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山本太郎君 私は、
国家戦略特別区域法及び
構造改革特別区域法の一部を改正する
法律案に対し、
修正の動議を
提出いたします。その
内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
これより、その趣旨について御
説明いたします。
国家戦略特別区域は、我が国の経済成長を妨げる岩盤規制に
改革の突破口を開き、世界一ビジネスのしやすい都市の形成等を目指すものであると
政府は
説明し、既得権益の突破を掲げております。しかしながら、今般の国家戦略特別区域を活用した
獣医学部の設置をめぐり改めて問題点が明らかとなったように、本来であれば規制緩和にはなじまない分野の事業であるにもかかわらず、
内閣総理
大臣とお友達というだけで、官僚がその意向をそんたくし、さらには、
官邸からの
指示、圧力を受けて、そのお友達が実施しようとする事業の展開ありきで認められ、特定の
地域、特定の者の利益のために規制緩和が行われている疑いがあります。
そもそも、国家戦略特別区域計画や規制
改革メニューなどの重要事項について
調査審議、決定を行う国家戦略特別区域諮問
会議の公平性、中立性を確保する上では、
会議に付議される
調査審議事項について直接の利害
関係を有する
議員については、審議及び議決に参加させるべきではありません。しかしながら、現行の制度では審議等への参加の
判断は諮問
会議が任意に決めることとされており、特に有識者
議員については、今春からスタートした家事労働外国人の就労解禁に続き、本
法律案に盛り込まれている農業外国人の就労解禁などの規制緩和によりビジネスチャンスを得るような人物が公然と諮問
会議に参加することが認められており、利益相反防止の実効性が担保されておりません。
岩盤規制、既得権益の突破口を開くとしながら、恣意的な
特区の指定や特定の者への利益誘導により新たな既得権を生み出してはいないでしょうか。特に、諮問
会議の
議員については、
大臣も有識者も規制緩和推進派ばかりで慎重派が一人もいないということ、規制を所管する
大臣が諮問
会議の構成員から除外されていること、諮問
会議の議事録
公開が四年経過後とされているなど
情報公開が不十分であり透明性が確保されていないことなど、国家戦略特別区域制度には構造上の問題があります。
国家戦略特別区域で実施する特定事業等について定める国家戦略特別区域計画は、区域ごとに設置される国家戦略特別区域
会議が
作成し、
内閣総理
大臣に申請し、認定を受ける仕組みとなっております。この区域計画の
作成には、区域
会議の全員の合意が必要であり、住民を代表する
関係地方公共団体の長も
会議に参加していることから、当該
地域の声が一応反映される形となっております。しかしながら、
特区に指定された地方公共団体の意思決定により、規制緩和の影響を直接受け、
国民、住民が本来持つべき権利が侵害されるおそれがあっても、
国民、住民が区域計画に対して直接
意見を表明する機会は与えられておりません。
国民、住民や第三者の視点を入れる必要があるのではないでしょうか。
国家戦略特別区域における農業外国人の就労解禁については、問題の多い外国人技能実習制度と地続きになるおそれがあります。帰国させ一定のインターバル期間を設けることとされているものの、技能、技術の移転を目的としている技能実習制度の在り方をゆがめるばかりか、技能実習二号修了後の外国人が引き続き安価な労働者として働かされる懸念があります。
技能実習制度の下で指摘されている低賃金や長時間労働など劣悪な労働環境、人権侵害に対処するための外国人材の
保護措置については、
法律ではなく、
内閣総理
大臣が
作成する指針に定めることとしていますが、
内閣総理
大臣すなわち
内閣府は国家戦略特別区域におけるビジネスを推進する立場であり、実効性に疑問があります。農業支援外国人受入れ事業と同様の仕組みで既に受入れが始まっている家事支援外国人受入れ事業における外国人材についても同様の事態の発生が懸念される中、新たに農業分野で受け入れようとするのは時期尚早ではないでしょうか。
そこで、こうした問題に対処するため、本
修正案を
提出いたしました。
修正の要旨は、次のとおりであります。
第一に、
内閣総理
大臣は、区域計画に定められた特定事業が、特定の者が特別の利益を得ることとなるものであると認められる場合には、区域計画の認定をしてはならないものとしております。
第二に、
内閣総理
大臣は、区域計画の認定の申請があった場合には、透明性を確保しつつ、区域計画の認定の厳格化等により認定を適正かつ厳格に行うようにするため、直ちに区域計画を公表し、広く
国民の
意見を求めなければならないものとしております。
第三に、国家戦略特別区域諮問
会議の有識者
議員は、利害
関係のある議案について、その議事に加わることができないものとしております。
第四に、国家戦略特別区域農業支援外国人受入れ事業に係る規定は、別に
法律で定める日までの間、
適用しないものとしております。
第五に、
政府は、国家戦略特別区域家事支援外国人受入れ事業及び国家戦略特別区域農業支援外国人受入れ事業において受け入れる外国人の権利利益の擁護の在り方について早急に検討を行い、その結果に基づいて法制上の措置その他必要な措置を講ずるものとし、この場合において、当該検討を行うに当たっては、我が国において外国人の権利利益の擁護を図るための活動を行う民間の団体その他の
関係者の
意見を聴くものとしております。
以上が
修正案の趣旨でございます。
何とぞ
委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
ありがとうございました。