォーマルと
インフォーマル
というものを結び付けている
システム
が存在しているわけなんですけれども、繰り返しになりますが、
種子法
がこの
システム
を下支えしているということです。 ちなみに、
種子
が戦略
資源
であるということは、私
たち
研究者
にとっては当たり前のことなんですけれども、なかなか
日本
の一般の市民の方々、御存じない場合があります。一九八二年まで遡って、NHKがドキュメンタリーを作成しておりまして、「一粒の
種子
が
世界
を変える」というふうなドキュメンタリーを作成しております。
種子
をめぐる
世界
で何が起こっているのかを描いて、また
日本
人にとって、人類にとっていかに重要かを検証したものです。 また、その十年後には、カナダの
政府
系の財団の
支援
を受けて、ムーニーという人が「
種子
は誰のもの 地球の
遺伝資源
を
考え
る」という本を書いておりますけれども、この本の
メッセージ
は、
種子
は人類共有の財産であり、私物ではないという著者からの
メッセージ
というものを訴えております。ちなみに、この本は、翻訳は当時の農林省種苗課の
審査
官御
自身
が翻訳をされています。当時の農林省の意気込みといいましょうか、
種子
に対する意識がかいま見られるかと思います。 今現在、
種子
に関して三つの主要な条約がありますけれども、生物多様性条約、それから
食料
及び
農業
のための植物
遺伝資源
に関する国際条約、植物の新
品種
の
保護
に関する国際条約というのがございます。時間が来ておりますので細かい
説明
は省略しますけれども……(発言する者あり)あと三分ありますけれども、ちょっと結論まで持っていくのに、済みません、ありがとうございます。
最後
の、植物の新
品種
の
保護
に関する国際条約は、
品種
の育成振興、再三申し上げておりますけれども、
知的財産権
を
保護
するため、これは実は
育成者
権が強くなり過ぎることから、国の主権や国民の生活に良いことではないと判断している国が多くて、今も六十数か国しか締結しておりません。植物
遺伝資源
条約が百三十か国、生物多様性条約が百九十か国ということと比べまして圧倒的に不人気な条約で、これは、
企業
に
種子
の
生産
を任せるということがやはり国にとって非常に不安定な要因を招きかねないという懸念が、各国が認識しているという
一つ
の間接的な証拠だと思います。こういうふうな状況の中で、
種子法
というのは、先ほどから繰り返していますけれども、フォーマルな
システム
と
インフォーマル
な
システム
を結ぶ画期的な、先進的なものだと思います。 なぜ
企業
が
種子
にそれほどこだわるのかということですけれども、当然、
種子
を制する者は
世界
を制するというのは現在の常識になっていまして、資本による
農業
の包摂のための礎石として
企業
が入っております。ただ同時に、繰り返しになりますが、
種子
は
食料
、
農業
の持続的な
社会
的
管理
の
根幹
の部分に当たるものですので、このことを忘れていては、
種子
の
管理
というものは、
政府
の
役割
を果たすことができないと思います。また、
生産
者ニーズ、
消費者
ニーズの具現化ということも必要ですけれども、これは
企業
だけができることではなく、
政府
の
管理
の下に各
プレーヤー
、各アクターが協力して行うことが望ましいと思います。
企業
は、特許は必要な費用を回収する上で必要ですし、技術革新を促進する
目的
もある、ビジネスでは当然対価が支払われなければいけないということを言っていますけれども、それは当然のことなんですけれども、
企業
と実際の
実需者
、
日本
の場合ですと小規模な
農家
が多いわけですけれども、圧倒的な力の差があります。この場合、
企業
の参入を、イコールフッティングという
言葉
の下に参入を促しますと、ある意味では排除の論理が働くことになります。 現在、国際的な枠組みであります持続可能な
開発
目標においては、包摂、様々なアクターが
開発
のプロセスに参加することが求められており、
日本
国
政府
もその
基準
に従って戦略を作っております。国家がやるべきことは、
企業
に形式的なイコールフッティングを与えるのではなく、実際のその
企業
の暴走を制御すること、そのことが
役割
だと思っております。 国民と
食料
の関係を表す
言葉
には、
食料安全保障
という
言葉
と
食料
主権という
言葉
がございます。
食料安全保障
は、皆さんよく御存じのように
食料
を確保していくことですけれども、
食料
主権は、国家国民や
農民
が自主的に
食料
に関わる意思決定を行う
権利
というふうに定義されています。簡単に言いますと、国、
地域
又はそのコミュニティー、
自治体
レベル又は市町村レベルですけれども、その
地域
で何を作り何を食べるかという自律を保つことを決定する
権利
です。これは、国の主権、国民の主権に基づく概念だと思います。 今、国の
農業
の競争力を強化する、このこと自体は非常に大切なことだというふうに
考え
ますが、
産業
的な
農業
、競争力のある
農業
を保つためには多様な
農家
が参加できる
システム
をつくる必要があると思います。その多様な
農家
が参加するためには、やはり今現在の
システム
の中にある
都道府県
の
普及
の
システム
、
奨励品種
の
システム
、そのような
システム
によって、誰でもが良質な
種子
を安定した形でアクセスすることができるという、この
システム
を継続することが必要だと思います。もし、その
システム
がなく、多様な
農家
の参画する
システム
が確保されないのであれば、その多様な
システム
というのは池のようなものだと
考え
ます。そして、
産業
競争力のある
農業
というのは、その池に浮かんでいるボートのようなものだというふうに
考え
ます。ボートだけを生かそうと思っても、池が干上がってしまっては
日本
の
農業
の将来はないというふうに
考え
ていますので、その将来を支えている
種子法
を
廃止
する法案に関しては、私
自身
はかなり大きな問題を、大きな禍根を残すのではないかというふうに
考え
ております。 ありがとうございました。
渡辺猛之
5
○
委員長
(
渡辺猛
之君) どうもありがとうございました。 以上で
参考人
からの
意見
の聴取は終わりました。 これより
参考人
に対する
質疑
を行います。
質疑
のある方は順次御発言願います。
進藤金日子
6
○
進藤金日子
君 自由民主党の
進藤金日子
でございます。 お二人の
参考人
の方々から御
意見
、貴重な御
意見
を賜りました。本当に感謝を申し上げたいと思います。 冒頭、私の方から確認をさせていただきたいのですけれども、
食糧
の
安定供給
というのはこれ国の
責務
であります。一方で、この
種子法
というのは、御案内のとおり、米、麦、大豆、いわゆる
主要農作物
の
種子
の
生産
、
生産
に関して、
都道府県
に
種子生産圃場
の指定だとか
圃場審査
、
生産
物検査、あるいは
審査
証明書の交付などを
義務
付けているわけであります。一方で、
種子
の
品種開発
の方は、国、地方公共
団体
、
民間企業
等で広く行われているわけですが、これは
種苗法
によって
品種
登録されて
知的財産権
として
保護
されているということであります。ここの混同をされると少し議論がかみ合わなくなると思いますから、ここをしっかりと押さえておく必要があるんだろうというふうに思います。 今回の
種子法
の
廃止
によりまして、この
種子
の
生産
に関する
都道府県
の
義務
がなくなるということであります。従来の
取組
については、先ほど
佐藤参考人
の方からございましたけれども、これは
都道府県
が自主的に行っていくということになるわけであります。そういった中で、まず
佐藤参考人
にお尋ねしたいと思います。
種子法廃止
によりまして、これは確認という意味で、御
意見
の中で随分おっしゃられたことあると思いますが、改めて確認という趣旨で質問をさせていただきたいと思うんですが、この
種子法
の
廃止
によりまして、一般的に、
種子生産
に関して
都道府県
に対する
義務
がなくなれば、従来と比較して
都道府県
の
種子生産
に対する
取組
が後退する懸念、これは
秋田
の方からもいろいろあったというふうにお伺いしましたが、実際そういう懸念があるんだろうと思います。これに対しては本当にどのようにお
考え
か、明確にお答えいただければと思います。
佐藤博
7
○
参考人
(
佐藤博
君) まず、稲、麦、大豆の
主要農作物
、これは
本県
の
基幹作物
でありまして、その
生産
を支えておりますこの
種子
、この
生産
業務
から県が手を引く、
取組
が後退するということはこれはあり得ません。そもそも、
本県
の
農業
振興、これのもう根本に関わることでございますので、それはあり得ないということをしっかりと申し上げておきたいと思います。 法の存廃に関わらず、県が直接行っておりますこの
原種
、
原原種
の
生産
も、それから
産米改良協会
と行っております、連携しながら行っております一般
種子
の
生産
につきましても、これまで同様取り組んでいく
考え
でございまして、
安定供給
にこの後支障を来すということはないというふうに思ってございます。
進藤金日子
8
○
進藤金日子
君 ありがとうございました。 今はもう
基幹作物
、
秋田
は米でございますから、少なくともこの
秋田
県においては、
種子法廃止
で
義務
がなくなってもこれはもうしっかりと
種子生産
に
対応
していくということが明言されたところでございます。 実は私も県での勤務
経験
ありますが、これ、各県の
農林水産
担当部局って真剣勝負でやっています、やはり
地域
の
産業
を守るという視点で。今回の
種子法
の
義務
を外されたら県がやらなくなるんじゃないかと、私は、県の方々、本当にその辺については極めて遺憾に思っているところがあるんだろうというふうに思うわけです。私は、どの県においても責任持ってやっておられますから、現実的には責任持って、この
種子法
の
廃止
で従来の
取組
後退するなんということはないように頑張っていくんだろうなというふうに私
自身
も感じているところでございます。 引き続き、あと、
佐藤参考人
、ちょっと深掘りしまして、
種子法
の
廃止
によりまして、
都道府県
の
義務
、これなくなるわけですが、今度はそうなると、どうしても、やろうという意思はあるんだけれども、根拠法がなくなりますから
体制
が弱体化したりして、こういった中で
主要農作物
の安定的な
種子供給
に支障が出るんじゃないかという声もこれあるわけですけれども、これちょっと重なるかもしれません、これについてあえてまたお答えいただければと思います。
佐藤博
9
○
参考人
(
佐藤博
君) 従来から、まず、県が
開発
した
品種
等々、
奨励品種
等ですね、こうしたものについてはきっちり
原種
、
原原種
生産
も行って、一般
種子
につきましては
種子
組合を
中心
にして
生産
、
供給
してもらっています。全体の需給、当然これは、
種子
といえどもこれは農作物でございますので、足りなくなるという面から見ますと、例えば、新しい
品種
が出た場合に、当初の見込みよりも
生産現場
の方で作付けが拡大すると。それから、逆に、
生産
を予定していた一般
採種
圃でなぜか災害が起こった、若しくは病気が起こったと、ないようにはしてございますけれども、これはやっぱり作物でございますので分からないと、そういった需給の過不足というのは当然これは想定されることでございます。
本県
にあっては、
種子
、
産米改良協会
と一緒になりまして、まず二月に翌年の要するに年間の需給をしっかりとこれを計画を立てまして、それに基づきまして、一般の
採種
圃の方に計画、
圃場
の認定も含めてしっかりと計画を提示しながら、計画的に
生産
をしてもらうと。途中途中で必ず
需要
と
供給
の方のバランスが崩れないかということをアンテナを高くして、定期的にそういった情報交換を行いながら全体の調整を図っているというふうなことでございまして、これにつきましても、この後引き続きしっかりと取り組んでいきたいと。 また、この後、県の
奨励品種
にする云々にかかわらず、
民間
の
種子
等々、それから他県の
種子
等ありますので、そういったものも
種子
の
供給
につきましては今手を着けてございませんけれども、そういったものの需給につきましても
産米改良協会
を
中心
にして、できるだけ
県内
でしっかりとその需給が図れるような形で取り組んでいくというふうなことでございます。
進藤金日子
10
○
進藤金日子
君 本当にありがとうございます。 本当に県の責任者として、しっかりとしたこの前向きな御回答をいただきまして、本当にありがとうございます。 次に、
西川参考人
にお尋ねしたいと思います。
西川参考人
の三ページの資料ございますけれども、
種子
に関する
システム
とはということがございます。ここで、フォーマルのところというのは、これは
種苗法
で
管理
ということですが、これはむしろ
種子
開発
と
管理
の部分、これ、
知的財産権
保護
されてきますから、そういった面での
種苗法
の範疇、ところが、この
種子法
のところがこの中に見えてこないわけですね。
種子法
というのは
生産
ですから、
開発
あっての
生産
、そこの
生産
の部分に
権利
義務
を掛けているということですから、むしろ、この
インフォーマル
のところを
農家自身
による取引、書いていますが、このフォーマルのところはむしろ
種苗法
であって、
インフォーマル
とフォーマルの間の中に、
生産
で県がしっかりと
義務
を課している、負っているということではないのかなと。 このフォーマルの中に
種子法
を入れていくというのはいかがなものかなという気も、あるいは
インフォーマル
の中に
種子法
を入れていくというのも少しちょっといかがなものかなという気がするので、その辺についてはいかがでしょうか。
西川芳昭
11
○
参考人
(
西川芳昭
君) 御質問ありがとうございます。 まさに、今おっしゃいましたように、
種子法
の位置付けがフォーマルでもなく
インフォーマル
でもない、ここの連携の部分を明確に
法律
で定めているところに
日本
の
システム
の独特の部分があって、これがグッドプラクティスだというふうに申し上げております。
種苗法
が
品種
改良であり、
種子
の増産
供給
が
種子法
であるという区別は理解しております。
進藤金日子
12
○
進藤金日子
君
法律
で
義務
を課しているからこの中で連携しているということ、これは戦後はあったのかもしれません。しかしながら、今は、
佐藤参考人
言われましたように、むしろ、その
義務
を外してもしっかり連携していくということを言われているわけですから、むしろ
発展
的にということを言っていますので、この辺についてはもう少し深く、先生言われること、よく理解できるんですが、その辺についてもまた深めていく必要があるのかなという気がいたします。 一方で、この
種子法廃止
によりまして、
都道府県
の
種子生産
に関する
義務
がなくなるわけですが、この米、麦、大豆の
種子生産
は
都道府県
が自主的に行うことになるわけです。これに関する懸念なり問題点、
西川参考人
、何かありましたら教えていただければと思います。
西川芳昭
13
○
参考人
(
西川芳昭
君) ありがとうございます。 先ほども一部出てきましたけれども、県のそれぞれの
取組
というふうになりますと、やはり財政的な根拠、現在様々な
種子
増殖に関する資金的な裏付けというのはこの
種子法
が根拠になっておりますので、やはり各
都道府県
、もちろん
秋田
県のような
農業
県では最大限の努力をされると思いますけれども、やはり根拠法が後ろにあるのとないのとでは異なっているというふうに思います。 一例を挙げますと、例えば
平成
五年、六年のあの冷害のときなどは、例えばその時期に
普及
しましたかけはしという
品種
がありますけれども、この
品種
などは、当該年度の二月の時点で種が足りないということになったときに、岩手県から沖縄県に申し入れて、沖縄県の協力を得て、岩手県の
普及
員が現地に行って指導する。沖縄県の
普及
員が岩手県の
品種
のことは分からないわけですよね。そういうふうなことを実際に実施するときに、それは国の
機関
である
農水省
が間に入って行われた、このようなすばらしい
システム
があったと思います。これが、
種子法
がなくなることによってこのような連携がスムーズにいくかどうか。もちろん最大限の努力、県のネットワークもあると思います、されるとは思いますけれども、やはりこういうソフトのインフラである
法律
というものは残した方がいいと私は
考え
ております。
進藤金日子
14
○
進藤金日子
君 ありがとうございます。 各県連携の
システム
のところ、これは
種子法
で担保されているわけではなくて、そこは今県の中で自主的に
農水省
あるいは農研機構、これは連携してやっているんだろうというふうに思うわけですので、その辺については余り
種子法
の
廃止
とは直接的には関連はないのかなという気はしておりますが、そこはまた注意していく必要があるんだろうというふうに思います。 次に、
佐藤参考人
にお尋ねしたいと思います。 今、
西川参考人
の方からも財政的な話がございました。これは、
種子法
が
廃止
されても国は
種子生産
に関して引き続き従来どおり
地方財政措置
、これしっかりやるんだということを
委員会
の場でも答弁いただいているわけですけれども、これは
佐藤参考人
の方からも先ほど強い申入れがございました。 ところで、現在県で行っている
種子生産
に関して、
種子法
による
義務
だからやっているという意識、本当、職員の方あるんでしょうかということを一点と、それから、県の中の財政部局だとか総務部局との折衝で
種子生産
に関する予算とか人員、これやると思いますが、現実的に
種子法
に基づく
義務
だからという理屈、いわゆるそれを
種子法
の根拠にして予算とか人員を確保しているのかどうか、そこを教えていただければと思います。
佐藤博
15
○
参考人
(
佐藤博
君) 結論から申し上げまして、まずそれは実質的にはないですね。当然、県の予算査定、担当から順番に、財政課長調整、査定、それから総務
部長
調整、
最後
に知事査定という形で段取りを踏んでいきますけれども、担当レベルの
提出
資料の中には、国もそうでしょうけれども、もう相当の資料、事細かにいろんな資料がありますので、そうした中に主要農産物
種子法
と、これが根拠になった
法律
ですよというふうな、そういう記載は多分あろうかと思います。 予算のことに関しまして様々巷間言われておりますけれども、まず、県の財政が厳しい中で、不要不急の予算、これは当然おのずと削減されることでありますし、それから少ない経費で最大の効果を求められると、これもまた当然のことでございます。
農業
県
秋田
で、しかもこの
基幹作物
の米等の
品種
の例えば
開発
ですとか
種子
の
生産
に関わるものが、予算が、少なくともこの法の
廃止
をもって削減されるですとか後退するということはまずあり得ないですし、当県の知事はそういうことはしないというふうに申し上げておきたいというふうに思ってございます。
進藤金日子
16
○
進藤金日子
君 ありがとうございます。 今、
佐藤参考人
の発言の中で、やはりこれ
種子法
が制定されてからもうこれ六十年以上たつわけでありますから、ほとんどもう
義務
化しなくても定着しているというふうに私は認識していいのかなと今の御
意見
聞いて感じたわけでございますが、一方で、
外食
、
中食
、
業務用
の
お話
しされました。これ、今度輸出米ということも出てくるんだろうというふうに思います。 その中で、
佐藤参考人
、
民間
との連携でこれから伸ばしていくんだということも先ほど御
意見
の中で言われておりましたけれども、今後、
種子法
が
廃止
されてから、いわゆるそういう意味では縛りがなくなってくるところあるんですが、
民間
との連携というところについてどのような展望をお持ちなのか、この御
意見
をいただければと思います。
佐藤博
17
○
参考人
(
佐藤博
君) 輸出という
お話
がございましたけれども、例えばその
業務用
への
対応
ですとか輸出への
対応
、特に、
平成
三十年問題を今控えまして、
現場
では
需要
に応じた
生産
ということで、特に
本県
がそういう課題を持っているせいかどうか分かりませんけれども、いずれこれまでの家庭食
中心
から、当然今三割、四割と言われている
業務用
、これが拡大するわけでございますので、こちらの方により重きを置いた
対応
というのがこれから多分
産地
の方で求められてくるだろうと。 そうした場合に、
民間
が例えばそういった食のトレンドですとか
消費者
、
実需者
のニーズをいち早くつかまえている、それから場合によってはその出口の
実需者
をセットで
種子
の
販売
と
産地
の方に提案してくると。こういう、どちらかといいますと我々行政サイドなり場合によっては
農業団体
の方でも少し手薄な部分、要するに
民間
の得意な分野、こういったものを何とかこの
農業
の所得拡大に生かしていければなという、こういう思いがございます。 そうした中で、基本的にこれからも
本県
では県が
開発
した
品種
、これがまず主体になる、これは間違いございませんけれども、様々なニーズの変化はございますし、その変化が非常に激しくなってございますので、そういったものにいち早くスピーディーに
対応
するとすれば、こうした
民間
の
種子
を取り入れるですとか、それから一緒にそうした
需要
に合った
品種
を
開発
していくと。今日明日云々という話ではございませんけれども、そういったことというのは我々も
考え
ていかなきゃいけないし、そういった戦略がこれから多分県の方にも求められてくるだろうと。 それを実現することによってやはり
農家
の
所得向上
につなげていくというのが、今こういった米の情勢が非常に目まぐるしく変わっている中で、県なりに求められている
一つ
の姿勢でないかなというふうに私は思ってございます。
渡辺猛之
18
○
委員長
(
渡辺猛
之君) 時間が参りましたので、おまとめください。
進藤金日子
19
○
進藤金日子
君 時間が参りましたので、本当にお二人の
参考人
の方々、貴重な御
意見
ありがとうございました。特に
佐藤参考人
、
民間
の参入も含めて前向きな展望をお示しいただきまして、本当にありがとうございました。 私の質問を終えさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
小川勝也
20
○小川勝也君 民進党・新緑風会の小川勝也でございます。私、北海道選出でございます。 今日は、両
参考人
、ありがとうございました。特に
佐藤参考人
からは、米どころでもあります
秋田
県の農政全般をお示しいただいた後、今回のこの
廃止法案
に対する
考え
を述べていただきました。私なりに受け止めさせていただいたのは、主要農産物
種子法
が
廃止
された後にも、今まで取り組んできた主要農産物の
種子
に対するしっかりとした対策、
対応
をしていくという決意を伺ったというふうに私は受け止めさせていただいております。 しかしながら、
秋田
県の方は大体人がいい人が多いものですから、受け止めが少し優しいなというふうに思っています。 この法案がなぜ
廃止
されるのかということであります。
農業競争力強化プログラム
の決定の一部を読ませていただきますと、地方公共
団体
中心
の
システム
で、
民間
の
品種開発
意欲を阻害している主要農産物
種子法
は
廃止
する、こう書いてあるんですね。ですから、いわゆる阻害しているので、
民間
が参入をする、させるために
廃止
をするわけでありますので、例えば
佐藤参考人
は、この
種子法
が
廃止
された後も交付税さえあれば県は頑張っていきますよと、こういう意欲を示されましたけれども、
政府
はこの根拠法がなくなれば
都道府県
に対する
地方交付税
を削減する理由を得るわけでありますので、
民間
が参入しやすくなるようにこの法案を
廃止
することにのっとって正しい行政を実施するということは、県がやる部分を減らして
民間
がやれというのが
農林水産省
の指導になってくるわけであります。 この若干意地悪な質問でありますけれども、そのことに対する
佐藤参考人
の受け止めはいかがでしょうか。
佐藤博
21
○
参考人
(
佐藤博
君) 済みません、ちょっと質問の御趣旨がなかなか理解できないんですけど、難しくてですね。
民間
の
種子
が、例えば、今現在余り、まあほとんどと言った方がいいかもしれませんね、
奨励品種
に採用されていないというふうなこの理由、様々あろうかと思います。いろんな要素が複雑に複層的に絡んでいることだと思いますけれども、私が
考え
るに、大きく分けて三つぐらいあるんではないかなと思いますね。
一つ
は、県にとって、
農家
にとってこれまで、これまでといいますか、有益なそういった
品種
、例えばさっき私が
説明
で申し上げましたような
豊田通商
のしきゆたかみたいな、ああいった極めて多収で、そういった
品種
、従来の
品種
に比べて収量ですとか
食味
とかそういう面で著しい有利性を有する
品種
が
奨励品種
となるわけでございますけれども、そういった候補になるようなものがそもそもなかったということもかつてはあったと思います。最近出てきたというのが我々の印象でございます。まずそれが一点でございます。
品種
自体があったかどうかという話ですね。 それと二点目は、これまで、今までは、今ほど、何といいますか、マーケットのいろんなニーズが細分化、多様化しておらず、県としても県の
農業
振興方針なり気象、立地条件に合った、そういった実情に応じたものを踏まえながら自ら
開発
した
品種
で十分事足りていたということで、
民間
の
品種
を積極的に採用する
必要性
に乏しかったと、かつては。まあ今は違うと私は思いますけどね。これがまず二つ目。要するに、取り巻く情勢がかつてと今では違うだろうなと。これが二つ目でございます。 もう一点が、三点目として、県に対してその
奨励品種
の決定試験ですとか
原原種
の
生産
を
義務
付けている一方、仮に優れた
民間品種
があったとしても、県にその採用を申請するような、そういった
システム
といいますか、そういった形になっておりませんので、言わば
民間品種
を県の
奨励品種
に位置付けるよう積極的に
普及
するということが果たして
制度
上想定されていたのかなというふうな気もしてございます。私どもの意識も問題もあると思いますけれども、少なくとも県から見ると想定しづらいといいますか、そういったこともなかなか
普及
