○片山大介君 私は、ただいま修正議決されました
精神保健及び
精神障害者福祉に関する
法律の一部を改正する
法律案に対し、自由民主党・こころ、公明党、日本維新の会及び無所属クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
精神保健及び
精神障害者福祉に関する
法律の一部を改正する
法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な
措置を講ずるべきである。
一、
精神障害のある人の保健・医療・福祉施策は、他の者との平等を基礎とする
障害者の権利に関する条約の理念に基づき、これを具体化する方向で講ぜられること。
二、本
法律案は特定の
事件の発生を踏まえた
犯罪防止を目的とするものではなく、
精神障害者に対する医療の充実を図るものであることを確認するとともに
精神保健医療が
犯罪の
防止や治安維持の役割を担うとの誤解や懸念が生じることのないよう留意すること。
三、
措置入院者等に対して
退院後に継続的な医療等の支援を行うための
退院後支援計画の作成に当たっては、患者本人及び家族が個別ケース
検討会議に参画すべきものであり、できる限り患者本人の
意見の反映を図るよう、
退院後支援のガイドラインで明示し、自治体に趣旨の理解を徹底すること。
四、
退院後支援計画の支援期間については、
措置入院者が地域生活に円滑に移行できるようにするための期間として、半年以内程度を基本とすること。また、患者の病状や生活環境の変化によっては、例外的に、支援期間を延長することも考えられるが、その場合でも、延長は原則一回までとし、一年以内には地域生活への移行を図ることができるよう努めること。こうした支援期間の在り方について
退院後支援のガイドラインで示し、自治体に周知徹底を図ること。
五、
退院後支援計画に基づく支援について、患者にその
内容や
必要性について丁寧に
説明し、理解、納得を得られるよう努めてもなお納得してもらえない場合にあっては、必要に応じて計画
内容を見直すなど、本人の意向を踏まえた計画となるよう
対応すること。こうした
対応については、
退院後支援のガイドラインで示し、周知徹底を図ること。
六、
警察官通報から
措置入院につながった割合等に係る地域ごとのばらつきを是正する観点から、代表者
会議の具体的な留意事項を運用通知で示し、各自治体において、地域の
精神障害者の支援
体制に関する協議が通知に即して行われることにより、ばらつきのない
措置入院制度の運用に努めること。その際、
警察を始めとする
関係機関に対して研修の機会を充実させることなどを併せて
検討すること。
七、個別ケース
検討会議の運用に当たっては、患者に対する監視を目的とするとの誤解を招くことのないよう、
法律上「支援対象者の
退院後の医療その他の援助の
関係者」をもって構成することとされていることに留意し、
警察は原則として参加せず、例外的に参加する場合も援助の観点から行われること、また、本人が拒否する場合には
警察を参加させないこととすることについて、改正法の施行に合わせて自治体への適切な周知を行うこと。
八、
精神医療の現場における患者の
薬物使用に関しては、患者の
治療継続に配慮しつつ、
情報提供の在り方について
検討すること。
九、地域における
精神保健医療福祉の中核となる保健所の役割と重要性を改めて
認識するとともに、その
体制強化が着実に図られるよう、都道府県等に対する支援について
検討し、保健所運営に係る十分な
措置を講ずること。また、保健所がその役割を十分に果たせるよう、必要に応じ、保健所の運営や
体制等について、
調査、
検証すること。
十、適切な
措置入院制度の運用がなされるためには、
措置入院を受け入れる
病院の質の担保が不可欠であることから、指定
病院の基準を満たしているかを継続的にモニタリングするとともに、指定
病院の質を評価する等の仕組みについて
検討すること。
十一、医療
保護入院における家族等同意及び市町村長同意の運用について、市町村長同意が濫用され、医療
保護入院が安易に行われることのないよう、市町村等に対し、制度の適正な運用のための具体的な方策を明示するよう
検討すること。
十二、医療
保護入院や
措置入院等の非
自発的入院から
退院後支援に至るまでの家族の負担の重さや、協力の有用性に鑑み、
入院患者家族に対する支援
体制について
検討を加えること。
十三、当事者にとって不本意な非
自発的入院の減少を図るため、国及び地方自治体の責任、
精神保健指定医の
判断等、幅広い観点から、速やかに
検討を加えること。
十四、医療
保護入院等の患者の
退院後における地域生活への移行を促進するため、相談
対応や必要な
情報の提供、アウトリーチ支援など、その受皿や
体制整備の充実を図ること。
十五、
精神保健指定医制度の適正な運営に向けて、地域医療への過度な影響がないように、指定申請に当たって提出するケースレポートの症例の要件、
指導医の要件、
指定医の更新要件、口頭試問等の具体化を
検討すること。
十六、
精神保健指定医として必要な知識、能力及び技能並びに
精神保健指定医として持つべき規範意識に比して、
指定医研修の課程及び更新制度が十分に機能しているとは言えないことから、ケーススタディ等の実地に近い研修
体制を構築すること。また、
指定医の更新に当たっては、
指定医の業務を一定以上行った上で申請できることとする等、
指定医の質の担保を図る仕組みとすること。
十七、
精神科
病院における長期
入院及び
退院の事例について
調査分析し、今後の対策と改善を
検討すること。
十八、
障害者福祉
施設等における労働環境について、良質な福祉サービスの提供の支障とならないよう、
施設等の環境を改善するための
措置について
検討すること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ
委員各位の御賛同をお願い申し上げます。