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参考人(
田村秀君) ただいま御紹介いただきました
新潟大学の
田村でございます。
本日は、このような場をいただきまして誠にありがとうございます。
私の方からは、余り高尚な話というか、かなり砕けた話をさせていただこうと思っております。一応
研究者ではありますが、かなりいろんな実践的なことをやっておりまして、そういう中で、
地域の
活性化ということについて私なりの考えも
お話をさせていただければというふうに思っております。(
資料映写)
ここに肩書が何か羅列しておりまして、
大学で教える傍ら、後ほど
お話をしますが、
地方創生の
関係で群馬県のみなかみ町の方に行っております。そして、ここには(予定)と書いておりますけど、実は、昨日やっと立ち上がりましたこういう
食文化、こちらの
関係をやっております。要は、食べ物で
地域を元気にしたいということをずっとやっておりまして、その
具体例を
お話をさせていただきたいというふうに思っております。
このような目次でありまして、ちょっと簡単に私の紹介だけをさせていただきますと、役人やっていたんですが、霞が関ではなかなか私、落第生といいますか、
研究の方が面白いということで、もう
大学の方に十七年勤めております。その
関係で、
地方自治をやっておるんですが、どちらかというと、あちこち行きながらおいしいものを食べると。
先生方の名刺いただきましたら、ああ、ここにはこういうのがありますねと大抵分かるんですが、一応
大学のマネジメントもやっておりましたし、いろんなところへ行っております。本も書いたりということで、かなり
やじ馬精神が旺盛な方かなというふうなことであります。
格差の問題でありますが、これについては、これまでもいろんな本で書かせていただきましたし、今回、
先生方に事前に抜粋を送らせていただきました。そこにも書きましたとおり、かなり
極端化している。いわゆるこの
極端化というのは
温暖化でよく使われる
言葉ですが、勝ち組、負け組というものがかなり広がっている、
しかも、その
格差というものが相当大きくなってしまっているということはやはり問題だろうと。私がおります新潟でも様々な
格差が顕在化しておりますし、やはり特に町村部であります。新潟県の町村会のアドバイザーもしておりますが、やはり町村長さんとか議員の
方々から聞きますと、
都市部以上に様々な問題が深刻化している。この点につきましては、先ほど
小田切先生からもるるあったかというふうに思います。
次の話も釈迦に説法ではありますが、よく
地方自治の世界で補完性の原理とか言われますが、個人ができることはまず個人がやっていく
しかない、個人ができないことはコミュニティーだと。そしてまた、
市町村はその町づくりであり、特に新潟におりまして感じますのは、
都道府県の
役割というのは、より小さな市とか町村をサポートする、そういうところに特化をしてほしいなというふうに思っております。さらに、国に関しましては、やはり地方の自主性を損なわないような形で地方の
支援をすべきではないかと。もちろん、地方分権というのを進めるべきでありますが、その一方で、やはり国の
支援というのも地方にいると大変必要性を感じるところであります。
ここまでは総論でありまして、私が個人的にやっております二つの
仕事について少し御紹介をさせていただきたいというふうに思います。
まず、
地方創生人材
支援制度であります。これは国の方、内閣府の方で立ち上げまして、様々な専門家を人口五万人以下のところに派遣するという制度であります。私自身も、一期生に手を挙げまして派遣されたということであります。はっきり言いまして、
大学の先生というのは非常に気楽な商売でありまして、こんなことを言っては怒られちゃうんですが、かなり自由なこともできますし、好き勝手なことを言っても楽なんですが、地方の厳しい現実を見ておりますと、やはり何かしなければという気持ちになったわけでありまして、特段この群馬県みなかみ町にはゆかりもないんですが、派遣されたと。それで、今年になりまして三年目ですが、国の制度は二年で終わることになっておりますが、みなかみの方で是非ということで、三年目も派遣されております。
