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2017-05-30 第193回国会 参議院 総務委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十九年五月三十日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  五月二十五日     辞任         補欠選任      こやり隆史君     滝沢  求君  五月二十六日     辞任         補欠選任      滝沢  求君     こやり隆史君  五月三十日     辞任         補欠選任      片山さつき君     佐藤  啓君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         横山 信一君     理 事                 大沼みずほ君                 柘植 芳文君                 森屋  宏君                 江崎  孝君                 山本 博司君     委 員                 片山さつき君                 こやり隆史君                 古賀友一郎君                 佐藤  啓君                 島田 三郎君                 関口 昌一君                 塚田 一郎君                 二之湯 智君                 松下 新平君                 溝手 顕正君                 山崎 正昭君                 伊藤 孝恵君                 杉尾 秀哉君                 那谷屋正義君                 森本 真治君                 吉川 沙織君                 宮崎  勝君                 山下 芳生君                 片山虎之助君                 又市 征治君    国務大臣        総務大臣     高市 早苗君    副大臣        総務大臣    原田 憲治君    大臣政務官        総務大臣政務官  冨樫 博之君    事務局側        常任委員会専門        員        小野  哲君    政府参考人        総務省自治行政        局長       安田  充君        総務省自治行政        局公務員部長   高原  剛君        総務省自治財政        局長       黒田武一郎君    参考人        山梨学院大学法        学部政治行政学        科教授      江藤 俊昭君        弁護士        神戸大学名誉教        授        阿部 泰隆君        奈良女子大学研        究院教授     中山  徹君        富山市長     森  雅志君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○地方自治法等の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○政府参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 横山信一

    委員長横山信一君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  地方自治法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案の審査のため、四名の参考人から御意見を伺います。  本日御出席いただいております参考人は、山梨学院大学法学部政治行政学科教授江藤俊昭君、弁護士神戸大学名誉教授阿部泰隆君、奈良女子大学研究院教授中山徹君及び富山市長雅志君でございます。  この際、参考人の方々に委員会を代表して一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。  参考人の皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  次に、議事の進め方について申し上げます。  まず、お一人十五分程度で、江藤参考人阿部参考人中山参考人森参考人の順に御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  また、発言の際は、挙手していただき、その都度、委員長の許可を得ることになっておりますので、御承知おきください。  なお、参考人質疑者共発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず江藤参考人にお願いいたします。江藤参考人
  3. 江藤俊昭

    参考人江藤俊昭君) おはようございます。山梨学院大学江藤です。  私自身は、住民自治あるいは住民参加だとか、そして議会改革について研究をしておりますけれども、国の地方自治制度改革では地制調の、地方制度調査会の第二十九次と三十次に関わらせていただいていました。  今回、この地方自治法の一部改正案を読みますとガバナンス強化ということで改革が提起されているなというふうに思っています。ただ、アングルを変えて読むと、住民参加だとか議会にも拡充できるというところもあるのかなというふうに思っています。  最初意見陳述では、改正によってどのような活用が可能なのか、そして留意点課題について述べさせていただきたいというふうに考えております。  もちろん、議会というと議会自体の問題を挙げる方も多いんじゃないかなというふうに思っています。政務活動費不正受給とか、そして議会自体追認機関化しているんではないだろうか、こうした問題というのはあると思いますけれども、今回の法律改正というのは、一方ではこうした状況を改革するためにも、そしてまた新たな議会をつくり出す上でも活用できる部分はあるかなというふうには印象を持っております。  議会改革は御存じのようにかなり進展している、だから従来の議会改革のイメージとは違うんではないだろうかということをまず最初に述べさせていただきます。  今から十一年ほど前に北海道の栗山町というところで議会基本条例というのが制定されていますけれども、そこでの方向性というのは、住民に閉鎖的ではなくて、住民に開かれて住民と歩む議会をつくっていこう、質問の場だけではなくて議員間討議を重視して論点を明確にしていく、そしてそれらを踏まえて追認機関ではなくて首長と政策競争をしていく議会というのをつくり出していく。で、たった十一年で約八百の自治体がこの議会基本条例を制定しています。だから、そういう意味では住民自治の広がりだというふうに感じていますけれども、ただ、その議会改革はある意味では形式なんですね。形式だと思いますけれども、それを住民の福祉の向上にどうやってつなげていくか、私たち言葉では議会からの政策サイクルというふうに呼んでいます。  それでは、住民自治、その根幹としての議会充実活用できる視点から改正案について少し触れていきたいんですが、ただ、自治法改正というと、抜本的な改正というふうにいうといろんな議論が出てくると思いますので、ここでは、現行法体系を踏まえて改正案についてベターかどうかという視点でのみ論評したいというふうに思っています。そういう意味では、三十一次の地制調答申との関係についても考えたいというふうに思っています。  それでは、まず監査制度充実強化についてお話をさせていただきますが、監査委員制度地域経営にとって重要だ、誰しもが認めることなんですが、監査委員制度の設置以降、抜本的な改革議選監査委員義務付けの緩和、いわゆる選択制というのがこの改正案には入っています。概要の中では少し下の方に書いてあるわけですけれども、かなり住民自治にとってすごく大事なんじゃないかというふうに思って、これを少し述べさせていただきます。  かなり多くの議論の中に、議選監査委員独立性専門性から問題ではないか、なじむのか。それから、単にポスト一つとしてみなされて、任期が四年にもかかわらず短期で替わることにはいかがなものか。あるいは、今日、政務活動費問題も含めて、議会に関わる住民監査請求が多く上がっていて、これでは審査できないんじゃないだろうか。これは確かにそういうふうな議論があって、議選監査委員制度自体の廃止というのも長年強調されていました。  私自身は、二十九次地制調の際にも少数説だというのを取っていたと思うんですね。言わば用心棒説というのがあるんですが、これは、監査委員制度が生まれたときに、政府説明で、識見だけではなくて力を持った議選がいることによって充実した監査が可能なんじゃないだろうかという議論だったと思うんですけれども、政治的な感覚を持って監査に当たることも必要だ、実際にはこうした役割を実践している議会は少ないかもしれないので、その可能性というのはあるんじゃないかなというふうに思っています。だから、なくせばいいという議論ではないということです。  ただ、そうであっても、私は今回の選択制について評価をしているのは、監査委員制度自体、そして議選制度自体をそれぞれの自治体議論する機会になるというふうなことなんですね。そこの中で、どういうふうな議選委員ならば必要なのかということを議論する機会になるのではないか。だから、つまり、議選制度があるから議選を置くのではなくて必要だから置く、あるいは、廃止するならばどのような監視機能強化し、監査委員との連携を強化するかどうか。議選を配置するかどうかはともかく、識見議会の同意です。だから、どのような人を識見として同意するかどうかというのを是非議論をしたい、そういうふうなことだと思うんですね。  その上で、留意点として三点ほど述べさせていただきますが、一つは、監査委員制度が設置されたときに、実地検査権というのは監査委員に移っちゃっているんですね。だから、もし議選を廃止するのであれば実地検査権というのも議会に付与する、そういう議論の展開というのは今後課題としてあるんじゃないだろうか。また、議選をなくすとすれば、監査委員というのを議会からの選挙ということも今後議論することでもあるんじゃないかというふうに思っています。  留意点の二点目です。それとも関係しますが、監査委員制度というのはすごく大事なんですけれども、その監査委員事務局がいまだに必置じゃないんですね。そして、設置しているとしても、総務課やそれから議会事務局との併任ということも多い。だから、そこのところを今度充実させる。だから、議会事務局必置と同時に、その監査委員事務局必置制というのも今後考える必要がある。  さらに、ちょっと私は自治法、自治的な制度としては変則だと思っているんですが、議会の身分を残したまま執行機関監査委員になっているわけですね。だから兼任になっているわけですけれども、この整合性を今後どうしていくかどうか。私自身も結論を持っているわけではないんですけれども、今回のものについても次善の策として考える必要もあるのではないだろうかというふうに思っています。  それ以外の監査委員制度については、勧告制度創設とか監査専門委員創設などは、基本的に監査委員充実させる、監査機能充実させる意味では評価をしたいというふうに思っています。  なお、この分野で、三十一次の地制調答申、これとの少し異同があるわけですね。それは何かというと、全国を通じて統一的な基準を策定する、監査委員研修義務化していく、それから監査事務助言等を行う全国組織を設置するというのが答申の中に書かれているんですが、私は今回これが外れたことは高く評価をしたいというふうに思っているんですね。もう既にこういう制度がありますし、実際上は研修もやられているんですね。またぞろそういう制度をつくる必要は私はないんじゃないかなというふうに思っています。これが一つです。  次に、決算認定についての議会への報告規定の整備についてなんですが、なぜこれが今までなかったのかどうなのか。要するに、専決処分については先般の自治法改正専決処分の承認の否定後の対応が義務化されています。恐らくこれをスライドさせたものだというふうに思っていますけれども、要するに、決算、終わったことだからって軽視する風潮をなくすことにもなるし、それから関連事項が動いているから重要だという狭い活用の仕方ではないんですね。  今日、本丸として、財務過程議会が関わっています。予算を審議するためには決算認定がすごく大事だ、決算認定をするためにはしっかりと議会でも行政評価をやっていく、そういう流れの中ですから、この決算審査こそが今後の予算審査の中ですごく充実する。だから、是非、まず今回のことというのは評価をしています。  ただ、今回の場合は、必要と認める措置を講じたときはという限定が入っているんですね。恐らく、政治的なあつれきの中で不認定ということも想定しながら、そういう場合に限ってということになっていると思うんですが、不認定の場合には議会側からも説得的な説明が必要になってきているなというふうに読みたいというふうに思っています。  そして、三番目には、地方公共団体の長等の損害賠償責任の見直しということなんですが、これも三十一次の地制調でいろいろ議論があって、その後も議論があるところだと思います。  大きくは二つあるわけですが、一つは、善意で軽過失の場合に賠償責任額を限定してそれ以上の額を免責すること、これを条例で定めるということだと思うんですね。もう一点は、住民監査請求に関する損害賠償請求等放棄議会議決するとき、議会は今までもできたわけですけれども、そのときは監査委員からの意見聴取をする。  一点目は、軽過失免責を取っていない、一方で、従来どおり監査請求ができるし、住民訴訟ができる、他方で、過大な責任は取らない配慮がされていると思います。  問題になるのは二点目だというふうに思います。係属中の賠償責任放棄することを制限するかどうか、いろんなところで議論がありました。私自身は、一点目と絡めながらこの二点目の議論をしていかないと、その条文だけを読んでいくと従来と同じじゃないかというふうに読めてしまう可能性もあると思うんですね。だから、一点目と二点目を絡めながらというふうに思っています。  そもそも私は、今までの二十九次の地制調の中でも、原則論として、地方分権時代議会が高まっている時期に議会権限制限する、係属中という規定がありながらも、今回なくなっていますけれども、問題はあるというふうに考えていました。ただし、住民感覚からするとそういうことについても問題がある。そこで監査委員からの意見聴取を組み込んだというふうになりますけれども、監査委員に問題があるから住民訴訟になっているわけで、そこに、監査委員に聞いてもどれだけの意味があるかどうか。これはこれで一つ議論として成り立つんだと思うんですが、今回ベターだというふうに考えているのは、一点目が効いているんだと思うんですね。  既に賠償責任額を限定してそれ以上の額を免責としている、そうだとすれば、それ以上の免責放棄根拠が必要になってくるわけです。だから、そこのところをどのように議論していくかどうか。今までも、通常、放棄というのは一部放棄ではなくて全額免責なんですね。だから、そこの一点目と絡めながらそこで慎重に議論する。要するに、議会にも監査委員にも説明責任が求められているというふうに思います。  繰り返しになりますけれども、三十一次答申係属中の放棄の禁止が強調されているんですが、これは今回なくなっていますけれども、議会権限を奪うのは、分権時代に、そして政治時代に私はなじまないというふうに思っています。住民感覚と外れた行動を議会に取らせないためにも、しっかりと説明責任強化によって外堀をしっかり埋めていくような改正一つ方向性かなというふうに思っています。  その上で、巨額の損失を自治体に被らせないためにも、次の内部統制強化が必要になる、それが次の論点なんですが、なぜ今までこうした内部統制に関する方針の策定等についてこういうことがなかなか広がらなかったかどうか。私たちが調査した中でも、実際上、市町村においては三十数%はまだそういう議論は知らない、去年の段階ですね、あるいは町村においては四〇%以上がそういう議論は知らない。是非、この内部統制をしっかりしていく、そういう方向性にかじを切ったということは評価したいと思います。  そのことで報告書等が公開されるわけですから、議会もこれを活用する、そして住民もそれを活用するというような、実際上活用方向に役立つことはできるんじゃないだろうかなというふうに思っています。  今回、義務化が都道府県とそれから政令市、指定都市に限られているんですけれども、私は、それ以外のところでも積極的に位置付ける、さらには、庁内部の話だけではなくて、こうしたリスクマネジメントというのは議会にも必要だと、だから、今後議会としてもこうしたものを、リスクをあぶり出して不正がないようなシステムをつくる必要があるんじゃないかなというふうに思っています。  以上、ガバナンス強化、とりわけ住民との関係でこの拡充、活用できるところ、あるいは課題について述べさせていただきました。  あと一分あるので一つだけ。ちょっと私が今後議論しなきゃいけないところというのは、監査委員監査基準を策定する際に国が指針を出すことになっているわけですけれども、私は、指針を出すことは重要だと思うんですが、既に技術的な助言があるのに、同じように法的拘束力があるわけではないので、大臣助言の意義はどのような関係性があるかどうかというのは十分議論した方がいいのではないだろうかというふうには思っています。  以上、ガバナンス強化に絞って、最初意見陳述を終わらせていただきます。
  4. 横山信一

    委員長横山信一君) ありがとうございました。  次に、阿部参考人にお願いいたします。阿部参考人
  5. 阿部泰隆

    参考人阿部泰隆君) 本日は、参考人としてお呼びいただき誠にありがとうございます。阿部泰隆です。  お配りした資料に基づいて、若干修正しながらお話ししますので、お手元で御覧ください。  私は、行政法研究者行政関連事件弁護士として半世紀以上、法治国家の実現を目指してきました。それで、住民訴訟というのでは原告側で多数行っています。それで、行政の違法を多数是正させました。そこで、住民訴訟、これは地方公共団体での違法行為をなくす、住民のためにもなるということですから、この機能を減殺していくのではなくて、生かしていかなければなりません。  今回問題になるのは権利放棄議決の方だと思いますので、それでお話しします。  軽過失免責の問題については、私たちが軽過失免責は行き過ぎだと言って反対して、責任制限という形でまとめていただきました。これ非常にいいことだと思ったんですが、そして、いい法案ができたと思ったら、権利放棄議決文言上は自由にできるようになっていて、これではもうウナギを注文したら毒蛇が出てきたという感じがしています。  その権利放棄議決条文文言上自由になっている。そうすると、実際上そこで争われて、住民訴訟をやるのは非常に大変になるので、もう住民訴訟については改悪というよりもむしろ死刑法案であると。  法治国家、これは基本基本で、先生方が一番肝に銘じておられるはずのところですが、放っておく放置国家になる、地方公共団体では違法行為のやり放題と。私、研究者でいたら、役所はきちんとやっているのが普通だと思っていたんですね。行政法学者の偉い先生はみんなそう思って、違法行為は例外だと思っていたんです。ところが、弁護士になって相談を受けたら、もう役所違法行為のオンパレードと。まあ率からいったら高くはないでしょうけれども、実際に僕のところに相談に来るのはそういうものが非常に多くて、それで行政救済機能しないと、みんな泣いているということです。じゃ、そういうことは許されませんのでと。  それで次に、認知症に陥った老人財産を管理している成年後見人がそれを自分の口座に移したとしたら横領罪ですね。そして、後見人監督する後見監督人が、それを問責して追及すべきところ、目をつぶっていたら、これは後見監督人後見人共犯となって老人財産をかすめ取ったことになりますね。  次のページ。それで、市長ということにしますが、市長住民に代わって住民財産を管理しています。自分財産ではありませんから、後見人のようなものです。議会執行機関監督していますから、言わば後見監督人のようなものです。市長市有財産を売却する際、入札にすべきところ、随意契約で、しかも著しく安く売ったということがあれば、これは違法行為です。それで、差額分損害が市に発生します。市長個人注意義務違反があれば、過失として市に対する賠償責任が生じます。不法行為です。つまり、市は市長個人に対して賠償請求権という権利を取得します。市の代表者である市長は、これポストとしての市長の方ね、この市の財産自分に対する権利を管理しています。これは住民財産ですから、誠実に管理しなければなりません。それを放棄することはこの義務に違反します。  議会がこの権利放棄するという議決をするということは後見監督人後見人監督を怠っているのと同じで、これは、市長は本来背任罪だと思うので、その共犯になるはずです。それで、そういうことは議会の多数派の支持を受けている市長にだけ可能なんで、退任しちゃったらもう責任追及されます。それは、京都のポンポン山事件市長なんかはそうです。だから、これは極めて恣意的な制度だし。  それで、じゃ、何でこれは許されるかというと、最高裁が間違ったからです。  地方自治法九十六条一項十号は、議会権利放棄議決することができるとして、どういう場合にできるか、何の制限も加えていない文言を置いているので、最高裁は、基本的に裁量だと、裁量ラインを割れば許されないという判断をしたんですが、法律解釈法律の断片的な言葉だけに着目してはなりません。そんなことだったら法律家なんて要らないんです。そうじゃなくて、法律というのは完全にできていませんから、そうすると、法律全体の構造、体系からあるべき解釈を導く、これが法解釈学という仕事なんですね。  裁判所が、ところが真っ当な法解釈をやらないものだから、わざわざ平成十六年の行政事件訴訟法改正で、「根拠となる法令の規定文言のみによることなく、」という言葉を入れて、裁判所法解釈をもっとまともにやれよという注文を付けたんですね。それなのに、相変わらず最高裁は断片的な言葉だけで解釈している。  それで、財産管理権は長にあるし、議会はそれを監督する責任があるんですから、議会も長も住民財産放棄する裁量権はないはずです。総務省も本来こういう解釈しているはずなんですね。それだから、最高裁平成二十四年の解釈は誤っているから、これを是正させるべきだと思います。  それで、しかも、訴訟の話ですが、私はこの事件答弁書というのを出したんですが、最高裁は私の主張に対して一切反論しないで、一方的な判断をしているだけなんで、まあこれは個人の悔しさですけれども。最高裁判例を是正できるのは、大法廷以外は立法機関です。だから、立法者が不合理な判例を是正すると、これが重要な任務で、是非とも果たしていただきたい。  今回の法案は、過失の場合、責任限度額を設定しますので、市長が僅かな過失で重い責を負うことはありません。保険でほぼカバーできるでしょう。あるいは、カンパでカバーできるんです。神戸市長は、私の住民訴訟で何度か負けましたが、何千万ぐらいだと、みんな、奉加帳を回して、もう部下に払ってもらいました。だから、何千万単位だったら、神戸市ぐらいであれば何ということないんです。だから、権利放棄議決は必要ありません。  その上、権利放棄議決について、地方制度調査会が係争中は禁止と答申を出して、総務省の原案も当初はそうだったはずなんですね。それで、総務省は僕にその当初の原案をくれました。ただ、それを国会に余り渡すなとかと言われたんですが、とにかくちゃんと原案はもらいましたからね。  ところが、なぜか法制局で、係争中に限らない、いつでも放棄できるような条文にしちゃったんですね。そうすると、条文上は、市長が故意に公金を使い込んでも、議会が同じ仲間なら、権利放棄してもらって免責してもらえるということになるわけ。少数与党だったら駄目です。だから、今、名古屋市長だったら駄目なんですね。だけど、神戸市長なら大丈夫なんですね。そんなのは極めておかしいでしょう。故意に公金使い込んで勘弁してもらえるなんて、そんな制度はどこにもありません。  恩赦も刑事事件だけです、民事でそんなものありません。住民は無資力のときだけ債務を免除されるという規定がありますが、そうでなければ、税金ならとことん追及されて払わされます。  じゃ、その次。じゃ、これに対して権利放棄が無効だという住民訴訟を起こせばいいではないかと言われる方いっぱいあるんですが、これは住民訴訟の実態を御理解いただいていない。元々住民が違法、過失損害ありとして勝っても、また権利放棄した。そうすると、今度は権利放棄が有効かどうかという裁判になる。それで、裁判所権利放棄の要件書いてないからこれは自由裁量だなんという判断をする可能性があって、さんざん争われて、何年かたってやっと判例が出て決着が付くということになります。  その間、原告側は手弁当でさんざん苦労して裁判をやります。被告側は負けても全部税金で弁護士費用を払ってもらえるようになっているんです。だから、被告は一〇〇%勝てないと分かっている事件でも全部控訴、上告します。およそ不公平になっていて、これだけでも住民訴訟はやっていられない。だから、私は大分やりましたが、もう桃クリ三年柿八年、住民訴訟十年です。だから、私はもうやめます。機能するようにしていただいたらやるかもしれませんが、もうこの世の中、どんな違法行為がはびこっても、もうどうにもならぬと思っています。  その次。衆議院総務委員会の高市総務大臣の答弁、それへの反論ですが、やっと法案の理由が出てきたんです。ドイツやフランスあるいは台湾では、法案の理由、逐条理由書を国会に先に出します。それで、国会は最初から議論できる。日本じゃ、分厚い資料は出てくるけど、法案の個別の条文の解説は出てこないので、国会でこれ質問してやっと出てくるんですね。そのうち、衆議院は通過しちゃっているんですね。それで、参議院ではそれを前提に議論しようかと思っているけど、なかなか、もうこの段階で僕の言うとおりにしてもらえないと。だから、この国会の慣行を変えて、法案には必ず理由書を付けるというふうにやってほしいんですが。  まず、これ、高市大臣は、議会議決による権利放棄議決については免責条例との均衡を踏まえて適切な判断がなされるとか、どういう場合に許されるか要件を明確に規定することは困難であるなんて言うんだけど、しかし、軽過失についても免責しないである程度責を負わせると言っているんだから、重過失と故意の場合は免責一切できないと考えるのが当然で、ただ、議論の余地はあるんだから、それ、できないと条文書くべきだというのに対して、何かいろいろ考えていることがあるか、じゃ、どういう例外があるのか、きちんとしてほしいものです。で、例外がなければ全面禁止にすべきです。  ここで、違法行為から生じた債権なんですね。違法行為をやって、しかも、市長が、俺のやつは勘弁してくれと議会に言うわけです。第三者が言うんじゃないんです。それは極めて異常なことです。だから、これ、本来全部禁止で、例外的に許すものがあるとしたって、正当な場合、やむを得ない場合とかというふうにして、それを議論する。それでも争いは起きますけど、原則を禁止というふうにしていれば論争はぐっと減ります。  あと、議会による権利放棄はこれまでも認められていたと言われているけれども、それは先ほど申し上げたように、地方自治の体系的解釈の誤り。総務省もそういう見解を取っていなかったはずで、最高裁がそういう見解を取っちゃったから、それを使っているだけで。  その次に、地方分権時代地方公共団体財産の管理権を一律に制限することは地方分権の考え方にそぐわないなんと言われるけれども、地方自治法はがんじがらめに規定しています。日本の地方自治法は非常にくどい、細かく決めて自治体の自由を奪っていますから、何これ今言っているのと思います。  それから、総務省は適切な助言を行うと言われますが、総務省がどんな助言をして、それを守ってもらえるか分かりません。こんなの何の意味もない。白紙委任です。それこそ地方分権に逆行する。こんなのは法律できちんとルールを明確にした方がいい。  監査委員意見を聴いても、監査委員は間違っても責を負わないから何とでも言います。だから、何事も自分のやったことに責任を負うと。だから、監査委員意見が不適切だったら賠償責任を負うという制度をつくっていかなきゃいけません。本当は、住民訴訟市長だけじゃなくて議員だって違法な議決をしたら責任を負うと。だから、議会は記名投票にする、していただかなきゃいけません。  そうして、このままでは市長違法行為をしても議会の多数を味方に付けている限り安心というので、法治国家はますます後退する。では、どうしたらいいか。違法行為から生じた債権の放棄は全部禁止すると。適法行為じゃないですよ、違法行為で、しかも故意、過失がある場合というふうに。だから、与党の方は衆議院では修正案に応じていただけませんでしたが、要件を明確にして争いをなくすというのは立法の常道ですから、賛成していただきたい。  じゃ、許される場合は何かというと、その次、第三セクターが破綻するときに銀行団と協調して債権を放棄する、これはやらざるを得ません。そういうことは許すと、これは違法行為じゃありませんからね。  それから、市長は、後で責を負わされたら大変だから必要な施策もできないなぞと言われますが、それは法令コンプライアンスをしっかりやればいいんで、今まで住民訴訟過失ありと言われているのは、独断専行でやったり、思い込みでやったり、無理なことをやっている例、あるいは違法だと分かっているけれどもやっている例というのが非常に多いんですね。大抵そうです。だから、法令コンプライアンスやったらと言ったら、法令コンプライアンスやると、やるなと言われるからやらないだけなんですよ。それで、これ全部税金でできますから、やらせたらいい。  それで、市長は、神戸市長なんかも、行政判断に何で司法が介入するのかなんて言っていましたが、法治国家では行政判断でも司法の下にある、法律に引っかからないようにやらなきゃいけないと、このイロハのイを分かっていただかなきゃいけない。最近、国立市長が、元の、住民運動でやったことを何で違法と言われるのかなんて言っていましたが、住民運動でやろうと公約であろうと、それが違法かどうか、これは吟味して違法にならない範囲でやらなきゃいけない、これが法治国家における市長のイロハのイなんです。  それで、最後。必要な施策で、どうしてもやりたいんなら、議会の方にあらかじめ話して、万が一責任があったら放棄する、責任を免除するという議決をしてもらったらいい、それで大丈夫ですと、そういうお話で。  最後に私の修正条文ありましたが、言わなくてもいいかもしれませんが、念押しで。自治体の長は財産を善良な管理者の注意義務をもって管理しなきゃいけないと、あと、違法行為から生じた債権は放棄できない、適法行為の方だったら放棄できる場合があると、こうすると明確になると。  それで、とにかく、裁判であれこれあれこれ言って、住民訴訟住民側はくたびれ、役所側の弁護士はぼろもうけと、こういう不合理なことはなくしてくださいと。  以上です。
  6. 横山信一

