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2017-04-26 第193回国会 参議院 国際経済・外交に関する調査会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十九年四月二十六日(水曜日)    午後二時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         鴻池 祥肇君     理 事                 酒井 庸行君                 柘植 芳文君                 宮本 周司君                 藤田 幸久君                佐々木さやか君                 武田 良介君                 東   徹君     委 員                 今井絵理子君                 小野田紀美君                 尾辻 秀久君                 大野 泰正君                 中山 恭子君                 丸山 和也君                 三木  亨君                 宮島 喜文君                 吉川ゆうみ君                 大塚 耕平君                 古賀 之士君                 杉尾 秀哉君                 真山 勇一君                 高瀬 弘美君                 横山 信一君                 木戸口英司君                 伊波 洋一君    事務局側        第一特別調査室        長        松井 一彦君    参考人        静岡県立大学国        際関係学部教授  小針  進君        関西大学経済学        部教授北朝鮮        経済論専攻)   李  英和君        南山大学総合政        策学部教授    平岩 俊司君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国際経済外交に関する調査  (「アジア太平洋における平和の実現地域協  力及び日本外交在り方」のうち、信頼醸成と  永続的平和の実現に向けた取組課題日韓、  日朝関係)について)     ─────────────
  2. 鴻池祥肇

    ○会長(鴻池祥肇君) ただいまから国際経済外交に関する調査会を開会いたします。  国際経済外交に関する調査を議題といたします。  本日は、「アジア太平洋における平和の実現地域協力及び日本外交在り方」のうち、「信頼醸成と永続的平和の実現に向けた取組課題」に関し、「日韓日朝関係」について参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。  本日は、静岡県立大学国際関係学部教授小針進参考人関西大学経済学部教授北朝鮮経済論専攻李英和参考人及び南山大学総合政策学部教授平岩俊司参考人に御出席をいただいております。  この際、一言御挨拶申し上げます。  本日は、お三方の先生方には、参考人として、御多用の中、御出席をいただき、誠にありがとうございます。  忌憚のない御意見を頂戴し、我々の調査の進展の一環にさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。ありがとうございます。  本日の議事の進め方でございますけれども、まず、小針参考人李参考人平岩参考人の順でお一人二十分程度意見をお述べいただき、午後五時頃までを目途に質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いいたします。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、小針参考人から御意見をお述べいただきます。小針参考人
  3. 小針進

    参考人小針進君) どうも、こんにちは。  本日、国会の方でほかの委員会調査会等止まっているということで、これだけ開くことになって非常に光栄に感じております。あと、本日はお招きいただきまして、ありがとうございます。  私は小針と申しますけれども、主に日韓関係についてお話をさせていただきたいと思います。  時間もありませんので、なるべくはしょりながら行きたいと思います。今お手元の方にパワーポイントのものがちょっとあると思うんですけれども、それを見ながらお願いしたいと思います。  私の方で今日お話ししたいのは、今の日韓関係、必ずしも良くないわけですが、私が研究しているのは、主に日本人韓国人お互いどう眺め合っているかということに非常に関心があります。あと韓国人の意識。今日はその辺のお話データをちょっと幾つか紹介することと、あと、今どういうことが日韓関係変化が起こっているのか。それからあと、最近の情勢についても若干触れたいと思っております。最後に、どうすればいろいろ問題がうまくいく手掛かりがあるのか、その辺についても触れたいと考えています。  まず、パワーポイントの紙の一枚目を見ていただきたいんですけれども、上段御覧になりますと、これは、この間、日韓がどんなふうにお互い眺め合ってきたということを四五年から最近までずっとちょっと書いてみました。これ私の意見じゃなくて、お互いがこう見ているんじゃないかという大きい枠なんですが、一番下にあるのは、こういう中で今どのぐらい日韓間で往来数があるかというと、御覧のとおり、韓国人が五百万人ぐらい、日本人が二百万人ぐらい相手の国に行っているという状況です。  ここで分かることは、韓国人日本に来る数の方が二〇一三年、一四年を境にして上回ったということですね。これが一つポイントです。日本人が少なくなっている。これは、恐らく反日的な情緒があるところに行きたくないというような心理なんかもあると思うんですが、次のページをちょっと開けてください。  二ページ目、これはお互いがどの程度親近感を持っているか。  上段日本人韓国観が分かる内閣府の世論調査の結果です。これもお分かりのとおり、二〇一一年というのがもう過去最高の日本人親近感韓国に対して持っていたんですけれども、これもう半分ぐらいに翌年下がる。これは二〇一二年に当時の李明博大統領竹島に上陸した、これが非常に大きい。さらに、二〇一四年も非常に低い数字が出ていますけれども、朴槿恵大統領のいわゆる告げ口外交というふうに称されるようなことが大分あるんだと思うんですね。  一方、下段を見ていただくと、これは韓国人日本観で、概して好感持っているという人は三割ぐらい。この三割ぐらいというのが、十人に三人ですから多いとも少ないとも解釈は可能なんですが、二〇一五年、非常に低い数字が出ています。  次のページをめくってください。  ただし、どの場合もそうなんですけれども、かなり層を見ないと分からないことがあったり、あと調査でも、ワーディングでありまして、例えば、今、日本に好感ありという人は先ほどのを見ていただいたように一七%しかいないんですが、ワーディング日本人にと変えると四〇%ぐらい好感持っていると答えるデータが出ていますし、あるいは若い人、十九歳—二十九歳辺りだと過半数が日本人に好感持っているという数字も出ます。ただ、日本という国家の名前になると低く出る。こんな傾向があります。  今のページの一番下なんですけど、これは先月のデータなんですけれども、十点満点で採点する周辺国点数化で、アメリカは伝統的に十点満点で五・七点と高い数字が出るんですけれども、中国が四点ぐらいで高く推移してきたんですが、THAADの配置をめぐる中国側からのいろいろな影響があり、非常に数値が今落ちています。先月の調査だと、日本が三・三点なんですが、これよりも低い数字が出たということで韓国メディア等では言われています。一番下は北朝鮮に対する感情です。  次のページを開けてください。  じゃ、我々、我が国の日本人は例えば何か特徴があるかというと、例えば、四ページ上段のこれパワーポイントになるんですけれども、これで、興味深いことに、最近韓国に行く日本人女性の方が多いということですね。一九八六年ぐらいですと、飛行機乗っていると、百人乗っていれば十四人ぐらいしか女性がいなかったところ、今はもう六十人近く女性だということで、この辺も大きな変化なんだと思います。  今までデータ的なことをちょっとざっとおさらい、お話をしましたが、次に、質的にどういうことが言えるのかまとめたものが四ページ下段でございます。  最近の情勢は、やはりネットを中心に非常に嫌韓ムードネットに限らず、慰安婦をめぐる日韓合意が二〇一五年十二月にあって、これである程度感情悪化というのは下げ止まりかと思ったんですけれども、御存じのとおり、昨年の暮れ、今年の初めにかけて、慰安婦像の問題でまた日本人をかなり刺激している問題が起こっているということです。  これは、例えばこの辺のことは、一般の生活でいうと、さっきも言ったように韓国に行く人が少なくなっている、それからあと交流事業なんかもやはり幾つ停滞をしています。商品なんかでも、例えば韓国のマッコリとか焼酎というものが大分減っているんですが、ただしビールは増えています。これはなぜかというと、プライベートブランド、つまり韓国製と分からないようなものは、韓国ビールは結構増えているんですが。  その一方で、韓流と言われるもの、韓国のドラマだとか歌だとか、それはファンファンでかなり固定した人がいるという、こういう現象ですね。  これが今の眺めだと思います。  次のページ開けていただきまして、五ページ上段なんですが、むしろこちらの方が皆さん御関心かもしれませんけれども、韓国日本への眺めは、日本における韓国に対する眺めと比べるとそれほど悪化はしていません。ただし、元々日本に対しての習慣的な懐疑主義というのでしょうか、何かこうちょっと、日本は何かやるんじゃないかみたいな感情を持っているのは余りこれは変わっていなくて、ですから日本が非常に今韓国に対していら立ちがあるほどの変化はないという感じなんですね。  あと、ここも日本人のと違うのは、対日感情、反日的なものがあったとしても、余り生活者としての行動には影響がない。例えば、日本に来る人の数というのは非常に増えております。そこに書いているとおり、二〇一五年は四五%増えている。それから、お酒なんというのも、そこに書いてあるとおり、日本酒日本製ビールはすごく今人気がある。それからあと韓国の若者が日本で就職することが非常に増えていますね。これは、アベノミクスで非常に雇用が増えているというような報道韓国でなされていて、その影響はかなりある。  ただ、三点目に書いたんですけれども、日韓関係非常に問題出てくるのは、韓国メディアの問題が非常に僕は大きいのではないかと思います。特に、何かファクトを伝達するというよりも、裁くことに何か熱心なような感じがします。特に、日本韓国に対する今の悪化した感情に関して若干無頓着な感じがするなと思います。そんなような状況です。  今のそのページ下段へ行きますと、この日韓の七十二年、お互いのやっぱり向き合い方をちょっと整理するとそのように、五段階ぐらいに分けてみたんですけれども、今は、発展した時期があったんですが、その後の停滞期ではないかと。その停滞というのは、次のページ開けていただきたいんですけれども、六ページなんですが、根本的なその構造的な変化があるのではないかと思います。  例えば、韓国朴槿恵政権日本安倍政権だということで、一時的な悪化というよりも、長い目で見ると今構造変化が起こっているんじゃないか。  一番目、そこに書きましたけれども、日韓間でいろいろな各界パイプが先細りしている。例えば政治においても、かつてであれば、例えば日韓間で問題があれば、韓国から金鍾泌首相という人が来て中曽根さんとお話をしてうまくいろいろ乗り切るというようなことがあったんですが、そういうパイプがちょっと細まっているんじゃないか。これは、いろいろな業界というか、各界でそういうことはあるんじゃないか。  二番目は、韓国における日本の圧倒的な重要性、例えば経済韓国経済に占める日本の比重なんかはどんどんどんどんやっぱり低まっています。輸出相手国とすると、かつては日本が一位でしたけれども、今五位、六位ぐらいということで、あと日本からの技術移転についてもそれほどもう期待していないというか、こういうことがある。  あと、三点目なんですけれども、これは日本人感情と関わることなんですが、韓国社会で非常に道徳志向的なメンタリティー、これちょっと後でお話ししますけれども、ファクトというよりもちょっと道徳的志向で物事を考えちゃうようなところがあるのではないか。特に、圧力的な市民団体動きが非常に政治影響を及ぼしていて、それが日韓関係にもある。あと韓国社会自身が、相対的剥奪感、誰かが得しているから自分が損している、そういう論理の中で幾つか、朴槿恵さんの最近の罷免というのもこの延長線上で考えるべきなんですけれども、日韓関係にもこういうことがちょっと影響しているのではないかと思います。  四点目、日本においては若干閉塞的な要素がある。あるいは、ヘイトスピーチというふうに呼ばれるものがある。  それからあと、五番目なんですけれども、韓国における司法の判断というのが非常に日本から見るとちょっとおかしい、あるいは政治のことを余り考えない判決が出ている。これはある意味では独立的なのではあるんですけれども、非常に分かりにくい。国民道徳的志向だとか感情にちょっと影響されているんじゃないか。一方で、日本の方では、韓国外交面で特に特別扱いするというような要素がなくなってきていると思います。特に、李明博大統領竹島訪問以降、そういう構造があるように思います。  それからあとグローバル化の問題。  それから、中国に対しての関係者当局者姿勢がかなり異なってきた。今、THAADの問題で状況はまた変わってきているんですけれども、この辺も日韓間の一つやっぱり問題点として出てきているのではないかと思います。  次のページを開けてください。  先ほど市民団体動きなんというのもちょっとお話をしたんですが、今、例えば韓国の方で政府が対日姿勢を考慮するときに、どんなものかなという仮説、どういうメカニズムなのかという仮説なんですが、例えば、今そこに出ているEという政府の対日姿勢をつくるときには、恐らくメディアがいろいろ対日論調Aに出ているような報道をするんですけれども、それは国民世論が非常にアンチ日本的な情緒があるので、これを事前にくみ上げてちょっとどうかなと思うような報道ぶりをして、それで政府もある程度影響を受けて、国民から弱腰だとか言われて出てきているんじゃないかなという、これが幾つか説明ができることなんですが、最近はこれに市民団体影響が非常に大きいように思います。例えば、慰安婦をめぐる問題なんかも市民団体影響とかがすごくあるように思うんですけれども、こういう構図の中で韓国の対日政策あるいは対日世論ってつくられているんじゃないかと思うんですが。  そのときの参考なんですけれども、今度七ページ下段ですが、日韓、特にさっき言った司法の問題でいうと、日本というのは非常に法実証主義的なメンタリティー、逆に言うと遵法じゃないものに関しての生理的嫌悪があるんですけれども、韓国はむしろ反道徳的な行為に対して非常に生理的な嫌悪があると。  ですから、日韓間で歴史の問題がもう制度的には解決しているのにもかかわらず韓国からいろいろお話が出てくるというのは、そもそも道徳的に悪いことなんですからもう少し正すべきだ、歴史も道徳的に正すべきだというようなことが前面に出てきているんじゃないか。これはそこに書いている京都大学のある先生が言っている図式なんですけれども、そんなふうにこれが大分作用しているんじゃないかなと思います。  次のページ、八ページ開けてください。  こちらの方はちょっと最近のお話なんですが、したがって、朴槿恵大統領をめぐる問題というのも、我々日本人から見るとかなり理解しにくいところがあると思います。特に、先ほど相対的剥奪感という話をしたんですが、朴槿恵大統領がいろいろ権力を私物化して得をしている崔順実さんというお友達がいると。自分たちが今非常に、大学出ても就職できない、苦しいというのはこういう得をしている人がいるからだという、そういう認識ですね。それをしかも道徳的な志向で非常に切るということで、朴槿恵さん、許せないという部分があるのではないかと思います。  そうしますと、この間の日韓関係、例えば先ほどお話が出た日韓合意に関しても、朴槿恵政権下で行われたあらゆる政策に対して非常に正統性が問われるということだと思うんですね。そこで捉えているので、非常に批判が韓国の中で出てしまう。  今ちょうど大統領選挙選挙戦真っ最中で、昨日もテレビ討論とか行われているんですけれども、あらゆる、対日政策だけじゃなくて、経済にしろ北朝鮮政策にしろ、何でもこういった側面朴槿恵政権のやった政策について論じているようなところがありました。例えば、今有力になっているのは文在寅さん、安哲秀さんという朴槿恵さんから一番距離のある人たちなんですが、この人たち朴槿恵さんの側にいた候補に言うときには、もうそもそもあなたたちにはいろいろ論じる資格がないんだと、そういう言い方をしてしまう感じなんですね。  その中で、今、日本に関する実は問題というのは、それほど争点になっていません。テレビ討論会、何回か見ても、対日問題が議論にほとんどなっていません。ただ、文在寅さんという人は日韓合意に関して再交渉を度々口にしています。安さんもそれをよしとするわけではないんですが、文さんよりもちょっと弱い感じなんですけれども、安さんの場合は、例えば日本のある大学でちょっと研究員やっていたとか、尊敬する人の中に日本の学者の名前が入っていたりとかしているので、ちょっと対日観が違うのかもしれません、ちょっとそれもよく分かりませんけれども。  あと、今韓国の方は、例えば文陣営の方も、日韓関係どうするかというときにやっぱりツートラックというような言い方をしている人がいまして、これは朴槿恵政権前半というのは、初期の頃はいわゆる告げ口外交ということで非常に日本を責めたわけなんですが、後半はツートラック、つまり歴史問題と外交は区分するというような戦略を取って、恐らくその前半の失敗から後半のツートラックで維持するんじゃないかというふうに言われております。  あと、八ページの下なんですが、我々今の選挙を見るときに、単純に日本に近い、日本から遠いということだけで見るんではなくて、これ、五年前の実は日本テレビの画面をちょっと写真で撮ったんですけれども、当時はこのような図式を描いていたんですね。でも、実際はそういうことではなくて、かなり朴槿恵さんというのはいわゆる日本に対しては厳しくやっていった。したがって、対日観がどうかというよりも、朴槿恵さんが問題だったのは国内での対処能力がなかったということだと思うんですね。  安倍政権の場合は、今いろいろな問題があるのかもしれません、一強というふうによく言われますが、国内での対処能力、説得能力あるわけですけれども、朴槿恵さんはそれがなかったということが非常にちょっと大きいのではないかと思います。特に、今は韓国はどちらかというと左派的な情緒が支配していますので、朴槿恵さんが説得するのはなかなか難しかったのではないかと思います。  次のページ開けてください。  九ページ上段ですけれども、これはちょっと時間がないのではしょりますが、韓国のやってきた日本に対する姿勢というのは、どちらかというと同一化圧力みたいなことを取ってきたので、日本が同じようなことをやっていいかどうか、これはまた別の問題じゃないかと思います。  特に、相手国にはやっぱり好意的なファクターというのがあって、今この九ページの一番下は、ただ単純に日本をどう思うか、アメリカをどう思うかというふうに聞くんじゃなくて、例えば誠実という面でいうとそれぞれどう感じますかというと、韓国人の五五%の人が日本は誠実だと答えていて、ただ、温かみということで少ないとかもあって、したがって、いろいろな好意的なファクターというのがあるんだということをやっぱり知っておく必要があるのではないかと思います。  次の十ページ開けてください。  ここでもちょっと一個データを紹介したいんですが、よくパブリックディプロマシーという言い方をしますけれども、その中でも二〇〇七年、前の安倍政権のときからJENESYSというプログラムをやっていると思うんですね。アジアからたくさん青少年を招いていて、民主党政権下でもこれがずっと持続されて今の安倍政権でもまだやっていますが、ここで行っている人たちというのはかなりやっぱり日本に対しての理解者になっています。  十ページの一番下のものは、訪日全くない人と観光旅行等であってもこのプログラムに参加していない人と実際に参加した人をちょっといろいろ調べたんですが、これ、我々で、研究者の仲間でやったんですけれども、やっぱり行った人というのはかなりいい日本観を持っている。  最後ページ、十一ページ見ていただきたいんですけれども、例えば、東日本大震災の前に日本に来た韓国人にこれを聞くと、九〇%ぐらいの人が日本の被害に共感して胸が痛かったと答えています。それ以外の人というのはその数値がやっぱり低くなっていて、したがって、そのJENESYSという日本政府がやっているプログラム、これはある程度やっぱり効果があるというふうに言っていいんじゃないかと思います。  最後あと一、二分ですが、どうすればこれからいいのか幾つかちょっとヒントなんですけれども、一つは、この間の日韓間のモデルというのは、これ成功した二国間関係なのか、あるいは失敗した二国間関係なのかというようなことをやっぱり一回問うた方がいいと思うんですね。  確かに、周辺国では韓国が所得が上がって安定して安全保障上プラスになっている部分もあれば、それは成功なんですけれども、歴史問題ということでいうとなかなかずっと引きずっている、これは失敗しているのかもしれません。ただし、引っ越しも断交もやっぱり事実上八百万人ぐらいの人が往来しているからできない隣国だということで、これは戦略的利益を共有しているというふうに総理の施政方針演説でも言及しているんですけれども、この意味はやっぱりある程度また考える必要があると同時に、日本韓国、体制は同じは同じなんですが、ただ、大統領制議院内閣制立憲君主制共和制というふうに、かなり違う側面もあるということを知るべきです。  それからあと、ウイン・ウインの関係。例えば、お互い観光立国化したいと言っているわけなんですけれども、このときに、相手国がいないと観光立国はやっぱりなれないと思うんですね。それとか、あるいは日本企業というのも韓国でそれなりに黒字を出している、ジェトロのこれ調査なんですけれども。それから韓国においても、メディアなんかに出るのはかなり顕在的な日本への眺めなんですけれども、潜在的な日本への眺め、好意的な眺めというのもあるので、ここはやっぱりある程度大事にしなきゃいけない。  最後に、日韓共同宣言というのが二十年前に、来年で二十周年になって、出されたんですけれども、これ別刷りで皆様にお配りしていると思うんですけれども、これは当時の小渕政権自民党政権、それで韓国の方は金大中政権、どちらかというと進歩的、革新的な政権と言われていましたけれども、これ見るとかなりやっぱりいいことが書いてあります。最近の北朝鮮情勢なんか考えると、ここに出ている防衛協力だとか、あと相手国に対してかなり、日本に対しても、専守防衛でずっとやってきて、途上国支援してきて、平和と繁栄を築いてきたと、こう大統領は褒めているんですけれども、またこのようなもののリニューアルが、来年以降政治の世界で行っていただければなと思います。  時間になりましたので、駆け足ですけれども、以上です。どうもありがとうございました。
  4. 鴻池祥肇

