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2017-01-20 第193回国会 衆議院 本会議 第1号
公式Web版
会議録情報
0
平成
二十九年一月二十日(金曜日)
—————————————
議事日程
第一号
平成
二十九年一月二十日 正午
開議
第一
議席
の
指定
………………………………… 一
国務大臣
の
演説
—————————————
○本日の
会議
に付した案件
日程
第一
議席
の
指定
災害対策
を樹立するため
委員
四十人よりなる
災害対策特別委員会
、
政治倫理
の
確立
及び
公職選挙法改正
に関する
調査
を行うため
委員
四十人よりなる
政治倫理
の
確立
及び
公職選挙法改正
に関する
特別委員会
、
沖縄
及び北方問題に関する
対策樹立
のため
委員
二十五人よりなる
沖縄
及び北方問題に関する
特別委員会
、
北朝鮮
による
拉致等
に関する諸問題を
調査
し、その
対策樹立
に資するため
委員
二十五人よりなる
北朝鮮
による
拉致問題等
に関する
特別委員会
、
消費者
の
利益
の
擁護
及び
増進等
に関する総合的な
対策
を樹立するため
委員
三十五人よりなる
消費者
問題に関する
特別委員会
、
科学技術
、
イノベーション推進
の総合的な
対策
を樹立するため
委員
三十五人よりなる
科学技術
・
イノベーション推進特別委員会
、
東日本大震災
からの
復興
に当たり、その
総合的対策
を樹立するため
委員
四十五人よりなる
東日本大震災復興特別委員会
及び
原子力
に関する諸問題を
調査
するため
委員
四十人よりなる
原子力問題調査特別委員会
を
設置
するの件(
議長発議
)
地方創生
に関する総合的な
対策
を樹立するため
委員
四十人よりなる
地方創生
に関する
特別委員会
を
設置
するの件(
議長発議
)
安倍内閣総理大臣
の
施政方針
に関する
演説
岸田外務大臣
の
外交
に関する
演説
麻生財務大臣
の
財政
に関する
演説
石原国務大臣
の
経済
に関する
演説
午後零時二分
開議
大島理森
1
○
議長
(
大島理森
君)
諸君
、第百九十三回
国会
は本日召集されました。 これより
会議
を開きます。
————◇—————
日程
第一
議席
の
指定
大島理森
2
○
議長
(
大島理森
君)
日程
第一、
議席
の
指定
を行います。
衆議院規則
第十四条によりまして、
諸君
の
議席
は、
議長
において、ただいまの仮
議席
のとおりに
指定
いたします。
————◇—————
特別委員会設置
の件
大島理森
3
○
議長
(
大島理森
君)
特別委員会
の
設置
につきお諮りいたします。
災害対策
を樹立するため
委員
四十人よりなる
災害対策特別委員会
政治倫理
の
確立
及び
公職選挙法改正
に関する
調査
を行うため
委員
四十人よりなる
政治倫理
の
確立
及び
公職選挙法改正
に関する
特別委員会
沖縄
及び北方問題に関する
対策樹立
のため
委員
二十五人よりなる
沖縄
及び北方問題に関する
特別委員会
北朝鮮
による
拉致等
に関する諸問題を
調査
し、その
対策樹立
に資するため
委員
二十五人よりなる
北朝鮮
による
拉致問題等
に関する
特別委員会
消費者
の
利益
の
擁護
及び
増進等
に関する総合的な
対策
を樹立するため
委員
三十五人よりなる
消費者
問題に関する
特別委員会
科学技術
、
イノベーション推進
の総合的な
対策
を樹立するため
委員
三十五人よりなる
科学技術
・
イノベーション推進特別委員会
東日本大震災
からの
復興
に当たり、その
総合的対策
を樹立するため
委員
四十五人よりなる
東日本大震災復興特別委員会
及び
原子力
に関する諸問題を
調査
するため
委員
四十人よりなる
原子力問題調査特別委員会
を
設置
いたしたいと存じます。これに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
大島理森
4
○
議長
(
大島理森
君) 御