    委員長横山信一君) ありがとうございました。  次に、中山参考人にお願いいたします。中山参考人
  7. 中山徹

    参考人中山徹君) 奈良女子大学の中山と申します。  私の専門は、法律というよりも町づくりとか都市計画、農村計画です。この間、地元で、奈良におりますので、奈良でいろんな自治体と地方創生等々にも取り組んでいます。そういう視点から、今回の地方自治法の一部改正、とりわけ地方独立行政法人との関係で私の考えを述べさせていただきたいと思います。  今回の地方自治法改正の背景なんですが、ここにも書かれていますように、人口減少に適切に対応するためとなっています。人口減少への対応は重要ですけれども、そのことをめぐって、実際地域ではいろんな問題が生じています。その点について若干触れますけれども、多くの市町村が人口減少に対応しようとしていますが、そもそもその前提に非常に大きな問題があるのではないかな、そう思っています。  市町村は、この間、人口ビジョンを作成し、総合戦略を立てています。その理由は、このまま人口が減って、社人研、国立社会保障・人口問題研究所の出している予測に沿って地域の人口が減ってしまうと大変なことになる、それを防ぎ、人口減少率を穏やかにしつつ、人口減少の弊害を少しでも少なくする、それが総合戦略であったかと思います。  また、市町村の指針となったのが国の作成した長期ビジョンですが、それによりますと、社人研の予測では百年後には四千万人台、そこまで人口が減るということに対して、政府の作成した長期ビジョンでは今世紀後半では人口九千万人ぐらいで安定させたいと、そういう目安になっています。  ところが、この間、市町村が策定している人口減少への対応、例えば立地適正化、いわゆるコンパクトシティーですけれども、若しくは公共施設等総合管理計画、これらの前提には社人研の予測を使っています。この原因は、政府が社人研の予測を使えと指示しているからなんですけれども、これは明らかにおかしなことです。  社人研の予測によりますと、予測のようになると大変だから、政府から自治体まで総力を挙げて地方創生に取り組もうとしていたはずです。ところが、市町村は、自らが作成した人口ビジョンよりもより大きな人口減少率に基づいて公共施設の統廃合を進め、中心部への集中を進めようとしています。人口が大幅に減るから公共施設の総量を削減しないと財政がもたない、人口減少に対応して都市的な施設を中心部に集中させないと地域全体が衰退してしまう、そういった理由です。  この間の市町村の動きを見ていますと、どちらかというと過大と言えるような人口減少予測に基づいて様々な開発計画を立てているのではないかなと思います。  そのような開発や公共事業を進める財源ですが、大きく二つ想定されているかと思います。一つは、医療や福祉、市民向けの予算を削減するということ、それともう一つは、いわゆる行政改革、人件費の削減やアウトソーシング、そういったもので今後の開発、公共事業予算を生み出そうとしているのではないかなと、そのように読み取れます。  残念ながら、今回の地方自治法改正もこのような一連の動きの中にあるのではないかと懸念しています。人口減少を掲げて、市民生活に甚大な影響を与える自治体業務のアウトソーシング、そういったものを進めようとしているのではないかなと、そのように思います。  今回の改正で対象としているのは窓口業務、関連業務ですが、この窓口業務というのは市民と行政の接点部分でして、市民にとっては非常に重要なところです。これを行政から切り離して地方独立行政法人が担えるようにするというのには二つの問題があるのではないかなと思います。  一つは、市民にとっての問題です。窓口業務というのは、市民を市民にとって必要な施策につなげていける端緒ではないかなと考えます。もちろん、証明書の発行業務、そういった点もありますけれども、同時に、市民が初めて窓口に行くところでもあるわけで、そういった市民が必要な施策につなげられるかどうか、ここは非常に重要なポイントではないかなと思います。ところが、行政職員が担う業務と法人職員が担う業務が分断されてしまいますと、それが困難になりはしないかと、そのように考えます。  もう一つは、地域にとっての問題です。地方独立行政法人が窓口業務を処理できるようにする、その大きな理由はコストの削減ということが目的ではないかなと思います。今回あらかじめ配っていただいた資料で先行的な事例として紹介されているところも、その効果というふうに挙げているのは経費の削減とかコストの削減、職員の削減になっています。ところが、さきに述べたように、削減した経費を新たな開発や公共事業予算に充てようとしているのではないかなと懸念されます。  人件費は地元で消費される部分が多く、地域経済にとっては大きな位置を占めます。その部分が縮小され、大型公共事業や開発に回しますと、地域経済にとっては残念ながらマイナスになります。このような削減がトップランナー方式と連動しますと地方交付税の削減につながり、地域全体で動くお金そのものの減少ということが懸念されます。  このようなことを、私、町づくりなんかやっていますと、どちらかというと一九九〇年代、その再来ではないかなと、そのように考えます。しかし、それ以上の結果も残念ながら想定できます。  どういうことかと申しますと、一九九〇年代は、当時は過大な人口増加予測、需要予測に基づいて過大な公共事業を展開しました。その背景になったのは都市間競争ですが、都市間競争ということで、市町村は大規模な開発にのめり込んでしまいました。しかし、過大な需要予測に基づいたため、あちらこちらで事業が破綻し、また、事業は進んだものの想定以下の利用にとどまり、地域経済へのインパクトというのは限定的でした。また、当時は財源を起債に頼ったため、ところが、その後、税収増が起こらなかったため財政悪化を招き、その後、福祉や市民向け予算の削減、そういう事態を当時はもたらしました。  今回は、過大な人口予測ではなくて、発端になっているのは自治体消滅論です。自治体消滅論があり、過大な人口減少予測を立て、それに基づいて過大な公共施設の統廃合、コンパクト化、そういったことが全国各地で進もうとしています。  しかし、都心部を開発しても需要が増えるわけではありません。インバウンドに至っては、海外の需要に依拠しているわけで危険性は更に高くなります。一九九〇年代は財源を起債に求めて、その結果、財政が悪化し、結果的に市民向けサービスの削減へと進みました。今回は、財政状況から起債にかなりの部分を求めるのは難しいため、最初から市民向け予算を削減する、若しくは行政改革、アウトソーシングで予算を確保しようとしているのではないかなと思います。  二十一世紀に入って、大都市圏を除きますと、大型公共事業はやや低迷していました。ところが、最近になって、人口減少を掲げた都心部の開発、インバウンド、そういったものが状況によっては暴走と言えるような事態に今生じ、入ろうとしています。特に目立つのは、リニアの新駅周辺とか長崎新幹線とか、そういった新しい鉄道が通るような駅周辺の開発、若しくは、グローバルMICE都市の指定が行われていますけれども、そういったところでもMICE施設整備の競争が起こっています。以前から国際展示場とかは造られていましたけれども、当時造られた国際展示場というのはその地域の周辺の需要というのを前提にしていましたが、今回は国際的な需要を取り込むような計画になっています。  コンパクトシティーも同様です。立地適正化を作成した自治体は既に百二十を超えていますけれども、そのうち都市機能誘導区域のみを指定している自治体が全体の三分の一程度です。多くの自治体は、市街地の縮小というのではなく、むしろ都心部の開発を進めるために立地適正化を活用しようとしているのではないかなと思います。  もちろん、誤解のないように付け加えますと、コンパクトシティーを否定しているわけではありません。人口減少とともに、市街地の拡大を抑えて人口密度を一定以上に保つという施策は重要です。元々ヨーロッパでスタートした考え方ですし、今日も来られていますが、富山市を始め、日本では様々な先駆的な事例もあります。そういったものを全て否定する気は毛頭ございませんけれども、ただ、現在生じている多くの事例というのは、市街地の拡大を抑えるというよりも都心部の開発を進める、そちらに力点があるような、そういう感じに見受けられます。地域によっては一九九〇年代の再来ではないかなと、そういうふうに思われます。  一方、今回の開発や大型開発が成功する確率は一九九〇年代より低いと思います。一九九〇年代とは異なり、人口が減少し始め、高齢化が急速に進み、経済規模の拡大がかつてほど見込めないからです。駅前を中心に地域の需要を上回る公共事業を進めても、事業そのものの破綻が考えられます。仮に事業としては成立しても、周辺部から人や消費を奪うだけであって、周辺部の衰退が加速される可能性が高いと思います。公共施設は人々の日常生活を支える基本ですが、それが地域からなくなると人々の日常生活が成り立たなくなります。このようなことを進めますと、失われた二十年以上の結果がもたらされかねません。  過大な人口減少予測、必要以上のコンパクト化、地域の公共施設の統廃合、市民サービスの低下、行政力の低下、それが市民生活の破綻、地域経済の衰退、更なる人口減少の加速化という、かつてでは見られなかったような悪循環に陥る危険性、この負の連鎖というのが今回の非常に大きな可能性ではないかなと思います。  さらに、行政との関係で一点述べておきます。  先ほど申しましたように、大型開発や大型公共事業の財源を確保するために行政職員の削減、アウトソーシングを進める、これについては非常に大きな懸念があります。むしろ、少子化対策を本気で進めていく、高齢化対策を充実させるためにはそれらの充実が重要です。人口減少が進みますと、民間企業の撤退も予測できます。本来であればこのような事態に行政こそがきちんと対応すべきですが、今の趨勢は、市民の助け合い、互助、そういったもので乗り切ろうとしています。  では、どうすべきかというところで簡単にかいつまんで申しますと、人口が減少する時代、普通に考えますと大規模な開発は不要です。大型の公共事業は最低限必要な防災分野などに限定すべきです。今地域で起こっていることは、過度の人口減少を抱えて、コンパクトやインバウンドに代表されるような大型開発を進め、その財源を確保するために市民向けのサービスの削減、アウトソーシングを進め、市民にとって必要な業務は、地域包括ケア、地域運営組織などで市民に丸投げしようとしています。それに対して、医療、福祉、行政サービスの拡充をまず第一に考える。第一次産業や地元製造業、商業、再生可能エネルギーの発展などにむしろ予算を割き、その財源は政府責任で、収益を上げている企業の内部留保若しくは富裕層に求め、市民と行政が話し合って協働し、事態を打開する、ここに地方自治を、地方政治をめぐる大きなポイントがあるのではないかなと思います。  中心部の開発、地域活性化というような発想ではなく、地域資源を生かした地域経済の活性化を考える場合、市民、事業者、行政など、様々な主体の連携が重要になります。その要に座るのが行政です。そこをアウトソーシングなど安易な発想で弱体化させてしまいますと、地域の要が失われるのではないかなと思います。このことは、残念ながら、市町村合併で中心部に事実上吸収合併された周辺部を見れば一目瞭然ではないかなと思います。きめ細かな少子化対策を取らなければ人口減少の歯止めが掛かりません。急速に進む高齢化に対応しなければ介護難民が地域であふれ返ります。そのような対策を進める中心が行政であるべきです。そのような点から見ると、行政の力を低下させかねない今回の改正はもう少し慎重に考えるべきではないかなと思います。  人口減少が生じるのは確実ですけれども、過大な予測は禁物です。政府が作成した長期ビジョン、自治体が作成した人口ビジョン、それを実現するのが重要であり、その要に座るのは行政です。そのような行政の弱体化につながりかねない法改正についてはもう少し慎重に検討すべきではないかな、そのように考えています。  以上です。
  8. 横山信一

    委員長横山信一君) ありがとうございました。  次に、森参考人にお願いいたします。森参考人
  9. 森雅志

    参考人(森雅志君) 改めまして、おはようございます。  先生方お三方と違って、私は恐らく現場の実務者としての声を発表させていただくということでお呼びいただいたと思っていますので、そういうトーンでお話をさせていただきます。  今もお話がありましたが、超高齢社会の進展や人口減少社会にあって、一段と財政状況は厳しくなることが容易に予想できます。こうした中で、地域経済が安定し、人々が快適で安心して暮らしていけるように、さらに、二十年後、三十年後の将来市民にも責任が持てる持続可能な都市経営を確保していくことが必要であり、そのため、富山市としましては、十年以上前から公共交通を核とした拠点集中型のコンパクトな町づくりに取り組んでまいりました。同時に、市民に対して都市経営の担い手の責任ある立場にある身としてしっかりと説明責任を果たし、理解していただく必要性についても十分心掛けてきたつもりです。  また、今回の改正に係る内部統制監査制度等のガバナンスの整備につきましては、現行制度においても自治体自らが自立的、自発的にしっかりと取り組んでいく当然の責務であり、既に本市では様々な取組を進めてまいりました。阿部先生が原告代理人となって訴え提起されることのないように気を付けてきたつもりであります。  平成十四年度からは、弁護士一名、学識経験者二名から成ります富山行政苦情オンブズマンを配置し、市政に関する市民の苦情の調査及び迅速な処理を行うとともに、市の機関に問題があると認められるときには是正の措置の勧告、さらには、苦情の原因が制度そのものに起因すると認めるときには制度の改善を求めるための意見表明を行うなど、公正かつ中立的な立場で市民の権利擁護を図り、開かれた市政の推進、市政に対する市民の信頼の向上に努めてまいりました。  また、平成二十四年度からは、それまで活用しておりました顧問弁護士に加えて、弁護士資格を有する者を新たに特定任期付職員として採用し、法令解釈訴訟業務のほか、職員の法務能力の向上のための指導に努めてまいりました。  加えて、自然災害や大規模な事故などの様々な危機事象に対して迅速かつ適切に対応するために、平成十七年四月から退職警察官を危機管理統括監として、同じく平成十七年九月から退職自衛官を危機管理副統括監として配置してまいりました。  そのほか、情報システムの最適化の計画推進や、橋梁等の土木構造物の維持管理、国際観光や企業誘致に関する国内外での交渉業務を円滑かつ適正に推進していくため、それぞれの分野における専門的知識と経験を有する者を特定任期付職員として採用してまいりました。さらに、平成二十八年度には公認会計士の有資格者を一般職員として採用し、会計の専門家としての知識を生かした公共施設マネジメントを始めとする適正な自治体会計の推進に努めているところであります。  もとより、多くの自治体においてもこうした取組を積極的に推進しておられるものと認識しておりますが、今回の改正は、こうした自治体が自発的に取り組んできたガバナンスの整備をよりスムーズに後押しする効果が期待でき、大変有り難いと考えております。  まず、内部統制について意見を申しますと、私個人としては、これまでも、不祥事や不適正会計への対応だけでなく、こうしたことを未然に防ぐための内部統制の整備や運用も長の責任であると認識してまいりました。しかしながら、基礎自治体である市町村における事務は多岐にわたり、また、今日的な課題に対応するため、その量は増大してきております。このため、事務の重要度に応じて各レベルで適切に判断することが必要であり、簡素で効率的な組織をどう構築し、どう運用するかが特に長の手腕の発揮するところであると考えております。  こうしたことから、地方自治体ガバナンスとマネジメントを抜本的に見直す今回の改正については、長のトップマネジメントをより効果的に発揮できることを主眼としている点で評価できるのではないかと思っております。  特に今回の改正において必ずしも義務付けられておりませんが、自治体予算は、人口の少ない自治体においてでさえ、全ての会計を合算しますと大規模な企業の売上高に匹敵し、しかもそのほとんどが税金で賄われていることを思料しますと、自治体の財務に対してこれまで以上の規律を求めることについては理解ができます。  しかしながら、先ほども申し上げましたが、本来、こうした内部統制、組織等をどう整備するか、運用するかは長に与えられた専権的な権限一つであるとも考えますので、今後示される省政令において長の裁量の幅が狭められることのないよう制度設計されるよう、御留意をお願いしたいと考えております。  次に、監査制度充実強化についてですが、監査については、自治体の長として、その結果を真摯に受け止め、行政執行にしっかりと反映する責任があるとこれまでも意識してまいりました。先ほど申し上げた内部統制というものが制度として確立され適切に運用されていくためにも、監査の役割は一層重要になってくるのではないかと思います。  また同時に、監査の水準を一定水準以上に向上させる必要もあります。正直申し上げまして、全国自治体監査水準をしっかりと把握しているわけではありませんが、政令市のような大規模な自治体と小規模な基礎自治体においては、同水準の監査が行われているとは到底考えられません。こうしたことからも、今回の法改正により法律上の位置付けが明確になった監査基準全国自治体で策定されることは、お互いの監査の比較も容易になり、全国的な監査のレベルを向上させることにもつながると同時に、自治体内部統制についても効果的に機能させることにつながるものと期待しております。  しかしながら、あえて課題を挙げるとすれば、こうした仕組みを基礎自治体だけで構築する際には大きな負担が掛かることが想定されますので、小規模な基礎自治体への専門家の派遣などの支援をお願いできればというふうに考えます。  次に、決算認定の場合における長から議会等への報告規定の整備について意見を申し上げます。  富山市では、幸い今まで決算認定ということはありませんでしたが、今回の改正により、議会の不認定に対して講じた措置の内容を長が議会に報告することで長の説明責任を果たすことにつながり、意義があるものと考えます。  次に、地方公共団体の長等の損害賠償責任の見直しについて意見を申し上げます。  今回の改正は、軽過失の場合、条例により、長や職員の賠償責任限度額を設けることを可能とするものになっております。その背景には、長や職員個人に対し、一生掛かっても支払えない多額の損害賠償を命じる判決があったことなどがあり、長や職員が施策の実施に当たり萎縮する懸念があるものと認識しております。  こうしたことから、人口減少社会において創意工夫を凝らした施策を講じることが求められている中、今回の限度額を設ける改正としたことにより、全国の長や職員の萎縮効果が一定程度軽減されるものと考えます。また、今回の限度額を設ける改正は、その萎縮効果の軽減が図られながらも、住民訴訟制度の意義を踏まえている点においても評価できるのではないかというふうに思います。  また、関連して、損害賠償請求権議会による放棄議決について監査委員意見聴取義務付ける改正が提案されています。  議会による放棄議決については様々な意見があると思います。地方制度調査会答申においては、住民訴訟係争中には放棄制限すべきではないかと答申されてもおり、先ほど来御説明がありました。しかしながら、首長の立場で議会の権能について触れるのはいささかどうかという気もしますが、やはり、議会自らの権能ということについてしっかり保障していくことが地方自治の原則ではないかというふうにも思います。  現場の感覚でいいますと、上限が定められているのに上限以内の請求権を放棄するという議決が提案されるということはちょっと考えにくいですし、また議決されるということも考えられませんので、上限までは長たる者がしっかり覚悟を持ってその賠償の責めはのみ込んでいくということが必要ではないかと思いますし、その思いで仕事をしていくことこそが大事なんだろうというふうに思いますので、かなり成果が見込める改正ではないかというふうに思っております。  長や職員の個人責任の在り方について地方公共団体条例により事前にルールを決めた上で、事後的に請求権を放棄する際には監査委員意見を聴くということになりますので、議会放棄議決をする際は今まで以上の説明責任が課せられることになるだろうというふうに思います。  次に、独立行政法人の業務の窓口関連業務の追加ですが、窓口関連業務の民間委託に当たりましては、一部に審査や交付決定等の公権力の行使にわたる事務が含まれ、一連の事務の一括した委託ができず、コストが高くなり効果的な委託が難しいこと、また受皿となる民間企業も見当たらないことなどが課題となっております。  今回の改正案は、地方独立行政法人に窓口関連業務を行わせることができるようにすることで、一連の事務を一括した効果的な委託が可能になります。また、自ら地方独立行政法人を設立しなくても、他の市町村が設立した地方独立行政法人に業務を行わせることが可能になり、広域連携によりスケールメリットが生かされたコスト低減にもつながるものと考えます。  私どもの富山市の話を申し上げさせていただきますと、上下水道事業やごみ収集のほか、市民病院や一部の小中学校における給食調理業務、いわゆる現業部門においては積極的に民間委託を推進してまいりました。しかしながら、市民との窓口対応部門につきましては直接職員が対応することとしております。  例えば、富山市は、市民に身近な事務手続や相談ができる地区センター等を七十九か所設置しております。約九九%の市民が二キロメートル圏内にそれがあるという組織構成になっており、恐らく全国で一番たくさんあると思っております。ワンストップサービスのベクトルに逆行している取組ですが、しかし、歩いて行ける距離に職員が平均一か所四人おりまして、そこに絶えず行政サービスが提供されていて、仮に本庁舎へ行かなくても職員がフェース・ツー・フェースで様々な相談にも対応できるという状況です。私は、今後もこうした体制をできる限り維持していきたいと考えております。  しかしながら、全国の多くの地方公共団体においては、人口減少社会において限られた資源で行政サービスを行う必要があることから、職員の配置や窓口におけるサービス提供体制等の維持、対応に御苦労されている基礎自治体も多くあると考えられますことから、今回の改正によるメリットを生かして、それぞれの自治体ごとに民間委託が進んでいくことを期待したいというふうに思います。例えば給与計算とか旅費の計算とかですと、幾つもの自治体が共同で設置して任せるというようなことは十分考えられるかなというふうに思っております。  取りあえず、以上で意見の発表とさせていただきます。
  10. 横山信一

    委員長横山信一君) ありがとうございました。  以上で参考人の方々の意見陳述は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  11. 森屋宏

    ○森屋宏君 自由民主党、森屋宏でございます。着座のまま質問をさせていただく失礼をお許しいただきたいと思います。  本日おいでをいただきました四名の参考人の皆様方は、大変お忙しいところ、また遠路、それぞれの先生方、おいでをいただきました。心から感謝申し上げたいというふうに思います。  それでは、質問を四名の方にさせていただきたいというふうに思います。  今回の法改正につきましては、地方自治法等の一部改正ということと地方独立行政法人法の一部改正ということであります。私は、地方自治法等の一部改正という面につきましてお尋ねをしたいと思います。一部、中山参考人は、地方独立行政法人法の一部改正についての強い関心のお話をいただきましたけれども、地域の中でいろいろな場面で住民との関わりもあるということで、地方行政に対する関心もおありということで、これからの質問にお答えをいただきたいというふうに思います。  今回の地方自治法等の一部改正につきましては、これは先ほどからお話がございますように、第三十一次地方制度調査会答申に基づいて、基本的な考え方の中でのガバナンスの在り方についてということで、それを基にした法改正であるというふうに理解をしております。  この第三十一次の地方制度調査会答申におきましては、地域における人口減少が進み、資源が限られる中において、長、つまり首長、そして監査委員等、あるいは議会住民による適切な役割分担について述べているわけであります。また、各論において、その第三の中で、適切な役割分担に関するガバナンスにおいて現状認識を述べるとともに、今後の在り方について提言をされております。  そうした中での法改正というわけでありますけれども、私の関心は、先ほど森市長さんからお話ございましたように、あるいは森市長さんのいただきました資料を見させていただきますと、この私どもの委員会で作りました資料の九十ページを見させていただきますと、過去三年間において富山市においては住民監査請求の実績がないというふうなことで、このように、日頃、市長様が地域住民の中の皆様方と密接な関係の中においてその役割を果たされているという現状であります。  今回の法改正論点は、やはり住民監査請求やあるいは住民訴訟というものが起きた中でのその対処の方法、あるいはその方法ということもあるかと思いますけれども、やはり第一義的には、その以前に、いかに地域の中で、行政の中でガバナンスが利くような体制を整備をしていくか。それは、地方においては、長、そして監査委員、そして議会住民というこの四者の適切な役割分担ということであります。  そして、中でも、私は、議会の役割というものが非常に大きなものがあるではないかというふうに思っております。私自身も地方議会の出身者であります。今日、国の議会制度と地方の議会制度が、もうこの制度自体が異なる、システム自体が異なるという意味において、日本の地方の住民の中においてこの議会制度に対する理解というものが私は薄いんじゃないかなというふうに思っております。  特に、今回、ある都において、ある都といっても日本には一つしかありませんけれども、知事が地方政党を立ち上げて自ら議会の多数を図ろうという、まさに地方議会における、地方自治における二元代表制の機関競争に反するような行為をされているということ、これを国民の皆さんがどういう形で見ていらっしゃるかという、私は非常に疑問に思っているわけでありますけれども。  そうした意味で、今回の内部統制におけるそれぞれの役割という意味において、私は、先ほど江藤先生からお話ございましたけれども、議会のこれからの重要性というものは、改めて地方分権の中でその重要性というものを見直されるべきではなかろうかというふうな考え方を持っているわけでありますけれども、改めて四人の皆様方にそれぞれの異なったお立場の中から議会に対する考え方をお聞きをしたいと思います。
  12. 江藤俊昭

    参考人江藤俊昭君) ガバナンスという言い方についてもいろいろ論者によって違いがあると思うんですけれども、今議員が言われたように、それぞれが協力しながら、協調しながら地域経営を行っていくんだろうというふうに思います。  私自身も、今言われたように、議会の役割というのが本当に大事なんじゃないだろうか。二十六次の地制調答申も第二十九次の地方制度調査会答申も、住民自治の根幹は議会であるというふうなことなんですね。だからこそ、重要な地域経営における権限議会の方に与えている。これがずっと議論されていた九十六条、しかも、一項だけ重視されていたものが、第二項の議決事件の追加というのが今日すごく重要になってきているというふうに思います。  この議会というのは、全世界でも同じだと思うんですけど、多様性があること、議論することによって論点が明確になること、世論を形成する力がある、だからこそ住民自治の根幹だというふうに言われていると思うんですね。これは国政とは違った形で、住民自治というのが、住民参加というのが基本的に入りながら、そして議会と首長とが政策競争を行ってくる。これこそがすごく難しい。私は、今お話しのように、二元的代表制、機関競争主義という議論を言っていますけれども、ただ、これは正直言って難しいです。一方では、議会多数派と首長の政策が一致する場合は癒着になる可能性がある。住民にとっても、透明性の問題から問題だと。あるいは、議会と首長が政策的に激しく対立する場合というのは、不毛な対立が激化する。そういう中で、議会本来の役割と、その合議体の役割と、そして首長とが緊張関係を持っていくというふうな役割を重視するというのは重要なんですが、極めて難しい選択の一つだというふうに思います。  そういう意味で、今回の改正というのが、先ほどありましたように、監査機能充実させる、そこの中で議選の位置付けをどうしていくかどうか。私は議選は大事だと思っているんですが、選択の一つとして議選を廃止する場合もあり得る。そういう場合は、議会としてどういうような監査機能を重視していくかどうか。監視機能、政策提言機能を踏まえながら監査機能を重視していくかどうか。そして、内部統制については、首長の権限だ、責任だと言っていますが、そういうことを活用しながら監視や政策提言に生かしていける、そういうふうな活用の仕方があるのではないだろうかというふうに思っていますので、これを活用しながら今の議会改革を更に進めていくようなことをいろいろ議論していきたいというふうには思っています。  以上です。
  13. 阿部泰隆

    参考人阿部泰隆君) 申し訳ない、私に対する質問とは思っていなかったんですが、一言、どの点ですか。
  14. 森屋宏

    ○森屋宏君 四人の方に、それぞれ分野は異なるお立場だとは思いますけれども、今質問をさせていただいております。  三十一次の地制調において、人口減少社会においていかに地域の中でガバナンスの確保、ガバナンスを利かせていくかということの充実を訴えているわけでありますけれども、そうした答申において今回のこの法改正に至っているというふうに理解をしております。  そうした意味で、地域の中でのガバナンス充実をさせていくという意味で、議会の役割、先生は先ほど首長の責任ということに言及をされておりましたけれども、一方において、政策決定過程において議会はやはり大きな役割を果たしているわけでありまして、これから更に議会の役割というものは深まっていくのでなかろうかというふうな、私自身は、地方においてですね、思っているわけでありますけれども、それに対しての先生の御所見をお伺いをしております。
  15. 阿部泰隆

    参考人阿部泰隆君) 先ほど申し上げたのと余り変わりありませんが、ガバナンスというのをきちんとやるかどうか、きちんとやるんなら大変好ましい話なんだが、僕がお話ししたのは、議会の自主性に名を借りて違法行為をした仲間の市長免責する、そういうことはガバナンスなんですかと、あるべきガバナンスじゃなくて、まるっきり逆ですから、議会の自主性なんと言ってそういうことを許すような法改正はとんでもない話ですと、真っ当なガバナンスをやらせるようにというふうにして、こういう間違ったガバナンスは禁止すると、こうしてくださいという趣旨のことをお話ししたわけです。  それで、法令コンプライアンスをちゃんとやれば、首長が責を負わされることはめったにないんです。もうちょっと申しますと、神戸市長の話ね。  僕は国家公務員だったんですが、国家公務員には、仕事を休んで何万円もあげるから遊んでいらっしゃい、特別休暇ですなんという制度はありません。ところが、自治体は結構多くて、神戸市では、十八万円ぐらい一生の間もらえて、遊んでこれるんですね。それは福祉だと神戸市は言っていましたが、それは給与ですと、給与条例主義に違反して違法ですという裁判をやって勝ちました。何でそういうことになっているかというと、市長は組合を基盤にして当選していて、組合の支持を失うと落選するようになっているからで、市長は私腹を肥やしていないと言われていますが、まるっきりうそで、自分ポストを勝ち取るため、維持するために税金を使っているんです。だから、税金を使った買収行為と同じなんです。そういうのはガバナンスとして許してはいけません。そういうことで、真っ当なガバナンスができればいい。  それで、法令コンプライアンスちゃんとやってと、森市長さん、ちゃんとやっていると言われましたが、そういう法令コンプライアンスをちゃんとやればこういうことは最初からできないのに、神戸市長は法令コンプライアンスをやると駄目だと言われるからやらないで勝手にやっていたという話ですから、是非とも真っ当な法令コンプライアンスをやらせて、違法なコンプライアンスをやらせない。だから、議会での違法行為による、についての権利放棄議決は許さないというふうに決めていただかないと、およそ一貫しません。
  16. 中山徹

    参考人中山徹君) ガバナンスといいますか、地方政治の在り方を大きく捉えますと、やっぱり今一番重要なことは様々な市民の意見を聞きながらどう政策決定を進めていくのかという、やっぱりそういう視点が重要じゃないかなと思います。  えてして今のような時代、政策の決定というと、長が早く決めていくというようなことが重視されがちですけれども、同時に、やはりたくさんの意見をどう取りまとめていくのか、そういう意見を踏まえながらどう着実に政策を展開していくのかと、一見すると相反するようなものをどう進めていくのかということが今とりわけ地方政治にとっては重要じゃないかなと、そう思います。  市民の様々な意見を聞いていると政策が進まないんじゃないかなという御意見もありますけれども、私はそう考えません。むしろ、市民が行政に対して反発するのは、自分意見と違うことを進めるからというよりも、自分意見を聞いてくれないというところにやっぱり大きな反発があるわけで、むしろきちっと意見を聞き、きちっと議論をし、その上で自分意見と違うことが決まっても、それほど大きな反発というのは出てこないんじゃないかなと思います。  ですから、今、地方政治という場合、一方的に進めていくのが今重要なガバナンスでは決してなくて、むしろ様々な対立する意見も踏まえてどう政策を決定していくのか、とりわけそういうことで考えると議会の果たすべき役割というのは重要であって、むしろ議会に様々な意見が反映されるようなそういう選挙制度、議員の選出、そういったものを重視していく必要があるのではないかなと、そのように思います。
  17. 森雅志

    参考人(森雅志君) 昨年、日本一悪名高い議会となってしまいました富山議会でございますので、議会ガバナンスを語る立場ではありませんが、一般論として申し上げれば、私は、首長は、先ほど来も申し上げましたが、実現したい政策目標に対してどういう手法を取っていくかということを考える際に、絶えず、違法性はないか、訴訟リスクはないかということは、当然ながらすごい意識しております。  その上で、多様な意見がある中で、首長の責任はどう説得するかだというふうに思っていますので、議会との関係においても、絶えずきちんとした緊張感の中で、私たち議会を説得する、議会議会の主張をするという形で、ある意味将来につながるような政策判断がお互いの緊張感の中で生まれていくというふうに思っていますので、その結果、きちんとしたガバナンスがそこに実現するということだろうというふうに思います。
  18. 森屋宏

    ○森屋宏君 ありがとうございました。  私自身も地方議会の出身者としてこの国会に来させていただいて一番感じましたことは、国会というところは政党政治ですから、それぞれに立場の違う中でいろいろな考え方を持った皆さん方のお集まりの場でありますけれども、今日の委員会も、こうした委員会もそうでありますけれども、与党の意見ばかりだけではなくて、野党の皆さん方の意見の場というものをしっかりと確保をし、それぞれの立場の中で意見を述べるという場が充実をしておるというふうに思っています。  地方の中においてもそうした場が確保されていくことをこれからも望むところでありまして、今回の地方自治法改正がその第一歩になればなというふうに思っています。  以上です。ありがとうございました。
  19. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 民進党・新緑風会の杉尾秀哉でございます。  今日、参考人としておいでいただきました先生、そして市長の皆さん、本日は誠にお忙しい中ありがとうございました。  私は、今回の地方自治法等改正、特に住民訴訟の部分、損害賠償責任の見直し等、ここにポイントを絞って意見を伺いたいというふうに思います。  これについて先ほど主に意見を述べられました、まず阿部参考人にお聞きしたいと思います。  先ほどのお話では、議会権利放棄議決について文言上無制限に読めるようになっている、違法行為の是正防止に寄与してきた住民訴訟制度の死刑判決のようなものであると、こういう非常にはっきりしたというか、厳しい意見を述べられました。  原則権利放棄議決はすべきでないというお立場だというふうに伺いましたけれども、ただ、例外として認められるケースもあるのではないかというふうに思います。どういうケースが例外に当たるのか、お聞かせください。  それから、権利放棄を仮に認めるとしても、例えば具体例ではございますけれども、議会の全員一致の場合に限るといったような何らかの歯止めも考えられるんですが、それについて何か御意見があればお聞かせください。
  20. 阿部泰隆

    参考人阿部泰隆君) 違法行為の場合、軽過失について、まあ気の毒だからと責任を軽減するということになっている以上、釣合い上、故意又は重過失の場合は免責の余地はないと、そういう解釈すべきであるとは思いますが、もめるのでと、裁判所条文制限ないじゃないかと解釈するので、ここで故意又は重過失の場合は権利放棄はできないという規定を置いてくださいとお願いしているんですが、例外はといったら、これは違法行為でない場合で、先ほど申し上げましたが、典型例は、例えば三セク破綻で銀行も債権棒引きと、だったら自治体も出資を棒引きとやらざるを得ない、こういうのはまだ違法行為じゃありませんから、それを免責放棄するという議決はできると。  それで、あと全員一致ということですが、議会は全員一致であろうとも、これは住民そのものではなくて住民の代理人なんですね。全員一致という考え方すれば、住民の投票、住民投票で決めるならまだいいかなと思いますが、それは非常に面倒くさいし、しょっちゅうやっているわけにいかない。だから、違法行為についてはここでもう免責しないけれども、違法行為以外だったら議会の多数、あるいは場合によっては三分の二の多数であらかじめ免責するとかいうことをつくった方がうまくいって、それだと萎縮効果もなくなると。だから、適切に行政を運営していただけると思います。
  21. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 もう一つ、軽過失の場合の責任限度額の設定なんですけれども、免除に関する参酌基準、それから免責下限額の設定に当たって重要な点はどういう点があるとお考えなのか。  また、具体的に幾つか考え方はあるんですけれども、例えば会社法に倣って年収の六倍程度を限度とするという意見が私は有力のように伺っておりますけれども、先生のお考えはいかがでしょうか。
  22. 阿部泰隆

    参考人阿部泰隆君) 参酌基準というと、参考にしろとあっても参考にしない場合に違法と言えるかというのでまた面倒な論点が増えて、もう裁判くたびれるだけ。それと、その上に、下限かなり低くなっているので、もうこれは仮に賠償責任が認められても、職員にカンパさせるとか奉加帳を回す、あるいは保険に入ればもう自己負担がなくなるという場合がかなりあると。そうすると抑止効果はかなり減るので、やはりある程度は持ち出しということを覚悟させる仕組みが必要で、そこをうまくつくれないにしても、年収の六倍あるいは五倍という程度のものを置いた方がいいのではないかと思っています。
  23. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 最後に、もう一点だけ阿部参考人に伺います。  権利放棄議決にあって、今回、監査委員意見を聴くということになっております。これが一定程度の歯止めになるのではないかというふうに期待されているわけですけれども、ただ、この監査委員意見の客観性、合理性を担保するのに必要な条件があるのではないかというふうに思います。具体的な方法があればということも含めて例示していただければ有り難いと思いますが、いかがでしょうか。
  24. 阿部泰隆

