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太田房江君 最後に、ちょっと持論の展開みたいになって恐縮なんですけれども、
企業の子育て
支援を始めとする人材投資、先ほど能力開発投資が少し
下降ぎみであるというようなことを御紹介申し上げましたけれども、これをもっと活発化する必要があるということについてお話をさせていただく一方、
質問いたしたいと思います。
フランスの事例をちょっと御紹介したいんですけれども、
日本経済研究センターというところの報告書でございますので、全部が正しいかどうかという点については確かめなくてはなりませんけれども、フランスは、皆さん御
承知のように、一度大変落ちてしまった合計特殊出生率が復活をして二に近くなってきたと、今二を超えている年次もございました。
その歴史をこの
日本経済研究センターというところの報告書でたどってみますと、一九九〇年代の初頭、今申し上げたように、出生率が一・六程度にまで下がったわけですけれども、その後上昇いたしまして、近年は、人口置換水準近辺、これ二・〇七でありますけれども、この付近まで上昇をしたと。そして、二〇一四年では一・九八というところまで来ております。
上昇の契機となった事項をちょっとたどってみますと、一つは認定保育ママ
制度への
支援強化、それから育児手当の
拡充などの子育て
支援の強化、これがやっぱり大きく効いたというふうに年表の中で重ねていきますと考えられるわけですけれども、一方で週三十五時間
労働奨励法の公布とも重なっておりまして、今、
日本が進めようとしている働き方
改革の道筋がある程度子育て
支援、出生率の
向上にも役立ったということがフランスでは起こっているわけであります。
これもまたよく知られているところなんですけれども、フランスは少子化問題を狭く捉えるのではなくて、教育、住宅、
雇用等を含む家族政策として捉えて、これらの政策パッケージとして政策対応を行っていると。これもよく言われるところであります。また、税制も、N分N乗方式というんでしょうか、子供さんをたくさん持たれた家庭の方が所得税が少ないというような税制も、これ世界に有名ですね。
こういったようなことが功を奏して、フランスも非常に長い間出生率が
低下をしていったんですけれども、九〇年代に入って徐々に上昇をし始め、現在、今申し上げましたように一・九八というところで推移をしているということだろうと思います。
家族
関係予算のGDP比というのを改めて見てみますと、
日本は一・三%、それからフランスは二・九%、更に高いところがスウェーデンで三・六%と、こういうことになっております。
そして、もう一点、強調したいことなんですけれども、家族
支援の歴史にフランスでは
企業が大きく関わってきたということです。精査をしておりませんので、もう少し勉強しなくてはならないと思っておりますけれども、例えば、一九一八年に人口減少に大きな危機感を持った一部の
企業が家族手当補償金庫というものを設立したというふうに聞いております。そして、これが発展をしていって、この金庫への
企業の加入義務化が始まったのが一九三二年、そして一九四六年には家族手当金庫、これはよく知られているものですけれども、CAF、これが設立をされたということです。
二〇一二年の家族給付の歳入内訳、これを見てみますと、約四五%が
企業の
負担ということになっておりまして、国、自治体による拠出分の三二%を大きく上回っております。精査が必要ですけれども、私が見た
資料ではこのようになっておりました。このことは、やはり
企業が子育て
支援を始めとする様々な国の政策に大きな役割を果たしている証左ではないだろうかというふうに考えられます。
日本では、二十八年度から五万人分の保育の受皿整備として
企業主導型保育事業というものが始まりました。これは、国の政策に対する、国の政策というんでしょうか、あるべき社会をつくるために
企業が積極的に参加をしてきた好事例ではないかと私は捉えておるところでございます。予算も、この
企業主導型保育事業については、二十八年度約八百億円、そして二十九年度約千三百億円ということで
拡充をされております。
そして、この
制度、私が
期待するのは、ただ単に自分たちの
企業で働いている
従業員のお子さんだけではなくて、
地域住民に開放される形であってもらいたい。そして、その
地域枠というものも自主的に設けることができるようになっておりますけれども、その
地域枠が有効に活用される形でこの
企業主導型保育事業が広まってもらいたいと、このように願っているわけですけれども、
企業主導型保育事業、まだ始まったばかりではありますけれども、現状についてお聞かせ願えますでしょうか。