○江崎孝君 民進党の江崎でございます。
かつて
自治体の現場からこの
非常勤職員の処遇の問題について
総務省の方といろいろ話合いをした者からすれば、この
法律の提案というのはある面では非常に、小さい一歩ですけれ
ども、
自治体を取り巻く
非常勤職員の皆さんの処遇改善に当たっては極めて大きな一歩になるだろうという、そういう期待感は持つんですね。これは、正直に
高市大臣の英断に心から感謝を申し上げたいと、まずは思います。
ただ、そうはいっても、まだこれでは道半ば、いや、これではむしろ現在働いている
非常勤職員の皆さんの処遇というか、不安定につながるんじゃないかという、こういう意見も実は現実にあるわけであります。
そういうこともあって、柘植筆頭理事含め与党の理事の皆さんたちのいろんなお声もあって、この後、山下
委員から
参考人招致をあえて例外的に認めていただいたんですけれ
ども、是非この
質疑の中で、法の不備というか法が対応まで至らなかった部分について、
大臣含めた
答弁の中で、より現場の中で、法が成立して以降、衆議院でも成立してほしいんですけれ
ども、して以降、より良い処遇改善あるいは安定雇用につながるように、そういう立場で
答弁をお願いをしたいということをまず冒頭お願いをしておきます。
さて、非常に今回、
自治体を取り巻く、
国家公務員と違って
非常勤職員の問題については複雑です。もう
常勤職員が減っていった件を含めて、なぜ
非常勤職員が増えたというのは、
二之湯先生のお話の中にあったとおり、私も、すさまじい
職員の
削減という流れが一方に、これは現実的に
非常勤職員の増加につながっていっていると思うんですね。
一方で、
全国回っていますと、
財政的に極めて余裕のある
自治体、例えば不交付
団体、超有名な不交付
団体、ここも実は
非常勤職員が相当増えているわけです。ですから、
財政的な問題ともう
一つに、片っ方に雇用調整というか、簡単に、
民間と同じですね、契約を解除する、そういう非常に安易に雇いやすい
非常勤職員の雇用形態というのがあって、
財政問題に関係なく
自治体では
非常勤職員が増えていると、こういう現状にあります。
そこで、この
常勤職員、
非常勤職員の問題には二つあるんですね。
一つは、
非常勤職員が増えるということは、当然これ
常勤職員が減るということになります。それと、増え続ける
非常勤職員の皆さんの処遇が極めて低位であること、あわせて雇用の安定、期間が定められているということもあるので雇用が安定をしないという、この二つの側面がこの
自治体の
非常勤職員の問題にはあるということをまず
委員の皆さんにも御確認をいただきたいわけでありますが。
さて、
自治体の
非常勤職員というのは、おさらいになりますけれ
ども、
民間のいわゆる
非常勤職員とは随分様相が違います。元々は、地公法上は
常勤職員中心主義ですから、現在のように恒久的な
職務に
非常勤職員、任期の定めのある
職員が当たるということは極めて限定的に解されてきたわけです。
その中で、今
法律上、
自治体では三つの
法律の根拠にしてこの
非常勤職員の
任用が行われています。
一つは三条。これは、御承知のとおり、いわゆる特別職というものでありまして、簡単に言えば選挙管理
委員の
委員とか
労働者性が極めて低い部分が
一つ。
それと十七条。これは、今回
会計年度任用職員が当てはまるんですけれ
ども、いわゆる
一般職の
非常勤職員というもの。この
一般職の
非常勤職員というのは、この十七条というのは
一般職に欠員が生じた場合の
任用方法を規定しているだけの条文でありますから、ここに
一般職の
非常勤職員という明文化したものは一行たりともありません。
あわせて、次の二十二条。これは
臨時的
任用と言われるやつで、いわゆるこれ
臨時職員と勘違いされているんですけれ
ども、
臨時的
任用の
常勤職員。
公務の場合は、来年度、職が、私の場合はどうでしたかな、例えば国体の事務、国体の室が、国体が終われば当然その
仕事はなくなるわけですから、国体が終わる、来年の三月三十一日で終わるという事務、そこにあえて一年間だけ、あるいは半年だけ雇うというそういう雇用、これが六か月を限度とした最長一年という
臨時的
任用の
常勤職員の形であります。
いずれも、特別職もこの二十二条の
臨時職員も、いわゆる恒久的基幹業務について
非常勤職員を充てるということにはなっておりません。どこを見てもできないわけであります。
一般職の
非常勤職員も、これ、ちょっと長くなりますけれ
ども、
行政実例からいうと、これは昭和三十一年で私が生まれた年なんですけれ
ども、特別な事情を除き、恒久的な職に
一般職の
職員を雇用期間を限定して
任用することは適当ではないという
行政実例が出ているんですね。ところが、これ、特別な事情を除きというこの特別な事情のところで、これは昭和五十八年なんですけれ
ども、パートの学校給食調理員を
一般職に属する
非常勤の期限付
任用職員とみなし得るという
行政実例が出ました。ここからばあっとこの
一般職の
非常勤職員、つまり十七条を根拠とする
一般職の
非常勤職員というのが
自治体に広がっていったわけです。結果、今言った三条、十七条、そして二十二条、この三つのどれに、当事者たちはどの
法律の条文の根拠で
任用されているか分からないままに雇用されて、そして任期を命ずることなく、五年、十年
採用されているということがある。
ただ、今言ったとおり、
非常勤職員でありますから、
報酬という考え方の下に、
手当も払えない、あるいは通勤
手当も払えない、あるいは
期末手当ももちろん払えない、もうそんな状況があったわけでありますから、これを大きく変えようということは非常に有意義なことだと思います。
そこで
質問なんですけれ
ども、今までこの地公法上の三つの
非常勤職員、この三つの
法律の条項の中で、
一般職の方もそうなんですけれ
ども、
非常勤職員の
任用根拠にはなり得ないわけですね、恒久的な職に対しては。これ、裁判所も、最高裁も、
職員の
任用を無期限のものとするのが法の建前だと言っているわけです。理由は、
職員の身分を保障し、
職員を安んじて自己の
職務に専念させるため。ただ、唯一、これ最高裁も判例として例外的に認めているんですけれ
ども、特段の事由と身分保障の
趣旨に反しない限りというふうに言っているわけですよ。
つまり、地公法上のどこを見ても恒久的な職に
非常勤職員を就けるという法解釈はなり得ないわけでありますけれ
ども、今回、
一般職、つまり十七条に
会計年度任用職員という会計年度を限定をした
非常勤職員の規定が初めて設けられるわけですね。
そうすると、僕が危惧するのは、よし、これだと思って、
自治体が更に
非常勤職員を増やしていく、今までは
法律的な根拠がなかったので極めて例外的に、あるいは
常勤職員中心主義という思いの中で動いていた
自治体も、今回、
会計年度任用職員というのができたことによって更に
非常勤職員を増やしていくという逆のインセンティブが働かないかというのがまず危惧するところなんです。その懸念は当たっていないでしょうか、御
質問いたします。