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2017-06-02 第193回国会 衆議院 本会議 第31号
公式Web版
会議録情報
0
平成
二十九年六月二日(金曜日) ――
―――――――――――
議事日程
第二十五号
平成
二十九年六月二日 午後一時
開議
第一
電子委任状
の
普及
の
促進
に関する
法律案
(
内閣提出
) 第二
天皇
の
退位等
に関する
皇室典範特例法案
(
内閣提出
) ――
―――――――――――
○本日の
会議
に付した
案件
日程
第二
天皇
の
退位等
に関する
皇室典範特例法案
(
内閣提出
)
日程
第一
電子委任状
の
普及
の
促進
に関する
法律案
(
内閣提出
)
刑法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)の
趣旨説明
及び
質疑
午後一時二分
開議
大島理森
1
○
議長
(
大島理森
君) これより
会議
を開きます。 ――
――◇―――――
大島理森
2
○
議長
(
大島理森
君) お諮りいたします。
日程
第一は、これを
後回し
とするに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
大島理森
3
○
議長
(
大島理森
君) 御
異議
なしと認めます。よって、
日程
第一は
後回し
といたします。 ――
――◇―――――
日程
第二
天皇
の
退位等
に関する
皇室典範特例法案
(
内閣提出
)
大島理森
4
○
議長
(
大島理森
君)
日程
第二、
天皇
の
退位等
に関する
皇室典範特例法案
を
議題
といたします。
委員長
の
報告
を求めます。
議院運営委員長佐藤勉
君。 ――
―――――――――――
天皇
の
退位等
に関する
皇室典範特例法案
及び同
報告書
〔
本号末尾
に
掲載
〕 ――
―――――――――――
〔
佐藤勉
君
登壇
〕
佐藤勉
5
○
佐藤勉
君 ただいま
議題
となりました
法律案
につきまして、
議院運営委員会
における
審査
の
経過
及び結果を御
報告
申し上げます。
本案
は、
皇室典範
第四条の
規定
の
特例
として、
天皇陛下
の
退位
及び皇嗣の即位を実現するとともに、
天皇陛下
の
退位
後の地位その他の
退位
に伴い必要となる
事項
について
所要
の
措置
を講ずるものであります。
本案
は、去る五月三十一
日本委員会
に付託され、昨日、
菅内閣官房長官
から
提案理由
の
説明
を
聴取
し、
質疑
を行いました。
質疑終局
後、
日本共産党
から、この
法律
第一条の
趣旨規定
について、
天皇陛下
の象徴としての公的な御
活動
に言及した
部分
を削除すること等を
内容
とする
修正案
が提出され、
趣旨
の
説明
を
聴取
いたしました。 次いで、各
会派
より発言があり、採決いたしましたところ、
修正案
は
賛成少数
をもって否決され、
本案
は
全会一致
をもって
原案
のとおり
可決
すべきものと決しました。 なお、
本案
に対し
附帯決議
が付されました。 以上、御
報告
申し上げます。(
拍手
) ――
―――――――――――
大島理森
6
○
議長
(
大島理森
君) 採決いたします。
本案
の
委員長
の
報告
は
可決
であります。
本案
を
委員長報告
のとおり決するに
賛成
の
諸君
の
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
大島理森
7
○
議長
(
大島理森
君)
起立
多数。よって、
本案
は
委員長報告
のとおり
可決
いたしました。 ――
――◇―――――
日程
第一
電子委任状
の
普及
の
促進
に関する
法律案
(
内閣提出
)
大島理森
8
○
議長
(
大島理森
君) 先ほど
後回し
といたしました
日程
第一、
電子委任状
の
普及
の
促進
に関する
法律案
を
議題
といたします。
委員長
の
報告
を求めます。
総務委員長竹内譲
君。 ――
―――――――――――
電子委任状
の
普及
の
促進
に関する
法律案
及び同
報告書
〔
本号末尾
に
掲載
〕 ――
―――――――――――
〔
竹内譲
君
登壇
〕
竹内譲
9
○
竹内譲
君 ただいま
議題
となりました
法律案
につきまして、
総務委員会
における
審査
の
経過
及び結果を御
報告
申し上げます。
本案
は、
電子契約
の推進を通じて
電子商取引
その他の
高度情報通信ネットワーク
を利用した
経済活動
の
促進
を図るため、
電子委任状
の
普及
を
促進
するための基本的な指針について定めるとともに、
電子委任状取扱業務
の
認定
の
制度
を設ける等の
措置
を講じようとするものであります。
本案
は、去る五月二十九
日本委員会
に付託され、三十日
高市総務大臣
から
提案理由
の
説明
を
聴取
し、昨日、
質疑
を行い、採決いたしましたところ、
本案
は
全会一致
をもって
原案
のとおり
可決
すべきものと決しました。 以上、御
報告
申し上げます。(
拍手
) ――
―――――――――――
大島理森
10
○
議長
(
大島理森
君) 採決いたします。
本案
の
委員長
の
報告
は
可決
であります。
本案
を
委員長報告
のとおり決するに
賛成
の
諸君
の
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
大島理森
11
○
議長
(
大島理森
君)
起立
多数。よって、
本案
は
委員長報告
のとおり
可決
いたしました。 ――
――◇―――――
刑法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)の
趣旨説明
大島理森
12
○
議長
(
大島理森
君) この際、
内閣提出
、
刑法
の一部を
改正
する
法律案
について、
趣旨
の
説明
を求めます。
法務大臣金田勝年
君。 〔
国務大臣金田勝年
君
登壇
〕
金田勝年
13
○
国務大臣
(
金田勝年
君)
刑法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
趣旨
を御
説明
いたします。
性犯罪
は、
被害者
の
心身
に多大な苦痛を与え続けるばかりか、その
人格
や
尊厳
を著しく
侵害
する悪質重大な
犯罪
でありますことから、厳正な
対処
が求められておりますところ、明治四十年の
現行刑法制定
以来、基本的にその
構成要件
が維持されてまいりました
現行
の
罰則
では、
性交
と同等の
身体的接触
を伴う
強制わいせつ事案
、
親権者等
による
性交等事案
などについて、適正な
処罰
が困難な場合があるとの
指摘
がなされております。 また、
現行法
に対しては、
強姦罪
の
悪質性
、
重大性
に鑑みると、その
法定刑
の
下限
が低きに失して
国民意識
と合致しない、あるいは、
性犯罪
が
親告罪
であることにより、かえって
被害者
に精神的な
負担
を生じさせていることが少なくないなどのさまざまな御意見が見られるところであります。 そこで、この
法律案
は、
性犯罪
の
実情等
に鑑み、
事案
の
実態
に即した
対処
をするため、
刑法
を
改正
し、
所要
の
法整備
を行おうとするものであります。 この
法律案
の要点を申し上げます。 第一は、
現行
の
強姦罪
は、
強制わいせつ罪
の
加重類型
と
考え
られておりますところ、その
構成要件
を見直し、
行為者
及び
被害者
の
性別
を問わず、
暴行
または
脅迫
を用いて
肛門性交
または
口腔性交
をする
行為等
を
現行
の
強姦
と同様の重い
類型
の
犯罪
として
処罰
することとした上で、その
法定刑
の
下限
を
懲役
三年から
懲役
五年に
引き上げ
るとともに、
被害者
を死傷させた場合の
法定刑
の
下限
も
懲役
五年から
懲役
六年に
引き上げ