    参考人阿部泰隆君) 先ほど、監査委員議会説明責任強化されるという趣旨の話がありましたが、説明責任をきちんと果たさない場合の担保の方法がないというか、制裁がなければ皆ルーズにやってしまうということになります。  それで、私は、議会では記名投票にして、その議決が違法だったら議員さんも賠償責任を負うと。それについて制限を設けるのは構いませんが、やっぱり違法行為をやったときに責を負わないという制度はよろしくない。そうすると、監査委員についても同じく、いいかげんな意見を言った、それを基に立件されて結局自治体損害を被ったという場合に、監査委員にもある程度責任、給料の三割引きでも退職金をやらないでも、何か考えるという方が僕は緊張感があっていいと思う。
  25. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 それでは、今度は江藤参考人に伺います。  先ほど、江藤参考人は軽過失免責について、今回の制度改正ベターであると考えると、こういうふうにおっしゃいました。特に、議会権限を奪うのは分権時代にそぐわないというふうな御意見も述べられましたけれども、ただ、先ほど来阿部参考人から幾つか示されている、例えば議会市長派の、いわゆる多数派の支持を受けているような場合、よく江藤参考人、私ども実はローカル・マニフェスト大賞で一緒に仕事をしていた、そういう関係もございますので、いわゆる議会の悪い側面、二元代表制じゃなくて二元なれ合い制的な議会の場合、こういう場合には議会権利放棄議決をしてくれて、逆に市長と対立している議会の場合はこの議決をしてくれない、非常に不公平というか、おかしな制度になっているんじゃないかと、こういう指摘があるんですけれども、その指摘に対しては江藤参考人はどういうふうにお考えでしょうか。
  26. 江藤俊昭

    参考人江藤俊昭君) 今、今回の権利放棄議論が出ているんですが、議会議決というのは本当に重いというのは、御存じのように、先ほど言った九十六条、それから一項、二項あるわけですけれども、私はいつも、議決したことというのは、議決の前の日眠れるんですかと議員の方に言っているんです。それだけ重いことをやっているんですね。だから、議会というのは、権限を行使するというのは本当に説明責任を果たさなければいけない。  今、杉尾委員からあったように、二元的代表制というのは、うまくいけばある程度緊張感を持って出るんですが、実際上は両極で揺れるんですね。言葉を悪くすれば癒着する場合もあるし、激しい対立がある。これ、住民の福祉の向上に役立たないんですね。だから、その緊張感を持って行うという一つの選択として、そして議員も首長も、そして住民も考えていかなきゃいけない。それを外から制度設計をするということについてどこまで許されるかどうかと。私の場合は、議会権限をむしばむようなものではなくて、それこそ住民自治を進めるためには、リコール制度や、そして選挙制度や、そういうふうなものとの関連の中で行うと。  今回は、一つの歯止めを掛かっているのは、軽過失の場合については賠償責任額を限定して、それ以上の額を免責すると入っている。だから、これ以上のものにやるときには本当に説明責任が重い。これは議員もそうなんですが、住民にも責任があるということを一言述べさせていただきたいと思います。
  27. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 ありがとうございます。  それじゃ、中山参考人にも同じ話を伺います。  先ほど中山参考人の話の中には、住民訴訟制度の改定についての言及がなかったんですけれども、中山参考人はこの今回の法改正についてどういうふうにお考えなのか、御意見があったらお聞かせください。
  28. 中山徹

    参考人中山徹君) 住民がその地域の主人公としていろいろと行政施策に関わるということは必要だと思います。当然、それは選挙とか陳情とかいろいろとありますけれども、訴訟というのもその一つの方法だと思います。ですから、今後、改正なんかを考えていく場合、住民行政に関わる、若しくは損害賠償を請求していく、それにとってプラスになるような方向改正されるのであればいいと思うんですけれども、今回の改正というのがややもするとそういう住民訴訟にとってはマイナスの影響が出るのではないかなということで、もうちょっと慎重に考えた方がいいのではないかなと、そんなふうに思います。
  29. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 引き続いて伺いますけれども、としますと、中山参考人は今回の制度改正には賛成できないということなんでしょうか。
  30. 中山徹

    参考人中山徹君) 全体的に見た場合、先ほど申しましたように、地方独立行政法人等々を見ますと、全体としては、今回の改正がその地域の健全な発展、市民の自治を高めていくという点から見ると、必ずしもその方向に沿ったものではないというふうに思います。
  31. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 ありがとうございました。  最後に、森参考人に伺います。  当事者、先ほどもちょっと言いにくいんだけどというふうなお話もされましたけれども、ただ、自治体の首長さんにとっては今回の制度改正は有り難いというふうに思うんですけれども、外部的な視点で見てですね。ちょっと率直な感想を聞かせてください。
  32. 森雅志

    参考人(森雅志君) 私は、初めて市長になりましたのは平成十四年の一月ですが、十四年の地方自治法改正はまず一つ非常に大きな改正だったと思います。個人を被告として訴えるというやり方から、団体を被告として訴えて、団体に請求権が、団体が負けると、敗訴すると起きてくる。これは一つの大きなステップだったと思います。さらに、その上で、議会が請求権を放棄するという議決が例えば大きな請求額で起きてきているということについてどう歯止めを掛けるかという今回の改正は極めて妥当ですし、具体性もあって非常にいい改正ではないかと個人的に思います。  で、その請求を受ける側の首長自らが、当局提案で免責の議案を議会に提案するとはとても考えられません、私の感性からいうとですね。一方、今度、議員提案で出そうとするときに、上限が設定されているにもかかわらず、それも取っ払ってゼロにするという議員提案が行われるとは、議員であった感覚からいっても全くそういうことは想定できないです。  純粋法律論でいって、できるじゃないかと、さっきの阿部先生のお話はありましたが、しかし現場の妥当性からいうと、恐らくその上限設定されることによって、それを限度として、それを超える部分を免責するというふうに流れていくんだろうと思いますので、緊張感はきちっと生まれながら、しかし萎縮はしないという意味で、大変いい改正ではないかというふうに思います。
  33. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 今おっしゃった根拠がちょっとよく実は分からないんですけれども、阿部参考人とちょっと考え方が違うと思うんですが、森参考人は結構性善説に立っているんじゃないかというふうに思うんですね。  実は、だけど、そういう首長さん、森参考人はそのままの性善説のままでいいと思うんですけど、必ずしも首長さんによってはそうじゃない人もいる。それを制度上、今回の改正が担保できているのかということが最大の問題だと思うんですけど、いかがでしょう。
  34. 森雅志

    参考人(森雅志君) 全国に多くの首長を知っていますけれども、皆さん同じ思いだと思います。  ごくまれなケース、レアなものを捉えて、これを何とかということが、本当に法改正議論としてそういうスタンスが正しいのかということを私、個人的には思います。少なくとも、議員も余りに乱暴な、上限まで設定されておるのに、それをも免責するなんていう議案を提案したら、次の選挙は通らないと思いますね。それは、それくらいのきちんとした緊張感は各地方議員だってみんな持っているわけですので、結果としてきちっとした運用がされていくというような内容の改正だというふうに受け止めています。
  35. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 時間が参りましたので終わりたいと思うんですけれども、ただ、阿部参考人の指摘された幾つかの指摘というのは、実はこれは地方自治とは違う、森友問題というのは国の財産でございますけれども、やっぱりこういうことが恣意的に現場で行われる可能性があるということだけは念頭に置いた、今回も地方自治の事案ではありますけれども、改正にすべきであるということだけを申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  36. 山本博司

    ○山本博司君 公明党の山本博司でございます。  今日は、四人の参考人の皆様、大変貴重な御意見、御提言をいただきまして、感謝を申し上げる次第でございます。  森富山市長におかれましては、二〇一二年、参議院の文教委員会の視察におきまして、ちょうど富山のライトレールを視察したりとか乗車させていただいて、また小中一貫教育を実施している芝園小・中学校という民間委託のところを訪問させていただく等含めまして、大変お世話になりました。ありがとうございました。  それでは、地方自治法改正の中で、特に監査制度充実強化という点を最初森参考人江藤参考人にお聞きをしたいと思います。  今回、監査委員の選任ということで、自治体判断によって条例を定めることで議員のうちから監査委員を選任しないことも可能という内容がございます。議選監査委員の選任の義務付けの緩和ということでございますけれども、その見解といいますか、実際、富山市でも二人の方が今選任をされているということで、今後こうしたことに関してどのようなことを思っていらっしゃるかというのが森参考人でございます。  そして、江藤参考人は、そのことも含めまして、この監査委員専門性の向上をどう図っていくかとか独立性の確保をどう担保していくかということも含めて、この監査委員制度の問題点についてお聞きをしたいと思います。
  37. 森雅志

    参考人(森雅志君) これも若干答えにくいんですが、全く個人的な見解としては、議選監査委員を置くか置かないかはその自治体によって決めると、条例化するというのは極めて妥当ではないかというふうに思います。  それは、実態を見ると、議会の中の人事とは申せ、最もこの監査能力が高いと思われる人が必ずしも議選監査委員になっているということにはなっていない自治体が多いと思います、一つポストになっている部分がありますので。しかし、それはそれで大事なんだという考え方も否定できませんので、それをそれぞれの自治体ごとに判断していくということが妥当ではないかというふうに思います。  私は、それよりも、監査委員に補佐人を付けるとかそういう制度をつくっていく方が監査能力は全体として高まっていくだろうというふうに思っています。
  38. 江藤俊昭

    参考人江藤俊昭君) 独立性専門性議論があるんですが、その前に、議選についてというのを私先ほど言いましたけれども、すごく識見だけでしっかりと監査ができるかどうかという議論の中で、やっぱり議選という役割も本来は果たす重要なものではないだろうかというふうには思っています。それをそれぞれの自治体議論するというのが今お話しのように大事なことかなというふうに思っています。  ただ、根本的なことを言いますと、やはりその専門性独立性議論との絡み合いで、議選がいながらも、首長が任命権者になっていて、その首長をしっかりと監査できるかどうかという根本的な問題は確かにあると思うんですね。それは今回の法改正ではありませんので、これはちょっと一応おいておきますが。  今の議論の中で、専門性そして独立性議論の中で、専門性については、私は大都市部と地方との関係から考えると、やはり大都市部というのはそれなりに公認会計士だとか税理士とかがいて、ある程度そういうところに委ねていく、これ、識見というのはあり得ると思うんですけれども、地方に行くと、その人材というのがなかなか育っていない。そういう中でどういう人をそこに位置付けていくかどうか。人探しなんですね。だから、そういう意味では、職員OBとか議員OBとかあるいは議選議論とかという議論の中で考えていくというのがまず一つですね。それと同時に、今回制度化されました監査の専門委員というんでしょうか、こういうものを活用しながら、恒常的ではなくて、そういうふうな人たち意見を踏まえながら行うような専門性を増していく、今後こういうふうな議論が大事じゃないかというふうに思っています。  同時に、先ほど独立性のがありましたけど、根本的な問題はともかく、やはり監査委員の自立性ということであれば、今回監査委員監査基準を明確にしていく、これをほかのところとも比較ができるようになっているということですから、これに沿いながら行うということであれば、少しはこの独立性という議論というのは進むのではないかというふうには私は期待をしています。  以上です。
  39. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございました。  江藤参考人に引き続いてお聞きをしたいと思うんですけれども、今、人口減少、高齢化、過疎化がどんどん進んでおりまして、私は四国なんですけれども、四国で高知県の大川村が、町村総会、人口四百五名で高齢化率が四四%ぐらいのところ、今定数六でございますけれども、ここで、要は議員のなり手等がいなくて、実際、町村総会を検討していくようなことが今議会で動いております。  毎日新聞の調査では、議員定数十未満で百五十四の町村の議会の議長の約四割が、議会を廃止して有権者が直接予算案や条例案を審議する町村総会に移行することも将来検討する可能性があるということで、今日も読売新聞で特集をされておりましたけれども、この町村総会に関してどう考えるかということと、それから、今議員のなり手がいない、不足しているという、この解消する方策ということでお聞きをしたいと思いますけれども。
  40. 江藤俊昭

    参考人江藤俊昭君) 地方自治の観点からこの住民総会をどう議論するか、なかなか短時間では議論できないんですが、総務委員会としては是非地方自治法の場合は九十四条で住民総会が設置することができる、これは議会に代えてという限定があります。それから、九十五条で、しかもその運営については議会の運営を準用すると入っているんですね。これ、使いづらいんですね。本当にその住民総会というのをかじを切るとすれば、ここを改正しない限り恐らく無理だろうというふうに私は思います。  その上で原則的なことを言いますと、民主主義というのは議論する場の設定なんですね。大川村の有権者は四百弱だと思いますけれども、これを半数住民が集まって本当に熟議というのが、しっかりした議論ができるのかどうなのかと。  日本の場合は世界と違いまして、多様な公共サービスを担っているわけですね。そうすると、一年中住民総会を開いているわけにはいかない。そうすると、ある程度の議論をする空間が必要になってくるのではないでしょうかということで、私は住民総会否定派ではないんですけれども、そういう設計ができるかどうか。さらには、技術的な問題として、定足数過半数ということで、そういうふうな高齢者を含めて半数が集まるかどうか、これ、是非検討、慎重にというんですかね、検討した方がいいかなというふうに思っています。  なり手不足の議論からこういうふうな議論が果たしてできるかどうかと。私は、今、町村の中で、町村のレベルでいうと二〇%が無投票当選者数ということで、これ、まさに、このなり手不足を解消していかなきゃいけないということは民主主義にとって大事だというふうに思っています。その場合、やはりその議会の魅力なんですね、議員になったときの魅力、従来の口利きとは違う議会の魅力というのを有権者、住民の前に示さなきゃいけない。そう頑張っている議会、たくさんありますね。  それからもう一つは、御存じのように、例えばなり手不足の町村においては、議員報酬月二十万ということなんですね、二十一万ですけれども。そういう中で、議会の役割が高まっている中で、そういった条件が本当に整備していかなきゃいけない、それでできるかどうかも含めて考える、そういうことを考えるいい機会としてこの住民総会の議論を私も活用したいなというふうに思っています。
  41. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。大変大事な課題であると思いますので、ありがとうございました。  それでは、森参考人にお聞きしたいと思います。  今、この行政改革の様々な取組ということでお話をいただきました。そういう中で、包括外部監査、これを行っておられるということもございましたし、その課題とか、あと、先ほどの窓口の部分で、さわやか窓口推進運動ですか、お話がありました。その始めた経緯と、それからあと、この窓口業務の意義といいますか、このことを、今やっていらっしゃることを含めてちょっと御見解をいただきたいと思います。
  42. 森雅志

    参考人(森雅志君) 中核市ですので、包括外部監査義務付けられておりますので、当然、制度が始まったときからずっとやっております。公認会計士の先生は、その包括外部監査人によりますが、六人から八人ぐらいの補佐人的な人とセット、チームで監査をいただいていますので、かなり広範な分野に監査を受けますので、緊張感も生まれて大変いいというふうに思います。会計監査、業務監査含めてですが、いろいろ指摘をいただくことは毎年ございますので、当然ながら、それについてはきちっと改善していくということが責務だろうというふうに受け止めますし、組織としてもそういう対応をしてきております。殊更現時点でここに課題があるかと言われると、余り感じません。  それから、職員の接遇その他につきましては、先ほども言いましたが、私は基礎自治体はフェース・ツー・フェースが原則だと思います。全国自治体の流れは、ワンストップサービスにするとか出先を統合するとかインターネットで入ってくるとか、様々な取組が進んでいますが、最後はそこへ行かざるを得ないとは思いますけれども、財源的にですね、しかし、やれる範囲はきちっと職員と市民とがフェース・ツー・フェースで仕事をやっていくということは大変大事だというふうに思います。  介護保険法の地域包括支援センターも三十二か所あります。八割の人は二キロ以内に住んでいますので、保健師が巡回するといっても自転車でできるくらいの対象者のエリアです。そのように、とにかく一番基礎的な行政サービスというものはきちっとやっていくということが大事だという思いでおります。  一方、市町村合併によって重複した施設についてファシリティーマネジメントをやっていくということは、それも合併の大きな狙いだったというふうに思っていますので、合併して縁周部を切り捨てるという視点ではなくて、重複した機能一つにしていくということ自体は避けて通れないですし、やるべきだろうというふうに思っています。したがって、そういう意味ではかなり苦労しながらやっているというふうに思います。  それから、先ほど中山先生のお話の中に行革をやって公共事業の財源つくるというふうな御指摘がありましたが、いささか驚きまして、そんな思いは全く持っておりません。結果としてそういうふうな視点で見ることができることが起きてくるかもしれませんが、行革は行革ですし、基礎的な住民サービスはちゃんと守るということはいつも意識していますので、最初に行革ありき、人減らしありきというふうなスタンスで仕事をすべきではないというふうに思っています。
  43. 山本博司

    ○山本博司君 以上で終わります。ありがとうございました。
  44. 山下芳生

    ○山下芳生君 四人の参考人先生方、ありがとうございました。  共産党の山下芳生です。  最初に、先ほど森参考人から、この議会議決による債権放棄について、首長からもそれから議会からもそういう提案が出るとは思われないと、もしそんなことをすれば次の選挙で落ちるんだという御意見がありまして、なるほどそういう面はあるだろうなというふうに思ったんですが、その御発言中に阿部先生がうずうずされておりましたので、ちょっと阿部先生に聞きたいと思うんですが。  住民訴訟の豊富な御経験をお持ちの阿部参考人からすると、先ほどの意見陳述の中で、このままでは市長側は違法行為をしても議会の多数を味方に付けている限り安心だと、そういうふうにおっしゃいました。そう断言できる背景などがありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  45. 阿部泰隆

    参考人阿部泰隆君) いや、背景というか、責任負わされて何とか免れたいと思えば、何か方法はないかと考える。そして、元々地方公共団体議会による権利放棄というのは考えられていなかったんですよ。だから、正確に覚えていませんが、平成十年頃からあちこちで始まって、それは物すごい知恵者がいたんですね。自治体の債権放棄というのは原則として禁止ですから、市民には資力がないなんという場合しか免除されませんから、普通はその債権放棄は考えていなかったんだけど、知恵者がいて、あっ、地方自治法の九十六条一項十号に議会議決権があると考えてやり出したら、それが広がっちゃって。ウルトラCだったんですね。  そういうふうに法の抜け穴みたいなものを見付けてくるというのが頭のいい人のやることで、だから、今回だって権利放棄議決について直接に禁止する規定を置かなければ、大抵の場合は、森市長さんの言われるように、俺の債務免除してくれなんということは言わないだろうけれども、中に知恵者がいて、やっぱりこれは規定ないんだからやってみようと、それで仮に裁判で負けたって五年後、十年後だと、その間ずっと住民訴訟の費用は税金持ちだと、その間俺が死んじゃったら多分勘弁してくれるしというので、とにかく引き延ばすということをやると。それで、うまくいったら勝つかもしれない、負けても何の損もしないということでやるわけです。  住民訴訟は、平成十四年の改正は、被告の市長が負けても弁護士費用は全部税金負担ということにしているので、最高裁まで勝つ可能性ゼロでも頑張るわけですよ。だから、あれはとんでもない改悪だというのは僕の方の言い分なんですが、取りあえずそれを前提にすれば、権利放棄議決、普通考えたらやらないだろうけれどもと思う善意の市長さんばかりじゃなくて、たまに仲間の議員さんと一緒になって何とか乗り切ろうと。  じゃ、選挙で落ちるかといったら、選挙の争点ってたくさんありますから、何か一つぐらいまずいことがあったって選挙の争点になりません。そんなことで選挙は落ちるわけないですから、選挙できちんとやるからいいんだなんという議論ではなくて、違法行為は司法で判断する、違法行為でなければ選挙で判断すると、こういう仕分をしなきゃいけないんで、これ、違法行為だったら、やっぱり司法で判断されたらそれは責任を負っていただくと。  だから、今回、余計なことの論争出ないように、権利放棄議決については正当な理由がある場合を除きできないという条文をちゃんと入れれば、そこの解釈問題になるけれども、ずっと論争が減りますと。なぜこの修正案に応じていただけないんですかと。これは法律を作るイロハのイ、常道なんですよ。ということです。
  46. 山下芳生

    ○山下芳生君 続いて、もう一問、阿部参考人にしたいんですけれども。  先ほどの陳述の中で、その市長側は安心だということに続けて、住民側はどうせ権利放棄されると思うと住民訴訟を提起する意欲が減退しますと、これ非常に重要な御指摘だと思っておりますが、この辺りもう少しお聞かせいただければ有り難いです。
  47. 阿部泰隆

    参考人阿部泰隆君) 住民訴訟を起こすのは物すごい負担です。役所は全部資料を持っています。住民側はいろいろ集めなきゃいけない。情報公開制度でかなりできるようになりましたが、情報公開で取れないのもありますし、とにかく無資力ですから大変苦労する。  それでやって、それで弁護士もとにかくお金もらえぬ、手弁当でやって、しかも違法、過失損害まで証明しなきゃいけない。違法を証明したら役立つはずなんだけれども、勝ちにはならない。それで、勝ったと思ったら権利放棄議決だなんて言われて、その次に、弁護士はそれでもただ働きでじゃ事務所は潰れます。それで、弁護士報酬はその次にもう一回訴訟やってやっと取れるんだけれども、そこでも役所は抵抗します。ところが、役所側の弁護士最初から毎回毎回もらっています。そういうことだから、弁護士も引き受ける人は余りいない。住民だって、ただでずっと苦労している。そして、長く掛かると、もう最初住民運動の熱意が消えちゃうものですから、もうやめたと言って住民が抜けていっちゃうんですね。で、最後まで続かない。だから、こういうもの早く片付けると。  あと、問題が、政治問題も絡んでいるし、違法行為を早くやめないといけないですから、それを五年や十年掛かっちゃ駄目です。だから、さっと片付くような制度にしなきゃいけないから、論点はなるべくなくすと。  違法行為はやめさせるという基本基本から出発してくださいとお願いしているわけです。
  48. 山下芳生

    ○山下芳生君 中山参考人に質問したいと思います。  先ほど、過大な人口減少予測、必要以上のコンパクト化、市民生活の破壊なんかと、そういうことが悪循環になるということを指摘されておりましたけれども、非常に新鮮な問題提起として聞かせていただきました。先生が悪循環だとお感じになっている具体例がもしありましたら、もう実名を、自治体名を言う必要はないと思うんですけれども、お聞かせいただきたいことと、そういう悪循環がもうどの程度広がっているというふうに御認識なのか、お聞かせいただければと思います。
  49. 中山徹

    参考人中山徹君) 残念ながら、そういう事態、かなり広がっているんじゃないかなと思います。特に典型的なのは公共施設等総合管理計画ですけれども、公共施設の今見直しが進んでいまして、元々、公共施設等総合管理計画というのはインフラ長寿命化計画の自治体版でスタートしています。政府が元々考えていたのはインフラの長寿命化をどう図るかということだったんですけれども、実際、自治体レベルで取り組んでいるのは、公共施設の残念ながら統廃合計画になっているところが大半です。  公共施設でも、その中で特に今大きなターゲットになっているのが子供に関する施設でして、具体的には、保育所とか幼稚園の統廃合、小学校の統廃合というのはかなり起こっています。それも、人口ビジョンできちっと考えればそんなに大幅に子供が減らないところでも、社人研の予測値を使いますと大幅に人口が減ってしまうということで、保育所や幼稚園、小学校の統合を進めるという傾向が出てきています。  ところが、そういう社人研の予測値に基づいて統廃合を進めてしまいますと、かなりの学校や幼稚園が減ってしまう。で、我々町づくりやっている者から見ると、学校や幼稚園で重要なのはまず使いやすさなんですけれども、統廃合をすることによって地域から学校や幼稚園がなくなってしまうと、今度は非常に住みにくい地域に変わっていくと思います。ですから、必要以上の統廃合を進めることでその地域から学校や幼稚園がなくなると、今度その地域には住みにくくなる、そうしたら便利なところに引っ越そうかということで悪循環が起こり出すのではないかなと思います。  ですから、今そういう公共施設の統廃合とかコンパクトでいいますと、むしろ周辺部、そういったところで過大なそういうコンパクト化や統廃合を進めることによってむしろ住みにくい地域が広がり、ますます周辺部の衰退に加速が掛かるという、残念ながらそういうことが想定できるのではないかなと思います。
  50. 山下芳生

    ○山下芳生君 続いて中山参考人に伺いますが、そういうやり方に対して、先生は最後のところで、地域資源を生かした地域経済の活性化が大事であって、その際、市民、事業者、行政など様々な主体の連携が重要となりますと、その要に座るのが行政なんだというふうにおっしゃいましたけれども、なぜ要が行政なのか。それから、その行政が要に座って地域の資源を生かした活性化が実現しているような好例がもしありましたら御紹介いただけますでしょうか。
  51. 中山徹

    参考人中山徹君) この間、政府でも地方創生でいろいろと事例を挙げていますけれども、その中でやっぱり大きくたくさん挙げられているところは、どちらかというと平成の大合併のときに余り合併せずに頑張ろうかと考えた自治体がかなり取り上げられているかと思います。特に中山間地域で事例として取り上げられているところは、大きな市町村に合併して周辺部になったところではなくて小さな自治体を維持しているところ、そういったところが事例としてはたくさん政府でも説明されているのではないかなと思います。  そういった事例を見ていますと、全てとは申しませんけれども、大半のところは、村役場とか町役場が中心に座ってその地域の住民や事業者と一緒になって、地域の活性化をどう進めるか、それを真剣に考えているところが、やはりこの間、政府のいろんな先進的な事例でも取り上げられているのではないかなと思います。  やはり、行政が存在している、行政があるということは、議員さんがおられるわけだし、首長もおられるわけなんですね。そこで一定の予算が当然入ってきて、それを地域のためにどう使うかというのを非常に小さい単位で考えられる。そこにやっぱり行政があるかないかというところが非常に大きなポイントでして、この間、中山間地域で地方創生に頑張っている自治体というのは、小さいけれども頑張っている、その中心に行政が座っている。やっぱり行政が座ることで市民や事業者のいろんな連携が広がっていく。やっぱりそういうところをきっちり見ることが重要じゃないかなと、そのように考えています。
  52. 山下芳生

    ○山下芳生君 森参考人に伺います。  先ほどのお話の中で、二キロ圏内に、歩いて行けるところに職員が四人いて、フェース・ツー・フェースで市民に対応されていると。非常にこれすばらしいなと思ったんですけれども、これは基本的ですけど、職員さんがそういう二キロ圏内にいるところがあるということですか。
  53. 森雅志

    参考人(森雅志君) 七十九か所ありまして、平均すると四人いるというところで、少ないところは一人のところもあれば二人のところもありますが、専ら定年になった後の職員の再雇用です。  再雇用は、希望する再雇用は一〇〇%再雇用していますので、そういう形で経験値を生かしていくということはやっぱり市民にとっても大変プラスになりますし、安心感も生まれますし、独り暮らしの高齢者も、極端に言うと小学校の校区よりも狭いですね、二キロ圏内というのは、十分歩いて行ける距離ですので、これが安心につながっていくだろうというふうに思いますので、コンパクトシティー政策と言っていますけれども、腕力で住み方を凝集させようとしているのではなくて、これ以上の拡散を防ぐということが第一義的な目的です。  それをしっかりやりながら、周辺部や縁周部にいる方のシビルミニマムはきちっと守っていかなきゃなりませんので、やっぱり市役所の出先、市立公民館、出先の図書館、さらに地域包括支援センター、そういったことをちゃんと配置していくことは大事だというふうに思って頑張っております。
  54. 山下芳生

    ○山下芳生君 もう一問、森参考人に伺いますが、そのフェース・ツー・フェースというのが非常に大事だと思うんですが、先ほど中山参考人から、独立行政法人化を窓口業務でも可能にしようというのが今度の法改正一つの趣旨なんですが、そうしますと、フェース・ツー・フェースで様々な要求が住民から寄せられる。それは単に定型的業務というふうに仕分していますけれども、それにとどまらない様々な、そこから先につなげていかなければならない要求があると思うんですね。それが遮断されるというのは非常にまずいんじゃないかと私は思うんですが、フェース・ツー・フェースが大事だという先ほどの御発言の中に、その点の御見解、いかがでしょうか。
  55. 森雅志

    参考人(森雅志君) 私自身は、今申し上げたような基本的な考え方でこれからもやっていくことが大事だと思います。  しかし、全国の、特に小さな町村の中には、現時点において既に国から要求されるデータですとかあるいは事務、どんどん増えていくことが対応できないと言っているところがたくさんあるわけです。したがって、そういうところなどにおいて、さっき言いましたように給与計算を共同でやるとか、できる業務はやっぱりあるんだろうと思いますので、その限りにおいてそういう法人に委託するということの意味はあるんだろうというふうに思います。ですから、自治体ごとに対応は異なっていくだろうと思います。  それで、さっき言いましたが、私は、現業は一定程度民間委託や民営化ということをやっていますが、窓口は今言いましたような姿勢でこれからもやっていきたいというふうに思います。
  56. 山下芳生

    ○山下芳生君 ありがとうございました。終わります。
  57. 片山虎之助

    片山虎之助君 日本維新の会の片山虎之助でございます。  四人の参考人の皆様、お忙しいのに本当に御出席ありがとうございました。また、貴重な意見を聞かせていただきまして、ありがとうございます。特に森参考人には、今、又市先生と話していたんですが、二年前、我が総務委員会が視察に行きまして、富山に、富山だけじゃないんですが、富山を皮切りに行きまして、非常に先駆的な試みをいろいろおやりになっていることのお話を聞いて大変得るところがありました。ありがとうございました。  そういうことで、森参考人から質問させていただきたいと思います。  まず一つ、今回の法改正。私もずっと地方自治関係をやってきた者として、何でこの時期に、もう地方自治施行七十年ですよ、この時期に内部統制に関する方針を作れとか監査基準を作れとか。言うんなら、これもう今の地方自治制度が始まって五年か十年のときに言うべきなんですよ。  後ほど私は江藤先生にもお聞きしようと思ったんですが、地方制度調査会、どういう認識でこういう答申を出し、その答申が出てからまた今回の立法まで時間掛かっているんですよ。時間掛かる例あるんですけれども、それは恐らく地方自治の現場の森市長を始め責任者の方から若干の、若干じゃない、異論が出たんじゃないかと私自身は推測しているんですが、まず、この時期にこういうガバナンスやマネジメント、この強化答申が出て立法が行われることについて、森市長、どう思われますか。
  58. 森雅志

    参考人(森雅志君) 先ほど冒頭の説明の際にも申し上げましたが、私自身は、この制度議論があるなしにかかわらず、当然の責務として内部統制をちゃんとやっていくと、ガバナンスをちゃんとやっていくということは長に求められている当然の責務だというふうに思っていますので、バックボーンとしての法があるなしにかかわらず、当然の法理として必要なことだろうというふうに思います。  ちょっと言葉は過ぎますが、ただし、そのことをそう認識していない団体がもしあるとしたら、参酌基準その他を含めてモデル的なものをお示しをするということになるんだろうと思います。恐らく背景にあるのは、企業会計のグローバル化に伴って投資家がいろんな企業に対してガバナンスということを求めたり内部統制ということを言っている、それは同じく地方自治の団体にも当てはまるんだろうというような背景が後押しをしてこうなってきているのだろうと個人的には思っています。  それはあって悪いことじゃありません、いいことですから、そのことを大いに参考にしながらきちっとした内部統制をやっていく団体が増えていけば、法の果たす役割としては十分ではないかというふうに思います。
  59. 片山虎之助

