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2017-05-23 第193回国会 参議院 厚生労働委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十九年五月二十三日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月十九日     辞任         補欠選任      東   徹君     片山 大介君  五月二十二日     辞任         補欠選任      馬場 成志君    渡辺美知太郎君  五月二十三日     辞任         補欠選任     渡辺美知太郎君     和田 政宗君      川合 孝典君     浜野 喜史君      片山 大介君     石井 苗子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         羽生田 俊君     理 事                 島村  大君                 そのだ修光君                 高階恵美子君                 足立 信也君                 山本 香苗君     委 員                 石井みどり君                 小川 克巳君                 太田 房江君                 木村 義雄君                 自見はなこ君                 藤井 基之君                三原じゅん子君                 宮島 喜文君                 和田 政宗君                渡辺美知太郎君                 石橋 通宏君                 川合 孝典君                 川田 龍平君                 浜野 喜史君                 牧山ひろえ君                 熊野 正士君                 谷合 正明君                 倉林 明子君                 石井 苗子君                 片山 大介君                 福島みずほ君                薬師寺みちよ君    国務大臣        厚生労働大臣   塩崎 恭久君    副大臣        厚生労働大臣  橋本  岳君        厚生労働大臣  古屋 範子君    事務局側        常任委員会専門        員        吉岡 成子君    政府参考人        厚生労働省社会        ・援護局長    定塚由美子君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    堀江  裕君        厚生労働省老健        局長       蒲原 基道君        厚生労働省保険        局長       鈴木 康裕君    参考人        東京大学大学院        法学政治学研究        科教授      岩村 正彦君        日本ケアマネジ        メント学会副理        事長        NPO法人渋谷        介護サポートセ        ンター事務局長  服部万里子君        三菱UFJリサ        ーチ&コンサル        ティング株式会        社社会政策部長        ・上席主任研究        員        岩名 礼介君        三重短期大学非        常勤講師     村瀬  博君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○地域包括ケアシステム強化のための介護保険  法等の一部を改正する法律案内閣提出、衆議  院送付) ○政府参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 羽生田俊

    委員長羽生田俊君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、東徹君及び馬場成志君が委員辞任され、その補欠として片山大介君及び渡辺美知太郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 羽生田俊

    委員長羽生田俊君) 地域包括ケアシステム強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案議題といたします。  本日は、本案審査のため、四名の参考人から御意見を伺います。  御出席いただいております参考人は、東京大学大学院法学政治学研究科教授岩村正彦君、日本ケアマネジメント学会理事長NPO法人渋谷介護サポートセンター事務局長服部万里子君、三菱UFJリサーチコンサルティング株式会社社会政策部長上席主任研究員岩名礼介君及び三重短期大学非常勤講師村瀬博君でございます。  この際、参考人皆様方に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。  参考人皆様から忌憚のない御意見をお述べいただきまして、本案審査参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  次に、議事の進め方でございますが、まず、参考人皆様からお一人十五分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、参考人質疑者共発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず岩村参考人にお願いいたします。岩村参考人
  4. 岩村正彦

    参考人岩村正彦君) 岩村正彦と申します。東京大学大学院法学政治学研究科教授を務めておりまして、社会保障法労働法等を研究しております。  本日は、参考人としてお呼びをいただきまして、誠にありがとうございます。  私は、社会保障審議会介護保険部会部会長代理を務めております。本日この委員会議題となっている政府から提出されました法案は、この部会報告書内容を踏まえたものと理解しております。本日は、部会での議論も御紹介しつつ、この法案に関する私の意見を述べさせていただきたいと存じます。  まずは、今回の制度改正の背景について触れておきたいと存じます。  介護保険制度は、その創設から御承知のように既に十七年がたちまして、今や高齢者皆様生活を支える制度としてなくてはならないものとなっております。しかし、二〇二五年にはいわゆる団塊世代全てが七十五歳以上となり、二〇四〇年にはいわゆる団塊ジュニア世代が六十五歳以上になるなど、人口の高齢化は更に進展するということが見込まれております。こうした将来を見通しますと、財源人材とをより重点的、効率的に配分し活用する仕組みというものを構築しまして、介護保険制度持続可能性を確保することが重要と考えます。  これにつきまして、介護保険部会報告書におきましては、介護保険保険者である市町村保険者機能強化でありますとか、利用者負担在り方保険料負担在り方につきまして、世代内、世代間の公平などをより一層図るための見直し必要性を指摘しております。  今回の政府提出法案は、今御紹介をいたしました介護保険部会考え方に沿っているものでありまして、適切な内容と考えております。  続いて、法案具体的内容につきまして、私の考えを三点につきまして述べさせていただきたいと存じます。  第一点は、自立支援重度化防止に向けました保険者機能強化に関してでございます。  高齢化状況地域によって異なっておりますし、そのため介護需要地域によって違いがございます。また、要介護認定率、一人当たり介護費用施設サービス居宅サービス割合などにも地域差が見られます。  こうした地域差がある状況の下で地域包括ケアシステムを推進するための取組をより一層進めるためには、特に市町村に対してどのような方策を提供していくべきかについて、介護保険部会議論をいたしたところでございます。  その結果としまして、まず出発点として、各市町村がそれぞれの地域実態把握課題分析を行い、次いで、その把握分析の結果を基に地域共通目標を設定し、関係者間で共有するということとともに、その目標達成に向けた具体的な計画を作成する。そして第三として、こうして作成した計画に基づいて、地域介護資源の発掘や基盤整備多種職連携の推進、効率的なサービス提供も含め、自立支援介護予防に向けた様々な取組を推進し、最後に、これら様々な取組の実績を評価した上で計画について必要な見直しを行うというサイクル、いわゆるPDCAサイクルを回す仕組み構築が必要であるという取りまとめとなりました。これは、今回の法案にも盛り込まれているところでございます。  こうした形で保険者機能の枠組みを法律整備することにより、市町村は、自立支援重度化防止のための効果的な取組を実施できるようになるということでありまして、有用な政策と評価できると考えております。私としては、法制度整備を受けて、今後、市町村レベルで着実にPDCAサイクルを回していくためには、例えば分析ツール充実であるとか組織的な取組体制構築などが重要と考えております。  加えて、忘れていけないのは、中心的な役割を果たすのは保険者である市町村ではありますけれども、市町村の規模などによっては十分に対応できないというところがあるという点であります。ですので、そうしたところは都道府県や国が重層的に支援をするというところが重要となります。今回の法案におきましては、これについても目配りをしているというところでありまして、都道府県や国による市町村支援も併せて制度化をしておりまして、適切なものと考えております。  保険者機能強化につきましては、それを促す財政的なインセンティブ付与の問題があり、介護保険部会におきましても議論をさせていただいたところでございます。部会意見では、自治体ごと人材やノウハウ、地域資源などに大きな違いがあり、自治体間の格差の拡大につながらないように留意しつつ、丁寧な議論を行うことが適当としているところでございます。私見では、ポイントは財政的なインセンティブ付与に適した指標の設定にあります。適切なサービス利用を阻害しないように、また市町村間の高齢化率部会意見で指摘された地域資源などの違いに留意をしつつ、公正な指標を設定するよう検討するのが適切と考えております。  以上が保険者機能強化についてでございます。  第二点は、介護保険制度持続可能性の確保についてでございます。  介護保険制度は、御承知のように、二〇〇〇年の創設以来、高齢者介護サービス充実に大きな役割を果たしてきておるところでありまして、高齢者生活を支える不可欠の制度と現在においてはなっております。  ところで、今後の見通しでございますけれども、高齢化の進展がもたらす介護サービス増加に伴いまして、二〇二五年度には保険料全国平均は八千円を超えるという予想でございます。現役世代保険料についても同様の見通しとなっております。介護保険制度は、このように保険料負担増加という問題に現在直面しております。そのため、世代間での負担の公平ということも含め、今後どのように制度を支え、持続させていくかというのが喫緊の課題となっております。  そこで、介護保険部会では、高齢者に対する自立支援や要介護状態等の軽減、悪化の防止といった制度理念を堅持しつつ、必要なサービスを提供するとともに、給付負担のバランスを図りながら、制度持続可能性を高めるための保険料、公費、そして利用者負担の適切な組合せを考えるという、そういう考え方出発点といたしまして利用者負担費用負担在り方につきましての検討を行ったところでございます。  そこで、まず利用者負担についてでございます。  検討の前提といたしまして、事務局から前回制度改正導入された二割負担の施行の状況について報告がございました。この報告によれば、二割負担導入前後の対前年度同月比で見たサービス受給者数伸び率は、マクロ的な傾向で見たところでは顕著な差はないとのことでありました。引き続き受給者数動向を注視し分析を行う必要はもちろんございますけれども、こうした前回改正後の動向も踏まえた上で介護保険部会議論をいたしたところでございます。  利用者負担見直しには、積極、消極の両方立場から様々な意見が述べられたところであります。しかし、事務局から提示のありました現役並み所得がある方の利用者負担割合を三割とすることにつきましては、賛同又は容認する意見が多く出されたところと理解しております。そして、負担能力に応じた負担をしていただくように見直していくという方向自体については、おおむね意見の一致を見たと言ってよろしいかと存じます。  私個人考え方といたしましても、介護保険制度を今後とも着実に維持していくためには、負担能力に応じた負担という形で制度見直していく必要があると考えております。そして、今回の見直し案は、現役並み所得がある方に限って三割の負担をしていただくというものでございますので、適切なものと考えております。  今回提案されております利用者負担の引上げに対しては批判的な御意見があるということは、私も承知しているところでございます。それでも、介護保険部会におきましては、それぞれ立場の違いはあるものの、それぞれの委員皆様は、世代間、世代内の公平性を確保しつつ、介護保険制度持続可能性を高めるためには何らかの見直しをすることは避けられないということについて、一定の共通理解に至ったように私には思えております。  以上が利用者負担についてでございます。  最後の第三点は、費用負担、具体的には四十歳から六十四歳までの方が加入する医療保険保険者負担する介護納付金についてでございます。  介護保険部会では、被用者保険保険者負担する介護納付金の額を各保険者の総報酬額に応じて定めるようにすること、つまり、総報酬割導入の可否というものが議論となりました。この総報酬割導入社会保障と税の一体改革でも検討が求められていた事項でございまして、前回制度改正のときでも部会議論をいたしたところでございます。今回の部会におきましても活発な議論が行われたところでございます。強く反対する意見も相当数あったところではございますが、介護納付金は、負担能力に応じた負担とするために総報酬割導入が適当であるということで、多くの委員から賛同を得たと理解しております。  私個人といたしましても、この後に申し上げるような理由から、従前から総報酬割導入するのが適切であると考えております。  第一に、現行介護納付金負担方法には逆進性がございまして、これを解消する必要がございます。第二に、現行介護納付金仕組みでは、被用者医療保険内部で見ますと、多くの人について負担率が高止まりしているという状況にあり、これを改めるべきだと考えています。  総報酬割導入によりまして逆進性が解消されますし、被用者医療保険内部におきましても、より多くの事業主や被保険者につきまして介護納付金負担率が下がって負担減ということになります。他方で、負担増になる方もいらっしゃるわけでありますけれども、全体としては負担減になる方の方が多いということになっております。これは、こうした負担在り方というのは被保険者内部の連帯の在り方としても望ましいと言えますし、負担能力のある方に負担をしてもらうという考え方にも整合的と言えると考えております。  言うまでもなく、総報酬割導入の際には、負担増になる被保険者や企業への配慮というものが必要でありまして、段階的な導入負担増加する健保組合への支援などの激変緩和措置も必要と言えます。法案が予定する総報酬割導入は、こうした措置も伴っておりまして適切なものと考えております。  以上、法案具体的内容につきまして、三点私から意見を述べさせていただきました。意見陳述を終えるに当たりまして、私としては、政府から提出されました法案の確実な実施というものは、二〇二五年を見据えた地域包括ケアシステム構築制度持続可能性を高める上で必要不可欠なものであるということを再度強調させていただきたいと存じます。  以上で発言を終えさせていただきます。御清聴ありがとうございました。
  5. 羽生田俊

    委員長羽生田俊君) ありがとうございました。  次に、服部参考人にお願いいたします。服部参考人
  6. 服部万里子

    参考人服部万里子君) 日本ケアマネジメント学会で副理事長をしております服部でございます。  お手元にカラーの本日の参考人資料を配らせていただきましたので、それに沿って説明をさせていただきます。  実は、申し訳ないんですけれども、ちょっとミスがありますので、先に訂正をお願いいたします。一枚開いた三ページというところの上のところなんですけれども、そこに赤の文字金額が書いてあります。そこの単位が百億円となっていますけど、億を万に変えていただきたいんです。右と左と両方、百億円の億を百万円の方に変えていただきたいと思います。  それでは、私は、現場で利用者と向き合っている視点から意見を申し上げます。  まず、一ページ目に戻っていただきまして、介護保険の現在の受給者約五百二十万人で、それに関して、その年齢を見ていただきたいと思うんですけれども、四十歳から介護保険は使えます。でも、実際、四十から六十四歳で使っているのは全利用者の中の三%です。八十歳を超える方が利用者の七三%、三分の二は八十歳以上、八十五歳以上が半分という超高齢介護保険というのが実情でございます。  次のページをお願いいたします。  まず、介護保険の一人当たり受給額というのは下がっているということをお話をさせていただきます。これは厚生労働省介護給付費実態調査からですけれども、介護保険が始まった二年後、平成十四年の一か月十六万七千九百円から右の平成二十七年十五万七千円まで、一人当たり利用金額が増えているわけではありません。人数が増えているわけです。この人数の増える割合厚生労働省想定内であって、想定以上に高齢化が進んでいるわけではありません。  そして、その下を見ていただきたいんですけれども、介護保険は今国が公表している十五年間ではずっと黒字が続いております。平成十二年の歳入の三兆八千億に対して歳出の三兆五千億、一番下に参りまして平成二十六年度、歳入の九兆六千億に対して歳出の九兆四千億という形で、ずっと一貫して黒字であります。  特に、平成十八年度を見ていただきたいんですけれども、赤丸が付いているところでございます。このときに介護保険地域支援事業という、今まで介護保険サービスというのは介護が必要になった人のサービスに使っておりました。それを介護が必要になる前の全六十五歳以上の方の介護予防介護保険財源を広げたものであります。このときは目的外使用であるということが随分言われましたけれども、このときの一千十八億円から平成二十六年の一千八百四十九億円まで、いわゆる介護保険対象がここまで広げられているということであります。介護保険財源が足りないと言われながら、このような使われ方をしているのが実態であります。それでもなおかつ介護保険黒字が続いております。  次に、三ページの上を見ていただきたいと思います。  もう一つ注目すべきところは、先ほど財源お話が出てまいりましたけれども、上の資料は、介護保険が始まって一年たったときの介護保険の使われ方の内容を、従来の老人福祉であった介護保険介護福祉から移ったものと、従来医療保険で払われていた財源介護保険で替わったものを比べたものでございます。  老人福祉で払われたものは左です。これの一千七百四十一億円から、また右は、今までは医療保険で払われたものです。それを介護保険財源を付け替えたもの、これが一年たって一千五百十四億円です。つまり、介護保険財源の四六・五%は、介護サービスで増えているのではなくて、医療保険から介護保険財源を付け替えたということで介護保険財源が増えているものであります。この内容をしっかり熟知した上で財源論を展開すべきであると私は思います。  それでは、具体的な介護保険内容に従って意見を申し上げます。  まず第一点、保険者機能強化自立支援に成功をしたところに税制インセンティブを与えるという項目であります。  市町村の第七期介護保険事業計画介護度改善目標を設定させる。そして、地域ケア会議、これは前回介護保険で義務化されたものです。そして、地域ケアマネジメント標準化は、今年二月の閣議決定でこれが三千万円のお金が付いたものであります。これを通じて、いわゆる市町村に、介護度改善地域ケア会議ケアマネジメント標準化で具体化させる、そしてその結果の公表を義務化させる、地域別年齢別介護認定別市町村の結果を公表させ、成果が上がった市町村お金を付ける、これが税制インセンティブと言われる中身でございます。  さて、これに関して、次の四ページを見ていただきたいと思います。  介護保険目的が変えられているというふうに私は思います。まず、介護保険対象というのは、加齢に伴う様々な変化で要介護状態になった者が介護保険対象者です。ここに保険者機能が発揮をされております。保険者介護が必要と認定した者でなければ介護保険が使えません。そして、その目的は、能力に応じた自立した日常生活を営めるようにする、介護が必要になったとしても、自立して生活が営めるように様々の福祉サービス医療サービスを使うんだ、これが介護保険目的であります。この介護保険目的介護度改善というところに一面化するということに関しては、介護保険内容がここでゆがめられているというふうに私は考えます。自立支援を一面化するということは、逆に問題を含んでおります。  四ページの下を見ていただきたいと思います。  もし、介護保険理念自立ということに一面化をしていきますと、またそれにお金を付けるということになりますと、市町村介護認定を厳しくすれば、介護度は落ちます、介護度別に支払われる金額は下がります。でも、それを市町村がしてしまっていたらば、自らの保険者機能をゆがめることにつながります。また、サービス事業者さんにとっても、改善する可能性があるかどうかで利用者を選別することにもつながります。また、利用者さんにとっても、自立が強要されることによって事故を起こすということにもつながります。特別養護老人ホーム職能団体の老施協もこれに関しては反対声明を出しているところであります。  さて、次に五ページ目に移っていただきたいと思います。  介護保険の二点目に関して、介護療養型を介護医療院に変更する、これが二点目であります。このことについて私は反対するものではありません。しかし、その具体的な中身に関して、病医院を持ち、それを廃止し病床数を減らし介護医療院を開設する場合には病院等に類する文字を引き続き用いることができる、よく分からないこの表現ですけれども、これは例えば、永田町病院介護医療院という、こういう名前が付けられるということだけではありません。これは、介護保険療養型以外の病床も、病床を減らしたりすれば介護医療院に変えることができるということを言っております。  既に御承知のように、各都道府県ごと病床削減計画が出され、特に療養病床なり急性期病棟が多いんだということを国は言っております。こういう中で、このようになっていけば、介護医療院は、今の介護療養型六万床よりも増えていくものというふうに私は想定をいたします。このことの問題というのは、医療保険から介護保険財源を付け替えて施設としていわゆる医療行為をやる病院を残すということにつながりかねないと思います。  三点目の問題を言わさせていただきます。  五ページの下なんですけれども、地域共生社会の実現ということで、我が事・丸ごと地域共生社会、これが、介護保険の中では共生型サービス創設ということがうたわれております。例えば、障害者総合支援法の障害者事業所又は児童福祉法の児童福祉の事業所、これに介護保険の訪問介護やデイサービス居宅サービスの指定を行うことができるということであります。  介護保険は保険制度です。介護保険の指定を受けた事業所が介護保険お金を支払われることにつながります。ここにも財源を、障害者福祉、児童福祉から介護保険財源を付け替えるということが具体化されると思います。  さらに、これは、次からは生活困窮者自立支援にもこれが使われるということが言われております。また、今は行わないかもしれませんけれども、保険というのは保険料を払っている方しか利用できないというものが原則であります。このことをきっかけとして、介護保険の支払年齢を引き下げるということにつながるのではないか、こういう懸念を私は持っております。  そして、四点目の中身に関してでございます。  六ページの上、六十五歳以上の介護保険の利用を三割負担にするということであります。介護保険は、そもそも所得に応じた保険料、必要に応じた給付というものが理念であります。それを介護保険の支払に関しても所得に応じて支払を変えるということには、私は、まず理念に反する。  例えば、私は東京の渋谷区でケアマネジャーをやっておりますけれども、渋谷区は十四段階に介護保険料を設定しております。一番下の二千五百三十三円から十四段階の三万三千七百八十三円まで介護保険料で十三・三倍の差が付いております。このように、保険料で差を付けているにもかかわらず、介護が必要になる状態に関してはその方のいわゆるお金によって介護が変わるわけではありません。にもかかわらず、そこにも介護保険財源を持っていくことは理念に反すると私は思います。  あわせて、総報酬制に関して、下にありますように、共済組合の五千百二十五円が七千九十七円、自分のところで健康保険組合を持っている大手さんが五千百二十五円が五千八百五十二円。実は、これは今年からこの総報酬制が導入されます。私は、介護保険は三年ごとに市町村介護保険保険料を決めてそれで運営しているので、なぜ今年から上げるんだろうということが疑問でした。でも、それは、この財源は、このお金、増やしたお金介護保険給付が増えるわけではないということが明らかになりました。  その右側に介護保険財源の構成を書いておりますけれども、その介護保険の一号、二号被保険者の中の上に第二号被保険者、協会けんぽに対する公費負担、ここの削減のためだけに今回のものは使われます。したがって、介護給付が増えるわけではない。国の財源を減らす目的にいわゆる総報酬制が導入されるということは、その理念も含めて妥当ではないと思います。  あわせて、次のページにお願いします。  今回の介護保険法と併せて、生活援助の見直しがうたわれております。生活援助に関しては介護度に関係なく介護報酬改定時に検討ということが言われております。ということは、大幅に生活援助が、介護報酬が下げられるだろうと思います。もしそれが行われれば、介護サービスを提供する事業所が減ります。事業所が減れば、それを必要とする利用者さんが、受ける方、受ける量が減ったり回数が減ります。そして、足りない分は自費で補えということになります。でも、それを払えない人はどうするのか。介護保険は、四十歳から保険料を支払って必要なときに受けられるというのが制度であります。その困っている方が受けられないということに関しては大きな問題があるということで私は指摘をさせていただきたいと思います。  あわせて、今回の介護保険見直しの中でケアマネジャーに一割負担導入ということもうたわれております。でも、直接の排せつ介助や入浴介助とソーシャルワークということは全く意味が異なります。その方の心身の状態とか介護度の原因とか、又はどう悪化しないようにするかとか、又は地域資源の活用、経済的な課題への対応、このようなソーシャルワークは直接サービスと違うものであって、一割負担導入というものは全く妥当ではないと思います。そして、八ページに行きます。介護保険利用者さんの七三%は居宅でサービスを利用されております。そして、居宅でサービスを利用されている方の負担というものを、少し飛びますが九ページに行って見ていただきたいと思います。介護保険居宅サービス利用者というのは、介護度別に利用額が決まっております。これが上限です。介護度五は三十六万に対して利用しているのが二十三万、六四・六%、介護度四の方は三十万に対して十八万、六一%、要支援一、要支援二の場合にはそれぞれ四割も利用しておりません。これは平成二十七年の平均利用額です。つまり、一割負担もありますし、その方がぜいたくにサービスを利用されているわけではないということを申し上げたいと思います。  そして、今、国は、自宅が無理ならサービス付き高齢者住宅ということを言っております。でも、そこには家賃が発生をします。できるだけ在宅で暮らすようにする、これが介護保険の基本的な理念であり、介護保険の報酬の削減につながるというふうに私は思います。  以上で発言を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  7. 羽生田俊

    委員長羽生田俊君) ありがとうございました。  次に、岩名参考人にお願いいたします。岩名参考人
  8. 岩名礼介

    参考人岩名礼介君) 皆さん、こんにちは。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの岩名と申します。本日は参考人としてお招きをいただきまして、誠にありがとうございます。  私は、地域包括ケアシステムに関しましては、特に現場での自治体支援というところを主な業務としておりまして、都道府県あるいは市町村での構築支援に関して調査研究、コンサルティング等に従事しております。  今日は大きく三つのことについて意見を述べたいと思います。第一に保険者機能強化、今回の法案、法改正の大変大きな柱になっている部分だと思います。第二に地域共生社会の考え方について、そして第三に在宅医療・介護連携について意見を述べたいというふうに思います。  社会保障改革プログラム法ができてから、地域包括ケアシステムというのが法的にやっぱり位置付けられたということは大変意義があったというふうに思っておりまして、各自治体、ここ数年間、やはりこの地域包括ケアシステムに取り組んでいかなければいけないんだという強い思いというか動きが出てきているというふうに感じております。今回の法改正につきましても、この流れを少しでも前に進めていこうという基本的な考え方に基づいて位置付けられているというふうに理解しておりまして、私は評価しております。  元々地域包括ケアシステムというのは、地域それぞれの実情を反映させてそれぞれの地域に合った仕組みをつくるということでございますので、同じ仕組みが全国各地にできるというわけではもちろんございません。かつて、多少なりとも人的資源あるいは財政的にも余裕があった時代であれば、多少無駄があってももう全国統一でやってしまった方がいいと、こちらの方が簡単だという考え方もあったのかもしれませんが、この時代にそういった余裕というのはどこの自治体ももうないという状況でございます。それぞれの地域に合ったものをやっぱり模索するしかないというのが基本路線だと思います。  ただ、この考え方自体は、決して最近というか今回の法改正で突然出てきたというふうには思っておりません。元々介護保険というのは、それぞれの自治体の自治事務として位置付けられておりますし、当時は地方分権の試金石と言われていた時期もあるわけでございまして、元々地域ごとで考えるという要素は設計上あったというふうに理解をしております。  ただ、実際には、最初制度が始まって十年間ぐらいというのは、どちらかというと、やはり量的な拡大、必要なサービスをどういうふうに確保していくか、そして在宅生活に必要なサービスをどういうふうに開発していくか、こういったことに議論の中心が置かれていたようにも思います。どちらかといえば、全国で足並みをそろえてどこの自治体も頑張っていきましょうということで、各地域自治体のマネジメントというのも、どちらかというと、やはり国のガイドライン、手探りでやっておりますので、国のガイドライン等をある程度追いかけていくという言い方がいいかどうか分かりませんが、そこに従って設計をしていくというのがある程度習慣付いてきた部分、これはある程度の合理性があったんだというふうに思います。  ただ、地域包括ケアシステムをつくっていくんだと、これもいろいろな制約の中でつくっていくというときに、これからは量的拡大をしていくということが地域包括ケアの考え方だと私はやっぱり思えなくて、むしろ重要なのは、今ある資源をどういうふうに結び付けていくかという考え方だというふうに思っております。  私はいろいろなところでお話しさせていただくときに、地域のばらばらをまとめる仕組みだというふうに地域包括ケアシステムを説明しております。量を増やすだけだったら、これぐらいの数字つくりましょう、サービスをつくりましょうということでいいんですが、どうしても、まとめる仕組みとなると、地域関係者の御意見事業者さんの今の体制だったり、いろんなことを考えながら仕組みをつくらなくちゃいけない。  これだけ言うと何となく効率化のためだけやっているように聞こえると思いますが、実はこれは在宅で生活している方々の切なる願いでも私はあると思っておりまして、私の家族にもやはり要介護になって在宅で生活した者おりますが、うちの母が介護をしていてやっぱり感じていたことは、いろんな事業者さんが入ってくる、それがばらばらに提供されている感覚というのはとても不安、皆さん言うことが違うと不安だと。それが、たまたま利用させていただいたケアマネジャーさん、事業者さん、多種多様あったんですが、一体的に感じるんですね。つまり、介護者から見ると同じ事業者さんに見えるということなんですね。  この一体的に見えるということが大変重要だと思っておりまして、在宅での安心感というものを本当に実現していこうと思うと、地域の中で今多種多様な事業者さんがいること、これはいいことだと思うんですが、一体的に見えるような仕組みづくりということが重要だと。そうなると、先ほど申し上げたとおり、やはり地域ごとに事情は違う、大きな法人さんが多種多様なサービスを提供しているところもあれば、ある程度細かい事業者さん、小さい事業者さんが連携しているところもあるということで、やはり地域ごとに考えるということが大変重要なんだというふうに思います。  少し前置き部分長くなりましたが、今回の法改正では保険者機能強化ということがうたわれております。当然、今みたいな考え方に基づけばこれもう大変重要なことだというふうに思っておりますが、一つ、これは注文ということではないんですが、保険者頑張れというだけではなかなか保険者さんの負担大変なものになるというふうに思います。今回の法改正というのは、それぞれの自治体が自分たちで考えるということを国が継続的に支援していくんだという決意表明だというふうに私は理解をしておりますし、大いに期待もしております。  国ができることといいますと、データ提供であったり技術的なサポートということが今回の法案の中でも出てきているわけですけれども、いま一つやっぱり重要だと思うのは、ツールを提供するだけじゃなくて、それが何のためにあるのか、何を目指しているのか、そのバックグラウンドが何なのかということをきちっと丁寧に説明すると、このフォローの部分というのが大変自治体にとっては欠かせない部分だろうというふうに思います。  地域指標づくりだとかあるいはデータの提供ということはここ数年かなり進んできている部分で、見える化システムというのがつくられたり、財政的インセンティブも今回入っておりますけれども、こういったものは、単にお金がもらえるとか競争だとかということじゃなくて、どちらかというと、今やっている取組がゴールまでの中の今どの辺にあるのかということを確認するためにもあるというふうに私は思っています。言わば海に出るときの海図、羅針盤のような部分、意味があるのではないかなと。こういうものがなければ、自治体というのはなかなか前へ進んでいくということができないだろうというふうに思っております。  ただ、データの提供というのは、現場で実際拝見しておりますと、ともするとデータの山に埋もれてしまって、自治体さんというのは研究所ではございませんので、そういうデータを分析することが主たる業務ではございません。どちらかというと、やはり、どういうデータに意味があり、どこに着眼し、この数値が高いのはなぜなのか、こういうテクニカルなサポートというのは今後も、都道府県でしっかりやっていただいている県も出てきているというふうに認識しておりますが、引き続き、市町村だけでやるのではなくて、都道府県でのサポートということも大変重要だろうと思っております。  私も、実は過去にある県ですごい分厚い電話帳みたいなデータブック作って市町村に提供したことあるんですけど、しっかり怒られました。これをどうしたらいいんですかということなんですね。やはり必要なものを峻別して、どういう意味を持っているのかというのを伝えていくということが重要だろうと思います。  次に、地域共生社会について少しだけ触れたいと思いますけれども、この考え方、縦割りを排していこうという考え方ですから、基本的にもうこれは今までずっと批判もされていた部分だろうと思いますし、是非進めていっていただきたいというふうに思っているところであります。  住民の方々の方を見ていきますと、生活支援体制整備事業なんかでも住民の方々の活動って最近大変活発になってきていると思います。全国どこでもというわけにはいかないんですが、そういう芽は確実に生まれてきていると。ただ、住民の方というのは、元々分野とか所管があるわけではありませんから、自由にいろいろ自分たちの御関心で必要だと思うことをやられているわけなんですね。これを支援するに当たって、是非、自治体の方々、どうしても高齢者の部門の部署が、生活支援体制整備事業なんかサポートしていくことになりますが、余り分野を、元々広いものを狭めてしまうことがないようにむしろ気を付けるということが多分実施面では大変重要だろうというふうにも思っております。  一方で、専門職の側ということになりますと、これ、いろいろな制度だとか規制の中でお仕事をしていただいている部分もございますので、今回はサービスの部分での共生化ということで緩和が行われているわけでありますけれども、やはり人材の部分、それを実際提供する側の人材も様々なことができるようになっていかなければいけない、複数のことが担えるようになっていくということが必要になっていると思います。  キャリアの複線化については、地域共生社会の中でも強調されている部分だというふうに思っておりますが、多分こういう考え方というのは、別に介護の世界の話ではなくて、今もう民間企業でもどこでも人が足りないのはみんなどこでも同じでありまして、多能工みたいな言葉もありますが、複数のことができる、そういうことができる環境をつくっていくということは大変重要だと思っております。今回の法改正、そこまで、キャリアの複線化まで細かく入っているということではないと思いますが、今後の方向性として重要になってくるだろうというふうに思っております。  最後に、医療・介護連携について少し申し上げたいと思います。  人生のどこかの段階では必ず医療が必要になるというのは在宅生活をしていけば当然のことだと思いますけれども、今回、介護医療院というものを新設されるということでありまして、地域での選択肢を増やしていくという意味では大変いい方向だったというふうに思っておりますし、医療を提供する施設、医療提供施設でございますけれども、同時に生活の場という方向性で位置付けたということは、地域包括ケアシステムの元々の理念にもかなっているというふうに考えております。  ただ一方で、もちろんこの介護医療院だけで解決する問題では当然ありませんし、地域の中で選択肢が増えるのはいいんですが、一般的な住まいにお住まいの方、こういった方々にも医療ニーズは当然出てくるわけでございますので、引き続き、医療、介護をどういうふうに在宅生活へ提供していくのか、それも、先ほど申し上げたとおり、一体的に見える形で提供するのかというのは、まさに医療・介護連携の本丸だというふうに思っております。  その点では、各自治体での取組、始まってはいるんですが、かなりいろいろ御苦労をされている地域も多いというふうに私も拝見をしております。ちょっと危惧するというか、拝見していて、やっぱり難しくなっちゃっている一つ原因は、医療・介護連携をすることそのものが目的化していると、何のために医療・介護連携をやっているのかということが見落としがちになってしまう。全く考えていないということではないんですが、ともすると、ある方は入退院支援のことを話していて、ある方はみとりの話をしていて、あるいはある方はその在宅生活の中での重度化予防みたいなことを議論しているというふうになると、そこに関わる専門職だったり、その関わり方だとか、みんなそれぞれ少しずつ違うわけなんですね。  厚労省の方からは、医療・介護連携の事業、取組として八つほど項目が示されていますが、これやりやすいところから手を着けていきましょうという流れもあるんですけれども、やはり重要なのは、その取組が何に向かっているのか。入退院支援のことを一生懸命地域の専門職で話していて、一方で、じゃ住民の説明会、セミナーも重要だ、そこで話していることは実はみとりの話。それが悪いとは言いませんが、やっぱり資源が限られている、時間が限られている中で、できるだけ同じ方向を向いて地域で取り組むということが大変重要になってきているということで、これは先ほど保険者機能強化のところでもお話をいたしましたけれども、目的意識ということを、地域でやり方が違うからこそ、手段が違うからこそ、目的の部分をきちっと明確にするというガイドの仕方ということが大変今求められているというふうに考えております。  地域包括ケアシステムは二〇二五年を一つの目途として取り組むということでございます。時間はだんだんなくなってきているところではありますけれども、ともすると一年とかぐらいで、一年、二年で結果を出したくなってしまうという感覚、これはもう行政ですから、当然自治体さんもそういうことを求められているとは思うんですが、やはり地域関係者が参加してこれは考えることでもありますので、少し腰を据えてという部分、しっかり、余り短期的な成果を求めずに取り組むということも重要だろうというふうに思っております。  以上、私の意見として述べさせていただきました。御清聴ありがとうございました。
  9. 羽生田俊

