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参考人(
中村高広君) おはようございます。
朝日信用金庫専務理事の
中村と申します。
本日は、
中小企業信用保険法等の
改正に関しまして、信用金庫業界を代表して
意見を申し述べる機会をいただき、誠にありがとうございます。
また、
皆様におかれましては、日頃から信用金庫に対して格別の御指導、御
支援をいただいており、この場を借りて厚く御礼を申し上げます。
さて、本題の
意見を申し上げる前に、簡単に信用金庫について説明をさせていただきます。お手元の資料を御覧ください。
一ページ目は信用金庫の概要ですので割愛しまして、次の二ページに信用金庫の特性を記載しております。
信用金庫は、銀行と同じように預金、
融資、為替
業務などを行っている
金融機関ですが、相互扶助を理念としまして、会員の出資によって成り立つ協同
組織金融機関である点が大きな
特徴でございます。また、信用金庫は
事業地区が限定されておりますことから、その
地域に密着した
地域金融機関、まさに
地域と運命共同体であるという
特徴がございます。そして、
事業者向けの貸出しは原則として一定の
中小企業に限定されておりまして、
中小企業専門
金融機関であるということも
特徴でございます。
次に、資料の三ページを御覧ください。
信用金庫の
融資先の
規模についてもう少し詳しく説明をさせていただきますと、信用金庫の
事業融資先は、
中小企業の中でも比較的
規模の小さい、従業員が十名未満の
小規模事業者が九割近くを占めておりますので、まさに
小規模事業者のための
金融機関と言えるのではないかと思っております。
私たち信用金庫の最大の目的は、お客様の
成長発展、そしてそれを通じて
地域の
成長発展を
支援することでございます。信用金庫は、地元の自治体、商工
団体などの
地域の様々な機関と
連携協力しながら
中小企業支援、さらには
地域産業の振興などにも力を入れており、
地域の中でつなぐ力を発揮しておるというふうに思っております。したがいまして、政府の重要
課題である地方創生は私たちにとっても率先して取り組むべき
課題であり、日々の活動の中にも積極的に取り組んでおります。
次に、資料の四ページを御覧ください。朝日信用金庫について少し説明をさせていただきます。
当金庫は、東京の上野に本店を置き、東京の下町を主な
事業地域としております。預金残高が約一兆七千四百億円、
融資残高が約九千八百億円となり、信用金庫の中では比較的
規模が大きい信用金庫と言えるかと存じます。
私
どものお客様は、先ほどの説明と同様に、下町の製造業、卸売業、小売業などを含む
小規模事業者が
事業取引先の大半を占めております。私
どもは、お客様に最も身近な
金融機関として、日々、フェース・ツー・フェースの
関係によって対話を深め、お客様の
課題解決に向けて努めさせていただいているところでございます。
その一例になりますが、資料五ページを御覧ください。
私
どもは、
融資のみならず、様々なお客様の
支援に努めております。例えば、当金庫の内部に
経営支援センターという部門を設置いたしまして、積極的にお客様の
経営改善支援に取り組んでいるところでございます。そのセンターには、センター長を含めて
支店長経験者五名と
中小企業診断士一名という経験豊かな人員を配置いたしまして、営業店とも
連携しながら
支援を行っているところでございます。この
支援では、よろず
支援拠点や
商工会議所等の各機関とも
連携しながらお客様の
経営改善に取り組んだり、さらには
信用保証協会の
経営サポート
会議の
制度を活用しつつ、
信用保証協会とも円滑に
連携しながら
改善支援を行っております。
それでは、本題の
中小企業信用保険法等の
改正についてでございます。
今般の法
改正の狙いは
中小企業の
資金需要に一層きめ細かく
対応すること、
信用保証協会と
金融機関が
連携して
中小企業への
経営支援を
強化すること、そして、それを通じて
中小企業の
経営改善、
生産性向上を一層進める仕組みを構築することであると理解しております。信用金庫業界からも、
平成二十七年十一月から
中小企業政策審議会基本問題小
委員会金融ワーキンググループにオブザーバーとして参加させていただき、この目的を踏まえつつ、
現場の視点から
意見を申し述べてきたところでございます。
そうした
議論を踏まえつつ、資料六ページの項目に沿いまして、何点か信用金庫業界として
意見を具体的に申し述べます。
まず、
金融機関の
プロパー融資と
保証付