るものであります。また、これにあわせて、
強姦罪
の罪名を
強制性交等罪
とするものであります。 第二は、
監護者わいせつ罪
及び
監護者性交等罪
の新設であります。すなわち、十八歳
未満
の者に対し、その者を現に監護する者であることによる
影響力
があることに乗じてわいせつな
行為
または
性交等
をした者に対する
罰則
を新設することとしております。 第三は、
強姦罪等
を
親告罪
としていた
規定
を削除して、これらの罪を非
親告罪
とするものであります。 第四は、同一の機会に
強盗
の罪と
強制性交等
の罪を犯した場合について、
現行
の
強盗強姦罪
と同様の
法定刑
で
処罰
をすることとするものであります。 このほか、
所要
の
規定
の
整備
を行うこととしております。 以上が、この
法律案
の
趣旨
であります。(
拍手
) ――
――◇―――――
刑法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)の
趣旨説明
に対する
質疑
大島理森
14
○
議長
(
大島理森
君) ただいまの
趣旨
の
説明
に対して
質疑
の通告があります。順次これを許します。
井出庸生
君。 〔
井出庸生
君
登壇
〕
井出庸生
15
○
井出庸生
君 民進党、
信州長野
の
井出庸生
です。 ただいま
議題
となりました
性犯罪規定
について
刑法
の一部を
改正
する
法律案
について、
会派
を代表して質問させていただきます。(
拍手
) 冒頭、先日の
共謀罪
の
強行採決
に断固
抗議
をいたします。
性犯罪
の
罰則等
については、
平成
十六年、第百六十一回
国会
で、
衆参両院
の
法務委員会
の
附帯決議
の中で、性的自由の
侵害
に係る
罰則
の
あり方
について、さらなる
検討
が求められました。また、
平成
二十二年十二月には、第三次
男女共同参画基本計画
が
閣議決定
をされ、
強姦罪
の非
親告罪化
、
性交同意年齢
の
引き上げ
、
構成要件
の
見直し等
を
検討
することとされました。 さらに、本
法案
が法制審で議論されていた昨年から、
性暴力
の
被害当事者
の
方々
が、
当事者
の声を聞いてほしいと今日まで
活動
をされてきました。長い
活動
の御労苦に深く感謝を申し上げます。 本
法案
の議論は、苦しみの中から声を上げられた方、さらに、声を上げることができなかった多くの
方々
、御家族、
被害者
に寄り添い、
支援
に当たってこられた
関係者
の
方々
の努力の結実です。その本
法案審議
よりも
共謀罪
を先行させた政府・与党に強く
抗議
をするとともに、私は、
当事者
の声を受けとめ、本
法案
に一層の改善を求めてまいります。 フランスの
学者ジョルジュ・ヴィガレロ
の書いた「
強姦
の歴史」という本には、画期的と評される一九七八年の
強姦裁判
、エクスの
裁判
に関する
言葉
として、
被害者
が、
強姦
、それは破壊でした、私
たちそのもの
を破壊することでしたと、
被害者
の
弁護人
は、
強姦
の日から、彼女
たち
は内面に入り込んで離れない死を抱えて生きなければならないのですと、それぞれ述べていた旨書かれています。
強姦
が魂の殺人と言われるゆえんです。
強姦罪
は、
制定
当時、
家父長制度
を
前提
とし、夫に従属する妻の
保護
を目的としたと言われています。戦後、この
価値観
は否定され、
判例
、通説では、
強姦罪
の
保護法益
は性的自由の
侵害
とされています。 今回の
法改正
で、
強姦罪
の
構成要件
から「女子を姦淫した」との
規定
が削除され、
被害者
の
性別
を問わないこととした点や、
強姦罪
の
処罰対象
となる
行為
を拡張した点は、
実態
に即したものと言えます。しかし、
被害者
が
性交
と同
程度
の深刻な
被害
を負ったとしても、男性の性器ではない、指や
異物
の膣、
肛門
への
挿入行為
は、
強姦罪改め強制性交等罪
になっても
規定
はされませんでした。 そこで、
強制性交等罪
の
保護法益
は何か、伺います。 本
法案
の
保護法益
は、性的自由のみにとどまるのか、それとも、
先ほど提案理由説明
で言及をされた、
被害者
の
人格
や
尊厳
、
心身
を守ることも
保護法益
とするのか、端的に
答弁
を求めます。
被害者
の
立場
に立てば、指や
異物
を膣、
肛門
へ挿入される
行為
は、性的な侵襲があったという点で、深い傷を負う
強姦
と変わりません。
被害者
の
人格
や
尊厳
、
心身
を守ることも
保護法益
とするのであれば、これらの
行為
も
強制性交等罪
とするべきとの立論も十分
考え
られますが、
見解
を求めます。 本
改正案
においても、
強制性交等罪
は、
暴行
または
脅迫
が
要件
となっています。
強姦
は不
同意
だけでは
成立
をせず、
被害者
の抗拒を著しく困難ならしめる
程度
の
暴行
または
脅迫
を用いることが
要件
とされる、これまでの
考え
方が維持されてきました。 十四歳の女の子が
恐怖
の
余り抵抗
ができなかったことをもって、
暴行
、
脅迫要件
を満たさず、
強姦罪
が
成立
しないとの
判例
があります。
恐怖
で身がすくむ、殺されるかもしれないと思って抵抗できない、これは
被害者
に起こる普通の
反応
です。
恐怖
の
余りフリーズ
をする、あるいは
解離症状
が起きる、こうした
反応
と、
強姦罪
の
構成要件
に
暴行
、
脅迫要件
を課すことの
合理性
についてどのようにお
考え
ですか。
現行刑法
は、百七十七条で
強姦罪
、百七十八条第二項で準
強姦罪
を
規定
しています。
強姦
と準
強姦
の違いは
構成要件
です。
強姦
は
暴行
、
脅迫
、準
強姦
は
心神喪失
もしくは抗拒不能に乗じる、またはそうした
状態
にさせることが
構成要件
です。 しかし、
強姦
と準
強姦
の
法定刑
は同じです。
強姦
も準
強姦
も、ともに
強姦
です。
強姦
と準
強姦
を
一つ
にして、
暴行
、
脅迫
を抗拒不能、
心神喪失
に陥らす
行為
の例示とし、
強制性交等罪
、準
強制性交等罪
の新たな
構成要件
として、抗拒不能を中心に一本化した
規定
をすることは
十分検討
に値すると
提案
をしますが、
見解
を求めます。 十三歳と
規定
をされている
性交同意年齢
の
引き上げ
については、
本法改正
には盛り込まれておりません。問題としたいのは、
同意
とは何かということです。
臨床心理士
の
藤岡淳子
さんの本「
性暴力
の
理解
と
治療教育
」には、真の
同意
に必要な
六つ
の
要件
が挙げられています。
一つ
、
同意
とは、
年齢
、
成熟
、
発達レベル
、経験に基づいて、指示された何らかの性
行為
が何であるかを
理解
していること。二つ、提示されたことへの
反応
について
社会
的な標準を知っていること。三つ、生じ得る結果や他の選択肢を認識していること。四つ、
同意
するのもしないのも同様に尊重されるという
前提
があること。五つ、
自発的決定
であること。
六つ
、精神的、知的な能力があること。まとめますと、
同意
する
内容
を
理解
し、
対等性
があり、
強制性
がないという条件がそろって初めて真の
同意
と言えます。
性交同意年齢
は、
女性
の
身体的成長
時期などから十三歳と定められたと聞いていますが、十三歳が、さきの六
要件
を満たす
同意
が可能と
考え
るかどうか、
見解
を求めます。
同意
に関連して、
性教育
は十分と言えるのか。私は、
小中高校
で、それぞれで広く使用されている
教科書
の
性教育
について
文部科学省
から
説明
を受けました。
教科書
には、主に
男女
の
身体的特徴
の
観点
からの記載があります。また、中学、
高校
では、お互いの
理解
、尊重についても多少の記述があります。
性交年齢
が低
年齢
化していると言われる中、本
法案
の
改正
を機に、
同意
や相手を尊重することなど、
男女
間の心の
部分