    委員長羽生田俊君) ありがとうございました。  次に、村瀬参考人にお願いいたします。村瀬参考人
  10. 村瀬博

    参考人村瀬博君) それでは、私の方からお話しさせていただきます。三重短期大学で非常勤講師をしています村瀬と申します。よろしくお願いいたします。  私のお話は、配付資料というのを皆さんにお配りさせていただいておりますので、それに基づきましてお話をさせていただきます。  一ページ目を御覧いただきたいと思います。  私の話の中心というか、限ったお話ですが、自立支援に係る財政的インセンティブについて考えるということですが、自立支援をどう評価するか、それに対するインセンティブをどのように付与するかという、そういった点を桑名市の事例についてお話をさせていただきます。  御存じの方も多いかと思いますが、桑名市は、厚生労働省から来ていただいた前副市長、今は厚生労働省へ戻ってみえますが、副市長さんが中心になって地域包括ケアシステムを骨組みから組み立てたという非常に先進的な市であります。二年間が経過したわけですが、今どんな状況になっているかということを私の懸念という意味でお話をさせていただきます。  一ページの下の方の、これは国の、厚生労働省のホームページで、要介護認定率の推移ということで、和光市あるいは大分県が自立支援に努力されて認定率が下がっているという表が載っておりますが、桑名市はこれを上回る認定率の減少という状況にあります。  次の二ページを御覧いただきたいと思います。  桑名市の場合には、先ほど申し上げましたように、二年前の四月、新しい総合事業ということで出発しました。この中心の柱になるのが地域生活応援会議、一般に応援会議、応援会議と言っていますが、介護保険法では地域ケア会議の一類型という位置付けで出発しています。目的が、介護保険を卒業して地域活動にデビューする。これは、下に桑名市のホームページを付けさせていただきましたが、この中ほどの右側に、高齢者介護保険を卒業して地域活動にデビューするというのが一つの大きな目標となっています。このために多職種が協力していろいろな助言、支援をするという、そういうふうな仕組みで出発しております。  次のページ、三ページを御覧いただきたいと思います。  地域生活応援会議というのはこんな形で行われます。左下の方に、サービス担当者あるいは介護支援専門員、いわゆるケアマネジャーが座りましてプランを提示します。約四十名の方が毎週、これは水曜日の午後、桑名市の市役所へ集まってこういう会議を開くわけですが、いろんな職種、理学療法士であったり薬剤師であったり作業療法士であったり、こういう方、それから地域包括支援センターの三職種の方々は基本的にはここに出席するという、そういうことで大変な人数になるわけです。ただ、多職種とはいうものの、医師の参加というのはこの中には予定されていない、医師は参加していないという状況があります。  この中でどういうことが話し合われるかというのを典型で示したのが、この桑名市のホームページにあります下の方です。  これはよく見られた方も多いかと思いますけど、介護予防に資するケアマネジメント在り方ということで、陥りがちなケアマネジメント、いわゆる独りで入浴できないという場合、清潔を保持したいという要求に基づいて通所介護、いわゆるデイサービスで入浴をするということになります。だけれども、こういうふうな形でいつまでもデイサービスに通うということになると、これは独りで入浴はできない、できないことを代わりにするケアがいつまでも続くということになります。  右側に目指すべきケアマネジメントとありますが、なぜ独りで入浴できないかということをよく検討するという中で、バランスが不安定で浴槽をまたげないという、そういう例であれば、デイサービスで足を持ち上げる動作を指導する、あるいは自宅で専門職種が自宅の浴槽をまたげるように訓練する、こういう経過をたどって独りで入浴できるようになる、いわゆるできないことをできるようにするケア、これを目指すべきだということで、応援会議の一つの方向性というか、そういうことを桑名市は何度もホームページ等で示しています。  次のページ、四ページですが、この場合、私としましては、この自立という考え方についての誤解あるいは誘導があると考えます。  介護保険目的は、状態を軽減あるいは悪化を防止するということが介護保険法に規定された目的理念であるはずなのですが、介護度改善だけが成果であるという捉え方をしますと、これは現場では大変なことになるんじゃないかなと思います。維持を評価する、状態の維持を評価するというのが基本というか、多くの人に当てはまる状態ではないかというふうに思います。  確かに、骨折をして、七十歳代の方で、先ほどのお風呂の図のように改善される、これは行政にとってもいいことですし、本人にとっても幸せな、一番幸せなことでありますが、多くは、四ページの下の図にありますが、高齢者の場合は、その状態像においては一般的には穏やかに老いる、その状態をどういうふうに支援するかという、そこに重点が置かれるというか、そういう状態を支援するということが大事ではないかと思います。  いわゆる、ケースを発見し、アセスメントをし、ケアプランを作成し、サービス担当者会議サービスを選んで提供する、そして三か月後にはまたモニタリングをする、こういうぐるぐると回るサイクルが一般的に、穏やかに老いるためにその時点時点で支援していくというのが一般的ではないかと思います。  ところが、桑名の場合には上のいわゆる卒業ということが言われますので、卒業を目的としているという形で若干のゆがみというところへつながるというふうに思います。  次のページを御覧ください。  いわゆる数字目標ということになるかと思いますが、桑名市では、桑名市のホームページ、地域生活応援会議の評価ということに関しましてこういう表を掲げています。上の表の左下の方に評価指標というのがありまして、その目的、目標は卒業の件数です。卒業の件数を多くしていく。その右に評価結果、三角がありますが、これは、ちょうど一年ほど前の、地域包括ケアシステムの推進会議という、地域ケア会議の一番上部の団体という桑名市は位置付けをしておりますが、そこでの自己評価は三角になっています。これは、一つは、余り卒業が伸びなかったということもあるわけですが、丸が書いてあって、二つ目の丸に卒業された方のその後の把握等が十分にできていないという、卒業された後の方がどういう状況でいるかという把握がやるべきだということで、三角になっているということであるわけです。  こういうふうな課題を私自身どうなっているんだろうということで、下のようなフォーマットを作りました。卒業後の状況調査票ということで、三月に桑名市さんにお願いして、桑名市から回答をいただいた結果がこういう結果です。  この結果の中で一番問題となる、まあ幾つか問題がありますが、一つは、⑤の自費のサービス事業所に参加という、卒業された方がなかなかそのままではやっていけなくて、それが九・二%、一〇%弱いる。同じデイサービスをやりながら自費のサービスで十割を払ってそのサービスを受けているという方がこういう比率というのは、介護保険負担給付というのを基本とした保険原理で成り立っている制度ですので、保険料を払いながら自費で十割払わなければ生活をしていけないというのは非常に重大なことだというふうに私は思います。  その下、⑥は介護保険サービスを受給ということで、卒業したものの重度化して介護保険の方へ戻ってきたという、その方が二割います。⑦番の死亡につきましては一〇・六%。この一〇・六%という数字は、昨年、社会保障審議会の六十三回介護部会資料で、二年前要支援一あるいは要支援二であった方が二年後にどうなったかという表が九月七日の部会に提出されていますが、そのパーセントで見ても、大体多くても六%から七%が死亡というふうになっておりまして、桑名市が元気な方を卒業させたというか卒業に至ったということを考えた場合、一〇%を超える死亡者というのは多い、まあ母数が少ないという問題はありますが、そういうふうに私は思っています。  とはいうものの、①の自宅で元気に生活という、元気にという言葉、私がフォーマットで付けた言葉ですが、元気に生活というのが四割以上いるというのは成功ではないか、非常に目的が達成されているかという評価はあるんじゃないかというふうに一面思われるわけですが、次のページの表、上の表、これは行政自体が課題として、幾つか新しい総合事業を進める中で課題として掲げているものがありまして、今回の私の話に関連しては、一番右の、卒業後、住民主体のサービスにつながらない理由ということで書かれていますが、これは地域包括支援センターの三職種の職員さんに行った調査結果なんですけれど、行く手段がない、二十四、行く手段がないが半分近く、サービス回数が少ないというのも大体四分の一、サービスが合わないというのもかなりのパーセントがあるということで、初めこの円グラフを私が見せていただいたときに何か変な感じがしました。  卒業して元気でいわゆるデビューということができる方が、サロン等いろいろなそういうところへ行く手段がないというのは、元気になったはずなのに、なぜそんなことが起こっているのかというのは非常に不思議だったし、サービスの回数が少ない、いわゆるデビューで担い手となっていくべき方が、回数が少ない、週一回行くのが二回にしてくれと。そういう意味で言われるのは何か変で、実はそういう方が一定の支援を受けながら生活、そこで介護サービスを一定必要としているんじゃないかという、いわゆるサービスを受けるという、そういうふうなことを意味する結果ではないかというふうに思いまして、先ほどのページの六十名四二・三%というのは、非常に元気に生活しているという状況ではないんではないかという、そういう懸念を持ちます。  申し訳ありません、戻ってもらって四ページですが、終結、評価というところですが、実際には、上の矢印、卒業した方が、お金のある方は自費サービスを利用している、十割を払ってでも利用している。この数は、そういうことをやっているデイサービスは十か所以上ありますので、かなり広がってきているということです。  下の②サービス待機卒業者と書きましたが、初め私はデビュー待機卒業者というふうな意味合い、言葉で書いたんですが、この円グラフの結果を見ると、もうサービスをやっぱり待機している卒業者という、こういうふうに書いた方が実質を表しているんじゃないかと思って変えたわけなんですけれど、待っている間に死亡あるいは重度化する方がかなり見えるという、こういうイラストを作りました。  済みません、先ほどの六ページの下へ行きますが、既にインセンティブという意味で桑名市さんは、くらしいきいき教室という短期集中型のこれはサービスC型なんですが、そこで卒業された方、卒業して六か月間介護保険サービスを利用されていない方については元気アップ交付金ということで、本人さんには二千円、事業者さんには一万八千円、プランを立てたケアマネジャーさんには三千円を交付する。その下の地域包括支援センターの委託費についても卒業件数等によってその委託費を決定するという、そういうふうになっています。  七ページは認定率の桑名の下がり方ということで、アウトカム指標としましては桑名はこういうふうな表をホームページに掲載してチェックをしています。  最後のページは、そういう中で来年の四月には専門職によるサービスというのはもう廃止するということをパンフレット等で明言しているということで、住民主体のサービスで支えていくという、こういう仕組みを徹底させるという、そういう在り方を考えています。これについて私は大変懸念をしているところであります。  以上で意見とさせていただきます。ありがとうございました。
  11. 羽生田俊

    委員長羽生田俊君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 高階恵美子

    高階恵美子君 自由民主党の高階恵美子でございます。  本日は、御多忙の中、お運びいただきまして貴重な御意見を賜り、誠にありがとうございます。  これからは二〇四二年を目指して制度充実、成熟というのを私たちは頑張っていかなければいけないんだろうなと考えておりますが、そうした中で私がちょっと念頭に置いた方がいいかなと思っているのは、一つは、人生の最終段階をそれぞれが穏やかに過ごすことができる、そして朗らかに過ごすことができる、こういう地域をつくっていくために私たちもうちょっと関心を高めなきゃいけないなということと、それから、家族が最後まで家族としていられるような介護環境整備、このことへの関心はもっともっと強くしていかなきゃいけないと思っています。また、六十五歳からの人生をより豊かに過ごしていくための備え、それから、幸せに年を重ねていくという捉え方、高い年齢というのから幸せに年を重ねる社会づくりへ、こういったようなことの啓発ということも非常に重要ではないかなと考えております。  そうした中で、今回の法改正では、市町村サービス充実強化、特に自立支援重度化防止という点で私たちは制度強化するということになったわけなんですけれども、岩名参考人には全国のいろいろな地域に入っていただいて、その取組状況を御覧いただいていると思います。  市町村サービス充実を進めていくためには、地域実態に即した創意工夫を大いに期待しながら進行していく、そのときには、具体的に言いますと、地域に入り込んで地域を動かしていく住民主導の活動を展開していくプランナーが必要になると思うんです。岩名参考人が千五百人いれば全国一斉にできるのかもしれませんけれども、どこにどういったような条件を整えていくと、そうした人材の育成とか交流、事業の横展開、これの広域支援が効果的に動いていくのか、具体的な御提案があれば是非お伺いしたいと思います。
  13. 岩名礼介

    参考人岩名礼介君) 御質問ありがとうございます。  各地域取組をしていくとなると、全てを自治体がやるという感覚に陥りがちなんだと思います。そのことが大変今、市町村の職員の方、担当の方、悩ませているような気がしておりまして、もちろん自治体の責任というのはあるわけですけれども、全てを抱え込んで全部でやろうとするとやっぱりうまくいっていない。いろんな地域でうまくいっているケース、よくよく見ると、やっぱり行政外の方々の参加が積極的であるというのは共通点が一つあると思っています。これは、専門職の方であるのか事業所の方であるのか住民であるのかはテーマによっても違うし、その地域によっても違うとは思うんですけれども。  実は、よく、ここ数年の、今、まあ地域支援事業の流れとか見ていくと分かるんですが、地域ケア会議は専門職なんかが中心に集まってくる場になっていますし、生活支援体制整備事業でやっている協議体みたいなものというのは、住民の方がそこに集まってきて自由に話す場になっている。最近は、事業所連絡協議会みたいなものが、自分たちで集まってどんどん提案をしていくというようなところも出てきております。  やっぱりうまくいっているところってそういう場がある。行政と現場が一方通行で、こういう計画案でいきたいと思います、いいと思いますという、何か半ばある種の一方通行みたいなことではなくて、やっぱり真ん中に場が常設されているというか、常にそういう場があって、そこに参加してみんなで話し合っているところというのが、時間は当然掛かるんですけれども、大変重要だと思っています。  それともう一つは、やはり都道府県のサポートということは私は重要だと思っておりまして、昨年度から、更に広域でいうと国の方では厚生局単位で地域包括ケア推進課というのが設置されたりして、いろんなブロック単位で研修なんかも行われるようになっていますが、やっぱり国が全部やるというのはもちろんサポートし切れない部分あると思いますし、地方単位、そして都道府県単位での技術的な支援というのは大変重要だろうというふうに思っております。
  14. 高階恵美子

    高階恵美子君 ありがとうございます。  様々な形で地域なりのつくり方をしていく、そのときに自助、共助、公助、いろんな関わり方、つながり方があっていいんだと思います。どちらかというと、世代間の関わりが分断されたような状況ですと地域づくりがうまく進んでいきませんので、これからはその世代間交流もしっかり促進するような形での市町村サービス充実する取組、こういった視点なども喚起していきたいなというふうに思っているところです。お力添えよろしくお願いしたいと思います。  次に、お金の話を少し確認させていただきたいなと思います。  保険方式による社会的介護仕組みを維持する、こういうふうな観点では、今回は三割負担導入ということが図られているわけなんですけれども、特に所得の高い層に限られるとはいえ、十二万人に及ぶ方々に上限ですと年五十二万八千円に相当する御負担をいただくということになってまいります。  岩村参考人にお伺いしたいんですが、先ほど応能負担に一定の理解という結論について御説明いただきました。議論の中で、拙速ではないかとか、それから長期に及ぶ介護可能性もあり負担が大きいんじゃないかといったような懸念の声もあったと伺いましたけれども、制度持続可能性というのはもちろん重要なんですけれども、一方で給付負担のバランスという観点からも、導入後の継続的なサービス利用実態の調査、あるいはそれの影響をきめ細かく分析した上での検証、それに伴う制度設計の視点、これ非常に重要なことだと思います。長期にわたってこの制度を維持していく上でも、この応能負担のところの捉まえ方、何か御意見ございますでしょうか。
  15. 岩村正彦

    参考人岩村正彦君) 御質問ありがとうございます。  部会におきましても、その点についてはいろいろ議論があったところだと思います。  ただ、まず第一に、今話題に上がりましたその応能負担の例えば三割という負担の率について言っても、基本的には現役の人たちと同じ所得のある階層の人たちに三割負担をお願いするというような形で考えておりまして、それ以下の所得の人たちについて更に負担割合を上げるというようなことについては今回は議論はしていないところでございます。  今後、やはり高齢化が進んでいく中で給付というものが必然的に膨らんでいくという、そういうことが見通される中では、やはり、先ほども申し上げましたように、保険料負担をどこまでやるのか、それから公費負担というのをどこまでやるのか、さらに給付を受ける方についてどこまで負担していただくのか、特に給付を受ける方については、これはむしろ世代間というよりは世代内での公平の問題だというように思いますが、そういった多角的な視野からの検討というのがどうしても欠かすことはできないだろうというふうに思っています。  さらに、今日はテーマが介護保険ということになっていますが、実は高齢化との関係でいいますと、医療の問題もあり年金の問題もあり、そういったトータルの中で今後どのようにして我々国民の生活を支える社会保障制度を維持していくかということを考えなければいけないかなというふうには思っているところでございます。
  16. 高階恵美子

    高階恵美子君 ありがとうございます。  先ほど、服部参考人からは厳しい意見もいただきました。ケースワークをしっかりやっていればこその御発言だったと思っております。  私も高校生のとき自宅で祖母をみとったんですけれども、その見送ったときに思ったのは、存在がなくなることの圧倒的な寂しさと、それから自分たちでやれるだけのことをやってきたなという思いだったんです。これから多死社会に臨むに当たって、御本人が最後までその人らしくという視点も大切ですけれども、御家族、御遺族の方へのケアといったようなところ、これからもう少し大事にしていくことを考えなきゃいけないんじゃないかと思います。  現場で関わっておられて、この点について御意見ございますでしょうか。最後にお伺いしたいと思います。
  17. 服部万里子

    参考人服部万里子君) ありがとうございます。  高階議員が言われたように、介護をしている家族に対してどう向き合うのかというのはとても大きな問題で、だからこそ介護保険制度充実というのが必要だというふうに思っております。同居していても、別居していても、遠距離でも介護負担というのがあるんですね。ですから、そのことに対しては、やはりサービスの活用と同時に、精神的なサポートも含めて丸ごとその家族と向き合っていくという、こういうチームワークというのがとても大切だというふうに私は思っております。
  18. 高階恵美子

    高階恵美子君 ありがとうございます。
  19. 足立信也

    ○足立信也君 民進党の足立信也です。  四名の参考人の皆さん、本当にありがとうございます。四名の参考人の皆さんに共通しておっしゃられたことが保険者機能だったと思います。中でも財政的インセンティブということでした。  まずは岩村先生と服部先生にちょっとお聞きしたいんですが、地域包括ケアシステムというのは二〇一一年の介護保険法の改正で入れました。その原案は、二〇一〇年、あのときも岩村先生、部会にいらっしゃったんだろうと思います。私、政務官やっているときです。中学校区単位を基本として保健、医療、介護、福祉、一体的に取り組む、これを一言で言えば二十一世紀のコミュニティーの再生だということでつくっていきました。そうしたときに、保険者機能といいますが、市町村になるんでしょうけれども、中学校単位ということは市町村によっていっぱいあるわけですね。私は、保険者機能保険者というのはある意味住民だと思っているんです。自分たちでどんなコミュニティーをつくり上げていくかというのが一番大事なことであって、そうなると、インセンティブも住民の方々に返ってくるような仕組みじゃなきゃいけないんじゃないかと私は思っています。  そこで、先ほど岩村先生、私見だという前提でほんの少しだけ公正な評価指標とおっしゃいましたが、もう少しどういうことを考えられているかというのをお聞きしたい。その中で、これ交付金ですから年度ごとになっていくんでしょうけれども、その評価指標を年ごとにやるんでしょうか、それとも、どんな項目かによると思うんですが、評価が毎年毎年というのは極めて私は不自然だと思うんですけど、その点について、どんな公正な評価指標を考えておられるか、お願いしたいと思います。
  20. 岩村正彦

    参考人岩村正彦君) 御質問ありがとうございます。  財政的インセンティブについては、恐らく今後、先ほど申し上げたように、指標、評価指標をどういうふうにするかということを議論していくということになると思いますけれども、その際には、結局、やはり一方ではアウトカム指標、それからもう一つはプロセス指標というものとを適切に組み合わせるという形で指標を考えていくということになるだろうというふうには思っています。  最初からある一定の、例えば要介護認定率を下げるとか、そういったような形での目標設定というのは私も余り好ましいものではないというように思っていますので、介護保険という制度自体が果たしている多面的な機能というものをうまく評価できるような、そういう適切な指標というのを今後考えていく必要があるだろうというふうには思っております。
  21. 足立信也

    ○足立信也君 先ほど条件として申し上げましたけど、岩村先生、毎年やるべきですか。
  22. 岩村正彦

    参考人岩村正彦君) そこについてはまだ今のところ私自身も確たる考えを持っているわけではありませんが、ちょっと変な例を申し上げて恐縮でございますけれども、国立大学も評価に疲れているというところがございまして、そういうことを考えますと、ちょっとやはり毎年というのは幾ら何でもどうかなという気が直感的にはいたします。その点についてはもう少し考えさせていただきたいというふうに思います。
  23. 足立信也

    ○足立信也君 次は服部先生にお聞きしたいんですが、私、大分県が地元ですから、大分県の取組というのを、かなり全面的に出されています。私も現場をずっと回ってみて、本当によくやっているというのを評価しているところなんです。  厚生労働省の方と大分県の特徴というものをかなり分析したんですよ。認定率が下がらない、各年代層で下がっていないのは要介護度一なんです。要支援一も二も、要介護度二、三、四、五も全部下がっているんです。つまり、介護が必要な人、これは要介護一の認定は必ず必要、そこにとどまっていると私は思うんです。そして、施設、まあ要介護度認定ですから施設中心で考えると、職員は基準以上に大量に採用して、本当によくやっています。一人一人がやはり要介護度認定が下がっている、これはもう事実だと思うんです。  この件はちょっと後でまた時間があったら言いますが、問題は、要支援のところがやっぱり下がっていることの中で、大分県はそこを目標にしていないということが極めて大事なんです。健康寿命日本一を目標にして、その結果として認定率が下がっているんです、特に要支援一、二のところは。例えばラジオ体操やったり、あるいはまさに校区ごとにウオーキングをしたりする。つまり、直接的な要介護度認定に関わるような指標よりも、私は、健康寿命の指標というようなものをつくった方が、これは世界的にも通用するし、正しいんだと思うんです。  残念ながら、これ健康寿命の話になるんですけど、服部先生、答えていただける範囲でいいんですが、これ、健康寿命って今アンケートじゃないですか。人のお世話になっている、なっていないのアンケートじゃないですか。科学的に健康寿命というのはこういうふうに算出するんですよというのは実はないんです。これ日本がつくるべきだと私は思っていまして、それについてどういうことが考えられるかなというのが一点と、やっぱり直接介護じゃない、別の目標を定めてやったときに要介護度の認定率が下がってくるというのが私は望ましい形態だと思うので、その点についての御意見を、その二点お願いしたいと思います。
  24. 服部万里子

    参考人服部万里子君) ありがとうございます。  健康寿命に関する評価というのは、厚生労働省が健康寿命というのを打ち出しているんですけれども、私も看護師なので、いろんな利用者さんと向き合っていて一つ感じるのは、その方の身体的なものがいっぱいあります。これは加齢によるものももちろんありますし、それから疾患によるものもあります。疾患によるものは別に、高齢になってなったものもありますし、元々心臓が悪いとか肝臓が悪いとかという方もあります。その意味で、多様な要素があると思いますけれども、どの要素をもっていわゆる健康かどうかというのを判断するということに関しては、指標を探すために調べるということは可能ではないかと思います。  ただ、そこで出てこないものがあるんです。そこで出てこないものは何かというと、生きたい意欲とか、自分が何かに対して思いを持っているとか、やる気があるとか、そういうものは出てこないんですね、科学的なデータの中では。  今、私もケアマネジャーやっていて一番感じることは、外に出たくない、食べたくない、会いたくないということをどうするかが一番大変なんです。介護が必要でサービスをということならまだある意味ではいろんな方法があるんですけれども、その方の思いとか、やりたくないという、でも行きたくないには原因があるんですね。又は食べたくないには原因があるんです。そこをもう一つ、どうしてという形で向き合っていく、そのための時間と努力というものは必要だと思っています。ただ、そういう意味で、その科学的な指標だけではいかないなというのはそういうふうに感じております。  それと、あと二つ目の御質問なんですけれども、今後、国がそういう指標をつくることは別としても、高齢期に、例えば大分の中で元気な方が増えていくことの中身に関して私は否定するものではありません。そして、その方たちがその地域の中で、例えば介護度一というのはやはり一つの歯止めなのは、どうしても認知症が多いんです。介護度一に残れるというのは、認知症の自立度二以上ないしは半年以内に状態が悪化する人しか残れないんですね。逆に言えば、そこはもう歯止めになると思います。でも、要支援というのはある意味では七十四項目の様々な状況ですので、やはりそこの妥当性ということがあれば今の内容がまずいとは思いません、その指標に関してはです。
  25. 足立信也

    ○足立信也君 介護のことを語るのに介護が必要でないことを指標にするというのが、僕はかなり大事な考え方なのかなと思って申し上げました。  私、大学にいた頃等々、クオリティー・オブ・ライフ、QOLの指標をどうしようかといって、あのとき一番患者さんの気持ちを反映して、状態を反映して良かったのが顔のマークでした。笑顔なのか、少しつらそうな顔なのか、あるいはしかめっ面なのか、そういうことがトータルで極めて分かりやすい指標だったなというようなことを覚えておりますので、そのことを申し上げて私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございます。
  26. 熊野正士

    ○熊野正士君 本日は、四人の参考人皆様に貴重な御意見を賜りまして、心から感謝を申し上げたいと思います。  時間も限られておりますので、皆様全員に質問できないかもしれませんが、その点はちょっと御容赦をいただければと思います。  まず、岩村参考人にお尋ねをしたいと思います。  冒頭、保険者機能強化が必要であるというふうなことでお話をいただきまして、介護保険部会部会長代理としてのお立場で、議論も踏まえながらということでお話をしていただきました。  そして、今、要支援一、二の方に対しましての新総合事業というものがいよいよこの四月から移行をされて、実質的には来年四月から施行されるというような形で承知しておりますけれども、この保険者機能強化というのがやっぱりこの新総合事業、非常に関連しているというか、ということはあると思いますので、この新総合事業の議論いろいろあったと思うんですけれども、その辺の一番期待できるところというものをちょっと教えていただければなと思います。
  27. 岩村正彦

    参考人岩村正彦君) 御質問ありがとうございます。  新総合事業につきましては、もう先生御案内のとおり、もちろん法律の枠というものはあるわけでありますけれども、しかし、具体的な内容についてはそれぞれの保険者である市町村に委ねられているところが多いというふうに承知しています。  そういう意味で、とりわけ要支援の方々についてどういうふうにしてサービスを提供し、重症化を予防して要介護状態にならないようなことで現状維持を図っていくかというところで、まさに市町村役割の重要性というのが発揮されるというふうに理解しているところでございます。
  28. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございます。  岩村参考人はいわゆる療養病床在り方等に関する特別部会の方でも委員として入っていらっしゃいます。ちょっと今日のお話の中にはなかったんですが、ほかの参考人の方からもいわゆる介護医療院お話がございまして、その辺の、今回、介護医療院というふうなものを新設に向けた法案なんですけれども、その辺の部会での議論等も踏まえて、背景とかということをちょっと説明いただければと思います。
  29. 岩村正彦

    参考人岩村正彦君) ありがとうございます。  部会状況をいろいろお話ししますと大変長い話になってしまうのですけれども、やはり重要なポイントは、高齢者の方で介護と医療のニーズがそれぞれ必要な方というのがいらっしゃる。ただし、その中でも医療へのニーズの傾斜が高い方と、そうでない方もいらっしゃる。そういったそれぞれの高齢者の方の状況の違いに応じて幾つかの介護医療院のタイプというものを設けるということによって、高齢者の方の、一方では、さっきちょっと言葉が出ましたが、クオリティーライフというものを確保しつつ、他方で必要な方に対しては適切な医療を提供するという、そういう整理をきちっと付けて今後これを実際に実施に移していくと。そういう筋道を付けたという点で、一番大きいのは、やはり関係各当事者の皆様の合意がそれで得られたというところだというふうに承知をしております。  今後は是非これが順調に、ちょっと時間が掛かるかもしれませんが、定着していくということを期待しているところでございます。
  30. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございます。  続いて、岩名参考人の方にちょっとお尋ねをしたいと思うんですけれども、先ほどもやっぱり保険者機能強化ということに関してお話がございました。その中で、ただ単に大量のデータを提供するだけでは駄目だと。何のためにやるのかとかバックグラウンド、背景とかそういったことを丁寧に説明をしながら共有していくということは本当に大事だというふうなお話があったんですけれども、そのとおりだなと思いつつ、もう少しその辺のことを詳しく教えていただいたらと思うんですけれども。
  31. 岩名礼介

    参考人岩名礼介君) これは、また具体的に話すと大変長くはなると思いますのであれですけれども、一つは、やっぱり市町村、データをぽんと渡されても、こういうものって話し相手がいることって結構大事だと思っているんですね。つまり、外側にいる方とそのデータを用いて意見交換をするみたいな、落としどころを最初から決めるようなものではないと思うんですけれども、実は地方都市においても結構そういうリソースは私はあると思っているんですね。各都道府県に大学あって、県立の大学なんかもあると思いますし、そういうところには保健関係の先生って必ずいらっしゃいますし、そういったデータを見たりすることが専門の方っていないわけはないと思うんです。  それはすごく有名な方とかということじゃなくて、地道にフィールドワークされている先生もたくさんいらっしゃるので、そういう方々をお招きして外部とコミュニケーションを取るということは大変あると思いますし、あと、こうやって言うと、自治体の方にはいろんな方いらっしゃるので一概には言えないんですが、余りそういうところで、何というんですかね、ファシリテーションするみたいなことを余り得意じゃないというのであれば、そういう方は、やはり同様に外にそういう研究をされている方とかたくさんいらっしゃると思うんですよね。先ほど言ったことと同じなんですが、行政が全部内側でやってしまおうと思うと、できないということになってやらなくなってしまうので、それよりも外側の方々と協働する、全部抱えられるほどもう職員配置もないと思いますし厳しいと思うので、外と組むということが一つポイントだと思っています。
  32. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございます。  そして、お話の中で、いわゆる介護とかを受けられる側からすると、ばらばらのサービスというものをまとめることがすごく安心感も生むし大事なんだという御指摘がございましたけれども、ここも何か具体的な事例とかがあれば、ちょっと時間なくて申し訳ないんですが、教えていただければと思います。
  33. 岩名礼介

    参考人岩名礼介君) これは事業所レベルで、例えば事業所間で連携をするとか業務提携するという形でやっている場合もありますし、それこそ最近の小規模多機能、定期巡回、看護小規模多機能というのは元々もう連携がされた状態でのサービスということもあります。やり方というのは、あるいは医療、介護の連携パスみたいなものを地域でつくるとか、つながり方というのは別に一つではないと思うんですね。だからこそ、いろんな選択肢の中からこの地域にはこれが合っているというものを選んでいただくということになるんだと思います。  そのときに、行政が一番やりやすそうなものを選ぶというのはやっぱり間違っていると思っていて、実際にそこで動く方は事業者さんであったり専門職であったり、利用されるのは利用者さんなわけですから、そういった方々がやっぱり参加する場所でその議論をしないと、こちら側から一方的にということは、そういうことをやっているところはほとんどないと思いますけれども、やっぱり話し合っていただく、非常にシンプルなんですけれども、とても基本に忠実にやることが大事だというふうに思っています。
  34. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございます。  話し合ってということと、あと行政の枠に入れないということが大事だということかなと思うんですが、また、資料をいただいて、その中で、やっぱり行政側が、例えば共生社会とかそういうサービスのこととかでも、何かお願いするということではなくて、自発性といいますか、そういったものがないと制度としても長続きしないしというふうなことを書かれていまして、その辺のことももし御意見ございましたらよろしくお願いいたします。
  35. 岩名礼介

    参考人岩名礼介君) もう当然ですが、住民の方というのは別に行政の下請では絶対ないので、やりたいと思うことを皆さんやっていらっしゃるわけなんですよね。ですので、どちらかというと、今地域状況がどういう状況なのかという情報を出すことは行政はできると思いますし、十年後の姿を予測することもできると思うんですね。  そういったものを御覧になって、何も感じない方ももちろんいらっしゃるかもしれない、何もしようと思わない方もいらっしゃる、それはそれでいいと思うんです。でも、やっぱりそれで何かしようと思い始める方もいらっしゃるのも事実で、余り住民主体ということを、最近一つ大きな流れにはなっていますが、最初から当てにするものではなくて、出てきたらそれをしっかりサポートするというスタンスを持つことがとても大切だというふうに思っています。
  36. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございます。  じゃ、ちょっと最後、もう一問だけ、岩名参考人に。  介護人材のことでちょっとお尋ねをしたくて、いただいた資料の中で、いわゆるロールシフトというふうな単語でお示しいただいていましたけど、この辺をちょっと教えていただいてよろしいでしょうか。
  37. 岩名礼介

    参考人岩名礼介君) これは別にそんな難しい話じゃなくてキャッチーなコピーを付けただけなんですが、中重度の方々も支えていかなくちゃいけない、これからどんどん増えていく中で、専門職にしかできないことにやはりどんどん特化していっていただくということは大切だと思っています。  今のまま推計すると、二〇二五年、二〇四〇年、大変なことになることはもう誰もが分かっているわけですから、じゃ、今やっている役割を少しずらすことによってそこを緩和できたりするチャンスというのは当然あると思うんです。ですので、それは誰かに何かの役を押し付けるという意味ではなくて、少しずらすことで前提が変わるので、そうすると将来の絵というのはまた変わってくるだろうという意味で使っております。
  38. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございました。  これで質問を終わらせていただきます。
  39. 倉林明子

