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安倍内閣総理大臣 それと、最大のカード、最大のカードとおっしゃるんですが、まず、二つに分けて
考えていただきたいと思うんですが、極東に対する八項目の
経済協力があります。それとは別に四島での
経済活動がありますから、これを分けて
考えていただいた方がいいんだろうと思います。
八項目については、これはまさにウイン・ウインの
関係になるものを行っていこう。いわば、
ロシアにはエネルギーはあるけれども、それを開発していく
技術に欠けるところがあるから、
日本は
技術をもって
お互いにその開発をしていこうということも含めてさまざまな
協力を行う。先ほども申し上げましたように、これはODAではありませんから、民間の銀行のファイナンス、そしてそれが利益にならなければ彼らもやらないということになるわけでございます。
そして、四島においては、
意味があるのは、
お互いの立場を害さないということなんですよ、ビザ等も含めて。今まではそれができませんでしたよね。
ロシアのビザをとらなければ入れなかった、だからできなかったんですよ。今度は特別な
制度をつくる、これは進歩じゃないんですか。四島で今まで
活動できましたか、できないんですよ。完全にソ連の
制度のもとでしか
活動できなかった。そこから始めなければ、いきなり四島が返るということはないんですよ。
先ほど、雰囲気だけでは返ってこないと。当たり前ですよ、雰囲気だけでは返ってこない。しかし、その雰囲気がなければ、私が申し上げたのは、四島に住んでいる一万七千人の
ロシア人を、おまえら出ていけと言うことはなかなかできないですよ。それを前提にしたら、そもそも
平和条約交渉はできない。これは断言してもいい。
だから、四島に住んでいる住民の人たちも自分たちの帰属がかわることを理解しなければ、それはそう簡単にはいきませんよ。最後に決断するのは
プーチン大統領であって、モスクワが決断するのは厳然たる事実ですよ。しかし、その決断を行える
状況をつくっていくということが極めて重要だろうと思います。
私は実際、
プーチン大統領と長々と、さまざまな問題について話をしました。当然、温度差はありますよ、向こうが今持っているんですから、七十年間持ち続けてきたんですから。
日本は返せと言ってなかなか
実現できなかったという違いがあるんですよ。厳然たる事実として向こうが持っている。そこで、いわばまさに我々はこれに対して四島の帰属問題を解決して
平和条約を結ぶという主張をずっと続けてきて、それにたどり着く一環として特別な
制度のもとでの四島の
経済活動をやるということについては一致しているわけでありますし、同時に、
平和条約が一番大切だということをプレスに向かって、
日本国民に向かってはっきりと宣言したのも事実であります。
こういう点をちゃんと見ていただきたいと思いますし、
経済協力だけを優先して
平和条約を後回しにすることはないということもはっきり言っているんですよ。
ロシアの
大統領がそういうことを言ったのは初めてでありますから、そういうところもちゃんと評価をしていただきたい。
そもそも、最初から相手と根本的に疑り合っていては
交渉というのは成り立たないんですよ。そういう中において我々は
信頼関係をつくり、
交渉を、今までは一歩ずつではありますが、しっかりと進めていきたい、こう思っています。