    片山虎之助君 いや、それは、森さん、あなた、きれい事なことを言っているんで。そのとおりなんだけれども、もっと早くやるべきですよ、それなら、必要なら。今頃、監査基準だとか内部統制の方針だとか、ちょっとびっくりしますよね。それだけ必要性が今出てきているということは、たるんでいるということですよ。そういう問題があるということだと私は思うんですけれどもね。  そういうことの中で、この今の特に住民訴訟、その損害賠償のあれは昔は個人だったんですよね。平成十四年に私が大臣やっていたときに自治法改正で団体にしたんですよ。それによって萎縮効果がなくなったと。それまでは何か思い切ったことをやると訴えられる、賠償取られると、これはやめておこうというあれだったということなんだけれども、それはそういう効果はあったんですか、十四年以降、法改正によって。また、今回この法改正によってどういう効果が森さんとしてはあると思いますか。
  60. 森雅志

    参考人(森雅志君) さっきも言いましたように、私、市長になったのが十四年でございまして、その法改正があったことはよく認識しています。ああ、なるほど、こういうことになっていくのか等々。  個人に対して例えば数十億円の賠償という訴訟が予想し得たわけですけれども、それがそうでなくなったということにおいては一定程度萎縮効果を止めるということは効果はあったと思いますが、しかし、その後でもかなり大きな訴額の裁判が起きているようですので、その意味においては果たして萎縮効果を止めるということになっているかどうかというのは、全体としては分かりません。  ただ、そのことと別に、まず自ら、絶えず、訴訟維持ができるかとか訴訟リスクがないのかということを意識の中心に置きながら仕事を進めていくことこそ大事なんだというふうに思いますので、今の改正によって上限が定められるとすれば、少なくともそこまでは賠償責務を負わなきゃいけないというふうに首長は認識するでしょうし、議会はそれを下回る議決をするというふうにはならないというふうに思いますので、その意味において改正の意義はあるだろうというふうに受け止めております。
  61. 片山虎之助

    片山虎之助君 本来、住民訴訟制度というのは乱暴な制度なんですよ。ばさっと全部個人責任を持たせる、それも重いというと全部負けちゃうね、議会議決して。アメリカの制度の方が、アメリカのまねですからね、これは戦後の、アメリカの方がずっと私は合理的だと思ってきたんで、だんだん良くなっていますよ。それは阿部先生の言われるように問題まだありますよ。あるけど、今の制度よりはましなんだから。どうやってこれからこの制度をあれしていくかですよ、成熟させていくかだと思うんですが。  そこで、余り時間がないものですから、もう一問だけ。  今の地方独法に窓口業務をやらせると。これも私は無理筋だと個人的には思ってきたんですが、説明を聞いていると、役所の、そういうこともあるのかなという気はしてきていますけれども、森さんの率直な感想で、それだけの実需要がありますか。
  62. 森雅志

    参考人(森雅志君) 先ほど来申しましたように、私自身は窓口業務は直営で職員がきちっとフェース・ツー・フェースでやるべきだと思います。したがって、できる業務について何を見付けていくのかということになるんだと思いますが、しかし、小さな団体だとやっぱりそういうニーズがあるところもあるんだろうと思います。  一方、受け手をつくれるかという問題もあるのではないかというふうに思いますので、制度としてつくっていただくこと自体には十分意味があると思いますが、あとは運用でどうなっていくのかということだろうと思います。少なくとも私どもの富山市としては、当面、それをつくるとか使うとかということは起きてこないだろうというふうに思っています。
  63. 片山虎之助

    片山虎之助君 中山先生にお伺いしますけど、これからの行政需要というのは、公はどっと膨らむんですよね。しかし、官を大きくできないんですよ。官を大きくするというのは税金を増やすか職員を増やすかなので、そんなことできませんわね、少子高齢化の全体が縮む国で。そうしますと、大きい公をみんなでやらなきゃいかぬのですよ、官でなくて。だから私は、行政改革というのは仕事を減らすことだと言っているんですよ。人を減らすことじゃなくて、まず仕事を減らさないと。その減らし方はいろいろあるんだけど、本当になくするというのと、できるだけ民間に任せるという、民の仕事にしちゃうということ、しかし、どうしても官の仕事で残るものは民に委託する、あるいはその次の者にやる。  そういう意味では、私に言わせれば、むしろ今回の独法のこの改正は民間そのものにすべきなんですよ、独法なんかじゃなくて。やめるか民間にすべきなんですよ。それは極論だとお思いですか、中山先生
  64. 中山徹

    参考人中山徹君) 私も行政の無駄を省くということには賛成ですし、特に行政で無駄というのは、市民の願いと違うことをやるという、そういうのをきちっと精査していくというのは重要だと思うんです。特に、今後財政的にも厳しくなる中で、行政改革というと、どちらかというと民営化とかアウトソーシングになりがちなんですけれども、本当に無駄を省いていくとか市民ニーズにぴたっと合うことをやっていこうと思うと、むしろ、先ほど市長さんおっしゃっておられたように、僕は民営化よりも地域化というふうに呼んでいるんですけど、行政職員ができるだけ地域で仕事をできるような地域化を図っていく、そうすることの方が市民のニーズにぴたっと合うし、むしろ無駄なものが省けるのではないかなということで、行政のその無駄を省く効率がいい行政をしていくのであれば、民営化よりも僕は地域化というのをもっと進めるべきではないかなと。  ですから、そういう意味では、民営化がいいかどうかと言われると、むしろ、そういう地域にもっと行政職員が出ていって市民と一緒にできるような、そういう仕組みをつくっていった方がより効率的で無駄の省けた行政運営ができるのではないかなと考えています。
  65. 片山虎之助

    片山虎之助君 それは先生、名付け方なんで、そんなに実態は変わりませんよ。民営化というのは地域の協働化でもあるんですよ、地域化なんですよ。そういう方途を私は探っていくべきなんで。  先生、できるだけ地域資源の活用と言われましたけど、そこはもう同感ですよ。そういうことをどう深めていくかがこれからの課題だと思いますけど、私の考え、いかがですか。
  66. 中山徹

    参考人中山徹君) 地域をもっと生かしていく、地域の資源を活用していくというのは重要なんですけれども、やっぱりそこで重要なのは、住民とか企業さんに任せてしまうのではなくて、やっぱり行政行政職員としてそこに行って、それで市民や事業者と一緒に議論をしていくということが重要で、行政がどちらかというと手を引いて、いわゆる互助とか共助に任せていくというスタンスは僕はちょっと問題じゃないかなと、そのように考えます。
  67. 片山虎之助

    片山虎之助君 阿部先生、今のこの損害賠償制度は、前よりは良くなったでしょう。何かいろいろ御注文、多いですけれども、前の制度よりはいいんじゃないんですか。大体が乱暴な制度なんです、元々が。だんだんまともになってきているんですよ、制度が。    〔参考人阿部泰隆君「いや、だんだん悪くなってきて、住民訴訟をだんだん殺そうとして、ほぼ安楽」と述ぶ〕
  68. 横山信一

    委員長横山信一君) 済みません、委員長の指名を受けてから発言をお願いいたします。  阿部参考人
  69. 阿部泰隆

    参考人阿部泰隆君) ごめんなさい。  いやいや、住民訴訟制度ね、あれは、だんだん殺されようとしている。言葉が過ぎると言われますが、この制度を設計しているところは総務省地方制度調査会、この中心になる人はどうしても地方公共団体側の方、あるいは、そこにこの前弁護士が入ったけれども、自治体弁護士、こういう方だから、責任がなるべくないようにしたいと。  それで、一遍にやるとぎらぎらするからと、十四年のときは、責任要件は変えないが、弁護士費用を自治体に負担させるというようなことになったので、そうすると、もう負けても弁護士費用を全部負担してくれるって、最高裁まで争うと。それでも本当に負ければ市長なぞは責任を負わされるんですが、そのときは責任要件は軽減しないと言っていたのが、今度は責任要件を軽減して、過失のときは責任なしと、重過失責任と、失火責任法と同じと。日本にほかにはありません。そういうことをしようとした。それで、僕らが反対して、でも妥協するために、じゃ、責任はあるが、限度額を設けるということにしてもらったんですね。だから、僕はこれ非常に良かったと。  だから、ウナギを注文したら、ウナギと思って、来たら、いや、その次に権利放棄議決の要件に何にも書いていないから、普通はやらないだろうけど、悪い市長が考え付いて、針の穴というかね、アリの一穴、そこから通して権利放棄議決をしてもらって、最高裁までまた頑張ってという悪い市長が必ず出るはずだと。そうなると制度が狂っちゃう。それで、住民訴訟をやっている方は、さっきも申し上げた、くたびれて潰れちゃうからやめる。だから、そうすると、市長側は議会の多数派に支持されている限り安心で、そうすると、現役を退いたらやばいから、死ぬまで現役でいるというふうにしなきゃいけないわけ。だから、それは困ると。  それで、大体、会社法の責任ね、会社だったらちゃんと責任を負うんですから、それと同じく市長も考えてくださいということ。
  70. 片山虎之助

    片山虎之助君 先生、分かりましたけどね、先生はね、議会だとか議会の多数派だとか首長を敵視しているわ。あなたの言うようなことを突き詰めると議会制民主主義の否定ですよ。議会の多数派が悪いことをする。悪いことをするかどうかは分かりませんよ、いいこともしているんだから。だから、そういうことの前提で物を言っちゃいけませんよ。
  71. 阿部泰隆

    参考人阿部泰隆君) では、ちょっとよろしいですか。
  72. 片山虎之助

    片山虎之助君 いやいや、阿部さんはもう結構です、それじゃ。
  73. 阿部泰隆

    参考人阿部泰隆君) いやいや、だから、議会の多数派がいいことをしたときを問題にしているんじゃなくて、首長が故意に違法行為をやって賠償責任を負わされたのに、司法が賠償責任を課すと言ったのに、それを議会に頼んで勘弁してもらうんだから、多数派が良いことをやっているんじゃない、民主主義でもない、それは民主主義の悪用です。民主主義の悪用をさせちゃいけません。
  74. 片山虎之助

    片山虎之助君 いやいや、だからそれは、それじゃ、先生の言うのが正しかったら先生が多数派にならなきゃ。議会通らないですよ、国会でも地方議会でも。それを多数派にどうやるかの努力なんですよ。  江藤先生ね、もう最後なので時間がなくて申し訳ないんですが、私は監査委員に地方議会の代表が入るのは反対なんですよ、昔から。あんなことをやると監査がおかしくなる。議会議会できちっとやるべきなんですよ。議会として、議会の調査権を駆使して、監査とはまた別にやるべきなんですよ。それ、議会代表が監査委員に入るもんだから、私、どっちも中途半端になっていると思いますよ。いかがですか。
  75. 江藤俊昭

    参考人江藤俊昭君) もう時間がないのでしょうからちょっと短時間に言いますが、今の状況の中で議選については私は意味があるというふうに思っています。ただ、今回選択肢にしたので、どういうふうな監査委員制度にするか、議会がどう関わるか議論する、それぞれの自治体でやる重要な時期だというふうに思います。  ただ、今委員が言われるように、議選を廃止した場合、議会としてどのような、その監査機能も含めたですね、チェック機能が果たせるかどうか。今議論するように、実地検査権というのが当時あったのがなくなっているわけですよね。それがなくなると、今度は監査請求しかないわけですよ。そうすると、それを踏まえた形での充実させるような制度設計をどうしていくかどうか。  もう一点です。先ほどちょっと言ったんですが、じゃ、監査機能を純化させていくときに、今の議会の同意だけで独立性専門性を持てるかどうか。そういう場合で、若しくは議選を置かない場合には、議会からの選挙等々というのは一緒に考えていく必要があるんじゃないかどうかというふうに思っています。  繰り返しになりますけど、議会としての監査機能を強めるということは私も賛成です。それに向けての様々な制度設計は必要だなというふうに思っています。
  76. 片山虎之助

    片山虎之助君 済みません、終わります。時間来ました。
  77. 又市征治

    ○又市征治君 希望の会、社民党の又市です。  今日は、各参考人の皆さん方、御多用の中御出席いただき、大変ありがとうございます。  とりわけ、私の地元富山の森市長、大変な努力をいただいて、いろんな委員会が視察に行っているので、本来ならばこの総務委員会などでもう少し、先ほどから幾つか話ありましたけれども、そういうものを披瀝してほしいと思うんですが、残念ながら時間の関係ありますから、なかなかそこにお話をしていただくわけにはまいりませんけれども。  ちょっと私は今までのずっと監査制度問題、いろいろと出てまいりましたから、それを本当はやろうと思ったんですが、ちょっと観点変えて、四人の方にお聞きをいたしますけれども、地方議会において最近顕著になっている問題、地域差もこれはあるんだろうと思うんですが、この財政問題が口実にされて定数が削減をされる、選挙の投票率が非常に低くなってきている、議員の候補者の数が減少する、無投票当選の拡大がどんどん進んでいる、今全自治体でいうと三割ぐらいの自治体がそんな状況になっているという、こういう地方議会の現状。これはもう本当に地方自治の機能であるとか行政当局をチェックする役割を弱める、地方議会の活性化というのはもうどんどん悪くなっているという、こういうことを危惧をするわけですが、こうした現象を、みんなそれぞれ地方行政問題にお詳しい方々ですから、どのようにこのような事態が起こっている原因があり、あるいはどのような処方箋が必要だとお思いになるのか、その点をまず各参考人の方からお伺いをしたいと思います。
  78. 江藤俊昭

    参考人江藤俊昭君) 確かに今、政治が重要になっている、議会が大事になっている時期に、議会不信というのが蔓延してきているかなと思うんですね。それは、少し環境だけ言いますと、何というか、人口減少社会にどう対応するかという大きな問題がある。もう一つは、そういう時期なんですが、政治が大事になってきて、でも行政不信、議会不信ですよね。従来の議会だったら対応できないわけですよ。こうした問題に、幾ら言ったとしても、議会が何にも関わっていないとすれば、議会不信や、そんなものだったら定数だとか報酬だって削減していいだろうというふうな状況はあると思うんですね。  ただ、やっぱり地域経営を行っていく上での行政ももちろん大事なんだけれども、住民自治の根幹としての議会を作動させていくようなものが従来と違った形で現れてきているんだと私は思っているんですね。それが、例えば開かれた議会とかあるいは議員間討議をして論点を明確にするとか、そして執行機関政策競争していくとか、こういうふうな議会が現れる。それを住民の前に示していくことが私は大事だなと。  要するに、行政改革の論理、いわゆる削減の論理と、議会改革の論理って民主主義の論理なんですね、どこまでも。それをやっていくためにはどういう条件が必要なのか、どういう活動をすればいいのかということをまずは考えていく。今回の法改正についても、活用できるところは幾つかあると思うんですね。それをしっかりとどこまで活用できるかどうかというのを考えていきたいと。  一点、議会不信を招いたというのは、特に政務活動費という、さっきも富山市長言われていましたけど、あれは私は大事なことだと思っているんです、政務活動費は。ただ、領収書を添付したって透明性だけ示したって私はほとんど意味がない、意味がないとは言いませんけど、要するに、それを使ってどういうふうに住民の福祉に、向上したかどうかは、自己評価でもいいから住民の前に示していく、今後そういう活動が必要なんじゃないでしょうかというふうに思っています。
  79. 阿部泰隆

    参考人阿部泰隆君) 先ほど、地方自治法自治体の組織あるいは権限とか何かについて非常にがんじがらめに規定を置いていると言いましたが、高知県の村の話だと、議会なぞ廃止してもう支配人に任せると、その代わり住民とその他で時々監視するという制度の方がうまくいくかもしれないと。あるいは議員は三人までと、というか、三人にしてしまうとかいうのでもいいし、地方公共団体にいろんな選択肢を与える方がよいと。  だけど、先ほどの話で、違法にやった行為を放置するなんという選択肢を与えてはならない、これは全然違う話ですから。それとは勘違いしないでくださいと申し上げた。
  80. 中山徹

    参考人中山徹君) 今確かに、御指摘があったように、投票率が低くなっているとか立候補者が減っているという、そういう側面はあると思います。ただ同時に、今ほど政治のことがいろんなところで話題になることも、時期も少ないと思います。海外を見ても、トランプ大統領の誕生とかイギリスのEU離脱とかフランスの選挙と韓国の選挙とか、いろんなところで政治というのがかなり話題になっていまして、国民の投票によって、状況によっては政治が変わっていく。もちろん変わっている方向が常に正しいかどうかというのはその評価が分かれると思いますけれども、でも、いろんなところで政治というのに国民の関心といいますかマスコミの関心があるのはもう一方の側面としてあるんじゃないかなと思います。  じゃ、残念ながら、日本の特に地方自治なんかを見た場合、必ずしもそういう投票行動という形に現れていないんですけれども、やっぱりその大きな点は、一人一人の市民が不満、不安というのをたくさん持っているんですけれども、それがその自分の投票行動によってきちっと反映されるかどうか、そこにきちっとした答えが出ていない。要するに、ほかの国は何か投票行動によって変わっているようだけれども、日本の地方自治でそういう一人一人の市民の投票行動によってなかなか変わりにくい、そういう意識というのがやっぱり残念ながら存在していて、それは単に意識が存在しているだけじゃなくて、今のやっぱり選挙制度、そういったところにも一つの大きな問題があると思います。  ですから、国民とか市民の中で今の政治や状況に対する不安とか不満が高まっていると思うんですけれども、それがなかなか投票行動につながらない、そういったところをきちっと見ておく必要があるんじゃないかなと思います。
  81. 森雅志

    参考人(森雅志君) 四月に富山市も市会議員の選挙、言わば出直しのための大変重要な選挙がありました。三十八の定数に五十九人立候補たしかしたわけで、徹底的に議論が生まれていくと、やっぱりあんなのだったら私が直そうとか私がやれるみたいな、そういうことは現象としてはなるほど起きてくるんだなということを体感しました。しかし一方、投票率はかつてないほど低かったわけです。したがって、一般の市民の感覚からいうと、どうも何やっているのか分からないとか、何かそういうことのイメージがずっと行ってしまうと、やっぱり投票行動につながらない。したがって、やっぱりきちっとした仕事ぶりを見せていくことしかないんだろうというふうに思います。  その上で、私の個人的な体感した感覚からいうと、県議会にいました頃は選挙区がありますので、選挙区の違う議員同士は一緒になって何か一つの提案をまとめるとか、一つの政策目標を実現するのに共同行動したり勉強したりいろんなことが起きています。しかし、基礎自治体の選挙は大選挙区で一つのステージで選挙をしますので、どうしても地域代表の色彩が強くて、本来、全市的に考えていかなきゃいけない議論が不十分だという側面があるような気がします。  したがって、議員の皆さん方の意識をいろんな形で変えていきながら、人口が減っていく三十年先の市民の利益は一体どこにあるのかというようなことをしっかり見据えてきちんとした議論をやっていくということが一番大事だと思いますし、それを市民に、有権者にちゃんと伝えていくということを議会もやらないといけないんだろうというふうに思っています。
  82. 又市征治

    ○又市征治君 どうもありがとうございました。  それじゃ、もう一つ監査委員のこの制度の問題について、今度の法改正では監査基準を策定をするとか、あるいはまた監査委員議選の緩和を図るとかというのはいろいろとあるんですが、現状、皆さん方から見ておられて、今の監査制度上、あるいはこの今法改正をやるというけれども、こういうところがもう少し改善をすべきでないか、足りないんではないか、思われる点などがありましたらお聞かせをいただきたい。とりわけ、その中でも公選制という問題についてもどのような御意見をお持ちなのかということも含めて、それぞれからお聞きしたいと思います。
  83. 江藤俊昭

    参考人江藤俊昭君) 先ほどお話がありましたように、監査委員制度というのは、やはり独立性、中立性、それから専門性がなきゃいけないという。そうすると、今の設計の仕方というのは、理想的にはそういうふうに動いていただきたいんですが、現実的にはなかなか難しい。要するに、簡単に言えば、議会の同意を得て首長が選任する、あともう一つ議選があるというふうな設計の仕方で、純粋な形では私は余りないと思うんですね。だから、そこのところで、抜本的な議論というのはここでする話ではないと思うんですけど、やはり独立、中立な制度設計をするのと、あとは議会がしっかりと監査機能を持てるような権限というのを付与するということが大事だと思っています。  その上で、今の監査委員を公選にするという、これは二十九次の地制調のときにも議論があって、独立性を担保するには私もそれは一つのやり方だと思うんですが、現実に今すぐにそれができるかどうかということを現実的な議論の中で考えていかなきゃいけない。だから、方向性として私は今の話は間違った方向ではないと思いますけれども、現実的にはなかなか難しい。あるいは、選挙に出て、何というんですかね、当選しなかった人にその監査委員をやらせるという議論もないわけじゃないんですが、ただ、それ、選挙になる場合はいいんですけど、町村の場合なかなかならないとか、いろんな設計の仕方も今後考えていかなきゃいけない議論があるんじゃないかなというふうに思っています。
  84. 阿部泰隆

    参考人阿部泰隆君) いや、今、江藤参考人が言われたことは私の意見で、極端と言われることを承知で申し上げますと、今、監査委員議会の同意を得て首長が任命するので、首長や議会には刃向かうということはなかなかしないと。あるいは、再任されたいと思ったら首長の責がなるべくないようにするというので、住民訴訟になる例はみんな監査委員のところでパスしてきている。それで住民訴訟で違法と言われる。だけど監査委員は何の責も負わないということですから、監査委員の任命の仕方、これはね、ちょっと言葉が過ぎると言われますが、泥棒を監視するために泥棒の仲間を番犬として連れてくるというのと余り変わりない。それだから、そういう癒着する仕組み、これが制度設計の基本的な問題なんですよ。利害関係のない者に監視させなきゃいけないのに、利害関係のある者に監視させる。この仕組み、間違い。  それで、いろいろあるかもしれませんが、私は、首長選挙で立候補して落ちた人に監査委員ポストを与えるというふうに決めておけば、それはしっかり監査するはずだと。専門性があるかとは言われるけれども、それは事務局がしっかりしていれば、その監査委員は事務局を指示するぐらいはできるはずですから、しっかり事務局にやってもらったらいいと。そういうのはなかなか実現しないとは思うけれども、僕は一ついい案だと。とにかく利害関係のあるやつに監査させるなんて仕組みは誤りであると、こういうふうに思います。
  85. 中山徹

    参考人中山徹君) 今回、若干不安に思ったのが、監査はきっちりやったらいいと思うんですけれども、その監査基準について国の方が指針を作るということがあったかと思います。  監査というのは、やっぱり地方の自治体がやる以上、基本的には地方の自治体判断で進めていくというのが基本にあると思うんですけれども、国がどういったものを作られるのか、まだちょっとよく分かりませんけれども、最近のいろんな動きを見ていますと、実質的には自治体判断でできるというふうにはなっているんですが、かなりの部分、国がいろいろと方向性を出しているのが多いかと思います。  地方分権とかそういったことをきっちり考えますと、監査というのはその地域にとっては決定的なものなので、そういったところはできるだけその自治体判断で進められるようなそういう仕組みをつくっておくべきで、もちろん、小さな町村で難しいとか、将来的にはそういうことが起こってくれば、そのときはまた考えたらいいんですけれども、基本的な監査についてはできるだけその自治というのを反映されるような、そういう運用が要るのではないかなと、そのように考えています。
  86. 森雅志

    参考人(森雅志君) 先ほども申し上げましたが、富山議会に話が伝わっていくことをおもんぱかって歯切れの悪いことを言いましたが、片山先生がおっしゃっていただいたので。  私は、やっぱり議選監査委員は余り制度の効果としては果たしていないと思いますので、その部分を専門性の高い人に職種を限るとかいうことをしながら監査委員制度を動かしていくということが大事だと思いますし、当局側は、先ほども言いましたが、公認会計士なり税理士なり弁護士なりという者を任期付きで採用して、監査の指摘を受けないようなきちっとした運用をしていくという一方では努力も必要だろうというふうに思っています。
  87. 又市征治

    ○又市征治君 終わります。ありがとうございました。
  88. 横山信一

    委員長横山信一君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  質疑において議論が白熱してしまいましたが、参考人におかれましては御容赦いただきますようお願いいたします。  午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十三分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  89. 横山信一

    委員長横山信一君) ただいまから総務委員会を再開いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地方自治法等の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、総務省自治行政局長安田充君外二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 横山信一

    委員長横山信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  91. 横山信一

    委員長横山信一君) 休憩前に引き続き、地方自治法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  92. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 自由民主党の古賀友一郎でございます。  今日は高市大臣御就任一千日目となる記念の日ということでございまして、誠におめでとうございました。歴代総務大臣の在任期間でも一位になられたということでございまして、これは本当、長期の激務で大変なこととは存じますけれども、どうか御自愛の上、今後ともますますの御活躍を心から御期待申し上げる次第でございます。  さて、質問に入りますが、私は役人時代に五回の自治体勤務を経験いたしました。その役職も、副市長局長、部長、課長、そして平職員と様々なレベルでありましたけれども、いずれも財政に携わったのは共通でございます。  そこで、自治体財政の現場をそれなりに承知している立場から、今日は住民訴訟改正案について質問をさせていただきたいと思います。  最初に、首長や職員等の損害賠償責任について、善意かつ無重過失の場合には責任を限定できるようにすることに関して伺います。  まず、善意についてでありますけれども、法律用語で言う善意とは何々を知らないことという意味でございますが、本件の場合、一体何を知らなければ善意と評価されるのかということであります。  この点については、衆議院の審議において安田自治行政局長は、違法な職務行為によって地方公共団体損害を及ぼすことを認識していないことという趣旨の答弁をしておられますので、それをベースにお尋ねしたいと思います。  私が確認したいのは、たとえ職務の違法性を基礎付ける事実、あるいは自治体損害発生につながる事実を認識していたとしても、当該職務行為が違法であること及び損害が発生するということをいずれも具体的に認識していなければ善意と評価されるものと理解してよいのかどうかということであります。といいますのも、そのように理解しなければ善意の余地がなくなってしまって、今回改正する意味がほとんどなくなってしまうのではないかと懸念しているからであります。  住民訴訟の対象となる財務会計上の行為のうち、首長を始め多くの職員が関わるのが支出負担行為の決裁でありますけれども、その決裁文書には、当該事案の事実関係というのは全て記載されているのが通常であります。したがって、その決裁にサイン若しくは押印するということは、それらの事実関係を認識したものとみなされるわけでありますから、もし職務の違法性を基礎付ける事実や自治体損害発生につながる事実を認識していればもはやそれは故意であって善意とは評価されないという解釈を取ってしまいますと、決裁文書にサインしたり判こを押したりした首長や職員はほとんど善意と評価される余地がなくなってしまうのではないかと心配しているわけであります。  しかし、それでは余りにもこれは不都合でございますのでこの場で確認しておきたいと思いますけれども、御見解をいただきたいと思います。
  93. 安田充

    政府参考人(安田充君) お答えいたします。  御指摘ございましたように、本改正案における善意とは、違法な職務行為によって地方公共団体損害を及ぼすことを認識していないということを指すものと考えているところでございます。その認定につきましては、個別具体的な事情を踏まえて、最終的には裁判所によって判断がされるものでございます。  ただ、これは違法性あるいは損害の発生、こういうものを認識しているという場合でございまして、その判断に当たってどういう基準判断されるかということでございますけれども、これは事実の認識を前提とした評価の問題になってくるというふうに考えてございまして、御指摘のございました違法性や損害の発生を基礎付ける一定の事実を認識していたとしても善意と評価される余地はあるというふうに考えている次第でございます。
  94. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 その事実関係を認識していても善意と評価される余地はあると。結局、直ちに、決裁に判こを押したからといって全てが故意認定されるわけじゃないんだと、個別具体的な事例は裁判の中で判断されるということだろうと思います。あくまでもそういうことを確認しておきたいと思って伺ったわけでございますけれども、大変重要なポイントだったというふうに思います。  それで、次に、もう一つの要件である無重過失について伺いたいと思います。  過失責任の本質は、払うべき注意を怠ったことに対する責任、すなわち注意義務違反であるとされておりまして、その払うべき注意の程度は、当該本人の注意能力を基準とするのではなくて、当該職業、地位、立場等に属する人が通常有する程度の注意能力を基準とするものと考えられております。  したがいまして、住民訴訟の場合には、行政のプロたる首長や職員が通常払うべき程度の注意義務を怠った場合に過失ありと認定されるわけでございますけれども、今回の改正は、それが重過失なのかどうかによって大きく責任の度合いを変えようとするわけでありますから、この重過失とは何かということは本改正の最重要ポイントの一つでございます。  ところが、この無重過失論点について、衆議院の審議では安田局長が、違法な職務行為によって地方公共団体損害を及ぼすことを認識していなかったことについて著しい不注意がないことと答弁されているのみでございまして、具体的にどの程度の注意を払えば重過失ではないと認定されるのかはほとんど明らかになっておりません。  確かに、何が重過失に当たるのかという事例を網羅的に挙げることはこれは困難でございまして、今後の裁判例の積み重ねを待たなければいけないということも理解はできますけれども、今回の改正は首長や職員を萎縮させないようにするための改正でございますので、何が重過失になるのかについてある程度の予測可能性は必要だと考えます。  したがいまして、総務省としても、これまでの裁判例を収集、分析するなどいたしまして、重過失とはどのようなものかについて具体的な解釈自治体に示す必要があると思っているところでございまして、また、あわせまして、今後の裁判例につきましても地方六団体と連携するなどして、自治体間で迅速に共有できるような仕組みづくりについても取り組むべきと思いますけれども、御見解をいただきたいと思います。
  95. 安田充

    政府参考人(安田充君) お答えいたします。  委員御指摘のとおり、住民訴訟における裁判所判断について情報共有を図っていくことは、今後の各地方公共団体における財務会計行為の適正性の確保に当たっても重要と考えているところでございます。  重過失でございますけれども、判例などによりますと、重過失とは著しく注意義務を欠くことをいい、僅かな注意さえすれば結果を予測しこれを未然に防止するための措置を講ずることができるにもかかわらずこれを怠った状態だと、こういうふうに言われているところでございます。  現時点では、裁判所において重過失と軽過失とを明確に区分した判断、これは余りされていないといいますか、現在の住民訴訟においては必ずしもこれが必要でないわけでございまして、判断されていないわけでございますので、どのような場合が重過失に当たるかについて具体的な解釈指針を示すことは現時点では困難であるというふうに考えている次第でございます。  もっとも、過去に重過失が認められた事例、あるいは放棄議決の違法性が現れた事例によりますと、損害を与える蓋然性が高いことを認識していたか少なくとも容易に認識可能だったというケース、専門家などの意見聴取議会議決など事前に適正な手続を経ていなかったというケース、こういう要素でございますけれども、これは軽過失か重過失かを判断するための考慮事項になり得るものと、このように考えているところでございます。  いずれにいたしましても、今後、地方六団体とも連携の上、重要な判断がされた裁判例の紹介でございますとか情報共有を図るなど、有益な情報提供の在り方について検討してまいりたいと考えているところでございます。
  96. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  一々事例を挙げるというのは確かに大変難しいことだと思います。しかし、今後いろいろと自治体でも迷うケースというのが出てくると思いますし、逆に言えば、そういう注意を払う自治体はまあ大丈夫だという自治体だと思いますけれども。  いずれにいたしましても、総務省としてもその法案を提出した者の責任というものがあると思いますし、裁判例の積み重ねを待っていては一体何十年先になるかですね、その線引きが、分からないというわけでございます。司法判断が出るまでの解釈というのはあくまで政府が有権解釈を行うというわけでございますし、その解釈というのは逆に裁判にも影響を与えていくということが予想されるわけでありますから、総務省としても積極的に取り組んでいただきたいと、こういうふうに思います。  元々、今回の改正の端緒は、四号訴訟において首長等に度を超えた異常な損害賠償責任を認める判決が相次いでいることと、その損害賠償請求権議会放棄するという、これまた異常な事例が相次いでいることを受けたものでございます。異常な請求には異常な手段で対抗するといった、まさに異常な状態であります。  私は、首長等の損害賠償請求権を善意、無重過失の場合に限定できるようにするとともに、議会損害賠償請求権放棄しようとする場合には監査委員意見を聴かねばならないこととしている今回の改正案は一定の改善だと評価をいたしております。しかしながら、今年一月に公表されました総務省住民訴訟制度の見直しに関する懇談会の取りまとめにおきましても、また衆議院の附帯決議におきましても、損害賠償請求権放棄の在り方については、今回の改正案の施行状況も踏まえて今後その適否について更に検討を行うこととされており、まだ完全に解決されているとは言い難い状況であります。  本来、この住民訴訟は、衆議院で高市大臣も答弁されておられますように、地方公共団体の財務の適正性を確保することを目的とする制度でありまして、その一類型である四号訴訟も、その目的を実施するために首長や職員等の個人責任を追及する仕組みとなっているにすぎないわけでございますけれども、残念なことに、あたかも個人責任を追及すること自体が目的であるかのように利用されることがあるために、このような状況になってしまったというふうに私は見ております。  私は、この混乱を整理していくには、やはりこの四号訴訟制度本来の目的を確認することから始めなければいけないと、こういうふうに思っております。  そこで伺っていきたいんですが、確かにこの四号訴訟は首長等の個人責任を追及する訴訟形態となっており、昭和五十三年三月の最高裁判決でも、職員等に対し損害の補填を要求することが訴訟の中心的目的となっていると言及されてはいますけれども、住民訴訟全体を貫くより大きな目的は、その最高裁判決でも触れられておりますけれども、あくまで財務の適正性の確保にあるわけでございますから、この四号訴訟の究極の目的というものも個人責任の追及による損害の補填ではなくて財務の適正性の確保にあるものと考えられるわけでございますが、御見解をいただきたいと思います。
  97. 安田充