    ○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。今日は四人の参考人の皆さんに御意見を聞かせていただきまして、本当にありがとうございます。  そこで、財政的インセンティブにつきまして、服部参考人の方からは、法の目的にも触れて、自立の一面化、目的変更になるという指摘や、さらに反対の意見も多かったということも御紹介いただいて、要介護認定を厳しくする、あるいは利用者改善する可能性で選別する、自立の強要により事故が起きると、こういう指摘というのは本当に大事な指摘だというふうに受け止めました。  改めて、じゃ介護保険部会での意見の取りまとめはどうだったんだろうかということで、岩村参考人の方からお話もあったんですけれども、この中身を見てみますと、インセンティブ付与については、結局、市町村都道府県に対するインセンティブを設けることも検討すべきという表現になっているし、インセンティブを設けるべきではないとの意見もあったと、こういう取りまとめになっていることも踏まえれば、このインセンティブの規定を整備するという今回の法改正になっているということについては少し乖離があるのかなということを改めて受け止めたということです。  そこで、実際に先行して取組が進んでいます桑名のことに関して、最後の方が少し説明が駆け足になったかとも思ってお聞きしておりました。大きな役割をこの仕組みの中で果たしているのが地域ケア会議、桑名では地域生活応援会議ということで機能しているということですけれども、私、ここの役割、どんな役割を果たしているのかということを御説明いただくと同時に、後ろ、十分時間取れなかったところも併せて御説明を補足的にしていただければと思います。
  40. 村瀬博

    参考人村瀬博君) 卒業の話が中心になってしまったんですけれど、卒業という件数、いわゆる数値目標を設けるということも問題だというふうには思うわけですが、認定率が下がっている、いわゆる、七ページで二年間ぐらいの間に要介護認定率一六・二五から一四・一八と、こういう下がり方をしている主な原因というのは、応援会議というのがやはり問題だというふうに私は思っています。  卒業で減るという要素もありますが、大きな要素というのは、応援会議が、四十人ほどの方に、言葉は悪いですが、助言されるというか囲まれているような形で自分の立てたプランが検討されるということなんですけれど、応援会議に出るに当たっては、その方の、高齢者生活状況であるとか体の状況であるとか全てのことを把握して応援会議にケアマネさん等が臨まないと、そこのいろいろな質問なり助言には答えられないという、そういうふうなこと、あるいは応援会議に臨むに当たってたくさんの資料を用意してこの状況に臨まなきゃいかぬという、そういうことがありまして、認定率が下がっている主な原因というのは、要支援一、ここでは出ていませんが、要支援一が大きく下がっているので認定率が下がっているというのが主な要因です。要支援二は時間数としては要介護一と同じ時間数ですので余り下がっていない。介護サービスが受けられるということで、ケアマネさんは要支援二の方については申請されると思うんですが、要支援一の方についてはこの応援会議を忌避、回避して、そもそも応援会議にかけない、こんな状態であれば介護サービスはなかなかちょっと受けるのは無理と違いますかと、そういうふうな中で要支援一が急激に下がって、全体としては七ページの上のような下がり方になっています。  だから、応援会議について、行政の意向をそんたくして、事業者あるいはケアマネさん自身が非常に萎縮、自己規制をする中でこういう認定率の低下というのが起こっているという大きな問題があるというふうに私は思っています。
  41. 倉林明子

    ○倉林明子君 ありがとうございます。  そこで、服部参考人にお聞きしたいと思うんですが、二〇一五年、報酬改定がありました。これについて率直な評価をお聞かせいただきたいと思っているのと、このとき、職員の賃上げ、これ最高月額で一・二万円可能だということだったわけですが、この加算が実態賃金の、職員に対してどんな効果となっているか、現場の実態も踏まえてお聞かせください。
  42. 服部万里子

    参考人服部万里子君) 前回の改定の中では、五回目の介護報酬改定だったんですけれども、史上最大のマイナス改定です。平均的では二・二七%のマイナスですけれども、おっしゃるとおり、処遇改善加算が入っていますので、実質は四%以上のマイナス改定だったんですね。結果として、全国の訪問介護事業所の四割以上、デイサービス事業所の四割以上が赤字経営ということになっているという実態があります。  処遇改善ということは私は大切だと思いますけれども、十万円低いんですね、例えば訪問介護員の場合だと。施設介護職もそうです。一か月当たり十万円低いという実態を見れば、基本的には介護報酬をしっかり付けて、まともな仕事に、人が辞めないという、こういうことをやっていく方が妥当だろうというふうに私は思います。
  43. 倉林明子

    ○倉林明子君 服部参考人に重ねてお聞きしたいと思うんですけれども、今、現場では離職もう止まらないという現状があろうかと思うんですね。その現状に歯止めを掛けていくためにも、実態としての職員の配置基準の問題があろうかと思います。実際、三対一ではもう回らないということは、施設でですね、あろうかと思うんですけれども、その点の基準の見直しについてのお考え、いかがでしょうか。
  44. 服部万里子

    参考人服部万里子君) まず、基準を下げることはすべきでないと私は思っています。  なぜかというと、施設は今、介護度三以上しか入れないというふうになりましたので、重度の人が多いので、その分介護負担というのは介護職に物すごく深くなっています。  それと、人は足りなくないんですね。ホームヘルパー二級を持っている人は二百九十万人いるんです。だけれども、介護の現場に就いているのが一八%ぐらいなんです。もう八五%は介護の現場に就いていないんです。  介護福祉士も百六十万人いますけど、介護の現場で働いているのが五十五万人なんです。それは、資格は持って介護に心持ちを持ってやりたいというふうにいった人が現場に入って、もうこれでは続けられない、やっぱり、厚生労働省がその実態調査をしていますけれども、給料が安くて社会的評価が低くて仕事がきつくて休みが取りづらくて雇用が不安定という、これだけ続けば誰も続けられないということで、まずしっかりと介護報酬でまともな仕事ができる環境をつくって、そして質の高いケアがより継続できるようにする、これが私は本来の姿かなというふうに思っております。
  45. 倉林明子

    ○倉林明子君 ありがとうございます。大いに参考人の皆さんの意見も踏まえて審議を深めていきたいと思います。  ちょっと時間もなくなってまいりましたので、質問できなかった参考人を残したことをおわびして、終わりたいと思います。
  46. 片山大介

    片山大介君 日本維新の会の片山大介です。よろしくお願いいたします。  私は、まず保険者機能強化についてお伺いしたいと思います。  まず岩村参考人にお伺いしたいんですが、岩村参考人は先ほど、市町村保険者機能を発揮していく、それで市町村によっては対応できないところも出てくる、だからそれは県が支援をしていくと、これを法にきちんと明記するというふうになっているんですが、そうすると、今まではどちらかというと市町村レベルの差がある程度目立っていたんだと思うんですけれども、これから県が支援をするということになると、県内の自治体の差は縮まってくるんだけれども、一生懸命やっているやっていない、都道府県も差があるので、その都道府県の差が出てくるんではないかなと思うんですが、来年度からの第七期はそういう傾向が見えてくるのか、ちょっとどういう予測を立てているのか、教えていただきたいんですが。
  47. 岩村正彦

    参考人岩村正彦君) 御質問ありがとうございます。  今、先ほど私も申し上げましたように、市町村保険者機能強化するといいましても、それぞれの市町村ごとにいろいろな事情が違うということもありますので、そこは都道府県のサポートというのが必要であろうということは申し上げたとおりでございます。  そうしますと、確かに一つの可能性としては、都道府県によってもこれまた高齢化率あるいは要介護度の認定率等に差がありますので、それに応じて今度は都道府県ごとの差というのが出てくるという可能性は否定はできないと思います。  ただ、介護保険法においては、さらに今度は国全体としての計画その他が仕組まれておりますので、そこから今度はさらに余り都道府県間での大きな差が出ないようにということで、今後また政策を考えていくということになるのかなと理解をしているところでございます。
  48. 片山大介

    片山大介君 ありがとうございます。  それで、続いて岩名参考人にお伺いしたいんですが、各市町村の保険機能の強化に当たって、保険事業計画を作るに当たって見える化システムを駆使していかなければいけないと。私もちょっと見える化システムで実際に使ってみたんですけど、大変難しいなというか、膨大なデータもそのとおりだし、これを分析がきちんとできるのかなというふうに思っていて、各自治体というのはやっぱり分析が仕事じゃないのは私ももちろんそのとおりだと思っていますし、それで、先ほど大学の話も出ましたけれども、今、日本の大学で介護を研究する学部というのはたしかないと思うんですよね。だから、そうすると、やはりこのシステムを使った本当の計画というのがなかなか簡単には作れないんじゃないのかなというふうに。それで、今、国が言っているのは、その計画の策定状況、きちんと作ったかどうかが、これがインセンティブにも関わってくるようなことを言っているので、これ、自治体によってはきちっと作れないところがやっぱり出てくるんじゃないかなと思うんですが、そこら辺はどのようにお考えでしょうか。
  49. 岩名礼介

    参考人岩名礼介君) 財政的インセンティブ目当てでそれを下げる計画を作ろうと思ったら、それはおかしな話だと思うんですね。ですので、やはり基本的に、この財政的インセンティブ、これは、私の本当に個人的な考えとしては、やっぱりプロセスの部分が初期の部分というのは大変重要だと思っています。地域ケア会議も、やっぱりまだ皆さん試行錯誤でやられているわけで、これが、別にそれは自治体の努力不足ということとは全く違って、やはり新しいことをやっている以上、一定の時間は掛かると思います。このプロセス評価の部分をしっかりやっていくということがまずは重要。  一方で、そのデータの部分については、もう先ほどからの主張と全く私は一緒なんですけれども、抱え込んだらなかなかできないというのはもう間違いないと思うんですね。ちょっと過去の経験で申し上げますと、本当に三つとか四つぐらいにデータを絞って、例えばですけれども、これはごく一例だと思って聞いていただきたいんですが、ショートステイというのは一応短期間使うということが基本になっていますけれども、これを長く使わざるを得ない方というのは結構いらっしゃるわけですね。これって、月に十五日以上使っている方となると、半分以上家にいないわけですよね。この方々って地域の中にどれぐらいいるのかというと、それって地域によってみんな違うんですね。実は、そのデータをどうするかということではなくて、このショートステイを十五日以上ロングで使わなくちゃいけない人ってなぜなんだろうという問いが実は重要であって、データではですね、これを何%にするというのはその後出てくる話なわけですよね。  だから、うちの地域と隣の町で比べるとこれだけ差がある原因は何かということを、実はそのことは、意外にそういうシンプルなデータって、現場の専門職の方とか事業者さんと話をすると結構情報が上がってきます。単純にこの地域をどうしましょうと言っても、誰も何も意見出ないんですけれども、具体的な数字というのは議論の触媒みたいなところがあるので、まずそういう使い方からスタートしていくということは大切だと思います。  やっぱりなかなかデータもこなれてくるまで時間が掛かるので、少しサポートというのは技術的に国がもうしていくべきだと思いますし、是非アカデミックな分野の先生方にも地域で御協力いただきたいというふうには思っております。
  50. 片山大介

    片山大介君 分かりました。ありがとうございます。  それで、次にインセンティブの関係でお伺いをしたいんですが、これは服部参考人にお伺いしたいんですが、そのインセンティブについて、例えば要介護認定を厳しくするだとか、そういう一面的なものだけでやってしまったらゆがめてしまうというふうにおっしゃっていて、私もそうかなと思いますし、今この委員会でもそういったことが議論されているんですけれども、では、そのインセンティブはどのように考えていったらいいのかというふうにお考えでしょうか。
  51. 服部万里子

    参考人服部万里子君) 前の段階でも、デイサービス介護度を軽くしたら、翌年デイサービスに付加が付くという制度は入っていたんですね。ただ、今回は市町村を競争させるということなんですね。そうすると、市町村は、しかもそれにお金が付くということであると、やはり市町村としては負けたくないみたいなところになってしまうのではないかというふうにまず思います。そのときに、その人の力を生かすということをどう支援するのか。  例えば、地域資源というのもあるんですね、介護保険以外の。それをどうプランに組み込みながらその方の生活全体を支援していくのかということもとても大切な要素で、今そのプランに組んでいるのが、地域資源が三六%ぐらいなんです。六〇%がそれを組んでいないんですね。その理由としては、その情報がないとなっているんです。公的な介護サービスの情報というのはWAMNETということで調べられるんですけれども、地域資源にあるインフォーマルな情報というのはなかなか調べられない。  例えば、そういうことを充実をさせるということも含めて、その方をトータルで支えるということをして、できるだけ生活のクオリティーもそうですし、悪化もさせないということもそうですし、家族負担も軽減するということを含めてやっていく、こういうことも、その市町村が、その地域で暮らし続けられるということ、悪化させないということには大きな影響を及ぼすのではないか、こんなふうに考えております。
  52. 片山大介

    片山大介君 分かりました。ありがとうございました。  あと、ちょっと時間ないので、制度持続可能性の確保について、これは岩村参考人にお伺いしたいんですが。  今回の改正案で一部三割負担ということを考えているんですが、ここで、先ほどおっしゃったのは、負担能力のある人には負担を求める、ある程度これは納得していただけるんじゃないかとおっしゃって、それでなおかつ今後も進めていくような話をされたんですが、これは今後も拡大ということもあり得るというようなイメージでお話しだったのか、教えていただきたいんですが。
  53. 岩村正彦

    参考人岩村正彦君) もしかするとちょっと適切じゃないというか、うまく表現できていなかったことがあったのかもしれませんけれども、基本的な考え方としては、負担能力のある方には負担をしていただくというのが基本的な考え方であろうというふうには言えると思います。  ただ、今後それを更にどういう形で具体的に進めていくかということについては、今のところ私の理解では白紙の状態であろうというふうに思っています。何か具体的に今後更にどうするかということについては、今の段階では検討はまだしていない、具体的には検討していないというふうには理解しています。  いずれにしろ、そこは、先ほど申し上げたように、高齢化の進展とその介護保険制度持続可能性を維持しようと思ったときには、使える言わば財源が、変数が三つということになってしまうものですから、その中での最適組合せという形で今後ともやはり考えていかざるを得ないだろうということだというふうに考えております。
  54. 片山大介

    片山大介君 それで、また服部参考人にお伺いしたいんですが、その負担について、服部さんはやはりこれは差を付けるのはおかしいんじゃないかというふうにおっしゃっていたんですが、じゃ、そうすると、持続可能性の確保のためにはどうしていったらいいというふうにお考えか、最後、教えていただけますでしょうか。
  55. 服部万里子

    参考人服部万里子君) より長く在宅で暮らせば介護給付は下げられるんです、一人当たりの利用量を見ると。ですから、在宅で長く暮らせるようにする、そのためにはやはりその地域サービスなりサービス以外のものも充実させるということだと思います。  ただ、もう一つ、先ほど三つしかないとおっしゃいましたけれども、国は今、高齢者年齢を七十歳以上にするということを検討しています。七十歳以上にすれば年金も介護保険の一号被保険者も七十歳以上になるということで、そういうことも国は検討しているということで、あり得るんだろうというふうに私は、あり得るって、いいという意味ではなくて、国はそういうことも考えているということも併せて申し上げたいと思います。
  56. 片山大介

    片山大介君 ありがとうございました。
  57. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  今日は、四人の参考人の皆さん、本当にありがとうございます。  まず、服部参考人にお聞きをいたします。  介護保険黒字が続いているというのが、そうなんだというのが本当に思っていて、そして医療保険のまさに付け替えが行われているために介護保険の財政が悪化していると。だとすると、介護保険黒字が続いているんだとすれば、やっぱり介護保険制度としてどう持続可能にするかとやるべきだというふうに思います。  服部参考人とすれば、これはどういうふうにしていけばいいというふうに、将来見通しも含めて思っていらっしゃるか、お聞かせください。
  58. 服部万里子

    参考人服部万里子君) 今でも財源の付け替えというのは、日々、退院をさせるということが、今ある意味では在宅復帰率のようなのが導入されて各病院が退院させなきゃいけないという状況になって、退院すれば介護保険という、こういうことになっています。そして、なおかつ病院を減らすという方向もあります。  でも、それだけではなくて、介護保険というのは、介護が必要になったときにできるだけその人の力を生かしながら在宅で生活ができるようにするということですので、その方の一人一人の生活に即したサービスが利用できるというように、サービスの選択肢を狭めないとか、しっかりとサービス、先ほども、介護保険サービス提供者がいなくて事業所が継続できないというような状況をまずなくして、しっかりとしたサービスを提供できるようにして、そして在宅が継続できるようにする。それがある意味では本来の姿で、利用者さんもまた市町村もある意味では納得できる姿だろうというふうに私は思います。
  59. 福島みずほ

    福島みずほ君 服部参考人にお聞きをします。  法律案には取り上げられていませんが、来年度の介護報酬の改定に向けて、ホームヘルプサービス生活援助の人員基準の緩和を検討することが予定されています。介護保険サービスにおいて、研修を受けたホームヘルパーによる生活援助は必要と考えるのか、研修を受けていない無資格のホームヘルパーによる生活援助でも可能と考えるのか、御意見をお聞かせください。
  60. 服部万里子

    参考人服部万里子君) 先ほど無資格者でいいという意見も一部ございました。でも、それは現場を知らない者の意見です。  口から食べれないとか、体が麻痺しているとか、目が見えないとか、そういうことは誰が見ても分かるので、ある意味では、ケアに関しては技術は必要ですけれども、ケアの必要性は分かります。だけれども、歩けるけれどもどこへ行ってしまうか分からないとか、又はその方が、食べれるけれども栄養が非常に偏っていて低栄養でいつ倒れるか分からないとか、誤嚥をしそうであるとか、又はこんなに暑いといつ脱水するかという可能性がある、そういうことというのは目に見えるだけでは分からないので、ヘルパーさんというのは掃除とか洗濯とか買物で支えるだけではなくて、その人の状態をしっかりと見ながら悪化をさせないようにするという、それこそ専門的な視点がなければできない。むしろ、ここにこそ専門職が必要だということを私は現場で実感をしております。
  61. 福島みずほ

    福島みずほ君 服部参考人にお聞きをします。  要支援一、二の通所と訪問サービス介護保険給付から外れて、今は要介護一、二はまだ介護保険給付に入っておりますが、将来、生活援助について外れるんではないかという危惧を大変持っています。生活援助に関して、介護保険給付から外れてしまうと本当に地域で生きていけないというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  62. 服部万里子

    参考人服部万里子君) 結局、自費で使わざるを得ないというところに追い込まれると思います。その意味で、今、国は自費を推薦するような政策をいっぱいやっております。コンサルの会社も、これからいわゆる生活援助が市場ニーズがあるんだということで、大手さんがそういう新会社を設立したりしています。でも、それはお金が払える人しか利用できないんです。そうすると、独り暮らしが介護を必要な人では一番トップです。そういう中で、家族にも頼れない、お金がない方に関してはもう介護保険から捨てられるということになってしまって、介護度の悪化だけではなくて、いわゆる将来の生活に対する希望も又は可能性もなくなるということで、とても介護保険制度と相反することにつながってしまうのではないか、このように考えます。
  63. 福島みずほ

    福島みずほ君 三百四十万以上だと三割負担、夫婦世帯だと四百六十三万円で三割負担と。私自身は、二割がどうだったかという検証を厚生労働省がしないうちに三割の改正案を出すことが極めて問題だと思っています。しかも、夫婦で四百六十三万円が現役世帯と同じなんでしょうか。やっぱりいろんな医療費も掛かるし、医療保険も掛かるし、場合によっては家賃も掛かる、生活費も掛かる、生活が非常に苦しくなる。この三割負担について、服部参考人意見をお聞かせください。
  64. 服部万里子

    参考人服部万里子君) まず、絶対、附帯決議の中で、せめてその二割負担になった方の生活がどうなっているのか、トータル的な数ではなくて、実際そのなった人の生活がどうなっているかということを見た上で三割負担ということを検討すべきだと思います。そうでないと、その方の生活、例えば、私の知っている方でもそうなんですけれども、御夫婦で、妻が要介護度五で認知症で施設に入っています。夫が仕事をして、もうリタイアをしています。そうすると、妻は非課税であったとしても夫が課税だと、いわゆる施設の家賃とか補足給付という形での食事代の減免が受けられないんです。そうすると、妻では当然払えませんので、その分を持ち出しになるということで預金を取り崩していく、将来が不安だという、こういう実態もあります。そういう実態もしっかりと調査した上で三割負担検討をすべきではないか、このように私は考えます。
  65. 福島みずほ

    福島みずほ君 服部参考人にお聞きをいたします。  調整交付金、自治体に対する調整交付金なんですが、本法案においては要介護度改善などを自治体間で競わせて、それを国が査定する要素も新たに加わると。つまり、コストカットを市町村に押し付けて、それを達成した自治体を優遇するという意味での財政的インセンティブというのは間違っているんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  66. 服部万里子

    参考人服部万里子君) 本来、介護保険の趣旨にも反します。もう行政として市町村介護認定というところで役割を果たしているわけです。だから、市町村は、介護が必要だといって決めた人、その方に対して介護度改善しなければお金が出ないということだと、市町村はもう介護認定を厳しくするという方向に走らざるを得ない。そのことがかえって現場の市町村に対する混乱も起こしますし、サービス利用者さんに対しても介護保険そのものの不信につながるのではないか、その意味で非常に問題があると私は思っております。
  67. 福島みずほ

    福島みずほ君 要介護三以上でなければ原則として特養老人ホームに入れないとしたために、要介護一、二が本当に入れなくなっています。認知症の人たちなど、家族の皆さんたちも含め大変な状況だと聞きますが、この点についていかがでしょうか。
  68. 服部万里子

    参考人服部万里子君) 介護保険の限度額に対する利用率というのを先ほど国のデータから出しました。だけれども、二%ぐらい限度額を超えている人がいるんです。それはどういう人かというと、ほとんど認知症の人なんです。認知症の人に関しては、一度入ったら二時間空けるとか、もう夜はお金が高いから来れないということが、できない状況で家族の負担が掛かっています。また、介護自殺とか介護殺人とか、そこでも圧倒的に認知症の方が多いという実態がありますので、やはり今やろうとしていることに関しては、非常にこれから将来に禍根を残してしまうのではないかと、こういう不安を感じております。
  69. 福島みずほ

    福島みずほ君 服部参考人にお聞きをします。  六十五歳以上の障害者の人たちが障害福祉サービスから介護保険に移行する、この数値をどうも厚労省は把握していないようですが、このことについての問題点について御指摘ください。
  70. 服部万里子

    参考人服部万里子君) 障害を持った方とか又は難病の方とか、その方が六十五歳以上になったときに介護保険が優先されるというのはそのとおりです。当事者がそのことに対して違和感を感じているということはあると私も思います。だけれども、制度両方使えるんです。  私もケアプラン作っておりますけれども、介護保険と同時に、そこにないものに関しては障害者総合支援法のサービスサービスを増やすことも、その人に合った車椅子を作ることも、同行援護もすることもできます。そういうような形で、実質そういうサービスを総合的に使うということでその方たちを支援していくということが大切であって、制度として介護保険の指定を事業所にすることによって介護保険サービスお金を払うということは妥当ではないように私は考えております。
  71. 福島みずほ

    福島みずほ君 ありがとうございます。終わります。
  72. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 無所属クラブの薬師寺みちよでございます。  私一番懸念いたしております点は、介護保険事業計画を策定する点でございます。それについて四人の参考人皆様方意見をお伺いさせていただきたいんですけれども、実は医療というのは結構その数値を取るのは簡単ですよね。しかし、介護というのは、いわゆるエンド・オブ・ライフ・ケアと言われるように、様々、個々人の皆様方それぞれゴールが違うわけです。その違うゴールを一つにまとめてまた計画を作らなければならない。都道府県で医療計画を作った際にも多くのコンサルがそこに入り込んでいって、全国を金太郎あめのような形になってしまって、数値だけ、形だけというようなものも見受けられたように私は記憶いたしております。  しっかり都道府県だけではなく市町村皆様方計画を策定していただくためにも、一体そのゴールはどういうところに置いて工夫して作っていけばいいのか、それを先生方それぞれのお立場で考えをお伺いさせていただきたいと思うんですけれども、よろしくお願い申し上げます。
  73. 岩村正彦

    参考人岩村正彦君) 御質問ありがとうございます。今御質問のあった点は私も非常に重要なところだろうというふうに思います。  先ほどの岩名参考人お話にもありましたけれども、やはり市町村の場合は、どうしても財政規模の問題であったり、あるいは人的資源の問題というようなものもありますので、例えば市町村レベルでの介護保険計画を作るということであっても、その力量については残念ながら格差がどうしても存在するということだと思います。また他方で、市町村ごとに、これも先ほど申し上げましたが、高齢化率についても、それから介護保険についての財政力といったものも違うでしょうし、さらに地勢的な理由とか、いろんな理由でもっていろいろな差がある。  そういう意味では、今後計画を作るに当たって、それぞれの市町村が置かれている状況というのをきちっと分析した上で、その市町村状況にきちっと合った処方箋を計画として作っていかなければいけないということになると思います。そうなると、なかなかやはり個々の市町村にそれを期待するというのは非常に難しいと。  したがって、一つは、やはり都道府県支援というものがそこでどうしても必要であろうということになりますし、また適切な参考事例等を、それが直ちに当該市町村に使えるとは限りませんが、そういったものをできるだけ提供する。あとは、やはりそこに外部の力をうまく使うということをどうしても考えていかざるを得ないかなというふうに思います。ただ、そこでやっぱり一番大事なのは、それぞれの市町村に合った形での計画ができるように、市町村自身がそういった外部の事業者の方々ときちっと相談をしたりした上で計画を立てていくというところが肝要かなというふうに考えております。
  74. 服部万里子

    参考人服部万里子君) おっしゃるように、地域介護保険事業計画内容がその地域で暮らしている方の生活に大きな影響を与えるというのはそのとおりだと思います。  それと、市町村がやっぱり事業計画を作るときにいろいろ苦しんでいるというのも実態だと思います。でも、それは知識がないからとか情報が少ないからではなくて、国が押し付けてくる内容が非常にもう一方的、要支援の二つのサービス市町村事業に変えて単価を下げるんだみたいな形で三年以内にやれというようなことが出てきたり、来年はインセンティブという問題が出てくるかもしれないということで市町村が苦しんでいるわけであって、能力がないわけではないというふうに思います。  それと、研究者も各大学には多くいます。私はたまたま渋谷区の介護保険事業計画の策定委員長をしておりますけれども、大学の先生も、ほかの先生に入っていただいていますし、ほとんどの市町村がいろんな大学の先生に入っていただいているというのが実態であります。  そして、国はパッケージ型サービスを事業計画で入れろというような形で言っておりますけれども、先日の介護保険給付費分科会でも、本当にそれが地域のニーズに合っているのかという疑問が出ているような実態です。  ですから、やっぱり地域に根差して、地域意見を聞いて、そこの中で地道な中でやっていけば、介護保険事業計画地域の望む方向をやっていくことができる、ただ、それを阻害しているのは今の無謀な計画ではないかというふうに私は考えております。
  75. 岩名礼介

    参考人岩名礼介君) ありがとうございます。  事業計画というのは、大体この一年で大体皆さんお作りになっているんですけど、もうその考え方少しやめた方がいいと私はちょっと思っていて、そもそも最後の一年で駆け込みで考えるものではないんだと思うんですね。  きちっとやっていらっしゃるところ、特にとりわけここ数年は、地域ケア会議もそうですし、協議体も早くから着手しているところ結構あります。そういうところは、結構話合いの蓄積が確実にあるんですね。それが本当は計画の基になっているべきで、もちろん、おっしゃるとおり、QOLはいろいろの基準があるし、そこに達するための方法というのは、生活をターゲットにしている以上いろんなパターンがあるので、数量的にそこをぴたっと合わせていくというのはそんなに簡単なことではないのは事実です。  だけど、この地域で合意して作っていくということが基本原則としてやっぱりあるんだとすれば、今までの、どちらかというと、ここから半年でどういうふうに作るかという議論よりも、ここ二年、三年、何を議論してきたかということの方がはるかに価値があるはずだと思うんですね。この辺りは、ちょっと、これで何か全て解決する話ではもちろんないんですけれども、もう一度、各市町村の皆さんにはちょっと逆に振り返ってもらうということが大切かなというふうに思っています。
  76. 村瀬博

    参考人村瀬博君) 私も県の職員を長年してきて、介護保険部門である程度責任がある立場にいた人間なんですけど、介護保険事業支援計画、県の場合は支援計画ですが、作ってきた経験もあります。  介護保険そのものがやっぱり公的な関与というか、民間の事業所さん等を抱える中でなかなかコントロールが利かないというか、そういう面も介護保険そのものにあるような気はするんですけれど、計画を作る市町村検討委員会ですけれど、やっぱり現場が本当に分かる方々、研究者も、あるいは住民の方々あると思いますが、そういう方がしっかり意見が言える、あるいはそういう方の意見を聞くという、それを本当に単なる一定の、こんなことを言ってはあれですけど、コンサルというか、一定の形式で作るんじゃなしに、十分に意見を聞いていただきたいと思います。  根本的には、やはり財政安定化基金を取り崩した改定のときもあったわけですが、国の支出金等を二〇%を二五%に上げるとか、そういう公的な財政面での責任を果たさないと、やはり介護保険給付削減にシフトして信頼を失っていくという、そういうふうに思います。
  77. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございました。  本当に岩名参考人おっしゃったように、多分これまでの取組の成績表というのがこの成果に表れてくるのではないのかなと私も考えるんですけど。  そこで、村瀬参考人が今実際に現場で取り組んでいらっしゃる中で、先ほどちょっと気になりましたのが、医者がこの地域生活応援会議の中にはいないという話をされたのがちょっと気になりまして、もし何かそれ理由があるのでしたら教えていただけませんでしょうか。
  78. 村瀬博

    参考人村瀬博君) これは私の推測ですけれど、やはり医師がこんな毎週水曜日の応援会議の場へ来ていただこうとすると、手当、謝金も要りますので、何か変な話ですが、そういうことじゃないかなというふうに推測します。  先進的な和光市は医師がちょっと関与しているようなんですけれど、全部無償でこれだけの数を、毎週、包括支援センターの職員、一般の事業所の職員が集まるという、そういう形態が非常に無理があるじゃないかということを思います、保険者機能ということに関わりまして。
  79. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  なるべくでしたらそういうところも協力していただけるようなドクターがいらっしゃると、まさに医療と介護、どうやって連携もしていったらいいのかなということで話ももう一歩進むのではないのかなというふうに私自身考えましたので、お願いをしたいと思います。  それから、PDCAサイクルを回すという点で、岩村参考人最後にお伺いさせていただきたいんですけれども、このいわゆる計画を策定してインセンティブ付与する、審議会の中で財政的なインセンティブのこのイメージというものは大体固まっていらっしゃるんでしょうか、それともまだまだこれから議論の余地があるというふうに思っていらっしゃいますでしょうか、お願い申し上げます。
  80. 岩村正彦

    参考人岩村正彦君) 審議会の意見書では財政的なインセンティブを設けることは検討すべきだという形で述べており、今回法律でもそういう形で措置をされているというふうに考えていますが、先ほども申し上げたように、具体的にどういう指標を使ってということについては、言われているのは、アウトカム指標とそれからプロセス指標というものを適切に組み合わせて今後考えていきましょうという、そのレベルであるというふうに理解をしているところであります。これから適切な指標というものを是非検討していければというふうに期待をしているところです。
  81. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 終わります。ありがとうございました。
  82. 羽生田俊

    委員長羽生田俊君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。(拍手)  午後一時十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時十二分休憩      ─────・─────    午後一時十分開会
  83. 羽生田俊

    委員長羽生田俊君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、片山大介君が委員辞任され、その補欠として石井苗子君が選任されました。     ─────────────
  84. 羽生田俊

    委員長羽生田俊君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地域包括ケアシステム強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省老健局長蒲原基道君外三名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 羽生田俊

    委員長羽生田俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  86. 羽生田俊

    委員長羽生田俊君) 休憩前に引き続き、地域包括ケアシステム強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  87. 小川克巳

    ○小川克巳君 よろしくお願いいたします。自由民主党の小川克巳でございます。  介護保険に関しては、昨今、年金と並んで我が国社会保障制度の最大の関心事であろうと考えています。小さなものから大きなものまで政府のお考えを確認させていただきたい事項がたくさんありますが、まずは基本部分について率直にお伺いをさせていただきます。  時間が限られておりますので要領よく進めたいと思いますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。  まず、基本部分ですけれども、二点、厚労省、高齢者対策の責任者でいらっしゃる蒲原老健局長にお伺いいたします。  介護保険がスタートした二〇〇〇年から十七年が経過し、介護保険制度設計時とは、二〇二五年を目前に、国家財政状況、人口構成、家族制度など、社会保障を取り巻く環境が大きく変わっています。それらを踏まえ介護保険考え方も変化していると思いますし、また変化しなければならないとも考えています。  ちなみに、介護保険法に定められた介護保険目的をおさらいしますと、その第二条の各項に、要介護状態等に関し必要な保険給付を行うとあり、その保険給付は要介護状態等の軽減又は悪化の防止に資するよう、さらに、被保険者の選択に基づき、適切なサービスが多様な事業者又は施設から総合的かつ効率的に提供されるよう配慮等々と規定されています。  そこでお尋ねです。ずばり、我が国が目指す介護とは何でしょう。
  88. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、介護保険法ができまして時間がたってきておるわけでございますけれども、それまでの間にいろんな状況が変わってきていると思います。一つは、高齢化の進展があろうと思います。もう一つは、介護を取り巻く状況でいろんな、介護だけじゃなくて、医療だとか住まいだとか総合的に対応する必要が出てきていること。もう一つ申し上げますと、地域社会の変容、元々の地域の助け合いみたいなところがかなり減ってきていると、こんな状況だろうと思います。  そうした中で、やはり介護保険による介護サービスというのはきちっと提供しながら、しかも、それを将来にわたり持続可能にするというのが一つ大事なことであろうかと思います。ただ、それだけではなくて、やはり介護、医療、そして住まい、さらには生活支援だとか介護予防、このような地域包括ケアという考え方で全体を構築していくということがより求められていると思います。  今回の改正法の中にもそうした趣旨で持続可能性の確保あるいは幾つかのことを盛り込んでいるわけでございますけれども、更に申し上げますと、少し、高齢という分野だけではなくて、今後、障害だとか子供だとかも含めた地域共生社会という方向へまた大きな一つの軸はできてきていると、こんなようなことではないかというふうに考えております。
  89. 小川克巳