    ○会長(鴻池祥肇君) ありがとうございました。  次に、李参考人から御意見をお述べいただきます。李参考人
  5. 李英和

    参考人(李英和君) 関西大学の李でございます。  私の方は、役割分担ということも考えまして、最近の北朝鮮情勢日本との関わりということに絞ってお話をさせていただこうと思います。  大体論点は三つでして、一つは、金正恩政権あるいは金正恩体制になってからの大量破壊兵器を中心とした軍事的な能力ということです。もう一つは、その金正恩政権、大量破壊兵器を有する金正恩政権の攻撃意思といいますか、脅威の度合いは能力掛ける意思だというふうに言われます。能力については簡単に触れさせていただいて、問題の必ずしもよく見えない意思の方について私の方の意見を述べさせていただいて、その上で、日本が取るべき、あるいは国際社会が北朝鮮に取るべき方策について私見を述べさせていただくというふうにさせていただきます。  限られた時間ですので、まず最初に結論部分から述べていきたいというふうに思います。  一応、北朝鮮の核実験を含めた、あるいはミサイルの発射を含めた危機は昨日で一応山が過ぎたかのように見えますけれども、これからも一山、二山、三山あるということは確実であります。いずれにせよ、トランプ政権、それに対して厳しく対応するということで、よく言われるフレーズですけれども、あらゆる選択肢がテーブルの上にあるというふうに言います。どのような選択肢、あらゆるという表現ですから、全ての選択肢を用意しているということでしょうけれども、私はその選択肢、どんなものを使ってでも、あるいはそれを総動員する形で、金正恩政権の核保有、核保有だけではなくて、生物化学兵器を含めた大量破壊兵器、大量殺りく兵器の廃棄を目標にして進まなければならない。その中で、まかり間違っても、一発たりとも、核兵器であれあるいは毒ガス兵器であれ、日本の地に着弾させるようなことがあってはならないと。  もちろん、そういうふうになれば大変な被害が日本に及ぶということは言うまでもないことですけれども、同時に私が強調したいのは、そのような事態になれば、後々、これからの将来、北朝鮮国民にとって大変な災いの種になるということ、そのことを通して日朝関係、あるいは北朝鮮はいずれなくなってしまって韓国に吸収されるものというふうに思っています、そういう意味では日韓関係。いずれにせよ、朝鮮半島と日本関係も、日本に一発でも大量破壊兵器が着弾するというような事態が起きれば、今後百年間、憎悪と敵意に満ちた不幸な関係は続くと。  今の日本課題、これまでの課題は、過去の不幸な歴史をきれいさっぱり清算する、未来志向関係を築くということで、これまでいろんなトラブルはありましたが双方努力を日韓両国続けてきたというふうに思います。ところが、今回の北朝鮮の危機、それどころでなくて、今後百年間をまた対立、反目の関係にしてしまうのかどうかの重大な岐路に立っているということで、どのような手段を用いても、どのような犠牲を払ってでも、韓国アメリカに対する攻撃はもちろんですけれども、日本に対する攻撃を防がなければならない。  アメリカのオバマ政権の末期、そしてトランプ政権の初期も代行を務めた国務省のラッセル次官補、北朝鮮が大量破壊兵器をアメリカに使う、そういう能力を持った瞬間に金正恩は即死するというふうに表現をしていました。恐らくそうなるんだと思います。もし金正恩党委員長が即死したとしても、北朝鮮国民北朝鮮の地で二千五百万人が生き残る、生き続けるということになると思います。北朝鮮国民、独裁政権の下で、過去七十年間、大変な塗炭の苦労をなめ、そして大飢饉等で大変な犠牲を払ってきました。金正恩後の北朝鮮にとって最大の課題は、北朝鮮経済と社会の復興と再建ということになります。  その北朝鮮経済と社会の復興、再建のために最も大きな力を発揮しなければならない、あるいはする能力のある国は、アメリカでも韓国でも中国でもなく、私は日本だというふうに思っています。援助も必要でしょう、そして、援助だけじゃなくて投資も必要だということです。その北朝鮮の再建にとって、ポスト金正恩の北朝鮮の再建にとって必要な日本との関係を根底から悪化させるというような事態は、北朝鮮国民のためにも何としても防ぐということが今求められているということです。  同時に、もう一点強調したいのは、レジュメに書きませんでしたけれども、今、トランプ政権とそれから習近平政権北朝鮮問題をめぐって急接近をし、ある種蜜月のようなムードを醸し出しています。両大国の協調、北朝鮮問題に対する協調関係北朝鮮の非核化あるいは北朝鮮危機の鎮静化、解決ということが成し遂げられれば結構なことなんですけれども、しかし、韓国そして日本から見れば、中国アメリカが蜜月で、密接な協力の下に、両大国が仕切る形で北朝鮮の問題あるいは朝鮮半島の問題を解決するということが今回起きれば、よく言われるG2体制、米中がアジアを共同で取り仕切る、支配するということに大きな道を開くということになります。  そうなりますと、韓国もそうですけれども日本もそうです、アジア外交、あるいはもっと狭く言っても北東アジアでの外交で主体的に能動的に動くという余地をなくしてしまうということですので、今回の北朝鮮危機については、いろいろ制約がありますけれども、核を持たない韓国日本ということも含めて制約がありますけれども、できる限りのコミットメントをすると。それが経済制裁であれ、あるいは軍事的な貢献であれ、あるいは政治的な貢献であれ、ありとあらゆる分野で、韓国日本ができることなら共同してこの北朝鮮の危機にコミットする、その下で解決していくということが強く求められている。  日本がこの問題で役割を果たせない、あるいは韓国が役割を果たせないということになりますと、これも見通せる期間、十年、二十年の間で、先ほど言いました、繰り返しになりますけれども、アジアで米中共同支配体制が確立してしまうということ、そのことが韓国日本にとって幸せな世界であるならいいですけれども、そうなるかどうかは予断を許さない、むしろ不安を感じるというのが実情かというふうに思います。  それでは本題の方に入っていきまして、脅威の度合いを測る変数、能力と意思、金正恩体制のということで進めていきたいと思いますけれども、能力については簡単に、時間もありませんので、レジュメを参照していただきながら要点だけを見ていきたいと思います。  北朝鮮が今問題になっているのは核、そして核ミサイル問題だということです。要するに核兵器、核保有ということなんですけれども、北朝鮮が実は核保有を始めた、あるいは核保有国としての黎明期はいつなのかということです。これが非常に重要でして、最近であるならまだ完成していないだろうということになりますし、二十年以上も前ならもうとっくに完成しているということになります。どちらなのかということですけれども、私の意見では、あるいは私が諸説ありますけれども最も信用できると思っている説は、北朝鮮の核開発、核兵器開発の黎明期は一九九一年だと、ちょうどソ連が崩壊した年だというふうに信じて疑いません。  ソ連の崩壊で北朝鮮経済的なパトロンを失って大変な危機を迎えましたけれども、同時に、核開発という意味でいいますと大変な好機、チャンスを迎えたと。ソ連が崩壊して核管理、核兵器の管理が甘くなったのに付け込んで、一九九一年にウクライナとそれからカザフスタンから合計三発のソ連製の核弾頭をひそかに入手をしたと。これを模型にして、あるいはモデルにして、標本にしながら、ソ連で失業した核開発の技術者を大量に高給で雇い入れて、北朝鮮で雇用をして核開発に邁進をしたということになります。  このことの意味は何かといいますと、北朝鮮の核技術は九一年当時のソ連の技術を出発点にしたのであって、一九四五年当時、広島、長崎の原爆の当時の技術水準からスタートして実験をし勉強しているというのではないということですよね。もう既に、九一年当時のソ連は世界中に核弾頭を飛ばせました。それほど小型化していましたけど、それをスタート、出発点にして核開発を行って今日に至っているということになりますと、もう二十五年以上ということになります。どれほど核開発が、核弾頭の開発が進んでいるかということは想像に難くない。  北朝鮮の九一年以降の目的は、小型弾頭の量産化と信頼性の向上であって、大型のものを小型にするということが課題ではなかったということですね。したがって、その後の核実験も信頼性を実証する、そしてその後の活動も核弾頭の量産を図るということです。  今何発持っているのか、その結果と。いろいろ説がありますけれども、大体私は二十発と、小型核弾頭は二十発。まだアメリカには、運搬手段ができていませんから、ミサイルが、ICBMができていないので、あるいはSLBM、潜水艦発射型ミサイルもできていないのでアメリカには飛ばせませんけれども、もう十分韓国日本には小型核弾頭を発射できると、ミサイルは十分あると。ただ問題は、千基とも二千基とも言われる弾道ミサイルに対してまだ量産が追い付かずに、核弾頭の、二十発ぐらいしかないということになります。今後はこの核弾頭をどんどん増やしていくという、それが目標。  あと、二〇二〇年にはこれが五十発になるだろうというふうに言われています。五十発の核ミサイルが発射可能ということになります。ということは、残り千発あるいは二千発のうち、今のところでいいますと二十発しか核弾頭を積めないわけですけれども、残りのミサイルはどうするんだということになりますけれども、これについては、後ほど触れますけれども、化学兵器、生物化学兵器ですけど、特に化学兵器を搭載したミサイルとして使用するというのが金正恩政権の考え方。要するに、生物化学兵器と核兵器の二刀流を使うという、そういう基本的な方向だということです。  今、ちょっと横道にそれるかもしれませんけど、喫緊の課題は六回目の核実験を阻止するということでいろいろ動いています。各国が努力しているようですけど、私から言わせれば、六回目の核実験を阻止することに何の意味があるんだろうと率直に思わざるを得ません。もう既に五回やっているわけですよね。五回やっていれば、通常、核兵器の検証は終わったと、完成したというふうに見るのが一般常識です。  それに加えて、実は、一九九八年にパキスタンで核実験が立て続けに六回行われました。その結果、パキスタン、核保有国を自称しています、あるいはそれを認める国もありますけど、核保有を。その九八年の六回目の実験、最後の実験のときには、実は北朝鮮の核弾頭をパキスタンが代理で実験をしたと。北朝鮮が、いろいろ政治的な理由、日朝国交正常化をしたいとか韓国の左派政権とうまくやっていきたいという様々な理由で自国ではやりたくなかった、しかし核実験はやりたいということで、パキスタンで代理実験をやったと言われています。  それを含めるともう六回やっているわけですから、技術的な必要性から行う核実験はもう終わった、今後行う核実験は政治的なメッセージ、政治的な道具だというふうに考えたらいいですよね。ですから、今すぐやらなくてもいい、もう技術開発は終わっていると、事実上。政治的に有利なときに使う、不利なときは使わない、有利なときにやる、不利なときはやらないということになっているというふうに考えていただいたらいいというふうに思います。    〔会長退席、理事酒井庸行君着席〕  繰り返しますけれども、一九九八年に北朝鮮よりもはるかに工業水準の劣るパキスタンが核保有国になったわけですから、北朝鮮がまだ核保有国としての実力を備えていないと考える方に無理がある。パキスタンに比べれば、北朝鮮は核開発の点でいえば生徒ではなくて先生だというふうに考えていただいたらいいということです。その事実に目を背けてきたということのツケが今回っているというふうに考えていただいたらいいということです。  本来なら、核開発が一九九一年に本格化した、道が開けたということであれば化学兵器を捨てればいいんですけれども、貧者の核兵器、核兵器を持たない国が持つ大量殺りく兵器としての毒ガス兵器、生物兵器ですから、核開発が軌道に乗れば捨てればいいのに、北朝鮮はその気配がありません。  北朝鮮は、御承知のように、生物兵器禁止条約、化学兵器禁止条約に入っておりません。そのことに加えて、入っていないだけじゃなくて製造施設あるいは兵器を保有していまして、保有量だけでいいますと約五千トンというふうに見られています。この五千トンってどれぐらいの規模かということですけど、廃棄途中のロシアそれからアメリカを除けば、どんどんどんどん今処理していますから減っていっているんですけど、一遍にゼロになりませんから、それを除けば世界一ということになると。  廃棄途中のロシアとアメリカを入れても世界第三位。ただし、北朝鮮は廃棄するんじゃなくて維持あるいは増産をしているという点に注意をしておく必要があるのと、その化学兵器については最近目立つべき特徴がありますよね。一つは、その化学兵器を使って、金正男氏、金正恩氏の実の兄がVX剤で暗殺されるという、テロとして実践で使われたと。これ、北朝鮮が使ったというのは明白です。もう一つは、つい最近です、シリアのアサド政権がサリンガスを搭載したミサイル攻撃を自国民、反体制派に加えました。シリアと北朝鮮の毒ガス、化学兵器をめぐる協力関係はよく知られた話です。つい最近でも、その関係を維持し、協力し、強化し続けています。  私は、今回のシリアのアサド政権の毒ガス、サリンの使用は、北朝鮮による代理実験、ちょうどパキスタンでやったような、あるいは共同実験だというふうに見ています。なぜかといいますと、レジュメの二ページ目の上のところに書きました、昨年の秋に、ほとんど日本では報じられていませんけれども、金正恩政権北朝鮮軍の中に連隊級、ですから大体三千人規模ですけど、の生物・化学兵器部隊、専門部隊を新たにつくったということですね。専門的に化学兵器を使い、それを運用する、そういう態勢に入ったということ。その後に起きたのが金正男テロ事件とアサド政権のサリンの使用だということに注目をしておく必要があるということです。  と同時に、その前になりますけれども、レジュメの一ページ目の一番最後のところを見ていただいたらいいですけど、これもほとんど日本では注目されませんし報道されませんけれども、金正恩政権ができて二年目の二〇一三年の末ですけれども、金正恩党委員長の肝煎りで、北朝鮮軍、またこれも組織改編がありました。何かといいますと、戦略ロケット軍部隊、要するにミサイル部隊、これを統合再編して戦略軍司令部というものに一本化したと。これまで短距離、中距離、長距離で分かれていた部隊を一つにして、それもフェールセーフ、要するに、誤射したり間違って使ったりしないためにいろいろ安全装置が、段階が踏まれていますけど、それを極力省いて、金正恩氏の指示の下で即座に発射できるという態勢に切り替えたということです。この時点で、実は私の意見では、韓国日本がいわゆる核ミサイルの照準化、ロックオン状態に入ったというふうに思います。何か事が起こってからどこに撃とうかと考えている暇はありませんから、核戦争については、自動的に飛んでいくというコンピューターに目標設定をする必要があります。  日本韓国戦略軍司令部でコンピューターで目標設定、照準化がされたのはこの時期だというふうに見て間違いがないというふうに信じていますし、同時に、考えていただきたいんですけど、この前日本に四発ほど撃たれましたけど、その射程を逆に西側に移動させますと、中国が射程の中に入ります。日本に中距離ミサイルを撃ち込むことができるということは、北京に中距離ミサイルを撃ち込むことができるということを技術的には意味をします。  単なる技術的な問題だというふうに考える向きも多いですけれども、私はそうは見ておりません。残念ながら出所、情報の出どころははばかりがあって言うことはできませんけれども、この同じ時期に、日本韓国を照準化したのと同じ時期に中国への照準化も終わったと、自動的に北京に飛んでいくという態勢を取ったということ。そんなことを私が知っているぐらいですから中国指導部が知らないはずがないということで、この後、中国北朝鮮の微妙な関係あるいは対立関係は新たな段階に入って今現在に至っていると、最近の中国の強硬な姿勢はこのことによるものだというふうに考えてもいいんじゃないかということです。  まとめに入ります。簡潔にということでレジュメの最後ですけど、私自身がんサバイバーでして、がん治療、今も続けていますけど、職場復帰したのが去年、二年間がん治療で入院、ベッドの上におりました。奇跡的に生きて戻ってきましたけど、その経験に引っかけてというか、ベッドに横たわりながら、北朝鮮の核問題の解決はがん治療に似ているというふうにつくづくと思いました。  今必要なのは、漢方薬ではもう治らない、あるいは、何とか水とか何とか食材とか自然食材とか、そういう民間療法では治癒が望めない。治癒する方法はがんで言われる標準三大治療しかない。三大治療は何かといいますと、一つは薬物治療、抗がん剤治療だと、もう一つは外科手術だと、もう一つは放射線治療だと。この三種類、私、受けました。これは大変な副作用があります。つらかったです。途中で放棄しようかと思うぐらいつらかったですけれども、副作用があってもこれをやらないと根治、完治はしないというのが北朝鮮の今の核問題あるいは大量破壊兵器の問題。なぜなら、数十年間放置してステージが三から四に入りかけているから、一の段階ではないということです。  抗がん剤治療を担当するのは中国だと、要するに経済制裁をやるということですね。経済制裁をやって、ちょうどがん細胞を弱らせる、腫瘍を小さくするのと同じように脅威を小さくした上で、なくすことはできません、抗がん剤で完治させることはできません、しかし、がん細胞、腫瘍を小さくした上で、体に負担のない小ささにした上で外科手術を行って局所的に腫瘍を取り除くという、いわゆる軍事的な手段が避けられない。これは日本も何らかの形で参画する、敵地攻撃能力、先制攻撃であれ報復攻撃であれ関わる必要があるということ。この主治医はアメリカになる、執刀医はアメリカになるんでしょうけれども、補助医として日本韓国がこの外科手術にも加わるということが求められているということです。  それから最後、その外科手術がうまくいった後でも、ちょうどイラクがそうですけれども、がんが再発したり、あるいは転移したら意味がないんですね。ISの支配になるというようなことになれば余計問題が大きくなる、手の施しようがなくなるということですから、そういった意味で、どこに潜んでいるか分からない再発あるいは転移の脅威を取り除くために放射線治療。これは何かといいますと、亡命政権づくりを含めた政治的な圧力ですね、政権交代ということ。あるいは、一番喫緊でできやすいのは、中国が制裁やりますけれども、同時に、制裁よりももっと簡単でしょうね、中国北朝鮮と結んでいる軍事同盟、中朝友好親善援助協力協定、軍事同盟、安保条約ですけど、これを中国が破棄するという政治的メッセージを打ち出せば、北朝鮮の軍部、中国が背を向けたということをはっきりと見て取れば、反旗を翻す可能性が極めて高まるというふうに思います。  日本政府の役割ですけれども、じゃ、中国が仮にそうするとして、日本政府の役割は、亡命政権構想を進める、あるいはそれを積極的にサポートする。亡命政権、選手はそろいました、高級幹部がたくさん逃げていますから、選手はいます。サポーターがいないということですから、日本がサポーター役になるということが重要だというふうに思います。  時間が来ました。以上で一旦終わりたいと思います。ありがとうございます。
  6. 酒井庸行