しないということがあったのではないかなというふうに思ってございます。 先生の御質問に対する御答弁になっておるのかどうか分かりませんけれども、そのように
考え
てございまして、やはり
制度
的な面も心理的な面も含めて、意識する意識しないにかかわらず、やっぱりこの
法律
では、県が
品種開発
から
原原種
、
原種
の
生産
、そして一般
種子
へ、そして
生産
されたもののマーケティング、流通、
販売
対策も含めて、やっぱり一気通貫でやるような法
制度
といいますか、
制度
というふうに県の方ではやっぱりどうしても認識せざるを得ないような形になっているのではないかなというふうに思ってございます。
小川勝也
22
○小川勝也君 この法案の
廃止
は、
民間
が主体的に、いわゆる主要農産物の
種子
の
世界
にも参入するということが明確に書かれているわけであります。 次は
西川参考人
にお伺いをしたいというふうに思いますけれども、今、県の農政の御担当から、今までの主要農産物
種子法
で問題はなかったというふうに発言を私は伺ったというふうに
考え
ております。なのに、今国会の主要農産物
種子法
は、修正でもなく改正でもなく
廃止
。これは、
政府
のどういう意図を持ってこの主要農産物
種子法
を
廃止
するというふうになったと類推、拝察されるのか、
西川参考人
のお
立場
でお答えをいただきたいと思います。
西川芳昭
23
○
参考人
(
西川芳昭
君) 類推、知る限りにおいての回答になるんですけど、やはり今回の全体が
農業
競争力強化
支援
法との関連においてといいますか、その枠組みの中での議論ですので、やはり外資の導入というふうなことが
背景
にあるということは推察されるかと思います。しかも、ピンポイントで、
農業
のいろんな
生産
資材の中で、ほかの部分でももちろん議論されていますが、
種子法
の
廃止
に関しては、主要作物の
種子
の
生産
の部分にピンポイントで外資が参入できるということが意識されているということは、やはり国民としては非常に懸念されると思います。 実際、一九八六年以降の
種子法
では、その通達で、
奨励品種
にしましても、いろんな
制度
は
民間
の参入を決して拒んではおりませんので、先ほど
佐藤参考人
がおっしゃったように、今までの
制度
で何の問題もなかったと、たまたま
民間
が入ってこなかっただけだというふうなことなので、この
背景
にあるのは、やはり
特定
の
種子
という分野に、外国の
企業
を含めて、多
国籍企業
を念頭に置いて参入を促進したいという意図があるというふうに推測しております。あくまでも推測であります。
小川勝也
24
○小川勝也君 私も家庭菜園をやっておりまして、園芸ショップで買ってきた種を見ますと、外国で
生産
された
種子
が当然あります。それから、当然のことながら、主要農産物以外の
種子
はほとんど
民間
が作っているわけであります。なのに、この主要農産物というふうに書かれていることに私は意義があるんだというふうに思います。いわゆる稲、大豆、麦、この主要という
言葉
に非常に大事な意味がこもっているということを含めて、この主要農産物の
種子
、それからそれ以外の
種子
、あるいは国、県、
民間
の
役割
、このことについてどのように整理をしたらいいのか、改めて
西川参考人
の所見をお伺いをしたいというふうに思いますが。
西川芳昭
25
○
参考人
(
西川芳昭
君) ありがとうございます。 おっしゃいましたように、
主要農作物
というところが係っていることが非常に重要だと思います。私
たち
一人一人の国民にとって、食べていくことができるこの
種子
の確保を、増殖を国が責任を持って県に
義務
を課し、それぞれの
地域
に合ったものを
生産
するということを保障していると。これが園芸作物であれば、もしかすれば、今年はバラの花を見ないで過ごそうと、そういうこともあり得ると思います。ただ、米、麦、大豆に関してそのようなことを私
たち
はできないわけです。 実際、例えば
民間
参入の最も進んでいると
考え
られる
アメリカ
等におきましても、主要な作物の
品種開発
及び増殖に関しては、州立
大学
、州の
農業試験場
等々ですね、公立の
機関
、パブリックドメインというような形で
遺伝資源
の場合言いますけれども、公的な
機関
の中にある分野が、主要な作物、それぞれの国にとって大切な作物は責任を持っております。もちろん、
民間
参入を拒んではいません、比率としては六割、七割というようなところが公的なものですけれども。したがって、私
たち
の国の場合でも、やはり、国、県等、公共的な組織が主要作物に関しては責任を持っていくべきだと思います。 一方で、
民間
も当然活力を生かしていくことができると思いますし、
種子
の
生産
に特化して
種子法
を
廃止
しなくても、
生産
物の加工とか流通とか、そういうところで現在も
民間
はいろんな場で活躍していますし、長くなって申し訳ありません、あと三十秒だけあれですけれども、例えば大分県に「いいちこ」という焼酎を造っている会社がありますけれども、下町のナポレオンと言いながら、あの焼酎は一〇〇%オーストラリアからの輸入の大麦を使っていますけれども、あの会社はニシノホシという純国産の大麦を使った焼酎を造っているんです。これは、旧
農水省
の九州
農業試験場
が、蒸留用に最も優れた
品種
で大分県の宇佐平野に適した
品種
を
開発
し、大分県がそれを奨励して、結果として「いいちこ」が市場価格よりも高い価格で買い入れた形で市場に流していると、こういう形での国、県、
民間
の連携というのは現時点での
種子法
の下でもできたわけで、
種子法
が
民間
のいろんな形、
民間
の活力の参入を阻止、阻んでいるというふうに私は
考え
ておりませんので、国と県、それから
民間
の
役割
の分担というのは、今後とも、その時代に合ったものを作っていく必要はあると思いますが、
廃止
をする必要はないというふうに
考え
ております。
小川勝也
26
○小川勝也君 続いて、
西川参考人
に教えていただきたいんですが、私は少し疑り深い性格でありまして、
民間企業
というのはこれ営利
企業
でありますので、いわゆる
種子
をめぐってマーケットを確立したら、利潤を上げようと思います。そうしますと、
種子
の値段を上げる
可能性
があります。それから、リスクの一端では、その
種子
をしっかり押さえている
企業
が倒産をすることもあります。それから、その
種子
をしっかり押さえている
国内
メーカーが海外の
企業
に買収されるリスクがある、これも否めないというふうに思います。 ですから、主要農産物に限ってこの
種子法
が存在していると私は理解しているわけでありますけれども、私の
考え
るこのリスクについて、
西川参考人
の御所見をお伺いしたいと思います。
西川芳昭
27
○
参考人
(
西川芳昭
君) まず、価格面ですけれども、今でも
民間
の
育種
の
品種
というものの
種子
の価格が非常に高くなっております。
農水省
自身
が出されておる数字でも三倍とか五倍とか、そういうふうな形に、みつひかりとかですね、そういう
品種
で出しておりますので、今後、
民間
になると、
種子
の値段というのは非常に不安定になる、高くなる一方ではないと思いますが、不安定になるということを
考え
ております。 それから、外資が入ってくる又は
日本
の
企業
が外資に買収されるというようなことになりますと、先ほども言いましたけれども、私
たち
国民が国家に委ねている
遺伝資源
が海外に流出する、それは私
たち
の、米、麦、大豆というのは私
たち
の生活の
根幹
に関わる、
日本
は
資源
が少ない国ですけれども、生物
資源
、特に稲の
資源
に関しては非常に豊かな、
世界
でも最も豊かな国の
一つ
なんですけれども、これが流出するという危険性というのは私は非常に意識しておりますので、やはり
種子法
は、どういうんでしょう、このリスクから守る
一つ
の手だてとなっているというふうに
考え
ます。
小川勝也
28
○小川勝也君 国会が、私
たち
がだらしないおかげでこの
種子法
がなくなるわけでありますので、大変残念な思いでいっぱいであります。しかし、
佐藤参考人
からは、この主要農産物
種子法
が
廃止
されても県はしっかりやることをやるんだという決意を伺ったことで、少し気持ちが、若干でありますけれども、明るくなりました。 先ほど、意地悪な質問もさせていただきましたけれども、私
たち
は、
秋田
県やそれ以外の県がこれまでと同じ
取組
をすることを精いっぱい立法府として応援をさせていただきたいというふうに思っています。
最後
に、
佐藤参考人
の決意と国会や
政府
に対する要望を改めてお伺いをさせていただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
佐藤博
29
○
参考人
(
佐藤博
君) 先ほどから申し上げておりますように、これは多分、
本県
だけではなくて、先生の地元の北海道でも同じだと思います。少なくとも稲、麦、大豆、主要農産物を
地域
の
基幹作物
として振興している
都道府県
であれば、この
法律
が
廃止
された後もしっかり
対応
していくということで、これは多分どこの県も同じであろうと思ってございますし、当県でもしっかりと
対応
していきたいと。 それから、先ほど
委員
からの御質問の中で、何かこれ、今のままでいいんだというふうなことの答弁があったというふうに先生がまとめられましたけれども、かつてはそうだったかもしれない、今ほど、そういった、何といいますか、新しいニーズに応えていく、いろんな変化の激しいニーズに応えていくということが求められている時代はないので、でもって、これまではよかったけれども、これから、じゃ、果たして、この
法律
が悪者とは言いませんけれども、これがあることによってそういったものがもしブレーキが掛かるようであれば、それは
制度
的に、若しくは
都道府県
職員の心理的、気持ちの面も含めてあれば、それはやはり
廃止
してしかるべきではないかなというふうに思ってございます。 そういうことでございますので、よろしく
お願い
します。
竹谷とし子
30
○
竹谷とし子
君 公明党の
竹谷とし子
でございます。 本日は、
佐藤博
参考人
そして
西川芳昭
参考人
に大変貴重な
お話
を伺うことができました。まずは心から感謝を申し上げたいと思います。両
参考人
、本当にありがとうございます。御苦労さまでございます。 今回の
主要農作物種子法
を
廃止
する
法律案
につきまして、
農水省
は、
農業
の
戦略物資
である
種子
について、多様なニーズに
対応
する、そのために
民間
ノウハウも活用して
品種
の
開発
を強力に進める必要があるというふうにうたっております。 私、
食料
の自給率というものが低下をしてきていることに非常に懸念を持っております。
種子
を守るということも当然重要なことではございますが、
種子
を守っている間に
日本
の
食料
の市場が外国産品に奪われているということになっては本末転倒であると思います。
日本
の
農業生産
がしっかりと
日本
市場また海外の市場に向き合っていく、そのためには、その市場のニーズというものをしっかりと踏まえた上で、それを
生産
の戦略、計画に組み込んでいく必要があるというふうに思っております。 その意味で、まさに県の
農林水産部長
として農林行政に
中心
となって取り組んでおられる
佐藤参考人
の
お話
に大変感銘を受け共感をしたところでございますが、今、多様なニーズというものがある、それはどんなニーズを感じておられるか、
生産現場
で市場を見たときにどんなニーズがあると感じておられるかということを伺いたいことと、また公的
機関
だけではその多様なニーズに
対応
できない理由というものを教えていただければ幸いでございます。
佐藤博
31
○
参考人
(
佐藤博
君) 今、市場の方では特に、これまで家庭食が
中心
でございましたけれども、毎年八万トンずつ主食用が減っていく中で、そうした中でも、
業務用米
、これまで三割ぐらいのシェアだったはずでございますけれども、これが四割、これから五割というふうに拡大していく、まずそういうところにしっかりと
対応
していくというふうに
考え
た場合には、
一定
の
食味
内、当然
品質
がこれ良くなければできませんけれども、
食味
の下で、やはり多少リーズナブルな、
値頃感
のあるといったものがやっぱり求められていくんだろうなというふうに思ってございます。 これは、
国内
の
業務用
向けだけでなくて、これから海外に輸出をしよう、国産のお米を輸出しようという場合もこれは必要になってくるのではないかと。それが玄米のまま輸出するのかパック御飯として輸出するのかは別にしましても、やっぱり
秋田
の米、
日本
の米のように、非常に
品質
はいいんだけれども高いというままでは、これから海外の市場をやっぱり大きく開拓していくという点では
一つ
ネックになっているのであろうかなと思ってございます。 その
業務用米
につきましても、いろんな例えば用途があると思うんですね。例えば、丼向けのお米ですと粒が大きくてやっぱりたれ通りがいいものですとか、それから、場合によっては、短粒種じゃなくて、パエリアですとかチャーハンですとか、そういったものの場合は長粒種的なものがやはり非常にべたべたしない、どっちかというとぱさぱさしたようなものが好まれますので、そういった様々なニーズがあると思います、
消費者
側のニーズですね。 それから、
生産
者側のニーズにしましても、例えば、
一つ
秋田
県を取っても、やはり県北と県南では登熟の期間が違いますので、わせからなかて、おくてというふうな形のものが必要ですし、それから、栽培のやり方という点では、一般の要するに移植栽培に加えて直播ということもございます。そうした組合せを
考え
ますと、非常に多くの、様々な
消費者
側のニーズもあれば
生産
者側のニーズもあろうと。それに全部県が果たしてこれから、先ほど申し上げましたように
主力品種
、これは各
都道府県
で
本県
も含めて多分やっていくと思いますけれども、そういったニーズに
対応
していくとすれば、もしそれが
農家
の
所得向上
、
地域
の
農業
の
発展
につながるのであれば、私は、
民間
の活力を大いに活用していくべきでないかというふうに思ってございます。
竹谷とし子
32
○
竹谷とし子
君 ありがとうございます。 有名なものとして、
民間
が
開発
、
生産
をしているあのみつひかりという
品種
、これは、今も御
説明
がありましたけれども、大手の
外食
チェーンで既に、作ったらそこに買っていただけるという実需に結び付いているということ、また、
生産
者側のニーズという
お話
、今、
佐藤参考人
から伺いましたが、収穫時期を後に収穫することができるので、大規模化していったときに手が空いているときにそれをやれるということで、
生産
者側のニーズにもマッチするというふうに
お話
を伺っておりますが、また、しきゆたかというものを
秋田
県では
民間企業
と連携をして作っているという
お話
を伺いましたけれども、非常に先見の明があるといいますか、県が
民間
の
企業
をお呼びして
商談会
などを開催をされたということも先ほどの御
説明
で伺いましたが、今後、ほかの
都道府県
についても
民間企業
としっかり連携をしていくということが重要になってくると思いますが、どのように連携をしていけばよいかということについて、もしお知恵をいただければ教えていただきたいと思います。
佐藤博
33
○
参考人
(
佐藤博
君)
本県
でしきゆたかの話、
お話
しさせていただきましたけれども、実は、みつひかりは、
本県
でも
考え
たんですけれども、やはりおくての
品種
だということで、多分南東北までは広まっておりますけれども、青森、
秋田
、岩手は、これは入っていないはずです。気象、立地的に無理なんですね。 このしきゆたかはできるだろうと、山形県さんでちょっと試験もやられたはずですので、その試験結果を見まして大丈夫だろうというふうなことで、もちろん、農協さん、
法人
さんを集めてのマッチングもやってございますし、それから、
普及指導員
が
圃場
での栽培技術の指導も、これも行ってございます。 それ以外に、宇都宮
大学
が
開発
しましたゆうだい21という、これも、ちょっとおくての
品種
なものですからうちの県に合うかどうかちょっと心配な面もありまして、栽培適性を見極める試験を今年から
農業試験場
でやりたいというふうに思ってございます。 いろんな
民間
との連携の形はあると思います。既に、こういう形で
民間
がそういった
消費者
、
実需者
のニーズをつかまえて、しっかりそれに基づいて
開発
した
品種
を
本県
に適合するかどうかということを試験をやりながら
普及
させていくということも
一つ
の手法であるでしょうし、今すぐどうのこうのではありませんけれども、例えば、
本県
で今
プライスリーダー
となるような新しい良
食味
品種
を
開発
していますけれども、それが終わった後、まあ次のやつも今計画していますけれども、いろんなそういったニーズに応えていくためには、そういった
民間
の知見なりなんなりというものも
一つ
、具体的にというのはちょっとなかなか今思い浮かびませんけれども、そういうことも一緒に、要するに共同
開発
するということもこれは当然
考え
られる話じゃないかなと思ってございます。 そうした点で、要すれば
農家
の
所得向上
につながるかどうかというところで県がその立ち回りというのが非常に大事になってくるのではないかなと思ってございまして、その具体的な
民間
との連携の在り方というのをこれから我々も勉強していかなきゃいけないと思っていますし、特にこれからのお米をめぐる情勢を
考え
た場合には、そうしたニーズに
対応
していくというのが求められるんだろうなと思ってございます。
竹谷とし子
34
○
竹谷とし子
君
西川参考人
に質問させていただく前に、もう
一つ
佐藤参考人
に伺いたいと思います。 県の
役割
というのはこれからますます重要になっていくというふうに思っておりますけれども、やはり一番重要なのは財政、予算面であると思っております。 今回の
種子法
の
廃止
で、それに影響させないようにするということは当然であると思いますが、今時点で、予算の制約があって、ほかにこれもやりたいんだけれどもできない、取り組めないというような、
農業
者の所得を上げるために行いたいと思う
取組
というのはありますでしょうか。予算制約があってできないこと、そういったものというのは、もしおありだったら教えていただきたいんですけど。予算は幾らあっても足りないものですのであれですけれども。
佐藤博
35
○
参考人
(
佐藤博
君) 今いみじくも先生がおっしゃったように、予算は幾らあっても足りないといいますか、ただ、そうした中でも比較的、当県
農業
県で、
農業
元気でないと
秋田
の元気はないだろうと、
秋田
の
発展
はないというふうな知事の
考え
でございますので、そういった点から見ますと、ここ数年の
伸び率
というのは非常に大きくなってございます。 その中には国の方で御
支援
いただいている
事業
も当然ございますし、それをうまく活用させていただきながら、県独自の基金、実は国の農政改革が出た段階で、二十五年の十二月の段階で、県の方で百億円基金、その前から実はあったんですけれども、百億円、実際には百六十億ほどの県独自の基金をつくった、
農業
振興基金というものをつくったんですけれども、これを、農政改革が出たとき、農政改革が出たということで期間を延長して積み増しして、二十九年まで、今年度いっぱいこれでもって振興しようというふうなことを今進めているところでございます。 この一環として先ほど、前段御
説明
しましたように、
米産県
秋田
で何とか園芸を定着させたい、畜産を伸ばしたいということで、その中核となるようなそういった担い手の育成、施設の整備等について今取り組んでいるところでございます。 もちろん予算があればいろんなことはありますけれども、あえて申し上げれば、なかなかその中山間
地域
への
支援
というのが非常に難しゅうございまして、県でも独自にやっているものもございますけれども、これはなかなか非常に、お金があればできるといいますか、その知恵の出し方も非常に難しいというふうに常日頃から私は感じてございます。
竹谷とし子
36
○
竹谷とし子
君 続いて、
西川参考人
の
お話
に関連して質問をさせていただきたいと思います。 この
種子
というものを非常に重要視されておられることに共感をしたところでございますけれども、
企業
の暴走というものにも非常にリスクを、懸念を感じられることについても、そこもしっかり私
たち
は見ていかなければならないところだと思っておりますが、この
種子法
の
廃止
が
企業
の暴走というものに結び付くおそれというのはあるとお
考え
になりますでしょうか。その場合、どのようなロジックで
企業
が暴走していくというふうに想定をされるか、教えていただければと思います。
西川芳昭
37
○
参考人
(
西川芳昭
君) 御質問ありがとうございます。
企業
の暴走という部分では、二つ
考え
ることができると思うんですけれども、現在は、
種子法
の下に、米麦、大豆の
種子
の
品質
というのは非常に厳密に、
圃場
検査から
生産
物検査、その他再三にわたる県の職員の指導の下に行われていますけれども、これが
企業
、特に海外の
企業
になった場合にどこまで
品質
の検査ができるのか、そのための費用をどこまで持つのかということで、基本的に園芸
品種
などは国際
基準
に従ってそれぞれの
企業
が
品質
の保証をしておりますけれども、これを主要作物に果たして持ち込んだ場合に、本当にそれを国の方がきっちりと
管理
監督できるのかという意味で、
企業
の暴走、ちょっと、
企業
を信じないわけではないですけれども、現に信じられない事例というのもありますので、まず
品質
の
管理
、
品質
の
維持
が一点。 それから、もう一点は素材ですね。
遺伝資源
、
育種
の素材というものは、繰り返しますが、公共の手にあるもの、本来は誰のものでもなく人類の資産なんですけれども、取りあえず
日本
の
国内
にあるものは
日本
国民のものであります。これを明治以来、たくさんの税金を投入し、国や
都道府県
が守ってきたものですけれども、これが
特定
の
企業
に流れるということは
特定
の
企業
の力を強化することになり、国民又は
都道府県
、国の力をそぐことになりますので、
企業
の暴走というのはそういう意味で
企業
の力を圧倒的に強くする、そのような
システム
になってしまう危険性を感じております。
竹谷とし子
38
○
竹谷とし子
君 ありがとうございます。終わります。
紙智子
39
○紙智子君
日本
共産党の紙智子でございます。 お二人の
参考人
の方、本当にありがとうございます。
佐藤参考人
は、昨年、
秋田
に調査にお邪魔したときに本当に、
種子
のことではなかったんですけれども、丁寧な
対応
をしていただきまして、ありがとうございました。今日は、
現場
からも、
現場
の
立場
に立った率直な御
意見
をありがとうございます。 それから、
西川参考人
は、先ほど
種子
の問題のやっぱりそもそものところというか、非常に深い根源的な話をしてくださって、改めてお聞きしながら、我々本当に、我々というか私
自身
も、これだけ深く認識をして
審議
をしているのかなということを改めて痛感をさせられております。 それで、最初に、お二人に同じ質問なんですけれども、
農水省
は今回、この
主要農作物種子法
の
廃止
の理由として、
都道府県
が
開発
した
品種
、これは
民間企業
が
開発
している
品種
よりも税金で支えられていて安く提供できることが可能なために、
民間企業
が参入しにくいんだという
説明
がされました。ところが、驚いたことに、この立法事実に関わる資料については十分なものが出されていないということなんです。 昨年の九月二十日の規制改革
推進
会議
の
農業
ワーキング・グループで出された資料、これ、それと同じものを我々もいただいているんですけれども、水稲の
種子
の資料はあるんですけれども、これも十分ではないんだけれども、
主要農作物
であるはずの麦、大豆の資料が全く出ていないと。要求してきたわけですけれども、基本的な資料がないまま、衆議院ではたった五時間で
審議
をされる、で、参議院に送られると。 それで、
廃止
しようという大変大きな問題なんですけれども、
廃止
しようという重要な法案を
審議
するのに、そういう基本的な資料も出さずに議論するというやり方、これは本当にちょっと拙速じゃないかというふうに思うんですけれども、こういうことについてどのように思われるかということをお二人にお聞きしたいと思います。
佐藤博
40
○
参考人
(
佐藤博
君) この
種子法
の
廃止
だけでなくて、やっぱり
農業
政策、
農業
に関する
法律
というのは、これは
地域農業
にも非常に大きな影響を及ぼすものでございますので、これにかかわらず、いかなるものにつきましても、国会において慎重に
審議
をしていただきたいというふうに思ってございます。 今回の件につきまして、
審議
時間が長いのか短いかとか、それから資料が
提出
されているされていないということについて、当方の方でコメントする
立場
にはないというふうに
考え
てございます。
西川芳昭
41
○
参考人
(
西川芳昭
君) 十分な
審議
が行われていないということに関しましては、やはりこれも一般的なことですけれども、全ての国のことを決めていくことには、
関係者
全て、国民全てが入った形で、十分な資料が示された形で議論を進めるべきだというふうに
考え
ております。 特に
種子
に関しては、繰り返しますけれども、国の戦略
資源
という言い方もできますし、国民の全体が築き上げてきた資産というふうな言い方も言えると思います、そのものを手放すことに関してはもう少し丁寧な議論が必要だというふうに
考え
ております。
紙智子
42
○紙智子君 その上で、
西川参考人
に最初にお聞きしたいんですけれども、
西川参考人
は奈良県のタマネギの
採種農家
に生まれたという
お話
を先ほどされました。種の重要性をそういう意味ではまさに実感されて育ってこられたのかなというふうに思うんですけれども、いただいている資料で「
農業
と経済」の中で、種というのは
農業
にとって土地や水と並んで不可欠な投入物だと、私
たち
の命というのはこの種に支えられていると、種がなくなると
食料
もなくなり私
たち
も生きていけなくなるというふうに述べていて、私も本当にそうだな、そうなんだなというふうに思うわけですけれども、やはりこの
種子法
は、そういう意味では国がきちっと責任持ってということですからなくすべきではないと思うんですけれども、