    ○小川克巳君 介護というものの考え方なんですけれども、介護というのは基本、助けるあるいは守ると、その字のとおりなんですけれども、この介護ということがいわゆるお世話型のサービスであったりしていることがやっぱり今の問題であるというふうに思っているわけですね。  その中で、自立支援ということを目指していくということがやっぱり発想の転換として必要なんだろうというふうに思いますし、今後その方向に政府も大きくかじを切るということで地域共生社会なんかの構想も出ているんだろうというふうには思っております。  介護保険法の第五条に国及び地方公共団体の責務が書かれております。「被保険者が、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、保険給付に係る保健医療サービス及び福祉サービスに関する施策、要介護状態等となることの予防又は要介護状態等の軽減若しくは悪化の防止のための施策並びに地域における自立した日常生活支援のための施策を、医療及び居住に関する施策との有機的な連携を図りつつ包括的に推進するよう努めなければならない。」というふうに定めています。  先ほど申し上げましたように、介護とは、字に示すとおり、助け守ることですが、そこには自立を目指すための支援が不可欠であるというふうに思いますし、そうでなければ、増え行く対象者、それから減り行く社会保障財源というふうな条件から、介護保険制度持続可能性は高まらないというふうに考えております。  では、二つ目。昨今、自立支援という言葉が多用されていますが、その自立とはどういう状態を意味するのか、その見解についてお尋ねをいたします。
  90. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) この問題につきまして、介護保険制度につきましては、高齢者自立支援し、介護の重度化を防ぐというのを基本的な理念にしているということだというふうに考えております。  ここで言う自立支援ということでございますけれども、これは、高齢者がその有する能力に応じて自立した生活を営むと、こういうことができるように支援をしていくこと、これが自立支援ということではないかというふうに考えております。この点については、先進的な幾つかの自治体では、リハビリ職種、その他、多職種が参加するいろんな会議においていろいろな取組が行われております。その結果といたしまして、いろんな成果が上げられているというふうに考えておりますので、そうした取組を今後広めていくということが大事ではないかというふうに考えております。
  91. 小川克巳

    ○小川克巳君 ありがとうございます。  お尋ねしたかったのは自立ということの中身なんですけれども、解釈なんですが、ともすると、厚労省の言う自立というのは、もろもろの介護保険サービスを利用せずに社会生活を営めることというふうに受け止められる部分があるかなというふうに思います。  私たちリハビリテーション専門職や医療関係者の言う自立というのは、介護保険サービス福祉サービスなど、そういったもろもろの社会資源をうまく活用することによって自らの暮らしを他者への依存なしに営めるという状態をいっているわけですけれども、もし前者のような考え方政府の方にあるとすれば、かなり大きなそごがあるというふうに思うところでございます。ですので、自立ということの根本的な定義といいますか概念というものをやっぱり共有しないとうまくは進まないんじゃないかなというふうに思います。  ですから、今回幸い見送られましたけれども、受入れ要介護者に対する福祉用具の問題があったかと思います。この福祉用具外しというものの論議が出てくることすら非常に大きな課題だろうというふうにも思います。ですので、自立ということがどういうものであるのかということの共通概念を持って進まなければいろんな議論が出てくると。政府が善かれと思ってつくったことに関しても、必ずしもその効果が得られないというふうにも思いますので、是非統一をさせていただきたいというふうに思っております。  それから三点目ですけれども、地域共生社会の実現に向けた取組の推進等で共生型サービスが位置付けられています。地域共生社会とそれから共生型サービス両方に共生という言葉が使われていますが、これまでの説明だけではその整合性に多少の違和感を感じています。  そこで、まずは今後の方策検討の基本となる地域共生社会とは何なのかについて、改めて塩崎大臣にお伺いいたします。次いで、自立支援介護を実現し、地域共生社会を実現するために具備すべき要件にはどんなものが考えられるのか。とりわけ、地域住民と行政とを結ぶ人材育成やボランティア育成が重要になろうかと思いますが、それらに対する見解と、共生型サービス介護保険と障害福祉、双方に位置付けることの狙い、並びに実際運用に際して双方のサービス制度に相当の知識を有する人材が必要になることが予想されますが、その辺りについての見解をお伺いいたします。
  92. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 以前にも先生の御質問にお答えを申し上げましたけれども、地域共生社会をつくるという概念を打ち出して、今回、社会福祉法の改正をお願いをしているわけでありますが、これまで、高齢者あるいは障害者、そして子供、こういった公的な支援をする対象を縦割りで、それは独立してそれぞれ支援体系をつくってきたわけでございます。  その充実を図ってまいりましたけれども、しかし、昨今、複合化したあるいは複雑化した課題を持つ世帯であったり、あるいは自ら相談に行くことがなかなか難しいという方々がおられたり、それから既存の制度の言ってみればはざまにあって解決がなかなかできないという課題を抱えていらっしゃる方々も増えているということ、それから、ほかにもいろいろありますけれども、要は、縦割りでもって十分な支援がそれぞれのニーズに応じた形で行かないという、そういう困難なケースが間々あるのではないかということでございます。  こういう中で、地域共生社会は、制度、分野ごとの縦割り、あるいは支え手、受け手、もう固定的に支える方は支えるだけ、サービスを受ける方は受ける方だけということではなくて、それこそ、何度も申し上げているように、子供が高齢者を助ける、あるいは障害者が子供を助ける、支える、そういうこともいろいろあり得るわけでございますので、地域住民あるいは地域の多様な主体がそういったサービスを、言ってみれば町づくりの中で助け合いの仕組みが確立をされる中で、その上でいろいろなサービスが提供できるという、そして、一人一人のニーズに合った、前、申し上げたテーラーメードという、一人一人のニーズに合ったような形で、住民一人一人の暮らしと生きがいを地域とともにつくっていく、そんな社会をつくってまいりたいと、このように考えているわけでございます。  そういう中で、厚生労働省では、地域共生社会の実現を、今後の福祉改革を貫く基本コンセプトとして位置付けておりまして、今回の法案をまず第一弾ということでお諮りをして、今後も様々な改革を進めてまいりたいと思っておりますが。  そんな中で、例えば、自立支援介護ということについての位置付けはどういうものなのかというお話がございましたが、自立支援介護そのものは、介護の中での、先ほど来お話し申し上げているように、自らの能力をいっぱいいっぱい生かしながら、一人で一定程度できるといったような能力をもう一回回復するなりのことをしっかりと科学的な分析にも基づいてやっていこうということでありますが、その際の担い手の中に、今までだったらば介護の従事者だけがやってきたわけでありますけれども、これからは、先ほど申し上げたように、多様な担い手があり得て、高齢者だったり、あるいはそれこそ認知症の高齢者も一定程度の条件が満たされるといろいろな形で機能が回復するというようなこともあるようでございますし、障害者、子供さん、あらゆる方々が関与しながらそういうことを実現をしていくということも可能になるのではないかというふうに考えているところでございまして、こういうようなことで、いかに縦割りではなくて総合的に対応しながら、それぞれの地域で皆が出せる力をそれぞれのニーズとそれから能力に合って出していく、そういう中で、今申し上げたような自立支援介護も実現をしていくべきではないのかと、そんなふうに思っているところでございます。
  93. 定塚由美子

    政府参考人定塚由美子君) 先生から御質問がありましたうち、地域住民の参加を得て進めるということについて、補足して説明させていただきたいと思います。  今回の改正法案におきましては、社会福祉法の改正の中で、地域住民が自ら暮らす地域課題を我が事として捉える地域づくりの取組をするということ、また、いろいろな相談を丸ごと受け止められるという場をつくるということ、また相談支援機関が協働、ネットワーク体制をつくるということをもって包括的な支援体制をつくっていくんだということを明記をしているところでございます。  こうしたことを進めるに当たりましては、先生からもありましたとおり、様々な人材、住民の参画を求めていくということが大変重要と考えておりまして、これには、地域の福祉の人だけではなくて、例えば町づくりの分野の取組と連携をして、地域住民の主体性に基づきまして我が事として捉えていただいて一緒に参加していただくということ、また当然、地域のソーシャルワーカーの方、ほか様々な福祉関係の人材の方、また社会福祉協議会であるとか地域包括センターであるとか、そういったような機関が行政と地域をつなぐコーディネーター役として活躍していただくというようなことを期待しておりまして、そのためのモデル事業なども進めているところでございます。
  94. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) 先生からは共生型サービスにつきまして御質問ございました。  この件でございますけれども、障害児の方も含めた障害のある方々あるいは高齢者の方々が、同一の事業所でサービスを受けやすくするために介護保険と障害福祉両方制度に新しくそういうサービスを位置付けようというものでございます。  これは、幾つか背景がございますけれども、一つは、障害の方が介護保険の被保険者になった際に使い慣れた障害福祉サービス事業所を利用できなくなるケースがありまして、この点については社会保障審議会の障害者部会におきまして見直すべきとの意見が出されたといったことを踏まえて、引き続き同一の事業所でサービスを利用しやすくするような観点、そうした観点などを踏まえてこういう創設に至ったということでございます。  この件につきましての具体的な基準でございますけれども、先生からお話がありましたとおり、そこで必要な知識を有する人材というのが非常に大事でございます。そうした人材の面も含めまして、言ってみれば、そのサービスの質を確保するといったことに十分留意をしながら、具体的な中身につきましては関係する審議会で検討してまいりたいと、このように考えております。
  95. 小川克巳

    ○小川克巳君 ありがとうございます。  大臣から御説明のありました地域共生社会については、私も大いに賛成といいますか、やっとやっとそういう議論が出てきたなというふうに思っているところでございます。是非実現をしたいというふうに思いますけれども。ただ、定塚局長からも、それから蒲原局長からも、すばらしい設計図といいますか、その構想はお伺いすることができるんですけれども、その話を伺いながら、じゃ具体的にどういう形で落としていくのかという、そういったところを想像していくと、私の中ではなかなかイメージが付かないというふうなところがありまして、また縦割りの制度でずっと来た日本人の中に横串を通そうとすることのいわゆる発想の大転換というようなことがありまして、個々につなげることは非常に難しいなというふうに思っております。  ですから、地域住民の参加であるとか、あるいは意識変革に関して非常に努力が必要なんだろうというふうに思いますので、是非、地域包括ケアシステムを打ち出したときに、地域包括ケアシステムということでがんがんがんがん割と厚労省喧伝なさったというふうに私も思いますし、それだけ重要なことだったと思うんですけれども、それと同様に、地域共生社会に関しても、その理念であるとか方法論であるとか、そういったものについてきちんと地方行政の職員、それから地域住民、国民に対してしっかりと啓発していくような方策を取っていただければ有り難いなと。一番変わりにくいのは人の意識だというふうに思いますので、是非よろしくお願いをいたします。  ありがとうございました。  以上三点は、もう非常に今後の社会保障を考えていく中で肝になる部分だというふうにも思っております。ですので、ちょっとしつこいかと思いましたけれども、確認をさせていただいた次第でございます。  続いて、個別の質問をさせていただきます。(発言する者あり)
  96. 羽生田俊

    委員長羽生田俊君) お静かに願います。
  97. 小川克巳

    ○小川克巳君 今回の改正で、介護医療院という新しい類型の施設が誕生することになりましたが、介護療養病床については平成十八年改正で廃止が決まりました。平成二十三年改正で一度延長されたにもかかわらず移行が進まなかった背景には多様な理由があると思いますが、それらを踏まえて、今回介護医療院を新設した意義等についてお伺いをいたします。
  98. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) お答え申し上げます。  介護療養病床からの転換についての御質問でございました。これは、そうした転換についての方針が整理された後いろいろと取り組んでまいったわけでございますけれども、結果として患者像の把握が不十分であったということで、元々既存の老健施設等に移るということを考えておったわけでございますけれども、既存の老健施設についてはその受皿として十分な機能を有していなかったということから、これらの施設への転換が進んでいないものというふうに考えております。  こうした状況を踏まえまして、今回の制度改正におきましては、長期的な医療・介護ニーズを併せ持つ要介護高齢者対象といたしまして、一つは日常的な医学管理やみとりやターミナルケア等の医療機能、これを持つということと併せまして生活施設としての機能、この機能を兼ね備えた施設として新しく介護医療院というのを創設するということにしたわけでございます。これがその意味では受皿として一つ機能するのではないかと思っています。  あと、具体的にその基準の関係もこれはあると思います。その基準や報酬については、療養病床在り方等に関する特別部会の取りまとめにおきまして幾つか触れられております。一つは、現行介護療養病床相当の機能を持つそういう類型と、もう一つは介護老人保健施設相当以上の機能を持つ類型というのを設けるという二つの類型というのが一つあるんじゃないかということ、さらには、床面積の基準として、原則、入所者一人当たり八平米以上とすることなどが報告書の中にも書いてございまして、そうした報告書中身を踏まえながら、具体的には平成三十年度の介護報酬改定に向けて、審議会、関係の介護給付費分科会においてきちっと議論をしていきたいと、このように考えております。
  99. 小川克巳

    ○小川克巳君 類似の施設類型というのが結構出てきたなというふうな気がしておりまして、そこら辺が国民がきちんと正確に選択ができるような、これもやっぱり周知が必要なんだろうというふうにも思っております。どうぞよろしくお願いします。  続いて、利用者負担割合の引上げについてお伺いをいたします。  ここについて、またいろいろな議論がありますし、私もなかなか納得するのに時間が必要だったところですけれども、二十七年八月に二割に引き上げられたばかりのこの段階で三割の引上げという話が出てくることについては、ちょっと納得しづらいなというふうなものがあります。  二割に引き上げたその影響について、現時点で一応報告されているものはあるんですけれども、ただ、月格差であったりというふうなことで、まだまだその影響が正確に出るまでには少し時間が掛かるのかなというふうに思うんですけれども、それでもあえてこの段階で三割負担という話が出てきたこと、その意義について御説明をいただきたいと思います。
  100. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) 少し順序があれになるかもしれませんけれども、三割負担の話につきましては、これはやはり制度持続可能性の維持という観点から、世代間の公平あるいは世代内の公平を確保するということ、その際には、やはり負担能力に応じた負担という考え方を入れることが必要であると。こういう観点から、今回、一定の方、これは二割負担対象者の中から一層範囲を限定した方に対して利用者負担割合を引き上げようというものでございますし、その際には、月額の上限については維持をするという配慮をしているということでございます。  先生が冒頭お話しになりました二割負担の関係でございますけれども、これは元々二十六年の改正のときに、同じように制度持続可能性を高めるために負担能力に応じた負担の観点から行ったものでございますけれども、その影響についてでございます。  これにつきましては、私どもも幾つかのいろんな全国のデータ等で分析をいたしておりまして、一つはサービス受給者数、これが改正の前後あるいは改正後の一割負担と二割負担の方の動向を見ても顕著な影響がないということで見ておりますし、もう一つはその利用の回数ですね、そうした利用の回数とそのサービスの量についても一割負担者と二割負担者において顕著な影響は見られていないというふうに考えておるわけです。あるいは、そのほかにも自治体介護事業者などの関係者から実態をお聞きする過程で導入によるいろんな実態把握を努めておるわけですけれども、全体としてはサービス利用への顕著な影響は見られないというふうに考えております。  ただ一方で、この点につきましては、サービス利用実態把握に努めるとともに、更なる実態把握というのは一つ大事だと思ってございます。これまでの法案審議の中での様々な御意見も踏まえまして、これは多角的な分析ができるようにいろんな調査の在り方についても更に考えていきたいというふうに考えております。
  101. 小川克巳

    ○小川克巳君 ありがとうございます。  よく世代間格差、不公平感の解消であったり、世代内の不公平感の解消であったり、それから制度の持続性ということが、この三点セットで結構よく言われるんですけれども、今回、三割負担がそこにどれほど貢献するのかということが私自身がちょっと納得できないという部分がありまして、その点についてはいかがですか。
  102. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) これは、一つは、先生の御趣旨がひとつ合っているかどうか分かりませんけれども、介護保険財政の給付費に対する影響度がそんなに大きくないということなのかもしれません。そこは、これは全体の試算なのでございますけど、大体給付費ベースで百億程度の効果があるというふうに考えております。その意味では、財政的に一つの効果があるし、一つそういう構造をつくることが今後の介護給付費の伸びに対して負担ができる構造になるんじゃないかというのは一つございます。  もう一つこの件について申し上げますと、今回、費用負担の関係で、例の総報酬割導入というのがございます。これは、現役の方に一定の、まあ現役の方でもちろん負担が増える方、減る方おられますけれども、一部の方には負担増ということになるわけですけれども、そういった意味では、現役の方の負担増をお願いするときに、やはり高齢の方にも能力がある方については一定の負担をお願いするということが大事じゃないかという考え方からやっているわけで、お金の額もありますけれども、全体としての負担できる構造というのを負担能力の観点からつくっていきたいと、こういう趣旨でございます。
  103. 小川克巳

    ○小川克巳君 ありがとうございます。  応能負担考え方については私も反対をするわけではありませんけれども、すとんと胃の腑に落ちるような何か御説明がいただけると有り難いなと。いろんな考え方、視点もございますけれども、冒頭申し上げましたように、介護といいますか、いわゆる社会保障そのものが、その人の自立した生活を助けるためのものであって、ともすると要するに財源ありきの話になってしまっていることがどうなのかなという気がしているところでございます。  それから、先ほど来、地域共生社会の実現であるとか、それから介護認定率の低下であるとか、そういった成果を目指していくことに関わっている、非常に大きな貢献をしているのは、地域における割と小規模の事業者なんですね。その小規模事業者が、さきの介護報酬の改正で非常に逼迫している状況にあると。その事業者の中では、介護事業からの撤退をしたいとかいうふうな事業者すら出てきているような状況がございます。  元々、民間活力を活用するということが本来の趣旨であったかというふうに思いますが、民間活力を萎えさせかねない、そういう制度の作り方あるいは方向の転換、そういったものについては是非慎重にお願いをしたいというふうに思います。  以上で質問を終わります。
  104. 宮島喜文

    ○宮島喜文君 自由民主党の宮島喜文でございます。  質問の機会をいただきましたので、幾つか御質問をさせていただきます。  国は、団塊世代、七十五歳以上になる二〇二五年に向けて、効率的かつ質の高い医療体制の構築地域包括システムの構築を急務な課題としまして、平成二十六年に医療・介護総合確保推進法など関係法律整備して進めております。特に、地域医療構想など策定を通じて、病院の完結型医療から地域完結型医療へ、また医療から介護へと地域包括システムの深化や推進を図っていると思っているところでございます。  今回の介護保険法の改正につきましては、介護保険事業の一層の推進を図るための方策と介護保険制度の財政的な安定化を目指すものだというふうに見ているところでございます。そのためには市町村、県、国が一体となって情報を提供し、また共有化を図り、個々の市町村状況に見合った施策を展開しようとするものであるというふうに見ているところでございます。  介護保険制度平成九年に法が成立いたしまして、平成十二年の四月から実施されているところでございまして、十七年を経過しております。その当時と比べますと六十五歳以上の一号被保険者数は一・六倍、要介護認定者数は二・九倍、介護サービスを利用している方、これも三・三倍、給付総額も三・六兆円から平成二十八年度では十兆四千億というふうになっているわけでございます。もちろん、全国の平均の保険料、これも平成十二年には二千九百十一円でございましたが、平成二十八年には五千五百十九円と二倍近くにも増加していると、このような状況があるわけでございます。  今回の改正におきましては、このような給付をいかに抑えていくか、様々な施策の構築又は費用負担見直しを図り、持続的な制度構築するための法制度の改正というふうに思っているところでございます。  そこで、この介護保険財政の現状でございますが、サービス利用者が既に増加している一方、この一号被保険者保険料が未収になれば保険者の財政も厳しいものになるんではないかと思っているところでございます。  そこで、この保険財政全般の現状と将来の見通しについて厚生労働省はどう考えているのか、また、どのように把握しているかということをお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
  105. 古屋範子

    ○副大臣(古屋範子君) お答えいたします。  介護費用は、高齢化の影響等によりまして制度創設時から約三倍の約十兆円に増加をしておりまして、平成二十四年三月に行った試算によりますと、二〇二五年には約二十一兆円になることが推計をされております。また、保険料水準も八千円を超えるということが見込まれております。  介護保険制度は、高齢者の暮らしを支える上で必要不可欠な仕組みであり、今後も必要な方に必要なサービスが提供されるようするとともに、保険料と公費負担利用者負担の適切な組合せによりまして財源をしっかりと確保することにより制度を持続可能なものとして次世代に引き渡してまいりたいと考えております。
  106. 宮島喜文

    ○宮島喜文君 ありがとうございました。  財源的には非常に今後も厳しい状況と申しますか、そういう状況が続いていくだろうというふうに私も考えているところでございます。  介護保険料に関しては、全国平均、先ほど申しましたように五千五百十四円となっておりますけれども、これを保険者別で見ますと、保険料が最も低いのが鹿児島県の三島村、これは島、海の島が多いわけでございますが、二千八百円、逆に最も高いのは奈良県の天川村、これは山村でございますが、そういうところが八千六百八十六円というデータが出ております。これは、全国平均ということで考えていきますと、二〇二〇年度には六千七百七十一円、また、団塊世代が後期高齢者になる、先ほど申しました二〇二五年には八千百六十五円になるんではないかと推計されていると聞いております。八千百六十五円となりますと、先ほどの奈良県の天川村を上回るという状況になるわけでございます。  そこで、この全国の介護保険料のばらつきでございますが、これを厚生労働省としたらどのように考えているのかということ、また、国民保険については都道府県が連合組織で、運営が切り替わっているわけでございますが、保険者の責任という考えというのはどうなのかということ、ここをちょっとお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  107. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) お答え申し上げます。  介護保険は、介護サービス地域性などを踏まえまして、国民に一番身近な行政単位であります市町村保険者になっているということでございます。その際、保険者保険料を三年に一回決めているわけでございますけれども、これから申し上げますような財政面で非常に重層的な支援仕組みを前提に市町村が決めているということです。  少し詳しく説明しますと、市町村における財政運営の安定性を確保するために、御案内のとおり、介護保険の財政の全体の給付費の五〇%については公費で賄うというふうにまずされております。その上で、保険料が残り半分でございますけれども、全体を一〇〇とすると、保険料負担のうち、失礼しました、全体の二八%がいわゆる現役世代保険料、二号の保険料ということで、四十歳から六十四歳の二号被保険者から徴収した上で、これを全国でプールした上で各市町村給付費の規模によって配分するということで、そういう仕掛けをつくっているところでございます。  また、残る二二%、これが各市町村保険料を設定して六十五歳以上の一号被保険者から徴収するということになるわけでございますけれども、先ほど公費が五〇%と言いましたが、そのうち半分が国費でございますけれども、国庫負担二五%のうちの五%分を市町村間の高齢化状況やあるいは所得状況の差を財政調整するための交付金というふうに位置付けています。この交付金について、特に年齢が高い高齢者が多い市町村により多く配分できるように見直すということにしているところでございまして、その意味でも各市町村に対する一定の配慮をしているということでございます。  このように、重層的な財政支援仕組みを前提として、各市町村は、当該地域介護ニーズ等の実情を踏まえ、これに応じた地域包括システムを構築しつつ、一方で効率的な面にも配慮しながら介護保険事業を行っていることでございますので、そうした当該市町村ごとに大きな重層的な枠組みの下で適切な保険料額が設定されるというふうに考えているところでございまして、厚生労働省としては、そうした全体の仕組みをきちっと通じて市町村取組支援していきたいと、このように考えております。
  108. 宮島喜文

    ○宮島喜文君 ありがとうございました。  重層的な仕組みによって守られるということを聞いたような気がいたしますけれども、実際に、この介護保険サービス実態給付実態でございますが、介護保険法第二十三条では指導などできますし、また介護保険法の七十六条においては監査が規定されております。  介護保険給付費の不正請求、これは年々増えているんじゃないかと思っているところでございますが、これに関して、監査の権限は都道府県市町村保険者自治体でありますが、この給付サービスの監査の状況介護保険不正請求の状況について厚生労働省はどのように把握しているか、お伺いしたいと思います。
  109. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) 介護サービス事業者に対する指導監督についての御質問でございました。  これは、指定などを行った都道府県等におきまして、一つは、過去の指導事例等について講習などの方式で行う集団指導というのを行っております。また、計画的に各施設に赴いて施設状況を確認しながら面談方式で行う実地指導というのが一つ指導という面であるわけでございます。さらに、通報や苦情等から不正請求が疑われるなど必要があると認める場合には、立入検査等を機動的に行う監査、御指摘がございました監査を効果的に組み合わせて適切に行っているところでございます。  現状でございます。各自治体から報告を受けております監査の実施状況でございます。これを集計したところ、平成二十七年度の状況でございますけれども、二千六百七十二の事業所に監査を行っております。そのうち二百二十七事業所に対しまして、指定の取消しあるいは効力の停止処分を行っております。百四十四の事業所に対して合計で約五億五千万円の返還を求めていると、こういう状況でございます。  厚生労働省といたしましては、引き続き、介護サービス事業者に対する指導監督が適切に行われるよう、各自治体に対する助言等を行ってまいりたいというふうに考えております。
  110. 宮島喜文

    ○宮島喜文君 ありがとうございました。  私は、限られた財源という考えが必要だと思っておりますし、また本当にサービスを必要とする方々にきちんと利用していただくことが本来の介護保険の趣旨だろうと思っておりますので、今のお話を聞きまして、また更にそういうものに対してはきちんとしていかなきゃいけないという思いを新たにしたところでございます。  では、このような状況の中でこの法案政府は提出しているわけでございますが、国民の一人の立場と考えますと、在宅サービス利用者は、現役並み所得があってもやはり負担の引上げを望んでいるとは思えません。やはりそういうふうに考えますと、先ほど局長さんの方からお話がございましたが、世代間、世代内の負担公平性とか介護保険持続可能性を高めるという観点では必要だと思いますが、この二割から特に所得の高い方の層を三割とする改正に関しまして、ここに踏み切った理由について、厚生労働大臣から端的でよろしいので御見解をお伺いしたいと思います。
  111. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) ただいま、制度持続可能性を図るために、世代内、世代間の負担の公平、そしてまた負担能力に応じた負担を求めるという、こういう考え方から、今回、現役並み所得を有する方の負担割合を二割から三割にすると、こういうことを御提起申し上げているわけであります。  今回の三割負担導入につきましては、対象は当然二割の負担であった方々よりも一層範囲を限定をして、特に所得の高い方々に限定すると。そして、負担の上限額、これは月額四万四千四百円、これは据え置くという配慮を行うということで導入をしたいというふうに考えておるところでございます。  高齢化の進展によって介護保険料の上昇が見込まれている中で、保険料と公費と利用者負担をどう適切に組み合わせていくことが持続可能性につながるのかと、こういう中で今回の見直しによって制度を次世代に引き渡していけるようにと、そんな考えで導入をさせていただこうということを御提起申し上げているところでございます。
  112. 宮島喜文

    ○宮島喜文君 ありがとうございます。  今大臣お話を聞きまして、長い、長期的な視点で考えている考え方だというお話をいただきました。そういう立場で考えていただければと思うところでございますが、先ほど小川議員の方からも出ましたが、介護医療院についてでございますが、今後、増加が見込まれます慢性期の医療また介護のニーズに対応するため、日常的な医学管理が必要な重介護者の受入れや、みとり、ターミナルケアという機能と生活施設としての機能を備えた新たな介護保険施設創設するとあり、介護保険法では、名称は介護医療院とされているところでございます。  介護保険上は介護保険施設でございますが、医療法上は医療提供施設と位置付けるということに聞いているわけでございますが、法改正の中でも介護療養病床の経過的措置の期間として六年延長するということになっております。  そこで、この改正法の百七条を見ますと、新設というのを排除していないのですが、これは介護療養病床の転換を妨げることにならないかという点、それと、新しくできる介護医療院についても介護保険事業の計画の総量規制の対象となると理解してよろしいかという点について、厚生労働省にお伺いしたいと思います。
  113. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) 介護医療院につきまして二点御質問ございました。この二点は内容的には少し関連するところがあろうかというふうに思います。  少し順が逆転しますけれども、今回創設することを予定しております介護医療院につきまして、総量規制の関係でございますけれども、これは介護保険法上、新たな介護保険施設として位置付けるということでございます。その際、他の介護保険施設と同様、新規の開設が可能であり、総量規制の対象になるというのがまず基本です。  ただし、この点については、療養病床在り方等に関する特別部会、関係審議会の合同の部会でございますけれども、ここの取りまとめの際に、やはり今の介護療養病床の転換支援策として、介護療養病床からの転換については、現在、老健施設等への移行の場合については総量規制の対象としていないという現行の取扱いがございます。こうした取扱いを今後も継続していくべきであるというふうにされております。  したがって、こうした現行の取扱いを踏まえまして、今後、介護保険事業支援計画における取扱いについて詳細を検討していきたいと、つまり、そういう移行のところについては少しいろんなことは考えていかなきゃいけないということだというふうに思っております。
  114. 宮島喜文

    ○宮島喜文君 ありがとうございました。  では、介護療養病床介護医療院に転換する場合、設置や運営に関して基準を満たす必要があるということになると思います。そのときに改修等の費用が掛かる場合もあると思うんですが、この費用に対する支援はどのように考えているか、お聞きしたいと思います。
  115. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) これも、まず現行制度についての御説明から始めたいと思います。  介護療養病床から、現行でいえば介護老健施設等への転換の場合の整備に係る費用についてでございますけれども、これについては、現在、各都道府県に設置されております地域医療介護総合確保基金、これを活用して助成が行われているところでございます。  今回新しく介護医療院ができるわけですけれども、委員御指摘がありました介護療養病床から介護医療院への転換、整備に係る経費についても、こうした現在の支援策を踏まえながら、今後同様な支援を行う方向で検討を進めてまいりたいと、このように考えております。
  116. 宮島喜文

    ○宮島喜文君 ありがとうございました。  基金の額等については以前も私ちょっと御質問させていただいたんですが、横ばいで来ているものですから、ちょっとどうなのかということがございます。  では、医療介護院の入所サービス費でございますが、これ介護保険上は介護保険施設である、また医療法上は医療提供施設と位置付けられているということですが、この施設サービス全体には介護保険制度から支給の対象となるのかどうかということ、また、例えば、医療介護院に入所者が専門的な医療が必要となる場合、これについてはどうなるかということについて、確認をお願いしたいと思います。
  117. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) 二点お尋ねいただきました。  まず一点目でございますけれども、今回の制度改正で、長期的な医療・介護ニーズを併せ持つ高齢者対象として、日常的な医学管理等の医療機能、さらには生活施設としての機能を兼ね備えた施設、これを新たな介護保険施設として介護医療院という名の下で創設するということでございまして、この部分のサービスについては介護保険給付対象になるというふうに考えてございます。  他方、その場合であっても、委員が御指摘になりました言わば入所者に対して専門的な医療を必要とする場合、これはいろんな例があると思いますけれども、例えばCTの撮影だとか抗がん剤の投与などがあると思います。これについての御質問でございますけれども、現在、介護療養病床の場合、その場合の入院患者に対してCT撮影や抗がん剤等の投与等、言わば専門的な医療が行われる場合は、これは医療保険給付対象になっていると、こういうことでございます。  こういうことを踏まえながら、今回創設されます介護医療院において、今申し上げました専門的医療が提供される場合については、必要な医療が受けられるように、これは今後の検討でございますけれども、今の現行介護療養病床に対する扱いといったことを頭に置きながら適切に検討していきたいというふうに考えております。
  118. 宮島喜文

    ○宮島喜文君 ありがとうございました。  現行介護病床、このように病院と併設になります。併設というか一部にあるものですから、実際、医療の遂行ではそういう状態が続いているわけでございますが、そういうことを基本に置いた形が継続されるということが確認できたということで、安心したところでございます。  では、在宅サービスについて少しお話をお聞きしたいことがございます。  居宅サービス事業者の指定に対する保険者の関与を強化するというのがのっているところでございます。市町村居宅サービス、これを供給量を調節するという形になるわけでございますが、これに関して、小規模多機能居宅介護や、定期巡回の、またいわゆる随時対応型の訪問介護看護ですね、これは制度ができましてから事業所数や利用者とも増加してきているんだという話を聞いているところでございますが、地域についてはばらつきがあるんだと思うんですね。さらに、普及が必要だと考えるというふうに話がございまして、私もそのように考えるわけでございます。  そこで、この小規模多機能居宅介護や定期巡回又は随時対応型の訪問介護看護は、高齢者のニーズに合わせて在宅での生活が継続できるように支援するサービスと理解しているところでございますが、非常に、私の知っている範囲でも、地域における役割はかなり大きいというふうに考えております。必要なサービスがきちんと行き届くというふうに考えますと、もっともっと地域を広げるべきだと考えているところでございますが、厚生労働省の御見解をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
  119. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) お答え申し上げます。  高齢者の方々が住み慣れた地域生活を継続できるようにするというためには、二十四時間三百六十五日の在宅生活を支えるサービス充実が非常に重要でありまして、御指摘の小規模多機能型の居宅介護などのサービスが果たす役割というのは非常に大きいというふうに認識をいたしております。  これらのサービスにつきましてですけれども、実は、今回の改正について御議論いただきました社会保障審議会介護保険部会意見書においても幾つか意見が出ておりまして、一つはサービス提供量を増やす観点、あるいはそのサービスの機能強化、効率化を図る観点から、人員の要件あるいは利用定員等の見直し平成三十年度介護報酬改定に合わせて検討することが適当であるというふうにされているところでございます。  私どもといたしましては、やはりこうしたサービスの重要性に鑑みて、そうした御指摘を頭に置きながら関係の審議会でよく議論いただいて、これらのサービスの提供の在り方というのをきちっと議論していただきたいというふうに思っておりますし、平成三十年度以降、次期介護保険事業計画が各市町村で作られることになりますけれども、そうした際にも、各市町村におきまして地域のニーズをよく把握いただいて、それに応じたサービスの中でこうしたいものもあるんだといったことを頭に置いて計画の策定ということをしていただければというふうに思っているところでございます。
  120. 宮島喜文