    ○理事(酒井庸行君) ありがとうございました。  次に、平岩参考人から御意見をお述べいただきます。平岩参考人
  7. 平岩俊司

    参考人平岩俊司君) よろしくお願いいたします。南山大学総合政策学部の平岩でございます。  お二方の参考人先生から、日韓関係、それから北朝鮮情勢を含めた日朝といいますか、それについて体系的なお話がありましたので、私の方からは朝鮮半島と日本という、少し細かい、体系的なというよりは雑感を中心としたお話をさせていただきたいというふうに思っております。    〔理事酒井庸行君退席、会長着席〕  御依頼の日韓日朝関係についてということですので、日本と朝鮮半島ということで考えればいいんだろうと思いますが、当然ですけれども、朝鮮半島は日本にとってみれば隣接した地域であると。しかしながら、御案内のとおり、日本が朝鮮半島を一九一〇年から三十五年間にわたって植民地統治をしたという歴史的経緯がありますので、戦後の日本と朝鮮半島の関係というのは非常に難しいものになっているというのが現状かと思います。  とりわけ、朝鮮半島で本来一つの国になるはずだった国が分断国家になったために、日本とすれば韓国北朝鮮という二つの体制と向き合わなければならず、それぞれがそれぞれの難しさを持っているということを我々は理解をする必要があるんだろうと思います。  まず、韓国について言えば、その歴史問題が、これはまた後でお話をしますが、歴史問題は日韓関係の中で非常に複雑でデリケートな問題であります。その一方で、極めて理性的な安全保障協力の問題というのがあります。これは、韓国という国は、恐らく植民地統治から解放された後に日本との関係をある種韓国なりに清算しなければならなかった、ある種乗り越えていかなければいけなかったのでしょうけれども、韓国側の立場で日本との関係を清算する前にいわゆる冷戦体制が始まって安全保障協力を余儀なくされた、そこに理性と心情のジレンマが韓国日本に対してはあるんだろうと。  一方の北朝鮮は、歴史の上では日本に対して勝利をしたことになっておりますので、そういった複雑さというものはありませんが、日本にとってみれば、拉致、核、ミサイルという極めて重要な問題があり、なおかつ今現在も日本外交にとって極めて重要な課題となっているということなんだろうと思います。  それぞれ見ていきたいんですけれども、まず韓国でありますが、これはもう先ほど小針参考人の方からも詳細に御報告がありましたように、現在の韓国は、朴槿恵大統領が職務停止に追い込まれている、弾劾が可決をされて憲法裁判所がそれを是とする判断をし、次の大統領選挙が目前に迫っていると、そういう状況であります。  実は、韓国のそういう執務が止まっている、韓国大統領朴槿恵政権が職務停止に追い込まれているにもかかわらず、実は日本韓国との間では、理性的な協力関係については随分進展をしているということであります。安全保障問題をめぐってのGSOMIA、情報交換協定であるとか、あるいはTHAAD、これは日本と直接関係ありませんけれども、ある意味では広い意味でのミサイルディフェンスでの協力北朝鮮のミサイル防衛での連携というものが行われているというのが今の状況であります。  しかしながら、次の大統領選挙の結果いかんではこれも非常に難しい状況に追い込まれるかもしれないということを我々は注意をする必要がありますし、それから、より重要なのは二〇一五年十二月のいわゆる慰安婦をめぐる日韓合意、この行方というのも次期大統領の判断によってはまた面倒なことになるかもしれないということであります。  先ほどTHAAD問題についてお話ししましたが、これも小針参考人の方からも御指摘がありましたように、日韓関係を考える場合に中国に対してどう向き合うのかという大きな問題もあろうかと思います。  細かい問題はともかくといたしまして、最近、最近といいますか、ここ数年ですけれども、日本側からいわゆる韓国疲れといいますか、韓国との付き合いにも辟易する、そういう雰囲気というのがあります。とりわけ、私のように朝鮮半島を専門にしている人間はそういうことは言えないんですけれども、例えば安全保障の専門家であるとか、あるいは国際関係の専門家であるとか、あるいは経済の専門家であるそういった人たち、かつて韓国との関係日本にとって極めて重要だという、理性的な部分日韓関係が重要であるというふうに言っていた人たちが、ここ数年、もうちょっといいかげんにしてほしいというような声が多く出てきてしまっている。私なんかにも、あなたは韓国と付き合っていて疲れないかというようなことはよく指摘されます。専門家が疲れていてはいけないわけなので、そこは私の仕事ですからというお答えをしておるんですけれども。その前提になりますのが、実は同じようなことは韓国の専門家の中からも出てきていて、日本との付き合いについて疲れていると。日韓双方がお互いに疲れている、そういう状況が生まれてしまっているというのが今の状況かと思います。  これは、いろいろ考えてみると、これまで、何といいますか、日本韓国は非常に近い、例えばアメリカとの同盟を共有しているとか、あるいは市場経済を共有しているとか、あるいは法治主義を、法の支配を共有しているとか、そういう共通項を中心にして、日韓は同じなんだからという前提での協力関係を構築してきた部分があろうかと思います。とりわけ、一九九〇年代の後半から、日韓ワールドカップ、さらにはいわゆる韓流ブームですね、日本でいう、そういうようなところで日本の多くの人たちは、韓国という国は、あるいは韓国人たち日本とすごく似ていて近い、同じような考え方を持っているという、そういうある種の誤解を持ったんだろうというふうに私は思っております。  ですから、これまでその共通項を強調した日韓協力ということだったんですけれども、これからは、それぞれ国が違うわけですし、それからその考え方も、あるいは重きを置く点も違う、これはもう当たり前の話であります。それを前提にして、一体なぜ日韓関係が重要なのかということを、根源的な問いではありますけれども、これを問い続けることが恐らく日韓関係では重要になってきているんだろうと思います。今非常に日韓関係難しい状況ですが、逆の言い方をすれば、これまで余り明確に考えてこなかった、日韓関係はなぜ重要なのかという根源的な問いかけをするいいチャンスであろうというふうに私は考えております。  次に北朝鮮でありますが、これはもう安全保障の問題については李参考人の方からもお話がありましたが、日本にとっては更に重要な問題として拉致問題というのがございます。日朝関係考える上で極めて重要な問題であります。  核、ミサイルの問題については、これはアメリカとの協調を前提にし、国際社会の連携というものを前提にして北朝鮮に対して対話と圧力で臨むと、こういう基本方針があるわけですから、それを前提に進めていけばいいんだろうと私は思っておりますが、この拉致問題についてはなかなか複雑なところがございます。  これは御案内のとおり、日本北朝鮮はいわゆるストックホルム合意によって北朝鮮側が拉致問題を再調査をするという約束をしたわけでありますが、昨年の核実験、ミサイル発射の強硬姿勢に対して日本側が、それについて、ストックホルム合意の際に一部解除をした独自制裁の一部をまた元に戻して、更にプラスアルファで制裁を加えるということに対して北朝鮮が反発をし、ストックホルム合意そのものを北朝鮮側は日本側が破ったんだという、そういう立場を取るわけであります。  ただ、その後も、日本側も北朝鮮側の状況次第でということだったんでしょうし、北朝鮮もこのストックホルム合意そのものをどうするのかというのはちょっとよく分からないところがあったんですが、日本側が駄目にしたんだ、自分たちが駄目にしたわけではないという、ある種宙ぶらりんの状態が続いていて、条件が整えば戻り得るプラットホームになっていたところがあるんですが、先日、宋日昊日朝国交正常化交渉担当大使が北朝鮮を訪問した日本側のメディアに対して、この問題についてはもう終わった話であって、残留日本人問題に関しては言及があるということであります。  御案内のとおり、この残留日本人問題というのは実はストックホルム合意の内容でもありますので、果たして宋日昊大使がどういうつもりでこのストックホルム合意について位置付けをしたのかというのがいま一つ曖昧なところはあろうかと思いますが、少なくとも昨今の北朝鮮に対する非常に強い国際的な圧力の中で、日朝交渉を何らかのきっかけにしたいという北朝鮮側の思いがあるということは恐らく間違いないでしょうし、それに対して日本がどう利用し向き合っていくのかというのは今後の課題になろうかというふうに思います。  北朝鮮については様々な評価というのがあるわけでありますが、これは今、トランプ政権北朝鮮政策の見直しということを言いながら、これまでの北朝鮮政策は全く間違いであったというようなことを言います。私もそういう部分が恐らくあるんだろうと思います。それは、恐らくこれはとりわけアメリカだけではなくて日本もそうだと思うんですけれども、北朝鮮の体制の安定度についてかなり低く見積もっていた。要するに、ああいう体制は長もちするはずがない、すぐに崩壊するだろうという前提で、あるいはそれを期待してといいますか、そうしたものをある程度、それほどあんな体制は長くもたないんだということを前提に向き合ってきたところがあるように思います。  例えば、九四年の米朝合意枠組みによって北朝鮮に対して軽水炉を提供するというような約束をするわけですけれども、このときも当時のクリントン政権は、北朝鮮の体制というのは五年間もたない、だから北朝鮮に対して軽水炉を供与しなくてもいいんだというようなことを主張したというふうに、そういう判断があったというふうに言われております。  果たしてそれがどうだったのかということでありますので、やはり、北朝鮮に対して、確かにいろんな問題があって不安定な要素というのがかなりたくさんあることは事実なんですけれども、それでも我々の期待を超えてのある種の政権、体制の強靱性というものがある体制であるということは我々は考えていかなければいけませんし、またもう一つは、金正恩体制の行動原理、北朝鮮という国を最高指導者のパーソナリティーで説明していくケースというのは多いと思うわけですけれども、まあ実際そういう側面がないわけではないとは思いますが、金正日時代も金正恩時代も、ある意味で彼らなりの合理性、彼らなりの判断というのがあって、決して今、北朝鮮が行っていることも経験不足の若い最高指導者が思い付きでやっているわけではないということを我々は注意する必要があるんだろうと思います。思い付きでやっていたらここまで核、ミサイルの能力を上げるということは恐らくできないわけで。  この北朝鮮情勢に関して言いますと、我々がもう一つ注意しなければいけないのは、よく、我々といいますか、日本国内メディアも含めてそうなんですけれども、韓国情報というのをかなり信頼し当てにするところがございます。もちろん、恐らく韓国の情報機関始めとして、北朝鮮についての情報、それからその分析にエネルギーを注入しているのは間違いありませんし、非常に、何といいますか、質も高いということは私も認めますが、その一方で、対外的に流される情報というのは、冒頭お話ししましたように、分断国家であるということを前提にして、北朝鮮の体制をどういうイメージで国際社会に伝えたいのかというような思いが恐らくあるでしょうから、やはり韓国から発せられる情報というのは注意深く検討していく必要がありますし、やはり日本の独自の立場から考えていく必要があるんだろうというふうに思います。  ですから、体制の安定度について、何といいますか、余り崩壊を期待するような、あるいはいずれ崩壊するんだということを前提にした政策というものは、結果的に北朝鮮に時間を与えてしまう。この典型的なのはオバマ政権のときのいわゆる戦略的忍耐ということだったんだろうと思います。  このオバマ政権戦略的忍耐の背景にも、これは一昨年ですか、オバマ大統領自身が、CNNかユーチューブだったですかね、ユーチューブにインタビューで答えた、あんな体制長もちするはずがないということをおっしゃいましたが、まあそういう北朝鮮の体制というのが長続きしないということを前提にする政策というのは、残念ながらこれまでは余り効果的ではなかった。我々が期待するような結果、結論には至っていないんだということを注意する必要があるんだろうと思います。  もちろん、北朝鮮問題に関しては、中国、まあ日米韓の協力関係というのが大前提ですし、今現在、韓国先ほどお話ししましたように大統領選挙に突入をしていて、次の政権いかんでは日韓関係非常に難しい状況に追い込まれるかもしれないんですが、やはり日米韓が基本であることは間違いありません。ただ、やはり中国の役割は非常に大きいということもあって、中国、ロシアを視野に入れ、対話と圧力をバランスよく用いて、北朝鮮側が例えば日朝交渉などを求めてきた場合にどう向き合うのかということを考えていく必要があろうかというふうに思います。  三番目といたしまして、あと五分もないですので、最後、まとめを含めて、朝鮮半島情勢日本の役割と、それから終わりにというところでお話をさせていただきたいと思うんですが。  御案内のとおり、現在、トランプ政権北朝鮮に対してかなり厳しい状況で向き合っておりますので、朝鮮半島情勢、注目されておりますし、昨日の建軍記念日までに何かやるんではないのか、あるいは今月末まで行われている米韓軍事合同演習に際して北朝鮮が何かするのではというようなことが言われております。ですから、当然それについては引き続き注意をしていく必要がありますし、とりわけアメリカとの連携というのが重要になります。  ただアメリカは、残念ながら、北朝鮮との交渉であるとか北朝鮮との向き合い方で必ずしも経験が豊かなわけではありませんし、そもそも今のトランプ政権自体が新しい政権であるということもあって、北朝鮮との向き合い方に関して言えば経験不足があろうかと思います。  それを前提にすると、やはり日本は、日米関係が良好であるということを前提にして、このアメリカの経験不足をいろんな形で補填していく必要があるんだろうと思いますし、それから、先ほどからお話をしておりますように、日米韓の関係が重要であるということを考えれば、やはり次の韓国の次期政権がどういう政権になろうかということは非常に重要なんですけれども、どんな政権であっても、やはり安全保障上の協力関係、そういったものの必要性を次の政権にも粘り強く説いていく必要がありますし、その協力関係というものを構築していく、そういう必要があるんだろうと思います。そういう意味で、先ほどお話ししましたように、日韓関係はなぜ重要なのかという根源的な問いかけというものを日韓双方で考えていくいいチャンスであろうかというふうに思います。  さらに、北朝鮮については先ほどお話ししましたのでいいかと思いますが、同時に、今のアメリカ動きで注目されるのは、やはり中国に対して応分の役割をというところであります。これも、今回のアメリカの非常に強い形での圧力は、北朝鮮のみならず中国に対しても向けられていて、中国が徐々に、徐々にではありますけれども、重い腰を上げつつあると。  今回のトランプ政権北朝鮮に対する姿勢というのを暫定的に評価すると、少なくとも中国が少し顔色を変えているというところは評価できるんではないかというふうに私は個人的に思っております。日本韓国がかなり積極的に中国に働きかけをしたとしてもなかなか中国は重い腰を上げませんでしたが、アメリカがこういうような形でやれば、本当の意味での中国がどういうことをやるのか、あるいはどういう役割を果たしていくのかということは、まだ私は流動的であって本気で動き始めたとも思ってはいないんですけれども、少し顔色が変わったという、これまでとは様子が違うということを自覚しているということは、非常に意味があることだろうというふうに私なりに理解をしております。  さらには、その状況次第ではロシアの関与、朝鮮半島問題に関してはロシアの関与、影響力というのも我々は忘れてはいけないことなんだろうと思います。  日ロ関係のこういう枠組みからも北朝鮮問題でロシアの役割を使うようにその働きかけをするというのは、これも日本の非常に重要な役割の一つになってくるだろうと思います。米ロ関係、それから米ロ関係が対立的になって中国北朝鮮関係が冷却化すれば、北朝鮮にとってロシアというのは非常に魅力的なカードになりますので、このロシアに対する働きかけは日本としての役割、責任ということになってくるんだろうというふうに思います。  最後に、あと一、二分お時間をいただいて、喫緊の課題としての北朝鮮問題では、この問題についてはやはり日本は積極的に関わっていくべきだろうと思います。  これは、なぜならば、北朝鮮問題が解決していくプロセスというのは、恐らく東アジア安全保障環境がつくられていく過程ですから、そこに日本は絶対に関与していなければいけない。その中でイニシアチブを取れるのが今後の日本の立ち位置を決めることになるでしょうし、それから、日本にとって朝鮮半島の問題というのは、受け身ではなくて積極的な意義というものを見付けて、日本なりに積極的な関与の仕方をしていく必要があろうかと思います。  それから、日韓、日朝、あるいは朝鮮半島と日本という非常に限られたエリアの中で考えるとどうしても細かい問題が出てくるし、大きな枠組みの中でその重要性というものを考える。東アジアの一部としての日韓関係日本と朝鮮半島の関係、それから世界の一部としての東アジア、そうした視点が必要でしょうし、中長期的な視点、短期的な視点ではなくて、中長期的に朝鮮半島との関係をどうするのかということを考えることが、恐らく今後の世界における日本の立ち位置を決めていく上で極めて重要な課題ということになろうかと思います。  少し長くなってしまいましたが、私の方からお話しさせていただくのは以上とさせていただきます。どうもありがとうございます。
  8. 鴻池祥肇

