○大西(健)
委員 どんどん我々の知らないところで根回しがされて、十四日には事務局案が出てきてぽんと決まるみたいなことはあってはならないというふうに思いますので、そのことは申し上げておきたいというふうに思います。
あわせて、先月の二十九日に、残業上限、月平均六十時間、繁忙期百時間で
政府調整という内容の記事が一斉に各紙に出ました。それに先立って、二十六、二十七日だったと思いますけれ
ども、私とそれから
井坂委員が続けてこの問題についてこの予算
委員会でお聞きをしたときには、上限の具体的な目安については、貝のように口を閉ざして一切答えを拒否するという態度でありましたけれ
ども、マスコミにはリークするというやり方には、私は強く抗議を申し上げたいというふうに思います。
その上で、その中の新聞記事の
一つですけれ
ども、これは朝日新聞の記事でありますけれ
ども、これをごらんいただきたいと思うんです。
ここに表がありますけれ
ども、改めておさらいをしますと、労働時間については、労働基準法で一日八時間、週四十時間というのが法定の労働時間として定められている。これが、同法、労基法の三十六条に基づく労使協定、いわゆる三六協定ですけれ
ども、これを結べば、四十五時間、年間三百六十時間までは残業が可能になります。さらに、これに特別条項というのをつけますと、最大半年まで無制限で残業させることが可能というのが今現行の制度であります。
このため、
政府は、この労基法を改正いたしまして、今回、新たに、月平均六十時間、年間で最大七百二十時間という上限を設けるとともに、さらに、繁忙期には月百時間、二カ月平均八十時間というのを認めるという案を
検討しているということでありますが、これは一部のメディアが報じただけじゃなくて、みんな同じ内容のものを報じていますので、この内容で今調整が進められているんだというふうに思います。
また、先ほど私が紹介したきのうの実現
会議での連合の神津会長やあるいはその他の
委員の
発言も、この百時間というのを前提にしたこういう
議論がなされているわけであります。
ここで
一つ確認をしておきたいのは、私たちは、前回、八十時間という話が一部メディアに出たので、八十時間は過労死ラインと同じで長過ぎるんじゃないかという
議論をさせていただいたんですが、ここに出ているように、八十時間どころか百時間を認めるという内容が出てきて、私も腰を抜かしました。改めてしっかり確認をさせていただきたいのは、先ほど、連合の神津会長も百時間は到底あり得ないというふうに言われておりますけれ
ども、百時間では、これは働き方改革どころか過労死が続出するんじゃないかと思っているんです。
これは、出典が書いてありますけれ
ども、「健康で充実して働き続けることのできる社会へ 過労死ゼロを実現するために」という厚労省が出している啓発パンフレットの中から抜粋をさせていただいたものです。
わかりやすく図にもしてありますけれ
ども、囲みの
部分を読ませていただきますと、脳・心臓疾患に係る労災認定基準において、週四十時間を超える時間外・休日労働がおおむね月四十五時間を超えて長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まり、発症前一か月間におおむね百時間または発症前二か月間ないし六か月間にわたって一か月当たりおおむね八十時間を超える場合には、業務と発症との関連性が強いと評価される。これがいわゆる過労死ラインと呼ばれるものです。
つまり、ここに書いてあるように、月百時間、あるいは二カ月から六カ月で一カ月当たりが八十時間ですから、今示されている繁忙期百時間、そして二カ月平均八十時間というのは、まさにこれは過労死ラインそのものですよ。過労死ラインそのものなんです。
ですから、私は、
法律でこれを定めるということは、過労死するまで働かせてもオーケーという間違ったメッセージを発することにつながりかねない。例えば、ブラック企業の経営者が、
法律に八十時間働かせていいと書いてあるんだから、こういうことを言いかねないと私は思うんです。
そういう
意味で、この百時間というのは、先ほど私が申し上げました施政方針演説で
総理が二度と悲劇を繰り返してはならないと言っていることと矛盾するんじゃないですか。
総理、いかがですか。