    ○宮島喜文君 ありがとうございました。  三十年度からの改定に関しましていろいろ出てまいると思いますが、私は、非常に小さいところが意外といい、人と人と接することでございますから、やっぱり事業者の規模の問題ではないだろうというふうに思っております。是非そのところを配慮していただけたらと思うところでございます。  最後になりますが、もう一問、端的にお答えいただきたいと思いますが、共生型居宅サービス事業者の指定基準については、平成三十年度から介護報酬及び障害福祉サービス等の報酬改定時に検討されるというふうに聞いておるところでございます。この共生型サービス導入にどのような効果を期待されているのかということをお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  121. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) 共生型サービスについてでございます。  端的に申しますと、一つは、先ほど御説明いたしました障害の方が介護保険の被保険者となった際に使い慣れた障害福祉サービスを利用できなくなるケースがあるということで、関係の障害者の審議会の方から見直すべきとの意見がありまして、引き続き同じ事業所においてサービスを利用しやすくするという、そういう観点が一つあろうかと思います。また、福祉に携わる人材が限りがある中で、人材をうまく活用しながら適切にサービス提供を行う観点、こういうこともあって、審議会において議論をいただきまして、創設するということにしたところでございます。また、そこにおけるサービスの関係ですけれども、同一の事業所で多様な利用者の方々が一体的にサービスを利用する取組というのは、多様な利用者の方々が共に活動することで、リハビリの効果だとかあるいは自立だとか自己実現に良い効果を生むという面もあろうかと思います。  いずれにしても、そうしたことを頭に置きながら具体的な基準というのを審議会で議論していきたい、このように考えております。
  122. 宮島喜文

    ○宮島喜文君 ありがとうございました。  確かに、制度とそれは別のものかもしれません。そこで、やはり給付を受けているという方、対象者になる方は一人の人間でございますから、その人生のやっぱり段階段階に応じた立場もございますし、いわゆる障害を持っているということに関してはまた特殊な状況にもありますので、やはりこういうところを加味する中で制度設計に落とし込むことが重要だと感じているところでございます。  是非、三十年度の改定に向けて誠意のある検討をしていただければということをお願い申し上げて、少し早いのでございますが、終わりにしてよろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。     ─────────────
  123. 羽生田俊

    委員長羽生田俊君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、渡辺美知太郎君が委員辞任され、その補欠として和田政宗君が選任されました。     ─────────────
  124. 川田龍平

    ○川田龍平君 川田龍平です。  ALS、筋萎縮性側索硬化症は、これ四十代から発症する人が多いわけですが、若い第二号被保険者はまだ十代の子供がいる世代です。  まず確認ですが、介護保険の自己負担割合が二割、三割になることはないかだけお答えください。
  125. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) お答え申し上げます。  今回の法案では、現役並み所得を有する六十五歳以上の第一号被保険者負担割合につきましては、一定の範囲、一定の対象者を限って二割から三割に引き上げるということにしておりますけれども、六十四歳以下の第二号被保険者負担割合につきましては現在でも一律一割というふうにされておりまして、この点は今回の見直しでも変わることはないということでございます。
  126. 川田龍平

    ○川田龍平君 今回はということで、分かりました。  では、具体的な例を挙げます。四人家族のお母さんがALSになったケース、四十代のお母さん、つまり第二号被保険者を五十代のお父さんと会社勤めの長男、高校生の次男が介護しながら生活をしているケースです。  ALSの場合に、人工呼吸器を付ける前から要介護五、障害程度区分六になってしまいます。お父さんは介護離職し、後はパートをしていますが、この世帯収入を合算するとそこそこの収入になりますが、子供の収入を家計に入れるわけにはいきません。実際の家計はパートの夫の収入だけということになります。しかし、介護保険が家計を圧迫してALSの母親はサービスを限度いっぱい使い切ることができず、その結果、重度訪問介護にも手が届かず家族が介護離職に追いやられ、償還払いも待てずに破綻をしてしまうということです。  子供の学費のために呼吸器も付けられなくなるという、こういう実態があるということを厚労省は御存じでしょうか。
  127. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) ちょっとお話しのような個別の状況までは、今お話を聞いたところでございますけれども、今のお話の例について申しますと、先ほど言ったとおり、介護保険の利用率の割合というのは一割ということでございます。あわせまして、この方に対しては、月額の上限、これは高額介護サービス費でございますけれども、これが掛かってくるということでございます。  話がございましたあれでいきますと、お父さんがパートの収入で、ただちょっとお子さんの収入が今分からないので何ともあれですけれども、世帯として課税所得の方がおられれば上限が三万七千二百円、もし課税所得の方がおられなければ、一月の上限が二万四千六百円ということになって、そういう上限の下で負担ということになろうかというふうに思います。
  128. 川田龍平

    ○川田龍平君 さらに、今回、この負担上限を四万四千円に引き上げるということは、高額介護合算療養制度を使っても月の負担が五万円を超えてしまうことになります。ALSの方は、障害福祉サービスも併用して二十四時間介護を実現している現実もあります。  医療と介護だけではなく、障害や保育などとの総合合算制度検討するべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  129. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) 今の例で、まず、ちょっと少し、高額介護サービスについては、今回、制度の持続性の観点、あるいは世代内、世代間の負担の公平の観点から、一般区分の上限額である三万七千二百円を四万四千四百円に引き上げるということにしているわけでございます。  ただ、これに対しては一つ配慮事項がございまして、今回の全体の引上げのときには、長期利用者に配慮して、一割負担のみの世帯の方については年間の負担額を、元々の上限であります月の三万七千二百円の十二か月分、これ計算すると四十四万六千四百円ですけれども、その年間上限が入ってくるということになります。  したがって、先ほどの例でいって、仮に課税世帯の場合で引き上がる場合でも、今のような年間上限というのは掛かる対象になるんじゃないかというのは一つございます。その上にまた高額医療・介護合算制度というものの配慮もあろうかと思います。  その上で、先生御指摘ございました総合合算制度でございますけれども、この点については、税制抜本改革法におきまして、当時、軽減税率、給付付き税額控除と並んで消費税率引上げに伴う低所得者対策の選択肢の一つとして位置付けられていたわけでございますけれども、この中から軽減税率の導入が実施されることになったというものというふうに承知をいたしております。
  130. 川田龍平

    ○川田龍平君 是非、引き続きこの総合合算制度検討してほしいと思います。  昨年の障害者総合支援法の改正で、来年の四月から高齢障害者の利用軽減措置が始まります。六十五歳から介護保険に切り替わる障害者の自己負担を障害部の予算で埋め合わせて免除する制度ですが、一方で、このような働き盛りで発症した若いALS患者は、この負担免除の対象外であるばかりか、六十五歳を過ぎてもこれ免除されずに、今回の改正で自己負担が二割、三割と更に負担増となってしまいます。  この不公平感について、厚労省はどのように考えますか。
  131. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) お答え申し上げます。  昨年の総合支援法の改正でございますけれども、若いうちから障害のある方が、六十五歳という年齢に達することのみによりまして、それまでゼロであった利用者負担が新たに発生してしまうことに、そういう課題について対応するものでございまして、この昨年の改正においては、対象者の要件といたしまして、六十五歳に到達する前に長期間にわたり介護保険サービスに相当する障害福祉サービスに係る支給決定を受けていたことなどを規定しているものでございます。  介護保険の二号被保険者のうちの六十五歳になる前に介護保険サービスを既に利用してきた方につきましては、こうした六十五歳に達することに伴う課題は生じませんので、他の障害福祉サービスを利用してこなかった高齢者が六十五歳を超えて介護保険サービスを利用する際に、利用者負担負担していただいている者との均衡を考えますと、利用者負担の軽減対象とは考えてございません。
  132. 川田龍平

    ○川田龍平君 その不公平感についてどう考えるかということですが、いかがでしょうか。
  133. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) 今回の趣旨は、六十五歳に至るまでの間、障害福祉サービスで低廉な負担で来た者が六十五歳になったというだけによって介護保険負担をするということにつきましての対応をするものでございまして、やはりそこには負担感が大きく変わる部分もございまして、やはりそういう意味ではそこに対して着目して法改正をしたものでございまして、今回、四十代から介護保険を使っているような方についてはそういうことではないわけでございまして、六十五歳以降に介護保険に初めて適用になる方には負担をいただいているわけでございますので、そういう者との均衡ということの方を考えておるわけでございまして、不均衡というか、不公平感というのはちょっと違うのではないかというふうに考えてございます。
  134. 川田龍平

    ○川田龍平君 いや、年齢によって今は、やっぱりここは不公平があると思うんですけれども、ここは引き続きこの問題については議論していきたいと思います。  次に移りますが、これも問題だと思いますが、若年性認知症の患者は、高齢の認知症患者と比べて身体機能などの面でどうしても要介護度が低く出てしまう傾向があることについて、老健局長承知していますでしょうか。
  135. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) 要介護認定についてのお問合せでございました。この要介護認定でございますけれども、高齢者に、これ若年性認知症も含めて、対象になる方々の介護の手間に着目いたしまして介護サービスの必要度を判定する仕組みということでございます。  具体的には、まず一次判定として、認定調査あるいは主治医の意見書の記載情報に基づきまして介護の必要度を推計し、その上で、二次判定として、学識経験者から構成されます介護認定審査会で一次判定結果を基にいろんな個別の状況を踏まえて、専門職としての知見、経験から総合的な判断を行うということになっているわけです。  御指摘の若年性を含む認知症の方々の固有のいろんな問題、昼夜逆転などいろんな状況があると思いますけれども、そうした状況に係る介護の手間についてでございますけれども、認定調査の場合も、認定調査の際に家族からの本人のふだんの状況を聞き取るようなことをやっておりますし、本人の状態を正確に把握して行うということにされているところでございまして、一応、要介護認定の中では、介護の手間を測るという観点の中では勘案されているものだというふうに考えているところでございます。
  136. 川田龍平

    ○川田龍平君 低く出てしまうという傾向についてやっぱり是非承知していただきたいと思います。  家族が働き続けるために、本人を在宅で見守るため民間のサービスを使わなければならずに、月に四十万円近い負担に苦しんでいるケースがあるということを御存じでしょうか。
  137. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) この点についても、ちょっと個別の状況までは私も把握しておりませんけれども、やはり若年性認知症の方々に対して必要なサービスが受給できるということが極めて大事であるというふうに思います。  今のお話だと、四十万円というのは恐らく民間のサービスだというふうに思いますけれども、やはり認知症の方々、若年性も含めて、例えば地域包括センターでいろんな相談体制を組む、あるいは、もっと言うと、認知症カフェとか、そういうところでかなり認知症と診断された直後からいろんな情報が本人に伝わって要介護の認定の手続に入っていく、そういうことを丁寧にやることを通じてサービスの受給につなげていくということが非常に大事ではないかというふうに思います。
  138. 川田龍平

    ○川田龍平君 本人や家族が働き続けられるように、若年性認知症の特性というものに着目して要介護度認定やサービス見直し検討すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  139. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) 一つは、現在でも、通所介護あるいは認知症グループホーム等では、若年性認知症の方が適切なサービスを受けられるように担当の方を決めて若年性認知症の方の特性やニーズに応じたサービス提供を行った場合に一定の加算を行っているものがございますので、そうしたものを広げていくことがまず一つでございます。  もう一つは、厚生労働省におきましては、若年性認知症の方やその家族が働き続けることを支援するために、実は、若年性認知症支援コーディネーターというのを各都道府県、全ての都道府県に今年度中に置くと。そうしたコーディネーターによる相談窓口の設置をやっていこうというふうに取り組んでおります。  こうしたコーディネーターの場所において、御本人や家族からの相談に応じるとともに、これやはり、今働くという話をおっしゃいましたけれども、ハローワークだとかあるいは障害福祉サービスの就労系の事業所、そうしたところとのネットワークが非常に大事なので、こうした若年性の支援のコーディネーターがそうしたネットワーク等をつくって、お話がありました若年性認知症の方々に対する就労やあるいは生活についての総合的な支援、こういったことをつなげていくといったことが大事だというふうに思っております。
  140. 川田龍平

    ○川田龍平君 この四月の二十七日から二十九日に京都で国際アルツハイマー学会が開催をされて、この若年性の認知症についてもかなり議論をされました。その課題が大変浮き彫りになったというふうに聞いていますが、厚労省はこれしっかりと議論したのでしょうか。  認知症当事者研究会などという勉強会も都内であり、当事者も最近はかなり自ら発信をしております。  今後、是非積極的にこの若年性認知症についての理解を深めていただき、現在厚労省が行っている相談窓口や居場所づくりだけではなく、介護サービス内容についてもしっかり検討をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  141. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) 先ほど、京都でのアルツハイマー学会の話が出ました。これは、平日から始まったもので、私どもの室長がまず開会式に行きました。実は、私も土曜日の最終的な閉会式のときには伺いました。その場で何人か、特に当事者の方がおられましたので実際にお話をしまして、どういうところが困っているかという話をよく聞いたところでございます。やはり診断を受けた直後の辺りのところが非常に空白の期間になるという話をよく聞きました。  いずれにしても、そういう方々が診断直後から相談をできて必要なサービスにつながるように、我々として、先ほど出たコーディネーターの件も含めましてよく検討して取り組んでいきたいというふうに思っております。
  142. 川田龍平

    ○川田龍平君 私もこのETV特集というNHKの特集見ましたけれども、丹野智文さんがイギリスを旅行した番組です。当事者の方がやっぱり今も働き続けているわけですが、イギリスの場合には、コーディネーターが認知症と診断されたときすぐにしっかりと寄り添って生活を支えるということまでやっているということを、これしっかりこの日本でもやっぱりやるべきではないかと思いますので、是非しっかり検討していただきたいと思います。  続いて、薬害によってHIV感染した血友病患者について質問いたします。  年々高齢化が進み、医療のみならずに福祉や生活面も含めた包括的な支援が必要であるということは、国が発行した血友病薬害被害者手帳にも明記されておるとおりです。また、昨年の三月十四日にも大臣から御答弁をいただきました。  そのような国が責任を認めた薬害HIV感染者の中で、今回の負担上限の引上げの影響が出てくるケースがあるのではないでしょうか。さらに、そのような一定の所得がある方々が高齢になったときに、介護保険の自己負担を障害福祉予算で償還される仕組み対象者との間で、同じ薬害HIV患者の間での不公平が拡大することになりますが、これはスモンや水俣病などと同様、国が責任を認めた薬害被害者や公害被害者への支援在り方として不適切なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  143. 古屋範子

    ○副大臣(古屋範子君) 介護保険制度は、保険料、公費、自己負担の組合せで成り立っておりまして、負担能力に配慮しつつ、全てのサービス利用者が自己負担を払う仕組みとなっております。  今般の負担上限の引上げにつきましては、介護保険制度持続可能性を高めて、負担能力に応じた負担を求める観点から行ったものでございまして、この見直しは薬害HIV被害者の方々を含め利用者全員に適用されることとなります。  薬害HIV被害者の方々に対しましては、医療保険サービス介護保険サービスのうち訪問看護などの医療系サービスにつきましては、治療研究事業として自己負担額に対して全額公費負担が行われております。一方で、日常生活支援する訪問介護などの福祉系のサービスにつきましては、治療研究の趣旨になじまないことから公費負担対象とはされておりません。  以上のことから、現時点でさらに福祉系の介護サービス利用者負担を軽減するということは難しいと考えているところでございます。
  144. 川田龍平

    ○川田龍平君 医療系についてはしっかりされているわけです。介護についても、実はHIVに関しては感染者が老化が早まるという研究もされています。そういった意味で、HIVに感染したことによって介護の必要が生じるということもあるかもしれないということになってきておりますので、本当にこれは一日も早くこういったものは取り組んでいただきたいと。  昨年の三月にもう大臣にはこれ答弁いただいているわけですが、国に責任があるという被害者に対する支援所得が多いか少ないかでもって差を付けるというのは適切ではないと考えます。高齢化の問題というのは毎年これ原告団も要望していることですが、是非、これ以上先送りせずに、早く検討結果を出していただきたいと希望しますが、大臣、いかがでしょうか。
  145. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 今、古屋副大臣の方からも御答弁申し上げましたけれども、まず、薬害HIV被害者の方々に対して、医療保険サービスそして介護保険サービスのうちの訪問看護などの医療系のサービスにつきましては、先ほどお話し申し上げたようなことで、治療研究事業として自己負担額に対して全額の公費負担を行っているわけでありまして、一方で、日常生活支援する訪問介護などの福祉系のサービスについては、治療研究の趣旨になじまないということからこの公費負担対象とされていないわけでございます。  先ほども申し上げましたが、そういうようなことで、現時点では更に福祉系の介護サービス利用者負担を軽減することはなかなか難しいのではないかと考えておりますけれども、毎年実施しております原告団との協議がございます。ここにおいて被害者の方々の声をしっかりと受け止めて、個々の被害者の状況に応じた包括的な支援をこれは丁寧に行っていかなければならないというふうに考えておるところでございますので、原告団との協議にしっかり臨んでまいりたいというふうに思います。
  146. 川田龍平

    ○川田龍平君 是非しっかりやっていただきたいと思います。  これ、私もそうですけれども、長生きできるかどうか分からなかったわけですので、その意味で、当時、二十年前に和解をしたときにはそこまで考えてはいませんでしたけれども、実際こうして医療が進んで、その医療によって長生きできたことは良かったんですけれども、それによってやっぱり介護が必要になってきているということですので、是非しっかりとこれ、協議の中でしっかり包括的に支援をする形での支援をしていただきたいというふうに思います。  次に、これまで介護負担上限は障害と横並びで三万七千二百円だったのが、医療の方に合わせてこれ引き上げられたわけですが、堀江部長、まさかこれ障害福祉のサービス負担上限も三万七千二百円から四万四千四百円に引き上げるということは考えていないと思いますが、考えているのかどうかお答えください。
  147. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) 障害福祉サービス利用者負担につきまして、利用者負担が過大にならないように負担上限月額を設定してございまして、市町村民税課税世帯に属し、かつ所得割十六万円以上の利用者等につきまして負担上限月額は三万七千二百円になっているところでございまして、この障害福祉サービス負担上限月額を介護保険サービス負担上限月額に合わせて四万四千四百円に引き上げることにつきまして現時点で考えてございません。
  148. 川田龍平

    ○川田龍平君 これは将来にわたって引き上げることはないとお約束いただけますね。
  149. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) 例えば低所得者の負担上限月額、介護保険サービスでは負担を求めているところ、障害福祉サービスでは無料となっているように、両制度負担上限月額、必ずしも連動するものではないわけでございます。今この場で将来にわたることまで約束することは甚だ困難でございますけれども、現時点におきまして、障害福祉サービス負担上限月額を介護保険負担上限月額に合わせ四万四千四百円に引き上げることにつきましては全く考えてございません。
  150. 川田龍平

    ○川田龍平君 これは将来にわたってもやっぱりしっかり考えていただきたいと思います。でないと、やっぱり不安です。  共生社会の一つの問題である、これは次の質問ですが、自殺対策。三番目の質問に移りますが、自殺対策との連携についても伺います。  地域共生社会の実現に向けた取組の推進というのは、大綱策定中の自殺対策と、向き合う対象となる課題も向き合うための社会支援も重なる部分がかなりあるわけですが、両施策の連携について、政策レベル、地域の現場レベルのそれぞれでどのように考え、実際にどのような取組、工夫が図られているんでしょうか。
  151. 橋本岳

    ○副大臣(橋本岳君) 地域共生社会のお話でございますが、その実現に向けた取組とその自殺対策の両方の施策については、困難を抱えた方に対して市町村における包括的な支援体制の整備を図っていくこと、支援に当たって行政だけでなく住民も共に参加する地域づくりとして展開していくことなどの点で大変共通をしておりまして、双方の取組を進めることによって相乗的に効果が上がっていくものと考えております。自殺対策は、結局何かしらの困難を抱えている方がそういう選択をされる、それを防ぐというものですし、困難を抱えている方をしっかりサポートしていこうというのが地域共生社会づくりということですから、やはり同じような枠組み、目的も似ているし、それ枠組みとしても同じようなものですよねということでございます。  地域の現場の視点で考えたときには、その自殺、本当に自殺のリスクが高く、状態が切迫している方への対応、これは本当にもう自殺未遂に至ってしまって救急搬送されたとか、例えばそういうような方については専門的対応ができる方が緊急支援を実施するということになりますが、それ以前の状態ですね、状態が深刻化する前の早期発見のためには、身近な地域に住民の集まる拠点や相談を受ける場をつくる取組、複合的課題に対応するため関係機関によるネットワーク体制をつくることなど、地域共生社会づくりと自殺対策で共通する部分が大変多くあることから、取組を実効あるものとしていくためには、各自治体において両者を一体的に実施することも有効であると考えておりまして、その旨は自治体に周知をしてまいりたいと考えております。  また、自殺対策の方で、各地域の自殺の実態分析した自殺実態プロファイルなどのデータを市町村に提供するということを考えております。そうしたデータについて、これは自殺対策という観点のみならず、その地域にどういう課題があるんだということを示したデータにもなり得るというふうに考えておりまして、それを地域共生社会づくりを進める上でしっかり共有したり参考にしたりしながら進めるということは地域課題把握していく上で有用なものと考えられることから、こうした取組についてもしっかり進めてまいりたいと、このように考えております。
  152. 川田龍平

    ○川田龍平君 ただいまデータの共有の話もありましたけれども、自殺対策基本法改正で都道府県と政令市に地域自殺対策支援センターを設置し、市町村を強力に支援することとしていますが、このセンターを強化して、地域共生社会の実現に向けた取組の推進の施策においても市町村支援する機能を一体的に持たせるべきではないかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。あっ、副大臣です。
  153. 橋本岳

    ○副大臣(橋本岳君) 今御指摘のありました都道府県と政令指定都市への設置を推進しております地域自殺対策推進センターは、言わば管内のエリアマネジャーとして、他の関係機関とのネットワーク等も活用しながら、管内の市町村における地域自殺対策計画支援を行い、さらには自殺対策の人材育成や助言を行うこととしております。  今、このセンターの方を強化をして共生社会づくりに生かしてはどうかという御提案をいただいたわけでございますけれども、地域共生社会の方は、今委員、これは資料をお配りをいただいていると思いますが、市町村から、さらに住民に身近な圏域においていろいろなネットワークを構築しようとするものでございます。ですから、これは市町村においてしていただくということが念頭にあるものでございます。  自殺対策の推進センターは、都道府県ないし政令指定都市への設置ということでございますから、もちろんそうした市町村支援をする、人材育成等の形でですね、それは自殺対策のためということではありますが、当然、地域共生社会づくりにも先ほど申し上げたように生きるものでございますから、両輪相まってやはり、いずれにしても地域において何かしら孤立をしている、あるいは何かしらいろんな困難を抱えておられるような方々に対してしっかりサポートができるように、何というんですか、連携をしながら取り組んでいくということが大変大事なのではないかというふうに考えているところでございます。
  154. 川田龍平

    ○川田龍平君 時間がちょっとありませんので三の二と四の一飛ばして四の二へ行きますが、我が事・丸ごとのうち、我が事を推進する仕掛けや事業のアイデアが、研修やボランティア募集情報の提供など、どうも受け身の取組しかないような気がするんですが、いかがでしょうか。もっと積極的に、地域の問題に関心を持っていない、人ごとと思っている、特に企業戦士や元企業戦士に地域のことに関心を持ってもらうための攻めの仕組みや仕掛けを考えるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  155. 定塚由美子

    政府参考人定塚由美子君) 我が事の地域づくりを促す仕組みとしては、例えば、住民や自治会などの地縁組織を始めとして、福祉分野に限らず、地域の町おこしや産業など他分野の方々に対する意識醸成や地域づくりに必要な働きかけや支援、また住民が気軽に立ち寄ることができる居場所や活動拠点をつくること、さらには、今御紹介がありましたが、住民の福祉に関する学習会の実施や地域福祉活動に参加するきっかけづくりなどを例示として考えているところでございます。  こうした取組や福祉に関心のある方がまず参加するということが想定されますが、御指摘のように、日頃から余り地域との接点を持っていないという方、様々な知識、経験を有している会社員で引退された方、こうした方々に働きかけるということも大変重要なことだと考えております。  例えば、大阪の豊中市では、引退した企業の方々に対して、野菜作りを通じて、これまで地域との関わりは希薄だったけれども地域づくりに参加して、さらには地域福祉活動の担い手としても活躍していただこうという取組を成功させているところでもあり、こうしたような好事例も紹介しながら、全国で創意工夫によって展開されるように図ってまいりたいと考えております。
  156. 川田龍平

    ○川田龍平君 時間ですので最後になりますが、鈴木局長、済みません、今日質問ありませんでしたけれども、また来週やりますので、よろしくお願いします。  丸ごとのことについて最後聞きますが、お手元の配付資料を御覧ください、配付したものがありますので。これを見ると、介護、医療、福祉だけではなく、環境や土木、交通など様々な地域生活課題が挙げられていますが、そういったほかの分野、ほかの部署との連携はどのように進めていくと考えていますでしょうか。
  157. 定塚由美子

    政府参考人定塚由美子君) ここの、お手元の配付していただいた資料にありますとおり、地域社会においては様々な課題がございます。例えば、耕作放棄地の再生や森林などの環境の保全であるとか、町づくりのときの産業や土木における人手が足りないという問題、あるいは買物難民の対応についての地域交通の確保とか、そういった課題などで、地域での課題出てきているところでございます。  こうした課題地域全体で取り組む必要があると同時に、他方で、これまで支援の受け手と考えられてきた方、高齢者や障害者や生活困窮者といったような生活課題を抱えている方々が、むしろ支え手としてこうした環境、土木などの分野での就労やボランティア活動などを通じて活躍できる機会も提供できる資源でもあるというふうに考えております。  こうした観点から、社会保障、福祉という分野を超えて各分野と連携をしていくということで、地域が一体となって、個人と世帯の生活課題地域社会の課題、この両方の解決につながるように図ってまいりたいと考えております。
  158. 川田龍平

    ○川田龍平君 今回、質疑通告は金曜日の一時にしました。にもかかわらず、昨日の九時、十時になって答弁者の変更がありまして、本当に野党は一生懸命協力しているにもかかわらず、こんな遅い時間まで掛かっているのは、これは野党のせいではないと、質疑通告のせいではないということを是非訴えさせていただきたいと思います。  そして、大臣には今回余り聞かなかったのは、受動喫煙の問題で国際会議も延期して頑張るということでしたので、大臣には頑張ってほしいと思って大臣には余り指しませんでしたので、是非、受動喫煙の問題でもしっかり厚労省頑張っていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  ありがとうございました。
  159. 川合孝典

    川合孝典君 民進党の川合孝典でございます。  大臣、蒲原局長、副大臣にはよろしくお願いいたします。  今日はちょっと時間が短いので立て続けに質問させていただくことになりますが、手短に御答弁をいただければと思います。  私の基本的なスタンスでありますが、地域包括ケアシステムの機能強化、そして介護保険制度の今後の持続可能性を高めるために様々な制度改正負担議論をしなければいけないということについては、私は何の異論もございません。が、しかしながら、どうしても納得できないのは、二〇一五年の八月に二割に負担を引き上げておいて、二年もたたないうちにもう一度負担を引き上げるという、このタイミングにやるということについてであります。  なぜ、二割に負担を引き上げたことに対しての影響の検証が行われないままに、このタイミングで引上げを行ったのかということをお聞かせをいただきたいと思います。持続可能性の話は私今いたしましたので、その言葉は使わないように、なぜ今回なのかを御説明いただきたいと思います。
  160. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) まず第一に、今二割負担に上げたばかりでというお話を頂戴いたしまして、何の検証もなしにと、こういうお言葉でございましたが、私どもは、この平成二十六年の二割負担導入の影響についてそれなりの影響を測った上で今回の決断をさせていただいたということでございます。  これは何度も申し上げておりますけれども、サービス受給者数あるいは利用回数などに関する全国的なデータ分析、さらに自治体介護事業者などの関係者からの実態をヒアリングを行うということなどを通じて、導入による影響の実態把握に努めてまいってきておりました。サービス利用への顕著な影響は見られないのではないかということで、引き続きサービス利用実態把握に努めるとともに、更なる実態把握について様々な方の意見も聞きながら多角的な分析をできるようにと考えていく所存でございます。  制度創設時より介護費用が約三倍となって、二〇二五年には介護保険料が八千円を超えるということが予想をされてきて久しいわけでございまして、今回の法案では、今の持続可能性ということについてお話は頂戴いたしましたが、介護納付金に総報酬制を導入することによって現役世代の一部の方に負担増をお願いをすると同時に、利用者である高齢者にも現役並み所得を有する方に限って負担割合を三割に引き上げることとしたと、こういうことでございまして、世代内そして世代間の負担の公平を図るということとしたわけでございます。
  161. 川合孝典

    川合孝典君 負担公平性を図るといったこともそうなんですが、単語一つ一つはおっしゃっていることは非常に正しい、理解できることをおっしゃっているんですが、私が聞いたのは、なぜこれまでずっと一割で来ていて、ここへ来て二割、三割とぽんぽんと上がるのかということ、このことに対して拙速だという国民、利用者皆様の御意見があるということについて私は指摘をさせていただいているわけであります。  気になる御発言もございました。顕著な影響がなかったということの検証の結果を受けて今回三割に引き上げるとおっしゃいましたけれども、蒲原局長で結構であります、ここまでの間に公開されている影響のいわゆるデータというのは、いつまでのデータをいつ公表されたものですか。いつのデータでしょう。
  162. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) 幾つかございますけれども、まず一つはサービス受給者数の推移というのがございます。これは、直近のサービス受給者数の推移で、二十七年八月に制度改正がありましたので、その前後で、これちょうど六か月単位で半年ベースでございますけれども、この推移を見ますと、それは一割負担、二割負担分かれる前からのものでございますので、これ自体の言わば伸び率というのが顕著な影響がない状態だというのは、これ自体はたしか審議会の審議の過程でお出しした、そういうデータでございました。  その後、実は今回の法案を提出するたしか後に、今のやつは……(発言する者あり)いいですか。その後、追加的に幾つかの資料を出して御説明しているところでございます。
  163. 川合孝典

    川合孝典君 ゴールデンウイーク明けに石橋委員のところにも資料を出していただいたという話は聞いておりますが、元々情報として開示されていたデータというのは制度改正された二〇一五年八月から半年間の数字ということでありまして、その後、ここに至るまでの間に一年以上の時間がたっているという意味でいけば、今回制度改正を行うに当たっての適正なバックデータかどうかということについては大いに疑問があるということを指摘させていただきたいと思います。  これ以上やりますと石橋さんが今後質問する項目がなくなってしまいますので、私の方からはこれでこの点については終わらせていただきたいと思います。  もう一点、先ほどの小川委員の御質問の中で蒲原局長が御答弁されていた内容で非常に私の耳に障ったせりふがございましたので、ちょっと一点確認させていただきたいと思います。  まず、局長、この三割負担化で一体幾ら財源が確保されると先ほどおっしゃいましたか。数字だけおっしゃってください。
  164. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) 私、先ほど御説明いたしましたけれども、これ給付費ベースでございます。給付費ベースの満年度ベースでございますけれども、百億というふうに計算できるということでございます。
  165. 川合孝典

    川合孝典君 それが財源としてどれほどの効果があるのかということは別にして、実績づくりという意味でという表現を先ほどおっしゃっていたと思うんですよ、実績と、この単語はお使いになりました。  これ、実は多くの皆様が御懸念をされている点でもありますので確認させていただきたいんですが、今回ばたばたっと二割、三割と負担の引上げが行われることになりました。利用者負担の具体的な基準がこれ政令事項になってしまっておりますので、今後いつでも引き上げる気になれば引き上げられるという法律立てになってしまっておるわけであります。  今回と同様、今後も財政的な問題が生じるたびに場当たり的に利用者負担を引き上げるのではないのかという、こういうことの御指摘があるわけでありますが、今後、この負担在り方についてはどのようにお考えなのか、この点については大臣にお伺いしたいと思います。
  166. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) まず第一に、この介護保険制度は、もう言うまでもなく、これは財源は三つしかないわけで、保険料、そして税、そしてまた自己負担と、こういう三つの負担をどう組み合わせていくのかということで、この財源を確保することをしっかり考えなければいけないと、こういうことで、それによって必要な方に必要なサービスが行くようにすると、こういうことが必要なわけでございます。  今回の法案におきましても、高齢化の進展によります将来の保険料、さっき八千円になるということを申し上げましたが、八千円台に、介護費用の増加を見据えて、世代内、世代間の負担の公平、そして負担能力に応じた負担をお願いするということに関しては絶えず見直していくべきだろうというふうに思います。  現役並み所得を有する方の負担割合を今回二割から三割に引き上げることとしたわけでありますけれども、これは、医療保険制度など利用者負担の基準につきましては法律に基本的な事項を規定をして、金額等具体的な基準というのは政令に回す、定めるというのが一般的であるわけでございまして、ただし、じゃ政令だから勝手に決められるじゃないかと、こういう御指摘をいただきましたけれども、利用者負担見直しは、当然これ予算事項になるわけでございます。  したがって、この予算がかかった際にこの政令の仮に変更をするということであれば、必ず予算に跳ねてきますので、予算審議の中でこの問題について御指摘をいただき、また御意見を頂戴するというプロセスを経て初めてこの政令の範囲を拡大することになるわけでありますので、その議論なくして、何らの議論なくして上げていくことが可能だという御指摘は必ずしも当たらないのではないかというふうに考えているところでございます。
  167. 川合孝典

