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政府参考人(宮川学君) まず、二点
お尋ねいただいたと思います。
一つは、チェコ社保
協定の
改正の背景となった日本とチェコの間の
解釈の経緯についての
お尋ね、もう一つは、そのチェコとの
関係を踏まえて、ほかのEU諸国との扱いはどうなるかということでございます。
〔理事堀井巌君退席、
委員長着席〕
まず一点目につきましては、
委員御
指摘のとおり、
現行の日・チェコ
社会保障協定の交渉時、両国は、一時派遣被用者が派遣元企業のために派遣される限り、派遣元国の
社会保障制度のみが適用されるという認識で一致しておりました。一時派遣被用者に関しまして、派遣先国の企業との雇用契約の有無は当時は問題になっていなかった経緯がございます。しかるに、二〇〇九年の
現行協定の発効の後、派遣先国の企業と雇用契約を
締結した者は派遣被用者としては取り扱わないという旨を定めましたEU指令が御
指摘のとおり二〇一〇年に、EU
指針が二〇一〇年に作成されました。
チェコの主張といたしましては二点。一つは、こうしたEU
指針を踏まえ、EU域外国との
社会保障協定についても、別段の明示的な定めがない限り、EU法体系の
考え方を用いて
解釈するという
立場を示してまいりました。そのため、二点目として、チェコの主張は、日本についてEU
指針と異なる取扱いを行うためには
協定上に明示的な定めをする必要があるとして、日・チェコの
協定に派遣先国の企業と雇用契約を
締結した者であっても
協定上の派遣被用者として扱われる旨を新たに明記する必要があるという二点目の主張を行ってきた次第でございます。今回の
改正は、こうしたチェコ側の事情を踏まえまして、日本として
改正交渉に応じさせていただいたものでございます。
それから、
お尋ねの二点目、チェコとの
関係がほかのEU諸国との
関係でどう利いてくるのかという点でございますが、日本がほかのEU諸国と
締結済みの
社会保障協定につきましては、チェコと同様の状況は生じておりません。EU域内の規則や
指針は本来EU各国間の
関係を規律するものでありますので、EU各国がEUの域外国に対して
締結した
協定に対しては法的な効果を及ぼし得ませんので、チェコのような
解釈の
立場をほかの国が取らない限り、EU域内の
指針を理由として日本がほかのEU加盟国と有する
協定の
内容を
改正する必要はないと
考えております。