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伊波洋一君 二〇〇六年の
ロードマップの基になった二〇〇五年の
合意、
日米同盟・未来への変革と再編では、島嶼侵略に対しては
日本自身が防衛し
対応すると書かれ、ACSAなど多国間の軍事協力を求めた二〇一五年の新ガイドラインでも、
自衛隊は島嶼攻撃を阻止する第一義的な責任を有すると記載されています。これを受けて、長崎県相浦に
水陸機動団が創設されます。
この間、当
委員会でも
議論があったように、
自衛隊の
水陸機動団が配備されるAAV7は、尖閣には上陸できません。AAV7が上陸し、
水陸機動団が奪還を試みるのは尖閣などではなく、
沖縄本島や宮古島、八重山などの南西諸島ではないでしょうか。奪還の対象とされる
沖縄や宮古島、八重山などの島嶼は、その時点で既に敵に占領され、戦場となっています。だからこそ、
水陸機動団は長崎の相浦に置くのではありませんか。
一九四五年の
沖縄戦では、その前年、一九四四年に、
沖縄防衛の名の下で
日本軍が第三二軍を配備し、国体護持のために持久戦として軍は
県民に対して軍民共生共死の徹底抗戦を指示したことから、四人に一人とも言われる
県民の犠牲を生む悲惨な地上戦となりました。
軍隊があるところが軍事目標となり戦場になるというのが
沖縄戦の教訓であり、多くの
県民の実感なのです。
抑止力といっても、戦争が始まって最初にミサイル攻撃を受けるのは
基地など軍事目標です。東京など都市を狙うことは国際法違反となります。
沖縄を始め、
在日米軍基地や
自衛隊の
基地が真っ先に狙われる。
沖縄の
基地周辺住民には、日常の
基地被害ばかりでなく、有事の戦争被害も押し付けられているのです。
島嶼防衛を
日本の責任と強調する背景には、
アメリカのアジア
太平洋戦略があります。
米国は、中国やイランなど敵を近寄らせない、近寄っても自由にさせないというアクセス阻止、エリア拒否
能力に対抗してエアシーバトル構想を作成し、二〇一〇年のQDRで正式に作戦構想として言及して、二〇一五年には国際公共財におけるアクセスと機動のための統合構想、JAM—GCと名称を変更しました。
エアシーバトルは、台湾有事に際して
沖縄と
日本本土が戦場となり、初期段階では中国のミサイル攻撃に対しては在沖
米軍など前方
展開力は一時ミサイルの射程圏外に退避し、残された
沖縄と
本土の
自衛隊はひたすら耐えることが前提となっています。最初の中国によるミサイル攻撃で
航空自衛隊の七〇%、
海上自衛隊の八〇%が失われるというケース、試算もあります。当然、ミサイルによって国民の生命、財産被害、特に
基地と隣り合わせの
沖縄県民や
本土の住民には多くの死傷者が想定されます。台湾を守るという
米国の国益のために
日本の国民の生命を危機にさらすのがエアシーバトル構想の本質です。
稲田
大臣は、
平成二十三年十月二十六日の
衆議院外務委員会で、
米軍のエアシーバトル構想が現実化した場合、その影響が
日米の
ロードマップ、そして
米軍の構成に影響を与えるとお考えか、私はエアシーバトル構想が現実化すると
米軍が
日本から後退したりとか、そういうことになるのではないかという危惧を持っておりますと素直に発言しています。
稲田
大臣は、
質問です、
ロードマップ以降の
グアム移転がより大きな
アジア太平洋地域における
米軍再編
展開の計画の下にあり、
米軍は
沖縄から撤退していくと当時理解していたのではないですか。