種子
は人類共通の、共有のものだという
お話
をされましたけど、その辺のところを、多分先ほどすごく急いで話しされたんですけれども、もう少し詳しく
お話
をしていただければと思います。
西川芳昭
43
○
参考人
(
西川芳昭
君) ありがとうございます。 種がなくなれば
食料
がなくなる、
食料
がなくなれば君もなくなるということで、私
たち
が地球上から消えてしまうということで、
種子
の重要性というのは何度繰り返しても強調し過ぎることはないと思います。 一方で、共有のものであるということですけれども、基本的には、FAOを
中心
として一九六〇年代からいわゆる南北問題ということで
資源
の、どういうんでしょう、所有権に関する争いがあったときに、
種子
に関しては
日本
政府
も含めて人類共有の資産だということを強調してまいりました。そういう意味では、
日本
政府
は一九八〇年代までは、少なくとも
種子
に関しては人類共有の資産だということを積極的にサポートするグループに入っていて、私
たち
もその中で生かされてきたと思います。それがだんだん
知的財産権
の強化、特に遺伝子情報が読めるようになって私有化されるようになってきて、遺伝子情報にパテントが掛かるようなことになってきているという状況が存在します。 ちょっと時代が前後しますけれども、第二次
世界大戦
が終わったときに進駐軍が入ってきたときに、農林10という
日本
で作られた小麦の
品種
の種が持ち出されました。その
目的
は、
アメリカ
の小麦の増産のために
育種
の材料とするためですけれども、結果として、その小麦の遺伝子はメキシコの国際
研究
所に送られて、そこで
知的財産権
を主張しない状態で
改良品種
として作り、メキシコ又はそのほかの
開発
途上国に渡されて、緑の革命という形で
世界
中の飢餓を救ったという例があります。 こういう形で、
種子
というのは
世界
を巡っていて相互に助け合っている存在なわけで、
特定
の
企業
が持つことによってそのような相互依存の共生の
社会
というものが損なわれるというふうに
考え
ています。ほかの
資源
とやはり違った取扱いが必要だと思います。そういう意味では、やはり
種子法
というものが存在して、
日本
の中で循環させているということの重要性はもう繰り返し申し上げたいと思います。
紙智子
44
○紙智子君 次に、
佐藤参考人
にお聞きしたいんですけれども、
種子法
がもし
廃止
ということになると、予算
措置
の根拠というものがなくなると。先ほど県独自でもやるんだという話があったんですけど、
地方財政措置
の根拠がなくなるとどういうふうな影響が出るかということと併せて、やはりお米と同時に、麦、大豆、大豆も結構、三位ですかね、作られているという
お話
もありまして、
秋田
県の麦や大豆の
生産
ということについて、五位ですかね、
全国
五位と言っていましたけれども、どういうふうな影響が
考え
られるかということも、先ほどちょっと
お話
なかったと思うので、その辺のところも話をしていただきたい。そして、財政的な
措置
ということでいうと、やっぱりそれに対しての要望がありましたら是非していただきたいと思います。
佐藤博
45
○
参考人
(
佐藤博
君) 後段の方から先にお答え申し上げますけれども、現在の
主要農作物
の
種子
の
安定供給
というのは、これは各
都道府県
が
中心
的な
役割
を果たすと、これはもう論をまたないところだと思います。 そういうことで、国におきましては、先ほど前段、
意見
陳述で申し上げましたように、
種子
関連
業務
に関する
地方財政措置
、これからも、まあ
地方交付税
でございますけれども、しっかりと継続すると。間違っても
地方交付税
が減るというふうなことがないように
対応
していただきたいということは申し上げておきたいと思います。
基準
財政
需要
額に今入れられているはずでございますので、しっかりとそのとおりやっていただきたいというふうなことでございます。 それから、麦、大豆でございますけれども、まず大豆につきましては栽培面積は非常に多うございます。かつて、今もそうですけれども、米とそれから大豆のブロックローテーション、二年三作のブロックローテーションというふうな形で、非常に大きな団地をつくりながら
生産
振興を今進めているところでございまして、約八千ヘクタール栽培されているところでございます。 この
品種
といいますか、種につきましては、
本県
の
農業試験場
では、大豆の
品種
の
開発
につきましては今現在は少し手を、力を入れていないというか、入れようがないといいますか、国の方の試験
研究機関
に今お任せといいますか、
お願い
しているところでございます。
主力品種
がリュウホウという
品種
なのでございますけれども、これは非常に加工特性はいいんですけれども、しわ粒といいまして、しわが出るんですね。これでもって等級が下がるというふうなことで、この課題を解消できるような新しい大豆の
品種
を是非国の方に
お願い
したいということで、幸い、当県の中央部の大仙市というところに東北農研の方の栽培実証の現地実証地がありますので、そこでもって
本県
に合ったそういった大豆の
種子
の
開発
等々につきまして御
支援
をいただいておるところでありまして、これにつきましては引き続き力を入れていただければ大変有り難いなと思ってございます。 それから、麦につきましては、いかんせん、ちょうど収穫のときが
本県
の梅雨どきと重なるものですから、一時振興もしたんですけれども、やっぱりいいものが取れないということで、ほとんどまず振興されていないと。 ただ、もしかすれば
先生方
の中でも御存じの方もいらっしゃるかもしれませんけど、B—1グランプリで横手の焼きそばというのがありますので、その方々が、そうした気象条件にもめげずに、その焼きそば用の小麦の栽培と、要は地
産地
消的な
考え
ですね、その最終的な加工まで含めた、そういったものについて取り組んでおりますので、そういった点につきましては
地域
振興の観点から県として今御
支援
を申し上げているというふうな状況でございます。 以上でございます。
紙智子
46
○紙智子君 それじゃ、もう一度
西川参考人
にお聞きしますけれども、先ほどもちょっと触れられましたけれども、
西川参考人
は、三月の何日付けかな、東京新聞か何かで書かれていたんですけれども、
種子法
の成果として、九州
農業試験場
と大分県が地元産の大麦一〇〇%の焼酎を造りたいということで、酒造会社と協力して育成した大麦の話をされているんですよね。 やっぱり
地域
の生活や文化に合った
種子
の
生産
にとって、公的な
種子供給
の
義務
をなくして
民間
に任せるということも含めて書かれていたと思うんですけれども、それについて少し詳しく
お話
を聞かせていただきたいと思います。
西川芳昭
47
○
参考人
(
西川芳昭
君) 今の御質問はニシノホシという大麦の
品種
のことだと思いますけれども、九州
農業試験場
、国の
機関
とそれから県の
機関
が、転作ですね、
水田
転作で大麦を
利用
する、また、その
奨励品種
に決定するための実証
圃場
を拡大する形で
生産
を前倒しにするというふうな形で、どういうんでしょう、実用化に結び付けたということで、そのような形で
地域
にとって、
地域
の
農業
生態系に見合った、またその
地域
の
企業
の
生産
、加工、流通に見合った形での新しい
品種
というのが
種子法
の中で作られてきたというのは、これは非常にいい実例だと思いますし、何よりも、その結果として、その
地域
の
農家
の所得が向上し
地域
全体が潤っていくということがありますので、
種子法
自体がそのことに関して、何度も言いますけれども、直接
種子法
がその
品種
改良をやっているわけではないことは十分認識しておりますが、そういうことができるソフトのインフラとして
種子法
が存在しているということを私は今までいろんな方からお聞きしてきております。
紙智子
48
○紙智子君 ありがとうございました。 やはり、本当に深い意味を持つこの
種子法
について、目先の利益ということだけにとらわれて
廃止
するということはやっぱりどうしても納得できないということを思っているわけですけれども、是非、この
参考人
の皆さんからの
意見
を踏まえてこの後の議論をしっかりやっていきたいというふうに思います。 ありがとうございました。
儀間光男
49
○儀間光男君
日本
維新の会の儀間でございます。 今日は、
佐藤
、
西川
両
先生方
、お忙しい中をこうしておいでを賜って、いろいろと御教示をいただきました。心から感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございます。 私
自身
の意識付けのためにも、
種子法
の生い立ちを少しおさらいをしてみたいと思います。 これは、
昭和
二十七年、
西川
先生がおっしゃったように、
サンフランシスコ講和条約
発効の一か月後の
法律
のようであります。ところが、私、出身が沖縄ですから、沖縄は
昭和
二十年に敗戦と同時に米軍支配下に置かれて、具体的にその地位がはっきりしたのが、
サンフランシスコ講和条約
の発効と同時に米軍に来られたと。以来二十七年間、米軍統治の中にあって、実はこういう
法律
があったということは全く知りませんでしたね。
歴史
を見ているというと、六十一年に改正法がされていますから、この頃から沖縄県民は
種子法
という
言葉
に触れたというようなことになっていくのであります。 これは、いわゆる、今、両
先生方
が御指摘になったように、
種子
、つまり在来種あるいは個体の独立性、はたまた
原種
、
原原種
、こういうことでありますから、
主要農作物
と限定がありますけれど、作物の、いわゆる生き物の、生命の
根幹
になるわけですよ。そうしますというと、人類の宝とも財産とも言いましたけれど、そうであるならば、当然のことながら、官が、つまり
政府
が、地方
自治体
が加わっていって当たり前だと思っているんですね。ところが、ここへ来てこれを
廃止
をするんだという国の意図がよく読めないんです。読めないけど、
佐藤参考人
においては、たとえこれが
廃止
されても、県として独自な
事業
をこれまでどおりやっていくという力強い
お話
をいただきました。 ただ、今までも指摘があるように、国がこれを
廃止
すれば根拠法を失うわけですから、地方が財政
支援
をしてくれ、交付税をくれと言ったって、どの
法律
をもって財源を確保していくのか極めて不透明だと思うんですね。 そういうことで、端的に言って、国はこういうものの
権利
を放棄をしていると。
民間
の参入、これは
昭和
六十一年から門戸を広げたようでありますけど、それを盾に
権利
放棄している。つまり、
日本
人の財産である
原種
、
原原種
、在来種、個体の独立化、こういうものが失われていく根源になると思うのでありますが、両先生、先ほど良くないということがありましたけれど、いま一度御見解を御教示をいただきたいと思いますが、
佐藤
先生、
現場
からの声で、もう一度聞かせてください。
佐藤博
50
○
参考人
(
佐藤博
君) 今、儀間先生から
お話
がありました、多分この
法律
の立法当時の状況というのは今先生がおっしゃったような形で、大変、戦後の
食糧
難の時代を
背景
として、特に
主要農作物
ということで、国民の要するに食をしっかりと
供給
するというふうなことを
背景
にしてできた
法律
であろうというふうに思ってございますけれども、多少、今時点との時代
背景
はかなり違うんじゃないかなというふうに私
自身
は思ってございます。
本県
が、例えば、そういった形で予算の要求する根拠といいますか、
法律
の裏付けがなくなると後退するのではないかというふうな御心配をいただいておりますけれども、
種子法
があるので予算を要求するという話ではなくて、
本県
の
農業
振興上必要なのでこの
種子
の
安定供給
に関わる
業務
についてはしっかりと予算
措置
をしなければいけない、
品種開発
も含めてやっていこうというふうな
考え
でございますので、しっかりと
地方財政措置
をとっていただくのであれば、それが後退するということはまずないというふうに
考え
てございます。 それから、いろいろとこの
種子法
の
廃止
と絡めて、何といいますか、私も当然、
農業生産
の
根幹
を支えるこれ資材だと思っていますし、
農業
経営
にとって一番大事なものとは思っていますけれども、この
種子法
を
廃止
すること自体と
食料
主権なり、何といいますかね、安全保障ですとか、そういうことと直結び付く議論なのかどうかなとちょっと疑問に思うんですね。それだけ
お話
ししておきたいと思います。
西川芳昭
51
○
参考人
(
西川芳昭
君) 二つお答えさせていただきたいんですけど、まず、そもそもやっぱり生物というもので、根源に関わる生物のことですから、それが人類共通の遺産である、誰のものでもないと、仮には
日本
国のものでもないという部分もあります。それは、植物
遺伝資源
条約の中で、やはり相互依存の中で、
世界
中でお互いに交換しながら人類のために
遺伝資源
を使っていくという意図が示されていて、
日本
もそれに批准しておりますので、その中ではその中のルールに従ってお互いに共有していく分には構わないんですけれども、今回、本当に外資の導入という形で国の資産というものを外に出していくということに関してはやはり大きく懸念されます。 条約の中で規定されている
農民
の
権利
というものが、実は
食料
主権というものと密接に関わっていて、その
食料
主権というものが、何を作り何を食べるか、輸入も含めてですけれども、どれだけの部分を自給し、どれだけのものを輸入するかというのを自分
たち
、その国民又はその
地域
の住民が決める
権利
のことですので、直接この
法律
とその問題が関係ないというお
考え
ももちろん成り立つかとは思いますけれども、そのような
権利
を行使することができる
基盤
となっている
法律
の
一つ
であると。これだけではありません、ただ、
一つ
であるということを繰り返し申し上げたいと思います。 それから、
種子
の増殖の部分に関して、フォーマルと
インフォーマル
のことを何度も繰り返しておりますけれども、フォーマルな部分を支える
知的財産権
を
中心
とした
種苗法
ではなく、フォーマルと
インフォーマル
をつなぐことのできる
種子法
が存在し、各
都道府県
でこれが機能しているということが、私
たち
と
種子
との関係を結び付ける非常に重要な
役割
を果たしているというふうに
考え
ております。
儀間光男
52
○儀間光男君 ありがとうございました。 今、先生の
お話
で、フォーマルと
インフォーマル
の話も出ました。 私、元々、
種子
は商業、つまりビジネスベースに乗せてはいけないという基本的な
考え
方なんですよ。もちろん、新
品種
を作ったり
改良品種
が出たりすると、それは流通させないわけにはいきませんが、これを
目的
に商業ベースに乗せてはいけない、こう思うんです。 理由は、
種子
というのは、知ってのとおり、その中を開けてみるというと、遺伝子を含めて、染色体、ゲノムの配列、そういう生命体を詰め込んだのが
種子
なんですよ。したがって、これを
研究者
が
研究
をして新しい
品種
を見付けたり、あるいは改良種ができたりするのに非常に時間と資金の要ることなんですね。したがって、これを
民間
ベースでやって
国際競争
の中にぶち込んでいくというと、あるいは独占
企業
が出てパテントを取られて自由に使えないとか、こういうことになってくる
可能性
だってなくはない。 したがって、これは、そういうことの要素、
背景
を持つことから、国や県が携わって保存、育成をやっていかなければならない類いの問題だと思うんですね。そういうことを思うと、今まさに
政府
は責任を放棄している。我が国の財産、
原種
、
原原種
あるいは在来種を放棄してしまうと言っても過言ではないような気がして、ある意味憤りすら覚えるのであります。 そのようなことを
都道府県
が自主的にやっていく、あるいは、
秋田
県は今、
佐藤参考人
おっしゃったように、どうあろうとやっていくということですが、これは自主性に任すという国の姿勢なんですよ。そうすると、各県、やらない県もやる県も出てくる、多分。全県がやればそれにこしたことはないんですが。 そうすると、ばらつきが出てくるんですね。ただでさえ、
佐藤参考人
おっしゃったように、
秋田
県でも県南と県北では気候も違えば水温も違う、あるいは土壌も違えば土質も違う。したがって、マッチングする作物を厳選していかなければならない。こういうことで、もっと言えば、
日本
は北海道から沖縄、与那国までと長いですから、この間で物がばらつきがあっては、
原種
、
原原種
の保持、育成、なかなかできないと思うんですよね。 そういう意味で、
西川
先生、遺伝子の持つ、生命体、染色体あるいはゲノムもそうですが、そういうのを
管理
していくには、
研究者
の
立場
からして、
民間
でビジネス化してよいかどうかを御見解を御教示いただきたいと思います。
西川芳昭
53
○
参考人
(
西川芳昭
君) 科学技術と
社会
に関する非常に根源的な御質問なので、私の力量で答えられる部分というのは限られているんですけれども、私個人としては、やはり
研究
開発
というのは必要ですので、生命であってもその尊厳に配慮をしつつ、畏敬の念を持ちつつ
研究
をすること自体は大切で、それに
民間
が入ること自体は否定はいたしませんが、作物の
資源
ということに関して、作物という生命体に関して取り上げますと、作物というのはその生存を
人間
に委ねている生物なんですね。 私
たち
人間
が作物と共存しないと、作物というのは自分で育ちません。例えば、野生の稲ですとほっておいたらそこでまた毎年同じところから生えてくるんですけれども、作物の稲は、私
たち
が刈取りをし、収穫をし、保存をしないと、次の年生えてくることができないわけですね。そういう意味では
人間
が関わっていく必要があります。その
人間
が関わるときに、もうかる部分だけをやるということになると、当然、もうからない、すなわちそのときの
消費者
のニーズとか市場のニーズのないものに関しては保存されないことになるわけです。 そういう意味では、やはり
管理
に国が責任を持つ、また、もちろん
国際社会
の場合もあると思いますけれども、あくまでも公的な組織がその生命体、我々と同じ生命体ですけれども、作物と
人間
という形では私
たち
が作物に依存している部分があります。また、作物が私
たち
に依存している部分がありますので、その
管理
に関しては
民間
ではなくて公的な存在を巻き込んで、もちろん一人一人の市民も巻き込まれる必要があると思います。 また繰り返しになりますけれども、
企業
の場合はその時点でもうかる部分しかやりませんので、過去にイギリスの国立の
研究
所が
民間
に買収されて、そこにあった
遺伝資源
というものが最終的に廃棄されるという、そのようなことも起こっておりますので、私
たち
の非常に大切な稲の
遺伝資源
等がそのようなことになる危険というのが全くないとは言えないので、今回やはり私
たち
は慎重に
考え
ていく必要があると思います。
儀間光男
54
○儀間光男君 ありがとうございました。 私、さっき言ったように沖縄出身ですから、沖縄の事例を二、三ちょっと引き出してみますと、アユという水生生物がおりますけれど、魚がおりますけれど、これは
日本
各地あるいは台湾、フィリピン、インドネシア、あの一帯、大陸側もみんなおるんですね。 ところが、沖縄のアユはリュウキュウアユといって個体が独立しているんですよ。これ、よく分からないんですが、
日本
のその権威者、学者である、お名前ちょっと申し上げられませんけれど、差し障りがあって言えませんけれど、この方から聞いた
お話
ですが、戦前、リュウキュウアユ、いよいよ沖縄戦争だということで危機を感じて、当時、
農林水産省
、水産庁が沖縄のアユを奄美の住用という森深い、水のいっぱいあるところへ移したんですね。ところが、奄美大島も戦況が迫っているということから、更に水産庁は高知県の水産試験場にそのアユの種を移したんです。そこで保存、育成して、沖縄は全滅したのでありますけれど、戦後、更に、なかなかうまくいかぬので、復帰を待って高知県から沖縄県へ移して、今、北部の河川で元気に暮らしているんですね。そういうものを思うと、種を扱う
業務
が、
民間
に門戸を広げて駄目とは言わぬけれど、官が責任を持ってしなければならないのは理の当然なんですね。 もう
一つ
、アユだけじゃなしに……
渡辺猛之
55
○
委員長
(
渡辺猛
之君) 時間が来ておりますので、
質疑
をおまとめください。
儀間光男
56
○儀間光男君 はい。 アグーだってそうなんです。
佐藤
さん、
秋田
杉が琉球で、沖縄で育ったということを聞いたことありますか。(発言する者あり)それはまた後で茶飲み話で言いましょう。どうも、自分の主張だけになって済みませんでした。 ありがとうございました。
森ゆうこ
57
○森ゆうこ君 ありがとうございます。希望の会(自由・社民)、自由党の森ゆうこでございます。 今日は
参考人
のお二人から大変有意義な
お話
を聞かせていただきまして、本当にありがとうございます。私も米どころ新潟県の選出でございます。
佐藤参考人
の陳述、特に共感を持ってお聞きをさせていただきました。 しかし、今回のこの
種子法
の
廃止法案
というのは、そもそも、TPPは発効しなかったわけですけれども、このTPPの発効に向けた
国内
法の整備、要するにイコールフッティングということで、海外の大きな多
国籍企業
等から訴えられないようにそういう状況を整えておくもののその一環であろうというふうに
考え
ております。 そこで、様々先ほど来
お話
がありますけれども、今
世界
の中で、いわゆるバイオメジャーといいますか、モンサント、バイエル等、代表されるそういう
企業
が
種子
を独占し、そして合併をし、その大
企業
が寡占化している、それが更に進んでいるという状況があるんですけれども、両先生に伺いたいんですけれども、これがこの
種子法
の
廃止
によって、そういう多
国籍企業
が
日本
の
民間企業
を買収したりするなどしてどんどんと我が国の、
種子
を支配すれば
食料
を支配することになりますから、そういうことになりはしないかという、これが一番の今回の主要作物
種子法廃止
における懸念であると私
自身
はそう思っておりますけれども、この点についてそれぞれの御見解を伺いたいと思います。
佐藤博
58
○
参考人
(
佐藤博
君) まず、森先生のところには本当に、うちの県、先ほど三十三年と言いましたけど、多分横綱のコシヒカリはその誕生してから倍の年月がたっていると思いますので、コシヒカリを見習って頑張りたいというふうに思ってございます。 今の海外の穀物メジャー等々の寡占の
お話
でございますけれども、まず、
種子法
につきまして、知的財産の
保護
ですとか外国市場の参入を防止するという規定は多分書いてないんだろうなというふうに思っていますし、現在でも海外のそういった
企業
は入ろうと思えば入ってこれる、
法律
で、中でバリア張っているとかというような形ではないというふうに思っています。ただ、現実には入ってきていないというふうに認識してございます。 多分、私はそれほど海外に行った
経験
は多くはございませんけれども、海外のああいった、何といいますか、広い、同じような気象のところで大々的に
種子生産
をやって穀物
生産
をしているというところ、そういったところを相手にしている
企業
から見れば、私、海外の
企業
の気持ちは分かりませんけれども、
日本
の稲作ですとかそういったものが果たしてマーケットとして魅力的に映っているんだろうかなというふうにちょっと疑問を持っているというふうなところでございます。 したがって、直接的にそれを結び付けて
お話
しするというのはちょっと私としては疑問であるというふうに思ってございます。
西川芳昭
59
○
参考人
(
西川芳昭
君) 私も
佐藤参考人
と似た
考え
方で、
種子法
の
廃止
が直接多
国籍企業
が入ってくるということというのはちょっと、何というんですか、懸念のし過ぎだというふうに
考え
ています。ただ一方、心配することはないというのは余りにも楽観的な
考え
方だというふうに
考え
ています。 基本的には、一九八六年の改正以降、
種子法
は、
民間
会社が入れるようになっていますので問題はないんですけれども、
種子法
が
廃止
されることによって様々な検査とかの過程というものを、どのようになるか、今後の
体制
がまだ分かりませんけれども、簡略化されるなり何らかの変化があると売れる
体制
づくりというものが促進される
可能性
がありますので、外資にとっても、小規模な市場ではありますけれども、魅力のある市場になることが
考え
られます。 一方、過去の例からいきますと、韓国がIMF
体制
に入った一九九〇年代後半に、一社を除いて種苗会社がほぼ全て外資の手に一旦渡ってしまいました。そのときに、それ以降、韓国はやっぱり
食料
の問題に関して非常に苦労しております。 そういう意味では、素材ですね、マーケットとしての
日本
というのも同時ですけれども、やはり素材としての問題があり、これも知財の問題は
種子法
にはないというふうに、それは私もそのとおり同意しますけれども、
種子法
があることによって、少なくともこの三つの作物については、我々が安心して、安定して
供給
を県の
方たち
の努力によって受けてこられたものがなくなってしまって、それが外資の手に渡る
可能性
というのがあるという、この懸念だけはやはり持っておいた上で慎重に
考え
なければいけないというふうに思います。
森ゆうこ
60
○森ゆうこ君 ありがとうございます。 先ほど
佐藤参考人
の陳述にもございましたように、もちろん新潟県もそうですけれども、大変な労力を払って、そしてお金を使って、
原種
、
原原種
、そして先ほども何かクリーンにするという、そういう
取組
など、その
品種
の
品質
の確保というものについても大変な努力を払っている。それは、利益を追求しない
自治体
、そして財政的な
措置
があるからそのことが続けられてこられた。だから、直接的には
種子法
の中には確かに知的財産を
保護
するというような項目はないと思いますけれども、それぞれの県における財政的な裏付けのある、言わば本当の基礎的な、本当の基礎的な
研究
、そして
原種
、
原原種
の
維持
、保存、そして新しい
品種
の
開発
というものが、言わば結果的に各
地域
における、そして我が国の
知的財産権
を守ってくることにつながったのであろうと、私はそのように認識をしているところでございます。 そういう意味で、根拠法である
種子法
が
廃止
されるということは、この