    ○会長(鴻池祥肇君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。  質疑及び答弁の際は、挙手の上、原則として会長の指名を受けてから着席のまま御発言くださいますようお願いを申し上げます。  まず、大会派順に各会派一名ずつ指名をさせていただき、その後は、会派にかかわらず御発言をいただきたいと存じます。  委員の一回の発言時間は答弁を含め十分以内となるよう、また、その都度答弁者を明示していただきますよう御協力をお願いをいたします。  それでは、質疑のある方は挙手を願います。  宮島君。
  9. 宮島喜文

    ○宮島喜文君 参考人先生方、ありがとうございました。  私は、自民党参議院の宮島でございます。  本調査会調査テーマは、アジア太平洋の平和の実現地域協力という、こういうテーマで考えるということになっているわけでございますが、アメリカとか中国という大国の関係の維持、重要なんでございますが、こうした大国ときちんとした関係を持っていくためにも、やはり隣国である韓国との関係というのは非常に重要であろうと思っているところでございます。  そういう視点で考えれば、先ほどから御指摘いただいていますように、日韓関係慰安婦像の問題、竹島の問題、山積しているという状況だと思っておって、残念な状況であると思います。  特に、慰安婦像の問題については、これは政府間で合意、約束した、これを韓国政府がきちんと履行できない状況が続いているわけでございますので、我が国の国民の間には韓国に対する不信感というものがどうしても生まれてしまっている、それが広がっているのではないかというふうに私は思っておりますし、これからの関係改善に向けた動きに対しても悪影響を及ぼしているのではないかと懸念しているところでございます。  先週、この調査会参考人先生から、日中関係の問題の中で、平和の要、これは脆弱な面だけでなくて強靱な面ももっと目を向けるようにというお話がございました。まあはっきり言えば、脆弱というのは歴史とか安全という問題であろうし、逆に強靱というのは経済とか又は文化というものだというふうに私は理解しているわけでございますが、こういうものを考えていきますと、日韓関係においても同じことが言えるかなという感じを持って今お話を聞いていたところでございます。  この日韓関係、特にこの中国の話の中では、中国国民の皆さんにお願いすることは、日本を、もっと現代史を考えてほしいんだということをおっしゃいますし、もちろん、日本の立場では、近代史ということで国民は勉強しなきゃいけないだろうということを指摘されていたように思います。  そんな中で、年間約七百四十万人ですか、この行き来があるという今の現状ですと、やはりこれは人と人との往来という、交流というものが非常に重要であろうと思っているところでございます。今の日本において取組は何が足りないのかということ、また、この日韓関係歴史というもの、これは逃げられないというものがあるわけでございますが、これから関係をこれ以上悪化しないように管理していくという道しかないのかなという考えもするわけでございます。  そんな中で、是非、小針参考人にお聞きしたいんですが、これまでの韓国社会における対日観の趨勢について現状をお聞きいたしましたが、もう少し長い意味で見てどういうふうになってきたかということ。それと、もう一つは今進行中であります大統領選挙、この状況状況と申しますか動向を踏まえて、今後どうなるのかなという見通しについてちょっと触れていただきたいと思います。お願いいたします。
  10. 小針進

    参考人小針進君) 質問ありがとうございました。  まず一点目ですけれども、どういうふうに見てきたかという、日韓関係ですけれども、やはり実態としての日本というものを、韓国人は、何というんでしょうか、行き来がなかったり、インターネットが登場する前はそれほど分からなくて、観念的に、例えば人づてに聞いたとか何か読んだとかというところじゃないリアリティーのある日本というものはもちろん分かっているようにはなっているわけですね。ですから、例えば若者の方が先ほど日本に対して好感を持っている人が多いと言ったんですけれども、それはネットなんかで知っているわけですから、むしろ同じ年齢の韓国人よりも話が通じるという部分も多分分かっているんだと思います。ただ同時に、変わっていない部分というのは、やはりマスメディア報道が相変わらずの側面がある。そこのやっぱり影響を非常に受けてしまっている。  それから、先ほどからちょっとお話ししていたんですけれども、やっぱり幾つかの市民団体なんかがかなり力が強いですから、その辺から出てくる、発信するもの。特に、韓国はSNSが非常に発達していますので、かなり真に受けちゃうというような状況もある。その辺は余り変わらないところなのかなと思います。  それからあと、次に大統領選挙お話なんですけれども、これでどう変わるかということなんですが、今御存じのとおり、有力な人は五人、その中でも二人が当選可能性で今争っている、これ御存じだと思うんですが。五人のうちの二人は朴槿恵さんとは反対する勢力ですね。どちらかというと進歩的な方、中道的な方ですね。一番進歩的な人は文さん、中道的な人は安さん。それから、五人のうちあと残りの二人は、朴槿恵さんと昔政党が同じだった人で分裂した二人、保守的な政党を二つつくって別々に出ていますけれども。それから、あと一番進歩的な政党の人、五人目いて、今週の世論調査なんかでいうと、一番進歩的な文さんが四〇%ぐらい、中道的な安さんが三〇%ぐらい、あと保守の候補がそれぞれ一〇%弱ぐらい、進歩的な候補が五%ぐらいという感じで、文さんか安さんになるだろうと言われています。  文さんになった場合は、先ほどからちょっとお話ししているように、かなり、道徳志向的という言葉を先ほどから出しているんですけれども、観念的にやっぱり日本のことを捉えるところがちょっと多くなっちゃうかなと思うんですね。例えば、文さんにおいては、先ほどから出ている慰安婦合意に関して言っても、例えば、どう思いますかというメディアの質問なんかには、日本の責任の認定と公式な謝罪がない慰安婦交渉は源泉無効だというような発言の仕方を結構するんですね。あと安さんの方は、そこまで言わなくても、元慰安婦だった人たちのもっと意見を聞かなきゃ駄目だとかそういう発言して、いずれにせよ、今、大統領選挙の中で出ている対日の、特に慰安婦の問題というのはかなり厳しい意見が出ています。  ただし、同時に、北朝鮮問題での協力とかその辺は、文候補を含めても否定しているわけではないんですね。恐らく、それはもう日韓関係、特に政治外交の面でいうと、アメリカというやっぱり要素がありますので、もう力学的に米韓関係を非常に重要視していますので、進歩的な候補も、アメリカとの関係においては日本とそれほど事を荒立てることはできないという認識はかなり持っているはずです。したがって、あと韓国の野党の候補の場合、今言っているからといってそのまま政策に結び付けるかどうか、これはちょっと分からない側面がある。ただ、文候補になると、かなり最初は厳しいところは出てくるんではないかと思います。  繰り返しますけれども、朴槿恵政権自身が前半にかなり厳しい対日政策をやって、それでもう失敗したというような意見はかなり韓国社会で定着しているので、ツートラック政策を取るんじゃないかなというふうに今見ています。
  11. 宮島喜文

    ○宮島喜文君 ありがとうございました。  もう一点お聞きしたいんですが、あと一分ぐらいしか時間がないのでやめますけれども、今緊迫した北朝鮮状況、これが私は、軍事的なことじゃなくてきちんとした外交でも努力する必要があるんだろうと思うわけでございます。  またそんな点を教えていただけたらということをお願い申し上げまして、私の時間を終わりにいたします。  ありがとうございました。
  12. 鴻池祥肇

    ○会長(鴻池祥肇君) 続いて、藤田君。
  13. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 今日は、三人の先生方、ありがとうございます。  三人の先生方の非常に重要な今日は御発言ということと、鴻池会長の人徳でこの調査会だけが開催をされているという、台風の目のようで、嵐の中で大変勉強させていただきましてありがとうございます。  まず、北朝鮮関係で李英和先生にお伺いしたいんですが、この亡命政権構想。いろんな見方はありますが、北朝鮮は、核を持っているがゆえにイラクとかリビアのように攻撃されることはないというふうに実は自信を深めているという説もあります。一方で、イラクあるいは旧ユーゴのように、独裁政権が倒れた後というのは大変国が混乱してしまう。したがって、非常に強気にいる北。一方で、そういう独裁政権が崩壊した後、周辺国も含めて、日本も含めて大変なことにならないための放射線治療ということだろうと思いますけれども、そういう厳しい中でどういう形で亡命政権構想というものを樹立していくことが可能かということについて簡単に、というのは、二、三問皆さんにしたいと思いますので、お答えいただければ幸いでございます。
  14. 李英和

    参考人(李英和君) 亡命政権構想ですけれども、ポイントは、政権交代は政権交代なんですけれども、より安定的、平和的な政権交代を、相対的に平和的な政権交代を目指すということが肝要でして、その観点からいいますと、今、金正恩政権の中枢にいる側近の人たちが金正恩政権、金正恩体制を見限る、離反するというシナリオが一番ベストだというふうに思っています。そのためにどういう政権構想を立てるかということが今一番重要な点です。  その観点から、亡命政権構想、当事者、それをつくろうという当事者の間から出た意見ですけれども、金一族、金王朝の金一族から次期の指導者を立てようということ、ある意味でいいますと、形式だけ見ると金王朝が続くということになるんですけれども、人を替えるという形ですね。より穏健な、危険思想を持たない金王朝の一員に替える、そのことを通して安心して側近が離反するという格好をつくりたい。  韓国主導になるとかアメリカ主導になるということになりますと、今の金正恩政権を支えている側近、自分の首を心配しなきゃならない、自分の命を心配しなきゃならない、金正恩政権にしがみつくということになりますけど、その心配がない形での政権交代。  繰り返しになりますが、金一族からということで第一候補に挙がったのが、今チェコ大使をしている金正恩氏の実の叔父さんに当たる金平一チェコ大使、そして第二候補が、暗殺されてしまいましたけれども金正男氏。ベストシナリオは金平一、金正男が手を組むというのがベストシナリオだったんですけど、暗殺でその構想、最後のベストシナリオは壊れたと。一つ残っていると、金平一を首班とする亡命政権、これはヨーロッパにつくろうという動きがあります。他方で、アメリカで最近、亡命政権樹立のための集会が持たれたようです。こちら側は軍人を中心とした亡命政権をつくろうという構想で、今二つの大きな潮流があるということで、私が北朝鮮留学中よく現地の人から言われたことですけど、朝鮮人三人集まると派閥が四つできる、数が合わぬということですけど、なかなか団結しにくい気質なんですけど、この二つの潮流を一つにするというんですか、そういうサポーターの調停というか応援が求められていると。  問題は、韓国政府、なかなか亡命政権構想を支持することはできない。憲法上唯一の国ですし、北朝鮮といろんな場合で交渉しなきゃなりません、離散家族の問題も。亡命政権を支持しておいて金正恩政権と交渉するのは難しい。同じようなことは日本にも言えます、拉致問題があってですね。しかし、そこは知恵を絞って、日韓両国あるいはヨーロッパの国も巻き込みながら、与野党が役割分担をする、あるいは政府外交と議員外交を使い分けるという形で亡命政権構想、実るようにしていく必要がある。そうすれば、高級幹部、核心幹部の離反を誘発することも夢ではないというふうに思っています。
  15. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 この間、マレーシアと北朝鮮の間で、北朝鮮は、北朝鮮在住のマレーシア人をある意味では出国禁止にして対応しました。その際に、今回、北朝鮮に在住の日本人の方々、どうやって、まず、どういう方々がいらっしゃって、万が一の場合にお助けするかという非常に重要な問題ですが、今、日本政府がどのくらい把握しているかも定かでない中で、北朝鮮在住の日本人の方々を救うための方法について、何かお知恵があれば。
  16. 鴻池祥肇

