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大門実紀史君 この前、国犯法が通則法に編入される理由について具体的に何も分からなかったわけでございますけれども、今回のこの関税の方は大変分かりやすい、具体的に現場で起きていることの対応をするということでありますので、いかに国犯法を通則法に編入する理由がいまだ不明確なのかというのが逆にこの関税のことで分かるのではないかと思います。押しなべて法改正というのは、そういう具体的な立法事実がないと軽々にやるべきではないということを申し上げておきたいと思います。
残った時間ですけれども、この間、ずっと税法の
議論、
経済論議をやってきて、全体を見通した上で問題の核になる話を、税法の
議論の
最後ですので、
一つだけ
麻生大臣にお考えを伺いたいというふうに思います。
資料をお配りいたしましたけれども、お聞きしたいのは、今のこの
日本の資本主義がこのままでいいのかということであります。お手元に配った資料は、何度も取り上げてきた大
企業の内部留保の問題でございます。それが賃金、雇用などを通じて
国民に回っていないと、それが今の
日本の
経済の構造的な問題点だということでございます。この資料は、本当は決算
委員会のテレビ中継のときに配ろうと思ってきれいに作ったんですけど、
森友問題で時間がなくなって、もったいないから今日使わせていただいているわけでございます。
誤解のないように申し上げておきますと、我が党は別に大
企業を敵だとかやっつけてやろうと思っているわけではありませんので、余りにもちょっと大
企業寄りになっている
日本のこの
経済政策、政治の問題を取り上げているわけでありまして、応分の負担、それに応じた社会的責任を、社会的存在に応じた責任を果たしてほしいということで取り上げているということでございますので、そういう点で聞いてもらいたいと思うんですけれども。
このグラフが意味しているものは、本
会議でも申し上げましたけれど、経常利益が、二〇一〇年から二〇一五年の比較ですけど、経常利益が一・五五倍になっている中で、配当金はそれ以上に伸びていると。一人当たりの年間役員報酬も伸びているが、賃金が一・〇一倍、ほぼ横ばいにしかなっていないということでございます。本
会議のときに申し上げたんですけれど、かつての
日本企業の経営者というのは、
会社が苦しいときは
従業員の給料を余り下げないで
自分たちの報酬とか下げて、ボーナスを抑えたりして、
従業員をもっと大事にしたわけなんですけれども、今はこういう全然違う形になっているということであります。
ちなみに、うちの本家は大阪の交野の、もう御存じの方も多いと思いますが造り酒屋でございますけど、なかなかおいしいお酒を出しておりますので、今度国際的な賞も取りましたので、それは何の
関係もありませんが、その大阪の交野、枚方という辺りは、
松川さん御存じだと思いますけど、松下のファミリー、松下に勤めている役員の方とかそういう方が多いものですから、うちの大門家との交流というほどじゃないんですけど、知っている方
かなりいまして、松下の経営というのはうちのおやじのときからよく聞いていて、私も会ったことあるんですよね。
そういう経営というのは、まさに
従業員を大事にしてきた、まあいろいろありますけれど、今に比べたらかも分かりませんけれど、随分働く人を大事にしてきて、二〇〇〇年に電機リストラがばあっと広がったときも松下は
最後までなかなか、
従業員を大事にすると、やらなかったんですよね。ところが、その後、一気に松下もリストラをやり始めて、むしろ偽装請負とか大変な問題を引き起こすということになったわけであります。
その松下が今どうかとか、あ
るいはソニーが今どうかと思うと、本当に
企業そのものとして、かつてのような発展ないわけですよね。しかし、その根底にこういう問題があるんじゃないかと、人を大事にしない経営があるんではないかというふうに思います。
分かりやすく言うと、ROEという物差しが出てまいりまして、自己資本利益率ですね。分母が
資産とか資本、分子が利益ですよね。このROEが高いほど
企業価値が高まって株価が上がるということで、それが追求されてきているわけでありまして、その中で、人はできるだけ減らして利益を生むと、そうするとその
会社の株価が上がると。これは、全てROEという変な物差しがずっと経営を支配してきている中で起きていることだというふうに思います。
研究開発減税というのがこの間
議論になりましたけれど、あれも長期
投資ですよね。結果的にどうなるか分からない部分あるようなですね。そういうものに
投資をするならば配当しろ配当しろ、短期的な利益を追求しろというようなことが背景にあるんで、研究開発というのはほっとくと余り伸びないんで、インセンティブを与えるためにああいう減税をやると。
つまり、
企業経営がおかしくなっているのを元に戻すために減税をやって、
国民の税金を使ってインセンティブ与えなきゃいけなくなっているというような、そういう変な面もこのROE物差しだと起きたりするわけでありますし、長時間労働もそうですね。できるだけ人が少ない中で利益を上げようとするから長時間労働になると。
今いろんなこと起きていますけれど、根源は、経営の在り方のところに大本はあるのかなというふうに思うわけでありまして、いわゆる、何というのかな、株価資本主義というんでしょうか、
株主資本主義というんでしょうか、そういうものがいろんなことをゆがめているんじゃないかなというふうに思うわけでありまして、この間のいろんな
経済議論の根底にあるんじゃないかと思っているところでございます。
麻生大臣は経営者のお一人として、こういう
日本の今の経営について、あ
るいは資本主義の在り方そのものなんですけれど、いかが思われるか、税制の
議論のまとめとしてお聞きしたいというふうに思います。