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国務大臣(
塩崎恭久君) 御
質問ありがとうございます。
なかなかゆっくりこの御
説明を、
厚生労働省の考え方を
説明をさせていただく機会も少ない中にあって、今、自民党のたばこ議連の案というものについてのコメントを御
質問いただいたわけでありますけれ
ども、そこに至るに当たっても、一度
厚生労働省として今どう考えているのかということを整理した上で、少しお時間を頂戴して
説明させていただければというふうに、お許しをいただければというふうに思います。
平成十五年以降十四年間、健康増進法に基づいて、
施設の管理者に受動喫煙防止の努力義務というのを設けて、自主的な取組にお任せをしてきたわけでありましたが、たばこを吸わない
国民が今八割を超えているにもかかわらず、いまだ約四割以上の
方々が、飲食店などのいわゆる公共の場、ここで受動喫煙を今
お話のありましたとおり受けている現状がございます。また、受動喫煙を受けなければ亡くならずに済んだ方が少なくとも年間一万五千人はいるだろうという推計もございます。
我が国は、たばこの規制に関する世界保健機関の枠組条約、FCTCの締約国であって、WHOからは、屋内全面禁煙義務の法律がないために受動喫煙対策につきましては世界最低
レベルのランクということになっています。
今年一月の安倍総理の施政方針演説の中でも、受動喫煙対策の徹底についての発言がございました。
こうした中で、先般、
厚生労働省の基本的な考え方の案という、やや回りくどいタイトルで考え方を示しましたが、その具体的な内容は、まずプライベート空間は規制対象外と、公共の場については
施設や場所の性質を十分に考慮をして限定した場所で禁煙とするなど、言わば日本型の分煙社会、これを目指そうということでございまして、これによって
我が国の位置付けはWHOの四段階の最低
レベルからワンランクだけ上がるという、そういう非常に穏やかな案を私
どもとしてはお示しをさせていただいております。
三月七日に公表されました自民党の議連の受動喫煙防止対策の案は、幾つかの点で今のこの
厚生労働省の考え方と異なっていると思います。議連の案では、喫煙を楽しむことと受動喫煙を受けたくないことを
国民の権利として同列に扱っています。喫煙の自由は公共の福祉に反しない限りもちろん認められるものでありますけれ
ども、飲食店も含めた公共の場において、
国民の八割を超える非喫煙者、そして妊婦、子供さん、がん患者、ぜんそく患者、外国人などのいわゆるサイレントマジョリティーの
方々の健康が喫煙者の喫煙の自由よりも後回しにされているという看過できない現状は、やはり議連の案では変えられないというふうに思っています。また、この議連の案では、飲食店や販売、娯楽等のサービス業
施設において禁煙、分煙、喫煙等の表示の義務のみとなっておりまして、これでは、妊婦、子供そして患者などが利用できる飲食店の選択肢を狭めてしまう。それに加えて、職場の歓送迎会とか取引先との接待での先ほどございました望まない受動喫煙、いわゆる嫌々受動喫煙を強いられる事態、そして従業員やアルバイトの
大学生、高校生、これが煙にさらされるということが避けられないというふうに思います。
このように、議連の案ではほぼ現状の努力義務での
対応と変わらないので、国際的にも今の四分類の最低ランクのままで何も変わらないと、大きく見劣りをしてしまうために、
国民の健康を守る立場である
厚生労働省としては、受動喫煙の害から
国民を守れない全く不十分な内容だというふうに思っています。
また、問題は、飲食店の経営の問題に御
懸念が強く示されています。ただ、WHOの国際がん
研究機関が二〇〇九年にまとめたハンドブックによりますと、世界各国の信頼度の高い論文を分析をいたしますと、ほとんどがレストラン、バーを法律で全面禁煙にしても経営に影響がないという報告がなされています。中には売上げが増えたという国もあったとのことでございまして、これは八割の人が、ほかの国も大体八割が吸わなくて二割が吸うと。二割の
方々の中で一定程度減るかも分からないけど、逆に今度、八割の方からお店に行くようになるということもあるようでございます。
それから、税収に対する
懸念を財務省などからいただいておりますけれ
ども、それからアメリカ、イギリス、韓国などでは、喫煙率の推移について、受動喫煙防止のための規制の前後で変化は見られなかったと。そういうことから、税収に対する影響もそれほど大きいことはないというふうに推察をされております。
何といっても、二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピックを、そしてその前年のワールドカップラグビーもあります。多くの外国人の
皆様方には、インバウンドで来てくださいということで歓迎をしているわけでありますから、そういった
方々へのおもてなしの観点からも、私
どもは理解を賜りながら今
国会の法案提出に向けて全力で取り組んでいきたいと、このように思っております。