    ○会長(鴻池祥肇君) どの先生に。
  17. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 李英和先生です。
  18. 李英和

    参考人(李英和君) 非常に重要ではありますけれども、大変難しい、私自身も頭を悩ましてしまう。  現実問題でいいますと、核問題の処理の中で、どんな形であれ、例えば軍事衝突が起きたということを想定した場合が一番問題だというふうに思います。その混乱の中でどう救出するかということ、いろんなタイプの拉致被害者も含めた日本人の方、残留日本人日本人妻もいますし、その方をどうするかということですけど、現実問題でいいますと、アメリカ軍に頼むというお願いの仕方もありますけれど、やっぱり地の利あるいは同じ民族だということを含めた韓国軍に第一義的には捜索と救出をお願いせざるを得ないと。そういった意味では日韓関係重要だということになりますし、そうかといって、アメリカ軍であれ、やはり韓国軍であれ、忙しい中、あるいは銃弾が飛んでくる中、日本人を探してきてくれ、その過程で命を落としても仕方ないというようなことはなかなか言えないです。  いずれにせよ、直接捜すことはできませんけれど、あるいは直接救出するということは困難でしょうけれども、自衛隊の方々に、とにかく現地に足を踏み入れてその救出活動をサポートする、あるいは救出した後、その保護を現地で引き受けるというようなことを考える必要があるというふうに思います。
  19. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 平岩先生に。先ほど、トランプ政権一つの功績といいますか、中国の重い腰を動かした。他方、今カール・ビンソンに自衛艦が二隻追尾して、場合によっては日本海に入るという話もありますが、しかもその作戦のこれはガイドラインにFDO、柔軟抑止選択肢とありまして、それ読んでみると、部隊行動を見せ付ける行動を探るとか、相手側による事態の更なるエスカレーションを防ぐために、あるいは行動を取ることによって相手に正しく意図を伝達しということはかなり威嚇的に取れると思うんですけれども、こういうやり方が、韓国を含めて、今お話に出ている一種の外交的ソフトランディングにとって効果があるのかどうか、韓国の対応も含めてどうお考えでしょうか。
  20. 平岩俊司

    参考人平岩俊司君) ありがとうございます。  もう御指摘のとおり、いわゆる具体的な軍事行動を取るためというよりは、むしろその強い圧力を見せ付けて相手姿勢変化を求めていくということなんでしょうけれども、少なくとも、今の段階でいうと、残念ながら北朝鮮アメリカが具体的な軍事行動を取れないだろうというふうに考えているんだろうと思います。  それはアメリカ側の対応の悪さも少しありまして、例えば非常にシリアの攻撃以降、北朝鮮に対する圧力を加えているという印象があったんですけれども、例えばカール・ビンソンが実は朝鮮半島に向かっていなかったとか、あるいはマクマスターという補佐官がもういわゆる軍事力じゃなくて外交だというようなことを言って、少しタイミングとして早い、北朝鮮側が強気に出る、強気に今出ている中で、もう少しその姿勢が変わってからでもよかったような気がするんですけれども、そういうような意味での少しバランスの悪さというのはあるんですが、アメリカ側の対応というのは一応評価を私はしております。  とりわけ中国に対してかなり強いメッセージということになって、恐らく中国からすれば、まだ完全にそういう日本アメリカと一緒になって北朝鮮に対して何かするというよりは、むしろこのままだとアメリカが非常に強硬な姿勢に出てくるかもしれないから、自分たち自分たちの持っている影響力というのをより使っていかなければいけない、まだそういう段階なんだろうと思いますが、これはちょうどイラク戦争が始まった直後ぐらいの雰囲気に似ていまして、六か国協議のために中国はイラク戦争が早期に収束すると今度アメリカ北朝鮮に何かするかもしれないということでやった、そのときの雰囲気に似ておりますから、中国が少し今回も顔色を変えて動くかなというところなんだろうと思います。
  21. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 時間ですね。ありがとうございました。
  22. 鴻池祥肇

    ○会長(鴻池祥肇君) 続いて、横山君。
  23. 横山信一

    ○横山信一君 公明党の横山信一でございます。  今日は、三人の参考人先生方には、大変有意義なお話を聞かせていただきまして、大変に感謝を申し上げます。  三人の参考人先生方にそれぞれお聞きをしていきたいと思います。  まず、小針先生にお聞きしますが、日本にとっては、韓国の次期大統領が親日的であろうが反日的であろうが、米国との同じ同盟関係にある国として、また隣国という避けられない位置関係にある国として、やはり同じ方向を見詰めていくという、そういう外交が重要だと思うんですけれども、先生先ほど最後におっしゃっていただいたこの日韓共同宣言、二十周年になるということで、ここでリニューアルを考えてはどうかというお話がありましたけれども、リニューアルすべき点というか、こういうところが大事だよというところを教えていただけると有り難いと思います。
  24. 小針進

    参考人小針進君) ありがとうございます。  これ、作ったのは一九九八年なんですけれども、先ほど私、北朝鮮問題と言ったんですけれども、例えば拉致問題なんかも含まれていないんですよね。ですから、恐らく共通の課題幾つかありますので、特に北朝鮮問題、それからあと防衛協力、さっきGSOMIAというのが出てきたんですけれども、それは情報なんですけれども、もう一つ、ACSAというのが、部品を交換したりとかあると思うんですけれども、例えばそんなような具体的なことですね。  それから、あともう一つ、時間が余りないから言いますけれども、お互いやっぱり最近ちょっと足りないのは、お互いに対する敬意だと思うんですよね。例えば九八年のものであれば、この間の日本の役割、韓国の役割述べていますので、それからやっぱり二十年たって、先ほどワールドカップの話だとか韓流ブームとか出ましたから、その辺、何かお互い成果が上がった点なんかをもう一回レビューするとか、そういう要素が必要なんじゃないかと思います。
  25. 横山信一

    ○横山信一君 ありがとうございます。  続きまして、李先生にお伺いしたいんですけれども、ずばり北朝鮮の核・ミサイル開発の狙いというのは何なのかと。北朝鮮の自国の守りということでいうともう度を超していて、南進統一というか、そういう方向を狙っているのかどうか、そういうことを含めて教えていただきたいと思います。
  26. 李英和

    参考人(李英和君) お答えいたします。  何のためにここまで核に執着するのかということですけれども、自衛のためぐらいだったら二、三発でいいじゃないか、二十発持って、五十発あるいはそれ以上と、何のためにということが問題になります。  端的に言いまして、自衛のためではなくて、私自身は攻撃的な意味での外交を展開するためだというふうに思っています。核保有国には対等な立場で、非核保有国に対しては脅迫的な外交、強圧的な外交をするんだということ。  じゃ、何のために対等な立場を核保有国に対して確保し、そして非核保有国に対して、非核保有国、日本韓国ということになりますけれども、強圧的、脅迫的な外交を展開したいのかということですけれども、それは、先生おっしゃったように、今は無理ですけれども、将来的には通常兵器を整備、更新をして、通常兵器で韓国を統合、統一する、吸収統一する、赤化統一するという夢に向けて、それが可能かどうかは別にして、経済を再建し、その再建した経済を基に軍備を更新をし整備をしていくと。ちょうどトウ小平の改革・開放が同じことを考えたのと同じ理屈ですよね。そういう核外交をやっていこうということで、その表れが、例えば有効国であるにもかかわらず非核保有国のマレーシアに対して強圧的な外交姿勢を見せた、あるいは非核保有国のオーストラリアに対しては、最近、四の五の言えば核兵器を撃ち込むという声明を出すというところにもその片りんが表れているというふうに思います。  ですから、もう少し一分だけお時間いただいて言いますと、じゃ、どう対抗するのかということですけれども、一番簡単な方法は非核保有国でなくなること、核を保有することというのが一番軍事的に簡単な方法です。  実は、小針先生が論文の中で、参考資料で書かれていますけど、金大中政権、左派政権であるにもかかわらず、二〇〇〇年にこっそりと核開発をしようとしました。アメリカにばれてやめちゃいましたけど、叱られて。  なぜ二〇〇〇年にあの左派政権金大中政権が核開発をこっそりしようとしたのかというと、九八年にパキスタンで代理実験が行われて、北朝鮮が核保有を事実上したということを知ったがゆえに、北朝鮮と対等に交渉する、太陽政策、交渉、外交を看板に掲げる太陽政策でも対等な立場で交渉するには韓国も核を持たねばならないというふうに決心したからだと、途中で挫折しましたけど。この挫折した議論、いずれ韓国で再燃するでしょうし、金大中政権の衣鉢を継ぐであろう安哲秀中道政権ができれば更にこの議論が加速されて、日韓で、じゃ核を共同開発するかという議論、核実験は韓国でやらせていただきますというような議論にまで発展しかねないということ、その道を選ぶのかですよね。  あくまでも韓国日本は、将来、あるいは日本の場合は過去のことも考えて、非核保有国としてこの北朝鮮の核問題を政治的あるいは軍事的、あらゆる手段を使って解決するのかということが問われる。間違っても北朝鮮を核保有国として認めようと、これ以上つくらないんだということをレッドラインにして核保有国として事実上認めるということになりますと、遅かれ早かれ韓国そして日本の中でも核保有という声が出てくるということは避けられないというふうに思います。
  27. 横山信一

    ○横山信一君 ありがとうございます。  最後平岩先生にお聞きをしますけれども、朝鮮半島情勢の中でロシアの関与が大事なんだよというふうに教えていただいて、全くこの日本中国韓国中国そしてアメリカという関係の中でしか考えていなかったものですから意外なカードだということに気付かされたんですが、ここをもう少し教えていただきたいと思います。
  28. 平岩俊司

    参考人平岩俊司君) ロシアに関しては、一昨年だったと思いますけれども、金正恩がロシアを訪問するんじゃないかというような話もあり、ロシアと北朝鮮、かなり接近し、北朝鮮側に対する累積債務を帳消しにするというようなことも行われまして、経済的にもロシアの経済力が北朝鮮に入るという、そういう流れが少しでき始めたんですけれども、全体的には金正恩のロシア訪問が中断されてから少し収束していったというところがあるんですが、北朝鮮の対外姿勢を見ると、やっぱり中国影響力が大きくなり過ぎるということが北朝鮮にとってのある種の負担というか、最後中国に首根っこを押さえられるんじゃないかというところがありますから、どうしてもそのバランスを取ろうとしますので、そういうときにロシアというのは北朝鮮からすると非常に魅力的なんですね。  とりわけ、北朝鮮の今の対外政策の中心というのはアメリカを向いていますから、アメリカと対立をするロシアというのは北朝鮮にとって極めて魅力的な選択肢であって、ロシアからすればシリアの問題等で米ロが多少対立をしたときには北朝鮮に対する影響力を拡大できるチャンスだというふうに思っているでしょうし、それは対米関係のみならず中国を意識した関係でもありますので、逆に、このロシアの動きというのに割と日本は無頓着ですけれども、少なくとも北朝鮮問題に関連してということでいえば、そこのところをうまく利用するというのは一つの方法かというふうに思っております。
  29. 横山信一

    ○横山信一君 ありがとうございます。  じゃ、最後に少しだけ平岩先生にお聞きをしたいんですけれども、先生、あらかじめいただいた資料の中に、日韓関係の再定義をすべきときだということをおっしゃられているんですが、そこを短めに教えていただければ。
  30. 平岩俊司

    参考人平岩俊司君) これは本編の方でも少し言いましたけれども、やっぱりこれまで日韓関係というのは非常に価値観を共有するというようなことで協力関係ということを言ってきたんですけれども、もうそういう時代というのは恐らく終わったんだろうというふうに思います。ですから、それぞれ立場が違うから、例えば中国との向き合い方も、日本にとっての中国韓国にとっての中国というのはやっぱり違いますので、日本側はともすると韓国日本と同じような形で中国に向き合ってほしいというふうに思うわけですけれども、ここら辺の違いを前提にした上で一体どういう協力があり得るのかということを考えていく必要が恐らくあるんだろうというふうに思っております。  私も、具体的に新たな、何というか、日韓関係重要性、何が重要なのかということをきれいに定義しろと言われると、今の段階でまだなかなかうまく整理できていないんですけれども、従来のように協力するのが当たり前という時代はもう終わった。だから、具体的に何を協力しなければいけないのか、なぜ協力するのかということを考えていく、そんな時代に来ていると思っております。それの今チャンスだというふうにも思っております。
  31. 横山信一

    ○横山信一君 ありがとうございました。
  32. 鴻池祥肇

    ○会長(鴻池祥肇君) 武田君。
  33. 武田良介

    ○武田良介君 日本共産党の武田良介です。  今日は、三人の参考人先生、大変お忙しい中、ありがとうございます。  最初に、小針参考人にお伺いをしたいというふうに思っておりますが、先ほど藤田先生の方からもありましたが、カール・ビンソンが海上自衛隊と共同訓練をするということで日本海に入るのではないかという報道もあるわけですが、非常に威嚇的な行動というふうに取られかねないような、そういう状況があるかなというふうに思っておりますし、私も、威嚇的ということになりますと憲法にも触れてくるような、そういうものになってしまうのではないかということも懸念しているわけでありますが、小針参考人日韓の互いの眺め合いということもお話しいただきました。そういう関係から、今回の事態が日韓関係にどういう影響を与えるというふうにお考えか、まずその点をお伺いしたいというふうに思っています。
  34. 小針進

    参考人小針進君) 今のこのお話のあった問題なんですけれども、韓国の中でもメディアで二つ、ちょっと分かれていまして、一つは、韓国大統領選挙が近いので、それをちょっと、例えば左派的な大統領の誕生を阻止するために緊張をあおっているんじゃないかとか、いや、そうではない、米韓同盟あるいは日米同盟考えたら当然の動きなんだという、ちょっと二つの見方があります。  そのときに、日韓関係影響というのはなかなか直接的には何か議論になるようなことはないのですが、ただ、韓国の中で、米韓関係維持するにはやっぱり日韓関係も連動するんだ、重要なんだという議論は起きていますので、その部分では影響するんでしょう。  それから、あともう一つは、今のその日本人の退避の問題なんかで、日本の飛行機、自衛隊の飛行機なんかが入ることに関しての抵抗するようなやっぱり議論というのもありますし、ただ、どちらかというと、米韓同盟重視派というのはそういう飛行機は当然なんだという議論もあるし、その辺、非常に韓国の中でも日本を見る目がそれぞれ立場によって違うという、そういう現象があるということだけ紹介させていただきます。
  35. 武田良介

    ○武田良介君 ありがとうございました。  次に、平岩参考人にお伺いしたいと思うんですが、この調査会のテーマでもあります信頼醸成だとか永続的平和ということで、私自身そういうことを考えるときに、北朝鮮の核兵器の廃絶、北朝鮮に限らず世界中の核兵器廃絶ということはやっぱり永続的平和ということを考えても非常に重要ではないかなということは考えておりまして、報道等でもずっとありましたけれども、先日、国連の会議で、核兵器の禁止に向けた交渉開始ということで会議も始まっております。日本政府は出なかったということはあるわけでありますが、しかし、世界中はそういう方向に大きく動いてきたということがあると思うんです。  そういう中で、これから日本としてどういう役割を果たしていくのか、北朝鮮の核兵器廃絶を進めていく上でどういう役割を果たし得るのか、その点、お聞きしたいと思います。
  36. 平岩俊司

    参考人平岩俊司君) 非常に難しい問題だと思うんですけれども、核の枠組みというかレジームというのは、そもそも論として非常に不平等なことを前提に成立しているレジームでありまして、ある瞬間に核を持った国は持っていてもいいけれども、それ以外の国は持たない。その例外事項というのは幾つか出てきて、例えばブラジルだとかインドであるとかパキスタンであるとかというような国が持ってしまっているという、あとイスラエルですかね、そういうような状況が生まれるわけで、北朝鮮からすれば、アメリカやフランスやイギリスや中国、ロシアと一緒じゃないとしても、インドやパキスタンが持っているのになぜ我々が駄目なんだという、そういう理屈になるんだろうと思いますね。  そういう意味では、やはり日本は核を持っていない国ですので、そういう立場からこのレジームを維持し、当然、核を持っている国も減らしていくというその努力をするという、努力目標ですけれども、核を持っていない立場でのこのレジームを維持し、なおかつその例外事例を許さないというような働きかけ、それはその発信するメッセージとして核を持っている国が発するメッセージとまた違うメッセージにもなるでしょうし、それから、具体的にも、北朝鮮との交渉でいえば、もちろん北朝鮮自身が核の問題に関して日本と余り交渉しようとしませんけれども、これは粘り強く北朝鮮に、日朝関係の改善の前提というのは、御案内のとおり、小泉総理が北朝鮮を訪問されたときの日朝平壌宣言というのが基本になっているわけですから、日朝平壌宣言の実現という観点から積極的な役割を果たしていくということができるんだろうというふうに思っております。
  37. 武田良介