融資の適切な
リスクシェアを図るという今般の
考え方についてですが、信用金庫業界が取り組んでいる
方向性から見ても違和感はございません。
先ほど申し上げましたとおり、私
ども信用金庫の
取引先は
小規模事業者が中心です。
小規模事業者の
経営状況は財務資料だけではなかなか分かりませんので、お客様との日々の面談、対話を密に行い、日々の
受注や
資金繰りの
状況等を確認しながらきめ細かく
資金ニーズに
対応することを心掛けてまいりました。
小規模事業者の方は詳細な
資金繰りの管理などについてもなかなか手が回らない場合がありますので、例えば、私
どもが
資金繰り表の作成のお手伝いをしながら
資金繰り支援をさせていただくということも多くございます。
さらには、信用金庫業界では適切に
リスクテークをして、お客様の
資金ニーズに
対応できるように、
事業性に基づく
融資の促進にも力を入れており、その工夫をしながら絶えず努力を重ねているところでございます。
また、そうした取組は正常先だけではなく、例えば、先ほど朝日信用金庫の
経営改善支援センターの取組について説明いたしましたが、そこではお客様の
事業全般を見ながら
経営改善計画の策定
支援を行い、お客様の
再生のため、
資金のファイナンスにも積極的に取り組んでおります。そうしたファイナンスも含めて
支援した結果として、お客様の
経営も
改善し、そして滞っていた既存の
融資返済も再開できたという相乗効果を生んだ事例も多数ございます。
私
どもといたしましては、今般の法
改正における適切な
リスクシェアとの
方向性を踏まえまして、お客様の
状況をきめ細かく把握しながら、更にお客様の
資金ニーズに的確に応えられるよう努めてまいりたいと考えております。
次に、今般措置いただいております
創業保証制度の充実についてでございます。
信用金庫業界では積極的に
創業支援に取り組んでおりますが、
皆様御承知のとおり、
創業してから数
年間のうちに多くの
創業企業の
経営が難しくなってしまう、いわゆる死の谷と言われる問題がありますけれ
ども、
創業企業の先行きを見通すにはどうしても難しい部分がございます。
今般の
制度改正は、信用補完を必要とする
企業の
ライフステージという視点を勘案した上で、
創業期の
保証限度額の拡充について措置されたものと考えております。これを踏まえて、信用金庫としても、
創業後のモニタリングの更なる充実に努めるなど、絶えず
支援の高度化を努めていきたいというふうに考えております。
次に、その他の
制度改正では、お客様の
経営改善支援を進めるための
セーフティーネット保証五号の
改正や、大
規模な
経済危機等への備えのための新たな
危機関連保証制度の創設などが措置されております。私
どもといたしましては、こうした
制度改正の
趣旨を踏まえまして、引き続きお客様の
経営改善支援に注力してまいりたいと存じます。
また、こうした一連の措置に併せまして、
小規模事業者向けの一〇〇%
保証の
限度額の拡充についても措置いただいております。
小規模事業者は、例えば業況が良い
事業者であっても、主たる
取引先が
一つなくなってしまった、あるいは主要商品をめぐる市場
環境が少し変わってしまったというような、たった
一つの問題で一気に
経営が難しくなってしまうという難しさがありますので、いざというときの必要な
運転資金などの
確保を考えた際に非常に有用な
制度であると考えております。
小規模事業者の特性を踏まえましてきめ細かな措置が講じられており、引き続きその
資金繰りをしっかりと支えてまいりたいというふうに思っております。
最後になりますが、一点、農業ビジネス
支援についての要望がございます。
最近、例えば建設
事業者が第二
創業として農業ビジネスを始めるなど、いわゆる六次化を伴う事例を含めて増えてきており、
地域の
関係者からこうした
信用保証制度を
利用したいという声が寄せられております。農業ビジネス
支援については、現在、国家戦略特区において行われているところですが、それ以外のニーズがある
地域でも同様の
対応がなされるようお願いしたいというふうに思います。
以上、いろいろと申し上げましたが、私
ども信用金庫といたしましても、
信用保証協会を始めとする
地域の
関係者の
皆様と
連携しながら、引き続き適切なお客様
支援に努め、地方創生の
実現に貢献をしていきたいというふうに考えております。私
ども信用金庫への引き続きの御指導、御理解をお願いいたしまして、私からの話を終わらせていただきます。
本日は、貴重な機会をいただき、誠にありがとうございます。以上でございます。