この制度につきましては、どちらかというと七割ぐらいがいわゆる霞が関の官僚、若い人
たちが派遣されておりますが、
大学の
研究者、シンクタンクの人な
ども派遣されていまして、実際非常に良かったことといいましては、派遣者同士がいろんな情報交換をする場ができております。やはり
地域の
課題というのは様々共通することもありますので、そういう中で交流が活発になり、これは元々
日本版シティーマネジャー制度という形でできたものでありますが、現在、その有志で
日本シティーマネジャー協会というものを立ち上げようと、このような
動きも出ております。
それで、みなかみ町でありますが、一番象徴的なものとしては、この写真でありますけれ
ども、アウトドアスポーツが大変盛んなところでございます。群馬県の北部でありまして、温泉が十八ございます。人口が二万弱でありますが、ほかの自治体同様、非常に人口減が厳しくなっております。
こちらの方は、内閣府の方で提出した実績の資料をちょっと加工したものであります。人口減もそうですし、また
全国の観光地、バブルのときは大変良かったわけでありますが、その後非常に厳しくなっている。そういう中で、観光の再生ですとか
農業の再生ですとか、そういう形で総合戦略というものを作りまして、具体的にはDMO、こちらの方も今取り組んでおります。また、先ほど来アウトドアということで、やはり健康づくり、それにつなげていこうということで、ヘルスツーリズムの推進ですとか、様々な活動をしております。
細かいところは省略いたしますが、こういう形で、一応
大学の方も勤務しておりますが、週に一、二回、みなかみの方でまさに
地方創生の
仕事をさせていただいていると。そういう中でいろいろと感じるところがありますので、それについてまたいろいろ
お話をさせていただきたいというふうに思っております。
そこで、
幾つか気付いたことがございます。町づくりとか
地域活性化でよそ者の視点ということが大事だということがよく言われますが、みなかみに行きましてもそれが非常に役に立ったといいますか、やはり
地元の人は、非常に
地元のことをよく分かっておりますが、意外と欠けている視点というのもございます。やはり外の視点をどんどん取り入れるということが、
地域の
活性化につながるのかなと。
実は、これは一昨年でありますが、北陸新幹線が開通したと。当時、上越新幹線沿い、新潟県とか群馬県とかは、新幹線の数が減ってしまうんじゃないかとか、あるいはミニ新幹線になってしまうんじゃないかとか、いろんな声がありましたけれ
ども、結果的には新幹線の数はほとんど減らなかったんですが、ちょっと新潟辺りですと所要時間が長くなったりということがあったわけですが、実は、みなかみ町というのは、新幹線、上毛高原の駅があるんですが、そこが結果的に近くなった。
しかしながら、
地元の人、観光業界の方がたくさんいらっしゃるんですが、ほとんど気付いていなかったということに、たまたま時刻表とか調べているうちに分かりまして、
しかも平均で十一分も短縮された。これ、残念ながらJRも余り積極的にPRしていなくて、やはりこういうところはしっかり統一したキャッチフレーズでPRすべきじゃないかということで
意見をさせていただきまして、改善が加えられたということであります。
そのほか、これは自治体間で今様々な連携というのが起きていますが、さいたま市が新幹線の駅のフォーラムを二〇一五年からやっているんですが、昨年、みなかみ町も、是非これは私が参加すべきではないかということで、参加してもらったものであります。
実際、町とか小さい市の新幹線の駅もあるんですが、なかなか、さいたま市とか金沢とかそういうところが、そうそうたるメンバーが入っている中で、小さいところはどうなのかなというのがあったようですけれ
ども、規模の
関係ではない、やはり意欲であろうということで、こういう
取組も進めているということであります。
また、
地方創生といいますか
地域活性化というのはやはり連携が必要だろうということで、実際、みなかみ町、県域を越えた広域観光圏にも入っておりますし、また、
市町村の枠を超えた一部事務組合の高校もありますが、こういうところの