    政府参考人(安田充君) お答えいたします。  住民訴訟制度でございますけれども、御指摘ございました昭和五十三年の最高裁判決等によりますと、住民自身訴訟を提起することを通じまして地方財務行政の適正な運営を確保することを目的とする制度でございまして、不適正な事務処理を抑止、是正する効果を有しているというふうに承知しているところでございます。このうち四号訴訟は、違法な財務会計行為の客観的な是正、抑止に加えまして、これによって生じた損害の補填の要求を目的としたものでございます。  その上で、委員御指摘のとおり、四号訴訟は、こうした長や職員の個人責任を追及し、損害を補填させることによりまして最終的には地方財務行政の適正な運営の確保を図ること、これを目的とするものであると考えている次第でございます。
  98. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 そのとおりだと私も思います。最終的には、あるいは究極的には、この四号訴訟も含めて、目的は財務の適正性の確保であるということはここで確認できたわけでございます。  さて、そうだとするならば、私が指摘をさせていただきたいのは、これは午前中も片山虎之助先生から元々これは乱暴な制度なんだという御指摘がございましたけれども、まさに行政の比例原則の観点から、財務の適正性を確保するために何億円、何十億円もの損害賠償責任個人に負わせる必要があるのか、軽過失の場合でも年収の何倍もの賠償責任を負わせる必要があるのか、このことについてもう一度冷静に考えてみる必要があるというふうに思っているわけでございます。  政策論としての私見を申し上げさせていただきますと、故意の場合は全額賠償が当然だとしても、重過失についてはこれはあくまで過失の範疇でありまして、先ほども議論させていただきましたが、そもそも軽過失との区別はかなり曖昧であるということを考えますと、全額賠償ではなくて年収の数倍もの制裁を予定しておけば、ミスを犯さないよう注意を払うインセンティブあるいは違法行為を是正するインセンティブというのは十分に働くんじゃないかと、こういうふうに考えるところでございます。  さらに、この軽過失に至りましては、第三十一次地制調答申で求められながら今回は見送られましたけれども、違法確認訴訟、あるいは午前中の参考人の指摘にもありましたように監査機能充実などによって是正が図られる仕組みとすれば、これはその対応を放置していれば次の段階では今度故意又は重過失になっていくわけでありますから、あえて個人責任を追及しなくても足りるのではないかなと、こういうふうに考えているわけであります。そうした措置を講じた上で損害賠償請求権放棄を禁止することとすれば、これは全体として合理的なシステムになっていくのではないかなと私は思っております。  確かに、会社法では取締役は軽過失でも責任を問われるとか、あるいは一般の不法行為でも軽過失責任を問われるという意見があるのも私は承知をいたしております。しかしながら、この取締役の責任というのは会社との委任関係における債務不履行責任の追及であるということ、それから、不法行為責任についても発生した損害を公平に負担させるための制度でありますから、いずれも当該個人に負担させることを目的とした制度であるわけであります。だからこそ軽過失でも負担してもらう必要があるわけでございまして、住民訴訟とは最終的なといいますか究極的な目的が異なるということをしっかりとこれは理解をすべきだろうと、こういうふうに考えているわけでございます。  先ほど、善意の論点のところで民法と、住民訴訟でですね、という話がありましたけれども、民法の不法行為の場合は事実関係を認識していれば違法性の認識は必要ないというのがどうも通説のようでございまして、そういった意味では、住民訴訟においては必ずしも事実関係を認識していたとしても直ちにそれが故意となるわけじゃないというところは、私はこれは制度の本来的な目的から由来するものではないかと、そういうふうに思っているわけでございますが、そういったことであるとか、あるいは国家賠償法における公務員個人の求償責任、これとのバランスの問題についても、個人に負担させるための仕組みなのか否かというところで私はその制度趣旨というのは基本的な差があるんじゃないかと、こういうふうに思うわけであります。  いずれにいたしましても、この四号訴訟につきましては改善途上の制度であるという認識に立って本改正案が成立した後も引き続き検討を進めていただきたいと、こういうふうに思うわけでございますけれども、政府のお考えをいただければと思います。
  99. 安田充

    政府参考人(安田充君) お答えいたします。  昨年末から今年の初めにかけまして、住民訴訟制度の見直しの具体的な方向性について検討した有識者懇談会、こういうものを開催いたしましたが、この取りまとめにおきましても、今回改正される制度の施行状況に鑑みて今後も更に検討を行うべきとされている、こういうものもあるというところでございます。  政府といたしましても、今後も住民訴訟制度に関する運用状況を踏まえつつ、住民訴訟制度の有する違法な財務会計行為の抑止、是正効果と長や職員に対する責任追及の在り方がバランスの取れたものとなるよう検討を行ってまいりたいというふうに考えております。
  100. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。引き続きお考えいただけるということでございました。  特に、この損害賠償請求権放棄の問題でございます。午前中、これについては大分議論がありました。  その中で私はちょっと気になった議論があったのでここで指摘をさせていただきたいと思うわけでございますけれども、損害賠償請求権放棄違法行為に由来する放棄と合法行為に由来する放棄とに分けて、違法行為は禁止をするけれども合法行為は例外的に認めようかという話があったわけでございますが、そもそも客観的な違法行為がなければ損害賠償請求権は発生をしないわけでありますから、違法、合法の区分けは私は意味がないというふうに思いました。  したがいまして、そういったことも指摘をさせていただく中で、このシステムが本当にその本来の趣旨に立ち返った合理的なシステムになることを心から望んでいるわけでございます。  今日は、高市大臣、一千日目ということでございまして、大臣にも通告申し上げておいた方がよかったのかなと今反省をしておりますけれども、改正案が成立していない段階で申し上げるのもなんなんですけれども、今、安田局長とやり取りをさせていただきました。高市大臣始め政務三役の方々におかれましても、今回の議論を受け止めていただきまして、是非引き続きこのより良き制度の構築に向けて御尽力いただければ幸いに存じます。  多少の時間が残っております。これ、通告していないので大変恐縮でございますけれども、高市大臣の御感想をいただければ幸いでございますが、いかがでしょうか。
  101. 高市早苗

    ○国務大臣(高市早苗君) 千日ということで祝っていただき、ありがとうございます。また、御指導も賜り、ありがとうございます。  在職日数につきましては、まだ、片山元大臣総務省発足前にまだ三省の大臣をお務めいただいておりましたので、まだまだ背中を見ながら頑張らせていただきたいと思います。  さて、今様々な御指摘を賜りました。まずは、本法案を成立させていただきました暁には、適切に地方公共団体に対して助言も行い、しっかりと条例制定などに当たっても対応していただけますように私どもも努力をしてまいりますし、更に良い制度の構築に向けて努力をしてまいります。  ありがとうございます。
  102. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  予定していた質問は全て終わりましたので、これで私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  103. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 民進党・新緑風会の那谷屋正義でございます。  私も、過日の質問で、高市総務大臣は今の閣僚の中では最も長い大臣の一人ではないかというお話をやったら、ちょうど今日千日だというお話が今ありまして、おめでとうございますというか、これからも是非頑張っていただけたらということをお願いをしておきたいというふうに思います。  そういう意味で、やはり、例えば私、冒頭、加計学園について質問をしますけれども、前回は森友学園のことも言いました。そして、今回、加計学園もそうなんですが、やはり今掛けられている様々な問題、あるいはいろんな動きが元文科事務次官からあったりしましたけれども、こういう動きというのはもう多くの国民がやはり何かおかしいよということはもう間違いなく言っているわけですから、内部から、内閣の内部から、これはやっぱりもう正々堂々と何でもないんだということを明かす、そういう手段をやっぱり取るべきだろうというふうに私は思っているところであります。  ちょっと、冒頭、こんな厳しい話するつもりじゃなくて、最初は、まず、本法案の審議の前に最初参考人質疑を今日午前中やっていただいたということは、大変私は良かったなと。この審議に大変役に立つ参考人質疑で、委員長も言われていましたけれども、大変白熱したという、そういう参考人質疑はなかなかないと思うんですけれども、そういう議論をいただいたこと、これは全ての理事の皆さんに感謝をまず申し上げたいというふうに思います。ありがとうございました。  その上で、これも午前中出てきたんですけれども、何でこの法案が今更出てくるんだろうというのが非常に素朴な疑問としてあります。今までこういうことがなされていなかったのかどうなのかというところがあるんだろうと思います。  そこに、今度、この加計学園の問題でありますけれども、実はこの問題が大きくクローズアップされる中で、我々民進党の同僚議員も現地へ視察してまいりました。  そして、市民の方にお伺いした話の中で、実は今治市の財政というのは、小さな市ですから全国的に見ても大変厳しい状況にあると。財政健全化に最優先でいかなければいけない状況にあるにもかかわらず、愛媛県と今治市で獣医学部開設に九十六億の公費を支出するということが決まったと。特に今治市としては約三十六億七千四百万円を掛けたということで、これは単年度じゃないわけですけれども、しかし大きなお金を出した。これは今治市の一年間の総予算の中でも相当大きなウエートを占める部分だろうというふうに思いますけれども、それを加計学園に無償譲渡するということ、それから、これを市長として、市として決断する上で、議会に、議論が十分に尽くされていなかったというようなことも言われておりまして、市民の理解や同意が十分に得られることなしに一方的に進んでいる状況にあるというふうにその市民の方は言われておりました。強い不安と危惧を持っていらっしゃるそうであります。  全国的に自治体が学校法人を誘致して開学を支援するケースは幾つかあるということは承知をしていますけれども、この加計学園の場合にはその支援の範疇をはるかに超えて逸脱しているというふうに私は思います。地方自治の観点からしても、明らかに自治体の財政を逼迫させて、毀損させる可能性もあるのではないかというふうに思うわけでありまして、この問題について、いろいろな委員会でいろいろとやらせていただきますけれども、地方自治という観点から大臣としてはどのような見解をお持ちか、お伺いをしたいと思います。
  104. 高市早苗

    ○国務大臣(高市早苗君) まず冒頭に、那谷屋委員からも御激励を賜り、ありがとうございます。  加計学園の件でございますが、国家戦略特区諮問委員会のメンバーではございませんのでその詳細について申し上げるのは難しい立場でございますが、私が承知する限りのことでは、今治市が昭和五十八年から今治新都市開発事業に着手して以降取得した土地を高等教育施設用地と位置付け、以来、大学誘致を目指してこられたということでございます。  その上で、地方自治法上の手続で申し上げますと、今治市では、土地の無償譲渡については地方自治法第九十六条第一項第六号、校舎建設地の一部補助に係る予算については同項第二号に基づいて、平成二十九年三月三日に市議会議決を経て行われたということでございます。  これは、法律規定に基づいて、市民の代表であられる市議会議決を経てなされたものでございますので、地方自治の観点からは市議会議決が尊重されるべきものだと考えております。
  105. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 市議会意見が尊重されるというのはそうなんですが、先ほど申し上げましたように、これは議会の冒頭に市長から突然ぽおんと飛び出してきて、そしてそれを、ほとんど十分な審議をする間もなくこれを議会で決議したというような話が出てきたわけでありまして、今後、これ相当、今回の法案に絡んでいろんなことが出てくることが想定されます。  例えば成田市が国際医療福祉大学を誘致したケースでは、市による総額約五十億円の費用負担は過大で公益上の必要性も認められない違法行為であるとして、市長を相手取って損害賠償や補助金の支出差止めを求める住民訴訟が起こされております。これはもう御存じだと思います。  加計学園の問題についても、今治市という地方公共団体による土地の無償譲渡という点で、市による土地の無償譲渡が不当であるという主張の下、住民監査請求住民訴訟の対象となり得るケースではないかというふうに思います。  また逆に、ここまで話が進みながら、まだ、文科省が八月ぐらいに最後認可下ろすかどうかということになるわけですけれども、仮に下りなかったとしたときに、今度は学園側の方から訴訟が起こってくるのではないかというふうな様々なことが懸念されるわけであります。  本法律案では、条例において、長や職員等の地方公共団体に対する損害賠償責任について、その職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、賠償責任額を限定してそれ以上の額を免責する旨を定めることを可能にしている、これはもう先ほどからの議論にあります。  この規定の適用というのは、各地方公共団体が定める条例の施行の日以降の長や職員等の行為に基づく損害賠償責任について適用されるというふうになっているわけでありまして、これ今まだ施行されていませんけれども、こうしたことが住民監査請求を経て住民訴訟が提起され、また損害賠償を命じられるというような場合に、今回の法案に基づいて行われる条例ですから、これは今までのものを生かすということになるのか、それとも、もう既にここで、施行はされていないけれども、法律が成立したので、これに基づいて免責が行われるのか、どちらになるのでしょうか。
  106. 安田充

    政府参考人(安田充君) お答えいたします。  現在御審議いただいております地方自治法等の一部を改正する法律案のうち、長などの損害賠償責任の限定に係る改正規定でございますが、平成三十二年四月一日を施行期日といたしております。さらに、地方公共団体が定める条例の施行の日以後の長や職員などの行為に基づく損害賠償責任を適用対象といたしております。  したがいまして、委員御指摘の事例を含めまして、既に行為が行われている事例には本改正法案は適用されないということでございます。
  107. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 そうすると、やはり相当大きな問題が起こることも可能であるというふうなことが非常に心配されるわけであります。  不適正な事務が行われた後の責任追及というのも重要ですが、これも午前中実は議論がありました、不適正な事務が行われないようにするということもやはり大変重要であるというふうに思います。  本法律案において、都道府県知事及び指定都市市長は、内部統制に関する方針、すなわち地方公共団体の財務に関する事務等の適正な管理及び執行を確保するための方針を策定しなければならないというふうになっています。  私は、これ見ていて、今までそういうことがなかったのかなというのを非常に単純に思うわけですが、この適正なという言葉はよく使われる言葉なんですが、法令遵守のみではなくて、「地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。」、いわゆる地方自治法の第二条第十四項といった考え方を含めて考えるべきなのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  108. 安田充

    政府参考人(安田充君) 御指摘のとおり、適法性だけでなくて、御指摘のございました十四項の規定等含めて適切な事務執行を図っていただくと、こういう趣旨でございます。
  109. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 それが今まで行われていなかったからこういう法律改正しようとしているのか、そこら辺がちょっとよく、いわゆる立法事実というやつですけれども、その辺のところがいま一つはっきりしないなというのが私の本音であります。  そして、そこで言うこの内部統制、よく雰囲気は分かるんです。例えば、総務省さんのこの法案説明するときのポンチ絵なんか見ても、内部統制についてこうやっていろいろ書いてあります。しかし、この内部統制という言葉は、実はこの法案の中には一言も触れていないですよね。そういう意味では、この言葉自身違和感をちょっと持っているわけでありますけれども、都道府県知事、指定都市市長はこれに関する方針を定めということが義務付けられておりますけれども、それ以外の市町村は努力義務となっています。  ただ、もし私の思いが違っていたらあれなんですけれども、これまでの様々なケースを見ると、むしろ小さな市町村の方がなかなかこの辺がうまく徹底できていなかった部分が多いように感じるわけでありますけれども、この内部統制を今回改めて制度化する意図、意義について、まず大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  110. 高市早苗

    ○国務大臣(高市早苗君) 地方公共団体では、これまでも、法令などに従った事務処理ですとか、それから地方公共団体の長による決裁規則などの各種規則の制定などによりまして事務の適正化の確保というのは図ってこられたものだと思っております。  しかしながら、このような仕組みがあるとしましても、リスク管理という観点が十分に考慮されていないために、個人の能力任せですとか前例踏襲となってその仕組みが十分に機能しておらず、適正に対応できなかったという事例も残念ながら見受けられております。  今回は、条文上は違った表現になっておりますが、民間企業において既に導入されている内部統制制度に倣って同様の制度地方公共団体に導入することによって、行政サービスの提供などの事務上のリスク評価、コントロールして、組織として事務の適正な執行を確保する体制を整備、運用するというものでございます。  この内部統制制度によりまして地方公共団体における組織的なリスク管理体制が構築されて、地方公共団体の長のマネジメント強化や事務の適正な執行による住民の信頼確保につなげていただけると考えております。
  111. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 そういうことなんだろうと思うんですが、先ほども申し上げましたように、小さな規模、いわゆる小規模の市町村の場合、これは努力義務規定になっているわけですね、努力規定に。しかし、そこにも早急に効果的な、あえて申し上げれば内部統制体制の整備を進めることができるように適切な支援というものが必要なのではないかなと思うんですけれども、それはいかがでしょうか。
  112. 安田充

    政府参考人(安田充君) 委員御指摘ございましたように、本来、全地方公共団体内部統制に関する基本方針の策定、内部統制体制の整備が求められるものというふうに考えているところでございますけれども、やはり地方公共団体の負担というものも考えなければいけないと考えた次第でございます。  そのために、今回提案しておりますように、まずは組織や予算規模が大きくその必要性が比較的高いと考えられる都道府県知事及び指定都市市長に対してのみ義務付けるということにいたしたわけでございます。  その他の市町村長は努力義務といたしているわけでございますけれども、私どもといたしましては、それらの市町村に対しましても、先行的モデル事例を紹介するとか、あるいは他の団体の取組事例を紹介するなどによりまして、必要な情報提供、技術的助言により支援してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  113. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 是非、必要な情報提供をしていただくことによって、小さな規模のところでもリスク管理がしっかりできるようにしていくことが重要ではないかなと思います。  今回の法案の中で、監査制度充実強化ということで、これは非常に重要なことだというふうに思うんですが、その監査基準の策定について法案では、監査委員監査基準に従うこととし、監査基準は各地方公共団体監査委員が定め公表というふうになっているわけです。  これも午前中、実は参考人の方から、表現が的確かどうか分かりませんけれども、ありました。これで本当にいわゆる中立というか、しっかりした監査ができるのかなという疑問が持たれても不思議ではない。監査の実施主体である地方公共団体監査委員監査基準を自ら策定するということは、やはり疑問を持たれる部分だろうというふうに思うんですね。  やはり実施主体とは別のいわゆる第三者、これも先ほど申し上げました小さな市町村では負担が大きいということもあるんでしょうけれども、適切な基準を定めて、それにのっとって監査委員監査を実施することが本来の監査制度充実強化に寄与するのではないかというふうに思うわけであります。  また、大臣指針を示されて必要な助言を行い、定められる監査基準も公表されるというふうになっていますけれども、逆に一歩踏み込み過ぎちゃうと、今度はいわゆる地方自治の地方分権ということに対しても差し障りが出てくるということでありますけれども、その辺のさじ加減、結構難しいんですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
  114. 安田充

    政府参考人(安田充君) 私の方からまずお答えをさせていただきたいと存じます。  午前中にこれも御議論いただいたと承知しておりますけれども、第三十一次地方制度調査会では、全国的な統一的な監査基準ということが提言され、それを全国的な共同組織ですね、地方団体の共同組織においてこれを設けるということが提言されていたわけでございますけれども、その後、監査委員の協議会の方々などとの意見交換によりまして、それらの意見を踏まえて再検討を行い、今回のような形で御提案を申し上げているという次第でございます。  今回の内容でございますけれども、御指摘ございましたように、監査委員監査基準を定めてこれに従って監査を行うということにする一方で、全国的な監査の質の向上を図るため、総務大臣の責務として監査基準の策定に関する指針を示し、総務大臣がこれ助言するということにいたしているわけでございます。各地方公共団体監査委員は、この指針助言を踏まえながら個別の地域の実情に応じた監査基準を定めることになりますから、恣意的な監査基準監査となるとは考えておらないところでございます。  また、この指針助言というのはあくまで助言でございますので、拘束力はないわけでございますので、各地方団体は必要があれば自分判断して別の基準も作れるということで、自主性を損なうということにもならないのではないかと考えている次第でございます。
  115. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 まあ自主性が損なわれないようなものを是非考えていただきたいなというのが思いでございます。といいますのは、やはり国がこう言っているからやっぱりこの枠はある、たがが結局ある程度はめられちゃう可能性があるわけで、それだけやっぱり国のやる仕事というのは、地方に対する影響、いい悪いは別にしてまだまだ大きいというふうに思うので、その辺も加味しながらお願いをしたいというふうに思います。  監査委員は長が議会の同意を得て識見を有する者及び議員のうちから選任する、つまり議選でなくてもよいというふうな形に今回なったわけでありますけれども、これも午前中相当議論がありました。監査主体の独立性というものを考えたときに、監査を受ける者から独立して監査機能を発揮するということで考えれば、外部監査制度充実や外部の専門的知見の活用など外部の視点からの監査充実することや、監査の実施に当たって監査委員権限を拡充することによって監査独立性の向上につながるのではないかというふうに、これは第三十一次地方制度調査会答申で言っているわけでありますけれども、私が思うのは、議会の中からこの監査委員を選出するということになると、本当に独立性というものが担保できるのかどうかというふうなことが懸念されるわけですけれども、ここは、じゃ、大臣、いかがでしょうか。
  116. 高市早苗

    ○国務大臣(高市早苗君) まず、第三十一次地方制度調査会においても監査独立性を高める方策が検討されたんですが、監査委員の選任方法を公選とすることについては、監査委員としての専門的な能力を有する人材の立候補が期待できるのか、また、議会による選挙とすることについては、実質的なメリットがあるのか、その場合の監査委員制度的な位置付けをどのように考えるのかといった課題もあることから、慎重に考えるべきとされておりました。  この監査主体のとにかく独立性というものをしっかり担保しなければいけないんですが、この独立性というのは監査を受ける者から独立して充実した監査機能を発揮することと考えられますので、今回の改正案では、監査専門委員創設による外部の視点からの監査充実勧告制度創設による監査委員権限の拡充、それから、条例によって包括外部監査を実施する地方公共団体の実施頻度の緩和によってこの外部監査制度充実を促すといったことなどを行うこととしております。  議選監査委員の選任につきましては、これは選択制ということでございますけれども、これはやはり先ほど来申し上げておりますような形で、まずは監査主体の独立性ということを担保しながら、今後もより良い制度に向けて検討を続けてまいります。
  117. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 独立性を担保された監査制度の下でというのは非常に重要なことなので、是非そこのところもこれから注視していただきたいと思うんですが。  それを前提として、今回、損害賠償請求などがあった場合に、例えば一つは長の免責というものが認められるようになるわけですよね。一方でその免責を認めておきながら、逆に言うと議会が、もちろん独立性の強い監査委員からの勧告等々を受けながら、それをなしにするということも、放棄することもできるというふうになっている。何でこんなものになっているのかなと富山市長も非常に不思議に思っていましたけれども、何か全体的に矛盾していないかなと。免責というものを決めておきながら、実はそれ全部なしにすることもできると。どっちに重きがあるんだいという、そんなのが何か普通に考えて疑問に思うんですけれども。  総務省は、この放棄ができる場合の制限についてどのような場合を想定していらっしゃるんでしょうか。
  118. 安田充

    政府参考人(安田充君) お答えいたします。  今回の改正案免責条例制度が導入されれば、これとの均衡から、故意、重過失の場合の放棄でございますとか最低責任負担額を下回る放棄議決は今後は慎重に判断されるものになると考えているところでございます。  議会議決による放棄、今後行われる場合どういうものがあるかということでございますけれども、今の時点で全ての具体例を想定しているわけではございませんけれども、例えば住民訴訟において多額の責任追及を受けた長が死亡し、残された遺族が到底支払い切れないような多額の損害賠償債務を負わざるを得なくなったような場合などには、個別具体的な事情を踏まえて議会議決による放棄を行うことはあり得るというふうに考えているところでございます。
  119. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 参議院の総務委員会は、党派を超えてその制度を良くするために知恵を出し合うという、そういうふうに私も受け取っておりますが、実は衆議院の方で、うちの方は委員会のときに修正案を提出させていただいたわけであります。その趣旨は、地方公共団体の長を含む職員の違法な行為又は怠る事実に関する当該職員等に対する損害賠償又は不当利益返還の請求権は、やむを得ない事情によるものであると認められる場合等を除くほか放棄することができないということで、ある程度そこに歯止めをつくる必要があると。そうしなければこの住民監査請求制度が何のためにあるのかという、そういうふうなことも先ほど参考人の方は言われていましたけれども、そういうところにつながってしまうということであります。  その辺についてはどのように受け止められているでしょうか。
  120. 安田充

    政府参考人(安田充君) 議会による権利放棄議決の有効性ということにつきましては、平成二十四年の最高裁判決において一定の判断枠組みが示されているわけでございます。この判決におきましては、この議決による権利放棄につきまして、議会裁量権基本的に委ねられているとしつつ、諸般の事情を総合考慮して、これを放棄することが裁量権の範囲の逸脱又は濫用に当たると認められるときは議決は違法となり、放棄は無効となると、このように判示をしているわけでございまして、これについては、最高裁の考え方、整理されたものというふうに考えている次第でございます。  したがいまして、御指摘の客観的な基準を設けるべきという御指摘でございますけれども、住民訴訟で問題になる事案は様々でありまして、どのような場合に放棄を禁止、あるいは許容すべきかについて明確に基準を設けることは困難でございますし、今申し上げました最高裁判決の判断枠組みというものが設けられておりますので、今後はこの判決を踏まえて各団体において慎重に検討がなされることになるというふうに考えている次第でございます。
  121. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 今、具体的な判断基準という話はその次の質問なんですけれども、そうじゃなくて、これも結構あやふやといえばあやふやなんですけど、要するに、やむを得ない事情によるものであると認められる場合等を除いてもう放棄はできないんだよというふうなことをすることがこの住民監査請求というものを、もうそれこそ請求する側は物すごく労力、時間を掛けてやるわけでありますから、それはやはり、住民、その町を良くしようとすることの中から出てくる話だろうと思うんです。ですから、そこのところはやはりこの住民監査請求権が奪われないというか、失われないようにしてあげるということは本来大事なことなんだろうと思います。  一方で、私自身も、全てのことが首長さんに大変な重い責任が掛かるとなると、首長のなり手がそのうちいなくなっちゃうんじゃないかというような、そんな心配も実は私自身持っています。自分でこの市をこんなふうにしたいんだというふうに思ったことが法に触れるか触れないかということをもちろんしっかり調べることは大事なんですけれども、しかし、この町はこういうふうにしていくんだという、そういう志があって首長さんになられるんだろうと思うので、それが仮に途中で失敗に、仮にというか、失敗になったときに、それを物すごく重い責任個人、まあ個人じゃないんですけれども、掛かってくるというようなことになると、さっき出てきた萎縮効果というものにつながってしまう。そういう意味では、その辺非常に微妙なんですが、せめて、いわゆるやむを得ない事情によるものであると認められる場合等を除くほかという、そういう部分はやっぱり生かしていただきたいなというのが思いであります。  実はさっき議論がされましたけれども、軽過失って一体何なんだと、過失に重過失も軽過失もあるのかというようなことなんですが、それについて議論がありましたのでここは省略をいたしますけれども、是非、私もこれはやはり一定の客観的な基準というものを示すべきではないかというふうに思っているところであります。  もう時間がほとんどなくなってまいりました。最後になりますけれども、条例で定める場合の免責に関する参酌基準責任下限額については国が設定するというふうになっています。住民訴訟違法行為抑止効果を減殺することのないように国は詳細を設定しなければならないというふうに思うわけであります。  本法律案には、その参酌基準責任下限額についての詳細な設定に関する事項が記されておりません。先ほど来、民間の場合はこうだというような話が実は出ていましたけれども、その辺はもちろん地方が独自で条例で定めるということになるのかもしれませんが、総務省としてその辺のことはどの程度に設定するのが妥当というふうに考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  122. 安田充

    政府参考人(安田充君) お答えいたします。  今回新設いたします地方自治法第二百四十三条の二でございますが、地方公共団体の自主的な判断を尊重し、最低責任負担額の設定を条例に委任するものでございます。  一方で、条例の制定、改廃に当たりまして、政令におきまして、目安として会社法などの規定参考に参酌基準を設けた上で、過度に低額な最低責任負担額が設定されることがないよう、最低額を設けることとしているところでございます。  参酌基準につきましては、他の立法例を参考に、年収額を基準として、職責などを考慮した一定の乗数を乗じて算出した額とすることが考えられると思っております。  この他の立法例でございますけれども、会社法等を参考にした場合に、乗数といたしましては、長としては六倍、委員会委員又は委員などについては四倍、監査委員については二倍といったことが考えられますけれども、具体的には、国会での御審議でございますとか、改めて有権者の意見も聞いた上で政令で規定することにいたしたいというふうに考えております。
  123. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 時間が来たので、これで終わります。
  124. 江崎孝

    ○江崎孝君 私からも、千日、おめでとうございます。心からお祝いを申し上げますし、ずっと総務委員会にいましたから、大臣大臣の期間、ずっと私も総務委員会にいさせていただいて、これからもそういう関係にいたいと思いますけれども。  まず、第三十一次答申の件からお話をさせてもらいたいんですけれども、これが、答申の中身が、命題というか、人口減少社会に的確に対応する地方行政体制及びガバナンスのあり方に関する答申という、こういう冒頭の題名が付いているとおり、人口減少社会への対応というのが中心議題になっているわけです。ですから、これからというか、私も自治体におりました。それで、まだまだ若い頃、もう髪の毛もまだふさふさあった頃ですね、ある仕事をさせられて、二十三歳ぐらいだったと思うんですけれども、農村総合整備モデル事業という仕事をしたときに企画書を書かされた。そのときの一つのテーマが、超が付いていましたね、超少子高齢化社会の到来に備えての農村の在り方はどうあるべきかという。もう四十年ぐらい前から少子高齢化社会の到来というのはもうこの社会の当たり前の将来像だったわけですね。  それがここに来て、先ほど参考人のお話からもあったとおり、人口が突然減り出したわけじゃなくて、ずっと兆候があったわけで、それがここ数年の消滅自治体という非常に衝撃的な調査報告から一気に地方創生という動きに掛かってくるわけですけれども、改めて、人口減少社会、その意味で第三十一次答申ではそういう話があったということなんですが、それに対して総務省も様々な取組をされているものだろうというふうに思います。  この三十一次答申の中にもありますとおり、前回の三十次答申であった連携中枢都市圏構想という、これ、前回の三十次答申で出て、前回の地方自治法改正で、何か専門的には連中、連中と言うらしいんですね、これ内部では。何のことだろうと思ったら、連携中枢都市のことを専門語で連中と言うらしいんですけれども、私も連中と言わせていただきますが、この連中があって、今回は、第三十一次答申は複眼的というか、一つの都市が連中の基本だったのを、昼夜間人口の比率が一以上が二つあるところは複眼的にということで新たにまた連中の構想が指定されるわけなんですけれども。  それで、まずは第三十次調査におけるいわゆるその連中、連携中枢都市圏についてですけれども、今の現状とその成果についてまずお尋ねいたします。
  125. 安田充