知的財産権
の保持、そして、
農民
がひとしく共通の財産であるその
種子
を享受して国民のために安定的に
食糧
を提供するというところに大変な影響があるというふうに思っておりまして、この
法律
を
廃止
する、ただ単純に
廃止
するということが将来における我が国の
食糧
の問題に非常に大きな影響を与えるということで、もう大変危惧しておりますというか、大反対であります。 それで、
佐藤参考人
に一点御確認したいんですけれども、先ほど御答弁の中で、質問に対する答弁の中で、今後ともこれまでと同じ
対応
で、
体制
でしっかりとやっていくというところで、
地方財政措置
があればこれまでと同じようにきちんと
秋田
県ではもう本当にやっていくというふうな
お話
がございました。でも、やはり
地方財政措置
があればという条件付の御答弁だったというふうに思います。 やはり根拠法がなくなれば予算を付ける
法律
的な根拠がなくなるということですから、たとえ今ここにいる議員が頑張りますと言ったって、いなくなれば何の裏付けもないんですよ。だから、そういう意味で、
地方財政措置
があればというやっぱり条件というのは非常に重要だと思うんですけれども、その辺を伺いたいというふうに思いますし、
西川参考人
には、先ほど私が
知的財産権
の規定はないけれども結果的にというふうなことを申し上げました、その点について一言あれば、
お願い
いたします。
佐藤博
61
○
参考人
(
佐藤博
君) ちょっと私の御
説明
が良くなかったかもしれません。
地方財政措置
がなかりせば、
秋田
県はこの
種子
の
安定供給
、
種子
業務
に関して予算化が後退して、遅れて手放すとかというふうに取られますと、これはちょっと私の真意と違うところでございまして、当然、万が一、
地方財政措置
がなくてもこれはやらなきゃいけないというふうには思ってございます。 ただ、そういう形で、国からの御
支援
があれもなくなる、これもなくなると、これではちょっと地方財政、立ち行きませんので、そこはしっかり要望としてお伝え申し上げるというふうなことでございますので、御理解いただきたいと思います。
西川芳昭
62
○
参考人
(
西川芳昭
君) 外資の関係に関しては、二つのシナリオがあるかと思います。 もし、
日本
の市場にマーケット性があるというふうなことになると、それは当然参入してくると思います。その場合ですけれども、その場合は、これも繰り返しになるんですけれども、今厳密に県の指導の下に行われている様々な検査というものが、どこまで今の財政的
措置
が、根拠法がなくなる中でできるのかということで、一例を挙げますと、もしイネ科の雑草が海外から入ってきた
種子
の中に混入した場合に、単独の県の力でこれを完全に排除することができるのかというふうなことは非常に懸念されます。これは、やっぱり
種子法
で厳密な検査、
圃場
検査から
最後
の
生産
物検査まで全てが行われている中でこそ、その中で、
国内
でこれだけ厳密にやっていても合格しない
種子
というのがたくさんあるわけなので、たくさんと言うと失礼ですけれども、
一定
量あるわけなので、そういう意味で外資が入ってくる危険性、
国内
の市場性がある場合の危険性があります。 市場性がないと判断した場合も、特に稲に関しては
日本
の
遺伝資源
というのは物すごく重要なものですので、その
遺伝資源
に手を伸ばしてくる外資はたくさんあると思います。 ただし、
日本
の
遺伝資源
、今でも外資が欲しいといった場合には
制度
的には取ることができるんですけれども、ただ、市場が開放されることによって、より積極的に
遺伝資源
にアクセスするインセンティブが外資に働くというふうには
考え
ます。
森ゆうこ
63
○森ゆうこ君 そもそもこの
種子法
の
廃止
については、
農業競争力強化プログラム
ということに基づいて、
農業
資材を低価格にするということが
政府
の
目的
であるという
政府
の
説明
でございます。 先日のこの
委員会
におきましても、この
種子法
を
廃止
することによって
民間
の参入が促され、結果としてその
種子
の値段が下がるのであると、
政府参考人
はそう答弁されましたし、
大臣
も下がる
可能性
が高いという答弁をされました。 しかし、私にはちょっとそこがどうしても理解できませんで、今非常に低廉な価格で、そして安定的に
種子
を特にこの
主要農作物
について提供できているのは、先ほども申し上げましたが、各県の大変な努力、そしてその裏付けとなる財政的な
措置
、そこの大変な努力によって、安定的にしかも低廉な価格で
供給
することができていると。だから、これがなくなると、やはり価格、それで価格が下がるというのがどうしても理解できないんですけれども、
佐藤参考人
は価格が下がるということを御理解されますでしょうか。
佐藤博
64
○
参考人
(
佐藤博
君) まず、県では、県が
開発
した
品種
につきましては従来の
供給
体制
をしっかりと堅持して実施していくという
考え
でございますので、
法律
の
廃止
をもって県が
開発
している
品種
の価格が上がることはございません、これは。 県段階では、水稲の
種子
の、多分、各県さん同じだと思うんですけれども、価格の検討
委員会
というやつを設けて、これは
産米改良協会
の会長さんが会長になっていて、いろんな関係
団体
がそこに集合していろんな
生産
の資材の値段ですとかそういったものを検討しながら、何といいますか、公的な形で、オープンな形で今は決定されているというような状況でございます。
民間
の
種子
が参入した場合に全体の
種子
がどうなるかというのは、ちょっとこれ、私不勉強で分かりません。正直申し上げまして、ちょっと私
自身
は予測困難で、正直分かりません。 ただ、
民間
の
種子
が確かに高いと。もちろん高いです、これは。県の
種子
が大体キロ四百円から四百二、三十円ぐらいでこれ提供していますけれども、例えば先ほど申し上げましたしきゆたかなんか、もう掛ける十倍ぐらいになっていますけれども、これは、
農家
から言わせますと、非常に多収性に優れておりますし、しっかりとその栽培でもって収量を取れば手取りとして十分ペイするということで
農家
も当然入れているわけでございますので、なおかつ
実需者
から非常に引き合い強くなっていまして、その安定的な取引にもつながるということで
農家
が選択しているわけですね、
経営
上有利だというようなことで。 ですから、単純にその
種子
が高い安い、これを論じることそれ自体がちょっと余り意味がなくて、要すれば
農家
経営
全体として所得の向上にプラスになるとかマイナスになるかと、そういう点からやっぱり検討していくべき事項でないのかなというふうに思ってございます。
森ゆうこ
65
○森ゆうこ君 ありがとうございました。
渡辺猛之
66
○
委員長
(
渡辺猛
之君) 以上で
参考人
に対する
質疑
は終了いたしました。
参考人
の
皆様
に一言御礼を申し上げたいと思います。 本日は、長時間にわたり御
出席
をいただき、また貴重な御
意見
も賜ることができました。
委員会
を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。誠にありがとうございました。(拍手) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。 午後零時一分休憩 ─────・───── 午後一時開会
渡辺猛之
67
○
委員長
(
渡辺猛
之君) ただいまから
農林水産委員会
を再開いたします。
政府参考人
の
出席要求
に関する件についてお諮りいたします。
農業機械化促進法
を
廃止
する等の
法律案
及び
主要農作物種子法
を
廃止
する
法律案
の
審査
のため、本日の
委員会
に、理事会協議のとおり、
文部科学大臣官
房審議官
松尾泰樹君外五名を
政府参考人
として
出席
を求め、その
説明
を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
渡辺猛之
68
○
委員長
(
渡辺猛
之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
渡辺猛之
69
○
委員長
(
渡辺猛
之君)
農業機械化促進法
を
廃止
する等の
法律案
及び
主要農作物種子法
を
廃止
する
法律案
の両案を一括して
議題
とし、
質疑
を行います。
質疑
のある方は順次御発言願います。
進藤金日子
70
○
進藤金日子
君 自由民主党の
進藤金日子
でございます。午前に行われました
参考人
質疑
に引き続きまして質問をさせていただきます。
主要農作物種子法
の
廃止法案
と
農業機械化促進法
の
廃止法案
に関する
質疑
ということでございますが、これまでの衆議院での
質疑
、またこれまでの本
委員会
での
質疑
の状況に鑑みまして、今回は
主要農作物種子法
、いわゆる
種子法
の
廃止法案
に絞って
質疑
を行いたいというふうに思います。 お手元に今資料を配っておりますが、やはり、我々
日本
、国家にとって
種子
というものの重要性、これもう、
種子
は重要なんだという人は、この
委員会
の中、誰も疑義を挟む人はいないんだろうというふうに思います。極めて重要なこれは公的な財産だということであります。 しかしながら、この
主要農作物種子法
による
種子生産
の仕組みということを少し整理させていただいたわけであります。ここにありますように、
品種開発
から
生産
、
販売
ということなんですが、この
品種開発
のところ、これ、もちろん
開発
して
管理
するということだろうと思いますが、これは国の
研究機関
、地方公共
団体
、
民間企業
等がもう既に
開発
していると。これは
種苗法
による
品種
登録によりまして
知的財産権
として
保護
されております。これは、そういう意味では今回の
種子法
とは網がかぶっていないところなんですね、守備範囲違います。 今回のこの
種子法
は、
生産
の部分、あえてちょっと整理させていただきましたけど、この
生産
の部分なわけです。現行法の第一条の
目的
、これは、主要農産物の優良な
種子
の
生産
及び
普及
を促進するため、
種子
の
生産
について
圃場審査
その他の
措置
を行うことを
目的
とするということで、あくまでもこれは
生産
と
普及
の促進なわけであります。ですから、ここの
法律
がなくなったからといって、種をどこかに売り渡すとか、国の、いわゆる放棄するとか、そういうことにはならないんだろうというふうに思うわけであります。 しかしながら、この
生産
の部分、これ主には
都道府県
に
義務
付けされているのが第三条から八条まであるんですが、ここを
廃止
したときに少し心配なところがあるんじゃないかということで、まずは
農業
競争力強化
支援
法案の中で
都道府県
の
役割
を位置付けたと。これは情報提供ということなんですが、後ほどまた質問させていただきますけれども、情報提供があるがゆえにこの情報が海外に行ってしまうんじゃないかと、こういうような懸念もあるわけであります。 一方で、優良な
品種
を決定するための試験がなくなると
品質
確保できないんじゃないかという、こういう懸念もあるんですが、これはもうまさに、
種子
の
品質
は
種苗法
や農産物検査法で担保していくわけですから、これもまあ心配ないんだろうということであります。 むしろ、午前中の
参考人
、
秋田
県の
佐藤
農林水産部長
の
お話
だと、こういった
義務
化された手続が、この
義務
が
廃止
されることによって独自に、自主的にいろんな面で簡素化が図れるようなところ、あるいは独自性を発揮できるような余地も出てくるんじゃないかみたいなことがあったわけであります。そういった中で、こういった守備範囲ということをしっかり頭に入れながら私は質問をさせていただきたいと思うわけであります。 そこで、山本
農林水産大臣
にお尋ねしたいと思います。
主要農作物
の
種子
というのは、私、今整理させていただきましたけれども、
品種開発
、
生産
、
販売
といった流れの中で農産物の
生産
者に提供されていくわけでありますけれども、このうち
種子法
は、
種子生産
における
都道府県
の
義務
を規定した
法律
であって、
種子法
の
廃止
によって
品種開発
には何ら影響がないというふうに私
自身
考え
るんですが、
大臣
、御見解を伺いたいと思います。
山本有二
71
○国務
大臣
(山本有二君) 今般
廃止
される
主要農作物種子法
におきましては、
委員
御
提出
になりましたこの配付資料の
品種開発
、
生産
、
販売
の中の
品種開発
については何ら規定しているところではございません。
廃止
をされましても、稲、麦、大豆の
品種開発
には影響がないというように
考え
ております。
農林水産省
としましては、これまでも、我が国の
農業
の
発展
に資する新規性あるいは有用性の高い
品種
の
開発
に向けまして、委託
研究
、競争的資金により
支援
をしてきたところでございまして、引き続きこのような
取組
を
推進
することに変わりはございませんので、
品種開発
には何ら支障はないというように
考え
ております。
進藤金日子
72
○
進藤金日子
君 山本
大臣
、ありがとうございました。
品種開発
自体は、
種子法
の存在いかんに関わらず、
種苗法
によって
品種
登録により
知的財産権
としてしっかりと
保護
されるということでありますので、
種子法廃止
により
品種開発
には影響がないということ、明確になったというふうに思います。 次に、午前中にも
参考人
質疑
で
秋田
県の
佐藤
農林水産部長
から
お話
を伺ったわけでございますが、
義務
がなくなれば従来と比較して
都道府県
の
種子生産
に対する
取組
が後退するという懸念、これは全くないんだということを
参考人
として
佐藤
秋田
の
農林水産部長
答えられたわけでございますが、その中で、少なくとも米どころの
秋田
においてはそういうことはないということを断言されておられました。 私も、午前中も
お話
ししましたが、県での勤務
経験
があるんですが、今回の
種子法廃止
で各
都道府県
が従来の
取組
を後退させるということはおよそ
考え
られないなというふうに私
自身
は
考え
ております。むしろ、
都道府県
に対して一律にこれ
義務
を課していることから、
都道府県
によって行政効率が低下している側面もあって、
義務
の
廃止
によってむしろ各
都道府県
が独自に今後の
種子
行政を展開していただけるのじゃないかなと思うわけであります。 午前中の
佐藤
部長
の話は、本当に明快で分かりやすかったというふうに思います。責任感に満ちていて、これからしっかりやっていかないといけないんだということでありまして、私
自身
感じたのは、
義務
規定なくなると
都道府県
何もやらないんじゃないかというのは、何か
都道府県
に対して失礼な言い方だったのかな、そういう見方なのかなという気すらちょっと今日の
参考人
質疑
を通じて感じたところでございます。 そこで、
種子法
の
廃止
によりまして
都道府県
の
種子生産
に関する
義務
がなくなるわけでございますが、米、麦、大豆の
種子生産
体制
が脆弱化して、主要農産物の安定的な
種子
の提供に支障が出るんじゃないかという懸念、これあるわけです。これもこれまでもるる答弁いただいたわけでございますが、改めてしっかりと
農林水産省
の見解、確認したいと思いますので、よろしく
お願い
いたします。
柄澤彰
73
○
政府参考人
(
柄澤
彰君) お答えいたします。 午前中の
参考人
の御発言にもあったようでございますけれども、現在、
都道府県
は、
種子法
があるからということよりも、むしろ各
地域
の
農業
振興の観点から
種子
の
生産
、
普及
に関与していただいているというふうに理解しております。したがいまして、
種子法
が
廃止
されたとしても、各
都道府県
の御判断によりまして、多くの
都道府県
におきましては引き続き
種子
の
生産
、
普及
に関与していただけるというふうに
考え
ております。 具体的には、現行の
種子法
に規定されております
奨励品種
に関する
業務
、
原種
、
原原種
の
生産
に関する
業務
、
圃場審査
、
生産物審査
に関する
業務
、こういったことを継続する見通しというふうに現に私どもにもお答えになられているところでございます。
農水省
としましては、こうした
都道府県
の
取組
を後押しするために、別途御提案申し上げております
農業
競争力強化
支援
法案におきまして、
種子生産
に
都道府県
の知見を活用するという規定をしているわけでございます。そういったことで、
都道府県
が
種子生産
において引き続き重要な
役割
を担っていることを
法律
上も位置付け、また、
種子法
に関連する事務を対象として現在
措置
されております
地方交付税
につきましても、引き続きこれが確保されるよう関係省庁に働きかける、さらには、今後、
種子生産
において
都道府県
のみならず
民間
事業
者としっかり連携をしていただく
取組
を後押しするということをやってまいりますので、今後とも
種子
の
安定供給
に悪い影響が生ずることがないように努めてまいりたいと存じます。
進藤金日子
74
○
進藤金日子
君 ありがとうございました。 近年の地方分権の流れの中で、一般的に
都道府県
というのは国と適切に連携しながらいろいろな独自の
取組
を進めているわけでございます。
農林水産省
にも、この
都道府県
の特色ある
種子生産
の
取組
、これについては是非とも、自主性を尊重しつつもしっかりとサポートしていただくことが重要と
考え
ますので、よろしく
お願い
申し上げたいというふうに思います。 こうした中にありまして、
主要農作物
を作付けしている道府県においては、概して財政
基盤
が強固だとは言えない状況だと思います。また、行政改革の側面から、厳しい職員の定員
管理
等も継続していくものと見込まれるわけであります。 今御答弁をいただいたわけでございますけれども、この
廃止
法、
種子法
の
廃止
によって
都道府県
の
種子生産
に関する
義務
がなくなると、
都道府県
の予算
措置
、人員確保の法的根拠が失われて、中長期的に見て、
種子生産
に関する
都道府県
の関与度合いが大幅に低下して、公的
種子生産
の
体制
が著しく弱体化するんじゃないかという懸念あるわけであります。 前回、
審議
の中で我が党の
山田
修路
筆頭理事から質問して確認したところではございますが、改めて、午前中の
参考人
の中でも強くこの
地方財政措置
を要望するんだということありましたものですから、是非とも改めて地方財政のエキスパートである
礒崎
副
大臣
から明快な御答弁をいただきたいと思います。よろしく
お願い
します。
礒崎陽輔
75
○副
大臣
(
礒崎
陽輔君
)
都道府県
に対する財政
措置
に関する御質問であるというふうに
考え
ております。 今事務方から御答弁させていただきましたけど、仮に今後
種子法
が
廃止
されたといたしましても、各
都道府県
においては引き続き
種子
の
生産
、
普及
において重要な
役割
を果たしていただきたいと思います。 また、
種苗法
に基づく
大臣
告示等の改正により、主要農産品の
種子
の
品質
確保のための事務も引き続き担っていただきたいと、そのように
考え
ておりますので、これを担っていただく
都道府県
の
役割
は今までと全く変わらずまた重要なものがあろうかと思いますので、財政的
措置
についても引き続き適切に
対応
していかなければならないと思っております。 その上で、現在、
都道府県
に対する財政
措置
は
地方交付税
法に基づいてしておるわけでございますが、今後は、
種子法
が
廃止
後も
種苗法
や
農業
競争力強化
支援
法案等を根拠として適切に
措置
されるよう、今後の
平成
三十年度予算編成過程において関係省庁に強く働きかけていきたいと思っております。また、その結果につきましては、
地方交付税
の具体的な
措置
内容について
農林水産省
からも各
都道府県
に対して遺漏のないようにきちっと伝達をし、また
お願い
をしてまいりたいと思っているところでございます。
進藤金日子
76
○
進藤金日子
君
礒崎
副
大臣
、明快かつ御丁寧な御答弁、本当にありがとうございました。 また、
種子法
はそもそも
知的財産権
を
保護
していたわけではないわけであります。
種子法
の
廃止
いかんにかかわらず、
種苗法
によって
知的財産権
が
保護
されております。しかしながら、今回の
種子法廃止
で
知的財産権
が侵害されるような不安、これもいつも耳にするわけであります。これ、
農業
競争力強化
支援
法で
民間
事業
者に対して
種子生産
に関する知見について情報提供を促進するということ、これに対する不安もあるのかなという気がするわけであります。
民間
事業
者には外資系
企業
も入ってくることが想定され、結果として
都道府県
から流出した知見が海外に流出するのではないかという懸念、これあるんだろうというふうに思います。 今日、私配付した資料にもありますけれども、
種子生産
に関する知見ですから、現行法の三条から八条に規定する、これはもう極めて栽培技術等のテクニカルな知見ということなんだろうというふうに思いますが、これは
品種開発
に関する遺伝子情報とかそういった知見とはちょっと違うんだろうというふうに思います。しかしながら、多くの方々が心配しているということであれば、これは、
都道府県
が提供促進する
種子生産
の知見の具体的内容だとか、仮にですね、仮に海外に流出すると
品種開発
に多少応用されるとかそういったおそれがあるのかなというような知見の取扱いについては、ガイドラインみたいなところを定めて通知するのも
一つ
の案ではないかなという気がするわけであります。実際、
秋田
県の
佐藤
農林水産部長
は、現行
種子法
の
関係通知
の、これを実質的な
ガイドライン等
で分かりやすく明示していただくと有り難いみたいなことも今日午前中、
意見
がございました。 そこで、
種子法
の
廃止
により
種子
に関する
知的財産権
の公的
保護
が仮に、なくなるということないんですけれども、そういう不安に対して、なくなったとして、
農業
競争力強化
支援
法案における
民間
事業
者への情報提供によって外資系
企業
に我が国が長年蓄積してきた
種子
情報が流出して、結果的に
種子
メジャー等に我が国の主要農産物の
種子
が席巻されるんじゃないかという見方、これ実際言う方あるわけでありますので、これに対する見解を伺いたいと思います。
柄澤彰
77
○
政府参考人
(
柄澤
彰君) まず、現行の
種子法
には知的財産の
保護
ですとか外国資本の参入を防止するというような規定はございません。法
制度
上は外国資本が
主要農作物
の
種子
産業
に参入することは可能ではございます。 しかし、現状を見てみますと、海外の外資の戦略としましては、やはり海外の穀倉地帯などの均一で非常に大きな大
ロット
の
種子
販売
を前提に
種子生産
を行うという市場戦略を多くの外資は取っているわけでございます。そういった視点から我が国のマーケットを見た場合には、かなり狭い
地域
を対象に非常に多様な気候条件に適しました多
品種
が必要だということ、必然的にその
販売
単位も小
ロット
になってしまうということでございますので、そういった外資から見た場合に我が国の
種子
の市場がそれほど魅力的ではないというのが実態でございますので、現実にほとんど外資は入ってきていないという状況でございます。 私どもとしましては、知的財産の面で、野菜などと同様でございますけれども、引き続き、
種苗法
に基づく知的財産の
保護
はしっかり行う、そして公的
機関
が持っておりますいろいろな情報がございますが、そういったものが不用意に海外に流出することがないようにしっかりと対策を講ずるということで、我が国の優良
品種
の知見はしっかり
保護
してまいりたいと存じます。 このような知的財産のマネジメントを踏まえました
民間
事業
者との連携によりまして、今後の我が国の
種子
の
開発
、
供給
につきましては、
都道府県
のみならず官民の総合力を発揮する形で更に優位性を高め、逆に外資に対する競争力を高めていきたいという
考え
方でございます。
進藤金日子
78
○
進藤金日子
君 ありがとうございました。 この海外のメジャーに対する話、午前中も
秋田
の
佐藤
農林水産部長
も同様なことを言っておられたような気がいたします。是非とも、我が国の優良
品種
、しっかりと守っていただくようによろしく
お願い
申し上げたいというふうに思います。 次に、先般、本
委員会
で紙
委員
の方から配付された資料にもございましたけれども、米について
民間企業
が
開発
した
種子
が
都道府県
により
開発
された
種子
よりも高い、値段が高いというふうになっていると。一般的に
民間企業
は、
種子
そのものの値段は高くても収量が多くて実質的な
種子
の値段が名目よりも安くなるように努力するんだろうというふうに
考え
るわけでございますが、この
種子法廃止
と
農業
競争力強化
支援
法によりまして、
種子
産業
への
民間
事業
者の参入が促進され、これまでの公的
生産
に比較して結果として
種子
の価格が上昇するんじゃないかという懸念もこれ事実聞かれるわけであります。これに対する見解を伺いたいと思います。
柄澤彰
79
○
政府参考人
(
柄澤
彰君) 私ども、各県にこの
法律
の
廃止
に伴ってどういう
対応
をされるかということを聞き取りを行っているわけでございますが、大半の
都道府県
からは
種子法
が
廃止
されても引き続き
種子
の
生産
、
普及
に関与するという回答が得られているところでございますので、そのようなことを前提といたしますと、
都道府県
の
生産
、
普及
する
種子
の価格自体が今と比べて高くなるということは想定されないところでございます。 逆に、
種子法
の
廃止
及び
農業
競争力強化
支援
法案の新規参入
支援
措置
を講じますと、
民間
事業
者が
種子生産
に新規に参入されるということになります。そうしますと、大規模な
種子生産
体制
が導入されましたり、例えば
都道府県
が行っておられる
種子生産
の事務
事業
の一部が
民間
事業
者に
業務
委託をされる、さらには
都道府県
が持っておられますいろいろなハードの面の施設を
民間
事業
者と共用するというようなことが進めば、全体として
種子
の
生産
コストが下げられ、そして、結果、
種子
価格の引下げにつながる
可能性
が出てくるんじゃないかというふうに思います。 一方、
委員
が今御指摘のように、今現在、
民間
事業
者が
開発
しています
