○井上哲士君 私は、
日本共産党を代表して、
日本・インド
原子力協定の
承認に反対の
立場から討論いたします。
インドは、核拡散防止条約に加盟しないまま二度の核実験を行った核保有国です。これまで
日本がNPT未加盟の核保有国と
原子力協定を
締結した例はありません。核不拡散体制を前提として
原子力の平和利用を進めるとしてきた
政府の従来の方針からも明らかに逸脱するものです。
何よりも、唯一の戦争被爆国である
日本がインドと
原子力協定を
締結することによって生じる問題は、極めて深刻かつ重大です。それは、インドの核保有を容認するとともに、核保有国としてのステータスを強めることにつながるからです。
その上、インドにはNPTの核保有国に掛かる核軍縮の努力
義務もありません。
政府が
協力の前提とするインドの核実験モラトリアムは、そもそも一方的な表明にすぎず、核軍縮を約束したものでもありません。
そればかりか、国際的な統計によれば、インドは〇八年から核弾頭の保有数をほぼ倍加させ、弾道ミサイルの実験を繰り返しています。インドとの
原子力協定を許せば、核保有を追求しながら
原子力協力を求める国が今後広がることにもつながりかねません。
本
協定の
規定内容は、
日本が結んだ従来の二国間
原子力協定の
規定からも大きく後退したものとなっています。インドにウラン濃縮を認めるとともに、
日本が供給側の
立場で結ぶ
原子力協定として過去に結んだ
協定とは異なり、初めて相手国に再処理を認めています。
政府は、少なくとも、我が国の
協力した物質等においては、保障措置の下に置かれ、軍事転用が行われないことを保障していると説明します。しかし、
日本が民生用に支援すれば、インドはその分、自国産の核物質を民生用から核兵器生産用に回す余裕ができます。
また、過去の
原子力協定では
協定本文に明記された、核実験が行われた場合に
協力を停止する旨の
規定が盛り込まれていません。これは、インドの反対により、
日本側が従来の対応を曲げたものであり、
協定上、核実験に対する歯止めが曖昧になったと言わざるを得ません。
本
協定は、安倍政権が成長戦略においてインフラ輸出の柱とする原発輸出を推進するためのものですが、福島第一原発の事故がもたらした惨害を踏まえれば、その事故原因の究明さえできない中で、危険な原発の世界輸出を推進する安倍政権の責任は重大です。
原発輸出及び国内原発の再稼働の中止と即時原発ゼロへの転換を強く求めて、反対討論を終わります。