    政府参考人(安田充君) お答えいたします。  連携中枢都市圏については、現在までに二十三圏域が形成されておりまして、今後更に全国各地に拡大していくことが見込まれているところでございます。  この施策でございますけれども、相当の規模と中核性を備える都市を中心として市町村が連携し、コンパクト化とネットワーク化により各種の事業を効果的に実施することで、人口減少、少子高齢社会においても一定の圏域人口を有し、活力ある社会経済を維持するための拠点を形成すること、これを目的としているものでございます。  これまでの実績を見ますと、経済成長の牽引関係では、誘致活動に応じた企業を圏域全体で誘致、融通するとか、圏域の中小企業の経営相談を行うビジネスサポートセンターの開設を行うといったようなことでございますとか、生活関連機能サービスの向上関係ではこども発達支援センターを共同運営すると、こういった事業で成果を上げているものと承知しているところでございます。
  126. 江崎孝

    ○江崎孝君 午前中の質疑にもあったんですけど、いわゆるコンパクトシティーという、まあコンパクトシティーと連中が重なり合うとは僕は思いませんけれども、基本的には、一つの都市の中に都市機能を集中して、私が理解しているのには、そこに産業もあるいは雇用も生んでそこに働きに出る、周りの市町村、ここを居住圏にして。どう地方の減少を食い止めるかというものだろうと思うんですね。  平成の大合併、これ賛否両論あると思いますが、やはりあれが良かったかどうかという総括は非常に大事だろうと思うんですね。ただ、もうこれ以上合併を市町村に呼びかける、要請をするということはほぼ無理ではないのかと。そんな中で、合併とは違った新たな行政の在り方というのを多分この連中ということで第三十次答申やられたと思うんですね。  ところが、やっぱりこれはこれからの、後の問題にも関係してくるんですけれども、僕、比例区ですから、全国の市町村を回っていると、様々な市町村があるんです。  鳥取県には日吉津村というのが、御存じでしょうか、二掛け二ぐらい、四平方キロですよ、三千人ぐらいいらっしゃるんですけれども。これは、周りが全部米子市と合併したので、平成の大合併で、米子市の中にぽこんと一つだけある。これ日吉津村というんですけど、今そこに人口流入が始まっているという。ここは中学校がないんですね。郡があった、周りの自治体、合併する前の自治体と一緒になって一組、一部事務組合で中学校をつくっていた。ところが、それがみんな合併しちゃって米子市に行っちゃったので、今度米子市の中学校と、米子市と日吉津村が一組で中学校を運営しているという、こういうところもあるわけですね。  その一方で、高山市というのは、御存じだと思うんですけれども、岐阜県の高山市って、これ二千百七十七平方キロですよ。実に高山市と九町村が合併をしてとてつもない、でかい自治体になってしまって、これ東京都とほぼ同じ、香川県よりもはるかに大きい自治体。これは全国にできているんですね。例えば日光とか、様々なところが、本当にでかい自治体ができている。そんなところというのは、この連中という構想さえも多分無理なところだろうと思うんですね。  そんな中で、僕、この平成の合併というのは非常に無理強いした記憶が、感慨があります。行ってみれば分かるんですけれども、高山市というのは、これだけ一市九町村が合併をして、ほとんど中山間。そんな中で、高山市行かれた方御存じだと思いますけれども、非常に山の中の古都のいいところなんですけれども、それ以外というのははるかに遠い中山間の町村と合併をした。その結果何が起きているかというと、やっぱり逆に言うと東京化現象というか、高山市にどんどんどんどん人が集まってきていて、過疎が更に加速しているという状況になるんですね。  ですから、この連中というのも、地方の東京化をやっちゃ駄目だと思うんですよ。やはり、東京一極集中、今大問題になっている。この連中というのが地方において、地方の中での一つの都市がそこに人口集中していくという、こういう状況では駄目だと思うんですけれども、今の現状と成果を伺いながら、三十一次答申では、都道府県から連中に権限移譲をするというようになっておりまして、今回は、これ局長お分かりだろうと思うんで聞きますけれども、近隣市町村に移譲されていない事務、つまり連中には移譲されるけど、近隣市町村にも、連中に、移譲されていない事務を近隣市町村にも移譲していいよというのが答申に出されているんですけれども、これって総務省で何か検討されておりますでしょうか。
  127. 安田充

    政府参考人(安田充君) 三十一次の地制調答申を受けて、広域連携の在り方、あるいは市町村への補完の在り方一般について幅広く検討はしているところでございます。
  128. 江崎孝

    ○江崎孝君 答申読まれていると思いますけれども、都道府県から連携中枢都市への権限移譲というのは三十次で出て、それで、それ以外の近隣市町村には権限移譲がない。それに、そういう事務も今度近隣の市町村にも事務移譲しなさいよという、してほしいという答申が出ているんで、僕はこれ大事なことだろうと思うんで、是非検討をお願いをしたい。  そこで、広域連携等による行政サービスの提供の中で外部資源の活用による行政サービスの提供というのが出てくるんですね、答申の中では。つまり、地独法化です。いわゆる、午前中話されている窓口業務の地方独立行政法人に委譲できますよというのがこの行政サービスの持続可能な提供のための地方行政体制、それも、冒頭にあったとおり、人口減少にどう対応するかというところのくくりの中でこの答申がなされているわけなのでありまして、そこで僕が非常に問題としているのは、午前中、今日、片山委員いらっしゃらないんですけれども、民間委託がいいんだみたいなことを言われていましたけれども、やはり民間委託、確かに全て悪いとは言いません。しかし、この間、すさまじい勢いで自治体の人員削減、もちろん合併もあって、すごい勢いで自治体の職員が減っているし、民間委託をされているというこれ現状があって、その行き過ぎた部分とあえて僕は言いますけれども、そういう流れの中で地方の過疎化も影響してきているわけだと思うんですね。  今言ったように、例えば高山市、二千百七十七平方キロ、とてつもない一つ自治体です、一市九町村。こういうところが、さらに例えば窓口を民間委託をしようとしても大変な状況だと思いますし、むしろ僕は、今日、富山市の市長さんと初めて意見聞かせていただいたんですけれども、さわやか窓口推進運動というのをされて、つまり自治体の窓口業務というのは市民と住民行政のアクセスポイントだと、大きな。これ、重要だと思うんですよ。  これ、政令指定都市とか、例えば東京都のような大都市でも僕は同じだと思うんです。僕は、よく小規模とは違うと言われますけれども、基礎自治体でやっていることというのは対面でやっていることってほぼ同じですから、これは東京都であろうと名古屋市であろうと、例えば日吉津村であろうと、窓口業務、市民と行政のアクセスポイントって非常に重要にしなきゃいけないと思うんですね。ここが今言った民間委託どんどんどんどんされて、特に大都市を中心として民間委託されています、御存じのとおり。そして、衆議院では特区を視察に行っているんですよね。何区でしたか……(発言する者あり)板橋区でした、ありがとうございます。板橋区を視察に行っているんですよ。それで、何が起きているかというと、要するにノウハウの欠如がもう起きていると。つまり、職員の人の住民と相対するときのノウハウ、こういうものがもう既に欠落しつつあるという、非常に重要な問題だろうと思うんですね。  民間委託というのが進めていくこと自体が僕はよしとするんじゃなくて、今言ったように、人口減少社会、そして自治体のありようも大きく変わってきている。特に、この第三十一次答申も、地方行政の在り方を、住民に身近な行政サービスを総合的に提供する役割を有する市町村にあっては、地域経営の主体として、人口減少を食い止めるための対策を講じ、引き続き持続可能な形で人々の暮らしを支える行政サービスを提供する必要があるというふうに明言しているわけですよ。  つまり、今までのではもう駄目なんだと。人減らせとか民間委託しろとか、そうじゃなくて、それだと、やっぱり自治体のノウハウも含めて、今本当にやらなきゃいけない、連中でやらなきゃいけない、雇用を生む、企業家を育てる、そういう様々な、今まで求められてこなかった、高度経済成長の中で余り自治体は優先してこなかったそういう世界を自治体はこれからやっていかなきゃいけない、こういうのが連中の大きな流れだろうと思うんです。先ほど局長もそうおっしゃいました。  その中で、僕はあえて今回の窓口業務の委託に対して言っておきたいのは、規制改革会議とかは窓口業務のアウトソーシングと言っているわけですね。今回の地独法、改めて窓口業務を地独法に行かせるということを言っているんですけれども、その辺の総務省としての考え方、これが、ずっとされてきた、民間委託を進めてきた、人減らしを進めてこられた、しかし、ここでまた窓口業務をやる、地独法化するということは同じ流れなのか。いや、やっぱりこれまでの行政としてのありよう、例えば民間委託というのが本当にこれまでも追求していかなきゃいけないものなのかどうか含めて、その辺の全体像としての総務省の考え方をお聞きしたいと思うんですけど。
  129. 安田充

    政府参考人(安田充君) お答えいたします。  もう委員御指摘のとおり、これまで地方公共団体は行革の努力を進めてきまして、地方公共団体の職員数も大幅に削減してきたところでございます。  私どもの考え方でございますけれども、やはり総務省といたしましては、増加する行政需要に対応いたしまして、質の高い公共サービスを引き続き効率的、効果的に提供する観点から、地方公共団体において外部資源を活用しながら業務改革を進め、そこで捻出された人的資源を公務員が自ら対応すべき分野に集中するということが肝要だというふうに考えていることは変わっておりません。  そういう意味では、今回の法案では、外部資源活用の新たな選択肢としまして市町村の窓口業務を地方独立行政法人に行わせることを可能とすると、こういう考え方でございます。
  130. 江崎孝

    ○江崎孝君 それだと全く変わっていないわけでして、先ほど富山市長とお話をしていたとき、民間委託そのものは別に否定はしないという考え方でした。ただ、やはり窓口業務というのは、先ほど言ったとおり、市民と行政の接点という非常に大事なところ。特に、往々にして窓口業務というのは担務をやっているというふうに思われるかもしれませんけれども、市町村の出先に寄ったら、ほとんどの住民相談というのを大体窓口で受けている実態もあるわけですよね。そう考えたときに、やはり本当は民間委託になじむものかどうかというのは僕はゆっくりしっかり考えてほしかったんですけれども、都市部を中心として大きく民間委託をされている。  その問題点というのを総務省是非一回総括してほしいんですけれども、その考え方って、もう一回お聞きしたいんですが、どうですか。窓口を民間委託されてきたこと、そして今、午前中の富山市長の、これ自治体一つの特性だからそれぞれだろうというのはあるんだろうけれども、やっぱり窓口というのは、そこで働いている自治体の職員の一つのキャリアの大きな、キャリア形成の一つの重要なポイントなんですよ。そこをこれまでどんどん窓口業務を委託してきた、民間委託してきた。今言った板橋区では、もう既にそのノウハウそのものが区役所の職員に消えうせてきている。  そういう今の現状をお話をした上で、これまでの総務省の考え方というのは、やっぱり外部資源をこれからもどんどん活用していこう、そんな民間委託の流れというか人員削減の流れというのじゃないということを僕聞きたいんですけれども、どうですか。
  131. 安田充

    政府参考人(安田充君) お答えいたします。  窓口業務の民間委託に関係いたしまして各地方公共団体の方から状況等をヒアリングする中で、御指摘ございましたような、窓口業務というのは住民の状況を直接把握する貴重な機会であるという意見があって、その住民の状況を把握するためにいろんな工夫を行っているといったようなものでございますとか、ノウハウが維持できなくなるという点があって、それらについていろんな工夫をしていると、こういう取組があるということは市区町村の方からもお伺いしているところでございます。  私ども、その外部資源の活用という考え方自体は先ほど言いましたように現在も変わっておらないわけでございますけれども、今回、新しい地方独立行政法人制度、窓口業務を行える地方独立行政法人制度というのを導入することによりまして、民間委託のほかに新しいこういう選択肢を用意いたしまして、地方公共団体判断によりまして、より効果的なもの、効率的なもの、これを選んでいただくということを可能にするものというふうに考えている次第でございます。
  132. 江崎孝

    ○江崎孝君 今おっしゃったとおり、民間委託に代わる一つのツールとして用意をされたというのは非常に理解をさせていただきます。  そうすると、地独法に窓口業務を委託する場合と完全に民間に委託する場合の違いというのは何かありますか。
  133. 安田充

    政府参考人(安田充君) お答えいたします。  まず、今回の地独法におきましては、従来民間委託ではできなかった公権力の行使に当たる業務、各種届出の受理でございますとか決定といったようなもの、定型的なものに限ってでございますけれども、これを行わせることを可能にするということにいたしております。その代わり、地方独立行政法人に対しては、市町村が必要な監督を行えるようにかなり詳細な監督規定を設けているということがございます。  また、そのほかに、雇用の形態等を考えてみますと、今回の地方独立行政法人では、地方公共団体との比較でいえば、一年単位の変形労働時間制など、地方公共団体の職員では認められていない勤務条件を導入することが可能でありますし、また、一般地独法ということになれば、任用についても公務員法の規定の適用を受けず、任期の定めのない短時間職員といったような者を採用することも可能だということになっているわけでございまして、柔軟な人員配置による対応というものは可能になってくるんじゃないかと思っております。  民間委託との比較で考えますと、民間委託の場合にはあらかじめ契約期間が定められるということになろうと思います。それに比べますと、地方独立行政法人の場合には業務の終期設定がないということでございますので、より長期的な雇用が期待できるのではないかというふうに考えている次第でございます。
  134. 江崎孝

    ○江崎孝君 だから、そこがメリットだと思うんですね。  だから、私は、この地独法の活用の方法というのは、これから新しく例えば連中のところでつくっていくということももちろんこれあるでしょう、あるいは定住自立圏の中で幾つかの町村がつくるということももちろん想定されているでしょう。それは僕はちょっといいとは思わないんですけれども。  一方で、もう既に民間委託したところが地独法に移行するということも、これ当然あり得るわけですよね。ですから、その辺の、僕は、地方独立法人に全部窓口業務を、直でやっていた窓口業務をそっちに移すということももちろんこの趣旨の中にはあるかもしれないけれども、一方で、民間委託をされていた、そして今、民間の会社に委託するよりも地方独立行政法人の方が、雇用の在り方とかあるいは公権力の行使の問題とか、様々な件でやっぱり使い勝手がいいということは、是非総務省の方からも指導、助言というか、情報提供していただいて、できますならば、今、大都市を中心として窓口業務がほぼ、七割ぐらいかな、民間委託されているという現状をやはりもう少し改善をしていくという方法も一方で考えていただきたいなというふうに思うんですけど、どうですか。
  135. 安田充

    政府参考人(安田充君) 今回の地方独立行政法人制度活用を行うのか、あるいは民間委託をするのか、あるいは直営のままにするのか、これはあくまで地方公共団体判断ということになるだろうと思っております。したがいまして、他の方法と比較いたしましてこの地方独立行政法人を設立して行わせる方がより効率的、効果的に行政サービスが提供できると判断される場合におきましては、この地方独法を活用するということが適当ということになるというふうに思っている次第でございます。
  136. 江崎孝

    ○江崎孝君 あと、是非、今、官製ワーキングプアと申しますか、臨時・非常勤職員の皆さん、今回法改正がされて若干改善されるんですけれども、やはりその民間委託された先の、委託先の雇用の在り方等々でやはり相当厳しい労働環境の中で働いていらっしゃる窓口業務に携わる人たちがいらっしゃるわけですから、そういう皆さんたちの処遇改善ということも含めて、この窓口の独法化を賛成するわけじゃないんですけれども、あえてつくるとすれば、今そういう民間委託の中にある自治体に対して、これは逆に地独法化をするという一つの前向きな政策として僕は捉えられるんじゃないかなということを指摘をしておきたいと思います。  それと、もう一つ、連携中枢都市圏構想の中で、連中というか、広域連携等による行政サービスの提供と同じところにこの地独法化があるわけですね。僕は、あえてうがった見方をすると、この連中という、連携中枢都市という、これの振興、もっと進展をしていく中で、この地方独立行政法人の窓口業務化というのをあえてつくったのではないかなみたいな、ちょっとそういううがった見方もしたりするんですけれども、それとの、連中との兼ね合いはどうなんですか。
  137. 安田充

    政府参考人(安田充君) お答えいたします。  まず、今回の地方独立行政法人制度の特徴でございますけれども、市町村が自ら地方独立行政法人を設立しなくても、窓口関連業務を行う地方独立行政法人と他の地方公共団体が設立した地方独立行政法人でございますが、これと規約を締結することによりまして業務を行わせることを可能とする仕組みでございます。連携中枢都市圏の例えば中枢都市がこの地方独法を設立いたしまして、周辺の市町村がそれを活用するということも可能ならしめる制度でございます。  ただ、いずれにいたしましても、今回の新たな仕組みというのは、連携中枢都市圏に限られるものではなくて、いずれの団体でも適用可能でございますけれども、連携中枢都市圏での活用であれば、この連携中枢都市圏構想を推進することに役に立つということになるのではないかと考えております。
  138. 江崎孝

    ○江崎孝君 僕はやっぱりそこに狙いがあるような気がしてならないんですね。ですから、連中というのを、もろ手を挙げて賛成するわけじゃありません。しかし、限られた自治体の地方の資源というのを活用する上で一つの地域のスキルであるのは間違いないと思うんですね。  例えば、私の町が合併をして柳川市になったんですけれども、一市二町が合併しました。合併して僅か七十七平方キロなんですよ。本当に平野部にある自治体というのは面積が小さくて、山門郡とか三池郡とかという五町あったんですけれども、その五町にそれぞれに公民館があって、でかい住民ホールがあったり、様々なやつが重複していたりするんですね。僕は自治体の職員のときに、何でこんな共同的な経営しないかなということを思っていたりしたわけでありますよ。  そういう意味でいくと、連中を使ったそういう都市機能の集約化というのは非常に重要だと思うんですが、一方で、強制的にそこに全てを集めるということではなくて、これは富山市長もおっしゃっていました、じゃなくて、やっぱり居住空間をきちっと保障していく、そこに行政サービスをちゃんと提供していくという一方での考え方も含めた上での連携中枢都市の考え方を貫いていただきたいんですが。  そこで問題なのは、連携中枢都市にはならない、先ほど言った地方の地域性というのはあるんですね。例えば定住自立圏のところとかそうなんですが、そこはあえて地独法をつくって窓口業務をするという必要性もない、あるいは逆に不効率だったりする場合があると思うんですが、くれぐれもそういうところにはこの地独法の窓口業務というのを強制しないようなことを改めて伺っておきます。
  139. 安田充

    政府参考人(安田充君) お答えいたします。  今回の法案でございますけれども、窓口業務を行う地方独立行政法人の設立あるいは活用を強制するものではございませんで、外部資源活用の新たな選択肢としてこれを設けるものでございます。すなわち、窓口業務を地方独立行政法人に行わせるかどうか、行わせる場合にどの業務を行わせるか等を含めまして、各地方公共団体において地域の実情に応じて適切に判断されるべきものと考えている次第でございます。
  140. 江崎孝

    ○江崎孝君 是非お願いします。往々にして総務省って、そう言っている割には助言だったり何やかんやで結構縛り掛けるので、是非その辺の縛りはやらないようにしていただきたい。  続いてガバナンスの話しますが、このガバナンス強化の趣旨というのはもう先ほど来各委員から質問されていますから割愛させてもらって、もう一点だけ。  日弁連が、この第三十一次答申の中でこのガバナンス強化というのは非常に重要だというふうに書いていて、こういうことを言っているんですよ。内部統制の限界と言っているんですね。それは何でかというと、先行導入されている企業の財務報告に係る内部統制評価及び監督基準の中で、内部統制判断の誤り、不注意、複数の担当者による共謀によって有効に機能しなくなる、当初想定していなかった組織外の環境の変化や非定型的な取引等には必ずしも対応しない場合がある等々。そこで、内部統制ガバナンス強化のためには、一方でそれを補完するために、特に監査制度もそうなんだけれども、内部通報制度を導入すべきだと、こういうふうに意見を言っているんですね。  僕は、やっぱりこれはありだろうと思うんです。特に、今回の前川さんというのは、後出しじゃんけんのような内部通報制度を利用していないわけですから、本当にあれが、もっと早く国に内部通報制度があればこんな混乱はしていなかったと思うんですね。加計学園の今治もそうです。  是非、そういう意味でいくと、この導入するという考え方、今回は全くその議論はされていないようですけれども、私としてはそういう考え方もあっていいんじゃないかなと思うんですけれども、総務省さんの考え方をお聞きします。
  141. 安田充

    政府参考人(安田充君) お答えいたします。  各地方公共団体において具体的にどのような内部統制体制を構築するかにつきましては、原則各地方団体の自主的な判断に委ねられているものでございます。今回の内部統制体制の整備は、長が方針を定め、個々の部署においてリスクを洗い出して対応策の整備等を行いまして、あわせて全庁的な取組を推進するための体制を整備すること、これを想定はしているところでございます。  したがいまして、内部通報というものを導入することを必ずしも想定しているものではございませんけれども、内部通報によって寄せられる情報を活用することが有効な手段だと考えられる場合には、地方公共団体判断により、内部統制体制の一部としてこの内部通報を位置付けるということ、位置付けて整備するということも可能だと考えておりますし、現実に今内部統制体制を入れている団体でも、この内部通報制度というのを入れているものもいるというふうに理解しているところでございます。
  142. 江崎孝

    ○江崎孝君 通告していませんけれども、今回のガバナンス、つまり内部統制という新しい考え方が仮に全自治体に浸透したとして、したとしてですね、例えば、個別自治体を出して悪いんですけれども、あの夕張のようなすさまじい財政の状況がひた隠しに隠されていたということ、あるいは先ほど那谷屋委員がお話しされた加計学園の問題で、御存じのように、千葉に、銚子に千葉科学大学というのがございます。ここが、当初九十数億円の補助金出す予定だったんですけれども、若干減って七十七億円出した。結果的に何が起きたかというと、財政が悪化をして銚子市民病院の閉鎖に追い込まれていくんです、これ出したことによって、財政悪化によって。  ですから、そのとき市長として、そのときの市長さんって岡山の方だったんで、加計学園と多分お話しされていたんでしょう。結果、自分のところに誘致をした。しかし、市民病院が閉鎖するんじゃないかと言われるぐらいの財政悪化になったんで、一期で、次は当選できなかったんですね。次の方は市民病院を守るということで当選をされた。しかし、結果的に、その前の方がやった補助金のすさまじい支出によって結局銚子市民病院は廃止に追い込まれていくわけなんですよ。  こういうことも、今回のガバナンス内部統制が仮にきちっと進捗したとして、防げるんですか。
  143. 安田充

    政府参考人(安田充君) お答えいたします。  委員御指摘のように、今、会社法でも内部統制制度というのがございますけれども、一般的に、やはり内部統制というのは完全なものではなくて、限界というものはあるというふうに言われていると承知しております。御指摘ございました首長自身判断の誤りでございますとか複数の担当者による共謀など、様々な事案があると思いますけれども、そういう限界があることを認識しながら内部統制体制というのは整備、運用されるべきものというふうに考えている次第でございます。
  144. 江崎孝

    ○江崎孝君 これができたからといって、恐らく非常に意図的、共謀的な動きというのは、それは多分、そのときそのときの首長さんの判断とかというのは、いろいろマニフェストとか言われて、ああ、そうなんだ、多分、今治もそうだと思うんですね、銚子もそうだと思うんです、うわっ、学生さんがこれだけ来るんだったらこれだけ効果があるよみたいなこと。結果的に定数割れしているんですね、銚子の千葉科学大学は。  ですから、その辺というのは非常に問題なんですけれども、これは恐らく、職員の中にはこういうことを分かっていた、想定できたような話だってあるかもしれない。ですから内部通報制度というのを考えていただきたいなと思うんですけど。  もう時間がなくなったので、監査基準の話とは別に、飛ばさせていただいて、損害賠償の話にさせていただきたいと思うんですが、これ、上限設定されました。上限設定の額というのは、もうここではあえてお聞きしませんが、今日参考人の中で幾つか、もう真っ二つに割れたと言っていいと思います。もうとんでもない制度だと、例えば権利放棄制度とか、あるいは上限設定をして、なおさらそれを権利放棄すると、何だこれはという方もいらっしゃるし、いや、これは有り難いなという、富山市長もおっしゃっていました。  これ、正直言って、内部で働いた者と外からの人の考え方というのは相当違うんですよ。私は内部にいたものですから、この無制限損害賠償に対してやっぱり戦々恐々として仕事しなきゃいけなかったと思う、自分が悪いことをしていないのに。例えば首長だったら、今回の同じような、銚子の話もそうなんですけれども、前任者がやったことを選挙が終わった後の市長さんに損害賠償させられたという制度もあったりする。  そこで、あえてこの権利放棄を残した、そして上限設定をした、これの、なぜそこまで踏み込まざるを得なかったか、まあ答申があったからそうなんでしょうが、答申もそういう状況だから踏み込んだと思うんですけれども、その狙いというか考え方というのをお聞かせください。
  145. 安田充

    政府参考人(安田充君) お答えいたします。  住民訴訟制度についてでございますけれども、現行の住民訴訟制度は不適正な事務処理を抑止する効果を有しているというふうには考えている次第でございますけれども、長や職員の損害賠償責任については民法上の損害賠償責任と解されておりますので、長や職員に故意又は過失がある場合には、相当因果関係のある損害の全額について責任を追及されるということになるわけでございます。そのため、御指摘ございましたように、軽過失の場合でも長や職員が個人責任としては多額で過酷な責任を追及される場合がございまして、これによって長や職員が大きな心理的負担を抱いて職務の執行において萎縮が生じているといった課題が指摘されているところでございます。  こうした課題を解決するために、現在、会社法でございますとか独立行政法人通則法など他の法令におきましても役員などの損害賠償責任を軽減する仕組みが設けられていることを参考にいたしまして、長や職員個人が負担する損害賠償責任を軽減する措置を講ずることが相当と考えた次第でございます。
  146. 江崎孝

    ○江崎孝君 事例として過去どういう損害賠償の事例が起きて、それまとめていらっしゃる方、幾つか事例としてお聞かせいただきたいと思いますが。
  147. 安田充

    政府参考人(安田充君) お答えいたします。  事例についてでございますけれども、例えば一番大きな額が最近で賠償認められましたのが、市長がゴルフ場開発不許可処分とされた開発業者から買い取った開発用地の買取り代金が著しく高額であるとして訴えられまして、二十六億一千二百五十七万円の賠償義務を負った事例というのがございます。  また、職員に関連するものでございますけれども、公共下水道に関する地方交付税の算定の誤りによりまして、市が国から支払を請求されて加算金を支払ったところ、当該加算金に相当する額の損害を被ったとして訴えられまして、市長が四億五千九十万円、助役が二億一千四百八十七万円、下水道局長が一億八千百二十八万円賠償義務を負った事例がございます。  また、最近の事例でございますけれども、生活保護に係る高額の通院移送費の請求を受けて市が行った生活保護の支給決定が法律に違反するということで訴えられまして、福祉事務所長が一億三千四百六十五万円、担当課長が五千五百三十五万円、こういう賠償義務を負った事例がございます。
  148. 江崎孝

    ○江崎孝君 それぞれの裁判所の事例では違法だとあるんですけれども、やっぱりその職場、働いている中では良かれと思ってやったことが結果的に訴えられて違法とされるという、あるいは、条例にあるのに、条例に書いてあるのに、例えば手当を支給したからこれ条例違反だから違法だというふうに言われたりしてすさまじい損害賠償を請求されたことがあったりするので、私は一概に、党の方針とは違って、これについてはまあいいんじゃないかなと思うんですが。  あえて、あえてですね、最後にお聞きしますけど、ずっと言われている、これって萎縮する効果じゃなくて、本当に権利放棄まで、議会に求めたらこれはもう何でもやっちゃうよと、悪いこととは言いませんけれども、先ほどそういう参考人もいらっしゃったんですけど、もう何でもやってしまうと、だからもう何も効かないんだという世界もあったりして、そういう話に対して、今回のこの制度でどういう効果が具体的に期待されるのか。例えば、上限設定をしたのにそれでも権利放棄をされるという、何て甘えているんだみたいな意見に対してどういうふうに総務省としては答えられるのか、この法律を制定しなきゃいけない目的をどうそういう方たちに伝えられるのか、それを最後にお聞きして、私の質問を終わります。
  149. 安田充

    政府参考人(安田充君) お答えいたします。  住民訴訟制度でございますけれども、地方公共団体の財務の適正性を図ることを目的とするものでございまして、違法な財務会計行為に対する是正効果、抑止効果を有していると思っております。  今回の見直しでございますけれども、先ほど申し上げましたけれども、軽過失しかない場合にも、違法な職務執行行為を行った長については、従来は相当因果関係のある全ての額について負担するという形でございましたけれども、今回の改正によりましてそれが一定の範囲に限定されるということになります。ただ、一定の範囲ではございますけれども、損害賠償責任を負うという点では従前と変わらないわけでございます。  また、放棄について禁止していないという御指摘ございますけれども、今回の法改正によりまして免責条例制度が導入されれば、今後は、故意、重過失の場合でございますとか最低責任負担額部分の権利放棄につきましては、先ほどお話しさせていただきました平成二十四年の最高裁判決の趣旨に照らしまして、より一層慎重かつ厳格な判断が求められるものというふうに考えております。  これらによりまして、違法な財務会計行為の是正や抑止という住民訴訟機能は従前と変わらず発揮され、また、地方団体の長、職員にとりましては萎縮効果が一定減ぜられるものというふうに考えている次第でございます。
  150. 江崎孝

    ○江崎孝君 国賠法では、国家公務員の皆さんには重過失なんですね。でも、地方公務員の場合は過失という、こういう格差感があるんですね。その格差を埋めるためにも、ある程度の考え方だと私は理解をしつつ、法律は反対をさせていただきますけれども、その辺の部分は非常に評価をしつつ、質問を終わらせていただきます。     ─────────────
  151. 横山信一

    委員長横山信一君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、片山さつき君が委員辞任され、その補欠として佐藤啓君が選任されました。     ─────────────
  152. 山本博司

