○江崎孝君 是非、石原
委員長、その
思いで、これは籾井
会長の経営の
在り方、そこに国民との信頼を醸成をする、あるいはそれを少々疑わせるようなもし経営があれば、それは経営
委員会としてしっかりと管理をしていただきたい、指導していただきたいと
思いますし、決してそこはなれ合いの立場ではなくて、お互いが牽制をし合うというそういう側面で是非、両方の御尽力に懸かっていると
思いますから、御努力をお願いをしたいと思うんですね。
前
会長が、非常に政治的にいろんな意味で厳しいときに前
会長は
会長に就任されたというふうに
思います。当時、私が記憶するのは、経営
委員会の
委員の
皆さんにも、同意人事が
全会一致でなかったという
状況の中で経営
委員のメンバーが選ばれて、どちらかというと、これはどちらかというとということで言わせていただくと、官邸寄りではないのかというようなそういう人選があった後、そして籾井
会長が
会長になられたわけであります。
そのとき、
会長は何を思われたのか、記者会見で、
政府が右だと言うことを左とは言えないというお話をされました。これが混乱の発端だったというふうに私は
認識しているんですが、本来、前
会長、この辺の御
認識が少し甘かったと、私はそう
思います。右と言うことを左と言うわけにはいかない、これは当たり前の話でありまして、
政府が右と言っていることをNHKが左と言うことはこれは事実を伝えないということでありますから、これは正直に伝えなきゃいけない。問題は、
政府が右と言っている事柄があれば、それとは違う反対の考え方がある
人たちがあればそれも事実と一緒に報道するという、この事実を報道するという姿勢を貫くことだろうというふうに思うんですね。
そこで、
前回の、ちょうど一年前のこの席でも僕は例に出したんですが、先ほどBBCの話をしました。今日午前中、片山
委員もBBCの例を出されたんですけれども、やはり世界に冠たるBBC、学ぶべきものは相当あるというふうに
思います。BBCといえども、やはり政治に左右される場合は幾度もありました。特にサッチャー政権というのは、特に政権と対峙をしていくという非常に重要な局面を迎えています。いろいろあるので、北アイルランド紛争のときもそうでした。その中で僕が例を出したのは、いわゆるフォークランド紛争、アルゼンチンではマルビナス諸島と言われているフォークランド諸島、アルゼンチンとイギリスとの戦争のことであります。
当時、サッチャー政権は、厳しい戦地の現状を国民に見せることは国民の戦意を低下させ、軍事行動への支持を喪失させると懸念をしたわけであります。これは当たり前だと
思います、国の最高責任者であれば。国が戦争をやっているわけですから、それを生々しい
状況を見せるということは国民の感情をやはり反対の方に向かわせる、これは当たり前だと
思いますけれども。これはベトナム戦争等のときにアメリカの国内の報道で、事例で明らかになったので、サッチャーさんは当時、テレビ番組がイギリスとアルゼンチンを平等に取り扱っており、イギリスの
政策が十分反映されていないと非難をするわけであります。
そのときに、当時の代表であったイアン・トレサワンという
会長、ちょうどそのときの
会長ですね、この方が保守党の議員に何と言ったか。これは水野道子さんという、「イギリスにおける放送の公平性」という論文からの引用ですけれども、BBCは中立ではないが、イギリスのような民主主義とアルゼンチンのような独裁体制の違いの
一つとして、我々は国民が真実を聞くことを希望するならば、たとえどのような不愉快な事実であろうと聞くことができることである、つまり、不愉快な現実でも、国民が。フォークランド紛争に対して、当時はイギリス国内でも賛否両論ありました。ですから、国の要望だけじゃなくて戦争に反対する国民の声もきちっと反映をした報道をすべきだということで、戦争という極めて厳しい中でそういう姿勢を貫くわけです。やっぱりこれ、いろいろな意味で政治に押されていくわけでありますけれども。
その中で、BBCの
日本の研究で結構有名な「公共放送BBCの研究」という本の中で、柴山さんという当時の桃山学院大学の教授の方が、BBCの
在り方についてこういうふうに言われています。一旦戦争が始まると交戦国の数だけ国益が生まれる。国益は民衆の利益でもあり、権力者の利益でもある。民衆の利益と権力者の利益が反するときには民衆の利益を優先させるというのが公共放送としてのBBCの変わらない姿勢であり、戦争報道もその基本的姿勢に沿ったものであり、BBCの戦争報道が国際的に高い評価を得てきたのは、BBCの経営幹部と報道に携わる者たちの一人一人がどのような局面にあっても事実を伝えるという基本を貫くことによって歴史と実績を積み重ねてきたからにほかならないと、こういうふうに言われています。私も賛同いたします。非常に戦争という極めて危機的な
状況にあっても中立性あるいは事実の報道を貫き通すというこの姿勢が、世界的にBBCが今評価をされているということに尽きるだろうというふうに
思います。
私は、もう
一つの公共性というのは、不偏不党を貫くだけじゃなく、公正中立を貫くだけじゃなく、時の権力、まあある面では政治だと
思いますけれども、そことどれだけ対峙あるいは距離を置くかに、いうことだろうと
思います。
BBCのこの姿勢に対して、上田
会長、どういうふうに思われますか、率直な御感想を。そして、もしその感想から先にNHKのこれからの運営に役立つものがあれば、それもお聞かせください。