品種
について、
一定
程度価格が高いものもございます。そういったものがなぜ今一部の
生産
者に使われているかといいますと、まさに一般の
品種
に比べまして収量が高くて、結果として当該
農家
の所得が従来の
品種
に比べて遜色がないレベルになるということから使われているということでございます。 そういったことも踏まえて
考え
ますと、
種子法
の
廃止
によって
都道府県
と
民間
事業
者の連携による
種子生産
が促進されれば、
都道府県
の
品種
のみならず、
民間
事業
者の
開発
した
品種
も含めて
農業
者にとって選択できる
可能性
が増え、結果として効果、メリットが
農業
者に帰属するのではないかというふうに
考え
ております。
進藤金日子
80
○
進藤金日子
君 ありがとうございました。 物事を
一つ
やるときにはメリットとデメリットと、これあるわけでございますが、今メリットの方をしっかりと言っていただきました。 デメリットもそういうことはないんだろうということでありますけれども、やはり私もこのデメリットのところを突き詰めて
考え
ていきますと、
民間企業
の参入によって
種子
の価格が上昇するというのはどういうことなのかということを
考え
ていきますと、
種子法
の
廃止
で
都道府県
による
種子生産
がなくなって、なくなって、かつ
民間
事業
者が独占的に
種子
を支配する、こういうことが起こればこれは上がるかもしれない。じゃ、本当にそういうことが起こるのかと、現実的に。 私もいろいろ
考え
てみるんですが、この
種子法
の
廃止
のみによってそういうことは起こり得ないんだろうと。むしろこういった懸念というのは、議論としてはもちろんあり得ます。しかしながら、机上論なんじゃないかなというふうに、私
自身
は起こり得ないんじゃないかというふうに
考え
るわけであります。 先般の本
委員会
で舟山
委員
の方から、A3の
種子法廃止
に至るまでの経緯という資料を出していただきました。非常に時系列で分かりやすかったというふうに思います。この中で論点になったのが、二〇〇七年、
平成
十九年四月二十日の
農林水産省
の見解と現在の
種子法
案の
廃止
を判断した見解が全く異なるんじゃないかと、どういうことなんだという御指摘があったというふうに思います。 これも私なりに
考え
ていきますと、なぜその見解が変わったんだろうと、この十年間に何があったのかということを、ここをちょっと検証しないといけないんじゃないかというふうに思います。この事実をしっかり整理しないといけないのかなというふうに思うわけであります。 これ間違えているかもしれませんが、私の整理では、この十年間何が起こったかと。これ、決定的に変わって今後更に変化が見込まれるのが、午前中の議論もあったんですが、まずは近年、
中食
、
外食
といった
業務用米
に対する
需要
がどんどんどんどん増えてきている。これは十年前にはなかった事象であります。一方で、二点目ですが、米の輸出ということであります。輸出は十年前は余り
考え
られなかった。でも、近年どんどん伸びてきて、これから行くぞと
政府
もシグナル、意向を示しているわけであります。この二点がいわゆる状況変化としては
考え
られるんじゃなかろうかというふうに思うわけであります。 ですから、この
業務用米
と輸出用米の
品種開発
を誰が担うんだということであります。私は、少なくとも
都道府県
だけの
対応
ではこれはなかなか厳しいんじゃないかというふうに言わざるを得ないというふうに
考え
ます。なぜかといえば、現在に至るまで
都道府県
の
品種開発
というのは、まずは
地域
特性に合った、台風があるところは倒伏しないようにしようとか、あるいは穂丈ですね、ですから、長いのを短くしようとか、そういった
開発
だとか、やはり米の
食味
を追求していくというような、こういったこと主体の
品種開発
だったんだろうというふうに思うわけであります。まさに銘柄米、今競っているわけであります。そちらの方向に相当力点を置かれていると。また、これは長い減反政策の中で、私は、この
品質
と増収、単収を増やしていくという、そういったことを両立するような、そういった
品種開発
というのはなかなか行われていなかったんじゃないかなというふうに思うわけです。 ですから、
業務用
であれば、これは
都道府県
もそれぞれの
対応
を
考え
るというふうに
秋田
の
部長
も言っておられました。ただ、輸出米となればちょっと厳しいなというようなコメントもあったわけでございますが、やはり、この
業務用米
や輸出用米の
開発
と効率的な
種子生産
という新たな分野にこれスピーディーに、迅速に
対応
していかないといけないということも言っておられましたから、この中ではやっぱり
民間企業
の積極的参入は期待されて、国レベルの農研機構と
都道府県
と
民間企業
が連携すべき分野ではなかろうかというふうに
考え
るわけであります。 しかるに、この間の答弁にもありましたけれども、現行法上で幾ら
民間企業
の参入を促しても全く参入されない。つまり、現行法の限界に至ったんじゃないかというふうに
考え
るわけであります。
現場
でも、今日の午前中あったように、これまではよかったんだと、今までの
種子法
で、でもこれから展望すると限界があるんですということを
秋田
の
部長
さん言われておりました。 そういった中で、これもう
種子法
を
廃止
しなくていいじゃないかと、一部改正でいいんでしょうという議論があるんです。そういった中で何で
廃止
しなければならないか、この決定的な理由について明快に御答弁を
お願い
したいと思います。
柄澤彰
81
○
政府参考人
(
柄澤
彰君) 今
委員
からも御指摘がございましたように、この十年程度の間、通知なども出しまして、私ども、この
種子法
の枠組みを前提とした形で、どうか
奨励品種
を指定する際、
民間
事業
者の
品種
にも目を向けていただくよう
お願い
をしてきたわけでございます。
都道府県
に対しまして、
民間
事業
者の
品種
につきましても参入促進をしていただきたいということをずっと
お願い
してまいったわけでございます。 しかし、この十年たってみましても、ほとんど
民間
の
品種
が
都道府県
の採用
品種
に採用されないという事実がございます。これは紛れもない事実でございます。やはり、
都道府県
としましては、やはり
奨励品種
になりますといろんな公費が投入されるということになります。したがいまして、自ら
開発
した
品種
を優先的に
奨励品種
にするということになっていることが事実でございます。 この根本的な要因を
考え
てみますと、やはり法
制度
上、この
奨励品種
を指定するための試験などをこの
法律
によって
都道府県
に
義務
付けておるということが構造的な問題になっているということでございます。いろいろな改正とか
運用
改善というような案も今あるんではないかということも御指摘がございましたが、今申し上げましたような経緯とこの法
制度
の構造を
考え
た場合に、この
法律
の本質は県に
義務
付けるという
法律
でございますので、いかにこの
法律
の改正などを行ったといたしましても、その本質的な
法律
の構造は変わりませんので、今般、この改正ということではなくて、
種子法
の
廃止
とともに別途の競争力強化法案の御提案も申し上げているという判断に至ったというところでございます。
進藤金日子
82
○
進藤金日子
君 ありがとうございます。 やはり、これからの
種子
行政ということを展望したときに、今の構造ではなかなか
対応
し切れない部分、これあるんだろうと、これはまさにそういった中での
廃止
ということであろうというふうに理解いたします。そういった中で、この
種子法
の
廃止
に当たっては、やっぱりまだいろいろな不安や懸念というのがこれあると思います。 今回は、これまで私も、衆議院での
審議
、参議院での
審議
、議事録全部読まさせて、チェックさせていただきまして、私なりに内容をチェックしながらポイントを絞って、ここが不安なんだろう、ここは懸念があるなというところをしっかりとちょっとピックアップしまして、午前中の
参考人
質疑
と対比する形で実は今
農水省
としての責任ある
考え
方ということを明確にしたつもりであるわけであります。 今回の
質疑
の中で、
農業
競争力強化
支援
法案に規定する予定の、
都道府県
が提供を促進する
種子生産
の知見のこの具体的な内容や、これ繰り返しになりますけれども、仮に海外に流出すると
品種開発
に応用されるおそれがあるような知見、この取扱いは、やっぱりこれは
一定
程度のガイドラインというところも
考え
ていいんじゃないかなと。そういった中で、そこは共通認識としてしっかりと
都道府県
と国と情報共有しながら、間違えても優良な
品種
がおかしな形で海外に出ないような、そういうチェックを引いていくということも重要なんじゃないかなという気がいたします。 そういった中で、やはり、
都道府県
の事務の円滑化ということも図られていくと思いますし、なおかつ
民間
事業
者と今までではない前向きな連携、今日午前中は
豊田通商
さんとの連携の例、話されておりましたけれども、やはりネガティブチェックというところも重要なんですが、ポジティブな方向、どういうふうに連携していくのかということを各
都道府県
、今本当に熱心にやっておられますから、こういった前向きな連携を深める上でも、これしっかりと
農水省
の方にサポートしていただければというふうに
考え
るわけであります。
種子法廃止
を私はやっぱり否定的に捉えるんじゃなくて、
都道府県
の自主性や独創性の発揮、それから、
民間
事業
者との連携強化によって
需要
に応じた主要農産物の
生産
が可能になっていくんだと、そういった中で、やっぱり結果として何でそうなるのかというと、
農業
者の
所得向上
であります。やはりこの
農業
者の
所得向上
につながっていくんだということ、ここをしっかりと念頭に置きながら、これからまた
農水省
の方、この
種子法廃止
されればその後の施策展開、よろしく
お願い
申し上げたいというふうに思います。 以上で私の
質疑
を終えさせていただきます。どうもありがとうございました。
舟山康江
83
○舟山康江君 舟山康江でございます。 今日は、法案
審議
に入ります前に、
一つ
気になるニュースが今日報道されておりますので、それについて確認をさせていただきたいと思います。 四月十八日に日米経済対話、麻生副総理とペンス副大統領の間で日米経済対話が開かれると予定されておりますけれども、今日の朝日新聞に、この中で、事前協議の中で
アメリカ
政府
が二国間の貿易交渉を要求してきているというような報道がありました。今のところそういった予定はないというこの間の御答弁でしたけれども、こういった報道につきまして、この真意のほど、そしてまた
農水省
の
考え
、
大臣
からお聞かせください。
山本有二
84
○国務
大臣
(山本有二君) 日米経済対話では、麻生副総理とペンス副大統領の下で、経済政策、インフラ投資やエネルギー分野での協力、貿易・投資ルールについての議論がなされることというようになっております。具体的な構成内容につきましては、現在米国との間で調整が進められているところでございまして、具体的に決まっている事柄はまだ報告すべきものはないというようにお聞かせいただいております。 引き続き、外務省等と連携を図りつつ
対応
してまいりたいというように
考え
ております。
舟山康江
85
○舟山康江君 そうしますと、この二国間貿易についても現段階で排除し切れないということでよろしいんでしょうか。
山本有二
86
○国務
大臣
(山本有二君) 日米経済対話の中身でございます構成内容については、
アメリカ
との調整でございますし、二国間対話を排除するというものではないというように
考え
ております。
舟山康江
87
○舟山康江君 二国間の貿易交渉ということになると、これ、以前から何度も言及されているように、自動車、
農業
というのがやはりメーンテーマになってくるんだと思います。そうなると、
農林水産省
は人ごとでは済まない、まさにこれからどう臨んでいくのかということが本当にこれ真剣に問われていくと思いますけれども、是非こういった情報につきましても早めにお知らせいただきたいと思いますし、もしこういった交渉になったときに、きちんと毅然とした態度で臨むというその御決意を一言
お願い
したいんですけれども。
山本有二
88
○国務
大臣
(山本有二君) 国益を守り、かつ
日本
農業
のセンシティビティーに配慮しながら、
一つ
ずつ守るべきものは守るという所存で臨みたいというように思っております。
舟山康江
89
○舟山康江君 ありがとうございました。 是非、その国益というものが決して
企業
の利益ではなくて、
現場
、
地域
、
農業
の利益になるようにということを念頭にしっかりと主張をしていただきたいと思います。単にのまれるのではなくて、主張していただきたいと思います。 さて、それでは主要農産物
種子法
につきましてお聞きしたいと思います。 今日午前中、
秋田
県の
農林水産部長
からも
お話
がありましたけれども、やはり最初に話を聞いたときには、
部長
さんも、国も県も手を引くのかということで、ちょっと
唐突感
があった、驚いたという
お話
が冒頭にありました。やはりどの県もそういう状況だったのかなと思います。私も、山形県の担当者、責任ある方に聞いてみましたけれども、やはり同じような答えでありました。多くの懸念を持たれておりました。 そういったやはり
唐突感
と本当に大丈夫かなという懸念について、
大臣
はどのように受け止めていらっしゃるでしょうか。
山本有二
90
○国務
大臣
(山本有二君)
平成
二十八年十一月の
農業競争力強化プログラム
、その中において
主要農作物種子法
を
廃止
するための法整備を進めるということを受けまして、その後、
農林水産省
で、各種
説明会
の場で
都道府県
や
農業団体
の
関係者
とプログラムの内容に関する
説明
、
意見
交換を行いました。またさらに、
関係者
から様々な御
意見
や質問をいただきましたので、それに対して丁寧に回答するなどのそうした
対応
を進めてまいりました。 最初は
廃止
ということにおいて
唐突感
があったように思いますが、徐々に、午前中の
参考人
の
佐藤
さんのように、
JA
あるいは
農家
が冷静に受け止めていただくようになったというように
考え
ております。
舟山康江
91
○舟山康江君 今の
お話
でも分かりますとおり、これ、県の様々な
責務
とか
義務
というものを定めている中で、本来は、この
法律
をどうするのか、なくすべきか
維持
するべきか変えるべきか、こういったことを検討するに当たって、先に
都道府県
の
意見
をお聞きするのが通常の筋ではないのかなと思いますけれども、今の
お話
でも分かるとおり、結局、
廃止
を決めてから
廃止
しますという
説明会
をしているということなわけですよね。非常に手続として私は乱暴だったのではないかというふうに思います。そのことがやっぱり依然として
現場
には、今日の
秋田
県さんは理解を示されておりましたけれども、決して全ての
都道府県
がそういった状況ではないというふうに思います。 ところで、今回も
民間
の参入が進まないからということで
廃止
ということになりましたけれども、現在なぜ
都道府県
において
民間
育成
品種
が導入されていないとお
考え
でしょうか。その理由をどう
考え
ていらっしゃるでしょうか。
礒崎陽輔
92
○副
大臣
(
礒崎
陽輔君
) お答え申し上げます。 今御指摘いただいていますように、
都道府県
に対し、
民間
事業
者の
開発
した
品種
も積極的に
奨励品種
に採用するよう通知を発するなど、これまでもやってきたところでございますが、その結果も、
都道府県
の
奨励品種
にほとんど
民間
のものが採用されていないという事実がございます。根本的な要因は、
奨励品種
を指定するための試験等を
都道府県
に
義務
付けることにより、
都道府県
が
開発
した
品種
が優先的に
奨励品種
に指定されるという現行法
制度
の構造的問題があるのだと
考え
ております。 午前中の
参考人
質疑
もございました。その中で
佐藤
部長
がおっしゃっていたのは、昔は確かに
民間
の方にそういうような
品種
がなかったというのも、これも御主張のとおりだと思いますが、最近、新しい
民間
の
品種
が出てきた場合でも、午前中の話で正確かどうかはあれですけど、ちょっとやはり職員も切替えができなかったというようなことを
部長
もおっしゃっていたような気がいたします。そうしたことで、やっぱり現行の
都道府県
に
開発
者と奨励者と両方やってもらうという仕組みの下ではなかなか難しいのではないかというのが我々の
考え
方であります。
舟山康江
93
○舟山康江君 先ほど進藤さんの御質問の中で、
都道府県
をばかにしているというか、そういう目で見ているんじゃないか、やめてしまうって、それは
都道府県
をばかにしているんじゃないかということを言われていましたけれども、今の御答弁こそ私、
都道府県
をばかにしているんじゃないのかなと思います。 今の
都道府県
は、別に何も自分
たち
が
開発
したものを、良くても悪くても関係ない、それを優先しようということで
奨励品種
にしているわけではなくて、やはりきちんともう何年も掛けて調査をして、気象データ等も把握して、気象、気候、地理、そういったものを踏まえてこれがいいんだということの中で
奨励品種
にしていると。こういったいろいろな御努力も私、聞いてまいりました。 そういう中で、なかなか
民間
の
育種
品種
というものが果たして本当に、一般のデータはあるけれども、個別のこの我が県に持ってきたときに、こういった状況の中で果たしてきちんとした作柄が得られるんだろうか、栽培に適するんだろうか、そういったところの不安からなかなか
奨励品種
には位置付けにくいという、そういったことであって、何も、あっちの方がいいけれどもうちを優先しようという、そういった我田引水的な
考え
でやっているのではないというふうに思いますし、そう思い込んでいるとすれば、それこそ私は
都道府県
に対して失礼ではないのかなというふうに思います。まさに、もうオープンにしているけれども、結局様々な事情の中で県は頑張って、自分の県に合うような、それこそ北から南まで幅広いこの気象条件の中に合うような
品種
を育成して、より良いものを作る努力をしているということは是非お分かりいただきたいなというふうに思います。 さて、そういう中で、私もやはり
食糧
の
安定供給
、これ何度も
大臣
からも
お話
しいただいていますけれども、やっぱり
食糧
の
安定供給
の確保というのは国の最大の
責務
だと思います。そういう意味で、やっぱり私は種の、
種子
の
安定供給
というのも国の最大の
責務
だと思いますけれども、やはりそういった認識でよろしいでしょうか。
山本有二
94
○国務
大臣
(山本有二君)
安定供給
は国の責任であるというように思います。二十八年十一月に策定いたしました
農業競争力強化プログラム
におきましても、
戦略物資
である
種子
、種苗について、国は、国家戦略、知財戦略として、
民間
活力を最大限に活用した
開発
、
供給
体制
を構築するというようにしておりますし、今後とも国が
種子
の
安定供給
に責任を持つことに変わりはありません。 具体的に申し上げれば、今後とも
種子
の
安定供給
のための
取組
を行う
都道府県
や
民間
事業
者を後押しさせていただきたいと思っております。
農業
競争力強化
支援
法において
種子生産
に
都道府県
の知見を活用することを規定しておりまして、
都道府県
が
種子生産
において重要な
役割
を担っているということをここで位置付けるわけでございます。そして、
種子法
に関係する事務を対象として
措置
されている
地方交付税
が引き続き確保されるように関係省庁と一緒になって努めたいと思っておりますし、さらに、
種子生産
における
都道府県
と
民間
事業
者との連携の促進を図って、これまで以上にこの
種子
、
品種開発
がスムーズにいくように努めたいと思っております。そして、稲、麦、大豆の
種子
に関する
品質
基準
を定めるということもさせていただいて、県域を越えて
複数
の
都道府県
間で
種子
を
販売
したり、あるいは
事業
が展開したり、
種子
の
品質
確認を行ったりできるようにもしたいと思っております。 農産物検査法に基づく農産物検査が適切に行われ、そして検査員の指導、検査の
基準
というものの標準化の提供を行うことによって更に
品質
が高まるというようにしたいとも思っておりますし、さらには、
食糧
法に基づきまして、緊急時において米の
生産
者やあるいは流通業者に対する命令を発するなどしまして、
種子
や
食糧
の
安定供給
のための所要の責任をしっかりとこれを果たしていこうというように思うところでございます。
舟山康江
95
○舟山康江君
種子供給
の重要性等もよく御認識の中で、今までの
都道府県
の
役割
についても後押ししていきたいということでありましたけれども、そうであればなおさら分からないのが、何で今回
廃止
するのかなというのが本当によく分からないんですよね。今の
法律
の中でも十分それは担保されていたと思いますし、
民間品種
の導入だってできたわけですし、なぜそれまで一生懸命いろんな重要性を訴えて、これもやりますと言っている中で
廃止
するのか、そこが本当にちょっと分からない。私は、今の
大臣
のお気持ちはやっぱり
廃止
しなくてもいいのになと思っているように聞こえました。 そういう中で、まさに
安定供給
が必要な
戦略物資
ですよね、一昨日も言われていましたけれども。そういった
安定供給
をしなければならない、もう知財の
中心
、
戦略物資
、こういったものを本当にビジネスに組み込んでいいのかなというのがやっぱり相変わらず私は疑問として残っているわけです。 例えば、病気に強い、倒伏しにくい、作りやすいというような
品種
が、
民間
がこれ例えば遺伝子組換えで作ったとすれば、これ
生産
者からすればすごく有り難いと思うんですよね。それで、ましてや収量も上がるとなれば、恐らく
生産
者は、それがコストを
考え
てもいいものなんだと判断すれば多分導入するし、
普及
すると思うんですよ。ただ、それが本当に国家戦略として、中長期的に国としていいのかなというと、果たして、それはよしと、もう本当にこれ
現場
にとっていいものだから、もうこれでバラ色なんだということに私ならないんじゃないかと思うんですよ。 長期的な国家戦略として、全てそういった、例えば遺伝子組換えなりいろんな最新技術を使った、いわゆる作りやすいいいもの、いいものだけが残ってしまうとなったときに、本当にこれ
都道府県
が、じゃ、出番がなくなってしまうなり、
種子
がそういった意味で
民間
に少しずつ支配されるようになるということを
考え
たときに、まさにこのビジネスという面でこういったことに任せてしまっていいんでしょうか。長期的な利益、全体の利益からして、本当に大丈夫なんでしょうか。
礒崎陽輔
96
○副
大臣
(
礒崎
陽輔君
) お答えいたします。 先ほども言いましたが、現在、
主要農作物種子法
によって
種子
の
品質
の確保がされているのは御指摘のとおりでございますが、
種子法
の
廃止
後は、
種苗法
第六十一条に基づく指定種苗の
生産
等に関する
基準
の
大臣
告示を見直しまして、現在、野菜はこれに基づいてやっているわけでございますが、主要農産物である稲、麦、大豆についても現行の
圃場審査
や
生産物審査
に係る規定と同様の規定を追加し、
都道府県
域の
事業
者が
生産
する
種子
については、これまでと同様、
生産
地の
都道府県
がその
品質
の確認をすることといたしております。 また、農産物検査法に基づく農産物検査により確認が必要な
種子
の水分等などの
種子
の流通上必要な
品質
についても引き続き担保することといたしておりまして、基本的に
種子
の
品質
やあるいは
安定供給
、こういったものに支障のないように配慮していく
考え
であります。
舟山康江
97
○舟山康江君 やはりビジネスと位置付けると、そういった国として、国家としての戦略とずれてくることがあると思いますし、同様の
支援
をするというのであればやっぱり変えなくていいんじゃないのかなというふうに強く思います。 そして、もう
一つ
私が懸念しますのは、
都道府県
の有する知見を提供するといいますけれども、この知見というのは本当にまさに非常に大事なデータ、知的財産なわけで、それを
民間
に提供する、そうして
開発
された
種子
に関して、例えば
知的財産権
、特許の扱いというのはこれどうなるんでしょうか。
西郷正道
98
○
政府参考人
(西郷正道君) 我が国の特色を生かした強みのある新
品種
の
開発
が速やかに
普及
されるなど、
農家
収入の向上につながる技術等を有する
民間企業
に対しまして公的
研究機関
が種苗の
生産
に関する知見を提供するということは、知見の有効活用を図るという観点から妥当であると
考え
ております。このようにして知見の提供を受けた
民間企業
が当該知見をベースにして独自の
研究
を行って
開発
した
種子
の
知的財産権
は、それは
開発
者であるその
民間企業
に属することとなります。 ただ、もちろんこの知見の提供を行う際に、みだりに海外に輸出するなど、こういうことがないように、
知的財産権
に係る契約をきちんと結ぶということなど適切な
措置
を講じまして、
国内
の
農業
に悪影響が及ばないようにしっかりと
対応
してまいる所存でございます。
舟山康江
99
○舟山康江君 この知財の問題というのは非常に大事だと思います。県がかなりそれこそコストと時間を掛けて
開発
したものをそんなに安易に
民間
に出せ出せということを
法律
で規定すると、これは、この
種子法
じゃなくて競争力強化
支援
法案にも入っているようですけれども、果たしてそれが適切なのかということを私もう一度お
考え
いただきたいと思います。自発的な判断でそういったいいものをみんなでということはいいかもしれませんけれども、
法律
に書くとなると、やはりかなり強制力を伴ってしまいますよね。そういった意味で、やはりあちらの
法律
の
審査
のときにもきちんと議論をしていきたいなと思います。 そして、もう
一つ
、元々、これ、なぜ
種子法
が
廃止
なのかというと、資材価格の引下げという文脈で突然として出てきたわけです。資材価格の引下げ、
民間
参入でビジネス化で
種子
の価格が下がるのかというところ、これ何度か質問されておりますけれども、少なくとも、現在、
業務用
の種もみ、こういったものも今県が育成しているものよりも高いわけですし、引下げということで
民間