    ○山本博司君 公明党の山本博司でございます。  最初に、私も、高市大臣、就任千日おめでとうございます、心よりお祝いを申し上げる次第でございます。健康に留意されながら、更に頑張っていただきたいと思います。  本日は、地方自治法等改正案についてお伺いをしたいと思います。  人口減少の中で自治体が質の高いサービスを提供するには、地域の実情に応じた政策を的確に進める必要がありますが、そこで欠かせないのが行政の透明化であります。  近年相次いだ自治体の不明瞭な支出や無駄遣いなどを根絶しなければ、政策執行に必要な住民の支持を失うのは言うまでもありません。今回の改正案は昨年安倍総理に提出された第三十一次の地方制度調査会答申を踏まえたものでございまして、地方行政の体制及びガバナンスの在り方を考える上で大変重要な取組であると考えます。  そこで、まず地方自治法改正について伺いたいと思います。  今回の改正では、都道府県知事及び指定都市市長は、内部統制に関する方針を定め、これに基づき必要な体制を整備することとしております。地方公共団体におきましては、人口減少社会においては、地域の様々な課題の解決に向けて最小の経費で最大の効果を上げるように、事務の適正性の確保を求める声がますます高まっていくと考えられます。一般的な企業においても、その会社の目的である経営目標を達成するために会社内で社員全員が守らなければならないルール、仕組みもございます。業務の必要性や明確性を明らかにするためにも内部統制の体制が取られているわけでございます。これに倣って地方公共団体でも内部統制の体制を整備することは、職員の規律を保つだけでなく、ひいては住民に対する行政サービスの質の向上につながることから、とても意義あることだと思います。  まず、総務省に伺いますけれども、今回のこの内部統制制度の整備によりどのような効果があると見込んでおられるのか、お聞きをしたいと思います。
  153. 冨樫博之

    大臣政務官(冨樫博之君) お答えいたします。  地方公共団体においては、総職員数が減少し続ける中、法令や規則などに従った事務処理について、そのチェックを個人に任せていては適切に対応できない事例が発生しているところであります。そのため、より組織的にシステム化された形で定期的に確認を行うやり方にシフトしていく必要があり、今回の改正案では、都道府県知事及び指定都市市長に対し、内部統制に関する方針を定めていくこととしております。この内部統制制度によって地方公共団体における組織的なリスク管理体制が構築され、長のマネジメント強化や事務の適正な執行による住民の信頼確保などにつなげていただけるものと考えております。  以上です。
  154. 山本博司

    ○山本博司君 次に、具体的な内容に関して伺いたいと思います。  今回の改正案では、都道府県と指定都市以外については内部統制体制の整備及び運用は努力義務と、こうなっております。しかし、中核市など、一定の規模があり、内部統制の体制を整備したとしても過度な負担となることは少ないと考えられますけれども、今回中核市を義務規定としなかった理由、これはどのようなものでしょうか。  また、努力義務となっている市町村に対しましても、効果的な体制整備を進めるためには、総務省において効果的な事例を紹介するなど、的確な情報提供を行うことが大変重要であると考えます。そこで、この努力義務になっている市町村に対しても内部統制体制の整備に向けて国としてどのような支援をしていくのか、お聞きをしたいと思います。
  155. 安田充

    政府参考人(安田充君) お答えいたします。  今回の内部統制の整備についてでございますけれども、本来、全地方公共団体内部統制に関する方針の策定及び内部統制体制の整備が求められるものでございますけれども、今回の改正では、地方公共団体にとって過度な負担とならないよう、まずは組織や予算の規模が大きくその必要性が高いと考えられる都道府県及び指定都市に対してのみ義務付けることとし、その他の市町村は努力義務としているところでございます。中核市についてどうかということでございますけれども、今後の運用状況を見ながらまた検討してまいりたいというふうに考えている次第でございます。  それから、この努力義務となっている市町村の内部統制体制の整備に向けての取組ということでございますけれども、これらの団体におきましては地域の実情に応じて検討されるということになるわけでございますが、これらの団体も内部統制体制を整備する努力義務が課せられておるわけでございますし、また、適正な事務の執行を考えれば、その導入は望ましいものというふうに考えている次第でございます。  このため、総務省といたしましては、先行的なモデル事例でございますとか都道府県、指定都市の取組を紹介するなど、必要な情報提供や技術的助言によりましてその導入が進むよう支援してまいりたいと考えております。
  156. 山本博司

    ○山本博司君 是非とも必要な情報を適宜支援をしていただきたいと思います。  次に、監査制度充実強化ということで伺いたいと思います。  今回の法律案では監査基準は各地方公共団体監査委員が定めることとされておりますけれども、国が指針を示し必要な助言を実施すると、こういうことになっております。各地方公共団体において定められた監査基準は公表もされることから、適切な基準が策定されることを期待したいと思いますけれども、国が指針を示すことで、この指針に従わなくてはならないのではないか、また、地域の実情に応じた内容にすることが難しくなってしまうのではないかと、こういう意見が出てくることも想定されます。  そこで、この監査基準の策定に関してどのような指針を提示していくのか、確認をしたいと思います。
  157. 安田充

    政府参考人(安田充君) お答えいたします。  今回の改正では、監査委員監査基準に従って監査を行わなければならないということにするとともに、総務大臣監査基準の策定に関する指針を示すということにいたしているわけでございます。こうした趣旨から、指針の内容は、各地方公共団体監査基準を策定する際に参考となる監査を行うに当たって必要な基本原則、これを定めるということを想定しているものでございます。例えば、監査の目的、監査委員の役割、責任等々でございます。この指針には法的拘束力はないため、各地方公共団体監査委員はこの指針を踏まえつつ、地域の実情に応じた監査基準を策定し、監査を行うことが可能だと考えている次第でございます。
  158. 山本博司

    ○山本博司君 さらに、法律案では、公認会計士などの有識者らが務める監査委員権限、これを強化することになっております。定期監査で不適切な会計処理を見付けて改善が必要と判断した場合は、これまでは監査委員意見の表明しかできず効力が不十分とされておりましたけれども、これを改めて、首長側に勧告できる仕組みを創設することになっております。  勧告となればこれまで以上にチェック機能が高まることが期待でき、大事な見直しであると思いますけれども、今回この勧告制度創設を盛り込んだ意義について伺いたいと思います。
  159. 安田充

    政府参考人(安田充君) お答えいたします。  監査の結果を有効に生かすためには、監査結果の重要性に応じて監査委員が必要な措置を勧告できるようにし、監査を受けた者が説明責任を果たすような仕組みを設けることが望ましいと考えている次第でございます。そのため、今回の改正案では、監査の結果に関する報告のうち特に措置を講ずる必要があると認めるものにつきましては、監査委員は尊重義務のある勧告を行うことができるということにいたしまして、その勧告を受けた長などは当該勧告に基づいて必要な措置を講じ、当該措置の内容を監査委員へ通知するということにいたしているわけでございます。  また、監査委員が提出する監査結果の報告は公表されることから、当該勧告の内容に係る事項につきましても監査委員は公表しなければならないということになるわけでございます。これらによりまして、勧告の内容及びそれらに対する長等の措置は住民にとって明確なものになるものと考えているところでございます。
  160. 山本博司

    ○山本博司君 さらに、監査委員の選任に関して伺いたいと思います。  現行の制度では、この監査委員は、都道府県と人口二十五万人以上の市区が四人、それ以外の市町村が二人を選ぶことになっておりまして、監査委員のうち少なくとも一人を地方議会の議員から選ぶ仕組みとなっております。しかし、本法律案では、第百九十六条第一項の見直しにおきまして、自治体判断によって条例を定めることで議員のうちから監査委員を選任しないことも可能という内容になっております。  地方自治体の首長と議員といいますのは住民が直接選挙で選ぶことが憲法第九十三条で定められ、地方自治の車の両輪に例えられることがよくございます。こうしたチェック機能を果たすべき役割を担っていく監査委員から、たとえ地域の事情や制度の形骸化又は議員の質が高くないという状況があったとしても、これまで選任されていたものが選ばれなくなるということは、議会による行政へのチェック機能の低下、ひいては議会軽視につながるのではないかと、こういった懸念の声が出てきてもおかしくないと思われます。  そこで、今回の改正案監査委員を議員から選ばなくてもよいという内容が盛り込まれた理由についてお答えをいただきたいと思います。
  161. 冨樫博之

    大臣政務官(冨樫博之君) 議選監査委員監査委員議会の議員としての地位を併せて持つものであり、現行制度では全ての地方公共団体において議選監査委員を選任することが必要とされております。  監査委員議会は、地方公共団体執行機関をチェックする役割は共通していますが、監査委員には財務管理、経営管理などの専門的な見地から長の執行した事業などについて事後的にチェックする機能が求められる一方、議会には地方公共団体行政全般にわたって幅広い見地から執行機関をチェックする機能が求められます。議選監査委員の役割については、第三十一次地方制度調査会でも評価する意見があったところであります。  そのような中で、今回の改正法案は、地方公共団体ガバナンスの在り方として、監査委員議会のチェック機能における役割分担の純化を図る観点から、地方公共団体判断により議選監査委員を選任しないことも選択肢として認めることとしております。  以上です。
  162. 山本博司

    ○山本博司君 次に、財政の見える化ということで伺いたいと思います。  今回の改正で、内部統制制度監査制度などの整備を進めることでより効果的な行政運営が期待されますけれども、行政を運営する上で地方公共団体の限られた財源を賢く使うには、財政の見える化、これを徹底することが大変重要になると考えます。  こうした財政の見える化を進めるためには、複式簿記方式を中心とした公会計制度、これが大きな効果を発揮すると思います。公会計制度は、現金主義会計による予算決算制度を補完するものとして、現金主義会計では見えにくいコストやストックを把握することが可能となり、中長期的な財政運営への活用充実が期待できるために、各地方公共団体においてその整備を推進していくことは極めて重要であると考えております。  東京都におきましては、事業の必要性や費用対効果などを検証し不要な事業を整理する事業評価、これとともに、平成十八年度から、民間企業の会計手法でございます複式簿記、発生主義に準じた新会計制度全国で初めて導入をされました。これで財政の見える化が大きく進み、事業評価に生かされておりまして、平成十八年度から今年度の予算分も含めての累計で六千九百億円の財源が捻出できたとのことでございます。  この公会計制度につきましては、総務省では平成二十六年四月の今後の新地方公会計の推進に関する研究会の報告書に基づいて、平成二十七年から全国自治体に二十九年度までの三年間にICTを活用した固定資産台帳の整備と複式簿記の導入を求める通知も出しております。あわせて、財務書類の作成手順や活用方法を統一的基準で示した地方公会計マニュアルも公表をしておる次第でございます。  こうした整備が各地方公共団体で着実に行われるべきと考えますけれども、この地方公会計制度の整備の進捗状況、御報告をいただきたいと思います。
  163. 黒田武一郎

    政府参考人黒田武一郎君) お答えいたします。  複式簿記の導入を前提としました統一的な基準による財務書類等、すなわち財務書類の四表であります貸借対照表、行政コスト計算書、純資産変動計算書、資金収支計算書、それから固定資産台帳につきましては、原則として平成二十九年度までに全ての都道府県及び市区町村等において作成するよう要請しているところでございます。  平成二十九年三月三十一日時点の調査結果を本日公表したところでございますけれども、千七百六十七団体、九八・八%の団体が平成二十九年度までに統一的な基準による財務書類を作成する予定となっております。  総務省といたしましては、これらの団体が予定どおり整備できますように、また、残った団体全てが整備できますように、さらにその作成に向けて支援に努めてまいります。
  164. 山本博司

    ○山本博司君 この地方公会計制度の整備状況といいますのは、財政の見える化ということで大変大事でございますので、是非総務省としても力を入れて支援をしていただきたいと思います。  次に、人口減少に伴う今後の課題ということで伺いたいと思います。  人口約四百人の高知県大川村が地方自治法に基づいて村議会を廃止して町村総会を設置する検討を行うのではないかとの報道がございました。私も四国でございますので、今、大川村は議員の定数が六名、そして高齢化率は四三・九五%ということでございます。  町村総会といいますのは地方自治法第九十四条に規定されておりまして、町村は議会を置かず、有権者全員による議事機関の総会を設けることが可能となっております。先日、毎日新聞の調査によりますと、議員定数十未満の百五十四の町村の議会議長の約四割超がこの町村総会に移行することを将来検討する可能性があるということも報道がされておりました。  人口減少や高齢化の進展によって議員のなり手が不足しているという地方自治体の現状がある中でこの町村総会の検討が行われるのではないかと思いますけれども、午前中でもこの議論をさせていただきました。大臣にこの町村総会設置の検討に関して見解を伺いたいと思います。
  165. 高市早苗

    ○国務大臣(高市早苗君) 山本委員がおっしゃっていただきましたとおり、地方自治法第九十四条に規定する町村総会でございますが、住民が非常に少ない町村において有権者が事実上一堂に会して会議を開くということを想定したものでございます。過去に設置事例はございますが、現在設置している地方公共団体はございません。  今後、人口減少ですとか、あと議員のなり手不足ということの深刻化が見込まれる中で、人口が著しく減少した団体においてこの町村総会も選択肢の一つとなり得ると考えています。  町村総会を設置するか否かというのは各町村において条例で定めることとされていますので、各町村の御判断を尊重しながら、もしも総務省に対して御相談があった場合には適切に助言を行うなど対応してまいります。
  166. 山本博司

    ○山本博司君 今後の地方自治の課題という形で、様々過疎化の中での検討がされるんだろうと思います。  次の質問をしたいと思います。  この地方自治法に関しましては、日本国憲法と同時に施行され、この五月三日で七十年を迎えました。それまでの明治憲法にこの地方自治の条文はなく、現行憲法で初めて規定されたものであり、まさに地方自治法が戦後の新しい政治を開いたものと言えるのではないかと考えます。  以前は国の権限が強く中央集権的とも言われた地方自治法でしたけれども、改正を重ね、今では国が自治体を下請として使うための機関委任事務は廃止され、国と自治体は対等の関係になりました。  憲法が第九十二条で掲げる地方自治の本旨にゴールはなく、地方政治住民の意思に任せていくというこの住民自治という考え方と、国から独立した団体に自治を担わせるという団体自治という考え方がこの地方自治の本旨の内容とされておりまして、どちらも時代に応じ、具体化、進化させる必要があると考えます。  今回の地方自治法改正案も、憲法で規定する地方自治の本旨に基づいてこの人口減少社会に対応できる地方行政体制の構築を目指す一環として提出されたものであると認識をしている次第でございます。  人口が減少する一方で、東京一極集中は止まらない状況にもございます。先日も都道府県議会及び市議会の議長会の方々から地方議員の議員年金に関する要望も伺い、この議員のなり手不足への対策は急務であると実感をしたわけでございます。国と地方の在り方、このことを考えたときに、この現実を見据えることがとても重要でございまして、これからも更に議論を進めるべきであると考えます。  大臣に、この今後の地方自治の在り方ということに関して、地方行財政を所管する大臣の認識をお伺いをしたいと思います。
  167. 高市早苗

    ○国務大臣(高市早苗君) 地方自治法は、山本委員おっしゃいましたとおり、日本国憲法と同時に施行された法律でございます。そして、憲法第九十二条の地方自治の本旨を具体化するという極めて重要な法律でもございます。  地方自治に関する法令というのは、時代の変化に応じて、その都度地方制度調査会などで御議論いただきながら、制定以来数次の改正を行ってまいりました。近年でも、広域連携などによって行政サービス提供体制の確保をするといった様々な取組が行われております。現在御議論をいただいております改正法案におきましても、自治の力をより一層高めていくということのために、地方公共団体ガバナンス強化など、今後の地方公共団体に必要となる改正を御提案しています。  これからも、社会経済の変化というものを踏まえながら、不断に取組を続けてまいりたいと思っております。
  168. 山本博司

    ○山本博司君 是非とも、この地方自治に対しての支援をお願いしたいと思います。  ちょっと質問を飛ばしておりましたので、監査委員専門性のことで最後にお話をしたいと思います。  今回の改正監査基準が策定され、必要に応じて監査専門委員ということで専門性の高い外部人材の活用もできますので、その基準に基づいて監査を進めることができるようになれば、透明性も確保され、いいかげんな対応は難しくなってくると思う次第でございます。  この監査委員専門性の向上に関しましてどのように取り組むつもりなのか、お聞きをしたいと思います。
  169. 安田充

    政府参考人(安田充君) お答えいたします。  御指摘ございましたように、今回、監査専門委員創設されまして、こうした制度活用することによりましても監査委員専門性の向上は図られるものと考えております。  このほかに、今回の改正趣旨などの理解を深めていただくために、これまでも行われてきたところでございますけれども、研修を実施するということが必要だというふうに考えております。現在も、監査委員などに対しまして自治大学校などにおいて実施している研修でございますとか全国的な監査委員の協議会が開催している研修などがございますけれども、こうしたものに、総務大臣が定めることとされている指針でございますとか先進的な地方公共団体の取組、こういうものを盛り込むことを要請するなどによりまして充実した研修が実施されるよう努め、それによって監査委員専門性を高めることを図ってまいりたいと考えております。
  170. 山本博司

    ○山本博司君 最後に、監査委員独立性ということで質問したいと思います。  今回の法律案におきましては、監査基準の策定主体とされるとともに、その権限強化も図られておりますけれども、現在の規定では、監査を受ける立場である長が、議会の同意を得てでありますけれども、選任しているため、監査委員独立性が十分に確保されていないのではないかという指摘もあるところでございます。  監査委員の選任に当たっては、今後一層の透明性確保が求められていると思いますけれども、この独立性の確保に向けての取組を最後にお聞きしたいと思います。
  171. 安田充

    政府参考人(安田充君) お答えいたします。  監査主体の独立性といいますのは、監査を受ける者から独立して充実した監査機能を発揮するということだと考えているところでございます。  今回の改正案では、監査専門委員創設による外部の視点からの監査充実でございますとか、勧告制度創設による監査委員権限の拡充、それから包括外部監査制度を使いやすくする、すなわち条例により包括外部監査を実施する地方公共団体の実施頻度の緩和というものを行うことにしておりまして、こうしたものを通じまして、監査を受ける者から独立して充実した監査機能を発揮することをできるようにしたいと考えている次第でございます。
  172. 山本博司

    ○山本博司君 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  173. 山下芳生

    ○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  まず、住民訴訟に関する部分について質問します。  憲法は、公選制の地方議会及び首長を設置しており、地方自治行政においては間接民主制が原則であります。しかし、間接民主制による自治体運営が住民の意思に反して代表者の恣意、専断、独断によって行われ、住民の利益に反する結果になる場合もあり得ます。そのような場合、地方自治法は、住民の意思を直接地方行政に反映させ、住民自治の徹底を図るために、住民によるリコール制度などの直接請求権等の直接参政制度による是正制度を設けているわけであります。その住民の直接参政による是正制度一つ住民監査請求であり、住民訴訟であります。  まず、高市総務大臣に、こうした住民監査請求住民訴訟の位置付け、意義について認識をお聞きしたいと思います。
  174. 高市早苗

    ○国務大臣(高市早苗君) 住民監査請求制度及び住民訴訟制度は、住民自身監査請求や訴訟を提起するということを通じて地方公共団体の財務の適正性を確保することを目的とする制度でございます。不適正な事務処理の抑止について一定の役割を果たしてきたと認識しております。
  175. 山下芳生

    ○山下芳生君 実際、これまで住民監査請求住民訴訟は、例えば政務調査費、政務活動費の不正使用、あるいは高過ぎる随意契約、談合による自治体損害などの財務会計上の不当・違法行為の防止、矯正に重要な役割を担ってきました。  そこで聞きたいんですが、第三十一次地方制度調査会、昨年三月十六日の答申では、四号訴訟の対象となる損害賠償請求権訴訟係属中の地方議会による放棄を禁止する必要とあったわけですが、ところが、今回の改正案を見ますと訴訟係属中の放棄の禁止規定がありません。なぜでしょうか。
  176. 安田充

    政府参考人(安田充君) お答えいたします。  御指摘のように、訴訟係属中の損害賠償請求の放棄につきまして、第三十一次地方制度調査会答申では、四号訴訟の対象となる損害賠償請求権訴訟係属中の放棄については、長や職員の賠償責任の有無について曖昧なまま判断されるという問題もあり、不適正な事務処理の抑止効果を維持するため禁止することが必要という指摘をしていたところでございます。  しかしながら、その後検討を行ったわけでございますが、住民訴訟係属中に限って権利放棄を禁止することは、むしろ住民監査請求中や住民訴訟提起前の権利放棄を誘発することになりかねないなどの課題があること、また、たとえ訴訟係属中に放棄されたとしても、平成二十四年の最高裁判決の枠組みに照らしてその有効性について訴訟の中で判断されることになるということから、今回の改正におきましては制度化を行わなかったものでございます。  権利放棄議決につきましては、今触れました平成二十四年の最高裁判決で枠組みが示されておりまして、これに照らして訴訟の中でその有効性が判断されるというものでございますので、まずそれがあるということ。それから、今回、地方公共団体の長や職員個人が負担する損害賠償額を限定する措置を設けることにしておりますが、これが設けられればより一層慎重な判断が求められることになるものと、このように考えている次第でございます。
  177. 山下芳生

    ○山下芳生君 先ほど、神戸大学名誉教授の阿部参考人は、慎重な判断が求められることになるというのは分かるけれども、悪いやつはおるんだということで、それでもこの議決が不正にやられる危険性は拭えないとおっしゃって、もう大変なこれは後退だ、大改悪だという趣旨の御発言をされておりました。  今、局長から二つ御答弁があったんです。一つは、住民訴訟係属中に限って権利放棄を禁止することは、むしろ監査請求中や住民訴訟の提起前に議決してしまわれることになるんじゃないかということで、これはもうとんでもない珍論だと私は思いましたよ、聞いて。だったら、住民監査請求の段階からもこんな議決はできないように禁止すればいいわけであって、後ろで禁止したら前に行くから後ろの禁止も前の禁止もしませんというのは、これは通用しない理屈ではないかと思います。  それから、二つ目におっしゃった、平成二十四年の最高裁判決で枠組みが作られたから、仮に議決が不当な場合は裁判でちゃんと正せられるであろうと、その放棄がこれはもう認められないだろうということをおっしゃいましたが、私もこの三つの裁判の最高裁判決、読ませていただきました、全部一緒なんですけれども。そこで、その枠組みなるものを見たら、いろいろ書いてあるんですけれども、住民訴訟係属の有無などなども入っておりますが、最後は諸般の事情を総合考慮して放棄が妥当かどうかを判断するとなっておりまして、結局諸般の事情の総合考慮なんですね。  ですから、仮に係争中に議会議決したら、係争中の議決だからちゃんと裁判で正されますねということにはなっていない、諸般の事情ですから。つまり、その訴訟を提起する住民の側にとったら、これは何の歯止めにもならないんです、裁判をやってみないと分からないということになりまして。  そうなりますと、結局、私は、議会議決による債権放棄が無制限に認められることに事実上なれば、これは、今日、阿部先生が一番心配されていましたけれども、間接民主制で選ばれた代表者が暴走したときに、住民自らがその是正を図るための直接参政制度である住民監査請求住民訴訟を抑制することになるんじゃないかと、こう心配されていましたが、その心配ありませんか。
  178. 安田充

    政府参考人(安田充君) 訴訟係属中の放棄の禁止ということでございますが、理由二つ述べさせていただきましたけれども、その最高裁判決の枠組みは先ほど御指摘あったとおりでございます。  いずれにいたしましても、こうした枠組みに沿って、その議決裁量権の範囲の逸脱、濫用に当たると認められるときは議決は違法となり、放棄は無効となるというふうに判断されているわけでございまして、さらに、この判決の後に、例えば平成二十六年六月には鳴門市の関係訴訟放棄自体が無効とされたという、高裁段階でこの判決の枠組みに沿って無効とされたという事案も出てまいっております。これは訴訟係属中に放棄されたと。  ということで、私どもは、先ほどの繰り返しになりますけれども、訴訟係属中の放棄を禁止しなくても、最終的にこの最高裁判決の枠組みに沿って判断がなされるものであるので、係属中の放棄の必要性はないんではないかと、このように考えた次第でございます。
  179. 山下芳生

    ○山下芳生君 何遍も紹介して恐縮ですけれども、阿部泰隆神戸大学名誉教授はこう言っているんですよ。現行制度では、住民訴訟には障害物が多過ぎ、これを代理するのはもうくたびれ、正義のため、法治国家のためといっても無理だと感じている。現行制度でももういろんな手続があってくたびれちゃって、もう私は代理はしませんと先ほどおっしゃっていましたよ。その上、権利放棄議決が正当化されて、せっかく勝ったはずが敗訴にされてはおよそチャンスがなくなるので、なおさらであると述べているんですね。  豊富な住民訴訟の代理人の弁護士としての御経験がおありの阿部先生言葉どおり、これはせっかく勝ったはずの訴訟が事実上敗訴にされちゃう、議決によってもう債権の権利放棄されたらですね。本当怒っていたんですよ。これ、単なる机上の研究者が怒っているんじゃないんですよ。住民訴訟をもう数々やってきた、代理人として頑張ってこられた先生が、こんなことをやられたらもうなり手はないですよと言って怒っておられるわけですから、これは住民訴訟制度監査請求制度の抑制をもたらすことは明らかであるということをまず申し上げておきたいと思います。  次に、今回の法案が認めることになる独立行政法人に窓口業務の委託化を託すことについて聞きたいと思います。  三十一地制調の人口減少社会に的確に対応する地方行政体制及びガバナンスのあり方に関する答申などを受けて、今度の地方独法の業務に窓口関連業務を追加することになったわけですが、しかしながら、そもそもこの人口減少社会に的確に対応すると称して政府が現に進めている諸施策を前提にしていいのかということをまず問いたいと思います。  これも、午前中の参考人として来ていただいた奈良女子大学の中山先生がこうおっしゃっておりました。過大な人口減少予測が必要以上の行政のコンパクト化、公共施設の統廃合を進め、行政力の低下を招き、市民生活の破綻、地域経済の衰退、財政状況の悪化となり、人口減少の加速化という悪循環になる、こういう指摘でありましたけれども、私は新鮮かつ共感できる指摘だなというふうに思いました。現にそういう地域が生まれていると私も思います。  高市大臣、この指摘に対して、御認識いかがでしょうか。
  180. 高市早苗

    ○国務大臣(高市早苗君) 非常に厳しい財政状況の中にはありましても、人口減少、高齢化の進行、それから行政需要の多様化といった社会経済状況の変化に適切に対応して、質の高い公共サービスを効率的、効果的に提供するという観点から地方公共団体において業務改革を進められ、そこで捻出された資源を人口減少などの諸課題に集中的に投入するということが肝要だという基本認識を総務省としては持っております。  住民サービスの提供の在り方ということにつきましては、住民の福祉の増進に努めるということとともに、最小の経費で最大の効果を上げられるように各地方公共団体におかれまして地域の実情に応じて判断されるべきものでございます。行き過ぎた人口減少予測ということで何か悪影響が出てくるのではないかというようなことにならないように十分に配慮しながら業務改革を進められる必要があると思っております。
  181. 山下芳生

    ○山下芳生君 時間がないのでこの議論はしませんが、行き過ぎた人口予測を押し付けているのは政府だという指摘もあったことを紹介しておきたいと思います。  では、法案の中身について質問したいと思います。  地方独立行政法人法第二条では、地方独立行政法人とは、住民の生活、地域社会及び地域経済の安定等の公共上の見地からその地域において確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、地方公共団体が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体に委ねた場合は必ずしも実施されないおそれがあるものと云々かんぬんとなっておりますが、今回、この地方独法に委託可能な業務として、市町村の長に対する申請、届出の受理に関する事務、いわゆる窓口業務のうち定型的なものとして具体的に二十の分野の業務が掲げられておりますけれども、大臣に伺いたいんですが、これらの二十の業務は自治体が直接実施する必要のないものという仕分を大臣はされたということですか。
  182. 高市早苗

    ○国務大臣(高市早苗君) 地方独立行政法人法第二条において、地方独立行政法人が行う業務は、地方公共団体が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体に委ねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるものと地方公共団体が認めるものとされておりますので、法律上、その認定の主体は地方公共団体でございます。私ではございません。
  183. 山下芳生

    ○山下芳生君 まあ形はそうなっているんですけど、これまでは窓口関連業務は委託できるものの中に入っていなかったんです。それを今回の法改正で委託できるものの中に、地方自治体判断すれば委託できるというふうにしたのは、そう判断したのは政府総務省ですから。すなわち、委託してもいい、自治体が直接やらなくてもいいこともあり得るんだという判断を今回初めてされたわけですね。    〔委員長退席、理事柘植芳文君着席〕  それでいいんだろうかというふうに問いたいわけですが、衆議院の委員会質疑参考人として意見陳述された中央大学名誉教授今村都南雄さんとお読みするんでしょうか、こう言っておられます。窓口業務の現場に行ってみれば一目瞭然のことでございますけれども、来庁した住民の求めに応じてぱっぱと処理できるような単なる定型的な事務ばかりではございません、個別の申請をきっかけにして、定型的な事務処理にはなじまない住民側の様々な事情を察知して、各部署の協力を得ながら対処しなければならないことが少なくないわけでありますと、こういうふうにおっしゃっています。  これはもう非常に大事なことなんですね。定型的なところだけ切り出すというふうに今回の説明聞いたんですが、定型的なものだけに切り分けられない様々な住民のニーズがそこに、そこからつながっていくのが窓口業務だという指摘ですが、いかがでしょうか。
  184. 安田充

    政府参考人(安田充君) 御指摘ございましたように、窓口業務に併せて住民からの相談を受けるといったようなケースがあって、従来民間委託しかできませんでしたから、一部の業務について、民間委託を行った場合にはこうしたものについて課題が生ずるのではないかという議論があるということも承知しているところでございます。  こうしたものにつきまして、現在の民間委託の事例では、コンシェルジュを配置して来訪した住民の方々から最初に用務を聞き取って適切な部署へ誘導する取組でございますとか、住民の方々からの御相談については市町村職員が直接担当する取組を行うなど様々な工夫がなされているというふうに承知しているところでございます。  今回、地方独立行政法人が定型的な窓口業務を行う場合でも、このような従来民間委託を行っていた際に工夫されていた事案を参考にいたしまして様々な取組を行っていただけるものというふうに考えているところでございます。
  185. 山下芳生

    ○山下芳生君 コンシェルジュを置けばいいんだというふうに聞こえましたけれども、何でそんなものを一々置かなければならないのか。職員がちゃんと聞けばいいということですよ。  先ほど江崎さんから紹介ありましたけれども、午前中に参考人として来られた富山市長雅志参考人市長が、歩いて行ける二キロ圏内に一つ窓口の出先をつくったと、計市内で七十九か所。フェース・ツー・フェースが大事だと、一か所四人の職員の方がおられて、定年後の再任用された方で、逆に経験豊かで窓口業務するには非常にいい仕事をされているということでありました。強力な民営化推進論者の片山虎之助さん、維新推薦の参考人の方でしたけれども、窓口業務は市の職員でやることが必要だという認識をはっきりと示されたわけであります。  私も直接、窓口業務を担っておられる自治体の職員の方々から意見を聞きました。非常に貴重な意見を聞けたと思っています。自治体職員にとって、窓口は大事な仕事だと。窓口で住民と直接接する中で、必要な手続が何なのか、制度の勉強をしながらケース・バイ・ケースで対応できるようになっていく。窓口の業務をこなせてやっと一人前になっていく。例えば、子供が生まれたら出生届をしてもらうが、同時に住民登録や年金、健康保険の手続、児童手当の手続なども必要になる。さらに、保育や一人親支援などについても様子を見ながら声を掛けてニーズを引き出すよう、それぞれの職員は努力している。  つまり、自治体職員は窓口の業務をこなせて一人前になっていく、さらに住民にとっても、窓口での一通の出生届から年金、健康保険、保育など様々なニーズが引き出され、それに見合うサービスが提供される入口、出発点になっている。これを切り離してしまっていいのかと。これ、住民にとっても職員にとっても大きな損失になるんじゃありませんか。
  186. 安田充