について、
性教育
で一層取り組むよう
通達
を出すことが、
性犯罪
、
性暴力
、
性非行
を少しでも減らすことにつながると
考え
ます。
通達
を御
検討
いただけますでしょうか。 本
改正案
では、
監護者わいせつ罪
及び
監護者性交等罪
が新設されます。本人からの
被害申告
や
暴行
、
脅迫要件
を満たさなくても、現に監護する者による
性的虐待
に対して
刑事罰
を問うことができます。 現に監護する者の
典型例
として、実親や
養親等
が挙げられるとのことですが、先ほどの真の
同意
の
観点
から
考え
ますと、
子供
は
生活
の全てを親に
依存
する存在です。
対等性
はなく、
強制性
があり、それらの
行為
について真の
同意
は
考え
られない
関係
です。本
改正案
には「
影響力
があることに乗じて」と
規定
がありますが、内縁も含めて、親であれば、その
立場
をもって
影響力
があることに乗じてと解釈をし、他の要素を必要としないと
考え
てもよろしいでしょうか。 さらに、
教師
による、
被害生徒等
の
意思
に反した
性交等
も、逆らうこと自体が
被害者
の
生活基盤
を失うおそれがある場合には、この
規定
が適用される
可能性
はありますか。 幼いころの
近親者
による
性的虐待
は、生涯にわたり大きな
影響
を与えます。
現行法
では、
強姦罪
の
公訴時効期間
は十年、
強制わいせつ罪
は七年ですが、
未成年
への
強姦行為等
については、成人した後に
被害
を認識できるようになる
可能性
もあります。
時効
を延ばすことについては、
証拠
の
散逸等
から否定的な
考え
もありますが、
児童ポルノ被害
の
深刻化
などに鑑みれば、
被害者
が成人もしくは自立してからでも
被害申告
ができるように、
未成年者
を
対象
に、
時効
を一定年数停止することも重要な
検討事項
と
考え
ますが、
見解
を伺います。 全く根拠のない、
強姦神話
と呼ばれるものがあります。例えば、
強姦
の
加害者
のほとんどは見知らぬ人であるという話です。しかし、
平成
二十六年の
強姦
の
検挙件数
に占める
被害者
と面識がある
容疑者
の割合は五〇・九%となっています。 先月二十九日、
東京霞が関
の
司法記者クラブ
で一人の
女性
が
記者会見
をしました。報道によりますと、
女性
は知り合いの著名な
ジャーナリスト
から
性暴力
を受け、
警察
が準
強姦容疑
で
捜査
をしたものの不
起訴
となったため、不
起訴処分
を不服として
検察審査会
へ
審査
を申し立てたということです。 この
事件
を
最初
に提起した
週刊新潮
によると、著名な
ジャーナリスト
には準
強姦容疑
で
逮捕状
が出たものの
逮捕
に至らず、
警視庁
の当時の
刑事部長
が、私が決裁した、
自分
として
判断
した覚えがあるなどと
週刊誌
の直接取材に答えています。 管轄の
警察署
を超えて
警視庁幹部
が
判断
をすることには元
警察関係者
からも疑問の声が上がっています。不
起訴
となっているこの
事件
は、
警視庁
の
刑事部長
が
判断
を下す特別な
捜査本部体制
が
最初
からしかれていたのでしょうか。
国家公安委員長
に
答弁
を求めます。
検察審査会
への
審査
の申し立ては、公正な
捜査
を尽くしてほしいという願いにほかなりません。
被害者
にとって、
性暴力
が
犯罪
であるかどうかは、
被害者
の回復に大きな
影響
を与えると言われています。有罪になれば、
自分
が悪いのではなくて
加害者
に
責任
があると、より明確に思うことができ、また、不十分ながらも
公的サポート
を受けることができます。
刑事
や
検察
官が頑張っている姿に力をもらえると、
性暴力
と
刑法
を
考え
る
当事者
の
会代表山本潤
さんは著書の中でこのように述べています。
会見
を開いた
女性
には、励ましの声がある一方、
会見
時の服装など、
事件
と無
関係
の批判も見られます。
性暴力
や
性犯罪
の
被害者
への
支援
は、
社会
を挙げて取り組むべきものです。
国家公安委員長
には、この
事件
について、
捜査
の
いきさつ
を検証し、
説明
する
責任
がございます。個別の
案件
にはコメントを控えるという
答弁
では、これまでの
捜査
の公正さを証明することはできません。
国家公安委員長
に、事実
関係
の確認と、
捜査
の
いきさつ
を検証する
意思
はあるか、
答弁
を求めます。 本
法案
では、
強姦罪等
が非
親告罪
となりました。
被害者
の
プライバシー
をどのように守るのか、
答弁
を求めます。 また、幼い
子供
の
性犯罪被害
、
虐待事案
の際に、
子供
の
負担
にならないようにしつつ、正確な供述を得ていくための
司法面接
の
導入
の
必要性
について
見解
を伺います。
性犯罪
には、厳正な
処罰
と
被害者
への適切な
支援
が必要です。
被害者支援
のための
ワンストップ支援センター設置
を強力に推進する
法案
を、昨年、五野党で共同
提案
いたしました。本
法案
とともに、この
性暴力被害者支援法案
もセットで
成立
をさせていただき、両輪で
被害者
を支えるべきと
考え
ますが、
見解
を伺います。
性暴力被害
の
当事者
として、多くの困難を乗り越えてこられ、また
被害者支援
にも取り組んできた
山本潤
さんは、
被害者
が認められていない
社会
の
実態
について、次のように述べております。彼らは知らないだけなのだ、そのような
恐怖
を感じる世界があることを想像もできないだけなのだと。 この
言葉
と真摯に向き合って、
性暴力
、
性犯罪
が少しでもなくなるよう、本
法案
にとどまらず、
教育
、
被害者支援
など、多岐にわたって論点を深めてまいります。 以上で質問を終わります。(
拍手
) 〔
国務大臣金田勝年
君
登壇
〕
金田勝年
16
○
国務大臣
(
金田勝年
君)
井出庸生
議員
にお答えを申し上げます。 まず、
強制性交等罪
の
保護法益
について
お尋ね
がありました。
強姦罪
の
保護法益
については、
一般
に、性的自由または
性的自己決定権
と解されていると
承知
をしており、
強制性交等罪
の
保護法益
についても同様と
考え
ております。
強制性交等罪
などの
性犯罪
は、
被害者
の
人格
や
尊厳
を著しく
侵害
するものであると認識をしております。もっとも、
刑法
上の罪の
保護法益
は、一定
程度
具体化された利益として把握されていると
考え
られます。そして、
被害者
の
人格
や
尊厳
を侵す
犯罪
は
性犯罪
に限られないことからも、
人格
や
尊厳
を
性犯罪
の
保護法益
とするのは抽象的に過ぎると
考え
られます。 次に、
強制性交等罪
の
処罰対象
となる
行為
の範囲について
お尋ね
がありました。 ただいま
答弁
しましたように、
強制性交等罪
の
保護法益
は、性的自由または
性的自己決定権
であると
考え
ております。 膣や
肛門
への
異物等
の
挿入行為
については、
異物
にもさまざまなものがあり、その
被害
の
重大性
が一律に
性交等
と同等とまでは言いがたいことから、
強制性交等罪
の
処罰対象
とはしておりません。 なお、御
指摘
の
行為
に対しては、
強制わいせつ罪等
により、
事案
の
実態
に即した
対処
がなされるべきであると
考え
ております。 次に、
暴行
または
脅迫
を
強制性交等罪
の
構成要件
とすることの
合理性
について
お尋ね
がありました。
強姦罪
における
暴行
または
脅迫
は、その
保護法益
である性的自由または
性的自己決定権
を
侵害
する
行為
であることを示す客観的な
要件
であり、その
程度
は、反抗を著しく困難ならしめる
程度
のものであれば足りると解されております。具体的には、
被害者
の
年齢
、
精神状態
のほか、
行為
の場所の状況、時間
等諸般
の
事情
を考慮し、御
指摘
のように
被害者
が
恐怖感
から抵抗できない場合においても、