開放するというこの元々の趣旨と今の現実というのは合っていないんじゃないんでしょうか。 しかも、基本的にはF1ですから毎年購入しなければならないといったときに、これまた
安定供給
という面で非常に本来の趣旨ともずれるんじゃないんでしょうか。
柄澤彰
100
○
政府参考人
(
柄澤
彰君) まず、全体としての
考え
方でございますけれども、今般の
種子法
の
廃止
と、それから
農業
競争力強化
支援
法案によります新規参入
支援
措置
を重ねて講ずることによりまして、
民間
事業
者の
種子生産
への新規参入が進むということになりますと、
種子生産
自体が大規模化していく
可能性
が出てまいりますし、それから、
都道府県
が行っております
種子生産
に関するいろいろな仕事が
民間
事業
者に
業務
委託をする
可能性
が高まる。そして、
都道府県
の持っておられるハード面の施設等の
民間
事業
者との共用も進むということになりますと、現状から
考え
ますと、やはり総体としての
種子生産
に係るコスト削減が図られ、もって
種子
価格の引下げにつながる
可能性
が出てくると思います。 ただ、その中で、御指摘のように、一部F1などの
品種
につきまして普通の
品種
よりも高いものもあるわけでございますけれども、それは、繰り返しでございますが、誰も強制しているわけではございませんが、今はかなりの
都道府県
でも使われているというのはなぜかといいますと、やはり収量が高い、あるいはそれに伴う所得が得られる、そして売り先が確保されている、
実需者
のニーズと結び付いているというふうなことから使われているということでございますので、そういった選択肢も広がっていくという効果が期待されるわけでございます。
舟山康江
101
○舟山康江君 大体こういった規制改革
推進
会議
等の議論の共通点は、もう民活導入、
民間
に開放するとコストが下がる、安くなる、効率的になるという理論だと思います。今のも、
民間
は安い、公は高い、だから
民間
を参入させて安くていいものを作ろうということになっていますけれども、果たして、これ、本当に命の源である種に対してそういった議論でいいのかということ。 それから、大規模化といいますけれども、
種子
の
生産
というのはやっぱり安定性が大事なわけですから、リスクもきちんと分散しなければいけないと思います。大規模化だけでこういった
種子
の
供給
を任せるようなそういった議論というのも、やっぱりちょっとずれているんじゃないのかなというふうに思うんでよね。ビジネスに任せていい部分、でも、そうじゃなくて、一方できちんと
安定供給
を確保しなければいけない部分、私は、まさに
種子
というのは後者の方であって、きちんと、まさに中長期的な国家戦略として、単に
民間
に任せるだけじゃなくて、ここはがっちり守るんだということをしっかりと確保していかなければいけないというふうに思います。 そういう中で、先ほど来、
大臣
はちゃんと今までと同じような
支援
をするとおっしゃっていましたから、まさに
種子法
の
廃止
は要らないんじゃないのかなと改めて強く思っているところであります。 また、もう一点、今度は機械の話ですけれども、やはりこの機械化促進法の
廃止
につきましても、
生産
資材価格の引下げの文脈でこの法案
廃止
が規定されております。この法案の存在が機械を高くしていた要因だったんでしょうか。そしてもう
一つ
、この法案
廃止
によって、価格引下げとか競争力強化にどう結び付くんでしょうか。まとめてお答えいただきたいと思います。
枝元真徹
102
○
政府参考人
(
枝元
真徹君) お答え申し上げます。 まず、法案があったことが機械の価格が高い原因だったのかという点でございます。 今回、様々な資材に係ります業界構造、法規制等、総点検を実施いたしました。この中で、
農業
現場
の方からは、野菜等の機械化が遅れている分野での
開発
ですとか、軽労化、省力化に寄与するロボットやICTなど、新技術の導入が期待されてございます。 この機械化促進法があることによりまして
農業
機械の価格が高止まりしているとは
考え
ておりませんけれども、このような新技術を取り入れた良質かつ低廉な
農業
機械を迅速に提供していく観点から同法を点検したところ、現在の
一定
期間置きに
審議
会の
意見
を聴いて基本方針に
開発
対象機種を位置付けるという現行スキームでは迅速で機動的な
対応
が難しい状況となっているということから、この法案は
廃止
したいということでございます。 その上で、機械化促進法に基づきまして、現在農研機構が行っております
研究
開発
を農研機構法に位置付けまして、担い手等のニーズを踏まえた試験
研究
が機動的に進められるように
措置
しております。 また、
農業
競争力の強化プログラムに基づきまして、
民間企業
、
研究機関
、
農業
者との連携により、良質かつ低廉な
農業
機械の
開発
を促進することとしておりまして、具体的には、最低限必要な機能、装備のみを備えたシンプルな
農業
機械の
研究
開発
、建設作業機械等の異分野メーカーの新規参入による競争の促進、メーカー間の部品や仕様の共通化の促進などの
取組
を進めていくこととしてございます。 これらを着実に実施いたしまして、
農業
機械の価格の引下げを図り、
農業
競争力の強化を図ってまいりたいと存じます。
舟山康江
103
○舟山康江君 つまり、当初は分かりませんけれども、ここ最近、この
法律
は何の意味も持たなかったということの理解でよろしいんですか。
枝元真徹
104
○
政府参考人
(
枝元
真徹君) 法案ができました当時は、まだ非常に機械化も進んでございませんでしたし、非常に粗悪な機械も出ていたということなので、先生御案内のとおり、現在の機械化の状況、あとその
品質
の向上から見ると、この
法律
自体が果たしてきた
役割
は当然にあったというふうには思っておりますが、今においては、今のスキームでは、より機動的な
対応
を
研究機関
の方でやった方がいいという判断でございます。
舟山康江
105
○舟山康江君 恐らく、
生産
資材引下げの文脈でこの法案
廃止
が出てきたけれども、まあ別に高かったのはこの
法律
のせいでもないしおかげでもないし、当初はもちろん、やはり
農業
の近代化とか
経営
の効率化という意味で、機械化促進って物すごくやっぱり
法律
できちんと位置付けることの意味はあったと思いますけれども、少なくともここ、まあ十数年か二十数年か分かりませんけれども、最近においては、ほとんどこの
法律
というのは余り意味がなかったのかなということの現れが今回の
廃止
なのかなというふうに思います。 それで、
平成
五年六月に
農業機械化促進法
の一部改正が決められました。そして、この改正に基づきまして、新
農業
機械実用化促進株式会社というものが設立されました。お手元に資料をお配りしております。 この会社はこういった経緯で設立されましたけれども、どのような
業務
を行っているんでしょうか。
枝元真徹
106
○
政府参考人
(
枝元
真徹君) 新
農業
機械実用化促進株式会社でございますけれども、今の先生御指摘があった、
平成
五年に機械化促進法を改正いたしまして、同法の五条の五第一項に基づく高性能
農業
機械実用化促進
事業
を実施する
法人
として設立されました。これは、具体的には農研機構と
農業
機械のメーカーが共同
開発
した
農業
機械につきまして、
複数
のメーカーが製品化、
販売
化することでコストダウンを図ることができるように、共通の金型の製造、賃貸をこの新
農業
機械実用化促進株式会社が行ってございます。
舟山康江
107
○舟山康江君 ありがとうございます。 そうすると、この
法律
に基づいてその
法律
に基づく
業務
をこの株式会社が行っていたということは、
法律
廃止
に伴って設立根拠もなくなるから
業務
もなくなります。そうなると、やっぱり
廃止
するということになると思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
枝元真徹
108
○
政府参考人
(
枝元
真徹君) まず、この
法律
が
廃止
をされますので、この五条の規定もなくなることになりますので、実用化促進
事業
はこの
法律
の
廃止
とともに
廃止
することになります。現在、具体的に行っております、農研機構とメーカーが
開発
している機種の実用化というのをやってございます。現在行っている実用化
業務
があと二、三年で終了いたします。その時点で全てが終わりまして、その後、同社が解散するかどうかについては、これは
民間企業
でございますので、同社の取締役会ですとか株主総会とかで判断されるんだろうというふうに承知をしてございます。
舟山康江
109
○舟山康江君 現在、具体的にどのような
業務
を行っているんでしょうか。元々、部品の共通化ということで、金型を共通で使っていこうということで金型の作製をやるということでしたけれども、なかなか独自でできないからそれを
民間
に
お願い
をして、イニシャルコストを払って、その使用料、賃貸料を払うということでやっていたと聞いていますけれども、そういう理解でよろしいですか。
枝元真徹
110
○
政府参考人
(
枝元
真徹君)
経営
的にはそうでございます。農研機構と機械メーカーが共同でまず
開発
をいたします。この新農機、その
開発
をして新
農業
機械実用化促進株式会社が実用化をした代表的なやつが高速代かき機みたいなやつでございますけど、それの共通の核となる技術をまず農研機構と各機械のメーカーで
開発
をし、それを、それぞれの会社で金型とかを持っていると非常に非効率なので、この新
農業
機械実用化促進株式会社が金型を共有化してそれを貸し付けるということでございます。
舟山康江
111
○舟山康江君 これ、聞くところによりますと、その金型の使用料というのは、もう使っていても使っていなくても払わされているということをメーカーからお聞きしました。非常に不透明だと思います。そして、根拠となる
法律
がなくなるということ、そしてもう
一つ
は、これちょっと時間がないので調べた結果を
お話
ししますけれども、この会社には
農林水産省
が農研機構を通じて出資をしているという意味では
民間
株式会社ですけれども、官製
民間企業
という感じですよね。しかも、これ、いわゆるOBが行っているかどうか質問したところ、分からないと言われましたけれども、私の調べる限り、毎回社長には
農水省
局長
級のOBが就いているということで、かなり深い関係があるわけです。 そういう中で、今回、
農水省
は意を決してこの
法律
を
廃止
したわけですから、やはりその
法律
に伴って設立されたこの会社の存在意義も相当薄くなっていると思いますので、私はやはりこの機にもう
廃止
をするべきだと思いますけれども、
大臣
のお
考え
をお聞かせください。
渡辺猛之
112
○
委員長
(
渡辺猛
之君) 時間が来ております。簡潔に
お願い
します。
山本有二
113
○国務
大臣
(山本有二君) この
法律
的な要因はやがて二年後にはなくなるわけでございますし、天下り先などの批判のないような判断を望みたいというように思っております。
渡辺猛之
114
○
委員長
(
渡辺猛
之君) おまとめください。
舟山康江
115
○舟山康江君 やはり、これはきちんと整理をするべきだと思いますよ。 そして、もう
一つ
、冒頭に質問させていただきました
種子法
につきましては、改めて、それだけ県の
役割
を認めて後押しするということを言っている以上、なぜ
廃止
するかということが本当に理解ができませんので、もう一度この
廃止
について
考え
直していただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。 ありがとうございました。
竹谷とし子
116
○
竹谷とし子
君 公明党の
竹谷とし子
でございます。
農業機械化促進法
を
廃止
する等の
法律案
、そして
主要農作物種子法
を
廃止
する
法律案
について
質疑
させていただきます。 前回の
委員会
で
農業機械化促進法
の
廃止法案
について主に質問させていただき、
主要農作物種子法
を前回途中までやらせていただきましたので、引き続きこれを質問させていただきたいと思っております。
農水省
は、この
法律
の
廃止
の
背景
として、資料をお配りしておりますが、
農業
の
戦略物資
である
種子
については多様なニーズに
対応
するため
民間
ノウハウも活用して
品種開発
を強力に進める必要があると
説明
をしております。この
主要農作物種子法
ができた
昭和
二十七年というのは、戦後の
食糧
の増産という国家的要請があった時代でございました。それを行うために、国、
都道府県
が主導して優良な
種子
の
生産
、
普及
を進める必要があったということでございます。この
法律
に基づいて、
都道府県
による
原種
及び
原原種
の
生産
、また
種子生産圃場
の指定や
圃場審査
、
生産
物の
審査
、そして
都道府県
による優良な
品種
、
奨励品種
を決定するための試験が
義務
付けられていたものでございます。これは
一定
の成果を上げて、既に
都道府県
で定着をしているというふうに理解をいたしております。 この
法律
ができたときは、作れば売れる時代であったと思います。しかし、今は時代が変わりまして、
食料
自給率はどんどんどんどん低くなり、
日本
の
食料
の市場というのは、海外の商品を多く消費されるように
消費者
の好みが変わってきている。それに
日本
の
食料
政策というものが付いてこなかったから今のような状況になったという面があると思います。市場のニーズをしっかりと把握して、それに応える政策ができなかったということではないかと、厳しく言えば、そのように私は思っております。 今は、作れば売れる時代ではなく、売れる物を作らなければならない。そういう意味で、多様なニーズに
対応
するために
民間
ノウハウを活用するというこの法案の
廃止
の
背景
というのは理解をするところでございますが、この多様なニーズというものはどんなものであるか。午前中の
参考人
質疑
の中で
秋田
県の
農林水産部長
の
佐藤博
参考人
がおっしゃられていましたけれども、
中食
、
外食
、
事業
用の米、これのニーズというのが非常に高まってきているという、この変化への
対応
、そして、輸出、今後輸出をしていくということに対する変化への
対応
、こうしたものというのはやはり
民間企業
がニーズをしっかり押さえているので協力していく
必要性
があるという趣旨のことをおっしゃられていたと理解をしております。 改めて、
農林水産省
のこの多様なニーズというものをどのように捉えているかについて見解を伺いたいと思います。
柄澤彰
117
○
政府参考人
(
柄澤
彰君) まさに
委員
御指摘のとおりでございます。 私ども今、
米政策
を進めるに当たりまして、
需要
に応じた
生産
ということを決まり
言葉
にしておりますが、まさにニーズを捉えた
生産
を進めるということを
考え
た場合に、現状、例えば米で
考え
た場合、主食用米の三割を超える割合がいわゆる
中食
、
外食
等の
業務用
の方が使われているお米でございますので、そういった方々のまさにニーズに応えていく必要がある。 また、
国内
のマーケットが大変残念ながら年間八万トンずつぐらい減少しているわけでございますが、やはり海外には潜在的な大きなマーケットがあるということを
考え
ますと、そういった海外への輸出用のお米に対するニーズがかなりあるということでございます。 今般の法
制度
の
廃止
につきましても、こういったニーズに
対応
するために今官民の総合力を挙げて
対応
していかなければいけないという問題意識でございます。
竹谷とし子
118
○
竹谷とし子
君 公的
機関
ではこの多様なニーズに
対応
し切れないという面があるというのは理解ができるところでございますけれども、なぜ公的
機関
ではニーズに
対応
できないと
考え
られるか、
農水省
の見解を伺いたいと思います。
柄澤彰
119
○
政府参考人
(
柄澤
彰君) まず、公的な
研究機関
、
一つ
は国立の
研究
開発
法人
というのがあるわけでございますが、こういったところはやはり非常に高い技術を持っておりますし、多様な
遺伝資源
を持っておるわけでございますので、そういった先導的な
品種開発
というのが得意な分野ということが言えると思います。そして、
都道府県
について見ますと、やはり
都道府県
ですので、当該
都道府県
の気候風土に適したような形の例えばブランドの
品種
が欲しいというような、その
都道府県
の視点でのやはり
研究
開発
が強みがあるということだと思います。他方、
民間
事業
者を
考え
てみますと、やはり
外食事業者
などの
実需者
に一番接しているわけでございますので、そういった何が欲せられているかというニーズを一番情報として持っておられるということで、それぞれ強みがあるわけでございます。 したがいまして、今回、公的
機関
と
民間
事業
者の両者の強みを生かした形で官民の総合力を挙げていくということがこの法案の
背景
にある
考え
方でございます。
竹谷とし子
120
○
竹谷とし子
君 公的
機関
は国、
都道府県
それぞれ強みがある、そして
民間
では特に多様なニーズに
対応
する強みがあるということで、それらを組み合わせて協力をしていくことによってシナジー効果を生み出していこうということであるというふうに理解をしておりますけれども、それぞれに強みがあるということは分かりますけれども、勝手にそれらが、さあ協力しなさいと言ってもするものでもないと思います。 また、今、今回の
廃止
、
主要農作物種子法
の
廃止
によって、これまで
義務
化されていたものを少し柔軟化することによってマーケットのニーズに
対応
をしやすくなる面があるのではないかという御
意見
も伺ったところではございますけれども、やはり
民間企業
と
都道府県
がしっかりと連携をしていく
必要性
というものがあると思います。 それをどのように連携をしていけばいいのかということについて、
農水省
の見解を伺いたいと思います。
柄澤彰
121
○
政府参考人
(
柄澤
彰君) まさに
都道府県
と
民間
事業
者が連携をするということが非常に重要なポイントになるわけでございます。 具体的な連携の在り方でございますけれども、まず
開発
面について見た場合には、例えば
都道府県
と
民間
事業
者が
育種
やニーズに関する情報をまず共有すると、そして県と
民間
事業
者が共同で新
品種
の
開発
を進めることを後押しするというようなことがあると思います。また、
種子
の
生産
面につきまして見た場合には、
民間
事業
者が持っておられる
実需者
のニーズに関する情報を
都道府県
と共有していただくということで、
種子
の
開発
面、
生産
面に活用する、あるいは、逆に、
都道府県
が持っておられます
種子
の
生産
圃場
ですとか
原種
圃の情報を
民間
事業
者と共有する、そして、
民間
事業
者と今度は
種子生産
の技術と意欲を持っておられる
農業
者とのマッチングを行うと、いろんな側面があるわけでございますが、そのようなことが
考え
られますので、
農水省
としても、そのような
取組
を今後促進してまいりたいと存じます。
竹谷とし子
122
○
竹谷とし子
君 情報共有やマッチングというものが必要であるということで、それを国として後押しをしていくということでございますので、この法案の
廃止
にとどまらず、それによる効果がしっかりと出ていくように取り組んでいただきたいと思います。 資料を配付している二枚目以降が今回の
廃止法案
でよく出てくる事例であるみつひかりに関する例でございますけれども、午前中の
参考人
質疑
で、
秋田
県の
佐藤
農林水産部長
の方から、
秋田
県ではみつひかりというのは余り北に行くと収穫時期が遅いので合わない、
秋田
県ではしきゆたかというものを
豊田通商
様と共同で
生産
を進めているという、協力して
生産
を進めているというような
お話
がございました。 収穫時期が違うとか、また収量が安定をしているとか、さらに、それが実需に結び付いてしっかり売れていくというような新しいビジネスモデル的なものがあるからこそこれがうまくいっているんだと思いますけれども、そうした
種子
、ほかには何かありますでしょうか。
柄澤彰
123
○
政府参考人
(
柄澤
彰君)
民間企業
が
開発
した稲の
品種
で
一定
の流通量があるもののうち、例えばこのみつひかり以外で申し上げますと、ある化学
企業
の関連会社が
開発
した夢ごこちという
品種
がございます。この
品種
につきましては十六県で栽培され、粘りのある食感が
消費者
から評価されたり、また一部輸出の実績もあるということで、他の
品種
に比べて高価格で
販売
され、
農業
者の
所得向上
にも寄与しているというふうに承知をしております。
竹谷とし子
124
○
竹谷とし子
君
農水省
としてもしっかりそうした情報を収集、分析をして、
取組
への後押しに生かしていっていただきたいというふうに思いますが、この
法律
が
廃止
されることによって期待される効果、当然、
農業生産
者の
所得向上
に、この
法律
の
廃止
だけではありませんけれども、
農業生産
者の
所得向上
につながっていくということをしっかりと担保していかなければならないと思いますが、それに関して定量的な指標というものを
農水省
としてお持ちでしょうか。
山本有二
125
○国務
大臣
(山本有二君) 主要農産物
種子法
は、御指摘のように、戦後、
食糧
増産が国家的課題であったために作られた
法律
でございまして、主要農産物の優良な
種子
の
生産
、
普及
に寄与したことは事実でございますが、この
都道府県
の活動と
民間
の活動が必ずしも連携を取り合うという、そういうことが比較的なかった分野でございまして、これからは広域的、戦略的な
種子
の
生産
、
普及
を進めていく上でしっかり連携ができるものになるというように思っておりますが、これを
廃止
するということとともに、この定量的な指標があるかといいますと、定量的な指標を設けることは非常に困難でございます。
農業
者の所得の向上にどの程度寄与するか、あるいは
農業
者の所得に影響を及ぼす要因、これが
種子
に関するものだけではなく、農作物の
販売
価格、あるいは他の資材コストなど極めて多岐にわたることでございますので、この指標はございません。 しかし、
複数
の県をまたがる
奨励品種
の存在があれば各県が分担できるというようなメリット、あるいは県と
民間企業
が知見を持ち寄って共同で新
品種
の
開発
を行うというメリット等、柔軟でスピーディーな
対応
ができるというようなこともございますので、定量的な指標はないものの、
所得向上
に恐らくつながるだろうというように
考え
るところでございます。
竹谷とし子
126
○
竹谷とし子
君 しっかり
農業生産
者の
所得向上
につながっていくように、ほかの施策も含めて取り組んでいっていただきたいと思います。 この
廃止
に関して懸念を持っておられる方への、懸念、これをしっかり払拭するようにしていくことも必要であると思います。 知財が守られるのかという御
意見
がありますが、これは
種苗法
による
品種
登録、これによって
保護
されること、また検査、
品質
につきましては、これも
種苗法
や農産物検査法で担保される等、これまでの議論の中でも出ているところでございます。 また、種苗費が上がって
生産
者の所得が減ることはないかということについては、単にこの種苗の
品種
の価格によるものではなくて、それによる単収も変わってくるので、一概に比較することは意味がないだろうというふうに午前中の
参考人
からも御
意見
が出たところでございます。 さらに、海外の
企業
が入ってくるということについても、この法案自体が、農作物
種子法
自体がそれを排除しているわけではないので、変わらないという面もありますけれども、そうした懸念に対して
農水省
としてどう対処していくのかということを
最後
にお伺いして、終わりたいと思います。
渡辺猛之
127
○
委員長
(
渡辺猛
之君) 簡潔に
お願い
します。
柄澤彰
128
○
政府参考人
(
柄澤
彰君) はい。 今御指摘のように、
種子
の今後の価格の問題、あるいは
品質
の確保の問題、あるいは外資の問題、今までの御議論でもいろいろな御懸念が示され、私ども
一つ
一つ
お答えしているところでございますが、
関係者
が同様な懸念を持たれて心配されることのないよう、今後とも引き続き
現場
に出向いて丁寧に御
説明
をしてまいりたいと存じます。
竹谷とし子
129
○
竹谷とし子
君 終わります。
紙智子
130
○紙智子君
日本
共産党の紙智子でございます。 今日は、午前中
参考人
質疑
があって、
参考人
の方から
主要農作物種子法
の
廃止法案
をめぐっていろいろ
意見
が出されました。
審議
の基本となる米、麦、大豆の資料も出されないままに
廃止法案
の
審議
を行っていることに、これどういうふうに思うかということで聞きましたら、
佐藤参考人
は、国会で慎重
審議
をしていただきたいというふうに言いました。それから、
西川参考人
も、十分な資料が出された形で
審議
をされ、国民的な議論をしていただきたいというふうに、やっぱりこの慎重
審議
を求める
意見
が出ました。 これに対して、
大臣
、この
参考人
の出された
意見
に対してどういうふうに受け止められますか。
山本有二
131
○国務
大臣
(山本有二君) 慎重
審議
は当然でございますし、また、出し得る資料、これはできるだけもうしっかりと
提出
して
審議
の材料にしていただくという
立場
でございます。
紙智子
132
○紙智子君 出し得るだけしっかりと出して
審議
してもらうと言いましたけれども、しかし、
種子法
の対象は米、麦、大豆なわけですよ。 それで、衆議院段階でも資料を出さずに議論をしていたこと自体が私驚きだったわけですけれども、改めてですね、麦、大豆については資料を出していなかった、この理由についてお聞きしたいと思います。
柄澤彰
133
○
政府参考人
(
柄澤
彰君) 大変恐縮でございますが、
農水省
としましては、実はおおむね二年に一度、水陸稲・麦類・大豆
奨励品種
特性表という、かなり厚いものでございますが、そういったものを調査、公表しておりまして、そこで、稲のみならず、御指摘の麦、大豆につきましても、例えば
都道府県
別の
奨励品種
に係る
品種
名、
品種
数、作付面積、
品種
の来歴、育成年、育成場所、
品種
特性など、また
民間企業
の育成
品種
に係る
品種
名、作付面積、来歴、育成年、育成場所、
品種
特性、育成
企業