    政府参考人(安田充君) お答えいたします。  御指摘ございましたように、私どもといたしましても、市町村の窓口業務は出生から死亡まで、住民行政サービスを受ける身分の証明、又は権利若しくは義務の確定、あるいは変動の基礎となる行為が含まれる重要なものでありまして、かつ、特に適切な実施が求められるものであると認識しているところでございます。  今御指摘のような様々な、何といいますか、不安といいますか指摘があるということは承知しているわけでございまして、それにつきましては今民間委託をしている団体においても、先ほど申し上げましたような様々な工夫を行いながら対応しているという例はあるということでございます。  今回の地方独立行政法人制度改正というのは、あくまで選択肢を一つ提示するということでございますので、こういう地方独立行政法人を活用し、かつ、先ほど申し上げましたような様々な工夫をしながら窓口業務を運営していくのか、あるいは直営のまま今後も推移していくのか、あるいは民間委託という形で従来のものを使いながら運営していくのかということは、各地方公共団体住民の福祉の向上という観点から適切に選択されるべきものと、このように考えている次第でございます。
  187. 山下芳生

    ○山下芳生君 時間が来ましたのでまとめますけれども、私は、さっきのコンシェルジュと聞いて驚いたんですよ。私が聞いた自治体で働く皆さんの声、それぞれの課でローテーションを組んでみんなで窓口対応するようにしているというんですよ。これ、数か月の新人もベテランの職員も、住民にいろいろ聞かれることで制度の矛盾、暮らしの実態が分かる、自治体に求められている課題が窓口で分かる、窓口で住民と対応する中で問題意識を持って幹部職員にもなっていくということなんですね。単なる定型的な仕事をしているんじゃない、そこでやはり自治体としてのニーズをつかみ、何が必要かを考える職員が育っていき、幹部になっていくということなんですよ。コンシェルジュにそんなことを任せていいのかということであります。  もう時間参りましたので、次回、自治体の窓口業務を切り離して地方独法に委託することがどのような問題を生じさせるのか、具体的に質問したいと思います。  ありがとうございました。
  188. 片山虎之助

    片山虎之助君 今日は朝と午後と両方だから大変ですが、午前中、参考人の大変貴重な御意見を拝聴しまして、そこでも議論いたしたんですが、私は、今回の法改正は、そのときも言ったんですけれども、何で今頃ガバナンス強化なのかということなんですよ。七十年たっている、地方自治法施行になって。今頃、内部統制基準だとか、内部統制の方針か、あるいは監査基準だとか。それは、今の地方団体の内部統制というのは緩んでいる、あるいは監査がしっかりしていないと、こういう認識かどうか。まず地方制度調査会でそういう答申を出して、それを受けてなんだろうけれども、地方制度調査会はお役所の皆さんの言うとおりじゃないけれども、その振り付けで動くわね。その辺の背景をまず教えてください。
  189. 高市早苗

    ○国務大臣(高市早苗君) 第三十一次地方制度調査会答申があったんでございますけれども、人口減少社会における持続可能な行政サービスの在り方に関心が集まっているという状況の下で、地方公共団体における各機関などの適切な役割分担によるガバナンスの在り方について提言をいただきました。すなわち、人口減少が進み、資源が限られる中で、長、監査委員議会住民が役割分担の方向性を共有しながら、それぞれが有する強みを生かして事務の適正性を確保する必要があるという観点から、改めて行財政運営の基本となる事項の改正について答申されたものでございます。  地方公共団体ガバナンス強化ということは今日重要な課題だと考えていますので、この答申を踏まえて必要な検討を行った上で改正案を提案申し上げています。
  190. 片山虎之助

    片山虎之助君 建前というか、大臣、きれい事ではそういうことになるんだけど、もう成熟していなきゃいかぬのですよ、逆に言うと、地方自治制度が。そういうときに、元に返るような内部統制だとか監査だとか、こういうことが出てくるのはどういうことかなという私の疑問なんですよね。  そこで、答申をもらってから立法化まで時間掛かりましたよね。通常よりはちょっと長い。これはやっぱり関係者の意見調整ということが恐らくあったんだろうと思うんですけど、どういう点が問題になりましたか。
  191. 安田充

    政府参考人(安田充君) お答えいたします。  三十一次地制調答申は昨年三月に提出されたわけでございますが、その後の具体的な方策については検討が必要であったものでございます。    〔理事柘植芳文君退席、委員長着席〕  大きく主に二点ございまして、一つ監査制度についてでございますけれども、答申では、統一監査基準の策定、あるいは全国的な共同組織の構築が必要ということが言われたわけでございますが、この策定主体とか共同組織の設置主体等につきまして地方の監査関係団体などと意見交換を行い、検討する必要があったということでございます。結果としましては、御案内のとおりでございまして、それぞれの団体が監査基準を策定するという形に変えたわけでございます。  また、住民訴訟制度についてでございますけれども、これは、地制調答申で念頭に置いておりましたのは、地方公共団体の長などの責任追及について経営過失免責するという方向で念頭にあって答申がなされたわけでございますけれども、日本弁護士連合会などからも強い反対意見もあったと、与党の中でもいろんな意見があったということもございまして、再度有識者から成る懇談会を開催いたしまして住民訴訟制度の見直しの方向性について議論し、取りまとめを行ったと。  こういう検討を行ったために時間が掛かったという面はあると思います。
  192. 片山虎之助

    片山虎之助君 参考人の森市長は割に調子のいいことを言っていましたよ。いろんな意見があるんだけれども、私は良くなると思うと、こういう話なんで。これはいろんな意見があるんです、本当に。あなた方にとって余り良くない意見もたくさんある。  しかし、こういうのを都道府県、政令市に義務付けて、普通の市町村は努力義務でしょう、やりたければやりなさいというような。逆なんじゃないの。都道府県、市町村は能力もあるし、意欲もあるし、やれるんですよ。やっているんです、現に。やっていないのはむしろ都道府県や政令市じゃなくて普通の市町村なんですよ。逆じゃないの。普通の市町村こそ、義務付けるというのもこれも騒動になるけど、もうそれ強制的にやらせるべきなんですよ、やらせるとすれば、ガバナンスを。いかがですか。
  193. 安田充

    政府参考人(安田充君) お答えいたします。  この点も三十一次地制調では全地方公共団体に導入するということを念頭に答申が行われたわけでございますけれども、検討を行いまして、今申し上げましたように、本来、全地方公共団体内部統制に関する基本方針の策定、体制の整備が求められるものではございますけれども、やはり地方公共団体にとって過度な負担になるということがあり得るというふうに考えまして、まずは組織、規模が大きい団体、都道府県、指定都市に対してのみ義務付けることといたしまして、その他の市町村長は努力義務としたところでございます。  これらの市町村も、努力義務ではございますけれども努力義務が課されておりますので、できるだけこれは導入していただくよう助言も行ってまいりたいというふうに考えております。
  194. 片山虎之助

    片山虎之助君 都道府県や政令市はほっておいてもやるんですよ、それだけのあれがあれば、インセンティブが。むしろ、市町村の問題があるところをどうやってガバナンスを強くしていくかということなんですよ、体制強化を。逆なんですよ、あなたの言っていることは。もう一遍言い直しなさい。
  195. 安田充

    政府参考人(安田充君) 先ほども申し上げましたように、地方公共団体にとっての負担というものも考える必要があると。これは関係する六団体の方からも意見が出てきているということもございました。意見交換の中でこういう意見も出てきているということもございましてこうしたことになったわけでございますけれども、努力義務ではございますけれども、これは努力義務という形で掛かっているということ、それから、やはり事務の適正性の確保という観点から導入が望ましいものでございますし、住民訴訟リスクへの対処ということからもこれは導入が望ましいというふうに考えておりますので、私どもとしてはきちんと助言してまいりたいと考えております。
  196. 片山虎之助

    片山虎之助君 それから、監査基準を国が作ることには意見があるんですよ、いろいろ指導をするというか指揮するというのか、命令するということには。しかし、監査基準を作るんなら、きちっとしたものでなきゃ駄目なのよ、基準は国が作ってもやるのは地方なんだから。そこは自信を持って国がきちっとしたものを作って、それで監査をやってもらいなさいよ。権力は地方に分散せにゃいかぬけど、指揮は中央でまとめてもいいんですよ。そういうものをきちっと整理をして、地方に情報を与える、知識を与えるということも総務省の仕事なんだよね。それについてはいかがですか。
  197. 安田充

    政府参考人(安田充君) 先ほど御答弁申し上げましたけれども、監査基準については、三十一次答申では、全国的な統一基準ということが答申で示されていて、それを地方公共団体の共同組織で作るということが内容になっていたわけでございますけれども、監査委員の協議会等との意見交換の中で今のような形になったわけでございます。  監査基準自体は、これは地方団体が定めるわけでございますけれども、あえて総務大臣指針を作って助言を行うという義務付け規定を置きまして、少しでも監査の水準、監査の質を高めるということの一助になればということで今のような仕組みをつくったということでございます。
  198. 片山虎之助

    片山虎之助君 指針助言でいいんですよ。それ以上やったら問題なんだ。しかし、それできちっとやってもらうということなんですよ、言っているのは。だから、そこはちゅうちょせずに私は指針を示して助言をすべきだということを特に申し上げておきたいと、こういうふうに思います。  そこで、次に監査委員で、これも参考人の方に申し上げたんだけれども、議会ですよ。今度は選択制になりましたよね、議会が。しかし、選択制というのは困るんだよ、かえって。私は議会を外した方がいいと思っている。議会議会としていろんなことの監査機能を発揮すりゃいいんで。国はそうですよ。やっているかやっていないかは別にして、仕組みはそうなっている。  だから、やっぱり今監査委員の中に議会選出、議会代表がいることによって中途半端になっていると思いますよ、悪く言わないけれども。中途半端ということは、機能がおかしくなっている。だから、これはむしろ指導としては、私は、選択だけれども、分けるようにやって、将来は分けた方がいいと思いますよ。議会議会でチェックしてもらう、監査委員は専門的に高度に実務的にチェックする。いかがですか。
  199. 原田憲治

    ○副大臣(原田憲治君) 御指摘の議選監査委員は、議会の議員でありながら監査委員としての地位を併せ持つものでございまして、現行制度では全ての地方公共団体において議選監査委員を選任することが必要であるとされておるところでございます。  今回の改正案の前提となる第三十一次地方制度調査会での議論では、監査委員はより独立性専門性を発揮した監査を実施するとともに、議会議会としての監査機能に特化していくべきとの議論もありました。一方で、議選監査委員は実効性ある監査を行うために有効であるとの議論もあったところでございます。  そのため、御審議いただいている改正案においては、地方公共団体判断によりまして議選監査委員を選任しないことも選択肢として認めることとしておるところでございます。
  200. 片山虎之助

    片山虎之助君 それは、副大臣説明なのよ、あなた。私は役所の方針を聞いているんですよ。選択制答申があるから選択制にせざるを得ないかもしれぬけれども、それは役所としてはどっちだと言われたらどうするんですか。今あなたが言われたことは解説なんでね、非常に見事な解説ですよ。私は役所としての考え方を聞いているんで。なければないでいいですよ。いかがですか。
  201. 安田充

    政府参考人(安田充君) お答えいたします。  ただいま副大臣から御答弁申し上げましたとおり、議選監査委員については二通りの考え方があるというふうに思っております。監査委員独立性専門性を発揮した監査に特化すべきだという考え方と、一方で、議選監査委員がいるからこそ実効性のある監査ができるんだと、有効なんだという考え方ございまして、そこで私ども考えましたのは、これを地方公共団体において選択していただくということにしてはどうかと、これが今回の改正の趣旨でございます。
  202. 片山虎之助

    片山虎之助君 まあこんなことで長く議論したくないけど、選択できないよ、地方は。今までと同じようにやろうというようなことになってしまうんで、こういう場合には議会がいた方がいい、こういう場合にはいない方がいいと示すべきですよ、むしろ。裸で投げ出してどうぞと言ったって分からないよね。研究してくださいよ、答弁大変だろうから。  それから、監査専門委員というのを今度つくるでしょう。どういうイメージですか。そんな人がいますか。待遇はどうするんですか。
  203. 安田充

    政府参考人(安田充君) 監査専門委員でございますけれども、高度の専門性が求められるICTでございますとか建築など、こういう分野について監査に必要な専門性を補完するということを想定しているものでございます。  例えばICTなどについて言えば、今はいろいろな発注というのは各部局ごとにそれぞれやっているということでございますけれども、ICTの専門家の方に監査専門委員で入っていただくことによりましてそれを横串で見ていただきまして、より予定価格の積算方法の適正化でございますとか、これがばらついている場合にはばらつき解消のための提案などが行えるのではないかというふうに考えている次第でございます。
  204. 片山虎之助

    片山虎之助君 だから、ICTの専門家でいいよ、専門家いるのと言っているんだよ、普通の市町村に。ICTだけですか、専門委員は。ICTに関係ないところ、どうするの。
  205. 安田充

    政府参考人(安田充君) 今、例でICT申し上げましたけれども、これは例でございまして、例えば建築というものもあるかもしれませんし、あるいは環境関係の専門家というのも、一定のものが問題になっているときにはその分野について専門家を呼んでくるということは考えられると思います。
  206. 片山虎之助

    片山虎之助君 こういうのも、制度をつくるだけじゃなくて地方にちゃんと指導してやらなきゃ駄目よ。それは、都道府県やそれこそ政令市はいいんですよ。普通の市町村に、今のこの監査制度がこう変わって、効果を出さにゃしようがないんだから、それを出すためにはどうやって、専門委員をどうするとか、あるいは議会との扱いをどうするとか、そういうことを指導するのが私は皆さんの仕事の中の重要な一部だと思いますよ。是非研究してくださいよ。いかがですか。
  207. 安田充

    政府参考人(安田充君) 地方共同法人といいますか、監査のための地方の共同組織の議論があったときに、例えばそういう専門家の方々、あるいは外部監査を行う方々というのを、人材をプールしてそういう方々を地方に紹介するという機能もそこに担わせたらどうかと、こういう議論もあったわけでございますけれども、そうしたことも含めて、どういう主体がそれをやるのかということも含めて研究してまいりたいと思っております。
  208. 片山虎之助

    片山虎之助君 そこで、今の損害賠償の住民訴訟住民監査請求の話なんですけれども、平成十四年の改正個人を団体にしたわね、公務員個人から団体に。これによって萎縮効果がなくなったと言われているんだよ、本当はどうか知りませんよ。そういう認識があるのかどうかということと、それから、今度の改正で、これはいろんな皆さんも調査をされたと思うけれども、どういう見通しですか。今度の改正、いろんな議論がありますよ。特に、今の免責の事項だとか議会権利放棄だとか、私大変だと思っている、実際は。それについての見通しというのは、どういう見通しに立ってこういう仕組みにしたの。
  209. 高市早苗

    ○国務大臣(高市早苗君) 平成十四年の改正ですが、もうこれは片山総務大臣の下で改正されたものでございます。  地方公共団体の長や職員個人を被告としていた四号代位訴訟を、地方公共団体の長などの機関を被告として、機関が敗訴した場合に地方公共団体地方公共団体の長や職員個人責任を追及する制度に再構築をしていただきました。これによって、地方公共団体の長や職員個人にとっては、住民訴訟によって最初からこの直接被告になってしまうということに伴う各種の負担が回避されるという一定の効果があったと認識をしています。  今回の改正ですけれども、その平成十四年改正をしていただいた後も地方公共団体の長などに対して高額な賠償責任を認める判決も見られて、なお萎縮を招いているという見解があるということと、それから、住民訴訟係属中に議会訴訟の対象となった損害賠償請求権などを放棄する議決を行う事例が見られるようになって、政治的な事情によってその判断が左右されるおそれが指摘されるといった状況の変化がございましたので、それを受けて、第三十一次地方制度調査会答申ですとか、それから有識者の方々の御意見も踏まえて見直しを行うものでございます。
  210. 片山虎之助

    片山虎之助君 そこで、その議会権利放棄議決監査委員意見を聴くということになりましたわね。これは恐らく制限しろとかいろんなまた議論があると思うんだけれども、監査委員意見を聴くことがブレーキになりますかね。どれだけの効用があるか、どういう見通しですか。
  211. 安田充

    政府参考人(安田充君) 監査委員意見を聴くということについての御質問でございますけれども、この意見でございますけれども、議会放棄議決判断の前提となるものでございまして、最終的に放棄の有効性が訴訟で争われた場合にも、裁判所がその妥当性を判断するに当たりまして重要な判断要素の一つとなるということが想定されるわけでございます。  また、この監査委員意見は、今回の改正で新たに策定されます監査基準に従って監査委員全員の合議による慎重な審議を経た上で述べられるべきものと考えておりますので、かつ、損害賠償請求権などの放棄議案の議会審議の中で住民に対しても明らかにされることから、監査委員としての説明責任も求められるものと考えているところでございます。
  212. 片山虎之助

    片山虎之助君 局長、まさにそのとおりなんですよ。監査基準の中にしっかり書き込むことによって決めてもらって、実質上この監査委員意見が効用を持つように、議会のいろんな議決について。議会は時々間違うからね、間違えないこともあるんだけれども。それにブレーキを掛けるようなことをすることが大きいあれだと思いますね。是非それをやってもらいたいと、こういうふうに思います。  それから、時間が余りなくなったんですが、私は山下先生に言わせると強力な民営化論者らしい。強力だとは思っていないんだけれどもね。しかし、この地方独法に窓口事務をやらせるのはどうも無理筋風なんですよ。だから、今の地方独法というのはほとんどは大学だとか公営企業でしょう。こんなことよりは、まとめてセンターをつくるなり広域連携でいろんな市町村をまとめるなり、そういうことをした方がずっといいんで。私なら民間にちゃんと委託するよ、民営化論者なんだから。その辺はどういうあれですか。無理やり地方独法にそういう窓口を持っていって、そのために人手も要るんですよ、訓練もせにゃいかぬのですよ、お金も掛かるんですよ。そんなことがうまくいくんだろうかという気がしていますが、この素朴な疑問に答えてください。
  213. 安田充

    政府参考人(安田充君) お答えいたします。  現在でも窓口業務については一定の業務が民間に委託されております。この委託されている内容というのは、内閣府がかつてどういうものが対象になるかというのを整理いたしまして、それに基づいて一定の委託をしているということでございまして、これによりまして大都市部を中心に窓口業務の民間委託というのは結構進んでいる状況にございます。  ただ、これについてはやはり課題があるというふうに認識しておりまして、一つは、今大都市部と申し上げましたけれども、町村などの小規模自治体ではなかなかその民間委託というのは難しいということ、それから、あくまでこれは民間委託でございますので、公権力の行使にわたる事務が含まれる部分はできないということがございまして、こういう課題を解決するために、今回、地方独法という仕組みを設けたということでございます。
  214. 片山虎之助

    片山虎之助君 時間オーバーしているから、やめます。
  215. 又市征治

    ○又市征治君 希望の会、社民党の又市です。  二回の質疑ということでありますので、今日は監査制度の問題について中心的には伺いたいと思いますが、先行委員とは幾らかダブらざるを得ないわけでありまして、再確認の意味でお答えをいただきたいと、こう思います。  そこで、監査制度充実強化については、先ほどもありましたが、二〇〇九年の第二十九次地制調答申であるとか、総務省が二〇一〇年に省内に設置した地方行財政検討会議での議論を踏まえて、二〇一一年に地方自治法抜本改正についての考え方等で指摘をされたわけですね。しかし、なかなか具体的な進展が見られなかったということであります。資料によると、当時、自治体監査関係者から監査制度の見直しの方向性について不安視する声が上がったということですが、この点は具体的にはどういうものだったのか、まずは伺っておきたいと思います。  今回の監査制度の見直しによって、監査委員の合議により監査基準が定められることになりますけれども、これまで監査基準の策定が法定化されていなかったということですが、自主的に策定している自治体もあるわけで、これは片山さんからもありましたけれども、例えば都道府県ではほとんど策定しているわけですね。これに対して、むしろ指定都市では八割方がされていない。全体ではおおむね半々ということのようであります。監査基準がなければ監査の有効性もおぼつかないと思うわけですけれども、総務省監査基準の策定についてどのように自治体にこれまで働きかけてきたのか。  また、なぜ半数近くの自治体が作成をしてこなかったというふうにこれは分析されているのか。単に法定化されているとかいないとかというだけの問題なのか。この点、伺っておきたいと思います。
  216. 安田充

    政府参考人(安田充君) 大きく三点にわたる御質問でございます。  まず、第一点でございますけれども、平成二十二年一月に総務省に設置されました地方行財政検討会議において地方自治法の抜本改正についての考え方が取りまとめられております。現行の監査制度について、御指摘のようにゼロベースで見直しを進め、制度化に向け関係者の意見を聴きながら更に詳細に検討するというふうにされたところでございます。  その後、しかしながら、具体的な制度設計についての議論が進展しておりませんでした。また、この考え方の中には現行の監査制度を廃止する内容も含まれていたことから、地方公共団体監査関係者から今後の監査制度の見直しの方向性について不安視する声が上がったものと、このように考えている次第でございます。  総務省におきましては、その後、地方公共団体監査制度に関する研究会というのを設けまして具体的な方策について議論を進め、三十一次地制調答申を踏まえて今回の改正案に至ったという経緯がございます。  それから、第二点目でございますけれども、現在でも監査基準というのは設けられているところが結構あると。で、助言してきたのかというお話でございますけれども、現行の制度におきましては、地方自治法上、監査に関する具体的な基準に関する規定が存在していないということから、これまで私どもとして明確な助言は行ってきていないところでございます。  一方で、三十一次地制調においては、現行の監査制度について課題があるということから、監査委員各自の裁量による監査となっている、住民から見て分かりにくいと、こういった点が課題があるというふうに言っているわけでございまして、これを踏まえ、今回の改正案では、監査基準を各地方団体において定めていただくという内容にしているものでございます。  それから、三点目でございますけれども、では、なぜこれまで監査基準を策定してこなかったと考えるのかということでございますけれども、この理由としましては、まずは地方自治法上、監査に関する具体的な基準に関する規定がこれまで存在してこなかったということが一つあるというふうに考えております。  また、もう一つでございますけれども、従来、指摘型の監査が一般的でございまして、監査委員の能力とか資質、経験に依拠した指摘を行えばよいと、こういう考え方があったということではないかと考えております。  この結果といたしまして、監査の目的や方法論などの共通認識が確立しているとは言えず、特に今後は内部統制制度の導入を踏まえた監査基準も求められるということから、今回の改正案では総務大臣監査基準の策定に関する指針を定め、その指針を踏まえて全ての地方公共団体において監査基準を策定するということにしたものでございます。
  217. 又市征治

    ○又市征治君 そこで、今回の改正で、先ほども述べましたけれども、監査委員監査基準を作成し公表しなきゃならないということになるわけですね。この監査基準について、第三十一次地制調答申は、監査基本原則、実施手順については統一的な基準が必要だと指摘をしています。他方で、答申は、監査基準の内容について、地方分権の観点から、国が定めるのではなく、地方公共団体が地域の実情にも留意して専門家や実務家等の知見も得ながら共同して定めることが適当であるというふうにしておりますね。改正案では、先ほど述べたように自治体ごとに監査委員が作成するとされ、答申における共同して定めることにはなっていません。そうした理由は一体何なのか。  また、その代わりというわけではないでしょうけれども、総務大臣自治体に対して監査基準の策定又は変更について指針を示すとともに、必要な助言を行うように改正案に盛り込まれています。この指針助言の内容とは一体どういうものなのか。自治体の自主性及び自立性、監査執行上の裁量を損なうことのないように注意すべきだというふうに考えますけれども、この点についてはどのように考えられているのか。以上について伺います。
  218. 高市早苗

    ○国務大臣(高市早苗君) 二点御質問がございました。  まず、第三十一次地方制度調査会答申との違いということでございますけれども、日本弁護士連合会ですとか地方の監査三団体からは、既に個々の地方公共団体の任意の取組として監査委員監査基準を策定している例も見られることから、地方分権の観点からも、こうした地方における監査の実情などにも配慮をするべきだという指摘がございました。そのため、今回の法案では、監査基準は各地方公共団体監査委員が定めるということにしながら、総務大臣が実務者や専門家などの御意見を聴きながら監査基準を策定する際に参考となる指針を示し、助言するということにしたところでございます。  それから、総務大臣が定める指針助言とはどういうものであり、また地方の自主性、自立性ということへの御指摘もございましたけれども、これはあくまでも総務大臣の責務ということで、監査の質を高める、それから住民の皆様の監査に対する信頼向上を図るために統一的な考え方として指針をお示しするものです。そしてまた、これに関連して必要な助言を行うというものでございますので、指針の中では、これからなんですけれども、各地方公共団体監査を行うに当たって必要な基本原則を定めるということを想定していて、具体的な内容は、この監査の目的でしたり監査委員の役割、責任でしたり、また監査の実施に関することや監査結果の報告に関することなどを盛り込んでいくということを想定しています。ただ、その指針の策定に当たりましては、監査に携わっておられる実務者の方や専門家の方からも意見を聴こうと考えております。  この指針助言には法的な拘束力はございませんので、地方公共団体の自主性、自立性を損なうものとは考えておりません。
  219. 又市征治

    ○又市征治君 くれぐれも自治体の自主性、自立性、さらには監査執行上の裁量というものを規制することのないように留意をすべきだろうと、このように思います。  そこで、今回の改正監査制度強化を目指しているわけですが、勧告制度の導入に見られる監査委員権限強化監査委員の合議の特例もそのためのものだというふうに思います。  その中で、議選監査委員選択制が導入されようとしているわけですが、現在の監査委員の選任方法は、都道府県、人口二十五万人以上の市では、監査委員の定数が四人の場合、議選監査委員が一人の場合は識見監査委員が三名、議選が二名の場合は識見が二名、こういう格好になっていますけれども、他の市町村では定数は二名で、議選識見が各一というふうになっています。つまり、議選の割合、役割というのは大変大きい格好になっているんですが。  確かに、監査委員の中に市民の代表ということで議選監査委員がいることは理解できますけれども、往々にして、この議選監査委員議会の与党から選ばれるということが多いという現実があるんじゃないかと思うんです。したがって、首長を支える側の議員ということになりますと、本当に財務監査行政監査について客観的に行うことができるのか大変懸念がある、また、現実にそういう問題が起こっておるということがあると思うんですね。ここのところを一体どういうふうに考えられるのか。在り方としては、どちらかというならば、議選の場合に野党の議員を選ぶなどということの方がむしろ望ましいというふうに言われることもあるんですけれども、この点についてはどのようにお考えですか。
  220. 冨樫博之

    大臣政務官(冨樫博之君) お答えいたします。  私自身議選監査委員を務めていたことがあり、その役割の業績はよく理解をしております。  第三十一次地方制度調査会でも議選監査委員の役割を評価する意見がありましたが、一方で、監査委員議会のチェック機能における役割分担純化の重要性も指摘されたところであります。そのため、今回の法案では、条例で定めることにより、地方公共団体判断議選監査委員を選任しないことを可能とすることにしております。  委員の御提言については、近年の行政改革の流れの中で監査委員の定数を増やすことは困難と考えられることや、長の行為をチェックすることについては与野党のバランスの中でまさに議会の本来の監視機能を適切に働かせることも考えられることなどから、慎重に検討する必要があるものと考えております。  以上です。
  221. 又市征治

    ○又市征治君 私は、この件については片山先生と全く同じ意見であります。  議会議会としてやはりしっかりと監査機能を果たすというか、首長をチェックをしていくということが大事で、そういう意味で、今の状況で議選で、それが与党からの選出ということになれば、これは本当に機能を果たせていないということがあるんで、もちろんそのことも改善するために様々監査基準とかなんとかということもおっしゃっているんだろうと思うけれども、その点だけは申し上げておきたいと思います。  今回の自治法改正は、先ほども少し触れましたけれども、自治体におけるコンプライアンスを確立することが一つの大きな目標だと思います。その際、忘れてならないのが地方議会の役割、活動の強化ということなんですが、一部の豊かな市民だけが選挙に立候補し議員になれるというんではなくて、より多くの人が立候補しいろんな市民が議員になれることが、議会が市民の身近なものとなり、機能強化につながるというふうに思うわけですけれども、そのための一つの手だてが、昨年も私取り上げましたが、自治体議員が厚生年金に加入できるようにすること、これも大変重要な私は要素だというふうに思います。  大臣は昨年、私の質問に答えて、事業主負担が二百億円も増える等々といった財政的な問題、あるいは被用者要件、労働時間要件の問題を指摘をされたんですが、あのとき私申し上げたんだけれども、つまりは、都道府県議会議員はむしろ都道府県の職員の共済に加盟をする、市町村の議員は市町村共済組合に加盟できるという格好になっておれば何の問題もなかったということだと思うんですが、まるでそういうものを削ってしまったという格好になっているわけですけれども。  しかし、なかなかそういう年金も何もないと、国民年金しかないんだということが、かえって議員のなり手がなくなって、最近では、先般も都道府県議会議長会からも要請を受けましたけれども、もう今や三割ぐらいの自治体で無競争当選。無競争当選といえば格好いいけれども、実は元々の自治体の職員だった課長クラスを、何とかおまえ議会へ出てくれよ、でないと定数が足りないなんという格好になって、三割ぐらいが無競争などという事態が起こっているということが言われるわけですね。  そういう問題を含めて、やはり私は、首長に対するチェック機能強化するために、住民自治充実するためには議会活動の強化が必須でありますから、これは政党間でもこの議論は当然必要ですけれども、総務省のリーダーシップが必要なんじゃないか、このように思うわけで、地方自治を発展させる観点から、この地方議員の年金問題について大臣の見解を改めて伺っておきたいと思います。
  222. 高原剛

    政府参考人(高原剛君) 御答弁申し上げます。  地方議会議員年金については、厳しい年金財政の状況などを踏まえ平成二十三年に廃止されましたが、地方議会議員の新たな年金の在り方については、衆参両院総務委員会の附帯決議を踏まえ、総務省としても検討を行ってまいりました。  地方議会議員が、先生御指摘の共済組合も含めまして被用者年金に加入するということになりますと、地方議会における人材確保に資するものと考えられますが、保険料の二分の一の事業主負担としての公費負担、厚生年金保険法等に定められている加入要件に対する法的手当て、国会議員の取扱いとの均衡などの課題がございます。これらの課題は地方議会議員の身分の根幹に関わることでもあり、各党各会派において御議論いただく必要があるのではないかと考えているところでございます。  以上でございます。
  223. 又市征治

    ○又市征治君 地方自治そのものは民主主義の学校と、こう言われるわけですが、その民主主義を育てようという観点でいくと、総務省が財源問題ばっかり言ってどうするんですか。そういう問題、まして、元々あったもの、そして今それがなくなったことによって地方自治体議会の活性化というのは失われてきている。そのことが問題だといって、それぞれの三つの、都道府県議長会あるいは市・町村議長会などがそれぞれそのことを何とかしてほしい、こう求めていることに対してどのように前向きに応えていくかということを考えるべきで、何か政党にどこか丸投げしてみたり、金の問題だけを言っていれば済むという話じゃ私はないと思う。  やはり、政党間でもここでそういう意味では議論ももちろんしていきますけれども、総務省も、もう少しやはり地方の自治を育てる、民主主義を育てるという観点から前向きに考えてもらうように、そのことを申し上げて、今日のところは終わっておきたいと思います。
  224. 横山信一

    委員長横山信一君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時二十七分散会