事案
に即した適切な
判断
がなされているものと
考え
ております。 このような客観的な
要件
を定めていることには
合理性
があると
考え
ております。 次に、
現行法
の
強姦
と準
強姦
を一本化すべきではないかとの
お尋ね
がありました。
現行法
における
強姦罪
と準
強姦罪
との区別は適切に機能しているものと
考え
られますので、直ちに御
指摘
のような
改正
が必要とは
考え
ておりません。 次に、十三歳の者が
性交
に
同意
することが可能であるかについて
お尋ね
がありました。 十三歳の者の
心身
の発育の
程度
には
個人差
があると思われますが、
現行刑法
は、十三歳
未満
の者については、
暴行
、
脅迫
がなくても、一律に、
同意
の有無を問わず
強姦罪
が
成立
するとしているものであります。 この
年齢
を
引き上げ
ることは、
若年者
の性的自由を過度に制約する側面がある一方、未
成熟
な
児童
については
児童福祉法
や条例により
保護
が図られていることなどを考慮し、今回の
改正案
では、この
年齢
の
引き上げ
を行うこととはしておりません。 次に、
監護者性交等罪
における
要件
の
認定
に関する
お尋ね
がありました。
監護者性交等罪
は、
行為者
が十八歳
未満
の者を現に監護する者であることが
要件
であります。その上で、十八歳
未満
の者を現に監護する者であれば、
一般
に、その十八歳
未満
の者に対して、監護する者であることによる
影響力
があるものと
考え
ており、その
影響力
を及ぼしている
状態
で
性交等
をすれば、
監護者
が
影響力
があることに乗じていると言えると
考え
ております。 次に、
教師
に対し
監護者性交等罪
が
成立
する場合があるかとの
お尋ね
がありました。
監護者性交等罪
の、現に監護する者に当たるか否かは、個別の
事案
における具体的な事実
関係
により
判断
されるものでありますが、
一般
的には、現に
生活全般
にわたって
依存
、被
依存
ないし
保護
、被
保護
の
関係
が認められ、かつ、その
関係
に
継続性
が認められることが必要であると
考え
ております。 その上で、
一般論
として申し上げれば、
教師
については、通常は、
生徒
との間に
生活全般
にわたる
依存
、被
依存
ないし
保護
、被
保護
の
関係
が認められないことから、現に監護する者に当たらない場合が多いものと
考え
られます。 次に、
未成年者
を
被害者
とする
性犯罪
の
公訴時効
を停止する
制度
の
導入
について
お尋ね
がありました。 時の
経過
による
証拠
の
散逸等
に基づく法的安定の
要請
と
犯人処罰
の
要請
の調和という
公訴時効制度
の
趣旨等
に鑑みますと、
未成年者
を
被害者
とする
性犯罪
についてのみ
公訴時効
を停止する
制度
を設けることについては、慎重な
検討
を要するものと
考え
ております。 次に、
性犯罪
が非
親告罪化
された場合における
犯罪被害者
の
保護
のための
方策
について
お尋ね
がありました。
強姦罪等
を非
親告罪
としても、
事件
の
処分等
に当たっては
被害者
の心情に適切な配慮がなされるものと
考え
ており、また、
公判等
の
刑事手続
においては、
ビデオリンク方式
による
証人尋問等
の
被害者
の
プライバシー
を
保護
するための
方策
が活用されることとなると
考え
ております。 次に、
司法面接
の
導入
について
お尋ね
がありました。
現行法
のもとでも、例えば、
被害児童
の
事情聴取
に際し、
児童相談所
、
警察
及び
検察
の三者において協議を実施し、いずれかが代表して、
司法面接
の手法を活用した
聴取
を行う
取り組み
を積極的に進めており、引き続きこのような
取り組み
を進めてまいります。 最後に、
性暴力被害者
の
支援
に関する
法律案
をあわせて
成立
させるべきではないかとの
お尋ね
がありました。
性暴力被害者支援
に関する
法律案
は、
議員提案
により既に本院に提出されているものと
承知
をいたしております。
国会
における
法案審議
の
あり方
につきましては、
国会
においてお決めいただく事柄であり、
法務大臣
として申し上げるべきことではないと
考え
ております。 いずれにせよ、政府として、引き続き
性犯罪
被害者支援
のための
取り組み
を進めることは重要であると
考え
ております。(
拍手
) 〔
国務大臣
松野博一君
登壇
〕
松野博一
17
○
国務大臣
(松野博一君) 井出
議員
から
一つ
御質問がございました。
同意
や相手を尊重することなど、
男女
間の心の
部分
について、
性教育
で一層取り組むよう
通達
を出すことを
検討
していただけないかとの
お尋ね
でございますが、性に関する適切な態度や行動の選択について
理解
するためには、学校における性に関する指導は重要であると認識をしています。 これまで、
文部科学省
では、学校における性に関する指導が適切に実施されるよう、教職員を
対象
とした研修会の実施、各地域における学校保健に関する課題解決に向けた
取り組み
に対する財政
支援
等を行ってきたところです。
文部科学省
としては、引き続き、御
提案
の
通達
を発出することの
検討
も含め、学校における性に関する指導の充実に努めてまいります。(
拍手
) 〔
国務大臣
松本純君
登壇
〕
松本純
18
○
国務大臣
(松本純君)
警視庁
において
捜査
した
刑事
告訴
事件
に関する
捜査
体制について
お尋ね
がありました。 まず、
警察署
が行っている
捜査
に関して、
警察
本部が適正
捜査
の
観点
から指導等を行うのは通常のことであり、
お尋ね
のような特別な
捜査本部体制
がなければ指導等ができないものではありません。 特に、専門性の高い
性犯罪
の
捜査
に関しましては、その適正確保等のため、全ての都道府県の
警察
本部に専門の指導官が置かれ、平素から
警察署
の
捜査
幹部への指導等に当たっているところであります。 次に、同告訴
事件
に関する事実
関係
の確認及び検証について
お尋ね
がありました。
お尋ね
の
事件
の事実
関係
については、
警視庁
において、告訴を受理し、法と
証拠
に基づき必要な
捜査
を遂げた上で、
関係
書類及び
証拠
物を東京地方
検察
庁に送付したものであり、また、送付を受けた
検察
庁においても必要な
捜査
が行われたものと
承知
しています。
警視庁
において必要な
捜査
が尽くされ、また、
検察
庁で不
起訴処分
となっていることなども踏まえ、検証を行うことは
考え
ておりません。(
拍手
) ――
―――――――――――
大島理森
19
○
議長
(
大島理森
君) 國重徹君。 〔國重徹君
登壇
〕
國重徹
20
○國重徹君 公明党の國重徹です。 私は、公明党を代表し、ただいま
議題
となりました
刑法
の一部を
改正
する
法律案
について質問をいたします。(
拍手
) それまでの
自分
は死んでしまった。
被害者
のこのような声に象徴されるように、
性犯罪
は魂の殺人です。 人間としての
尊厳
を踏みにじる暴挙の最たるもので、
被害
に遭ったときだけではなく、その後の
被害者
の人生に長きにわたって深い傷跡を残す卑劣かつ重大な
犯罪
です。 今般の
法改正
は、
制定
から百十年が
経過
した
刑法
の
性犯罪
に関する
規定
を
被害
の実情に即したものとする極めて重要なものです。 この
改正
の大きな後押しとなった力、それは、
心身
ともに筆舌に尽くしがたい苦痛を受けながらも、
自分
と同じような苦しみを味わう人を少しでも減らしたい、こういった思いで
性犯罪被害
の
実態
を訴え続けた
被害者
の
方々
の存在でした。 この思いを胸に、以下、具体的な
改正
事項
について質問をいたします。 まず、本
改正案
では、
強姦罪
の
構成要件
を見直すとともに、その
法定刑
を
引き上げ
ています。
現行刑法