活性化な
どもやっております。
これも後ほ
どもちょっと
お話をしようと思いますが、やはり
活性化には高校生、場合によっては小学生、中学生の力というのが非常に今注目を集めておりまして、実際頑張っています。そういうところもみなかみでもやっているということでありまして、まさにコラボレーションの時代だろうということであります。
それと、もう
一つの方でありますが、食による町づくり。
やはり
地域の魅力というのは
一言で何となるかということであります。私なりに考えていますのは御当地、御当地の良さ、そういうものに光を当てることが
地域活性化につながるというふうに考えておりまして、実は、大きなイベントですが、B—1グランプリというものがありまして、こちらの特別審査員などを十年ほど務めております。
どうもこのイベントについてはまだ誤解があるようなんですが、これ、実は食のイベントじゃございません。いわゆる御当地グルメを通した町おこしの祭典ということでありまして、その御当地の魅力を食だけでなく様々な形でイベント会場などでPRしているということであります。
皆さん方のそれぞれの御出身のところでも様々な御当地グルメがあると思います、ギョーザだったり焼きそばだったり焼き鳥だったりと。様々なルーツありますけれ
ども、そういう中でも最近ちょっと新しいものが、開発型が乱立している感じもありますが、むしろ元々ある
地元に愛されたものを大事にすべきである、またそういうことが
地域の
活性化につながるんじゃないかということでこの活動をしております。
まさに食というものは古今東西、観光、交流のキラーコンテンツでありまして、非常にこのB—1の活動も活発化しております。
例えば、これは北九州で行われたときの前夜祭でありますが、各団体のまさに町おこしを自ら実践している人
たちの集まりであります。そしてまた、こちらの方は、これは豊川の会場でした。本当に多くの人が駆け付けます。まさに食を通じた町おこしということで、かなり定着してきたのかなという感じがいたします。
そして、これに、特にこの写真に注目していただきたいんですが、これ青森県の十和田市の団体、バラ焼きという肉料理があるんですが、これを生かした町おこしをやっている団体であります。その団体の活動がゴールドグランプリを取ったんですが、このときは
地元の高校生がまさに食づくりとか
地元のPRとか大活躍をされました。そして、ここにはないんですが、その翌年に十和田市で実は次の大会があったんですが、今度は小学生とか中学生が来た人
たちの案内をしたりごみを集めたりということで、まさにおもてなしをしております。
まさに
地域の
活性化、
地方創生というのは若い人
たちがどれだけ
地元を好きになって
地元の発信をしていくか、それが恐らくは、仮に将来
東京に出てもまた
地元に帰ってくるきっかけになるのではないかということで、このB—1グランプリの活動というのは非常に定着してきたわけであります。
しかしながら、それだけで、要はイベントをやるだけで本当にいいんだろうかと、いろいろ壁にも突き当たっているところもございます。こういう御当地グルメというのはまさに
日本の
食文化であると、これを活用することが
地方創生に少なからずつながるのではないかというふうに
関係者の中でいろんな議論があったわけであります。
そういう中で、こちらのB—1グランプリの
関係者、旅行
関係ですとJTBさんとか、マスコミの
関係者など、これがいろいろと集まりまして一般社団法人
日本食文化観光推進機構、大変、昨日できたまさにほやほやでありまして、これからまさに活動していくわけですが、
地域食文化の発掘
調査とか情報収集とかブランディング
支援とか人材育成、そしてまた、
食文化に我々が関心を持っていますのは単に
日本人だけではないと、やはり海外の人に、インバウンドがこれだけ盛り上がっている中で、もっと
日本の各地にある様々な
食文化というものを外国人の人にも知ってもらいたいというようなことを考えておりまして、本来、私のような者が理事長になるのはちょっとどうかなと思ったんですが、ちょっと諸般の事情がありまして、初代の理事長になったということであります。