名等を定期的に公表をしております。 さらに、米、麦、大豆につきましては、年産別の農産物検査結果というものは毎年調査、公表しておりまして、そこにおきまして、米のみならず、麦、大豆の
産地
品種
銘柄別の
産地
検査数量、等級等も公表しております。 今般、
種子法
の
廃止
に当たりまして、主としてこの米、麦、大豆品目共通の法
制度
の問題について御議論があったわけでございます。そういった中で、私ども、
政府
・与党の検討の場におきましても、
主要農作物
の対象がもちろん米、麦、大豆であることを明確にした上で、
制度
全体の課題や問題点を整理し、そして例示として代表的な米のデータをお示しして検討、分析していただいたわけでございまして、
種子法
を御議論いただく上で情報を外部に提示してこなかったという事実はございません。
紙智子
134
○紙智子君 質問したことに答えていないですよね。 何でこの国会で
廃止法案
審議
するときに出さないんですか。一番基本となるところで、これまでそれだけ一生懸命やっているんだったら、全部出せばいいじゃないですか。なぜ出さないんですか。
柄澤彰
135
○
政府参考人
(
柄澤
彰君) 今申し上げたデータについては、いずれも公表されている資料でございます。
紙智子
136
○紙智子君 そんなね、納得いかないですよ。 我々国
会議
員の場に出していないでしょう。公表したかもしれないけれども、ちゃんと資料として、
廃止法案
やるための、なぜ
廃止
なのかということのその理屈がどうなのかということを
審査
するための、そういうものとして出していないのはなぜなんですか。
柄澤彰
137
○
政府参考人
(
柄澤
彰君) 大変恐縮でございますが、前回の
審議
の際にも御指示をいただきまして、今申し上げた公表した資料を分かりやすく整理したものを、例えば、本日理事会にお示ししているところでございます。
紙智子
138
○紙智子君 理事会って、これ、昨日出してきたばっかりじゃないですか。私が言って初めてはっと気が付いて出したんじゃないんですか、たった一晩で作って。 本当にいいかげんですよ。こんなことで
廃止法案
を
審議
してくださいなんということ自体が、本当にいいかげんだと。私は出し直すべきだと、やり直すべきだと思いますよ。 この出してきた資料なんですけれども、急遽作ったということもあるんですけれども、極めて不十分なんですよ、まあ全体そうですけど。なぜなら、この
農水省
の
説明
文書で、
都道府県
は、県が
開発
した
品種
は
民間企業
が
開発
した
品種
よりも安いことを問題にしているわけですよ。で、競争にならないんだと。ところが、その資料について言えば、例えば価格だけは書いてあると、
民間
と
都道府県
の。しかし、先行投資だとか設備投資にどれだけ掛かって、その結果こういう値段になっていてこうだということは何らないわけですよ。そして、法案の第二条のところでは、米、大麦、裸麦、小麦及び大豆とあるわけですよ。 これ、全体出さなきゃいけないけれども、これ立法事実に関わることで、資料を出さないで法案
審議
を進めてきたということ、これ大変な問題だと思うんですけれども、
大臣
、どう思われますか。
山本有二
139
○国務
大臣
(山本有二君) 公表をしてきた資料ではございますが、分かりやすく更にまとめて提供を本日させていただきました。 また、その資料について、どのようなものをしっかり出すべきかという判断も慎重にするべきであったというように反省するところでございます。
紙智子
140
○紙智子君 反省するなら、やり直してほしいと思うんですよ。 なぜ
種子法
を
廃止
するのかと、その根底となるデータもまともな
説明
もない、それで同じこと繰り返しているばかりと。これは私、国会軽視だと思うんですよ。 規制改革
推進
会議
ですか、
農業
ワーキング・グループの中で本間正義氏も、
廃止法案
について、この法案のどこが具合が悪いのかということはもう少し詳しい
説明
した方がいいんじゃないかと
意見
言っているんですよ。ところが、その後の議事録見てみますと、それに従って何ら詳しい
説明
を加えて修正した形跡もないわけですよ。そういう議論がされているのにもかかわらず、まあこの方は
推進
の
立場
だと思いますけれども、
推進
の
立場
でさえ、これだったら分からないよと、もうちょっと詳しいことを言った方がいいと言っているのにもかかわらず、何ら手も付けないまま出してくると。 これは国会軽視も甚だしいですよ。議員を何だと思っているんですか。私
たち
はここで法案について真剣な議論をするためにいるのに、何か採決するための形だけ整えるために座っているわけじゃないんですよ。 私はこれ、もう一回出し直すべきだというふうに思います。
委員長
、ちょっと取り計らってください。
渡辺猛之
141
○
委員長
(
渡辺猛
之君) 後刻理事会で協議いたします。
紙智子
142
○紙智子君 全然納得いかないまま今に至っているわけですよ。 もう少し言いますと、
種子法
の
廃止
をする場合については、どういう影響が出るのかということもあるわけです。現行法の
種子法
は、
一つ
は、
圃場
の指定を行う、
圃場
の
審査
を行う、
生産
物の
審査
を行う、二つ目に、優良な
品種
の
生産
及び
普及
のための勧告、助言、指導をする、三つ目に、
種子
の
安定供給
、四つ目に、優良な
種子
、
奨励品種
を決定するための試験を行うなど、
都道府県
の
役割
を定めているわけですよ。 これに基づいて、例えば北海道なんかも、これまで
品種
が多彩なものがあって、北海道の米の大きな魅力なんだと。主食として食べられる
ウルチ米
だけでも十数品目あるんだと。粘り、食感、甘みと、それから飲食店や加工品など、それぞれの特徴を生かして広く活用されている。いろんな道産米をお楽しみくださいということで盛り上げてきたわけですよ。土地の条件に応じた
品種
を
開発
をして、
地域
を盛り上げると。 これが、法的根拠がなくなった場合に、幾ら各県が、さっき
秋田
の方も言われていましたよ、真面目な方ですよね、県としては頑張るつもりだと、こういうふうに決断というか決意を言っているわけだけれども、しかしながら、各地で、この
地域
の気候や
農業
形態に根差した
品種
の
開発
が後退するんじゃないですか。
柄澤彰
143
○
政府参考人
(
柄澤
彰君) 午前中の
参考人
もおっしゃっておられましたが、ほとんどの
都道府県
にお聞きしますと、必ずしも
種子法
があるからということではなくて、各
地域
の
農業
振興の観点から今の
種子法
に関連するいろいろな
業務
をされているということを私どもにも回答していただいているところでございます。 私どもとしては、先ほど来申し上げていますように、このような県のお
考え
を最大限今後とも後押しし、官民総合力を挙げた形での
種子
の
開発
、
生産
に努めてまいりたいということでございます。
紙智子
144
○紙智子君 財源についても聞くんですけど、現在
地方交付税
で
措置
されていると、さっきから議論ありました。一九九八年の地方分権で補助金が
廃止
されて、一般財源化したことに伴って
地方交付税
で
措置
をされたと。
地方交付税
は
自治体
の事務によって算定されると。
自治体
が行っている事務は何かというと、指定
種子
の
生産
圃場
の指導に関する事務、それから
圃場審査
、
生産
物の
審査
の実施及び
審査
証明書の交付に関する事務、市町村、
農業団体
及び指定
種子生産
者に対する
優良種子
の
生産
及び
普及
のための指導又は勧告に関する事務、そして主要作物の
原種
及び
原原種
圃の設置に関する事務と、こういうふうに四つあるわけですよね。
種子法
が
廃止
されて
都道府県
の
義務
がなくなった。そしたら、事務そのものがなくなっていっても、これ財源は現状
維持
されるのか、あるいはプラスされることはあるんですか。
柄澤彰
145
○
政府参考人
(
柄澤
彰君) 御指摘の
種子法
に関連する地方財政の状況につきましては、
平成
九年度までは私どもの補助金がございましたが、
平成
十年度に一般財源化されまして、現在は
地方交付税
の単位費用算定基礎の一部に組み込まれております。 今後、
法律
の
廃止
以降も
都道府県
には万全の
体制
でこの
種子
のお仕事に取り組んでいただくということから、私ども、今後
種子法
が
廃止
されましても、例えば
農業
競争力強化
支援
法案あるいは
種苗法
というようなものをベースに引き続き適切な
地方交付税
措置
が講じられるよう、
平成
三十年度の予算編成過程におきまして関係省庁にしっかり働きかけてまいりたいと存じます。
紙智子
146
○紙智子君 そんな曖昧なことでは全然分からないんですよ。現状
維持
若しくはプラスになることはあるんですかと聞いたんですよ。減るんじゃないんですか。プラスされることはないんじゃないんですか。
柄澤彰
147
○
政府参考人
(
柄澤
彰君) 私どもとしては、県のお仕事というのは
法律
の
廃止
にもかかわらず引き続き同様のお仕事だと思いますので、そのような観点で関係省庁に働きかけてまいりたいと存じます。
紙智子
148
○紙智子君 今の答弁では担保できないですよ。どうなるか分からない話じゃないですか。こんな答弁に私納得できません。ちょっと質問できませんよ、この後。
柄澤彰
149
○
政府参考人
(
柄澤
彰君) 今の
地方交付税
の仕組みの中で、必ずしも今の
地方交付税
の交付対象事務につきまして見ますと、
法律
に基づくものに限定されておるわけではございません。私ども、
種苗法
なり新しい
支援
法案に基づく取扱いも含め、仮に
法律
の根拠がなくても
地方交付税
において所要の事務が
措置
されるように努めてまいりたいと存じます。
紙智子
150
○紙智子君 根拠がなくても努めてまいりますって、これ本当、保証できないじゃないですか。もっと具体的な形でちゃんと約束できるようじゃなかったらいけないと思いますけれども、はっきり言えることないんですか。
柄澤彰
151
○
政府参考人
(
柄澤
彰君) 先ほどこの点については副
大臣
からも御答弁申し上げましたが、関係省庁との協議ではございますけれども、今までの経緯あるいは他の事務の例も含めましてしっかりとこれを交付税の中に位置付けるということで臨んでまいりたいと存じます。
紙智子
152
○紙智子君 そうですよ、だったらどうして
廃止
しなきゃいけないんですか。改善ということでやればいいのに、何で
廃止
しなきゃいけないんですか。これ、繰り返し何回聞いてもよく分からないですよ。本当にこれやり直すべきだと、もう再三言わせていただきますけれども。 それで、九八年の
種子法
の改正のときに国の補助金を
廃止
して財源化したと。これ、地方分権
推進
委員会
の勧告を受けて、地方の自主性を生かすという理由からですよ。当時の
説明
では、稲などの
主要農作物
の優良な
種子
の確保が
食糧
の
安定供給
等の観点から極めて重要であり、そのためには引き続き
種子
審査
等を
全国
的な
制度
の下で実施する必要があることから、一般財源化について
全国
的な
主要農作物種子
の
審査
制度
等を
維持
しつつ行うとされました。ポイントは、
全国
的な
審査
制度
等を
維持
しつつなんですよ。
大臣
は、これ構造的な問題があるって衆議院のときの答弁でも言われたんだけれども、そういうことを言うということは、これ地方分権改革の
考え
方にも反するんじゃありませんか。
山本有二
153
○国務
大臣
(山本有二君)
種子法
があるからといって、この
優良種子
を安定的に
生産
、
供給
しているというよりも、我らのこの米がおいしくて、そして
生産
者も収益が上がり喜ばれるという
農業
振興的観点からやってこられた県が多いというように認識しております。 その意味においては、法が
廃止
されましても、
種苗法
がございますし、農産物検査法もございますし、安定的
供給
については、これは必要であるということは関係各省庁全部同様の認識に変わりありません。そんな意味で、責任を持って私どもこの認識を財政当局に訴えてまいるということでございます。
渡辺猛之
154
○
委員長
(
渡辺猛
之君) 時間が参りましたので、おまとめください。
紙智子
155
○紙智子君 はい。 従来行ってきた
政府
の
説明
も次々と変えてきているわけですよ。その理由を幾ら聞いてもよく分からなかった。
西川参考人
、龍谷
大学
の教授は、九州の
農業試験場
で大分の地元産の大麦一〇〇%の焼酎を造りたいということで、醸造会社と協力して育成した大麦の
品種
、ニシノホシを例にして、
地域
の生活や文化に見合った
品種
の小規模な
生産
というのは利益を追求する
民間企業
には見合わないんだという話もされていたわけですよ。この
種子法
が
廃止
されれば
地域
振興にも影響が出ると言われました。さらに、
種子法
の
廃止
というのは、これ
法律
が
一つ
なくなる以上の重大な意味を持つんだということも言われているんですよ。 国家が国民に良質の
種子
を
供給
する
義務
を放棄することは……
渡辺猛之
156
○
委員長
(
渡辺猛
之君) 申合せの時間が来ております。
質疑
をおまとめください。
紙智子
157
○紙智子君 国民に
食料
を
供給
する責任を持たなくなるということであり、戦後の
日本
の国家と国民の在り方を壊す大変革だと捉えるべきだというふうに強調しました。 私は、絶対これは許すことはできないし、もうでき得る限りやり直しの
審議
をすべきだということを申し上げて、質問を終わります。
儀間光男
158
○儀間光男君
日本
維新の会の儀間でございます。 午前中は、
参考人
のお二方来ていただいていろいろと御教示をいただきましたが、詳しいことは皆さんやりましたから、総じて私が感じたことは、両
参考人
とも、入口では唐突な感じがしてという話からスタートして、
西川
教授に至ってはずっと問題提起をされておったような印象を受けました。
佐藤
農林水産部長
さんは、さすが
現場
の
部長
だけあって、また優しい性格もあるんでしょうけど、余り
政府
に抵抗してはちょっと具合悪いのかなと思ったりしたのか分かりませんが、後で言い直しがありましたけれど、そのような印象を強く受けた次第であります。 さて、一昨日、十一日に、尻切れとんぼになって、今日があるからといって、プロローグだけをしゃべって、アユの話です。なぜあんな話やるかというと、この
原種
や
原原種
を保全、育成するということの重要さ、これをお伝えしようと思ってやったんですが、途中までやりましたから
最後
までちょっと言わせていただきたいんですが、戦争前にリュウキュウアユは、さっき、先々日言ったんですが、アユの中でも独立した個体を持ったアユであるということで、これは
日本
国民のまさに財産であるわけです。それが、戦渦が沖縄に迫る中で、いよいよここでは、沖縄では危ないという、当時の
農林水産省
、水産庁が判断をしまして、やっぱり国だからそういうことできるんですよ、それを危ないといって採取をしまして、奄美大島の住用という山深い
地域
があって、水も豊富ですが、こちらに移したんですね。ところが、奄美もいよいよ戦渦が、おかしくなるということで水産庁は更に心配をされて、どうしたかというと、ここから採取をして、
大臣
御出身の高知県の水産試験場へ移して元気で戦後を迎えるんですよ。戦後すぐふるさと帰りができるかというと、それは別枠の
法律
でありましたから、米軍の施政下ですから、簡単に移すわけにいかぬので、復帰後何度か移す作業をやって、二度、三度失敗するんですが、
最後
はとうとう成功して、ふるさとに帰っていって今は達者で暮らしている。達者というか、元気で、元気で泳いでいますけど。こういうものは、
民間
、これ、
都道府県
の
義務
を外し、あるいは国が外れていってはこういうことはできないんですよ、三十年も四十年も南方沖縄の、南の沖縄の種を高知県で保存するというのは。これ、国じゃないと、
都道府県
じゃないと無理なんですよ。 これだけじゃないんですよ。よく知っている琉球黒豚、俗に言うアグーですよ。これ、
原種
なんですが、これも戦争の被災を受けて絶滅寸前だったんです、絶滅寸前。戦後の沖縄の豚はどうしたかというと、ハワイに移住された沖縄県人会が五百頭の豚を送って豚を復活させるんですが、ここは
原種
のアグーを復活させぬといかぬといって、沖縄県と県立北部農林高校の畜産科と、ここが長年掛かってようやくその
原種
、アグーを、黒豚を再生させるんですね。今、その豚が基になっているんですが。 このアグーの
原原種
、これは南中国に生存するんですけど、福建省から南ですね。これ、実に醜い豚ですよ、しわくちゃで、鼻と目も口もどこにあるか分からぬぐらいの。
原原種
というのはああいうものなんですね。それを改良して、改良に改良を重ねて今私
たち
の食卓に来るわけですよ。これは国がしなければ、
民間
ではこういうのに投資をしておけば、すぐ消費物価に跳ね返ってくるというようなこと。 この
農業
の競争力強化の
法律
は
農家
の
生産
資材を安くしようという発想で出てきた
法律
で、そこでもし仮に皆さんが
義務
化、
都道府県
の
義務
化外しは制限しないぞといってなるというと、
民間
任せではこれは価格は安くはならないと私は思うんですね、膨大な
研究
費が要りますから。これ、種だって同じですよ、それは。膨大な
研究
費が要りますから、どうしてもこの
研究
コストを次の
利用
者にコストアップしていかないというと賄えないわけですよ。 そういうことを思うと、実に国、県、大事なことだと思うんですが、
都道府県
が
義務
化を外すんですが、四十七
都道府県
のうち、今継続してやりたいと、
秋田
さんみたいにやりたいと言っている
都道府県
は幾つあるんですか。
柄澤彰
159
○
政府参考人
(
柄澤
彰君) 御指摘いただきましたように、午前中の
質疑
で
参考人
がおっしゃっておられましたように、私ども、
都道府県
にお聞きしましたところ、ほとんどの
都道府県
は各県の
農業
振興の観点、
法律
があるからというよりもむしろ
農業
振興の観点で、
種子
の
生産
、
普及
に関与するお仕事をされているということでございます。したがいまして、ほとんどの
都道府県
は、この
法律
の有無にかかわらず、引き続き
種子
の
生産
、
普及
に関与するというふうにお答えになっておられます。(発言する者あり)
儀間光男
160
○儀間光男君 僕の代わりに隣の森
委員
が質問しましたけれど、幾つあるかと言っていて、ほとんどと言ってしまえばほとんどでしょうけど、幾つあるかと聞いているわけです。
柄澤彰
161
○
政府参考人
(
柄澤
彰君) 公表を前提にお聞きしているわけではございませんが、率直に申し上げまして、必ずしも米麦等の主
産地
でない数県におかれましては、まだどうするか分からないというお答えもございました。
儀間光男
162
○儀間光男君 曖昧にされるとちょっと困るんですが、とりわけ沖縄県は何と言っているんですか。
柄澤彰
163
○
政府参考人
(
柄澤
彰君) お尋ねでございますので、沖縄県につきましては、引き続き続けていくというふうにおっしゃっておられます。
儀間光男
164
○儀間光男君 是非これ、ほとんどの県と言わず、全
都道府県
に継続してやれるような環境づくりを国がやらぬと駄目ですよ。 ということで、今、豚を言いましたけど、午前中、僕は、
秋田
の
農林水産部長
さん、
佐藤
さんに時間切れのときに聞いたんですが、
部長
さんは沖縄県に
秋田
杉があるのを御存じですかって聞いたんですが、もちろん、知らないで終わったんですけど、後日茶飲み話でやりましょうと言ったんですが。 これも、
昭和
三十年代ですが、時の
秋田
県知事の小畑知事だったと思うんですが、それと、琉球
政府
、当時米軍施政下ですから琉球
政府
の大田さんという主席が、焼け野原になった沖縄に何とか緑をということで、小畑県知事の提案で、小畑さんは、沖縄県の慰霊祭に来られて、沖縄の
現場
見て、こんなに焼け尽くして、これは大変だと、何とか緑を増やそうじゃないかって始まったのが緑の使者という運動なんですね。それを、北、
秋田
から亜熱帯の沖縄へ行くわけですからなかなか活着しない。ところが、両県、県が資金を出し合って、これ
民間
でできる話じゃないです、資金を出し合って、何年も掛かってようやく沖縄県本島の北部に活着したんですね。それが今収穫期になってそびえておりますけれど、その間、杉の
種子
から種を取って沖縄県で発芽させてみた。これも何度も失敗するのに、成功したんです。だから、
秋田
県産杉が沖縄で市民権を得たというふうに思っているんですが。 事ほどさように、
種子
の移動というのは、
種子
の保存というのはこういうことをやっていかなければ駄目なんですよ。これ、
民間
がやってくれるなんて言って、悠長なことを言っちゃ駄目ですね。だから、今からでも思い直して、是非、国も変わっていくというようなことをしていただきたいと思いますが。 先ほどから財政
支援
の問題、また答弁も、サポートしていきたいとおっしゃって、
地方交付税
から出すと、あるいは
種苗法
でやるなんて言っているんですが、種苗と
種子
は全然違った側面を持っておって、これにどうして乗っけて財政支出しようとしているんですか。これをちょっと具体的に答えていただけませんか。
柄澤彰
165
○
政府参考人
(
柄澤
彰君) 今現在、
種子法
上の根拠に基づいて規定しております
種子
の
品質
の
基準
の関係につきましては、今後、
廃止
後は、
種苗法
、一般法でございます野菜なども含めた
種苗法
にもう既にその
品質
の
基準
が定められる条項がございますので、その条項におきまして現在の
種子法
の
基準
と同様の
基準
を規定していこうというふうに
考え
ているわけでございます。 したがいまして、
地方交付税
の
措置
につきましても、これ関係省庁との
お話
合い次第でございますが、
一つ
の切り口として
種苗法
ということも
考え
られるということを申し上げているところでございます。
儀間光男
166
○儀間光男君 時間がないので、もうこれはまたいつかの、まあ、いつかって機会はもうなくなるんですが、ずっと怨念じゃなしに心に留めておきたいと、こう思います。 次に、機械化の
廃止法案
行きたいんですが、この機械化、いわゆる機構の方へ移していこうということですが、なるほど
農業
機械は、
民間
が先行して今いろんな機械出ていて、そういうことなのかなと、あるいは商業ベースに乗せた方がいいのかなと思ったりしておるんですが、この機能を機構に移す場合、機構の人的
資源
というか、人材、その能力、そういうものはどう整備されるんですか。
枝元真徹
167
○
政府参考人
(
枝元
真徹君) 今の機械化促進法におきましても、試験
研究
そのもの、また検査につきましても農研機構が行うということになってございます。 今回、機械化促進法を
廃止
いたしまして、農研機構法の方に試験
研究
、また検査というものを位置付けますので、そういう意味からすると、同様の
業務
を行いますので
体制
は特に変わるわけではございませんけど、先生御指摘いただいたとおり、これから非常に先進的なものとかというのが出てまいりますので、その試験
研究
の方も、
民間企業
とか
大学
とのコンソーシアムを形成して異分野の技術導入なんかも積極的に農研機構もやることにしております。 そういう中で、当然ながら試験
研究
の、農研機構の
研究者
は、そういう異分野の
民間企業
との連携を通じて新技術の知見が習得されますし、安全の検査はこの
研究者
が兼務をして行っておりますので、そういう検査についても十分な知見を持って取り組めるというふうに思ってございます。
儀間光男
168
○儀間光男君 それはいいとして、これからはビッグデータを使った
農業
がいよいよ始まるわけで、もう
アメリカ
では盛んにやっているんですね。AIロボットあるいはIoT
農業
、こういうのをやっているんですね。 これからだとこういう
農業
の機械が今度
開発
されてくるわけですが、こういう先進的な
農業
、
日本
も規模を拡大化していく中で、そういう取り入れもしないと諸外国に太刀打ちできないような状況になると思うんですが、これへの
取組
を少し聞かせていただけませんか。
枝元真徹
169
○
政府参考人
(
枝元
真徹君) お答え申し上げます。 非常に人手不足も
農業
の
世界
、深刻化している中で、ロボットの技術ですとかAIの技術、非常に重要でございます。ロボット技術の活用につきましては、
農業
機械の自動化ですとか、人手に頼る作業のロボット化等を可能とするので、非常に省力化、
生産
性の向上の実現として期待をされてございます。 こういうことから、
農林水産省
、また農研機構でもですけれども、優先的に取り組むべき課題ということで
研究
開発
を進めておりまして、例えばトラクターの自動走行技術については、
平成
三十年までの有人監視下での自動走行
システム
の市販化を目標としています。また、自動の除草ロボットについては、
平成
三十一年度までに
開発
を完了して速やかな市販化を目指すというなど、それぞれの機種ごとに明確な
開発
目標を定めまして取り組んでいるところでございます。
渡辺猛之
170
○
委員長
(
渡辺猛
之君) 時間ですのでおまとめください。
儀間光男
171
○儀間光男君 はい。
農業
、
農林水産
物の貿易、一兆円貿易、これは経産省から少しデータが出ているんですが、この
農業
をしないと一兆円、あるいはGDP六百兆、そのときの
農林水産
物は一%ですから六兆、それには届かないという経産省のデータが出ています。時間ないので終わりますけれど、何か、
大臣
一言。
渡辺猛之
172
○
委員長
(
渡辺猛
之君) 簡潔に
お願い
します。
山本有二
173
○国務
大臣
(山本有二君) IoT、AIを使った
農業
は、各
地域
で大変優秀な成績を上げております。これが我が国のトレンドにならなきゃならぬという覚悟で臨みたいと思っております。
儀間光男
174
○儀間光男君 ありがとうございました。終わります。
森ゆうこ
175
○森ゆうこ君 希望の会、森ゆうこでございます。
種子法
の採決がこの後行われることに対して、まず強く抗議をしたいというふうに思います。物事の決め方が余りにもおかし過ぎる。民主主義、
日本
国憲法に基づいて、我々、国民の代表として選ばれてきて、そして
農林水産
行政を決めるこの
委員会
に属しているわけです。しかし、何も知らされないまま、あるいは資料もきちんと提供されないまま、あっという間に
審議
が進んで、そして多くの懸念が示されるのに採決をしてしまうということについて強く抗議したいと思います。 そして、安倍自民党、安倍
内閣
というのは、物事の決め方がもう、国家戦略特区、規制改革
会議