が
制定
された明治時代はいまだ男性中心の
社会
であり、その中で
強姦罪
は、
被害者
は
女性
のみ、
行為
は姦淫のみが
処罰
の
対象
とされていました。これはともすれば、
家父長制度
を
前提
とした、
女性
の貞操の
保護
をも念頭に置いた、
社会
的な性秩序を維持するためのものと受け取られることもありました。 しかし、あくまで
強姦罪
の
保護法益
は性的自由や
性的自己決定権
であり、これは、全ての人の
人格
や
尊厳
に根差す重要な権利です。意に反する性
行為
によって
人格
や
尊厳
がじゅうりんされるのは、
女性
のみならず、男性や性的マイノリティーの
方々
であっても同じです。男性のレイプ
被害
についてのアメリカの調査によると、PTSDの発症率は
女性
の場合とほとんど変わらない、むしろ男性の方が高いという結果も出ています。 今回の
改正案
では、
被害者
はその
性別
を問わず、性的マイノリティーの
方々
を含むあらゆる人を
対象
にしています。また、
強姦罪
の罪名を
強制性交等罪
に改め、
処罰
の
対象
となる
行為
を、膣
性交
に限らず、それに類する
肛門性交
や
口腔性交
にまで拡大し、その
法定刑
の
下限
を
懲役
三年から
懲役
五年に
引き上げ
ております。これらの
改正
は、
性犯罪
についての
考え
方そのものを変える意義あるものと受けとめています。 そこで、金田
法務大臣
に、改めて、
強姦罪
の
構成要件
や
法定刑
を見直した
趣旨
について
答弁
を求めます。 次に、
暴行
、
脅迫要件
に関して伺います。
強制性交等罪
が
成立
するための
要件
として、
強姦罪
と同じく、
暴行
または
脅迫
が必要とされております。 この点、
被害者
の
方々
からは、抵抗できなかったがゆえに
暴行
、
脅迫
が
認定
されなかった、
被害
に直面した際に生じる生理的
反応
や心理
状態
が
理解
されていないなどといった意見があり、
暴行
、
脅迫要件
の撤廃を望む声が上がっております。 他方で、
暴行
、
脅迫
の有無の
認定
については、実務上、周囲の状況、相手方との人間
関係
、
被害者
の
年齢
、
事件
に至るまでの経緯など、さまざまな要素を考慮して
判断
することとされており、
被害者
が抵抗できなかった場合でも、
暴行
、
脅迫
が認められる例もあります。このようなことに鑑みれば、まずは、
暴行
、
脅迫
をいかに的確に
認定
するか、ここがポイントになると
考え
ます。 そこで、
被害者
の
方々
の声を真摯に受けとめ、
被害者
の心理
状態
等に関する調査研究をより一層推進すること、そして、
裁判
官、
検察
官などに対し、これらの知見を踏まえた研修の充実を一層図っていくことが必要と
考え
ます。金田
法務大臣
の
見解
を伺います。
監護者わいせつ罪
、
監護者性交等罪
に関して伺います。 本
改正案
では、家庭内での
性的虐待
に厳正に
対処
すべく、全く新しい
刑法
上の
罰則
、具体的には、親などの
監護者
が、十八歳
未満
の
子供
に対し、その
影響力
に乗じてわいせつな
行為
や
性交等
を行った場合の
罰則
を新設しております。 家庭における
性的虐待
は、より
被害
が潜在化、継続化する傾向にあり、最も安全であるはずの場所を奪われた
子供
たち
は、性的な発達を含め、人間としての成長過程全体が大きくダメージを受けることになります。
社会
全体で
子供
への
性的虐待
をなくす努力がなされないのであれば、それは
加害者
を暗黙のうちに許容したのと同じことです。今般の
監護者性交等罪
などの創設は、
子供
に対する
性的虐待
が絶対に許されない
犯罪
であるという強いメッセージを
社会
に発することになります。 金田
法務大臣
にお伺いします。
強制性交等罪
や
強制わいせつ罪
とは別に、
監護者性交等罪
などを創設した
趣旨
は何なのか。また、
監護者性交等罪
などのように
被害者
が
子供
である場合には、
捜査
の過程において、
事情聴取
の
負担
を軽減するなど、
子供
の特性を踏まえた特段の配慮が必要と
考え
ますが、これに関する
見解
、
取り組み
について
答弁
を求めます。
性犯罪
が
親告罪
であるがために、
被害者
は
加害者
の
起訴
、不
起訴
をみずから決めざるを得ないなどの精神的
負担
をこうむってきました。そこで、本
改正案
では、
性犯罪
を非
親告罪化
することとしております。 もっとも、
現行法
で
親告罪
としている
趣旨
は、
事件
を公にしたくないという
被害者
の存在も考慮し、その
意思
を尊重する点にあります。 そこで、非
親告罪
とされた後も、
事件
の処分や
捜査
、公判の各過程において、
被害者
の
プライバシー
や心情への配慮は十分になされる必要があると
考え
ますが、この点に関する金田
法務大臣
の
見解
を伺います。
性犯罪
への対策については、これまで政府一体となって、第三次
犯罪被害者
等基本計画に基づいてさまざまな施策を講じてきました。実効的な対策を講じるためには
被害
の
実態
の把握が不可欠ですが、
被害
が顕在化しにくい
性犯罪
に関する
実態
調査をするに当たっては、より細やかな配慮が必要です。 この点、例えば、内閣府では
男女
間における暴力に関する調査を実施してきたものの、従来の調査票では、
女性
に対してのみ、無理やり
性交
されたかどうかを質問するなど、不十分な点も見受けられます。 そこで、今回の
法改正
を踏まえ、
女性
のみならず、男性や性的マイノリティーの
方々
を含めた
性犯罪
、
性暴力被害
の
実態
をより正確に把握すべく、調査
対象
や調査項目のさらなる充実を
検討
し、
性犯罪
の対策を一層強力に推進すべきと
考え
ます。これに対する
見解
、決意について、
男女
共同参画を担当する加藤大臣、
犯罪被害者
施策を担当する松本
国家公安委員長
の
答弁
を求めます。 結びに、本
法案
の審議を通じて、
性犯罪被害
の
実態
、
被害者
の痛みに対する
理解
が深まり、その
支援
の重要性が改めて認識されることを期待するとともに、全ての人の性が尊重し合える
社会
を築くため全力で邁進することを誓い、私の質問といたします。 ありがとうございました。(
拍手
) 〔
国務大臣金田勝年
君
登壇
〕
金田勝年
21
○
国務大臣
(
金田勝年
君) 國重徹
議員
にお答えを申し上げます。 まず、
強姦罪
の
構成要件
と
法定刑
の見直しの
趣旨
について
お尋ね
がありました。
強姦罪
は、女子に対する姦淫、すなわち
性交
のみを
対象
としておりますが、
肛門性交
や
口腔性交
については、
性交
と同等の
悪質性
、
重大性
が認められると
考え
られること、
性交等
の
被害
によって身体的、精神的に重大な苦痛を受けることには性差がないと
考え
られることから、
強制性交等罪
には
肛門性交
、
口腔性交
も含むこととした上、
行為者
及び
被害者
の
性別
も問わないことといたしました。 また、
強姦罪
の
法定刑
に対する近時のさまざまな御意見や量刑の
実情等
を踏まえ、
強姦罪
の
法定刑
の
下限
を
懲役
五年に
引き上げ
ることといたしました。 次に、
被害者
心理に関する調査研究の推進及び研修の充実について
お尋ね
がありました。
強姦罪
における
暴行
または
脅迫
の
程度
は、
判例
上、反抗を著しく困難ならしめる
程度
のものであれば足りると解されておりますが、その
認定
に当たっては、
被害者
の心理
状態
を適切に考慮することが重要であるとの
指摘
があります。
被害者
心理に関する調査研究を推進するとともに、それらの専門的知見をも踏まえた研修等を実施することは、
被害者
の心理
状態
等についてさらに
理解
を深めるために有用であると
考え
ており、その充実を図ってまいりたいと
考え
ております。 次に、
監護者性交等罪
を創設する
趣旨
と
捜査
における年少の
被害者
への配慮について
お尋ね