    ○武田良介君 今の関わりでお聞きしますと、やはり日本は、核保有国ではない、そして唯一の被爆国というやはり特別の位置にあろうかというふうに思うんです。その国連の会議は今度七月にまた開かれるということでありますので、この七月に向けて、本当に当面する数か月の間ですけれども、非常に日本の立場が重要になろうかと。日朝平壌宣言という話もありましたし、六か国協議という枠組みの中で対話による解決を目指していく、それが今の北朝鮮の緊張状態を解決していく上でも、日本がそこに積極的に関与して解決していく上でも重要かというふうに思いますが、この数か月間、とりわけどういうことが大事になるか、御意見を伺えればと思います。
  38. 平岩俊司

    参考人平岩俊司君) やはり、アメリカの今行っているような圧力路線というのがどういうような形で着地していくのかということと、それから中国がどういう形でアメリカ北朝鮮の緊張関係を折り合いを付けていくのか、恐らくそこが要注目であって、今の場合、残念ながら日本が単独で何かやれるということではありませんので、これはやはり日米関係の枠組みの中で、まあ韓国が次の大統領選挙で新しい政権ができれば韓国も含めてということですけれども、やはり、今の段階でいうと、日米関係の枠組みの中で、アメリカ北朝鮮に対する経験不足、これを補填し、なおかつアメリカを通して日本の国益なり立場というものが北朝鮮の核問題に反映されていくような、そういう関わり方をするということが重要なんだろうと思っております。
  39. 武田良介

    ○武田良介君 最後李参考人にお伺いしたいと思うんですが、今そういったことで非常に朝鮮半島をめぐって緊迫しているということで、お話にもありましたが、拉致問題なんですけれども、こういった緊張関係が高まり対話をしていくという枠組みがうまく活用できないということになってくると拉致問題の解決が難しくなってしまうのではないかというふうに考えますが、その点の御所見を伺いたいと思います。
  40. 李英和

    参考人(李英和君) おっしゃるように、今回の核危機の高まりで私が一番心が痛んだのは、拉致問題の解決が近づくんじゃなくて遠のいてしまったということの一点に尽きるというふうに思います。  北朝鮮が今回、四月に北朝鮮の国会に当たる全国人民代表会議で外交委員会なるものを新たにつくって、外交交渉に積極的に乗り出すつもりじゃないかという解釈がありますけれども、私はそうは思っていません。今回の外交委員会の新たな設置が日本との交渉、拉致問題の解決につながるという可能性、私は極めて低い、むしろ、あの外交委員会をつくって外交をやるというポーズの真の意味は、先ほど申し上げましたけれども、堂々たる核保有国になったんだから核保有国としての外交をこれからやりますよと、拉致だの制裁だの核だの四の五の言わずに、国交正常化をして賠償金を支払えというような姿勢で臨んでくるというその宣言ではないかというふうに私自身は解釈をしています。難しい。
  41. 武田良介

    ○武田良介君 ありがとうございました。  時間ですので終わります。
  42. 鴻池祥肇

    ○会長(鴻池祥肇君) 続いて、東君。
  43. 東徹

    ○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。  今日は、三人の参考人先生方、本当にありがとうございます。  まず、小針参考人の方にお伺いをさせていただきたいと思います。  日韓構造変化ということでお話がありました。韓国社会での道徳志向的なメンタリティーが高まっているというお話で、また、そこに向けて市民団体の圧力がかなり動きがあるというお話でありますけれども、こういうふうになってきたというのは、例えば一つ韓国での反日教育の影響なのか、そういったところ、何かいろんな理由があるんだろうと思います。見ていても特に若い方々たちがそういった活動をされているのも目にしますとやっぱり教育なのかなと思ったりもするんですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
  44. 小針進

    参考人小針進君) 今のお話なんですけれども、もちろん教育とかそういう問題もあるかもしれませんけれども、それよりも、韓国の今社会が非常に両極化、格差社会が非常に今広がっていまして、その中で、例えばもう一つ、宗教なんかもやっぱり非常に大きい力を持ってきていまして、その辺に頼るところというのがどうしても精神的なものにちょっと行くと。そうすると、その考えるということも、考える内容というのも、どちらかというと観念的にどんどんどんどんなってしまって、道徳志向的な要素が高まっているんじゃないかなということが一点。  それからあと韓国の今までの民主主義の成り立ち方というのが、例えば何か運動してやっぱり勝ち取った、つまり、一九八七年の民主化と言われているんですけれども、それ以外でも学生運動で何か勝ち取ったという歴史が長いので、その延長線上として、いろんな問題に関して、ちょっと非常に、ある対象物に対して非道徳性が一点でもあれば、それに焦点を当てて非常に突っ込んで全ての関係を崩すことも辞さないような、そういった社会になっているなということなんですね。ですから、教育だけのことではないような気がいたします。
  45. 東徹

    ○東徹君 ありがとうございます。  では、李参考人の方にお伺いをさせていただきたいと思います。  北朝鮮の脅威を除去する永続的な対処方法ということで、一番に経済制裁の強化ということで、担当医は中国だというふうなお話がありました。  今回、米中の首脳会談を通じてかなりアメリカ中国に対して働きかけを行ったというふうに思います。石炭の輸入は止めるとか、そんなお話も具体的には出てきましたけれども、ただ、どこまで効果が出るのかなというところは本当に不透明だというふうに思っておりますし、また、一方、ロシアとの万景峰号の定期航路もできたというところで、経済的制裁というのはどこまで効果があるのかというところをもう少し詳しく教えていただければと思います。
  46. 李英和

    参考人(李英和君) 一般的に、経済制裁は効果がない、あるいは現在も効いていないし効かないという見解がありますけど、私はそうは思っていなくて、大変な効き目があると、実際あったということは実証されていると思います。  それは何かといいますと、先ほど、九一年に北朝鮮がソ連崩壊に調子付いて核開発を始めたと言いました。それを察知した中国は、九二年、江沢民政権ですけど、北朝鮮に対する食糧援助を黙って、世界中に宣言せずに、制裁しますよと全く何も言わずに、別の理由を付けて、中国がひでりだから、食糧が足りないからという理屈で、北朝鮮に食糧を突然九二年に止めました。そのおかげで九三年、四年から北朝鮮で大飢饉が起きたということですよね。大飢饉のせいで死亡者三十万人とも百万人とも、あるいは国民の十人に一人とも言われる犠牲者が出たということです。大変効いたと。ただし、痛ましい効き方ですけれども。  実は、私自身、その大飢饉、中国の無言の制裁で起きた大飢饉、強烈な効き目でした。そのさなかに、最盛期に、北朝鮮の難民を助ける、脱北者を助ける救援活動を始めました。そのときに感じましたけれども、九七年、八年、その大飢饉のさなか、中国の事実上の制裁で起きた大飢饉のさなか、北朝鮮の独裁政権の力は地に落ちてしまいました。誰も秘密警察を恐れない、秘密警察を押しのけて脱北するということですね。収容所に行きたいのか、それじゃ収容所に入れるぞと言われても、じゃ入れろ、飢え死にするんだったら一緒だからと言って押しのけて中国に逃げると、そういうことがあった。要するに、恐怖政治の権威が、あるいは社会システムが崩壊したというふうに言ってもいい。  その頃に、私自身、横で見ながら、ここで一撃、外科手術を行えば簡単に倒れたはずだというふうに信じて疑いません。中の人もそう言いました。今やれば、今攻めていけば、あっという間に倒れるのにと。ところが、攻めなかった。中国経済制裁だけが効いて、その後の後続処置、外科手術を怠ったということ。それどころか、もうふらふらで倒れそうなときに韓国が太陽政策を始めて、太陽政策を始めた韓国を見て中国経済制裁をやめてしまったということですね。  そういうことを見ますと、経済制裁だけでは目的を達成できないのは事実かもしれませんけれども、北朝鮮の体力を大きく奪う、独裁政権の機能を半分麻痺させることは可能だということが実証されている、それも中国の制裁でということになるということですね。  中国が当時一生懸命やったのは、先ほど言いました繰り返しですけど、北朝鮮の核の脅威を自身が感じたからですね。アメリカにやれと言われたからではない、自己都合でやったということ。今回の制裁、今やろうとしている中国が、制裁がトランプに言われたから仕方なくならざるになるでしょう。しかし、先ほど言いました、北朝鮮の核ミサイルの照準が北京に合わされているという段階に入ったのなら、自己都合の経済制裁をやる。そうなれば、九〇年代の中国の制裁の再現、大変効くと。絞め殺すところまでは行きませんけれども、失神させるところまでは中国はやると。失神したところにとどめを刺すかどうかは、中国ではないほかの人たちの役割ということになるということ、そういうふうに思います。
  47. 東徹

    ○東徹君 ありがとうございます。  それでは、最後平岩参考人の方にお聞きしたいと思います。  今、北朝鮮の金正恩体制になって、親族を殺したりとか、そしてまた今回のミサイルの発射、そしてまた核実験、こういった情勢韓国国民はどういうふうに思われている、もちろん脅威に感じているんだろうと思うんですけれども、先生の御自身のいろんな情報がもしありましたら、韓国国民がこれをどう見ているのか、是非教えていただきたいと思います。
  48. 平岩俊司

    参考人平岩俊司君) 韓国の、私も全般的によく分かっているわけではないんですけれども、まず、北朝鮮韓国は違うというふうに思っているところがあって、とりわけ、これは世代にもよるんですけれども、例えば大学に来る留学生なんかの話を聞いておりますと、若い世代では、もう統一なんかする必要はないし、むしろ嫌だと。あんな体制と私たちは別物であるという、ある種、自分たちとの関係性みたいなものを拒否するケースが多いように思います。ですから、そういう意味で、ああいう体制というのは、当然ですけれども、拒否感を持って考えているでしょうし。  ただ、恐怖感を持っているかというと、日本ほど恐怖感はどうも余り感じられないというのが正直なところで、そこは、どうなんですかね、分かりませんけれども、同じ民族だからめったなことしないだろうというふうに思っているのか、でも、朝鮮戦争というのがありますので、朝鮮戦争がありましたからそれは少し楽観的なのかもしれませんが、北朝鮮問題についてのミサイルだとか核についての関心日本の方がむしろ高いような、そんな印象を持っております。
  49. 東徹

    ○東徹君 時間になりましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  50. 鴻池祥肇

    ○会長(鴻池祥肇君) 続いて、木戸口君。
  51. 木戸口英司

    木戸口英司君 今日はありがとうございます。  希望の会、自由党の木戸口英司でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  まずは、李参考人にお伺いをいたします。  今もお話あったんですが、中朝関係、もう少しお聞きしたいと思うんですが、ここにも金正恩政権の好戦的性格ということ、突然変異説ということで、反中国ということが、しかも核が北京を向いているのであろうということ、そういう性格性というか、国の、北朝鮮のありようということ、そもそもどういう狙いの下に中国というところに向いているのか、好戦的ということだけではちょっと私たち理解に苦しむところもあるんですが、元々理解ができないところが多い国であるんですけれども。  それと、中国ですね。やはり核廃棄ということが大きく安全保障上ということであるんだろうと思うんですが、アメリカからのプレッシャーもあり、いろいろこれからの動きも出てくるんであろうと思うんですけれども、そもそも、中国は今、北朝鮮の体制をどのような形であること、あるいは朝鮮半島がどのような形であることを望み、そしてこれからの北朝鮮へのプレッシャーというものを掛けていくのか。経済制裁を掛けていくということであれば、むしろ外交的チャンネルというものはもうないものとしてそういう制裁に当たっていくということ、そしてその先をどういう形に今持っていこうとしているのか、その辺を教えていただきたいと思うんですが。
  52. 李英和

    参考人(李英和君) 大変難しい、一番難しいテーマかなというふうに思います。奥の院の話だというふうに思うんですけど。  私の方から言えることは、金正恩体制、先ほど平岩先生からもお話あったように、思い付きで何かやっているんじゃないのは確かですよね。じゃ、何なのかということです。体制というのは何か、あるいは制度は何かということですけど、私の理解では、体制というのはそのときに支配的な価値観だと、要するに感情だというふうに思っています。じゃ、北朝鮮の場合は何か、金正恩体制といえば何かというと、一人独裁の金正恩の価値観、感情に尽きるというふうに思います。  じゃ、金正恩の価値観とは何かということですけど、親子の三代世襲ですからDNAがつながっているというふうに理解されがちですけれども、私は突然変異説を取っている。その突然変異説は何でもって言えるかというと、おじいさんも父親も中国には微妙なスタンスですね。全面的に中国を信頼するというのではない、半信半疑、懐疑的ということですけど、金正恩氏の場合には、それを通り越して反中国を鮮明にしているということですね。  彼の口癖は、日本は百年の敵だ、中国は千年の敵だと。その伝でいきますと、アメリカはせいぜい五十年ぐらいの敵にすぎません。中国の方が敵だという認識ですね。それは、ある意味では、朝鮮民族の歴史観からいえば正しい認識。千年の敵はある意味では間違いで、二千年の敵というのが正解かもしれません。それぐらいのものですよね。しかし、いずれにせよ、何年の敵であろうが、公然と対決する、そういう言動を公にするということはなかったのにもかかわらず、それが顕著だと。  金正恩氏と中国の指導者習近平氏、会談が行われていないと。それは習近平氏が呼ばないからだというふうに言う人もいますけど、全く間違っている。習近平氏は、就任前から何回も金正恩氏に会おうと言っている。にもかかわらず、金正恩氏が会わないというのが事実です。なぜ会わないのかというと、会いたくないという一点に尽きるということですね。対等な関係でしか会わない。対等な関係というのは、堂々たる核保有国として認められた上で、あるいは中国が最低でも核保有国と認めて礼遇された上で、対等な立場で胸を張って相対したいと、それまでは行かないということと、もう一つは、突然変異説の最大のポイントだと思います。  私は繰り返し注意を喚起していますけれども、金正恩氏、社会主義をつくったお父さん、おじいさんの衣鉢を継ぐのか。違うと思いますね。金正恩氏の中では、社会主義の大切さよりもナチスの政策の方が価値が高いと。  その証拠に、レジュメでも書きましたけれども、就任した最初の年に、あろうことかアドルフ・ヒトラーの「わが闘争」、そんなものは北朝鮮に本としても存在しなかったのに、それをわざわざ作って百号図書、百号図書というのは、北朝鮮の最高幹部って何人いるんだとよく聞かれるんですけど、大体百人なんですよね、だから百号図書、百人に配る本だから百号図書。それを、わざわざアドルフ・ヒトラーの「わが闘争」を配って、なおかつ、そのとき、経済部署に対してはナチスの経済政策を研究するようにという命令を出しています。そのナチスの経済政策の研究の成果なんでしょうか、結果でしょうか、並進路線とよく言われます、北朝鮮経済と核の並行開発。並進路線というのは、実はヒトラーがやったアウトバーン建設とそして軍拡の並進路線をまねたものだというふうに言っていい。  いずれにせよ、ヒトラーに傾倒をしているということになるということ。ヒトラーに傾倒しているということは、誇大妄想、時代錯誤の民族主義と。時代錯誤の民族主義こそが、反中国、二千年の朝鮮半島の歴史の中で初めて中国に盾を突く、盾を突ける指導者になるんだという誇大妄想、時代錯誤の英雄主義というふうに言えるんじゃないでしょうか。それに基づいての行動と。  お父さんは、おじいさんは日本と戦ったと、勝った勝ったと言っています、勝ったわけではないでしょうに。朝鮮戦争、アメリカと戦って、勝った勝ったと言っています、勝ったわけではないでしょうに。事実ではありませんけれども、建国神話、日本アメリカ相手の建国神話です。それを乗り越えるのが彼の夢だというふうに見ていいと思います。どうやって乗り越えるのかと。中国と渡り合える国をつくったという建国神話をつくりたいということだというふうに見ていいというふうに思います。
  53. 木戸口英司