    川合孝典君 つまりは、状況が変わればいつでも上げられるという御説明だったと理解すればよろしいわけですよね。  予算事項というお言葉を使われましたけれども、まさしく予算、予算編成する上でどうするのかというところで、財務省に言われれば上げるよということをつまりはおっしゃったということなわけでありますが、私が指摘させていただきたいのは、上げるということももちろん痛みを利用者の方々にお願いをするということになりますけれども、私が申し上げたいのは、将来どうなるのかということ、将来不安を払拭しなければ消費が冷え込むんです。  与党の皆様、経済を何とか良くしなければいけないと言って取り組んでいらっしゃるわけじゃないですか。なのに、いつ保険料負担が上がるか分からない、医療費が上がるか分からないという状況の中では、消費にお金が回しにくくなるんです。だから、今この状況だけれども、十年後、二十年後、三十年後、厚生労働省としてはこういう制度を考えますよというビジョンを明示してさしあげないと、ただ単純に今回持続可能性を高めるために利用者負担を上げます、一割上げますと、これだけだと不安をあおることにしかならないということを指摘させていただいているんです。  将来のこのビジョンを、今後の負担給付在り方のビジョンというものをきちんとお示しいただこうと思うと、これは大臣がきちんと、御自身がやるんだということを御指示いただかないとそういうことにならないわけです。あくまでも場当たり的な負担給付議論だけに終始してしまうことになりますので、そのことを私は指摘をさせていただいております。  この点については、大臣、どうお考えになりますでしょうか。もう答弁書関係なしで、大臣の思いで結構でございます。
  168. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたように、医療保険においても、負担に関しても、やはりそういう、こういうような形で政令事項で書き込むということはごく一般的に行われていることでありまして、おっしゃるとおり、将来が見えるようにするということは極めて大事なことで、そのこと自体は私は川合委員のおっしゃるとおりだと思います。  したがって、できる限り、将来にどうなるのかということを常時お示しをしていくということは大事なことでありますので、それをどういう形で何を通じてやるのかということはいろいろあろうかと思いますけれども、私どもとしては、今回こういう形で三割負担というものを現役並み所得のあられる方だけに限って行うということをお願いをすることで持続可能性を増すと、まあ財源的にはそんなに大きい額ではないことは先ほど申し上げたわけでありますけれども、それでも百億は百億でございますので、そういう貴重な財源をお願いをしながら持続可能なサービスを提供し続けていくということを私どもはやっていかなければいけませんし、その覚悟は、やはり国会答弁も通じてお示しをしていかなければ、将来に明るさが見えないということになってしまう。将来不安になって、消費のお話もございましたが、そういうこともあり得るかも分からないということを念頭に入れながら、私どもも心して答弁してまいりたいというふうに思います。
  169. 川合孝典

    川合孝典君 大臣、答弁書を見ずに御答弁いただくと非常にいい御答弁頂戴できますので、問題意識をやはりきちんとお持ちいただきたいということについて、まずは今日のところは問題提起とさせていただきたいと思います。  続きまして、ちょっと蒲原局長に確認させていただきたいんですが、今回三割負担にしたこと、金額が高い低いという主観の問題ではなくて、利用者負担を三割にしたことの根拠は何だったでしょうか。もう一回確認させてください。
  170. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) これは、ちょっと持続可能性という言葉が最初出ましたけれども、持続可能性を高める中で、高齢者間の世代内の公平と、あるいは現役世代の、特に今回の総報酬割との関係で、世代間の公平ということで、負担能力に応じた負担ということが基本であります。  その際に、医療保険において現役並み所得の方々について一定の負担をされているという、そういう仕組みになっておりますので、それとの関係で、今回、二割負担の中で特に範囲を限定された方、これは現役並み所得の方ということで、そういう方々について三割負担対象として三割をお願いすると、こういうことでございます。
  171. 川合孝典

    川合孝典君 前回委員会のときにそうした趣旨の答弁されていたのを聞いていて、若干、私、違和感を感じたことがあるんですけれども。  もちろん、医療も介護も、そういう意味では、給付を受けるという意味ではそこに合わせたんだという御説明は厚生労働省立場ということなんですが、よくよく考えてみますと、医療というのは、その疾患が治癒したら負担はなくなるわけなんですよ。ところが、介護というのは、一旦負担が始まると、そのままずっと負担し続けなければいけないという種類のものであるわけであります。  したがいまして、医療が三割だから介護が同じ三割でいいという理屈には、すぱっとそこには行かないというのが実は私の認識なんですけれども、相当、医療に比べると介護の方が負担が大きくなります。そして、利用者というのは、多くの方々が現役を退かれて、年金や決められた収入がこれ以上増える見通しの立たない方々にその御負担をお願いするということなんですけど、そうした切り口からの議論というのは厚生労働省はされましたでしょうか。局長、どうぞ。
  172. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) 医療との違いでありますけれども、こういうことじゃないかと思います。  おっしゃるように、まず一つは、医療も高齢期になってくるとかなり継続的な医療を受ける方がいるというのが一つあります。もう一つは、これは医療の負担の中で、負担は、負担率の話と、もう一つは、医療でいえば高額の医療費、介護でいえば高額介護サービス費がございますけれども、月額の上限の決め方について、医療の場合はもちろん一定の医療費も頭に置きながら額が決めている、ただし、その際は、多数該当という制度があって、一年間に四月だったかな、そういう一定月以上を使う場合についてはその額が一定のところに抑えられていると、こういう構造になっているわけです。  私どもも、実は介護保険も、先生おっしゃるように、一旦サービスを受け出すと恐らくかなり長期になるということは先生おっしゃるとおりだと思いますけれども、結局、その費用負担については、利用者負担とそういう月額上限とセットで実際に掛かってくるわけで、そのセットのところでは、あくまで医療保険でいう多数該当のラインに合わせて私どもの方の言わば月額上限を決めていると、こういう構造になっているわけで、その意味でいうと、医療と介護は違うけれども、一方で長期になる場合についての配慮のところについて言うと、医療と介護というのは一つ整合性ある考え方で、月額上限も含めた利用者負担については両方を整合的に考えてきていると、こういうことではないかというふうに思います。
  173. 川合孝典

    川合孝典君 今の説明で利用者の方々、国民の皆様が御納得されるかどうかということについては是非検証いただきたいと思います。  一問だけやっているうちに時間がほとんどなくなってまいりました。  次の質問、ちょっと幾つか質問させていただきたかったことがあったんですが、準備してきた内容で、少し飛ばさせていただきまして、六番の財政的なインセンティブのところについて少し御質問させていただきたいと思います。  インセンティブの話を議論していく上で和光市だとか大分県の話というのがよく例示的に紹介されているわけなんですけど、いわゆる自立支援重度化防止に取り組んだ自治体に対して財政的インセンティブを要は設定していく上で是非御検討いただきたいことなんですけど、和光市も大分県も、それから今日午前中に参考人でお越しいただいた桑名市の方でしたが、いずれも有識者の方ですね。厚生労働省に御出向された経験があるだとか、長年にわたってこの事業を専門的に取り組んでこられた方が担当としてやっていらっしゃるところのみが一定の効果を上げているというのが数値的には表れておるわけであります。  それを、こういうところがあるんだから、財政的インセンティブ付けてあげるから頑張って取組を行いなさいよ、自立支援に向けた取組を行いなさい、計画を立てなさいと、こういうことを一方的に言ったからといって、自治体がそれを引き受けるだけのキャパシティー、能力があるのかどうかということについての検証がなされていないという指摘がされておるわけであります。  したがって、こうした実態を踏まえた施策が必要になるのではないのかということが今問われておるわけでありますが、この点についての御認識、また何らかの具体的な施策を考えていらっしゃるのなら、その点についてもお聞かせいただきたいと思います。
  174. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) 恐らく和光市の方については厚生労働省に出向された方だということを前提にお話があったんだと思います。桑名市にも行っていた人がいるということでございますけれども、私ども、今回、和光市というのが一つありますけれども、もう一つ、大分県における取組というのも、これは県レベルでサポートしながら市町村でそういうことをやっているといった意味では非常に貴重な例だというふうに思っております。  私の記憶では大分県にも厚労省の出向者がいますけれども、むしろこの取組は、大分県のたしかプロパーの職員が中心となってやられているのが一つと。もう一つは、もう明らかに、あそこでは、たしか先行の三つの市から始まって全市町村に広げていったと。例えば地域ケア会議取組も、まず最初にモデル三市町村で始めて広げていくと、こういうことをやっているわけでございまして、そうした大分県のモデル市町村あるいは全市町村において、そうした厚生労働省からの人がいる、あるいは関わりがある人がいるということではなくて、むしろ大分県の場合は、たしか和光市始め幾つかの取組をやっているところの人たちのアドバイスを、アドバイザーとして来てもらって、県で仕掛けをつくって、まず県で市町村に対する研修をやったり、あるいは専門職の派遣をやったりしてやっているということなので、そういった意味では、必ずしも何か厚生労働省とかそういうことではなくてやられている実例が大分県にあるということではないかというふうに思っています。
  175. 川合孝典

    川合孝典君 そういう懸念があるよということの指摘なんですよ。  答弁として、いや、だから大丈夫なんだと言っておられて、何年かたって結果が出ていなかったら、ほら、駄目だっただろうという話になるわけで、そういう指摘があるんだったら今のうちに検証した方がいいんじゃないですかという提案であります。別に言い訳を求めているわけではありませんので。  時間がいよいよなくなってまいりましたので、インセンティブのもう一つ質問させていただきたいんですが、これ前回質疑のときにもちょっと出てまいりましたが、プラスアルファを付けると。いわゆる自立支援に向けて取組に成果が出たところに対してはプラスアルファを付けますよという話になったんですが、そのこと自体はうれしい話なんですが、プラスアルファを付けるだけの財源がどこにあるのかと、プラスアルファを付ける分、どこかがマイナスアルファになるのではないのかという懸念の声がいまだに払拭できていないわけでありますが、それは絶対にないのであれば、ないと今言い切っていただければと思いますが。
  176. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) インセンティブの話については、審議会においていろんな両論があったということはこれまで申し上げたところでございます。  本法案におきましては、市町村都道府県に対しまして、自立支援重度化防止取組支援するために予算の範囲内において新たな交付金を交付するという規定がきちっと設けられていると。この規定を盛り込むに当たっては、当然ながら財務省ともこういう規定についてはちゃんと合意して、国家で閣議決定しているわけですから、そういう経緯をもって、ところまで来ているわけです。  ただし、実際にこれをどういうふうに予算に盛り込むかというところについては、これは平成三十年度の予算ということになります。ただ、これはこの間も大臣もおっしゃいましたけれども、言いましたけれども、やはり我々としてはそうしたことをきちんと確保するように取り組んでいきたいというのが一つあります。  もう一つ、少し加えますけれども、例の調整交付金の活用のところについては、これは、現在、後期高齢者の比率だとか所得水準の差を調整するという非常に大事な役割を負っておるところでございますけれども、ここ自体については今後検討課題となっているわけですけれども、そこは自治体の声も相当ありますので、よく自治体意見を聞いて、自治体はやるべきじゃないという声があるもので、それを聞いた上で検討していきたいというふうに思っています。
  177. 川合孝典

    川合孝典君 つまり、今、分かりやすく言いますと、予算の範囲内でやることだから、予算が取れなかったらマイナスアルファがあるということですよね。つまりはそういうことですよね。(発言する者あり)ありがとうございます、御声援。  そこで、そういう懸念がある状況の中で、何が現場で起こるのかということについてちょっと一点指摘させていただきたいんですが。  要は、ケアマネジメントの効果ですね、自立支援だとか要介護度改善という、この効果が追求されるということにこれからなるわけですから、そうすると、改善率が低いであろう要介護者は、当然、施設から要は回避される危険性ってこれ十分にあるわけで、そのことを実は皆さんが指摘されているわけであります。今後、保険者が当然この許可者になるので、改善度の低いケアマネは評価されなくなることも懸念されておりますから、そうなってくると、本当に介護の必要な重度の要介護者が要介護難民になってしまうのではないのかという、こういう指摘の声があるわけであります。本当にいわゆる介護度改善というものをインセンティブに設定することが適正なのかということについてお伺いをしたいと思います。  なお、午前中の参考人質疑において参考人の方がおっしゃったお言葉で非常に印象的だったのは、いわゆる要介護度改善ではなくて、悪くなるのをとどめる、維持させるということ自体が大きな介護施設のその効果なんだ、ケアマネジメントの効果なんだという御指摘を受けたわけであります。この主張はおかしいでしょうか。どうお考えになりますでしょうか。
  178. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) 二つの観点があろうかと思います。  今回の取組の中で、高齢者の方々の自立支援介護予防というのを進めるということでございますけれども、それを測るときに、これアウトカム指標とプロセス指標二つあるという大前提で申し上げますけれども、アウトカム指標のところでは、要介護認定率そのものを使うというわけではなくて、要介護にある方々の維持、改善の状態を測りたいというふうに思っています。その意味でいうと、最後に先生おっしゃった、今日の参考人のところで話が出た、改善するというのもあるでしょうけれども、悪くなるときにそれが維持されるということも含めて考えるというのが一つあります。  ただし、その大前提は、いつもアウトカム指標とプロセス指標を組み合わせというふうにこれ申し上げております。何かアウトカム指標だけでやると、まさに先生がおっしゃったように、その効果だけを求めてやるということが起こりがちになると、それは非常に我々が心配するところでございます。したがいまして、今回の中ではプロセス指標とも併せてやると。その特にプロセス指標というのはいろんな指標があって、もちろん分析もあれば地域ケア会議状況だとか介護予防の場所づくりとかあるので、そういうプロセス指標をたくさんつくることによって先生御指摘の心配が起こらないようにしていきたいというふうに考えております。
  179. 川合孝典

    川合孝典君 維持、改善とおっしゃいましたけれども、そのこと、おっしゃっていること自体は正しいんですけれども、だったら何で特養の入所の基準を原則要介護三以上に線引いているんですか。そこを線引くということは、要は今何が起こっているかというと、家族が介護度の認定の評価を受けるときに、要介護度が三から改善しないように、どうしたら改善しないのかというところですごい気を使っていらっしゃる方いらっしゃるんです。宝くじですから、特養に入れるかどうかというのは。  だから、改善をさせるということを目標にしても、現実問題として、改善したら施設にいれなくなっちゃうんですよ。そのことに現場の皆さんが困っていらっしゃる。そういう状況を踏まえた上でどう制度設計をするのかということ、このことこそが今回の法改正の肝にならなければいけないと思うんですが、いかがでしょうか。ですよね、そういう問題認識をさせていただいておるというわけであります。  いろいろと問題があるということを今問題提起をさせていただきました。今後も、我が党の委員も始め、そうした問題について御指摘をさせていただきたいと思いますが、そうした今までの指摘を受けてということなんですが、大臣、是非、今回の話は恐らく、私はもう正直申しまして、財政審や財務省が、何とかしろと言われて圧力を掛けられて、多少なりとも改善しなければいけないという話の中で場当たり的にこういうことをやらざるを得なくなってしまったんだろうと私は理解しております。  今回のことについては、被害を最小限にとどめるということでこの程度の範囲になっておるのかもしれない。が、しかしながら、こんなことを繰り返していても介護保険制度の抜本的な持続可能性を高めるための施策には何らなっていないということについては改めてきちんと御認識いただきたいと思いますし、今後も財務省が何か言ってきたときにはこういうことをやらなければいけなくなってくる可能性だってあるわけでありますので、是非、財務省が言ってくる前に、今後の在り方ですよね、というものを、委員皆様始め有識者の方大勢いらっしゃるわけでありますから、幅広く意見を聞いていただいて、今後の介護保険制度在り方地域包括ケアの在り方、そういうことについてのやっぱり議論をもっと深めるということを取り組んでいただきたい、このことを最後申し上げさせていただきまして、時間が参りましたので、本日のところは私の質問は終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  180. 熊野正士

    ○熊野正士君 公明党の熊野正士です。  自立支援それから介護予防に向けた取組は非常に重要でありますけれども、これまでの審議会等における議論を通して、本法案では、自立支援介護予防のためには保険者機能強化が明記されております。  この保険者機能強化がなぜ自立支援介護予防に必要なのか、また市町村に期待する役割について分かりやすく教えてください。
  181. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) お答え申し上げます。  介護保険保険者であります各市町村がこの制度の運営を担っておるわけでございますけれども、今後の高齢化の進展の状況だとか、あるいは当該市町村で使われる介護費用の状況あるいは介護サービス状況というのは様々でありますので、地域課題を的確に把握した上で、その地域に合った形で地域ケアシステムというのをつくるということが非常に大事、その意味でいうと、それを担っております保険者がいろんなPDCAサイクルを回していくということが大事だと思います。その際に、先生御指摘ございましたとおり、自立支援重度化防止に向けた取組というのを一層進めていくということが非常に大事だというふうに思います。  市町村におかれては、やはり地域の実情をきちっと分析をするということがまず第一でございますし、その上で、自立支援重度化防止に向けた様々な取組計画に盛り込んでもらってそれを実施をする、都道府県、国がそれをサポートすると、こういうことが大事だというふうに思っております。
  182. 熊野正士

    ○熊野正士君 市町村に頑張っていただいて保険者機能強化するということですけれども、ただただ強化強化と言っても、強化のためにはノウハウも要りますし、人材も必要になってまいります。  国としての支援在り方というか、財政措置も含めて、御答弁をお願いいたします。
  183. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) 市町村保険者機能強化するに当たっては、それぞれの市町村が持つ人材の厚みも違いましょうし、ノウハウの蓄積も様々であろうかと思います。その意味では、国である厚生労働省、さらには都道府県が積極的かつ丁寧に支援をしていくことが大事だと思います。  例えば、厚生労働省としては、いろんな取組のために、先ほど話がありました新たな交付金の交付というのもございますけれども、そもそもそれ以外にも、市町村が多角的に状況分析できるように要介護認定率給付費等に関するデータをきちっと提供していくという支援が一つあります。また、自立支援等に対する人材確保のための研修、これは都道府県を通じて市町村のための研修のための要員を研修するということですけれども、そのようなことも大事だと思っています。  そうしたことを通じて国として市町村支援をしてまいりたいというふうに思っております。
  184. 熊野正士

    ○熊野正士君 あと、先ほど、今ありましたけれども、都道府県支援ということですが、何か国の支援が余りよく分からなかったんですけど、もうちょっと国の支援お話ししていただいてよろしいでしょうか。
  185. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) 国の支援は、これ、市町村が当該地域状況分析するんですけれども、分析するいろんな情報だとか分析の仕方、こうしたことを国として各市町村状況を整理をして市町村に情報提供をすると、そういうものが一つあります。そうすると、市町村においてはそれをベースに当該市町村状況分析が容易にできるというのが一つあります。  もう一つは、研修と申しましたのは、国が、例えば都道府県の職員をきちっと研修することによって、当該都道府県の職員が当該都道府県市町村に対して研修会なりを実施しやすくなってくるということで、県を通じて人材育成をするという、この二つが言わば国の取組の代表例でございます。
  186. 熊野正士

    ○熊野正士君 あと、財政的な何かそういう支援はないんでしょうか。
  187. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) これが先ほど来話になっております都道府県あるいは市町村に対する新たな交付金ということでございまして、その内容について、いろんな指標の下で配るんですけれども、その額等については三十年度の予算編成の中でよく検討していくと、こういうことでございます。
  188. 熊野正士

    ○熊野正士君 あと、都道府県が各市町村に対して行う支援についてお示しください。
  189. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) まず、市町村への支援について、都道府県市町村支援するといったことを法案に明記をしております。具体的に、都道府県による市町村支援でございますけれども、例えば大分県では、県が市町村職員に対する研修というのを行っております。また、県が市町村へのリハビリ職員、リハビリの専門家などの派遣というようなものを行って、その前提では県レベルで関係団体と調整を行っていると、こういうことを県が行っております。そうしたことを通じて、大分県内の市町村において、例えば多職種による地域ケア会議等が実施できるようになってきているということでございます。  こうした大分県の取組というのを参考に置きながら、各都道府県において同様の取組が進められるように国としても支援をしていきたいというふうに思っています。
  190. 熊野正士

    ○熊野正士君 あと、厚生労働大臣に対して調査及び分析に必要な情報の提供を市町村に義務付けています。各市町村はそれぞれ調査、分析をするということですので、データを各市町村が持っていまして、その情報を提供するということだと思いますが、ここでお願いしたいのは、既にデータがあるわけですから、国に報告するために改めて入力し直すとか二度手間にならないように是非していただきたいなと思いますが、この点いかがでしょうか。
  191. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) 現在も市町村から一定のデータをいただいて、国で整理をしてまたお返しするということをやっているわけですけれども、市町村から提出していただいているデータのうち、例えば要介護認定等のデータについては、現在も介護保険法の規定に基づいて保険者が任意ですけれども提出していただいております。まあ任意といっても九割ぐらいのところからもらっていると。  ただ、その過程では、そういう提出をする市町村に対する負担が余り大きな負担にならないように、厚生労働省が配付する専用ソフトを用いて、元々市町村で行っている要介護認定等のデータがそういう専門ソフトを通じて厚生労働省に提出していただけるように今配慮をしているわけで、データ提出における新たなデータ作成の手間というのは発生していない状況にありますので、今回、いろんな情報の提供を義務化することとしておりますけれども、このような措置を通じまして、言わば市町村に過大な負担にならないように留意しながら進めていきたいというふうに思っております。
  192. 熊野正士

    ○熊野正士君 よろしくお願いいたします。  次に、介護医療院についてお尋ねをいたします。  例えば、この詳細については今後検討ということで、人員配置とか広さとかですね、また大きく二つのタイプの介護医療院検討しているとも聞いておりますけれども、具体的にどういった事柄を検討して、いつまでに決定していくのかを教えてください。
  193. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) 今般の制度改正では、長期的な医療、介護のニーズを併せ持つ高齢者に対して、日常的な医学管理や、みとり、ターミナルケア等の医療的機能に加えまして、生活施設としての機能を兼ね備えた施設として介護医療院創設するということでございます。  この介護医療院の基準でございますけれども、療養病床等に関する特別部会の中で幾つかの提示がされておりまして、一つは、先ほど話がございましたとおり、現行介護療養病床相当の機能を持つ類型と、もう一つは介護老人保健施設相当以上という機能を持つ類型、これを二つ設けたらどうかということ、さらには床面積の基準として入所者一人当たり八平米以上にするということ、さらには多床室の場合でも家具やパーテーションなどによりましてプライバシーに配慮した療養環境を整備することといったような提示というものが出されているところでございます。  こうしたものを踏まえまして、平成三十年度の介護報酬改定に向けて、その具体的な基準あるいは報酬といったものについて関係の審議会で議論していきたいと。これはできるだけ早く開始して、ただ、来年の四月からこれが施行ということになっていますので、それまでの間にきちっとお示しをしたいというふうに思っています。
  194. 熊野正士

    ○熊野正士君 あと、私の認識では、老健施設とかとの大きな違いというのは、介護医療院ではついの住みかとしての役割があるということで、その際、問題になってくるのがみとりということかなと思いまして、このみとりということに関しての厚労省のお考えを是非お聞かせ願えればと思います。
  195. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) この介護医療院は、一つの大事な機能として、元々の介護療養病床が転換する受皿ということでございますけれども、元々の介護療養病床におきましては、ターミナルケアに関する計画に基づきまして、医師、看護職員、介護職員等が共同してターミナルケアを行うといったことが一定の評価、点数上の評価がされているということでございます。  こうしたことも頭に置きながら、新設されます介護医療院においても、そのような、同様なターミナルケアというのが提供されるように、いろんな基準とか報酬等で検討していきたいというふうに考えております。
  196. 熊野正士

    ○熊野正士君 次に、利用者負担について質問いたします。  今回、一般区分の方の自己負担月額が四万四千四百円になると聞いておりますが、年間の上限額を設定して負担軽減の配慮がなされています。これは評価できるんですが、ただ、この上限額の据置きには三年の期限が付いておりまして、三年たてば自動的に上限額が撤廃されるといったことでは決してないと思いますけれども、三年経過した時点で検討するということと聞いております。どういう観点で検討するのか、実態をよく把握してからと考えますけれども、いかがでしょうか。
  197. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) 御指摘がございました高額介護サービス費の引上げに伴います年間上限額についてでございます。  引上げする際に、長期利用者に配慮いたしまして、一割負担のみの世帯の方については、年間の負担額が現行の年間の負担額の最大負担額を超えることのないよう一定の年間上限を設けるということでございます。これにつきましては、三年間の時限措置ということになっているわけでございます。  この取扱いについては、激変緩和の観点からそのようにしているところでございますけれども、三年経過後のその後の取扱いについては、改正後の高額介護サービス費の施行状況、あるいは先生おっしゃいましたいろんな実態、こうしたものを踏まえて、そのときに必要に応じてきちっと検討していくというふうに考えております。
  198. 熊野正士

    ○熊野正士君 よろしくお願いします。  次に、今回、社会福祉法も改正されます。社会福祉法について質問したいと思います。  この社会福祉法には地域福祉計画のことが示されております。この地域福祉計画とは一体何を記載するのか、また計画の意義について教えていただければと思います。
  199. 定塚由美子

    政府参考人定塚由美子君) お答え申し上げます。  地域福祉計画でございますけれども、市町村地域福祉を総合的かつ計画的に推進するために、地域福祉の主体である住民の参加を得て策定するというものでございます。平成十五年四月に社会福祉法の改正、施行により法定化されたものでございます。  現在の地域福祉計画におきましては三つの事項を定めることとされておりまして、具体的には、福祉サービスの適切な利用の推進に関する事項、また社会福祉を目的とする事業の健全な発達に関する事項、また地域福祉に関する活動への住民の参加の促進に関する事項でございます。  また、今回の改正案によりまして、現行では任意とされている地域福祉計画の策定について、新たに市町村の努力義務といたしております。  また同時に、地域福祉計画を福祉分野の上位計画として位置付けまして、高齢者や障害者、児童など、福祉の各分野における共通事項を盛り込むこととし、あわせて、この計画をより実態に合った実効性あるものとする観点から、定期的な見直しをするという規定を設けて法律上明確にしたところでございまして、この法律が成立したときには、国として具体的なガイドラインもお示しをして、市町村の策定を促してまいりたいと考えております。
  200. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございます。  今回の社会福祉法の改正では第四条第二項が新設されておりまして、地域住民が地域生活課題の解決を図るように特に留意するというふうにございます。まさに、塩崎大臣が訴えておられる地域我が事・丸ごと共生社会の実現に向けた条文だと感じているわけですけれども、この意義と目指すべき具体像を是非大臣にお示ししていただければと思います。
  201. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 今のお示しをいただきました社会福祉法の改正案第四条第二項でございますけれども、地域住民や福祉関係者が、本人のみならず、その方が属する世帯全体に着目をして、そして、福祉、介護、保健医療に限らない様々な生活課題把握をすると。同時に、行政などと協働をいたしまして課題を解決をしていくということが必要である旨を定めて、我が事・丸ごとの地域福祉の推進の理念を条文上明らかにしたところでございます。  特に、声を上げることができずに大変な状況に陥っている、そういう世帯に気付くということがまず第一。そして、必要に応じて関係機関につなげたり、あるいは見守りと声掛けによって孤立の解消を図ったりすることは、地域住民だからこそできる、そういう取組だろうというふうに思います。  地域住民が果たす役割は極めて重要であると考えておりまして、これは、例えば、豊中に私もお邪魔したときに、ごみ屋敷をみんなで一軒一軒訪問をして探し出して、そこの問題解決をみんなでやるというようなことをやっておられましたが、まさにそういう形で地域住民ぐるみでみんなで助け合うという仕組みにすべきなんではないかというふうに思います。  同時に、こうした地域住民の気付きを円滑に相談につなげられる体制をつくる。つまり、丸ごとの相談、つまりいろいろなものが一か所で相談できると、そういう体制をつくって、地域住民が負担を感じることなく、そして安心をして課題を見付けて、公的な体制による支援と、そして、そうした民間の自発的な助け合いの仕組みとで問題の解決につなげていくことができる地域づくりを目指したいと、そのような気持ちを込めたものでございます。
  202. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございます。  次に、高齢期を迎えた障害のある人が長く利用した生活介護や居宅介護などを引き続き利用できるような仕組みとして、共生型サービス創設することが示されています。これによって、その人に合った支援体制づくりができると期待の声が寄せられています。  他方、幾つか懸念されている点があります。まず第一点目として、事業所の指定基準がどうなるのか、どの程度の事業所が指定を受けることを想定しているのでしょうか。指定基準を設定するに当たっては、全国どこでも展開できるよう、特に小規模自治体でも必要なサービスを受けられるよう、支援事業所の実態を踏まえたものにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  203. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) 今回の法案の中では、委員お話しになったとおり、障害のある方が介護保険の被保険者となった際に使い慣れた障害福祉サービス事業所を利用できなくなるケースがあるということから、関係の審議会において見直すべきであるというふうな意見が出されたといったことを踏まえまして、引き続き同じ事業所でサービスを利用できるようにするという、そういう観点などを踏まえて共生型のサービスというのを創設するということにしたわけでございます。  その基準、あるいは具体的にどのくらいのところが移行するのかという御質問ございましたけれども、まず、この共生型サービスというのは、仕組みとしてつくりますけれども、これを受けるかどうかということについては各事業所の判断、言ってみれば、各事業所が選ぶ選択肢の一つであるというふうに考えておりまして、地域高齢者や障害児の方、あるいは障害者の方々のニーズを踏まえて移行に向けての判断がされるというふうに考えられるために、どのくらいの事業所が共生型サービスの指定を受けるかについては現時点ではなかなか明確にされていないというのが一点でございます。  ただ、いずれにしても、この共生型サービスの施行は平成三十年四月一日の予定でございますので、具体的な基準及び報酬については、さきに述べた創設の趣旨、あるいは先生からお話がございました、やりたいところは全国でできるだけやれるようにという、特に小規模自治体における事業所の話がありましたけれども、そうしたところでも選べるようにその基準というのは考えていかなきゃいけない。その際には、非常に大事なことは、やはりサービスの質というのを確保しながら、関係する審議会でよく検討していきたいというふうに考えております。
  204. 熊野正士

    ○熊野正士君 二点目ですけれども、一定の期間、障害福祉サービスを利用しているなどの条件を満たしている場合に利用者負担の軽減が図られるとされていますけれども、その対象者がどうなるのか。知的発達障害のある人の場合、例えば一般就労から就労A、就労B、生活介護というように活動場所が移行していくことは珍しくないと伺っております。  対象を設定するに当たっては、生活介護を五年以上利用した者と機械的に切り分けるのではなくて、実態を重視して柔軟に対応できる仕組みとすべきと考えますが、いかがでしょうか。
  205. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) 御指摘の軽減措置につきまして、昨年の総合支援法改正におきまして、六十五歳に至るまで介護保険サービスに相当する障害福祉サービスを相当の長期間にわたり利用してきたことなどを要件として政令で定め、介護保険サービス利用者負担を軽減することということにしているわけでございまして、この要件につきましては、介護保険サービスの利用に当たりまして一割の利用者負担をしていただいております高齢者の方との公平性も踏まえて設定する必要があるというふうに考えているところでございます。  具体的基準の設定に当たりましては、生活介護などの介護保険サービスに相当する障害福祉サービスを利用していたことなどを要件とする予定でございますけれども、病院に入院中の期間など、本人のやむを得ない理由でサービスを利用していない期間が存在するといったことも想定されるものでございまして、障害者の方の障害福祉サービスの利用の実態を十分に踏まえる必要があるというふうに考えてございます。  具体的には、平成三十年の施行に向けまして、社会保障審議会の障害者部会で審議をいただいたり、あるいはパブリックコメントの実施などによりまして、関係者意見をお伺いしながら設定していきたいというふうに考えてございます。
  206. 熊野正士

    ○熊野正士君 現在の障害者総合支援法に基づく障害支援区分の調査項目と、それから介護保険法に基づく要介護設定の調査項目は異なっています。特に、知的障害と発達障害のある方は要介護が軽く設定され、介護保険へ移行した途端、今までよりもサービスが受けられなくなるのではないかといった不安の声があります。こうしたことにならないように、引き続きサービスが受けられるよう運用上工夫が必要と考えますが、いかがでしょうか。
  207. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) 介護保険法の要介護認定は、高齢者に係る介護の手間に着目して介護サービスの必要度を判定する仕組みとなっております。一方、障害者総合支援法の障害支援区分の認定は、障害の多様な特性その他心身の状態に応じて必要とされる標準的な支援の度合いを総合的に判定する仕組みとなっているわけでございまして、こうした違いから、障害福祉サービス利用者が要介護認定を受けた場合に、介護保険の区分支給の基準限度額により利用可能なサービス量が減少することも考えられるところでございます。  ただし、障害福祉サービスを利用していた方が六十五歳になって介護保険サービスを受ける場合であっても、サービスの支給量が介護保険サービスのみでは適切に確保することができないと認められる場合ですとか、就労系のサービスなど障害福祉サービス固有のものと認められるサービスを受ける場合には、引き続き障害福祉サービスを受けることが可能であると考えているところでございまして、高齢の利用者が不安にならないよう、これからもこうした取扱いにつきましてしっかりと周知させていただきたいと考えてございます。
  208. 熊野正士

    ○熊野正士君 前回の法改正で、要支援一の方に対して自立支援介護予防のために新総合事業への移行が示され、本年四月から完全実施されたと伺っています。いろいろ現場の声をお聞きしますと、順調に進んでいると答えていられる自治体は余り多くなくて、皆さん悩みながら模索しているのが実態のように思っております。  この点、厚労省として現時点で課題なども大分把握していると伺っております。実際の課題などを踏まえ、今後のこの事業に向けた取組について、古屋副大臣の答弁をお願いいたします。
  209. 古屋範子