がありました。
監護者性交等罪
は、
監護者
が十八歳
未満
の者に対して、
暴行
や
脅迫
を用いることなく
性交等
を繰り返す
事案
があるという
実態
に即した
対処
をするため、
暴行
、
脅迫
を
要件
とせず、
監護者
であることによる
影響力
があることに乗じて
性交等
をした場合に、
強制性交等罪
と同様に
処罰
するために設けるものであります。
被害者
が
児童
である場合における配慮については、例えば、
事情聴取
に際しまして、
児童相談所
、
警察
及び
検察
の三者の間において協議をし、いずれかが代表して
聴取
を行って、
被害児童
の
負担
を軽減するなどしておる次第であります。
監護者性交等罪
の
被害者
につきましても、このような
取り組み
がより一層推進されるものと
考え
ております。 最後に、
性犯罪
の非
親告罪化
後における
被害者
の
プライバシー
や心情への配慮について
お尋ね
がありました。 御
指摘
のとおり、
性犯罪
につきましては、
事件
の
内容
等が公になることを望まない
被害者
もおられることなどから、
事件
の
処分等
に当たって、
被害者
の
プライバシー
や心情に配慮することなどが重要であるものと認識をいたしております。
検察
当局においては、これまでも
被害者
の
意思
を丁寧に確認するなどしてきたものと
承知
しておりますが、
性犯罪
が非
親告罪化
された後においても、今回の
改正
の
趣旨
を踏まえ、一層の配慮に努めることになるものと
考え
ております。(
拍手
) 〔
国務大臣
加藤勝信君
登壇
〕
加藤勝信
22
○
国務大臣
(加藤勝信君) 國重
議員
より、
性犯罪
、
性暴力被害
の
実態
調査における調査
対象
や調査項目の充実について
お尋ね
がございました。
性犯罪
や
性暴力
は、
性別
を問わず、人権を著しく踏みにじるものであり、決して許される
行為
ではありません。 ただいま御
指摘
のありました
男女
間における暴力に関する調査については、本年度実施をすることとしておりますが、その実施に当たっては、本
改正案
の
趣旨
も踏まえ、調査
対象
や調査項目について
所要
の見直しを行うこととしております。 今後とも、
性犯罪
、
性暴力被害
の
実態
把握に努めるとともに、
被害者支援
の充実に取り組んでまいります。(
拍手
) 〔
国務大臣
松本純君
登壇
〕
松本純
23
○
国務大臣
(松本純君)
女性
のみならず、男性や性的マイノリティーを含めた
性犯罪被害
のより正確な把握についての
お尋ね
がありました。
犯罪被害者
等施策は、
犯罪被害者
等が置かれている状況や必要としている
支援
等、その
実態
を踏まえて推進することが重要であると認識しております。 昨年四月に策定され、
平成
三十二年度末までを計画期間とする第三次
犯罪被害者
等基本計画においても、
犯罪被害者
等の状況把握等のための調査実施に向けた
検討
が盛り込まれております。
性別
を問わず、
性犯罪被害
は潜在化しやすく、調査
対象
者の抽出に工夫を要するとともに、調査の実施に当たっては、
被害者
の心情等に十分配慮する必要があるなど、今後
検討
すべき課題があるものの、引き続き正確な
犯罪被害者
の
実態
把握に努め、その結果を踏まえ、
関係
省庁と連携し、適切な
犯罪被害者
等施策の推進に努めてまいります。(
拍手
) ――
―――――――――――
大島理森
24
○
議長
(
大島理森
君) 池内さおり君。 〔池内さおり君
登壇
〕
池内さおり
25
○池内さおり君 私は、
日本共産党
を代表して、
強姦罪
の
構成要件
及び
法定刑
を改めて
強制性交等罪
とするなどの
刑法
改正案
について質問をいたします。(
拍手
) まず、日本の
性犯罪
の現状についてです。
性暴力
は魂の殺人と言われています。
被害者
の
心身
、
生活全般
に長期の深刻な打撃を与え、PTSDをも発症させます。 しかし、
被害申告
できる人はごくわずかで、二〇一四年の内閣府調査で、異性から無理やり
性交
された経験のある
女性
のうち、
警察
への相談は四%にすぎません。
被害者
数は、実に推計年間十六万人に上りながら、
警察
に届けられるのは数%、検挙、
起訴
されて有罪が言い渡される
加害者
は五百人にとどまっています。重大なことは、圧倒的多数の
被害
が見えなくさせられていることです。 先日、
検察審査会
に申し立てた詩織さんは、レイプの
被害
に遭ったことで、
性犯罪
の
被害者
を取り巻く法的、
社会
的状況が、
被害者
にとってどれほど不利に働くものか痛感したと述べています。告訴をし、
逮捕状
が出ていたにもかかわらず、
加害者
は
逮捕
もされず、不
起訴
とされたというのです。大多数の
加害者
が野放しにされています。この現実をどう認識していますか。
関係
大臣の
答弁
を求めます。
現行刑法
は、百十年前、家父長制のもとで、
女性
が無能力者とされていた時代に
制定
されました。
強姦罪
の
保護法益
は、性的秩序の維持や貞操の
保護
というものでした。この
規定
は今日まで抜本
改正
がないまま運用されてきました。戦後、個人の
尊厳
、
男女
平等を定めた日本国憲法のもと、
保護法益
は性的自由などとする解釈に変更されてきましたが、同じ条文で異なる
保護法益
を実現することは不可能なのです。 現に、最も権威のある
教科書
とされた「注釈
刑法
」一九六五年版は、「些細な
暴行
・
脅迫
の前にたやすく屈する貞操の如きは本条によつて
保護
されるに値しない」としていました。こうした
考え
方が、今日でも、司法、
捜査
当局に大きな
影響
を与えているのではありませんか。 今回の
改正
に当たり、
保護法益
を性的自由にとどめず、
心身
の完全性、人間の
尊厳
、
人格
そのものを脅かす性的
暴行
からの
保護
と、抜本的に改めるべきではないですか。 国連は、
女性
に対する暴力を定義し、性に基づく一切の暴力を根絶する姿勢を明確にしました。さらに、ジェンダーバイアス、性差別に基づく偏見を取り除き、真に
被害者
の視点に立ち、各国は
法改正
をこの三十年間積み重ねてきたのです。我が国
刑法
が規範としてきたドイツでも、昨年、
被害者
の明示的な
意思
に反すれば、
暴行
、
脅迫要件
は不要、このような
改正
が行われました。各国の動向をどう認識していますか。 我が国は、国連諸機関から、
構成要件
の見直し、夫婦間
強姦
規定
の明示、十三歳以上とされている
性交同意年齢
の
引き上げ
等の勧告を繰り返し受けてきました。どのように受けとめ、実現するおつもりですか。
被害
を訴え出るまでには長い時間を要します。
公訴時効
の撤廃、あるいは
未成年
が成人するまで
時効
を停止するなど、欧米諸国や韓国並みの
制度
にするべきではありませんか。
性暴力
の根絶は、
社会
の意識変革なしにはあり得ません。ワンストップ
支援
センターを国連が求める二十万人に一カ所設置することは急務です。
加害者
への適正な
処罰
、刑務所内外での更生プログラムの
制度
化、
警察
、
検察
、
裁判
官へのジェンダー
教育
の抜本的強化を求めます。 最後に、世界経済フォーラムが公表したジェンダーギャップ指数で、我が国は百四十四カ国中百十一位と極めて不名誉な位置にあります。個人の
尊厳
は、あらゆるセクシュアリティーを生きる人々に保障されなければなりません。今回の
改正
を第一歩に、さらなる
改正
を求め、質問を終わります。(
拍手
) 〔
国務大臣金田勝年
君
登壇
〕
金田勝年
26
○
国務大臣
(
金田勝年
君) 池内さおり
議員
にお答えを申し上げます。 まず、
性犯罪
の
被害者
による
被害申告
等の状況について
お尋ね
がありました。
警察
に認知されていない
性犯罪
の件数については把握することが困難でありますが、
性犯罪
は特に
被害
が潜在化しやすい
犯罪
であると認識をしております。
性犯罪
の
加害者
に対し適正な
刑事