どのようなことを考えているか、この概念でありますけど、まさに人口減少の中で、やはり
地域に住んでいる人が
地元を好きになる、その
一つのきっかけと。やはり食というものは、一種のソウルフードというものは、やはりこれは長い年月を掛けてつくられたものでありますし、またそういうものがいろんな発信の
可能性があるだろうと。それについていろんな団体、メディアとか旅行会社とか食品メーカーとか連携しまして、
食文化を生かした産業振興とか、
食文化を生かした観光振興、そしてブランディングとか海外への発信ということで、なかなかそう簡単ではないかもしれませんが、やっぱり食を通じて
若者の
定住人口の
増加ですとか
地方創生の実現ということを考えているということであります。
そもそも、
食文化と言ってまいりましたけれ
ども、
皆さん方御存じのように、和食がユネスコ遺産になりましたけれ
ども、もちろん高級なものもありますけれ
ども、ここで言っている
食文化というのはむしろラーメンですとかギョーザですとかもっと庶民的なもの、もちろん高いものも否定はしませんが、そういうものを、
地域に根差している、
地域のまさに文化である。こちらの細かいこと書いてありますが、御当地グルメは景観であると、まさに食堂とかの風景ですとか様々な
地域の資源とつながってということであります。
そこにも書いておりますが、
食文化観光とは、
地域食文化を体験することを目的にその土地を訪れ、
地域独特の食を味わい、その食の背景にある
地域ストーリーを知ることにより、その
地域が本来持つ価値を体感する旅行の形態であるということで、こういうことを今後進めていきたいというふうに考えております。
ここにも書いておりますけれ
ども、食材だったり郷土料理だったり御当地グルメ、いろんな言い方されます。私も、当初はB級グルメという言い方で本も書いたりもしましたが、ちょっと、B級と余り言ってしまうと、何か、じゃA級はどうなのかとかいろいろありまして、むしろ、そういうことではなくて、
地域に根差した、御当地のもの、これ実は食だけじゃないと思います。御当地の宝をいかに磨いてそれを発信していくか、これが
活性化につながるんじゃないかということで、現在、今後の展開を図るべく、様々
取組を進めようということであります。
ということで、私の方からは余りアカデミックな話でもありませんで、みなかみ町での活動、そしてまた
食文化観光ということについての活動の一端を御紹介させていただきました。
地方創生ということで
言葉は使っておりますけれ
ども、昨今ではもうこれは
地方創生は失敗だと言い切るような有識者もいらっしゃいますけれ
ども、やはり今やらずしていつやるんだろうかということ、そしてまた、
地域の
活性化というのはやはり競争していくこと、いい
意味での競争をしていくことじゃないと達成できないだろうと。みんなで手をつないでというわけにはなかなかいかないのかなというふうに思います。それはまさに、競争するということと、一方で、
地域が、例えば観光であれば、先ほどの雪国観光圏じゃないですが、周辺の県と連携してということ、競争と協調、このコラボレーションのバランスなんだろうと思います。
また、
地方創生の中で、産官学金労言と言われまして、まさに
地域の総力戦、いろんな
方々、いろんなプレーヤー、そういう人
たちが全て参加して
地方創生、
地域活性化に取り組むべきだと思います。ですから、批判している暇というのはまずないんだと思います。まさに
地域で自分ができることに取り組むべきではないかというふうに思います。
また、実はB—1グランプリの各団体を見ますと、結構地方議員さんがやられていたり、あるいはそういう町おこしの団体から議員さんになったりということで、議員さん
たちもプレーヤーになっている方結構いらっしゃいます。願わくば、地方議員、そしてまた国会議員の
皆さん方もキープレーヤーとして頑張っていただきたいと。偉そうなことを言いましたけれ
ども、そういう
方々が実際各市や町にいらっしゃいます。我々もそういう
方々と連携して、まさに
食文化で
地域を元気にしていきたいというふうに思っております。
雑駁になりましたが、以上で私の説明を終わらせていただきます。