    木戸口英司君 中国北朝鮮をということは。
  54. 李英和

    参考人(李英和君) そういう敵意を持った相手だということを重々承知をした上でですけれども、正直、僕の目から見ると、中国、どうしたらいいかは分からない。経済制裁はある意味で分かりやすい政策ですけれども、じゃ、それを超えて武力行使をするだの政権交代を自分でするだのと手を掛けるというところの構想はできていないと。現状の北朝鮮には不満だけれども対案がない、対案を描けないというのが中国。  北朝鮮問題で現状に不満だけれども対案を描けないということだけじゃなくて、これが中国の限界なんでしょう。北朝鮮問題だけじゃなくて、南シナ海であったりあるいは世界秩序に対して、中国は何もかも不満ですけれども、対案は出せないまあ同じような状況。  ですから、政権交代が仮に起こったとして、その政権交代、自分の思い描く色の付いた政権にするために積極的に動くということはあり得ない。その唯一の可能性だった親中国派の大物、張成沢、それから中国が保護してきた金正男、カードを二枚とも殺されてしまったという現在では、内政干渉というか政権交代にコミットするということはお手上げだと放棄したというふうに思います。  唯一、新しい政権、どんな政権でもいいけれども、アメリカ軍が国境まで来ないようにという一点だけさえ守られれば容認するというふうに見ていいと思います、結果的には。積極的に潰す動きには出ないと思いますけど、軍事的に、政治的に。
  55. 木戸口英司

    木戸口英司君 ありがとうございました。  もう時間になりましたので、ここで終わります。
  56. 鴻池祥肇

    ○会長(鴻池祥肇君) 続いて、伊波君。
  57. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 沖縄の風の伊波洋一です。沖縄から選出されております。  まず最初に、今日は、本当に三名の参考人の皆さん、いろいろ貴重なお話ありがとうございました。  李英和参考人に聞きたいんですけれども、今日は大変厳しい現実の話を聞かせていただきましたが、ただ、それが事実であるならば、アメリカ中国も当然承知をしているということだと思います。その上で、オバマは忍耐、トランプは強い圧力で、基本的にはソフトランディングを目指しているのだろうと思いますが、いわゆる北朝鮮の崩壊とかあるいは戦争とかというものを避けながら解決をしていく道筋を、今、空母を派遣するにしても、そういう道筋を頑張って取り組んでいるんだろうと思いますが、一つは、先ほど来ありますように、韓国における北朝鮮のミサイルへの脅威感というものが多くはないと。  私も、九〇年代から、韓国の方々は、いや、北朝鮮の核は私たちに向いているのではない、アメリカに向いているんだという話をよく聞かされまして、むしろ米軍基地のある日本や沖縄の方がより脅威に感じるわけですけれども、この韓国人北朝鮮に対する脅威感のなさというものについて、どのようにお考えでしょうか。
  58. 李英和

    参考人(李英和君) 先ほど平岩先生も同じようなことをおっしゃったんですけど、年配の方は朝鮮戦争の記憶もありますから同じ民族だといっても信用できないという方が結構多いのに対して、若い人は同じ民族なんだからまさかというのが強い。しかし、そういう世代間の差はあるはずなんですけれども、異口同音に核ミサイルの問題については、不思議なことに、北朝鮮政権韓国に実際に核ミサイルを撃ち込むということはないだろうというふうにほとんどの人がたかをくくっているようですね。じゃ、どこへ撃ち込むのか、何のための核ミサイルなのかと。アメリカというお話ありましたけど、韓国関係者の方がよく言うのは、うちには撃ってこない、アメリカにも撃たない、日本に撃つんだ、決まっているじゃないかというような話で、本当にもうつくづく嫌になってしまいますけれども、少なくともそう考えていると。  実際問題、こういうことだと思うんです。私は、第二次朝鮮戦争はいつかは起こり得るかもしれない、核ミサイルは韓国には使わないという認識はある意味正しいというふうに思っています。使わないだろうと思います。なぜかといいますと、核を、核ミサイルを韓国に使ってしまうと韓国を焦土化する、焼け野原にするということです。  北朝鮮韓国の南進統一、赤化統一を狙う最大の要因は、自分が耕していない他人の豊かな土地、南の豊かな土地を、収穫物と耕し人もろとも自分のものにしたいからですよね。それを焼き払ったら何も残らない。それどころか、再建するのにお金が掛かってしまいます。ですから、焼き払わないということになります。奪うだけと、奪う対象です。に対して、韓国よりも日本の方が豊かな田畑、豊かに実っていますけれど、北朝鮮から見れば、海があって他民族でとてもやないけれども占領できない、奪うことができない。逆に言いますと、焼け野原にしても惜しくないと、そういうことになるんじゃないでしょうか、残念ながら。そういう感覚の持ち主だと思います。
  59. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 ありがとうございます。  時間が限られていますので次に移りますけれども、平岩参考人にお伺いします。  北朝鮮外交関係を樹立している国は結構多いわけで、マレーシアでの金正男事件というものは、マレーシアがいかに北朝鮮に観光客を送っていたかということが報道で知ることになりましたけれども、金正恩体制であっても、北朝鮮外交というチャンネルでの国としての対応というものがやはり一応は正常に動いているというふうに理解はしているんですけれども、その中で、最終的には外交関係を通してしかこの今の危機は解決できないと思うんですが、その解決の見通し等についてどのようにお考えですか。
  60. 平岩俊司

    参考人平岩俊司君) ありがとうございます。  北朝鮮が国際的に非常に孤立しているという、そういう印象があるのは事実なんですけれども、実態としても私は孤立している方だと思うんですが、ただ、我々がイメージするよりはやっぱり外交関係ってあるわけですね、今回の東南アジアのその問題を含めて。  例えば、国連の経済制裁が余り効果が出ていないことは中国の責任として言われるわけですけれども、今回の金正男の事件で、東南アジアというのが一つのそういう抜け道になっていたということがかなり明らかにされていることからも分かるように、やはり北朝鮮外交空間というのは、別に中国だけに限定されたものではなくて、恐らくいろんなところがあるんだろうと思います。  御質問の外交による問題解決ですけれども、北朝鮮からすれば、もちろん緊張が非常に今高まっている状況で、緊張が高まれば、次はどこかのタイミングで外交に転じて、話合いで何らかの着地点を持ちたいと思っているんだろうと私は思っています。  ただ、その場合問題なのは、北朝鮮が言う外交というのは、要するに今の核兵器を持ったまま、それを受け入れてほしい、受け入れろという、そういう外交ですから、我々が考える外交というのは北朝鮮を核放棄させるための外交ですので、外交でまずスタートするときの立ち位置がもう全然違うわけであります。ですから、その立ち位置のずれを中国がどれぐらい埋められるのかというのが恐らく今後のポイントになってくるんだろうと思います。  かつて、六か国協議に北朝鮮が復帰をするといって、六か国協議、何となくイメージとして北朝鮮の不誠実な対応で止まっているということになる、実際そうなんですけれども、中国は、金正日がまだ生きている時代ですけれども、六か国協議再開を北朝鮮側に約束をさせると。ところが、日本アメリカ韓国は、北朝鮮の核放棄を明確にしない限り、そんな会議やったって単に時間を与えるだけだということで非常に否定的で、結果的に六か国協議再開できなかったんですけれども、まさにこの立場の違いをどうやって埋めるのかというところが恐らく今後の中国課題ということで、アメリカが今一生懸命プレッシャーを掛けているところでいえば、中国北朝鮮寄りの形での協議ということではなくて、日米が納得できるような協議のプラットホームをいかに設定するのかというところなんだろうと思います。
  61. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 北朝鮮が望んだ直接米国との対話というのが今軍事的対話になって表れているわけですけれども、それも一つはそういう意味ではその結果だと思うんですが、今おっしゃるように、ここにも書いてありますように、金正恩体制にも行動原理がある、それから彼らなりの合理性があるということを考えると、一体北朝鮮というのはどういう形で自分の国を、将来を見据えているとお考えですか。
  62. 平岩俊司

    参考人平岩俊司君) 恐らく今の状況でいうと、父親の金正日の時代というのは、冷戦が終わって自分たちの体制が非常に危うい、そこをある種危機管理で、先軍政治という形で最高指導者が軍と一体化してあらゆるものを決定し運営していくという、そういう体制だったと思うんですが、それを本来の姿に戻しているというのが今のプロセスなんだろうと思います。  それは、やはり党が軍あるいは国家をコントロールするという姿で、その中枢に金正恩がいるという体制なんでしょうけれども、やはり前の金正日の時代になぜ危機管理にしなければいけなかったかというと、アメリカからの脅威、これに対抗しなければいけないと。要するに、冷戦が終えんするプロセスで韓国中国、ロシアと国交正常化したために、中国、ロシアが北朝鮮に提供してくれていた核の傘がなくなった、だからこそ自分たちで何とかしなければいけないというのが彼らの勝手な理屈です。勝手な理屈で、それで核開発に進むわけですから、それがもうある程度完成したということになれば、これは、核を持ったまま国際社会に受け入れてもらえれば、これは例えばアメリカとの関係が構築すれば世銀を始めとするところからの経済協力もできるだろうし、対外的な経済関係というものも回復できるという、恐らくそういう非常に身勝手な思いを持っているんだろうと思います。
  63. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 ありがとうございました。  あと最後小針参考人にお伺いしますけれども、沖縄には多分この五百万人の一割の韓国の方々が観光客で来るんですね。もう今二百万人を超えるようになりましたので、そういう意味では大変アジア、東アジアの平和というものは沖縄にとっても大事だと思うんですけれども、やはり韓国の社会と日本の社会の大きな違い、今日は教えていただきました。このメンタリティーの違いというものを埋めていく、道徳的な観念という、その一つ日本側から韓国を見るときに、やはり寛容をもって見る見方としてどういうふうにすればいいのかということを、もしアドバイスがあれば。
  64. 小針進

    参考人小針進君) やっぱり非常にそれは根本的に難しいお話なんですよね。  お互い非常におかしいなという感じで見てしまいますので、とにかくもう、一言で言うと、愚直にいろいろ交流していくしかなかなか理解のし合いがないのかなという気がするんですね。  最近、日本人韓国のことを知るためには結構韓国メディア日本語版というのを見ているんですけれども、でもそれがかえって逆効果のこともありまして、こんな議論が日本のことでされているんだなという、非常に、ですから接触があるからいいというわけでもないので、なかなか難しい問題です。済みません、この辺で。
  65. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 ありがとうございました。終わります。
  66. 鴻池祥肇

    ○会長(鴻池祥肇君) 以上で各会派一巡の質疑は終了いたしましたので、これより自由に質疑を行っていただきます。  質疑のある方は挙手を願います。  今井君。
  67. 今井絵理子

    今井絵理子君 本日は貴重な話をありがとうございました。  厳しい又は緊張感の続く北朝鮮問題についてちょっと質問させていただきたいと思います。  朝鮮半島に携わる専門家のお三方に、一人一人お答えしていただければなと思っています。私から二点、ちょっとお聞きしたいなと思っています。  先ほど先生がおっしゃっていた制裁の効果について、李参考人は効果がある、しかし経済制裁だけではいけないということで、この制裁には抜け道がもしかしてあるのか又はないのか、また、今のこの制裁に対して手詰まり感があるのかないのかということをお聞きしたいなと。また、ほかに課すべき圧力があるのかないのか。それともう一点、制裁措置は強化と緩和の際に効果があると言われていますが、緩和により対話の機会を得るなどの効果は期待できるかどうか、お聞き願えたらなと思います。
  68. 鴻池祥肇

    ○会長(鴻池祥肇君) どちらの先生から。
  69. 今井絵理子

    今井絵理子君 じゃ、小針参考人
  70. 小針進

    参考人小針進君) 私はちょっと北朝鮮のこと余り詳しくはないんですけれども、まずその制裁のことでいうと、抜け道というお話ですよね。今まで十何年以上この制裁措置とってきたわけですけれども、結果的には核の開発ってやっぱり進行しちゃっているわけですよね。そういう意味でいうと、それは必ずしも成功しているわけじゃなくて、やっぱり失敗しているわけで、抜け道が多分あるんだと思います。  その抜け道というのはどこなのか。それはちょっと私、すぐ分からない。例えば、この前、東南アジアにいろいろ窓口があるなということはちょっと何か幾つかのことで分かったり、あるいはアフリカの方でも幾つか接触があるという報道が出ていますので、中国以外の幾つかのやはり、何というんでしょう、経済的な抜け道というのはあるんではないかなというふうにちょっと思います。  まずちょっと、これだけ私の方は答えます。
  71. 今井絵理子

    今井絵理子君 ありがとうございます。  それでは、李参考人
  72. 李英和

    参考人(李英和君) 経済制裁は、よく誤解があるんですけれども、目的は、相手国を倒すんじゃなくて、相手国の間違った政策を変えてもらおうという、そういう趣旨で行われるものですよね。倒すんだったら戦争以外にないんですけれども、制裁で政策変更をということです。  効果がない、核持ったままじゃないかということが言われますけれども、それはそうなんですけれども、経済制裁というのは、相手国に与えるそろばんで計算できる金額の損の大きさで測るものじゃなくて、損が大きかろうがちっちゃかろうが、その結果として内部で起きる政治的な変化、暴動が起きたり、クーデターが起きたり、あるいは側近が離れたりという政治的な効果がどれだけあるかということが重要だという意味です。そういった意味でいいますと、中国の制裁は大きな効果が期待できる、政治的効果が期待できる。金額がどれだけ損させられるかじゃないということ、政治的な効果は大きいだろう。  例えば、前回の九二年から始まった中国の制裁、事実上の制裁でいいますと、核放棄には至りませんでした、何百万死なせても平気な顔している独裁者ですから。ですけれども、別の変化を誘導したのは事実です。大きな変化です。何かといいますと、社会主義経済から、北朝鮮は、大飢饉を通して、中国の制裁のせいで市場経済、闇市場経済を事実上公認せざるを得なくなって、今、闇市場、市場経済なしでは生きていけない国になって、もう社会主義に戻ることはできなくなったと。社会主義をやめさすことはできた、事実上ですね、という大きな効果があったという、それを教訓にすべきだと。  繰り返しますけれども、前回の制裁が目的を達成できなかった、核放棄の。それは、制裁単体でやり、なおかつ制裁を途中で台なしにする大きな大きな抜け道、太陽政策ができたからだということですね。  今現在の抜け道ってないのかといいますと、今現在は、太陽政策、今はやめていて、またやるかもしれませんけど、新しい政権が。これ何としても止めなきゃなりません。これをやらせると中国また制裁やめてしまいますから、ですから絶対に続けさせなきゃならないんですけど。今の抜け道は、中国政府一生懸命やっていますけれども、やってきたと中国も言いますけれど、中国政府の目の届かないところで、現地レベルで、あるいは現地の人民解放軍レベル、瀋陽軍管区、昔の表現で言ったら、軍と軍同士の腐れ縁で行われてきた密輸ですよね。それで骨抜きになってきたということですけど、今注目すべきは、この密輸を徹底して取り締まり始めたということです。抜け穴は中国の中では大きく塞がれてきつつある。他方で、今年の五月以降、韓国という大きな抜け穴ができそうだということになるのかなというふうに思います。
  73. 今井絵理子

    今井絵理子君 平岩参考人からもお聞き願えたらと。
  74. 平岩俊司

    参考人平岩俊司君) まず、経済制裁の効果でありますが、これは残念ながらこれまでのところ我々が期待するような形での効果は出ていないというのが現状かと思います。じゃ、やめた方がいいのかという話になるんですけれども、それは私はやめるべきではなくて、やはりその抜け道を一つ一つ閉じていくという、非常に地道で根気の要る作業なんですけれども、これは続ける必要があろうかと思います。  とりわけ、昨年の第四回目の核実験とか五回目の核実験の後にそれぞれ決議が出るんですけれども、その決議の基本的な考え方というのはいわゆる二次的制裁というものであって、セカンダリーサンクションというふうに言われますが、要するに、北朝鮮に対する制裁だけではなくて、北朝鮮と交流のある企業に対する制裁、これはとりわけ中国が中心になってくるんですけれども、こういう流れになっておりますので、こういう形でできるだけその抜け道を塞いでいくという必要があろうかと思います。  それから、先ほど李参考人の方から韓国の話が出ましたが、とりわけ開城工業団地のことを御指摘なんだろうと思うんですけれども、もちろんその御懸念は分かりますけれども、この開城工業団地に関しては、去年の一月の核実験を受けて、核関連に資金が流れていたということを原因で止めているわけですから、これは韓国単独で止めていただくわけにはいかないわけで、これは当然、核問題ということであれば当然国連決議の対象になりますので、これは韓国が単独で再開はできないということを、日本政府としては繰り返し強調していく必要があるんだろうと思います。  それから、緩和のタイミングでこれが一つのカードになるんじゃないかという御指摘なんですけど、これも御指摘のとおりなんですが、これも北朝鮮の態度が改まらないと、単に対話の場をつくるだけでは北朝鮮のある種の安全地帯をつくってしまうということがありますので、要するに対話を続けている間はその圧力が加わらないというような状況になりますので、そこら辺も含めて考えていく必要があろうかと思います。
  75. 今井絵理子

    今井絵理子君 ありがとうございました。  なかなか進まない日本北朝鮮関係ですが、諦めずに、国民の皆さんが安心できる日が来ることを願って、質問を終わります。
  76. 鴻池祥肇

