○宮本周司君 ありがとうございます。
なぜここまでにしつこくしつこく言うのかと申しますと、実は私も地元石川県で小さな造り酒屋を経営している小
規模企業の経営者でございます。私は、全国にあります商工政治連盟という、中小企業というよりはもう九割以上が小
規模企業の集まりの団体の比例代表としてこの場に来ておりますので、先般うちの組織の方で実は
アンケート調査をしました、この雇用保険二事業に関しまして。
今全国には千六百を超える商工会組織がありまして、経営指導員、経営を指導する経営指導員が四千百名超、四千百四名おります。一商工会
当たり大体会員事業所が四百三十四事業者で、一経営指導員
当たりで換算すると平均百七十六事業者、これがちょっとベースであると思っていただきたいんですが、この四千百人の経営指導員のうち二百四十の経営指導員に無作為でございますがアンケートを取りました。
そして、先ほどの雇用保険二事業、八十事業この二十九年にやっておりますが、これに関しては、今からお話しする内容は
厚生労働省の方にも事前に確認を取りましたが、実際、事業者向けが八十のうちの十七事業、そして事業者が活用可能な事業が二十三事業です。そして
調査研究とかのいわゆる制度運用、これが二事業、あと、ちょっとレベルの高いモデル事業、これが三事業です。そして、求職者向け、お仕事を求める求職者向けが二十七事業、あと、業種とか地域に限定されたものが合わせて六事業、そして
平成二十九年度の新規の事業が二事業なんです。ですから、事業者向け若しくは事業者が活用可能だというものに関したら合計で二分類で四十事業と
認識しているんですね。
この四十事業に対して
アンケート調査を行いましたら、最初に事業者向けの、ここに関しましては、それぞれやはり有益な補助金、助成金の事業もございますので、例えばトライアル雇用であったりとか雇用調整助成金であったりとか、この辺りはやはり広く活用がされております。ただ、一方で、この二百四十人の経営指導員がそれぞれ百何十社の商工会員の事業所を抱えながら、四割の九十七名が、自分が
支援する小
規模事業者において雇用保険二事業の活用事例は全くなしと答えているのが実は四割の九十七人の指導員がいらっしゃったんですね。
もう
一つの、事業者が活用可能な方の事業、こちらはどちらかというとセミナーであったり相談窓口であったり、こういった内容のものが多うございます。共済制度等もございますが、一番断トツで多かったのは中退共ですね、中小企業退職金共済。うちの会社も入っておりますので、これは大変有り難い制度だと思っております。全体の六割以上やはり活用しております。ただし、この中退共を除くと、事業者が活用可能な分野の二十三事業に関したら、二百十一人の経営指導員、全体の八八%の経営指導員が活用事例なしという答えが出たんですね。
あくまでも商工会の組織内の調べですので、今日はあえて資料等は出しておりませんが、この実態を把握したときに、やはり地方の隅々まで、小
規模企業の、小
規模事業者の経営者まで本当にこれらの有益な雇用保険二事業が届いているのかな、このことが非常に心配になったわけでございます。
同じく、配付した資料の中で労働分配率の推移に関する資料もございますが、これ見てもお分かりのように、当然皆様方もこれまで御承知おきいただいていると思いますが、事業
規模がやはり小さくなればなるほど労働分配率が大きくなる。そして、例えば雇用保険二事業における事業主負担というのは、大企業も中小企業も小
規模事業者も同じ割合なんですね。だから、労働分配率でこれだけ企業
規模によって格差がありながらも同じ料率を負担するということは、その負担感というのは明らかに実態の経営の中においてはかなりの格差が生じている、こういうことを
指摘せざるを得ません。
安直に、だから小
規模企業の、中小企業の料率を下げろとか、そういう話をするつもりはございません。ただ、せっかくこれだけ有益ないろいろな雇用保険二事業があるのであれば、実態の声をしっかりと把握した上で、活用しやすい、そういった事業の
在り方若しくは運用面での
改善を図るべきなのではないかなと、私はここに意見をしたいわけなんです。
実際、キャリアアップ助成金がございます。こちらの方は、非正規雇用の労働者の処遇
改善で、賃金規定等の改定を実施した事業主に対しまして助成をするという制度です。昨年の夏、ちょうど参議院選挙が終わった後に我が党の政務
調査会でこれらも含めて意見をする場がございまして、実は私、この事業を
指摘させていただきました。実際、
平成二十六年度は毎月の新規の認定が、この事業活用が百件程度だったんですね。
平成二十七年度に入りましても百六十件程度、平均で、なかなか伸びてこなかった。そして、このことに対しましては、実際申請書を出せるのは本人、事業主か、若しくは事業主が依頼をした社会保険労務士、どちらかなんですよね。サポートする唯一の存在である社会保険労務士の現場の声からも、このキャリアアップ助成金、ちょっとなかなか難しくて申請しにくいという声が上がっておりました。
このことを
指摘させていただきましたところ、ちょうど最賃の三%に上げていくという
動きもありまして、
厚生労働省の方でも素早く
対応が進んでおったということを後で
認識しましたが、八月上旬から制度の見直しがありまして、そこで緩和措置がされました。
その後どうなったか。新規認定で一気に九月に六百件オーバーしたんですね。メニューを追加した変更
案件でも三百件オーバーして、九月だけでも両方合わせて九百三十五件、これが動いたんです。ということは、いかに現場の仕事を抱えながら経営もしなければいけない小
規模企業の経営者の、現場を理解した運用面に
改善するだけでもこれだけ効果が伸びる、これが実際に
厚生労働省のこの働きの中で実証されているわけなんです。
ですから、私は、今後、本当に深刻な人手不足に直面している中小企業、小
規模企業において、働き方改革に関してもしっかりと
対応していかなければいけない。
我が国雇用の七割を保有しているのが中小企業であり、またそのうちの約三割、これが小
規模企業の中でも雇用されているわけでございます。でも、実際、なかなか
体制が取れない、人もぎりぎりのところでやっている、こういった中小・小
規模がこの働き方改革の中でしっかりと
対応していくことが本当にできるんだろうか、この部分も不安視するところでございます。
ですから、先ほど例として挙げましたキャリアアップ助成金のように、本当に現場の実態を捉える、それを捉えた上で人手不足や働き方改革に関してもしっかりと雇用面、また雇用の環境、労働の環境を拡充していく面でお力添えをいただけないか、このように考えるところでございます。
例えば、
大臣、職場定着
支援助成金という、人材の定着であったり確保、また魅力ある職場を創出していく、こういったことを
目的とした助成金もあります。こういったものも小
規模企業の経営者、その経営の実態にしっかりと配慮をした形で要件緩和をすることによって、中小企業、小
規模企業も広く多く申請しやすくなると思いますし、その
支援の内容を抜本
強化していく、このことも今後の働き方改革を実現する上では非常に大切なんじゃないかと思います。
どうかこのことに関しまして、私の意見も含めて、
大臣の
見解をお聞かせいただけたらと思います。