、みんなおかしいんですよ。その象徴である加計学園の問題、獣医師の問題、獣医学部の問題をこの間から、これ関連する話ですからやっているわけでございます。 それで、
内閣
府副
大臣
、いつも申し訳ありませんけれども、
平成
二十八年九月二十一日、今治分科会において
提出
された今治市提案の資料、訂正してくださいましたか。
松本洋平
176
○副
大臣
(松本洋平君) 九月二十一日に今治市分科会で
提出
された資料の件、特に先般の
委員会
におきまして、いわゆる中東呼吸器症候群、MERSのスペルが違うということでありまして、文中はMIRSと表記をしてあるわけでありますけれども、正しくはMERSということであります。 この文書作成に関しましては、これは今治市の商工会の加戸さんがお作りになって
提出
をされた資料でありますので、こちらの方でそれを訂正するというものではないと思いますが、ただ、
内閣
府の確認が不徹底であったことにも起因をするものであると思っております。おわびをするとともに、
内閣
府の事務方にも注意喚起をさせていただきたいと思いますので、よろしく
お願い
します。
森ゆうこ
177
○森ゆうこ君 それは、すなわち何を意味するかというと、これたった二枚ですよ。字数にすると何行、何字かな。要するに、今治市の提案の、熟度という
言葉
も間違っていますけれども、熟度が高いと、京都よりもずっといいんだというふうに判断されたわけですよね。この資料、これが基本です。それが全くされていないということの証左ではないかというふうに思います。 それで、
平成
二十八年十一月九日の国家戦略特区諮問
会議
において、
地域
を限定する取決め、決定をされました。先般もるる御
説明
ありましたけど、全く客観的な根拠になっておりません。副
大臣
、客観的に、この
地域
を区切るこの理由について教えてください。
松本洋平
178
○副
大臣
(松本洋平君) 済みません、先ほどの答弁で、一部、私、MARSと間違って表記されていたというふうに言うつもりが、MIRSと言ってしまったようでもありますので、訂正をさせていただきたいと思いますので、お許しをいただきたいと思います。 先ほどお示しをされました加戸さんの資料でありますけれども、この日の分科会におきましては、
農業
界を代表いたしましての
意見
でありますとか、今治青年
会議
所からもいろいろと
意見
を頂戴したところでありまして、そうした方々と並びで
産業
界からの御
意見
ということでいただいたということでございますので、付け加えさせていただきたいと思います。 その上に立ちまして、
地域
を限定した客観的な理由ということでありますけれども、以前より申し上げておりますけれども、今般の諮問
会議
の取りまとめは、
特定
の
地域
をまずは念頭に置いたものではなく、獣医学部の新設を四国
地域
に限定するものではない、決定したものではないということであります。あくまでも
制度
といたしまして、獣医学部設置の認可申請を行えるように
措置
したというものが十一月九日の決定であるということであります。 その上で、昨年十一月九日の諮問
会議
取りまとめにおきまして空白域に限るといたしましたのは、従前から申し上げておりますとおり、感染症に対する水際対策をするに当たりまして、
産業
動物獣医師に
地域
ごとの偏在があり、確保が困難な
地域
もあるという認識、また、獣医師会などからの慎重論に耳を傾けつつ、
産業
動物獣医師の
地域
偏在への
対応
や獣医師が新たに取り組むべき分野に
対応
し得る獣医学部をいち早く実現するために、まずは
地域
を限ったものであります。 なお、国家戦略特区で規制の特例
措置
を講じる際、その影響などを考慮をいたしまして
地域
を限るなどの要件を設ける先例というものがございます。また、医学部の新設と同様、
事業
の数を限定することも要件設定として許容されるものであると
考え
ております。いずれにいたしましても、是非、そうした趣旨で、今回空白域という形でこの
地域
を限定しているということで御理解を賜りたいと
考え
ております。
森ゆうこ
179
○森ゆうこ君 全然理解できません。
説明
になっていませんよ。コントですか、何かコントを繰り返しているんですか。この間のMERS、そのミススペリングといい、まともな
説明
してください。そうじゃないと、もうずっとお呼びすることになります。 全く
説明
になっていない。愛媛、今治を
特定
するものではないとか言いながら、京都より今治がよかったって、さんざんここで答弁しているじゃないですか。全く矛盾しているというふうに思います。しかし、今日は時間がないので、次回また、もっとみんなが納得するような、それをやらなければ、安倍総理のお友達だから特別扱いで、国家戦略特区で堂々と真っ正面からそこに利益がもたらされたんだということになるんですよ。だから頼んでいるんですよ。ちゃんとした答弁を持ってきていただきたいと思います。 そして、
種子法
の
廃止法案
ですけれども、先ほど来、要は、この根拠法がなくなるので地方への財政
支援
がどうなるのかということを皆さんが質問されている。そして、午前中の
参考人
質疑
でも
秋田
県の
佐藤
農林水産部長
は、
地方財政措置
があれば続けて一生懸命やれるというふうにお答えになっていました。今役所の方で各県に聞き取りをしているようですが、それ先にやるべきじゃないですか。そして、今聞かれたらどの県も、いや、
政府
に反対だ、この
種子法
の
廃止法案
やめてくれなんて言えるわけないじゃないですか。今聞かれれば、今聞かれれば、なくなってもやりますと言うに決まっているじゃないですか。 ということで、もっと具体的にきちんと担保する方法はないんでしょうか。
佐藤
部長
は、
地方交付税
の
基準
財政
需要
額、もうそこに組み込まれていると、今までは、というふうにおっしゃっていましたけれども、今後ともそうできるんでしょうか。そのためには何が必要なんでしょうか。
柄澤彰
180
○
政府参考人
(
柄澤
彰君) 現在、
平成
十年以降、一般財源化されまして、この事務につきましては
地方交付税
の単位費用算定基礎の一部に組み込まれております。 今後、
都道府県
が
廃止
後も同様の
措置
が受けられるように、私どもとしましては、
地方交付税
の中に引き続き、先ほど申し上げましたように、例えば
種苗法
あるいは
農業
競争力強化
支援
法案等を根拠として
措置
されるように、
平成
三十年度の予算編成過程でございますけれども、関係省庁に働きかけるということでございます。そして、その結果、
地方交付税
において
措置
される内容等につきましてもしっかりと私どもの通知等によって明らかにし、各
都道府県
内におきまして所要の予算を確保されるように努めてまいりたいということでございます。
森ゆうこ
181
○森ゆうこ君 全く信用ができる答弁じゃないというか、いや、別に信用ができないというわけじゃなくて、
統括官
も替わられる
可能性
ありますし、
大臣
も来年の予算編成するかどうか分かりませんから、そうすると信用できるのは
法律
的根拠だけなんですよ。
礒崎
副
大臣
は総務省にいらっしゃいましたからそういうところも詳しいと思うんですけれども、今のような曖昧な話で本当に引き続きそういうふうに
基準
財政
需要
額の中に組み込まれてカウントされるんですか。そういう実務もやっていらっしゃったでしょう。本当にできるんですか、こんな話で。意気込みだけで各省庁に働きかけてと。私だって副
大臣
のときに財務省に三回乗り込みましたよ。だけど、
法律
がないとやってもらえないんですよ。どんなにみんながこれやった方がいいというふうなことを言ったとしてもですよ。 本当に組み込まれるんですか、今年度と同じように。もっときちんと明確に具体的に答えてください。
柄澤彰
182
○
政府参考人
(
柄澤
彰君) まずは、
種苗法
あるいは
農業
競争力強化法に基づくものとして調整してまいりたいと思いますが、万一
法律
に基づくものでなくても、ほかの事務を見ますと
法律
の根拠がなくても
措置
されている例はございます。そういったことで、実態的に
都道府県
の仕事として存続するということを
法律
並びにそれ以外のことも含めまして調整してまいりたいと存じます。(発言する者あり)
渡辺猛之
183
○
委員長
(
渡辺猛
之君) 森ゆうこ君、
質疑
を続けてください。
森ゆうこ
184
○森ゆうこ君 いや、そんな答弁じゃ納得できませんよ。そんな不安定な答弁するぐらいなら
法律
なくさなきゃいいじゃないですか、根拠法を。 いや、
礒崎
さん、どうぞ、何か答えたい。
礒崎
副
大臣
、いかがですか。
礒崎陽輔
185
○副
大臣
(
礒崎
陽輔君
) 御心配いただいているお気持ちは大変有り難く受け止めますけれど、先ほど事務方も答弁したように、必ずしも全て
地方交付税
の
基準
財政
需要
額に入るものというのは
法律
の根拠がなければ駄目だという、そういうルールはありません。基本的に、各
都道府県
における財政
需要
の全体を見積もって、現実の決算等も見て、そういうことの全体の配慮の中で
基準
財政
需要
額が決まってくるものであるということはまず前提でございますが、その上で、これまでも、先ほど私も答弁いたしましたように、非常にこれは今後も
都道府県
が重要な
役割
を果たす事務でありますから、毎年の
地方交付税
は毎年の予算編成の中で決まってくるものではございますが、そういうことも踏まえながら、新しい
法律
の根拠等も援用しながらしっかりと交渉してきちんとした結論を出すと、適切な
対応
を取ってまいりたいと思います。
森ゆうこ
186
○森ゆうこ君
法律
を
廃止
する必要は全くないと改めて申し上げたいと思います。 私、今回、この法案に関して国会図書館からいろいろ文献等を提供いただきまして、今、
種子
メジャー、とにかくMアンドAが進んで、バイオ
産業
といいますか、そういうところがどんどん寡占化してきているわけですよね。その状況の中で、二〇一三年の数字ですけれども、
世界
の
種子
市場は三百九十億ドルで、モンサント、これは
アメリカ
です、デュポン、
アメリカ
、そしてシンジェンタ、スイスの三大大手
企業
が
世界
シェア全体の五五%、
主要農作物
では六〇%になっていると。しかも、さらには、このモンサントをバイエルが買収をしようと、したのかな、もう、そういうふうな話になっていて、どんどん寡占状況になっております。 そして、いろんな文献を見させていただいて、もう
農民
が奴隷のようになっている。さっき、信じられない話で、パテントはこの間ずっと一生懸命
都道府県
がつくってきた知的財産、これ、栽培の技術そのものが知的財産ですよ、遺伝情報だけじゃなくて、それを
民間
に提供すると。そして、そのパテントの帰属は
民間企業
であると。そうすると、ロイヤリティーが発生するわけでしょう。まさしくそのモンサントなんかに支配される
農民
の姿が今後現れてくるんじゃないか。本当に心配でなりません。 そういう姿、
世界
的に今進んでいる巨大
種子
産業
、化学
産業
による
農民
の支配、
農業
の支配、そして
農業
主権を奪われている状況について、どのように現状を認識し、懸念がないのかどうか、農水
大臣
、お答えいただきたいと思います。
山本有二
187
○国務
大臣
(山本有二君) 我が国の種苗会社が公表しております資料によりますと、
世界
の
種子
市場の市場規模と申しますのは三兆一千四百億円と推定されております。また、カナダのNGOが出しているレポートによりますと、
世界
の主要な種苗会社により
種子
市場の過半が占められていることが報告されております。 さらに、現在いわゆる
種子
メジャーで進められている統合が実現するということになりますと、
委員
御指摘でございましたが、
世界
の主要な種苗会社上位三社で六割が占められることになります。当然、そういった意味で、
国内
の
種子
の
供給
や、あるいは
農民
の
生産
者が自由に
種子
を買い取ることができるかという不安もこの数字を見れば出てくるわけでございます。 しかし、この
主要農作物種子法
で外資の参入を防止する規定があるかと申しますと、これはないわけでございまして、現状におきましても、外資が
主要農作物種子
産業
に参入することが可能であったわけでございます。 しかし……
渡辺猛之
188
○
委員長
(
渡辺猛
之君) 時間が過ぎておりますので、簡潔な答弁を
お願い
します。
山本有二
189
○国務
大臣
(山本有二君) はい。 いわゆる、我々としましては、どうしても、この
種子法
を
廃止
した後、外資の跳梁ばっこを許してしまうというような御懸念もあるかもしれませんが、そういった面もしっかりと気を付けながら、
日本
の
農業生産
者の
種子
の
安定供給
、こういったことにしっかりと目を向けていきたいというように思っております。
渡辺猛之
190
○
委員長
(
渡辺猛
之君) 時間ですので、おまとめください。
森ゆうこ
191
○森ゆうこ君 まあ、到底納得できる答弁ではありません。そんなことなら、この
種子法
は改正するなりすればいいだけで、何で唐突に
廃止
してしまうのか。結果として、知的財産を守り、そして、そういうメジャーな巨大
種子
企業
の参入を各
都道府県
の長年の血のにじむような努力で防いできたわけです。
渡辺猛之
192
○
委員長
(
渡辺猛
之君) 時間が過ぎておりますので、おまとめください。
森ゆうこ
193
○森ゆうこ君 そういうことで、この法案の採決、断固反対、そしてこの法案、
廃止
することに、この
種子法
を
廃止
することに断固反対して、質問を終わります。
渡辺猛之
194
○
委員長
(
渡辺猛
之君) 他に御発言もないようですから、両案に対する
質疑
は終局したものと認めます。 これより両案について討論に入ります。 御
意見
のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
田名部匡代
195
○
田名部匡代
君 民進党・新緑風会の
田名部匡代
です。 私は、民進党・新緑風会を代表し、
主要農作物種子法
を
廃止
する
法律案
に反対の
立場
から討論いたします。 反対の第一の理由は、
種子法廃止
の決定プロセスが余りにも不透明なことです。 本
法律
は、優良な
種子
の
生産
、
普及
を進めるに当たり、国、
都道府県
の
役割
を定めたものでありますが、本日の
参考人
質疑
で
秋田
県
農林水産部長
から唐突であったと
意見
が述べられましたように、多くの
役割
を担ってきた
都道府県
の声を全く聞かずに
廃止
の方向性を決めました。議論を誘導したのは、規制改革派の
委員
から成る官邸主導の規制改革
推進
会議
と未来投資
会議
でした。政策決定が著しくゆがめられている現状に強く抗議をいたします。 反対の第二の理由は、
食糧
の
安定供給
に問題が生じる
可能性
があることです。 稲、麦、大豆の
主要農作物
は国の基本的な
食糧
、基幹的な作物であり、その
安定供給
は国の極めて重要な
責務
であります。その実現には、
地域
の環境に適した優良
品種
の
開発
とともに、必要な
種子
を確実に
生産
し、適正価格で
生産
農家
に
販売
することが前提となります。 このため、
種子法
は、
主要農作物種子
の
開発
、
生産
、
普及
、流通のうち、
生産
、
普及
における
都道府県
の
役割
を規定することで、
食糧
の
安定供給
の前提となる
種子供給
体制
の構築に重要な
役割
を果たしてきました。
政府
は、
種子法
が
廃止
をされた後も、
都道府県
による
原種
、
原原種
の
生産
、
種子
協会による需給調整など、現行の
種子供給
体制
は変わらないとしていますが、その根拠法を失うこととなれば、一般財源の下で
都道府県
財政当局が長期的に財源を確保することが困難になるのではないでしょうか。 第三の理由は、
民間企業
の参入により、
国内
の
種子生産
、
種子
利用
に深刻な影響が生ずる危険性です。 例えば、
民間企業
が
開発
したF1
種子
が広く
普及
した場合、その
企業
の
種子
への依存が高まり、
地域農業
が
企業
の方針に左右される危険性があります。また、将来的に、国際的な巨大資本による
国内
市場への参入や
国内
企業
の買収等が生じた場合、優良な
品種
が海外へ流出する懸念や、外資の
種子
のシェア拡大が
食料安全保障
に悪影響を及ぼす懸念があります。 第四の理由は、そもそも、今、
種子法
を
廃止
しなければならない理由がどこにあるのかというところであります。 規制改革
推進
会議
以外に
種子法
を
廃止
してほしいと要望している
関係者
はいるのでしょうか。
政府
は、
種子法
が
民間
の
品種開発
の意欲を阻害しているため
廃止
するとし、その根拠として、
民間
の
品種
が
都道府県
の
奨励品種
に採用されていない事実を挙げています。しかし、
種子法
は
奨励品種
の決定等について何ら規定しておらず、
種子法
によって
民間
の
品種
が
奨励品種
から排除された具体的事例も示されていません。むしろ、
法律
を改正し、あるいは
制度
の
運用
を改善することで、
民間
活力を活用しながら
種子
の安定的な
供給
体制
を明確に担保していくべきではないでしょうか。
種子
は国家
戦略物資
であり、国の責任で守るべきものです。
種子
の
国内
自給を
維持
向上させることは国の
責務
です。
種子法
を
廃止
することは、このような国の責任、
責務
を放棄し、多様な環境にある
地域農業
を支えてきた
都道府県
による
種子
の
生産
、
普及
の仕組みを弱体化させるものです。
食料安全保障
上の観点からも大きな問題があり、将来に禍根を残すことになります。本法案には反対せざるを得ません。 なお、
農業機械化促進法
を
廃止
する等の
法律案
には賛成いたしますが、
政府
には引き続き
農業
機械の安全性の確保に努めるよう強く求め、以上、私の討論を終わります。
紙智子
196
○紙智子君 私は、
日本
共産党を代表して、
主要農作物種子法
廃止法案
及び
農業機械化促進法
廃止法案
の反対討論を行います。
種子
は
農業生産
の最も基礎的な
農業生産
資材であり、食と農を左右するものだからこそ、
法律
にすることで国の姿勢を示してきました。ところが、まともな資料も出されないまま、
参考人
からは慎重
審議
や国民的な議論を求められたにもかかわらず、
法律
を
廃止
すると言います。まず、このことに強く抗議するものです。 以下、反対理由を述べます。 第一の反対理由は、
都道府県
と
関係者
が積み上げてきた高い安全性と公共性を持つ
種子
の
生産
、
普及
体制
が崩壊する危険性があるからです。外資系多
国籍企業
のもうけの場として独占されるおそれがあります。 第二の反対理由は、
種苗法
の中で位置付けるとする
圃場
の
審査
等は、予算的裏付け等が不明で現状が継続される保証はありません。
農業
競争力強化
支援
法に盛り込むという
都道府県
の
役割
も何ら担保されておらず、むしろ
都道府県
の知見を
民間
に開放させられる懸念があります。 第三の反対理由は、現在でも
民間企業
による育成
品種
が
奨励品種
となるなど、
民間
に不利とは言えない上、
開発
に係るコストの上乗せのため価格引上げにつながる危険があります。 次に、
農業機械化促進法
を
廃止
する等の
法律案
に反対の討論を行います。 第一に、型式検査
制度
の
廃止
について容認できるものではないということです。型式検査は、
アメリカ
やフランスなどの欧米主要国、OECD諸国でも行われており、今後も
農業
機械の高度化が進む中で、
農業
者や製造業者のための
制度
的な担保が必要であるからです。 第二に、
農業機械化促進法
の
廃止
は、
現場
から
廃止
の要求が上がったわけでもなく、
農業
資材
審議
会の
意見
も聴くことなく、拙速で強引な進め方は容認できるものではありません。 以上を申し述べ、反対することを表明し、討論といたします。
森ゆうこ
197
○森ゆうこ君 希望の会(自由・社民)、自由党の森ゆうこでございます。 私は、ただいま
議題
となりました
主要農作物種子法
を
廃止
する
法律案
に対して、反対の
立場
から討論をいたします。 まず、本日採決が行われることに強く抗議をいたします。衆議院では僅か五時間、今日は両筆頭の御配慮もありまして
参考人
質疑
はございましたけれども、ますます問題点が大きくなる中で、このような形で採決が行われることに対して憤りを感じるものでございます。
種子
が消えれば、
食べ物
も消える、そして君も、これは午前中の
西川参考人
が紹介されたベント・スコウマン、元国際小麦・トウモロコシ改良センター・ジーンバンク、氏の
言葉
です。氏は続けて、土壌、水、そして
遺伝資源
、
種子
は
農業
と
世界
の
食料安全保障
の
基盤
を構成している。これらのうち、最も理解されず、かつ最も低く評価されているのが植物
遺伝資源
である。それは、また我々の配慮と
保護
に依存している
資源
でもある。そして、恐らく最も危機にさらされている。そのとおりであるというふうに思います。 確かに、現行
種子法
には知的財産
保護
のための条項はありません。しかし、
種子法
に基づく財政の裏付けによって、各
都道府県
が
原種
、
原原種
の厳しい
管理
、栽培、
地域
に合った
品種
の
研究
開発
、計画に基づいた安価な
種子
を長年にわたって安定的に
供給
してきたことが、結果として知的財産である
種子
を守り、我が国の主要作物の
生産
を支えてまいりました。
世界
の
種子
市場は数社の多
国籍企業
が約六〇%を占め、今なおMアンドAなどを繰り返して寡占化が更に進んでおります。今まさに
世界
の
食料
が一部のグローバル
企業
によって支配されようとしております。 TPPが発効されなかったにもかかわらず、TPP関連法がこのように次々と流れ作業のように成立することに対して、本当に大きな怒りとそして危機感を覚えるものであります。 私は、
最後
に、この
主要農作物
である米、その米どころ新潟県の代表として、
主要農作物種子法
を
廃止
する、しかも唐突に
廃止
するこの法案は断固反対であると重ねて表明し、反対討論といたします。 ありがとうございました。
渡辺猛之
198
○
委員長
(
渡辺猛
之君) 他に御
意見
もないようですから、討論は終局したものと認めます。 これより順次両案の採決に入ります。 まず、
農業機械化促進法
を
廃止
する等の
法律案
の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
渡辺猛之
199
○
委員長
(
渡辺猛
之君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 次に、
主要農作物種子法
を
廃止
する
法律案
の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
渡辺猛之
200
○
委員長
(
渡辺猛
之君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、徳永君から発言を求められておりますので、これを許します。徳永エリ君。
徳永エリ
201
○徳永エリ君 私は、ただいま可決されました
主要農作物種子法
を
廃止
する
法律案
に対し、自由民主党・こころ、民進党・新緑風会、公明党及び
日本
維新の会の各派共同提案による附帯決議案を
提出
いたします。 案文を朗読いたします。
主要農作物種子法
を
廃止
する
法律案
に対する附帯決議(案)
主要農作物種子法
は、
昭和
二十七年に制定されて以降、
都道府県
に
原種
・
原原種
の
生産
、
奨励品種
指定のための検査等を
義務
付けることにより、我が国の基本的作物である
主要農作物
(稲、大麦、はだか麦、小麦及び大豆)の
種子
の
国内
自給の確保及び
食料安全保障
に多大な貢献をしてきたところである。 よって
政府
は、本法の施行に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。 一 将来にわたって
主要農作物
の優良な
品質
の
種子
の流通を確保するため、
種苗法
に基づき、
主要農作物
の
種子
の
生産
等について適切な
基準
を定め、
運用
すること。 二
主要農作物種子法
の
廃止
に伴って
都道府県
の
取組
が後退することのないよう、
都道府県
がこれまでの
体制
を生かして
主要農作物
の
種子
の
生産
及び
普及
に取り組むに当たっては、その財政
需要
について、引き続き
地方交付税
措置
を確保し、
都道府県
の財政部局も含めた周知を徹底するよう努めること。 三
主要農作物
の
種子
について、
民間
事業
者が参入しやすい環境が整備されるよう、
民間
事業
者と
都道府県
等との連携を
推進
するとともに、
主要農作物種子
が、引き続き国外に流出することなく適正な価格で
国内
で
生産
されるよう努めること。 四
消費者
の多様な嗜好性、
生産
地の
生産
環境に
対応
した多様な
種子
の
生産
を確保すること。特に、長期的な観点から、
消費者
の利益、
生産
者の持続可能な
経営
を
維持
するため、
特定
の
事業
者による
種子
の独占によって弊害が生じることのないよう努めること。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ
委員
各位の御賛同を
お願い
申し上げます。
渡辺猛之
202
○
委員長
(
渡辺猛
之君) ただいま徳永君から
提出
されました附帯決議案を
議題
とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
渡辺猛之
203
○
委員長
(
渡辺猛
之君) 多数と認めます。よって、徳永君
提出
の附帯決議案は多数をもって本
委員会
の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、山本
農林水産大臣
から発言を求められておりますので、この際、これを許します。山本
農林水産大臣
。
山本有二
204
○国務
大臣
(山本有二君) ただいまは法案を御可決いただきまして、誠にありがとうございました。 附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
渡辺猛之
205
○
委員長
(
渡辺猛
之君) なお、両案の
審査
報告書の作成につきましては、これを
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
渡辺猛之
206
○
委員長
(
渡辺猛
之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時二十分散会