○
大西(英)
分科員 いろいろ今問題が出てきています。そして、このふるさと納税制度を私は否定するものではありません。すばらしい日本人の美風がここにあらわれているし、一方で弊害もあらわれている。
あの熊本の
地震や、あるいは糸魚川の大火についても、糸魚川で四・四億円ですか、熊本
地震では県と熊本市だけで七十億円近いふるさと納税が行われているわけですね。これはすばらしいことだと思うんですよ。こういう美風を私は否定するわけではありません。
しかし一方で、おっしゃるとおり、東京に住んでいる人たちの大半はふるさとを地方に持っていますよ。そして、ふるさとのおかげで教育もされ、そして美しい自然と風土の中で伸び伸びと育って、さあ就職したというと、東京で働いた。それについては、確かに地方税は住んでいる
自治体に払っているかもしれないけれども、国税はきちっと払っているんですよ、所得に応じて。それは、国税はあらゆる施策によって地方に配分されていきますし、地方交付税によって地方を潤しているわけで、ある
意味ではその牽引役を、ふるさとに対する思いを持ちながら、ふるさとのためにも頑張ろうといって東京に住んでいる人が働いているわけで、今税務局長がおっしゃったような
意味だけであれば、これは十分、現在の税制度で果たされているわけなんですよ。
さらに、私は、ここはそういう
質問通告もしていませんから持論を述べさせていただくと、法人
住民税の国税化の問題というのは、まさに地方の疲弊をさらに増長していることだと思うんですよ。
法人
住民税の意義というのは、努力する
自治体が報われる。そして、税収を上げるために
企業誘致をしていく、あらゆる創意工夫を凝らして
地域を発展させようとする
自治体、これに応じて配分をしていく税であるわけですよ、
住民に対して。そこから一定の率でそれを国税化するなんというのは、地方自治の根幹に触れる問題ですよ。
こういうことを、例えば、ふるさと納税を促進しましょう、そのかわり、法人税の国税化をやめますよなんという、こういう大胆な、勇気ある施策が行われるのだったらまた別ですけれども、屋上屋で、都市をいじめれば地方が復興できる、地方が繁栄できる、あるいは地方の過疎化が防止できる、そんな甘いものじゃないでしょう。そんなことによって、私はあえていつも言っているのは、
生活保護化を
全国で広げたって、立ち上がる自立と、希望と夢で地方で頑張ろうという、そういう機運は生まれてこないですよ。それだけに、私は、この問題について広い角度から御
検討をいただきたいと思っております。
さらに申し上げますと、このふるさと納税、このままサービス競争でいくと、東京、このままおとなしくはしていられませんよという声が出てきているんですよ。二十三区のうち十区で、サービス品を
提供する、あるいは考えているところがあるんですよ。東京をばかにしちゃいけませんよ。
例えば、千代田区。花のお江戸のど真ん中、ここだって、例えば宝塚の観劇券とか帝国劇場の観劇券とか、そういう文化的なものを仮に返礼品として出すと言ったら、
全国から大分税金が集まるんじゃないんですか。
我々江戸川区だって、何もないわけじゃないんですよ。花卉栽培が発達していますよ。そして、ランとか、あるいはさまざまな美しい花々、それをお送りしますよ。そういう返礼品だって、つくろうと思えばつくれるんですよ。
墨田区だって、大相撲の観劇券を、今人気がありますから、それをつけるとか。
そんな、お互いの
自治体同士で競争なんか、物欲競争が起きてどうするんですか。やはりこれは、今、冷静に立ち返って、税の本来のあり方、そしてふるさとに対する私たちの感謝の気持ち、あるいは疲弊していくふるさとに対して何らかの助成をしていく、みんなで、国家全体としてバックアップをしていく、そういう税制度というのか施策を考えていくべきだと思うんですよ。
そういった流れの中で、私は、幾つか提案もし、ぜひ
総務大臣の、ことしの、この春の見直しに生かしていただけたらありがたいと思うんですけれども、まず、何らかの法的な工夫をして、返礼品はやめるような、そういう流れをつくっていく。もう
一つは、例えば、返礼品の中ですばらしいのがありましたよね。田舎の実家の雪おろしをやらせますよとか、そんなものがありましたけれども、こうした
地域貢献とか社会貢献にふるさと納税の原資を特化するとか、あるいは、教育でお世話になりましたよ、だから教育環境を整備するためにふるさと納税を特化するとか、そういう工夫も必要なのではないかと思うんですね。
さらに、先ほどちょっと触れましたけれども、限度額です。
林崎税務局長、あなたたちは、いつも何兆円、何十兆円、何百億円、それが当たり前と思っているけれども、何百億円、何億円、何千万も大切なお金なんですよ。だから、そういう
意味では、限度額の二〇%というのを一〇%にする、そして、それによって広く多くの方々の共鳴をいただく、これも
一つの考え方じゃないかと思うんですね。
もう
一つは、不交付
団体を目のかたきにするの、やめましょうよ。
不交付
団体というのは、ただ努力も何もしないで税収が、
総務省が決めた一定割合以上も、基準財政需要額以上に基準財政収入額が上がっているわけじゃないんですよ。大都市は大都市なりの努力をしているんですよ。それを、一律に
総務省は線を引いて、一定以下は不交付
団体だと決め込んでいるわけでしょう。
だから、その辺ももう少し弾力的に考えたらどうですか。こういったふるさと納税は志でしょう。ふるさとに対する愛情でしょう。そして、日本の国土に対する夢と希望を与えたいという使命感でしょう。こういうものについては、不交付
団体だから一律に切っちゃおうなんて言わないで、東京から巨額の富を吸い上げているんですから、その一部を使ってきちっと補填をすればいいじゃないですか。
そういったもろもろの問題について、
高市総務大臣、御苦労は重々承知しておりまして、きのうも七時間、総務
委員会でこの問題にも触れられましたし、あしたもあるんでしょう。本当に御苦労さまでございます。私たちも
総務大臣の改革を応援したいと思っておりますので、ぜひ、この四月に向けて、
全国民が納得するようなふるさと納税のあり方をお示しいただきたいと思うんですけれども、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
〔
長坂主査代理退席、
主査着席〕