    ○副大臣(古屋範子君) 総合事業に関する御質問をいただきました。  この総合事業は、要支援者に対する訪問介護と通所介護について市町村地域の実情に応じたサービス提供が行えるよう、既存の介護サービス事業者に加えてNPOや民間企業等の多様な主体が介護予防日常生活支援を総合的に実施できるよう新たに創設したものでありまして、本年四月から全自治体で実施をいたしております。  この事業は、実施状況を確認しましたところ、基準を緩和したサービスなど多様なサービスが出現している一方で、既存の介護事業者以外の主体による取組が十分に広まるまでには至っていないということが分かっております。  厚生労働省といたしましては、地域における多様な主体による取組を広げるために、生活支援コーディネーターが全市町村に配置される平成三十年度に向けまして、今後、地域高齢者が抱える課題地域の中で既に行われている取組把握をしまして、そのマッチングを進め、取組を更に効果的に行うためのポイント集を周知することや、このポイント集を活用する方法を含めまして、生活支援の体制整備を実践する際における具体的な手法に関する研修を実施すること等を行う予定でございます。  なお、総合事業につきましては、本年四月に全自治体で実施されることになった状況でありまして、引き続き、事業の実施状況把握を行いつつ、市町村への必要な助言等を行ってまいりたいと考えております。
  210. 熊野正士

    ○熊野正士君 是非よろしくお願いをいたします。  次に、介護予防について、介護予防が必要なことはもう誰もが切実に感じているところですけれども、実際にどういったことが介護予防に効果があるのでしょうか。運動がいいということで、各地で高齢者の方を対象にした体操教室のようなものを開催しているわけですけれども、ほかにどういったことが介護予防に効果があるのか教えてください。また、何をもって介護予防ができたと判断するのか、その評価基準について併せて答弁いただければと思います。
  211. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) お答え申し上げます。  介護予防につきましては、これまでも研究をやっておりまして、その研究成果が幾つか出ております。先ほど体操の話が出ましたけれども、研究成果の一つを御紹介いたしますと、他者との交流が多い人ほど要介護状態に至りにくいといったことが示されていると、そんなことも出ております。現在、市町村が中心となりまして、高齢者の方々が積極的に参加できる住民主体の通いの場というのを充実させて、要介護状態にならないように、あるいは、なっても生きがい、役割を持って生活できる地域の実現というのを目指しているということは、そういう点から意義があると思います。  こうした介護予防を行う市町村取組についてでございますけれども、これ地域生活支援事業全体としての評価の一環でございますけれども、例えば介護予防に資する住民主体の通いの場への六十五歳以上の参加者の数だとか割合、あるいはそうした介護予防に資する住民主体の通いの場自体の状況、こうしたものなどを一定の指標として地域支援事業全体の評価を行っているところでございます。  今後、必要な研究を引き続き進めるとともに、その成果に基づきまして、いろんな評価の基準等を追加するなどによりまして、地域の実情に応じた効果的な介護予防というのが推進され、その結果として、高齢者が生きがい、役割を持って生活できるような地域の実現を目指してまいりたいというふうに考えております。
  212. 熊野正士

    ○熊野正士君 いろいろ研究をしてということでございましたけれども、今のこの委員会でもエビデンスが大事だと、エビデンスに基づいた政策決定が必要だと意見が出ておりまして、厚労科研というのがあって、これは政策決定をするためにやっている研究だと思うんですけれども、ちょっと今お聞きしても、何かちょっと分かりにくいところも正直なきにしもあらずかなと思って、分かりやすい研究を、国民の誰が聞いても、ああ、これ分かりやすいなという研究を国を挙げて是非やっていただきたいと思うんですけれども、その点、最後大臣、よろしく答弁をお願いいたします。
  213. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 今高齢化が本当にどんどん進んでいるわけで、高齢者がなるべく健康で要介護状態とならずに住み慣れた地域でずっと生き続けられると、これが一番よろしいわけであって、それが介護予防の推進ということになるんだろうというふうに思いますが、今、厚労科研費、この厚生労働科学研究費補助金、これを活用して介護予防取組と要介護状態への移行とか、あるいは認知症の発症の関連等について研究をしているわけでありますが、どうも分かりづらいと、こういうお話をいただきました。  その御指摘をしっかりと受け止めて、是非、介護予防介護が必要にならないというのが一番誰しもの幸せでしょうから、その予防の効果をしっかりとエビデンスを持って研究していただくように、また国民に分かりやすく示せるような内容の研究をやっていただくように、心して私どもも注意してまいりたいというふうに思います。
  214. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございます。  じゃ、これで質問を終わります。     ─────────────
  215. 羽生田俊

    委員長羽生田俊君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、川合孝典君が委員辞任され、その補欠として浜野喜史君が選任されました。     ─────────────
  216. 倉林明子

    ○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。  先ほど来質問も続いておりますが、財政的インセンティブについて質問したいと思います。  要介護認定率などの自治体ごとの違い、これを見える化して、給付適正化の努力を評価し、優先的に予算を配分すると、こういうものだと理解をしております。  本会議で、新たな財政投入で行うのか、既存の調整交付金を使うのかという質問をしましたところ、大臣は、追加財源を確保してやるべきという意見と財政中立でディスインセンティブを組み合わせてやるという意見両方があり、詳細は検討中ということでした。    〔委員長退席、理事島村大君着席〕  そこで、改めて今日は確認したいと思うんです。追加財源なしに既存の調整交付金を使って、大臣に聞きますので、インセンティブを与えるとなれば、給付適正化の努力が足りないというふうにされた自治体の予算は減るという関係になろうかと思います。こうなった場合は、減った自治体、これペナルティーになるんじゃないでしょうか。大臣、認識いかがでしょうか。
  217. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 今回の御提起申し上げている法案の中では、保険者が行う自立支援あるいは重度化防止取組を推進するために、保険者機能強化する一環として保険者の様々な取組の達成状況を評価をできるように、そして客観的な指標を設定した上で市町村等に対する財政的インセンティブ付与を予定をしております。  これ、医療でも保険者機能強化ということで、全般的にこういった財政的なインセンティブ付与をしながら、より健康に、より医療が適切に供給されるようにということで保険者の努力を促すと、こういうことをやっているわけでありますが、この調整交付金につきましては、国庫負担金二五%のうちの五%を用いて市町村間の後期高齢者比率や所得水準の差を調整をしていこうという、こういう仕組みであります。  仮に御指摘のようにこの仕組みの中にインセンティブの要素を組み込んだ場合に、市町村取組状況に応じて現行より調整交付金が増額となる市町村と減額となる市町村が生じることは考え得るところでございます。財政的インセンティブとして今回の法案で新設をされる交付金に加えて調整交付金を活用することも検討課題であるわけでありまして、自治体関係者から強い反対意見もございます。こうした意見も私どもとしてはしっかりと踏まえて、今後検討をしてまいらなければならないというふうに考えております。
  218. 倉林明子

    ○倉林明子君 いや、減る自治体が出ると、その五%の枠内ということになればということで、やっぱり減る方にとってはペナルティーになると思うんですよ。  反発の声ということで、医療のところでも、五月十七日に緊急要請ということで、知事会、市長会、町村会ということで緊急の要請も出ている。これ、やっぱりインセンティブやめてくれということですよ。介護保険でもこのようなペナルティー措置につながるインセンティブというのをやめてほしいというのは自治体からも上がっているということです。私、これを真剣に受け止めるべきだと思うんですが。  財政制度等審議会及び経済財政諮問会議、この民間議員からは、インセンティブは五%、これでやれという意見が上がっているということです。五%の調整交付金を使って傾斜配分をする仕組みにしなさいと、こういう要求が出ていると認識しているんですけれども、これ、ペナルティーにしてはならない。自治体の声をしっかり反映するというのであれば、財務省、財界人の提案はきっぱり拒否すると明言していただけますか。
  219. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 財政的インセンティブについては、これもうお話し申し上げてまいりましたが、審議会では、追加財源を確保した上で実施すべきという御意見、あるいはディスインセンティブも組み合わせた上で財政中立で実施すべきといった幅のある御意見が様々出ているわけでございました。    〔理事島村大君退席、委員長着席〕  今回の法案におきましては、市町村都道府県に対して自立支援重度化防止取組などを支援をするために予算の範囲内において新たな交付金を交付する旨の規定を新設をしているわけでありますが、これに加えて、調整交付金の仕組み、ここにおきまして新たに市町村取組の差を反映させることも検討課題となっています。  自治体関係者からは、先ほど申し上げたように、調整交付金の活用には強い反対意見もございます。こうした意見も私どもとしては踏まえながら、どういう形でこの調整交付金の活用を含めてこのインセンティブを組み立てることが可能かということを検討をしてまいらなければならないというふうに思っております。
  220. 倉林明子

    ○倉林明子君 財政調整交付金で、その枠内で五%で傾斜配分せいというような明確な要求に対して、やっぱりノーとはっきり何でここで厚生労働省言えないんだろうかと、そういう立場でしっかり臨まないと駄目だというふうに厳しく指摘をしておきたいと思います。  自治体を競争させるこのインセンティブ、一体何をもたらすのかという中身の問題です。自治体の総合事業、先行事例ということで私はかなり見えてきているんじゃないかというふうに認識しています。  大阪府の大東市、ここで一体何が起こっているか。要支援者を対象とした新総合事業は昨年度からの導入です。要支援者や軽度者対象にして、自治体ケアマネジメントなど介護サービスを終了し、介護予防、大東元気でまっせ体操というんですって、これにつなげるというんですね。この一年間に要支援の人を三割、要介護一の人一割減らしたというんですよ。  もう一つ、午前中にも紹介あった三重県の桑名市の事例です。これは、介護保険を卒業して地域活動にデビュー、こういうことができた人が出た場合、交付金出すんですよ。元気アップ交付金、事業所に一万八千円、ケアマネジメントの実施機関に三千円、本人は二千円、市からお金を出す、こういうインセンティブを既に実施しております。これで認定率が低下したというわけです。  そこで、今後、認定率は直接指標にしないという答弁はいただいておりますけれども、介護保険から卒業させる、こういうことがインセンティブの評価指標としていくのではないかと十分に考えられるんですけれども、どうですか。これは蒲原さん、どうぞ。
  221. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) お答え申し上げます。  幾つかの自治体におきまして、徹底した地域課題把握するとともに、リハビリ専門職等の多職種が参画する地域ケア会議を開催し、自立支援重度化防止に向けたケアマネジメントを推進するという取組によって自立支援重度化防止に大きな効果を上げているというふうに聞いているところでございます。こうした取組により、認定率が下がったり、あるいは介護サービスの利用が不要となる方が出てきているということでございますけれども、これはあくまで様々な取組の結果でありまして、それ自体は目標ではないというふうに承知をいたしております。  こうした先進事例も踏まえまして、財政的インセンティブ指標の設定に当たっては、やはり適正なサービス利用の阻害につながらないことが大前提でありますし、各保険者における高齢化率地域資源の違いも踏まえて、特に大事なことは、アウトカム指標とプロセス指標をきちっと組み合わせて公平な指標とすることが大事だというふうに考えておりまして、具体的な指標については、アウトカム指標として、先ほど話がございましたけれども、要介護認定率の高低を直接用いずに、要介護状態等の維持、改善の度合いなどの取組の成果を反映する指標や、あるいは、そこに至るまでのプロセスの指標として、例えば地域ケア会議の実施状況など、そうした保険者自立支援重度化防止についての取組を後押しするような、そういうものになるようにしたいと思いますし、そのときに、自治体意見をよく聞いた上でやっていきたいというふうに思っております。
  222. 倉林明子

    ○倉林明子君 いや、大東市の元気でまっせ体操、これ厚労省のホームページでも、昨年の総合事業担当者向けセミナー、ここでも、今おっしゃったように厚労省が先進事例ということで紹介しているんですよね。つまり、自治体にとっては厚労省推薦事例という取組になっているんです。  そこで、一体どういうことになっているのかということが私は重要だと思っているんです。先ほど蒲原局長は、大前提としてサービス利用の阻害になってはならないと。この大前提が、じゃ担保できているのかということなんですよ。  午前中の桑名の実態介護からの卒業ということで状態悪化となる例が起こっているということが村瀬参考人から紹介ありました。私たちも聞いています。死亡率も高い傾向があると懸念を示されておりました。要支援の場合は、これ卒業というだけじゃないんですね。要支援の場合は介護サービスが利用できないということで、何と自費負担ということで、約二割の人がそういう実態になっているんですよ。  じゃ、その先進事例、厚労省の推薦事例となっている大東はどうかと。これ見てみますと、医療機関から、あるいは事業所から上がってきているお話では、要支援一、この高齢者の通所リハビリ、こうしたものが認められずに、結果として寝たきりになるというような事例があるというんですよ。これ実際の話で、担当者が評価してどんなセルフケアが必要かを決めるということで、自分で介護予防体操をしなさい、入浴は風呂場を改修して自宅でと、こういうプランになったんですよ。まさに筋力アップで、風呂には自分で入れるようにということを指導受けたんだけれども、できなかったんですよ、自分では。で、悪化して寝たきりということが起こっているということなんですね。  これ、大東でも桑名でも共通していることがあります。それは何かといいますと、既に要支援介護を利用している、こういう人に対して説得による卒業が勧められていると。卒業。卒業加算、二つ目、卒業加算などのインセンティブで卒業を促す仕組みを設けている。さらに、三つ目、新たなサービス利用希望者に対して基本チェックリスト、これを使うてくださいということで、安上がりなサービスへの誘導あるいは自分でやる体操の指導というようなことにつながっているんですよ。四つ目、地域ケア会議がこれ門番の役割担って申請や更新を簡単にさせない。こういう共通項が見えてきているわけですね。  私、介護が必要な人に、そして大前提としてサービス利用阻害につながらないという説明しているんだけれども、モデル事業推薦事例で起こっているこういう実態、ちょっとつかんでいるんだろうかと思うんです。こういう実態を踏まえたら、必要なサービス、これが適切に受けられているとは私到底言えないと思うんですけれども、大臣の認識、いかがでしょうか。
  223. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 当然のことながら、この介護保険においては、自立支援し、そして重度化を防止するという中で、必要な方に必要なサービスが行くということを守っていかなければいけないということが基本であるわけであります。  高齢者がその持っている力に応じて自立した日常生活を営むことができるようにこの支援をするということは、言ってみればこれは前提であって、これを前提としつつ、御本人の生活の向上という面からもリハビリテーション等によって状態が改善をするということを目指していくことは、これ自体、自立という、自立支援という大きな目標とそれから介護の重度化、この二つの理念を達成するために重要なわけでございます。  全国を通じて、高齢者自立支援重度化防止取組は、それぞれ市町村保険者がいろいろな知恵を出して、アイデアを出して機能強化を図っているわけでありまして、法案では必要な取組創設を、そういった機能の強化に向けて保険者のバックアップをするという意味で創設を組み入れているわけでありまして、桑名のお話が出ました。それは個別のことなのでどれを指すかはともかくとして、多職種の関わりの中で地域生活応援会議など特色のある取組もやっているわけでありますので、結果として、先ほど申し上げたように、必要なサービスが必要な方に行くということが大事なので、その自立支援介護重度化防止、この中でそれぞれの知恵を出していただくということで、我々は今回のようなことで特にインセンティブも含めて保険者に頑張ってもらおうと、こういうことでございます。
  224. 倉林明子

    ○倉林明子君 いや、聞いたのは、こういう実態つかんでいるのかと。こういう実態は知っているのか、つかんでいるのかということはもう一回確認したいと思うんです。一言でいけると思いますよ、この答弁は。はい、どうぞ。
  225. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) 大東市始め、話がございましたけれども、我々がいろいろ聞いているところでは、ちょっと個別のところまで詳しくはあれですけれども、ポイントは、結果としてサービスを使わせない、あるいはチェックリストではじく、あるいは門番ということを我々今回目指しているのではなくて、あくまで本人の状態改善に伴うようなことをやっていきたいというふうに思っています。個別の状態については、私、今把握分についてはちょっと分からないところでございます。
  226. 倉林明子

    ○倉林明子君 いや、だからね、つかんでいないんじゃないかなと思うんですね。そうでなかったら、前提として阻害につながらないものにするなんということが言えるんだろうかと思うんですよ。私、本当に深刻な、十割で使わざるを得ないというような事態が、もう介護保険との整合性さえ問われる問題になっている。私は、こういう実態をしっかりつかまないままこういうインセンティブに踏み込むなんていうことは到底認められないと思うんですよ。  考え方というのがすごくよく分かるのが桑名の取組なんです。この桑名の取組というのを三枚物で資料にしております。分かりやすいです。自立というのは、できないことを代わりにするケアからできないことをできるようにするケアなんだ、自分で頑張って筋力トレーニングして風呂入れるようにしろと、さっきの大東の例そっくりなんですよ。  次、介護保険を卒業して地域活動にデビューする、二枚目のところに書いてあります。それを、在宅生活の限界点を高めるケアマネジメント、これ大事なんだと言っているんですね。  三枚目、見てください。私はびっくりしたんですね。このケアマネジメントの目指しましょうと言っているところに、「「カイゼン」を目指しましょう。」と書いてある。片仮名でカイゼンといったらトヨタですよ。生産率向上、この用語としてトヨタが使ってきた標語ですよ。これを介護保険の目標で目指すことに掲げているわけです。私は、高齢者は車じゃないと言いたいんですね。本当に寄り添ったものにしないといけないのに、こういうことで取り組んでいくことになっているわけですね。明確に、線引いていますけれども、介護保険の卒業は、介護保険の卒業先を明確にしない限り、実現されませんと、ここまで言っているわけですよね。  この桑名市の取組を率先垂範、引っ張って実施してきたのは誰だったかと。特命副市長。特命副市長で桑名に行かれた厚生労働省の官僚ですね。これ間違いないと思う。確認したいと思います。一言でお願いします。
  227. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) 厚労省から副市長では行っていたというふうに思います。  ただ、桑名の件について一言だけ申し上げますと、今先生おっしゃったことと少し違うんですけども、桑名市の地域包括ケア計画だとかあるいは桑名市における考え方は、あくまでケアマネジメントによって高齢者生活機能の向上を実現をするという、その上で卒業していくということで、卒業自体を何かやっていることではなくて、あくまで生活機能の向上を実現するといったことを、桑名市の地域包括ケア計画でもそう書いておるので、我々としてはそういうものだというふうに桑名市の取組は認識しているところでございます。
  228. 倉林明子

    ○倉林明子君 いや、実態をよくつかんでからそういう発言していただきたいと思います。  これ、介護保険、今この人物は厚労省に帰ってきて何やっているかと、桑名市での取組の普及活動ですよ。全国で講演活動やっていますよ。厚生労働省が私は仕掛け人になってこういった制度仕組み導入する、こういうやり方は本当に認められないし納得できない、申し上げまして、終わります。
  229. 石井苗子

    石井苗子君 日本維新の会の石井苗子です。よろしくお願いします。  まず、資料の一、御覧ください。議事録の資料です。維新の東徹議員が五月十七日の本会議で、本法案法案名のイメージと実際の改正が違う、法案名が改正の実態に合った名称でないとコメントをしております。政府としては正確な言葉遣いをお使いになったものの、地域の住民側にしてみれば、これで自分たちの生活に何が関係してくるのかと法案名からは拾えないという言葉なんだろうと思います。  地域包括ケアシステム強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案ということで、これは地域にしてみれば、介護地域が責任を持ってやっていくものとした、そのやり方を強化していくために一部の法律が変わりました、その一つとして介護保険などが一部が改正されましたというと、地域の住民が、じゃ自分と生活に何が関係してくるのかなということに思ってくるということで、東議員が申しました美しい言葉というところが、先ほどから、言葉はすごく美しいんですけど長いばっかりでよく分かりにくい、研究も分かりにくいということがありましたが、特に、そもそもケアとは医療分野の専門用語でございまして、お世話という意味の英語でございます。病人のお世話、かつての日本語で言う付添い、看病のことです。治療ではございません。治療は皆さんよく御存じのようにキュアと言いますが、これは医師の仕事とされてまいりました。その看病が、しかしこれからの高齢社会、国が支えということになれば、そのケア、看病のプロがもっと育っていく必要がある、じゃないと支え切れないと。  医師になりたくて医師になった、看護師になりたくて看護師になった、介護士になりたくて介護士になりたいという職業になっていくために、介護の道具、専門の機器とか判断ができる技術者、これ後で言いますが、そういう人たちの育成が必要で、これから、地域が、個人個人の病気や障害を無償でお世話をすることということを家族に押し付けていかないようにしていかなければならないと。  現在の日本、高齢者人口の増加に伴って、慢性病の長期入院が、財政上の事情もあり、あるいは病院経営上の事情からも困難となってきたわけで、患者は自宅にできるだけ早く戻って、誰か専門の職の方に有料でお世話、ケアをしてもらうという方向に社会的変化が起きてきているわけです。そこでいきなりケア、ケアという英語が使われてきて、その担い手や人手が足りないということです。これが社会問題となっている。  先ほど川田議員がおっしゃったように、介護離職や介護の疲れで自殺者まで出てきたと。家族の誰かがずっと付き合うことができない社会背景の中で、解決策として、地域別に高齢の方や障害を持つ方の暮らしぶりというのを正確に地域把握して、システム、つまり制度としてお世話をしていこうと、これが我が事・丸ごとというキャッチフレーズの意味になった今回の改正法と。  こういった説明は、政府の仕事ではないとおっしゃりたいのでしょうけれども、そうだとしても余りにも誤解を招きやすい資料がありましたので、本日はそこを指摘させていただきたいと思います。  資料の二と三、見ていただきます。  まず、地域包括ケアシステム強化のための介護保険法等の一部を改正する法案のポイントの一、地域包括ケアシステムの深化、推進の中の三番目の中の黒ポツの二番目、高齢者と障害児者が同一事業所でサービスを受けやすくするために、介護保険と障害福祉制度に新たな共生型サービスを位置付けるという、ここまでたどり着くのが大変でございますが、この資料を見ていただきますと、分かりにくい絵図が次に描いてあります。  システムという言葉は、最初に申しましたけれども、何でもかんでも英語にしてしまうような最近の傾向がありますが、制度という言葉のほかに方法という意味もあります。できれば日本語で使い分けていただきたいんですが、この場合、どういう方法で高齢者と障害児者が同じサービスを受けるのか、その説明がこの資料です。現行とあるところを見ますと、これまで障害を持った方で六十五歳の方々は障害福祉サービス事業所を利用されておりました。一方、右側の一般の高齢者の方は介護保険事業所というところを利用されておりまして、二つとも病院ではございません。施設は別々でございますし、事業所とは介護サービスを受ける施設を兼ね備えた事業所です。  これまで、障害福祉サービス事業所におられた方が六十五歳になると、介護保険法の規則に基づき隣の介護保険事業所でサービスを受けなくてはならないというシステムになっていたはずですが、ところが、現行のところの右側のところの課題というところを見ますと、そのような私が今言ったようなことは一つも書かれておりませんで、人材確保のため、人手不足を解消するために下のように改正されたというふうに説明されております。  なので、改正後の新しい共生サービスを見ますと、足し算引き算のプラスのマークの足すが書いてありまして、二つの事業所があたかも合体した共生型サービス所という新しい建物ができるのかと思ってしまうような描き方ですが、実際はそうではないわけです。これは位置付けが変わったわけで、新しいビルが建つわけではないんですが、どうしてこういう分かりにくい資料を作るのか。  地域住民側から見ますと、地域の方はこれを見て何を思いますかというと、障害者福祉サービスにいた方が介護保険事業所に入ってこられ、介護保険事業所にいる方が障害福祉サービス所に入ってこられるという、こういうシステム、方法に変わって、これによって人材不足、人手不足を解消するということが導入された、そういう制度になったのか、システムになったのかと思うわけです。その障害者ケアと高齢者のケアはケアのやり方が異なりますから、一緒になって大丈夫なんだろうか、どんなケアに変わってしまうのかという、こういう制度に対する不安や疑問が湧いてくる。ところが、これは必要ない不安なんですよね。事業所がごっちゃになるということは決してないんです。  どうしてこんな図を描くのか。政府参考人の方に、整理いたしますと、何が改正のきっかけになったのかということはこれまでの質疑にありましたからよく分かります。二つの事業所を利用される方はどう環境が変わるのか、これは、今日の答弁をネットで御覧になる方もいらっしゃいますので、御説明をしていただきたいと思います。
  230. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) まず、この共生型サービスでございますけれども、これ少し丁寧に説明しますと、介護保険の事業所と障害の事業所が一緒になるんですけれども、一番分かりやすい例でいきますと、障害者の事業所がありました、その障害者の事業所に対して介護保険の事業所を共生型として指定をすると、こういうものでございます。  その背景は、先ほど先生おっしゃいましたけれども、障害者が六十五歳になった後、二つに分かれていると事業所を変わらなきゃいけないと。そういうことが、変わらなくて済むように、一つの事業所で、元々の障害の事業所であって、かつ共生型として介護サービス事業所でもあるという、こういうものをつくることによって、同じ場所で、あるいはずっと慣れ親しんだスタッフによって引き続きサービスが受けられると。それは、ただ給付ベースでは、そのときには介護保険優先原則ということなので給付お金はそちらから出ますけれども、人としては同じところで受けられるというのが一番の趣旨でございます。  先ほど……(発言する者あり)ということでございます。
  231. 石井苗子

    石井苗子君 要するに、今までの環境でいられますから、一つのビルになったりということはないんですということですよね。ありがとうございます。  次に、重症心身障害児の法改正についてお伺いします。  資料の四、新聞記事ですが、重症心身障害児は、児童福祉法七条の二で規定されている重度の心身の肢体不自由と知的障害を持ったお子さんたちですが、全国に四万三千人いらっしゃいます。先ほどの私が言いましたケアを最も必要とされているお子さんたちですが、今回の改正で地域共生型の法改正が行われる。その資料にありますように、平成三十二年度までに全国に一千七百か所ある自治体に一か所あるいはそれ以上、つまり千七百以上の重症心身障害児向けの施設を設置することとしております。これ、一見すばらしいようなことに聞こえますが、これについて政府参考人の方にお伺いします。  現在、全国で重症心身障害児の施設は二百五十あります。さらに、ここに一千七百の自治体が少なくとも一か所以上つくるという目標を掲げていますが、これ大変なことです。三十二年度までにやるとありますが、どのくらいの規模のものをどういう計画でいつ始めますか。二、法律上は整備可能となっていても、都道府県の条例はどう決めていくのですか。三、これは大臣に通告していませんが、大臣にもお伺いしてもいいんですけれども、政府参考人のことでいいです。これは税金ですね、保険制度ではないですね、確認です。四番目、スタッフはどういう人をどこから集めるのでしょうか。五番目、事業所が一千七百以上に増えてサービスの低下が起こらないようにする対策、どう考えていらっしゃいますか。この点は衆議院でも議論がなかったわけではございません。今後は、高齢者の障害者という方も多くなってきますので、地域共生型社会として公的福祉サービスの機関で見ていくことが、ケアが後退しているという傾向にならないと言えるかどうか。以上、五つの質問にお答えください。
  232. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) 一度にたくさん聞かれましたので、一つ一つ対応してまいりたいと思います。  まず、今お尋ねの重症心身障害児向けの通所施設平成三十二年度までに全国千七百自治体に設置することの根拠になったものは、今回の介護保険法ではなくて、昨年の障害者総合支援法の中で障害児の福祉計画を作成することを自治体に義務付けたところからスタートしているものでございます。  御指摘のとおり、平成三十年度から障害児の福祉計画を作成していただくことになるわけでございまして、本年の三月に国の方で基本指針を示しまして、その中で、主に未就学の障害児を対象といたしました児童発達支援及び就学後の障害児を対象といたしました放課後等デイサービスにつきまして、重症心身障害児を支援する事業所を各市町村に少なくとも一か所以上確保することを基本とし、市町村単独が困難であれば圏域、圏域が全国に三百五十一ございますが、少なくとも圏域では一か所以上確保することを成果目標として盛り込んでいるものでございまして、この基本指針、今年三月に公表したものを踏まえて、現在、地方自治体におきまして、地方自治体というのは都道府県それから市町村両方でございますけれども、地域のニーズを把握した上で障害児の福祉計画を作成いたしまして、重症心身障害のある方を支援する通所支援事業所等を計画的に整備するということでございまして、次に、どういうふうに自治体取組支援していくのかということでございますけれども、自治体において、今、地域のニーズを把握した上で障害児の福祉計画を策定して、重症心身障害のある方を支援する通所支援事業所等を計画的に整備することとしてございますが、厚生労働省といたしましては、社会福祉施設施設整備費によります通所事業所等の整備による財政的な支援ですとか、あるいは自治体の先行例を周知を図るとともに、平成三十年度には障害福祉サービスの報酬改定があるわけでございまして、サービスを使っていただいたときの償還される費用でございますけれども、その中で重症心身障害児の支援在り方につきまして検討していくことを考えてございます。  それから、スタッフをどういうふうに集めていくのかということでございますけれども、重症心身障害児を支援する事業所につきましては、質の高い支援を行っていただくために、重症心身障害児を扱わない一般のデイサービス、放課後等デイサービスですとか、あるいは児童発達支援事業所と異なりまして、嘱託医、看護師、理学療法士や作業療法士といった機能訓練担当職員の配置が必要となるわけでございまして、こうした人員配置基準、そしてそれを支える報酬の在り方につきまして、こちらにつきましても、平成三十年度に次期の障害福祉サービス等報酬改定を予定してございまして、関係団体あるいは利用者の方の御意見なども伺いながら検討していきたいというふうに考えてございます。  それから、事業所がやっぱり例えば千七百とかというように増えていって、サービスの質が低下しないようにする対策はどうだということでございまして、就学後の障害児を対象といたしました放課後等デイサービスについては、昨年の四月にガイドラインを作成いたしてございまして、事業所による支援の質の自己評価、それからそれを公表いただいて、また障害児の保護者による評価を受けていただき、支援の質の改善を図ることといたしてございまして、その評価及び改善内容につきまして公表することを義務付けることとしてございます。  さらに、主に未就学の障害児を対象といたしました児童発達支援につきましては、昨年の十一月から児童発達支援に関するガイドライン策定検討会を開催して、本日も検討会行ったところなんですけれども、これは六月に児童発達支援ガイドラインの策定、公表を行う予定としてございまして、その中で、支援の一定の質を担保するための全国共通の枠組み、例えば児童発達支援から、それから今度小学校の方に移っていくときにはどうしたらいいだろうかといったことにつきましてというような配慮事項について示すことを考えてございまして、こうした取組ですとか、適切な人員配置基準の設定につきまして、引き続き障害児支援の質の確保、向上に努めるとともに、それに対応できる報酬の在り方検討していきたいというふうに考えてございます。  最後に……
  233. 羽生田俊

    委員長羽生田俊君) 簡潔にお願いします。
  234. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) 最後に、公的サービスが後退していく傾向にならないようにすべきということでございますが、共生型サービスの具体的な人員配置、設備に関します基準、報酬については、法案成立後、社会保障審議会障害者部会等におきまして関係者の御意見を伺いながら検討いたすこととしてございまして、現在も医療的ニーズの高い重症心身障害児等の地域での受入れ促進を図る観点から、介護保険療養通所介護と障害福祉サービス等の障害児支援を一体的に行い重症心身障害児を支援している事例も承知してございまして、こうした取組参考にしつつ、共生型サービスの具体的な基準につきまして、福祉に携わる人材の適切な確保も併せまして、サービスの質、専門性の確保に十分配慮しながら、今後とも取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。  長いこと、失礼しました。
  235. 石井苗子

    石井苗子君 おかげで三分しかなくなりましたので、元放送業界にいましたので早口で行きますよ。  重症心身障害児向けの施設を運営する関係者お話を伺いますと、児童を受け入れたくてもスタッフが足りず、特に機能訓練担当職員の数が足りないそうです。例えば名古屋は、資料の五、週一回機能訓練担当として理学療法士が施設にいればいい、資料のほか、大阪市は柔道整復師がいればいいなど、自治体によってまちまちで、担当者が調整と対応に追われております。一人以上いればいいという決まりだそうですけど、厚生労働省としても何らかの対処をするべきだと考えます。  この機能訓練指導員ですが、私は今後の地域共生社会に大変必要な人になってくると思います。こうした人たちが出してくるデータでちゃんとした分かりやすい分析や統計が取れてくると思うんですが、平成十一年九月十七日の老人保健福祉局企画課長通知で定められている機能訓練指導士だそうですけど、皆さんよく御存じでしょうが、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、柔道整復師、若しくはあんまマッサージ指圧師といった方々で、こういった研究も分かりやすい研究が出てくると思いますが、介護ケア、リハビリといった介護の根幹を成す機能訓練指導員が課長通知だけで済まされていいものだろうかと思っているが、どういうお立場でこの課長通知というのをやられているのか、その背後事実関係を教えていただきたいのと、機能訓練指導士が七割が看護師や准看護師が兼務としてやっております。この関係で、本来の自分の仕事じゃないということで離職率が高くなってきているという事実がありますが、質問です。どうしてこうした機能訓練士として事業所で従事する人が少ないのか、資料にもありますけれども、そして促進に向かって何かやっているのかということです。  最後に、厚生労働大臣にお伺いします。  終末期のケアについて将来に伺いますが、昨年の十二月に、日本障害者協議会が、我が事・丸ごと政策について、介護保険制度の破綻と社会保障費、医療費の不足を理由に、財政論に基づいた地域包括ケアであり、全体的に公的責任の後退、地域での支援サービスの縮小と質の低下、地域格差が拡大が予想されていて、福祉も介護も再び家族責任の時代に戻ってしまうと意見されています。  厚生省としては高齢社会の対応に追われているということは私もよく存じておりますけれども、大臣は、今後、二〇二五年以降の社会保障給付負担はどうなるのか分からないと、介護保険制度介護予防の努力を、なるべく介護を受けないようにしていくべきだということと、入院先が生活の場、日常的なターミナルケアの機能としてやっていくということと生活支援としての機能も兼ね備えた介護医療院というふうにしていくと言っておりますけれども、国の方針としては、何となくやっていくということではなくて、在宅中心になっていくとお考えなのか、あるいは介護療養院のような施設を増やしていくおつもりなのか、オランダのように在宅三〇%、通い三〇%、施設が三〇%とやっていくのかというようなはっきりとした方針をいただきたいと思っております。  質問全部です。
  236. 羽生田俊