    ○会長(鴻池祥肇君) 古賀君。
  77. 古賀之士

    ○古賀之士君 民進党・新緑風会の福岡県選出の古賀之士と申します。よろしくお願いいたします。  三人の参考人先生方には、大変貴重なお話をありがとうございました。  まず、李参考人お話を伺います。  先ほど、九〇年代の前半、それこそ脱北者の方の中には秘密警察を押しのけてでも脱北をするような、そういう時期もあったというお話がございました。では、現状、今最もタイムリーな時点で、今の北朝鮮の方々の庶民の思いといいますか現状、これ分かる範囲で結構でございます、今、指導部との温度差やあるいは思いの濃淡、こういったものがもしお分かりでしたら教えていただけないでしょうか。  あと、来年は韓国では平昌オリンピックも開催されます。こういった例えば情報自体がどの程度北朝鮮の庶民の皆様方に入っているんだろうか、現状の危機感というのが北朝鮮の庶民の皆さんたちにとってどの程度情報入っているんだろうか、そういったものも併せて、もしよければお聞かせ願えればと思います。
  78. 李英和

    参考人(李英和君) これもなかなか難しい御質問なんですけど、こういう角度から答えたいと思いますけど、先ほど経済制裁の話に関連しますが、経済制裁が効いていないという証拠としてよく言われるのが、北朝鮮の物価が上がっていない、この間全く、あるいは通貨も安定していると。それは効いていない証拠だというふうに言いますけど、私はそうは見ていなくて、経済制裁掛けますと、当然、掛けられた方は何らかの防御反応を示しますから、それを相殺しようとしますからいろんな動きを取るんですけど、北朝鮮の場合もその防御反応が利いている。  じゃ、金正恩政権がうまく防御しているのかというと、そうじゃなくて、庶民が勝手に自分たち生活を一生懸命守っているということですね。民間防衛と言いますけれども、民間防衛が働いていると。  要するに、北朝鮮では、長い間社会主義の下で、働かないことが格好良かったんですよね、美徳だった。働くやつは格好悪いということだったんですけど、突然火が付いたように働き出して、欲しいものができたから、いっぱいあるから。大飢饉の後の闇市の発達で、あれが欲しいこれが欲しいで、今までは一時間しか働いていなかったのに、八時間一生懸命働けば当然生産性は上がります。それが制裁の中で起きている通貨の安定、物価の安定の本質。金正恩がうまく対処しているんじゃなくて、庶民が勝手にやっている、自分たち生活を防衛しているということ。そのおかげを被っているという言い方はできるかもしれません、金正恩政権は、庶民の、何というか、活力の。  問題は、その活力もいよいよ尽きようとしている。庶民が自分たち生活を守るための経済活動を一生懸命やる、あるいは労働時間を倍に増やすといっても、寝なきゃなりませんから、四時間を八時間にすることはできますけど、八時間を十六時間に増やすことはできません。  その今天井に当たっているというのと、もう一つは、その八時間働くための商売の種になる中国からの密輸品が、今、中国止めようとしている。中国からの密輸が止まれば、中国との関係が悪くなればもう生活が守れなくなるということをはっきりと認識して、激しく今動揺を始めています。これまでの経済制裁では動揺しなかったのに、何とかやる、自分らがと、お上に何もしてもらわぬでも自分たちがということでやってきたのに、もう限界じゃないかということを感じ始めているのが一点。  それから、先ほど言いましたけど、北朝鮮の軍部は、中国が背を向ける、何か、殴ってくるとかそうじゃなくて背を向けるんだ、殴りかかるんじゃなくて背を向けるんだということがはっきり見えたら、その瞬間に離れる。北朝鮮の軍部は、中国の軍部との関係なしに生きていくことはできない、やっていくことができないということをはっきりと知っているから。ですから、今の中国の制裁の掛け方、掛かり方に対しては、庶民もそして北朝鮮の軍部も相当な危機感を感じざるを得ないし、今回は乗り切れることができるのかなと、いろんな意味で。  経済制裁は、一番の問題は、独裁者にダメージが行かないで、ダメージは独裁者が一般庶民に転嫁して、北朝鮮の大飢饉があったように国民がばたばた死ぬ、飢える、あるいは貧困に悩むという副作用が心配でしょうけれども、それはある意味では民間防衛が働いているという意味でいいますと、物価が上がっていない、通貨も安定している、庶民が普通に暮らしているというのは副作用がないということですから。庶民に副作用なしに権力層だけに効いているんなら、これほどハッピーなことはない。  よく、戦争よりも経済制裁の方が非人道的だと言われます。なぜかというと、鉄砲の弾は、爆弾の破片は豊かな人、貧しい人、権力のある人ない人、平等に当たりますけれども、経済制裁は貧しい人だけにピンポイントで当たるから、命を奪うから。経済制裁するぐらいなら戦争した方が人道的だという意見があるぐらいですよね。  しかし、その非人道的だと言われる経済制裁の副作用、幸いなことに民間防衛が今働いて、だんだんそれがきつくなってはきていますけれども、かつてのように飢え死にするということを心配せずに権力層に痛手を与えるということが可能になったというふうに私は見ています。
  79. 古賀之士

    ○古賀之士君 ありがとうございました。  平岩先生は、それこそ金正男が暗殺されたときの新聞の記事で、当分はそれでもこの金体制はしばらくは続くであろうというようなことをコメントされていらっしゃいますが、現状もそのお考えにお変わりはございませんか。
  80. 平岩俊司

    参考人平岩俊司君) これは分かりませんけれども、体制の問題ですので、様々な問題はありつつも、当分、何というんですか、今日明日どうこうなるというような体制ではないんだろうというのが今の私の見立てであります。  それは、その一つ経済の問題もありますし、それから対外的な姿勢、とりわけ核、ミサイルについての明確な目標設定とそこへの着実な進み方を見ていると、体制が残念ながら我々が期待するような形で内部から瓦解していくような状況にはまだないんだろうというふうに思っていますし、余りそれを期待して、北朝鮮と向き合う場合に、何といいますか、北が動揺するからということを前提に政策を組み立てていくと、かえって北朝鮮に時間を与えてしまう、結果的に我々が期待するような結果につながってこないというふうに思っております。
  81. 古賀之士

    ○古賀之士君 ありがとうございました。  小針参考人に伺います。  先ほどもちょっとお話しさせていただきましたけれども、平昌オリンピックが来年、もう一年切っている状況です。韓国としては、やはりもうそこに迫っている危機というものもありながら、また、平和の祭典とも言われるオリンピック、スポーツイベントも乗り切らなければならないという状況にあると思います。今現状、最もタイムリーな状況お話しいただけないでしょうか。
  82. 小針進

    参考人小針進君) 平昌オリンピック自体が余り盛り上がっていないところがちょっとあって、むしろ日本の方が報道が多いというようなものが韓国で出ております。  それと、あと、北との危機の、安保との問題で平昌オリンピックを結び付けるというのが余りなくて、これは先ほどから幾つか議論になっていますけど、日本ではよく平和ぼけという言葉を使いますけれども、韓国だとむしろ脅威ぼけというか、もうずっとそういうふうに北の脅威というのが言われ続けてきているので、ちょっとその辺のところが鈍感になっているような、安保不感症という言葉があるんですけれども、そんなような状況というのはやっぱりいつのときでもありますね。  今回の大統領選挙は比較的安保の問題というのが前面に出ているんですけれども、これまでの選挙は実はそれほどではなかったんですね。  今、そんな状況だと思います。
  83. 古賀之士

    ○古賀之士君 三人の参考人の方々、ありがとうございました。  時間になりましたので、以上です。
  84. 鴻池祥肇

    ○会長(鴻池祥肇君) 真山君。
  85. 真山勇一

    ○真山勇一君 民進党・新緑風会の真山勇一です。よろしくお願いします。  今日は、一番やっぱり今焦点になっている朝鮮半島をめぐるお話、お三人の参考人の方から大変いろいろなことが分かるお話伺いまして、ありがとうございました。  お三人の方に伺いたいんですが、まず小針参考人にお伺いしたいんですけれども、韓国、今話あったように、オリンピックもあったり大統領選挙もあるという中で、私やっぱり、今回、朴槿恵大統領がああいう不正問題で大統領を罷免されてしまったと。韓国歴史見ると、結構大統領大統領の任期の終わりになってああいう問題で不祥事を起こして、そして検察に捕まるという、日本では総理大臣の犯罪と同じように、まあ大統領の犯罪ですね、そういうことが過去こうやって繰り返されてきている。何かその辺というのは、韓国というのはやっぱりどういうふうになっているのかなという思いが非常にします。  例えば、政治状況がそういうことなのか、あるいは韓国の検察というのは強大な権限を持っているのかとか、いろいろな分析あると思うんですけれども、小針参考人はこの韓国で繰り返される大統領の犯罪、これについてはどういうふうに御覧になっているか、聞かせてください。
  86. 小針進

    参考人小針進君) そのことに関しては二つぐらい今接近の仕方がありまして、一つは制度的なもの、もう一つ政治文化的なもの、二つあるんですけれども、制度的には、確かに大統領の権限というのは強いことは強いんですけども、ただ、例えば副大統領がいなくて国務総理がいるとか、それぞれの大臣級については国会の承認がいるとか、実は意外とリーダーシップが取りにくいんですね。  今、重要な法案については実は五分の三以上の国会議員の賛成がないと通らない仕組みになっているんですよ。そうしますと、実は日本における今の総理大臣よりもずっとリーダーシップが取りにくい状況になっています。そうしますと、必ずしもその制度、大統領の権限が強いからという制度だけではやはり説明ができなくて、多分にやっぱり文化的な側面が多いのかなと思います。  今まで、朴槿恵大統領の場合は家族をむしろ遠ざけて、独身ということもあるんですが、結局その友人というのに引っかかっちゃったわけなんですけども、それ以外は、歴代、大体家族絡みなんですね。そうすると、大きい権力を持ったところにはみんな吸い寄せられるような感じでもって、何か面倒を見なきゃいけないという、やっぱりそういう文化が非常に大きい。つまり、政治文化的な問題の方が大きいのではないか。  同時に、さっき検察の話出たんですが、韓国人たちがそのことに関して、そこでやっぱり問題が出れば逆に離れていくというような要素があって、それで非常に、今までの韓国の民主主義が全部力で勝ち取ったことも含めて非常に強い指弾になって出ちゃって、結局末期はひどくなると、そういうふうに見ております。
  87. 真山勇一

    ○真山勇一君 ありがとうございます。  続きまして、李参考人平岩参考人、お二人に伺いたいんですが、今日は朝鮮半島をめぐる、特に北朝鮮状況というのを非常に詳しく、それから多面的にいろんなお話伺いました。かなりはっとするような大胆な御意見も伺ったんですけれども、北朝鮮をめぐっての米中韓それからロシア、そういう絡みの状況もよく分かりました。  やはり北朝鮮というのは、李参考人のお言葉を借りれば、核を持った独裁国家で、突然変異というようなお話もありましたし、それから平岩参考人お話ですと、北朝鮮についての今お話ありましたけども、やはり、私が思うのは、こういう状況の中で一体それじゃ日本北朝鮮にどういうふうな姿勢で臨んでいけばいいのか。李参考人はそのコミットメントをやっぱりすべきであるというふうにおっしゃっていますし、平岩参考人もやはり受け身じゃなくて関与の必要性ということをおっしゃっている。  やはり、すごく北朝鮮に対しては難しいと思うんですね、外交的にも政治的にも。いわゆる言ってみれば北風的に当たるのがいいのか、あるいは太陽的に当たるのがいいのかとか、いろんなことがあるけれども、どれもなかなかうまく何かいきそうもないし、それから、日本の場合はやっぱり拉致問題というのを抱えていますね。これ、やはり私は解決しなければならない問題だと思っているんですが、当面、金正恩体制というのは続く、そういうふうにおっしゃいましたよね、平岩参考人は。ですから、そうすると当面この独裁の相手と付き合っていかなくちゃいけない、つまり隣国ということで。そうすると、やはりどういうふうな姿勢日本が付き合っていけばいいのかということを、李参考人、そして平岩参考人からお伺いしたいと思います。
  88. 李英和

    参考人(李英和君) 日本の得意技は対話だし、そこで力量を発揮すべきだと私自身も思うんですけど、いかんせん、自分の叔父さんあるいは自分の兄弟とも対話ができない相手と対話しろと言われても、本当、困ってしまうというのが実情だというふうに思います。そういった意味では、今、日本がやるべきことは、しばらくは制裁局面というか、外交局面に入ったとよく言われますけど、制裁局面に入ったというふうに僕は思っていて、中国経済制裁がしばらくの間続いて、その様子を他の国が見るという時間がありますから、その時間を使って日本の中で議論を尽くすべきだと。  一つは、先ほど言いました、今話題にもなっていますけど、敵地攻撃能力を持つのか持たないのか、どちらでもいいですからはっきり議論するということ。  敵地攻撃能力を持つと韓国も刺激すると言いますけど、韓国はこの間、北朝鮮に対する敵地攻撃能力を格段に増強しています。弾道ミサイルも新たなものを開発して、北朝鮮全土を射程に入れている。北朝鮮全土を射程に入れる弾道ミサイルは日本の西日本全部射程に入るわけですから、日韓の信頼関係さえあれば、政治的なきずなさえあれば、射程がどこまであって自分のところにも届く届かないというようなつまらない議論はせずに済んで、それを心配せずに、対北朝鮮の抑止的な敵地攻撃能力と、それを先制攻撃に使うのか報復だけに限るのか、その辺も議論していく時間が幸いにしてできたということが最大のポイント。時間のあるうちに、単なる先送りじゃなくて、重要な問題は急いで議論をするということ。  どれぐらい時間があるか分かりませんけれども、私は根っからの平和主義者で人権擁護論者、人後に落ちないという自負をしていますけれども、その私がこういうことを言わねばならないこと自体が事態が緊迫しているということだと思いますけれども、残念ながら、時間があるときに敵地攻撃能力と並んでひょっとしたら議論しなければならない先ほど言いました可能性、核保有、核武装、日韓共同であれ何であれ、あるいは韓国が持つことについてどう思うのかということも含めて、議論する時間ができたわけですから、中国経済制裁のおかげでしばらく見守るところですから、真剣にやっていただきたい。  被爆者の言葉が私は胸に突き刺さります。あの地獄を再現させてはならないと。再現させないということが重要であって、日本が核を持つとか持たないとかが重要じゃなくて、あの地獄を再現しないことが重要。どんな手段を使ってでも再現させないということこそが求められている今の現状だと、被爆者に報いることだというふうに思います。
  89. 平岩俊司

    参考人平岩俊司君) なかなか日本としてどういう姿勢で臨むのか難しいところではあるんですが、やはり基本は対話と圧力で、やはり日本の場合は対話の方がどちらかというと得意なんだろうと思います。  もちろん、圧力に関しても従来どおり、あるいは、さらにはいろんな可能性も含めて検討していく必要があろうかと思いますが、その際の前提になりますのが、やはり国際的な協調、日米韓の枠組みを前提にし、そして中国の役割を応分に引き出していく、そういう働きかけは、やっぱり今回の一つの事例でも明らかになりましたように、アメリカが真剣に中国に対して向き合わなければ中国という国はなかなか重い腰を上げませんので、アメリカに対する働きかけを軸にしながら、やっぱり対話と圧力ということになるんだろうと思います。  ただし、その対話も、これまでの経験から、北朝鮮に単に時間を与える結果になってしまうような対話ではいけないわけですから、そのためにはやっぱり圧力も同時に必要になってくるんだろうと思います。ここの部分に関しては日本よりもやはりアメリカの方が得意なわけでしょうから、ここは日米の枠組みの中で日本アメリカの経験不足を補填していくと。  今の朝鮮半島情勢で一番危険なのは、アメリカ北朝鮮の反撃といいますか反応を見誤って、過度にプレッシャーを掛けてしまって北が反撃をしたり、逆に北朝鮮アメリカはここまでやっても大丈夫だろうと思って、ミスカリキュレートといいますか、お互い誤算をして紛争がエスカレートしてしまうというのが一番怖いわけですから、その辺りを日本アメリカに対して働きかけをして、自分たちの経験を共有していくような形でアメリカに働きかけをしていく必要があるんだろうと思っています。
  90. 真山勇一

    ○真山勇一君 終わります。ありがとうございました。
  91. 鴻池祥肇

    ○会長(鴻池祥肇君) 他に御発言もないようでありますので、本日の質疑はこの程度とさせていただきたいと思います。  一言御挨拶を申し上げます。  先生方には、お忙しい中、お越しをいただきまして、貴重な御意見を頂戴いたしました。誠にありがとうございました。これからのますますの先生方の御活躍を心から祈念申し上げまして、御礼の言葉とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)  本日はこれにて散会をいたします。    午後四時五十一分散会