処分を行うことは重要であり、
被害者
の
プライバシー
の
保護
や心情への配慮を徹底することなどを含め、
被害
が潜在化しないよう
取り組み
を進めることが重要であると
考え
ております。 次に、
検察
当局による
性犯罪
事件
の処理に関する
お尋ね
がありました。 個別
事件
における
捜査
の具体的
内容
についてはお答えを差し控えますが、
一般論
として申し上げれば、
検察
当局は、
事件
の処理に際しましては、
所要
の
捜査
を遂げた上、法と
証拠
に基づいて適正に
対処
しているものと
承知
をいたしております。 次に、
強姦罪
の
保護法益
と条文の位置の
あり方
等について
お尋ね
がありました。
強姦罪等
の
性犯罪
の
保護法益
については、現在、
一般
に、性的自由または
性的自己決定権
と解されており、
刑事
事件
の実務もそのような解釈に基づいて運用されており、
保護法益
に関するかつての
考え
方が
強姦罪
の解釈に
影響
しているものではないと認識をいたしております。 また、
刑法
典は必ずしも
保護法益
ごとに章立てされているものではないこと等から、現時点で、
強姦罪等
の条文の位置を変更する必要はないものと
考え
ております。 さらに、
強制性交等罪
などの
性犯罪
は、
被害者
の
人格
や
尊厳
を著しく
侵害
するものであると認識しておりますが、
刑法
上の罪の
保護法益
は、一定
程度
具体化された利益として把握されているものと
考え
られます。そして、
被害者
の
人格
や
尊厳
を侵す
犯罪
は
性犯罪
に限られないことからも、
人格
や
尊厳
を
性犯罪
の
保護法益
とするのは抽象的に過ぎると
考え
られるわけであります。 次に、諸外国における
性犯罪
の
罰則
の
改正
の動向に関する
お尋ね
がありました。 諸外国の法
制度
を網羅的に把握しているものではありませんが、例えば、ドイツでは、昨年、
暴行
、
脅迫
がなくても、
被害者
の認識可能な
意思
に反して性的
行為
を行うなどした場合には
処罰
を可能とする
規定
が新設されたものと
承知
をしております。 もっとも、我が国においても、
被害者
の拒絶の
意思
が認識可能なほどにあらわれている状況で
性交等
に及んだ場合には、その過程での
行為
が
暴行
または
脅迫
と認められるものと
考え
られますので、ドイツのような
法改正
が我が国においても有効であるかについては、その運用の実情を見る必要があるものと
考え
ております。 今後も、諸外国の
法改正
の動向については、適切に把握してまいりたいと
考え
ております。 次に、
強姦罪
の
構成要件
の
見直し等
に関する国際機関からの
指摘
に関する
お尋ね
がありました。 今回の
改正案
は、国際機関からのさまざまな
指摘
をも考慮したものであり、例えば、
強姦罪
の
構成要件
の見直し、
性犯罪
の非
親告罪化
等については、国際機関からの
指摘
に沿ったものとなっております。 また、国際機関からの
指摘
があった
事項
のうち、今回の
改正案
に取り入れていないものもありますが、立案の過程におきましては、それらの
指摘
も十分に考慮し、
検討
の
対象
としたものと認識をしております。 次に、
性犯罪
の
公訴時効
の撤廃や停止について
お尋ね
がありました。 時の
経過
による
証拠
の
散逸等
に基づく法的安定の
要請
と
犯人処罰
の
要請
の調和という
公訴時効制度
の
趣旨
に鑑みますと、
性犯罪
についてのみ
公訴時効
を撤廃し、または
未成年
の
被害者
の
事件
についてのみ
公訴時効
を停止することについては、慎重な
検討
を要するものと
考え
ます。 最後に、
性暴力
の根絶に向けた
取り組み
などについて
お尋ね
がありました。
性犯罪
の根絶に向けた各種の
取り組み
を推進していくことは重要であると
考え
ております。 法務省としても、
性犯罪
者の再犯を防止するため、
刑事
施設及び
保護
観察所において、
性犯罪
を行った者に対する処遇プログラムを実施しているところであり、今後ともプログラムの着実な実施に努めてまいります。 さらに、
検察
官等が
性犯罪
の
捜査
や公判を適切に行うための
教育
や研修等も重要であり、その充実に引き続き取り組んでまいります。(
拍手
) 〔
国務大臣
加藤勝信君
登壇
〕
加藤勝信
27
○
国務大臣
(加藤勝信君) 池内
議員
より、
性暴力
の
被害者
の相談の現状に関する認識について
お尋ね
がございました。
性犯罪
や
性暴力
は、人権を著しく踏みにじる、決して許されない
行為
であります。 内閣府の調査では、異性から無理やりに
性交
された
被害
経験のある
女性
のうち約七割は誰にも相談しておらず、その心理的な状況から、相談できずに一人で抱え込んでいる、そうした状況にあると認識しております。 政府では、第四次
男女共同参画基本計画
に基づき、
被害
を訴えることをちゅうちょせずに必要な相談を受けられるような相談体制の
整備
や、
被害者
の
心身
回復のための
被害
直後及び中長期の
支援
が受けられる体制
整備
などに取り組んでいるところであり、引き続き、
関係
省庁とも連携して、適切に対応してまいります。 また、ワンストップ
支援
センターの早期設置などについて
お尋ね
がありました。 政府では、現在、
性犯罪
や
性暴力
の
被害者
に対し、
心身
の
負担
を軽減するため、第四次
男女共同参画基本計画
に基づき、
被害
直後から相談を受け、医療的な
支援
、心理的な
支援
などを可能な限り一カ所で提供するワンストップ
支援
センターの設置を
促進
しております。 今年度予算において、
性犯罪
・
性暴力被害者支援
交付金を新たに設けたところであり、この交付金を活用し、全都道府県でのワンストップ
支援
センターの早期設置とその安定的な運営を図るとともに、
関係
機関との連携の強化など、今後とも引き続き、地域の実情に応じた
被害者支援
の充実に取り組んでまいります。(
拍手
) 〔
国務大臣
松本純君
登壇
〕
松本純
28
○
国務大臣
(松本純君)
性犯罪
の
被害
を届け出ることができない
方々
が多くいる現実について
お尋ね
がありました。
性犯罪
の
被害者
は、精神的なダメージなどから
被害申告
をためらう場合も多く、
性犯罪
は特に
被害
が潜在化しやすい
犯罪
であります。
警察
においては、
被害
が潜在化しないよう、
警察
本部や
警察署
の
性犯罪
捜査
を担当する係への
女性
警察
官の配置
促進
、性
犯罪被害者
に対する相談体制の充実などを進めており、引き続きこれらの
取り組み
を推進するよう
警察
を指導してまいります。 次に、
性犯罪
の
加害者
に関する認識について
お尋ね
がありました。
性犯罪
を犯した者は、再び類似の
事件
を起こす傾向が強いことなどから、犯行を抑止するため、迅速に
捜査
を進めることが重要であります。
性犯罪
の
捜査
に当たっては、大きな精神的ダメージを受けている
被害者
の心情に寄り添い、
被害者
の
負担
をできる限り小さくするよう心がけながら、必要な
証拠
の収集、確保に向け、迅速かつ適正な
捜査
を推進するよう、引き続き
警察
を指導してまいります。
警察
官へのジェンダー
教育
について御質問がありました。
警察
では、
性犯罪
捜査
における
被害者
への対応を初めとするさまざまな
活動
において、人権に配慮した適切な対応をとることが求められております。 このため、
警察
では、
警察
学校や職場での
教育
など、さまざまな機会を捉えて、人権に配慮した
活動
についての
教育
を行っているところであり、今後とも推進してまいりたいと
考え
ております。(
拍手
) ――
―――――――――――
大島理森
29
○
議長
(
大島理森
君) 木下智彦君。 〔木下智彦君
登壇
〕
木下智彦
30
○木下智彦君 日本維新の会、木下智彦です。 ただいま
議題
となりました
刑法
の一部を
改正
する