    委員長羽生田俊君) 蒲原老健局長、簡潔にお願いします。時間が来ておりますから。
  237. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) はい。  介護の機能訓練指導員の関係ですけれども、これは省令で訓練を行う能力を有する者というふうにされています。ただ、これを具体的に通知で明確化しているということでございまして、あくまで省令の解釈通知として適正なものだというふうに考えております。  また、機能訓練指導員がどうして看護師が多いかというと、実は看護師は元々特養に配置されていまして、兼務ができると、こういう関係でそういうふうになっております。ただ、これについては、きちっと報酬でしかるべき基準に沿ってやった場合については専従の職員が置けるということになっていますので、そうしたシステムを通じて看護師以外の人が配置できるように支援していきたいというふうに思っております。
  238. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 多死社会を迎えるに当たってどういうことを考えているのかと、こういう御質問をいただいたというふうに思います。  一言で言えば、御自宅、元々、昭和二十年代、三十年代は八割は御自宅で亡くなっておられたわけでありまして、病院では二割程度だったのが、今まさにそれが逆転をしていて、御自宅でやはり最期を迎えたいという、あるいは納得のいく人生最期の段階を生き抜きたいという、そういう方々にとってその条件を整えるということも大変大事なことでありますので、それぞれ御希望もありましょうし、それから家庭などで与えられた状況も様々でありますので、それぞれの方々にとって最良の道を選べるようにするということが私どもにとって大事なことではないかと、そんなふうに考えております。
  239. 石井苗子

    石井苗子君 ありがとうございました。
  240. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  要支援一、二の通所と訪問サービス介護保険給付から外れました。今回の法案には、要介護一、二の生活援助などを介護保険給付から切り離すということは見送られましたが、将来も、この要介護一、二の、介護保険給付から切り離して軽度だから地域移行ということはないという理解でよろしいですか。
  241. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) これは、要支援に対する訪問介護と通所介護の部分が地域支援事業に移ったということでございます。この点については審議会でもいろいろ議論になりましたけれども、やはり今移行している途中だということがありまして、今回の法律改正の中には入っていないということでございます。  この件につきましては、また改革工程表の中で今後検討するという趣旨が書かれているわけでございます。そういった意味では、こうした軽度者に対する生活援助サービスについて、こうした改革工程表に基づいて検討するということでございますけれども、現時点で何か具体的な結論が出ているわけではございませんで、ここは、高齢者自立あるいは支援介護の重度化を防ぐという理念をきちっと大事にしながら、他方で、制度の持続的可能性介護人材の確保の観点も留意して、今後審議会で御議論いただくことが大事だというふうに考えております。
  242. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、本当にやめてくださいね。要介護一、二を軽度といって切り離すことはやめていただきたい。  財政制度審議会財政制度分科会は、二〇一五年四月二十七日、要介護一、二の地域支援事業への移行を打ち出しました。それ以降、軽度者への生活援助の在り方が常に焦点化され続けています。でも、厚労省は軽度者を定義をしておりません。要支援、要介護の基準設定とそれに基づくランク付けは介護保険制度がトータルにカバーすべきものであり、勝手に軽度だから地域移行を強行し、なし崩し的に拡大するのは、介護保険制度の責任放棄と言わざるを得ません。  介護は国家的詐欺ではないかとか言われるゆえんなんですが、厚労省はこうした動きをはっきり食い止めるという立場で頑張ってください。いかがですか。
  243. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたとおり、私どもとしては、この改革工程表に基づいて、大事なことはやはり高齢者自立をどう促していき、そして重度化を防ぐというこの理念を守りながら、この制度持続可能性の確保、そして介護人材の確保の観点もしっかりと踏まえて、この介護保険制度を守っていくということが大事だというふうに思っています。
  244. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、私の欲しい答弁ではなかったんですね。  それから、高齢者自立を促して頑張ってもらって良くなるというのは、もちろんそのとおりです。でも、残念ながら加齢というのは、年をどんどん取っていって、それは、例えば寝たきりだったのが車椅子になる、車椅子だったのが歩けるようになる、それはもちろんベストですよ。でも、塩崎さんもお母さんいらっしゃるでしょう。有料老人ホームに入っていらっしゃるでしょう。良くなることはもちろんうれしいことなんですが、しかし、残念ながら私たちは加齢をしていく。だから、自立自立、頑張れ頑張れと言われても、少しずつやっぱりできなくなっていくんですよ。  だから、それを厚労省が、自立だ、頑張れ、そして軽度だったら地域移行で切り捨てるんだだったら、介護保険、四十歳から死ぬまで払い続けて、詐欺じゃないですか。
  245. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 御指摘の地域支援事業というのは、要支援者に対する訪問介護と通所介護について市町村地域の実情に応じたサービス提供が行えるようにこれはつくられた制度であるわけであって、この事業は介護保険法に位置付けられた事業であるとともに、引き続きこの介護保険制度の一部として給付と同様の財源構成で実施をしている、つまり財源介護保険から出されると、こういう位置付けのものでございます。  そういうことで、実施状況はこれまでの様々な調査によっても把握に努めてきておりますが、利用者が利用したサービス日数に大きな変化は見られていないことが分かっておりますので、この四月から全保険者での事業実施となって、それぞれの地域でそれぞれの持ち味を出していただいているんだろうというふうに思います。  大事なことは、先ほど申し上げたような理念を守りながら必要なサービスが必要な方々にきちっと行くということが大事なので、それを守りながら制度持続可能性を追求してまいりたいというふうに思います。
  246. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、厚生労働省、ここは頑張ってください。この間、局長は、三つの自治体で調べたとおっしゃったじゃないですか、要支援一、二。三つだけじゃ駄目じゃないですか。ちっともどうなっているかの検証はされていないと思います。  今朝の午前中の参考人質疑の中で服部万里子参考人は、介護保険黒字であると、以前もお話を聞いたことありますが、介護保険は十五年間黒字で、毎年二千億円の収支差額が出ている、そして、医療、保健、福祉の名による医療からの付け替え、医療保険から財源移行が四六・五%あるという説明を受けました。結局、介護保険黒字だったら、介護保険だけを見ればですね、こんなにやっぱり切り捨てるのって間違っているんじゃないですか。
  247. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) 私も話を聞いていまして、黒字という話が出ていたことは知っております。  ただ、介護保険の場合は、これ三年に一回保険料を設定しておりまして、それまでの、今後三年間のいろんな給付状況を見積もって、それに伴う費用をどうしようかと。その際、当然、公費もあるし二号保険料もありますけれども、自分のところの保険料を一定の収支が合うようにきちっと取るということになっておりますので、そういった意味では、財政的には三年に一回チェックする過程の中で赤字にならないように、これは先ほども言いましたけど、重層的な仕組みに加えて保険料をきちっと確保するということでそういうような形になっているんじゃないかというふうに認識しているところでございます。
  248. 福島みずほ

    福島みずほ君 お手元に配付資料がありますが、一番目、要介護三以上が原則として特養老人ホームに入れるということになりました。これは厚労省からいただいたもので、調査回答施設数千四百三十四なんですが、要介護一が五十四、要介護二が百八十六と、ほとんどもう入れない状況です。  今朝のやはり参考人質疑の中で、認知症の人たちの問題点、衆議院の参考人質疑でも、認知症の場合は要介護一、二とか要支援でも実は極めて大変だという話が出ています。要介護三以上でなければ原則として特養老人ホームに入れないとしたことで認知症や要介護一、二を切り捨てたんじゃないですか。
  249. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) 特別養護老人ホームにつきましては、二十七年四月から原則要介護三以上に重点化したというところでございます。もちろん、それ以前から入所されている方は要介護度にかかわらず引き続き入所することが可能であるということでありますけれども、ポイントは、要介護一、二でも一定の場合、これは一定の場合というのは四つぐらい例示をしておりますけれども、先生御指摘のありました認知症の場合だとか、あるいは知的障害、精神障害等の場合、こうした場合については一、二の場合でも特例的な入所が認められるというふうに切っているわけでございます。  先生の御指摘があったこの資料のとおり、一定の調査によりますと、これパーセンテージを計算すると、要介護、この千四百の施設の中で、これで合計で一、二の方というのは大体二百四十人おられまして、新規入所者の中で二・二%という割合の人がそこに入っているということでございます。  私どもとしては、要介護一、二の特例的な入所が認められる方についてはきちっと入所できるということが大事であるというふうに考えておりまして、これは今回、先般きちっと通知を発出いたしまして、要介護一、二でも入れる四つのパターンというのをきちっと様式として示して、その様式にチェックしてもらう形で申請してもらうと、そうしたところにチェックがされているときには必ず受け付けるようにということで現場にも指示したところでございますので、そうしたことを通じて特例的に入所されている方がきちんと入所できるように引き続き指導してまいりたいと、このように考えております。
  250. 福島みずほ

    福島みずほ君 法律案には取り上げられていませんが、来年度の介護報酬の改定に向けて、ホームヘルプサービス生活援助の人員基準の緩和を検討することが予定されています。午前中、このことについても参考人にお聞きをしました。介護保険サービスにおいて、研修を受けたホームヘルパーによる生活援助は必要と考えるのか、研修を受けていない無資格のホームヘルパーによる生活援助でも可能と考えるのか、いかがですか。
  251. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) 今お話がございました生活援助を担う方についてどのように考えるかということについてでございます。  この点については、制度改正議論していただきました審議会でも議論がされましたし、改革工程表の中でも、平成三十年度の報酬改定に向けて人員基準の在り方及びそれに伴う報酬について検討するというふうにされているところでございます。  ここはまさに改革工程表に基づいて我々としてやっぱり検討していくということでございますけれども、現時点で何か方向性が決めているわけではございませんで、高齢者自立支援重度化防止という理念はやはりきちっと大事なので、それを頭に置いた上で、ただ、やはり人材のいろんな有効な活用とかいう観点も併せて検討を進めていかなきゃいけないというふうに思っています。  以上です。
  252. 福島みずほ

    福島みずほ君 局長の答弁を聞いていて、とても不安になりました。  というのは、今の話だと、今朝の参考人質疑では、生活援助、これやっぱりちゃんと研修を受けたちゃんとしたホームヘルパーさんによる生活援助が必要だという話だったんですよ。でも、今の局長の答弁だと、いや、人材の確保が必要だから工程表の中でという話だと、実際やっぱり規制緩和をしちゃうんじゃないか。この厚生労働委員会介護保険法案の、私は改悪と思いますが、順次何がされているかというと、切捨てと規制緩和なんですよ。これは駄目でしょうということをしっかり考えていただきたい。  もういいかげん介護保険を国家的詐欺だと言われ続けることから少し食い止めて、厚労省、頑張って巻き返してほしい。いかがですか。
  253. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) この件に限らず、実は昨年来、制度改正を行う中で、これは財政審の方からいろんなことを提言されていました。それは、例えば今のようなこともありますし、もう一つは、軽度の人に対しては負担率をもっと普通の人より上げてもいいじゃないかというような提言もありました。  我々的には、そうしたことについては、やはり負担能力に応じた負担というのは考え方としてあるんですけれども、軽い人が負担が重いというのはやっぱり基本的な考えとしておかしいじゃないかということで随分議論をいたしまして、そこのところは駄目だということを主張して今回の改正に至っているということでございますので、私どもとしては、やはり介護保険制度自立支援重度化防止というのが非常に大事だということはちゃんと頭に置きながら今後の検討に当たっていきたいというふうに考えております。
  254. 福島みずほ

    福島みずほ君 自立支援が大事だというのは間違っていないですか。必要な人に必要なものを供給するというのが必要で、冒頭も言いましたが、自立支援は大事だけれども、高齢者は残念ながら加齢していくわけで、一年一年、必ずしも自立自立自立と言われてもそれは難しいわけですよ。だから、それなりに悪化しないように一緒にやっていくなら分かるけれども、自立して卒業を目指せと言われても、それは無理でしょう。  というか、是非、厚労省は、だから、せっかく介護保険をつくったのは厚労省なわけですから、財政審に言われようが、介護保険を守るぞという立場で頑張り抜いてくださいよ。どうですか。
  255. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) 私どもは、介護保険というのは非常に大事な仕組みですし、お年寄り、特に要介護状態になったお年寄りの人の生活を支えるために非常に大事なものだというふうに思っておりますので、そうした仕組みが将来にわたって機能するということが非常に大事なので、そうした観点からいろんな制度在り方については考えていきたいというふうに思っております。
  256. 福島みずほ

    福島みずほ君 だとしたら、三割負担とかは論外だと思いますが。  次に、介護医療院の具体的な基準や報酬などについては、社会保障審議会介護給付費分科会が本年度末に取りまとめるとしています。このような具体的取りまとめの前に法案を成立させようとするのは拙速ではないでしょうか。
  257. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) 介護医療院につきましては、元々、介護療養病床の関係の受皿としていろんな議論をする中で、このような新しい仕組みというのをつくることが適切じゃないかという判断をしたところでございます。  ただ一方で、その基準だとか報酬等については、先生お話しのとおり実際の審議会の議論というのはもう少し掛かるわけでございますけれども、ただ、この検討の過程では、今何度か答弁いたしましたけれども、例えば介護療養病床相当の機能を持つ類型、これと、あと老健施設相当以上の機能を持つ類型ということで、そうしたものについては具体的な医者の配置基準も今あるわけでございますけれども、そういう類型を設けるということを示しておりますし、一方で、床面積についても一人当たり八平米以上ということも一つ報告書に書かれてございます。また、多床室についても、プライバシーに配慮した療養環境を整備するといったことが入っております。  そうした一定の方向というか、一定の考え方を示した上でこれから具体的に審議会で議論いただいていくということでございますし、審議会の過程では、最終的に決まるのは確かに来年になると思われますけれども、その過程では具体的な案が提示されていくことになるので、そうした仕組みを、そうした形での議論を踏まえて具体的な中身を明らかにしていきたいというふうに思っています。
  258. 福島みずほ

    福島みずほ君 つまり、国会で、介護医療院、あるいは条文読んでもよく分からないんですよ、とすると、何か具体的なことは、いや、本年度末に取りまとめますとおっしゃるけれども、本当はこのやっぱり委員会でもっと具体的なことを、こういうふうにしますというふうにおっしゃるのが筋ではないでしょうか。  次に、今日、何人かの委員からも出ておりますが、財政的インセンティブについてお聞きをいたします。  これは今朝の参考人質疑でも議論になりましたが、配付資料のところの調整交付金です。これは、国庫負担金二五%のうちの五%部分を、前期高齢者と後期高齢者の比率の違いや被保険者所得水準の違いといった各自治体の客観的数字を基に行っております。しかし、本法案においては、要介護度改善などを自治体間で競わせて、それを国が査定する要素も新たに加わるというものです。自治体へのこれは圧力ともいえ、問題ではないでしょうか。
  259. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) 財政的インセンティブ仕組みについての御質問がございました。  先生お示しの資料にありますとおり、調整交付金というのが現在ございまして、これについては、国庫負担全体の中の、全体二五%の五%で、高齢者状況でありますとか所得の違い、こうしたものを調整するというものでございます。先ほど大臣からも答弁ございましたけれども、このうち、この五%を使って、この仕組みの中にインセンティブの要素を盛り込んだ場合には、市町村取組状況によって、現行より調整交付金が増額となる市町村と、そうではなくて減額となる市町村が生ずるということが考えられるわけでございます。  財政的インセンティブについては、まずはこの法案で新設される交付金というのが一つあるわけですけれども、この調整交付金の活用については一応検討課題でありますけれども、この点については、先ほどお話がございましたとおり、自治体関係者、あるいは関係の省庁からも、自治体を所管する省庁からも強い反対意見があるということは我々も認識してございますので、そのような意見も十分踏まえて今後全体として検討していきたいと、このように考えています。
  260. 福島みずほ

    福島みずほ君 じゃ、検討して、これやめてくださいね。
  261. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) 自治体からの非常に強いそういう要望もあるということを十分頭に置いて、これから調整をしていかなきゃいけないというふうに思っています。
  262. 福島みずほ

    福島みずほ君 局長、何かやめてくださる方向のような気がいたしますが、これやめるべきですよ。だって、要介護度改善を競わせたら本当におかしくなる。コストカットを市町村に押し付けて、できなかった自治体を冷遇するなんてしちゃ駄目ですよ。頑張れ、頑張れ、頑張れなんて言ったって、それは無理なんですから。  これはやめていただきたい、よろしいですね。
  263. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) この件は全体としていろんな予算編成過程で議論して政府内調整をするべきものであるということでございますので、ただ、先生から御指摘がございましたとおり、あるいは自治体の声というのも非常に強い声がございますので、繰り返しになりますけれども、そうした意見というのをよく頭に置いてこれから考えていかなきゃいけない、あるいは調整しなきゃいけないというふうに思っています。
  264. 福島みずほ

    福島みずほ君 最後の配付資料で、介護職員の非正規の人たちの時給って、八百九十円しか上がっていないんですね。これやっぱり上がっていないですよね、労働条件、本当に良くなっていない。訪問介護のヘルパーさんの時給、八百九十円しか上がっていない。正社員はまあまあなんですが、非正規雇用は駄目ですね。  厚生労働省、これはどうですか。
  265. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) これは、平成二十七年度の介護従事者処遇状況等調査による結果であると思います。訪問介護事業所においては、月給ベースの常勤職員の場合は、ここにありますとおり、一万三千二十円上がっておって、一方で、時給の非常勤職員の場合は月平均で、下の欄にあります八百九十円の賃上げという状況でございます。  このように差を生じておることでございますけれども、その背景みたいなものとしてどんなことが考えられるかといいますと、一つは、この調査によりますと、時給の非常勤職員は月給の常勤職員に比べて実労働時間が短いというのが一つあります。また、時給が高い非常勤職員ほど実労働時間が短くなる傾向が見られて、一定の調整をしているということも考えられます。そのようなことを留意をしてこれを見るということが大事かなと思います。  ただ、このようになっている関係は、今回、これまでやっております職員の処遇改善加算の算定額というのは当然あって、これは一定の報酬に一定の率掛けて加算するわけですけれども、その分配については、事業所内でどのように分配するかについては各事業所に委ねられていると、そういうことの結果こういう形になっているのではないかというふうに考えております。
  266. 福島みずほ

    福島みずほ君 終わります。
  267. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 無所属クラブの薬師寺みちよでございます。  先ほど川田先生もさらっと触れられましたけれども、私もちょっと、まず第一に大臣にお伺いしたいことがございます。  この週末、G20保健大臣会合を欠席をなさったという残念なニュースがございました。今回、G20では初の開催となりますし、これまで日本が主導してまいりました薬剤耐性菌の問題というものが取り上げられるというふうに私も楽しみに待っておりました。昨年も北九州で、世界獣医師会そして世界医師会ワンヘルスに対する国際会議というものも大々的に厚労省主催でも開催されたはずです。  しっかりとやっぱり日本のプレゼンスを示すためにも、こういった会議大臣が出席をなさって各大臣と調整をする、これこそ国益に私は値するものだと思いますけれども、大臣、お考えをお聞かせいただけますでしょうか、お願い申し上げます。
  268. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) G20の保健大臣会合がこの金曜日、土曜日開催をされました。元々、金曜日の半日セッションと夜の夕食、ディナーですね、そこでもいろんな意見交換がなされますが、そこには元々私は出ることは不可能で、国会がございますので、夜中の便で立って、ゼロ泊二日で、翌日の会合の、ちょっと遅刻をどうしてもするんですが、それでも三時間、四時間出ることに意味があるかなと思って予定をしておったところでございます。  前日からこの土曜日にかけては、いわゆるグローバルヘルスの危機、感染症危機の際のシミュレーションをステージごとにやるという、大変、私もいろいろ準備をしておった、意味ある議論が行われる場でございました。その後、AMRの問題、今お話がありましたが、この議論をして、特にAMRの方は間に合うかなと思っておりましたが。  いずれにしても、今回、様々な課題に対応するために、大変残念でありましたけれども、出張をすることを取りやめたところでございます。代わりに、当然、厚労省の幹部職員は出席をして、健康危機管理あるいは薬剤耐性の問題について議論を私に代わってしてもらいまして、非常に充実をした議論が行われたというふうに伺っております。
  269. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  大臣に成り代わってやったって全く意味がないんですよ。国会も大切な場でございますけれども、やはりしっかりと国際的なプレゼンスを示すために様々な下準備を私はやってきたのではないかと思うんです。今こそ、日本がやはりこの感染症についてはしっかり責任を持ってイニシアチブ取っていくぞというところで、様々な会合を私は大臣が率先してこれから牽引していってほしいと思います。特に、エボラ出血熱が今度コンゴで発生したということで、これまた奥地だからこそ今問題ないかもと言われておりますけれども、これから何が起こるか分かりません。そういう大切なときでございます。  私は、今回、本当に残念に思っておりますので、是非そこは今後、厚生労働省としてもしっかりと考えていただきたい。  それに、その前も、橋本副大臣も労働大臣会合、欠席をなさいました。こんなことがあっては、二度と日本、この保健に関して、特に労働に関して、様々なもので大臣がいないということが、これが国際会議で普通だねというふうに思われる、こんなことがあってはなりませんので、重々、大臣、今回のことも、そしてこれからのことも御意見をいただきたいと思います。
  270. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 御指摘、しかと受け止めてこれからしっかり対応してまいりたいと思っております。  ちなみに、昨日からWHOの総会が開催をされております。日本時間の今晩、次の事務局長の選挙が行われます。このWHOの総会には何十年と厚生労働大臣あるいは厚生大臣も含めて行っておりません。去年、私はILOの総会にたまたま行けました。それは六月一日に会期が終わった、その三日か四日後に総会があったものですから、私が参りましたのはたしか二十三年ぶりの大臣の参加でありました。  今、薬師寺先生御指摘のとおり、大臣が出るということは極めて大事なことでありますが、WHOの総会も、今のG20に来た保健大臣はみんな流れて行っています。そして、そういう場にいる間にいろんなことが合意をされて、実は非公式に決まっていることも多々ありまして、私どもも二、三年前にたしか決まったこと、あれ、もうちょっと前かな、決まったことがあったということをつい最近知るという、そういうふうに行かないと分からないことがたくさんあるので、日本が失っているものはたくさんあるということであります。  ここは、副大臣、政務官制度をつくって、国会での審議は、大臣が外に出て、そして副大臣があるいは政務官が国会対応するということでこの制度をつくったはずでありますけれども、何十年とWHOの総会には行けていないということを皆様方にはよく御理解をいただいて、御判断をいただければというふうに思います。
  271. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  しっかりと私どもサイドでも検討していかなければならないと思って、参議院改革協議会の中でもこれ私も発言をさせていただいているところでございますが、しっかりと国益とは一体何なのかということをもう一度厚生労働省の方でも御検討いただきたいというふうに思います。よろしくお願い申します。  それでは、法案内容に入らせていただきます。  皆様方にもお配りをいたしております我が事・丸ごと、もう最近、これ大臣がよく使われる言葉でございます。この我が事・丸ごと、これがどのように今回の法改正に影響しているのかということについて、局長、教えていただけますか、お願いします。
  272. 定塚由美子

    政府参考人定塚由美子君) 我が事・丸ごとについて今回の法改正にどのように反映しているかというお尋ねかと存じます。  今回御審議いただいています社会福祉法の改正案では、まず四条二項におきまして、地域住民や福祉関係者が、本人のみならず、その人が属する世帯全体に着目をして、福祉、介護、保健医療に限らない、住まいや就労、教育に関する課題、さらには地域社会の孤立などの様々な生活課題把握する、それとともに、把握された生活課題について行政などと協働して課題を解決していくことが必要であるという旨を定めておりまして、我が事・丸ごとの地域福祉の推進の理念を条文上明確化しているというものでございます。  さらに、この理念を具現化していくために、社会福祉法改正案百六条三におきまして、地域住民が自ら暮らす地域課題を我が事として捉えられるような地域づくりの取組をすること、また、いろいろな相談を丸ごと受け止める場の整備をすること、さらには、相談支援機関の協働やネットワーク体制の整備をすることなどを通じまして、包括的な支援体制を整備することを市町村の努力義務という形で盛り込んでおります。  こうした規定によりまして、我が事・丸ごとの地域づくり、進めてまいりたいと考えております。
  273. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  今局長御説明いただきましたように、その介護、福祉というものは、医療のように数値で切れるものではございませんよね。いわゆる医療モデルからやっぱり社会モデルへとしっかり変換をしていかなければなりません。  そこで、蒲原局長にお伺いしたいんですけれども、地域包括ケアの様々な成功例を厚労省で集めていらっしゃいますけれども、その成功の秘訣というものはどのように分析なさっていらっしゃいますでしょうか。短くお願い申し上げます。
  274. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) 地域包括ケアシステムについては、医療、介護、予防、住まい、生活支援が包括的に提供されるということで、これは町づくり全体ということも含めてやることが大事だというふうに思います。各市町村でいろんな高齢化の進展状況だとかサービス状況は様々でありますので、当該市町村で自分の地域状況をよく把握した上でそうしたシステムをつくるということが大事でございます。  いろんな自治体の先行事例を分析してみますと、大事なポイントは、一つは地域課題分析をしっかり行うこと、また当該市町村を通じて事業者地域包括センター等関係者考え方を共有すること、あるいは多職種が関わることによっていろんなケア会議等が開催されるということ、さらには、やっぱりこれは先ほど言いましたように、住宅だとか町づくりだとか、あるいは社会教育でも公民館なんかあったりするので、やはり関係部局がよく連携をしていくこと、そうした辺りがうまくいくポイントではないかというふうに思っています。  各地域において課題を適切に分析して、今のような幾つかのポイントをベースに取組が進むように支援していきたいというふうに思っています。
  275. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  だから、厚労省がそういう分析をしているからこそ先ほどから出てきているような問題が起こるんです。だから、手段と目的とを間違えちゃうんですよ。数値を追い求めていくということに、行政マンはそれが仕事になってしまう。  先ほど参考人の方からもございました。実際に行政以外の人々の関わりがすごくやっぱり熱心だと成功するんだと。人なんですよね。いかにそこで人が動くのか、そこでしっかりとその人が支えられることができるのか。カリスマ的な人がいたら成功するんですよ。そうでない地域、熱い思いがない地域というのは、いつまでたってもそうやって形骸化して、結局は今回も数値を求めてしまうようなところで、全く満足度にはつながっていかないというところなんですね。私も、ですから、是非そのプロセス評価、アウトカム評価とありますけれども、その利用者の満足度というものは、これは第一に掲げていただきたいなと思っている点でございます。  また、今後このような介護費というものを適正化するためにも、先ほど、我が事・丸ごとではないですけれども、医療の数値で切ってみるというよりも、いかに連携をしていくのかということを考えていくと、他省庁とももっともっと手をつないでいかなければなりませんですよね。  先日も片山先生からございましたように、サ高住というのが実は国交省管轄だというようなところでしたり、いろいろな研究をしているのは文科省でしたり、地方自治というところで総務省と、いろんな省庁が実はこの問題に絡んできているんですけれども、やはりそういったテーブルを囲んで皆様方でこの問題について議論する場があるのかどうなのか、まず局長、教えていただけますか。
  276. 蒲原基道

    政府参考人(蒲原基道君) 先生御指摘のように、医療だとか介護だとか、そのような地域包括ケアに関する事項に特化して何か実施している省庁横断的な会議というのは、現時点では特段に設けられていない、こんな状況でございます。
  277. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  私も先日申しましたし、本当に町づくりですよね、地域づくりですよね。それを考えると、厚労省だけで抱えているという問題ではないはずです。私もいろんなところに講演なども聞きに参りましたら、やはり町づくりの中で、道路を高齢者が安全に楽しく歩けるように整備をするというような事業もございました。そうすると、厚労省が考えているものではなく、それは国交省管轄なんですけれども、歩くと今度は楽しいですからどんどんそこに歩きたくなる、そうしたらそういうところにスポットができてきて、ちょっと休みながらみんなでサークル的なものがそこに生まれるというような、自然発生的に、歩きなさいよじゃなく歩きたくなるような町づくりまで併せて考えると、これはやはり厚労省だけではなく、もっとほかの省庁も知恵を集めながら、やっぱりここが一番、医療費、介護費をどうしていくのかというのがこれから日本として大きな問題なのであれば、そのテーブルを準備するということは私はとても大事なことではないか、国としてというふうに思うんですけれども、大臣の御意見いただけますでしょうか、お願い申し上げます。
  278. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 確かに、例えば高松なんかは、高齢者も歩ける町づくりということで中心市街地を再活性化するということをやっておられたということを記憶をいたします。  そういう意味で、省庁横断的な会議は今ないということを局長の方から申し上げましたけれども、やはり関係省庁に関わる問題の解決を見ないと、この予防、介護予防というのが実現しないということはそのとおりだというふうに思います。  私どももそれで連携を図っているところでありまして、平成二十八年度の老人保健健康増進等事業でございます住宅団地における介護予防モデルに関する調査研究事業、これは国土交通省からオブザーバー参加をいただいて、UR団地における介護予防取組について意見を求めているわけでございます。  こういうような形で既に実質的には関係省庁との間での連携というのは進んでいるわけでありますけれども、実践的な連携がより図られるように取り組んでまいりたいというふうに思います。
  279. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  最初に私、質問しました我が事・丸ごと、これがまさに省庁に欠けている発想なんですよ。省庁それぞれが我が事・丸ごとと思ってもらわないと、ここは成功はいたしません。  単なる介護、医療の連携ではありませんよね。ですから、しっかりと、ほかの省庁から何かアイデアはないかということも、私はどうぞ、ヒアリングも含めて、連携という名ではなく、そういうテーブルを設けていただきたいと思いますけれども。  じゃ、どういうことをほかの省庁でやっているのかということを資料二に準備をさせていただきました。資料二、三ですね。まち・ひと・しごとであれば、このような形で地方創生人材支援制度というものがございます。  次に、資料三でございましたら、これも内閣府でございますけれども、地域活性化の伝道師というような方々がいらっしゃいます。  このような形で国がいろんな地域に自分の省庁の人間であったり有識者を送り込むことによって、もっときめ細やかな心遣いができるようにというような施策であったはずなんですが、先ほどの倉林先生の議論を聞いていると、厚労省から行った行政マンが、そのような形、どうも数値を追い求めてしまうような傾向にあったようだということで、私もちらっと心配にはなりましたけれども、このような有識者の派遣というようなものも厚労省は今回の地域包括ケア成功のために考えられてはいかがかなというふうにアイデアを提案したいと思いますけれども、大臣、御意見いただけますでしょうか。
  280. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 地域の実情に応じた地域包括ケアシステム構築というのが大変大事なわけでありますが、その際、厚生労働省の職員だけではなくて、取組が先行している自治体の方とか、あるいは有識者で現場でも頑張っていらっしゃる方、こういうような方々の協力が大事だというふうに思っています。  厚労省としては、例えば在宅医療と介護の連携推進に関する取組を推進するために、都道府県市町村職員を対象とした研修を実施をしております。その中で、先行している自治体の職員とか、あるいは医療、介護関係者をアドバイザーとして招致をして、先行事例の紹介あるいは各自治体における取組に対するアドバイスなどを行っているところでございまして、自治体あるいは有識者等に協力を仰ぎながら地域包括ケアシステム構築の推進にしっかりと取り組まなければならないというふうに考えております。
  281. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  地域包括ケアの難しさは、どの地域取っても同じところはないということです。だから、研修をやって好事例を示したとしても、それがそのまま生かせるわけではないんです。それが医療と違うところですよね。介護は、それぞれ、その人その人によっても全くニードが違います。だから、きめ細やかにやるためにはどうしたらいいのか、そしてこの地域のインフラはどういうものがあるからこういうふうに組み合わせたらいいという、そういうことをやっぱり外の力で動かしていく必要もございます。  先ほど言いましたように、行政マン以外の方の熱意というものが地域を動かすというような御意見もございましたので、やはりこういうような他省庁の制度も使いながら、実際に医療、介護マネジメントのプロにこの伝道師の登録をしてもらったり、他省庁からの派遣というものも私は行ってもらうべきだと思うんですけれども、大臣、御意見いただけますでしょうか、お願い申し上げます。
  282. 塩崎恭久

    ○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど来申し上げているように、この地域包括ケアシステムはそれぞれの地域でそれぞれの持ち味を出してやっていただかなきゃいけないわけで、その際に、医療、介護、それから住まい、あるいは予防をするということ、生活支援、いろんなものを一体的に提供するということがやっぱりこれは大事だということであります。  特に地方創生で頑張っている市町村に対して、意欲のある省庁、霞が関からも派遣をする地方創生人材支援制度、先ほどお配りをいただきましたが、これとか、あるいは地域活性化に向けた意欲的な取組を行おうとする地域に対して地域おこしのスペシャリストを紹介をするということになっております地域活性化伝道師派遣制度、こういうようなことを承知をしておりますが、厚生労働省としてもやはり今御指摘のような内閣官房あるいは内閣府に協力をして取り組んでいるところでございます。  厚労省としては、先ほど申し上げたように連携をということで、それは十分ではないと、こういうお言葉をいただきましたが、いずれにしても、関係省庁とよく話し合って、どういう形の協力の仕方が地域包括ケアシステム構築により有効かということを検討してまいりたいというふうに思います。
  283. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 終わります。ありがとうございました。
  284. 羽生田俊

    委員長羽生田俊君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時一分散会