法律案
について質問いたします。(
拍手
) 我が党は、政治理念として、自立する個人、自立する地域、自立する国家の実現を掲げており、個人がお互いに自立した存在として尊重し合い、お互いの
人格
を
尊厳
あるものとして認め合う
社会
が必要であると認識しております。 本
法案
が抑止しようとする
性犯罪
は、人間の
尊厳
を無視し、個人の自己決定権をじゅうりんし、
被害者
の
心身
に深い傷を負わせるものであります。さきに述べた理念からいって、
性犯罪
は最も忌まわしい
犯罪
の
一つ
であり、
社会
からの根絶を目指すべきものであると
考え
ております。 本
法案
により、
性犯罪
が厳罰化される方向で
刑法
が抜本的に
改正
されることは高く評価いたします。 過去には、
強姦罪
の
構成要件
として男性器の
女性
器への挿入であることを逆手にとり、より量刑の軽い
強制わいせつ罪等
に当たることを認識して
肛門性交
のみを行う連続犯が存在するなどした中、その
構成要件
と
法定刑
を見直したこと、従来の
強姦罪
を非
親告罪
にしたこと、
監護者
について
犯罪
を新設したこと等、本
法案
の基本的な方向性についてはおおむね妥当なものと
考え
ております。 その上で、幾つか質問させていただきます。 まず、
強姦罪等
における
暴行
、
脅迫
という
要件
についてです。
現行法
の
判例
では、
強姦罪等
が
成立
するためには、
被害者
の反抗を著しく困難にする
程度
の
暴行
、
脅迫
が必要となっております。この点につき、
要件
として厳し過ぎるのではないかと
指摘
もありますが、本
法案
では文言上の変更はありません。
法務大臣
にお伺いいたします。 本
法案
の
強制性交等罪
の「
暴行
又は
脅迫
」という文言の解釈は、
現行法
の
強姦罪
と
強制わいせつ罪
における「
暴行
又は
脅迫
」の解釈と同じく、
被害者
の反抗を著しく困難にする
程度
のものに限られるのでしょうか。もしそうならば、
要件
として範囲が限定的で、
犯罪
の抑止と
被害者
保護
に欠けるところはないでしょうか。
被害者
の
同意
の有無が重要と
考え
るのであれば、より軽度の
暴行
、
脅迫
の場合等にも
強制性交等罪
を認めるべき場合があるのではないでしょうか。 同様に、本
法案
での準
強制わいせつ罪
、準
強制性交等罪
の
要件
が、
現行法
と同じく、
心神喪失
もしくは抗拒不能に乗ずること、またはその
状態
にさせることとなっております。
法務大臣
にお伺いします。 この
要件
も、
同意
のない性的接触を防ぐという目的からすれば、狭過ぎるのではないでしょうか。心神耗弱もしくは抗拒困難に乗ずるといった
要件
にすることも
検討
するべきではないでしょうか。 従来、
強姦罪
の
前提
として、男性が
女性
に対する
行為
を
対象
としていたが、
性交
の
行為
自体を主体的に行った者を
処罰
の
対象
とすることで、
男女
の区別なく
加害者
、
被害者
にもなり得る
改正案
は、
犯罪
の多様性に対応するものとして評価できます。しかし、
女性
に対する
行為
を
女性
が行った場合は、性器の
挿入行為
自体が不可能な中、器具、手指などによる
挿入行為
があっても、当該罪の
対象
行為
とはならない。 さらに、男児に対する
性的虐待
についての精神的
影響
は比較的に高いとの研究結果もある中、
性的虐待
は魂の殺人と言われる極めて卑劣な
犯罪
と認識されているのであれば、十三歳
未満
の
子供
に、医療用目的等以外での器具、手指などを使用した
挿入行為
も、
被害者
が男児、女児にかかわらず、当該罪の
対象
とするべきではないでしょうか。
子供
たち
に対する卑劣な
行為
としてさまざまな態様が
考え
られる中、当該
処罰
行為
の範囲を広げることが必要なのではないでしょうか。
法務大臣
の
見解
をお聞かせください。 最後に、今回の
法改正
では刑罰の
対象
とならなかった
行為
によって、
同意
のない性的接触で
心身
の深い傷を負った人につき、できるだけ性的
犯罪被害者
と同様のサポートをすべきと
考え
ますが、
国家公安委員長
の御認識をお伺いいたします。 我が党は、個人の自立を訴える政党として、個人の
人格
をお互いに尊重し合える
社会
や法
制度
の実現を目指してまいります。 以上、ありがとうございました。(
拍手
) 〔
国務大臣金田勝年
君
登壇
〕
金田勝年
31
○
国務大臣
(
金田勝年
君) 木下智彦
議員
にお答えを申し上げます。 まず、
強制性交等罪
における
暴行
または
脅迫
の
程度
について
お尋ね
がありました。
強姦罪
における
暴行
または
脅迫
の
程度
は、
判例
上、反抗を著しく困難ならしめる
程度
のものであれば足りると解されております。具体的には、
被害者
の
年齢
、
精神状態
のほか、
行為
の場所の状況、時間
等諸般
の
事情
を考慮して、
事案
に即した適切な
判断
がなされているものと
考え
ております。 御
指摘
のように、より軽度な
暴行
等が用いられた場合にも
強制性交等罪
が
成立
すると
考え
ることについては、
暴行
または
脅迫
が
要件
とされている
趣旨
をも踏まえ、慎重な
検討
が必要であると
考え
ております。 次に、準
強制性交等罪
の
成立
範囲を拡張することについて
お尋ね
がありました。 裁
判例
によれば、
心神喪失
に該当しない場合であっても、当該具体的な
事情
のもとにおいて、物理的、身体的あるいは心理的に抵抗できないか、または抵抗することが著しく困難な
状態
であれば抗拒不能に当たると解されており、これには、
被害者
を欺く
行為
により錯誤に陥れて抵抗することが著しく困難な心理
状態
にすることなどを含むとされております。 御
指摘
が、このような抗拒不能に該当しない場合も
処罰
することを意図するものであれば、その適否については慎重な
検討
が必要であると
考え
られます。 最後に、年少の
被害者
に対する
強制性交等罪
の
処罰対象
となる
行為
について
お尋ね
がありました。 今回の
改正案
におきましては、濃厚な
身体的接触
を伴う
性交
渉を強いられる、膣内、
肛門
内または口腔内に陰茎を入れる
行為
を
強制性交等罪
の
対象
としました。 御
指摘
の
異物等
を膣または
肛門
に入れる
行為
については、
異物
にもさまざまなものがあり、その
被害
の
重大性
が一律に
性交
と同等とまでは言いがたいことから、
強制性交等罪
の
処罰対象
とはしておりません。この点は、
被害者
が十三歳
未満
の者であっても同様であると
考え
ております。 なお、御
指摘
の
行為
に対しましては、
強制わいせつ罪等
により、
事案
の
実態
に即した
対処
がなされるべきであると
考え
られます。(
拍手
) 〔
国務大臣
松本純君
登壇
〕
松本純
32
○
国務大臣
(松本純君) 今回の
改正
では刑罰の
対象
とならない、
同意
のない性的接触で
心身
に深い傷を負った方へのサポートについて
お尋ね
がありました。
警察
では、御相談があった場合には、まずはよくお話を伺い、その上で、仮に
お尋ね
のような
犯罪
の
被害
に当たらないと認められる場合であっても、相談者の心情や
事案
の
内容
に応じ、適切な機関、団体等を紹介するなどしています。 今後とも、
心身
に深い傷を負った方に対しては、そのお気持ちに配慮して対応するよう
警察
を指導してまいります。(
拍手
)
大島理森
33
○
議長
(
大島理森
君) これにて
質疑
は終了いたしました。 ――
――◇―――――
大島理森
34
○
議長
(
大島理森
君) 本日は、これにて散会いたします。 午後二時二十三分散会 ――
――◇―――――
出席
国務大臣
総務大臣 高市 早苗君
法務大臣
金田 勝年君 文部科学大臣 松野 博一君
国務大臣
加藤 勝信君
国務大臣
菅 義偉君
国務大臣
松本 純君 出席副大臣 法務副大臣 盛山 正仁君