異議
なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。 次に、
地方創生
に関する総合的な
対策
を樹立するため
委員
四十人よりなる
地方創生
に関する
特別委員会
を
設置
いたしたいと存じます。これに
賛成
の
諸君
の
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
大島理森
5
○
議長
(
大島理森
君)
起立
多数。よって、そのとおり決まりました。 ただいま議決されました九
特別委員会
の
委員
は追って指名いたします。
————◇—————
大島理森
6
○
議長
(
大島理森
君) この際、暫時
休憩
いたします。 午後零時五分
休憩
————◇—————
午後二時二分
開議
大島理森
7
○
議長
(
大島理森
君)
休憩
前に引き続き
会議
を開きます。
————◇—————
国務大臣
の
演説
大島理森
8
○
議長
(
大島理森
君)
内閣総理大臣
から
施政方針
に関する
演説
、
外務大臣
から
外交
に関する
演説
、
財務大臣
から
財政
に関する
演説
、
石原国務大臣
から
経済
に関する
演説
のため、発言を求められております。順次これを許します。
内閣総理大臣安倍晋
三君。 〔
内閣総理大臣安倍晋
三君登壇〕
安倍晋三
9
○
内閣総理大臣
(
安倍晋
三君) まず冒頭、天皇陛下の御公務の
負担軽減等
について申し上げます。 現在、
有識者会議
で検討を進めており、近々
論点整理
が行われる予定です。静かな
環境
の中で、国民的な理解の
もと
に成案を得る
考え
であります。 昨年末、
オバマ大統領
とともに、真珠湾の地に立ち、さきの大戦で
犠牲
となった全てのみたまに哀悼の誠をささげました。
我が国
では、三百万余の同胞が失われました。あまたの
若者たち
が命を落とし、
人々
の暮らし、
インフラ
、産業はことごとく破壊されました。 明治維新から七十年
余り
たった当時の
日本
は、見渡す限りの焼け野原。そこからの再
スタート
を余儀なくされました。 しかし、
先人たち
は決して諦めなかった。廃墟と窮乏の中から敢然と立ち上がり、次の
時代
を切り開きました。
世界
第三位の
経済大国
、
世界
に誇る自由で民主的な国を、
未来
を生きる
世代
のためつくり上げてくれました。 戦後七十年
余り
。今を生きる私
たち
もまた、立ち上がらなければならない。戦後の、その先の
時代
を開くため、新しい
スタート
を切るときです。
少子高齢化
、
デフレ
からの脱却と新しい
成長
、厳しさを増す
安全保障環境
。困難な
課題
に真正面から立ち向かい、
未来
を生きる
世代
のため、新しい
国づくり
に
挑戦
する。今こそ、
未来
への
責任
を果たすべきときであります。 私
たち
の子や孫、その先の
未来
、次なる七十年を見据えながら、
皆さん
、もう一度
スタート
ラインに立って、ともに新しい
国づくり
を進めていこうではありませんか。 かつて敵として熾烈に戦った
日本
と
米国
は、
和解
の力により、強い
きずな
で結ばれた
同盟国
となりました。
世界
では今なお争いが絶えません。憎しみの連鎖に多くの
人々
が苦しんでいます。その中で、
日米両国
には、寛容の大切さと
和解
の力を示し、
世界
の平和と
繁栄
のため、ともに力を尽くす
責任
があります。 これまでも、今も、そしてこれからも、
日米同盟
こそが
我が国
の
外交
・
安全保障政策
の基軸である。これは不変の
原則
です。できる限り
早期
に訪米し、トランプ新
大統領
と
同盟
の
きずな
をさらに強化する
考え
であります。 先月、
北部訓練場
、四千ヘクタールの
返還
が二十年越しで実現しました。
沖縄県内
の
米軍施設
の約二割、
本土復帰
後最大の
返還
であります。
地位協定
についても、半
世紀
の時を経て初めて、軍属の扱いを見直す
補足協定
が実現しました。 さらに、
学校
や住宅に囲まれ、市街地の
真ん中
にあり、
世界
で最も危険と言われる
普天間飛行場
の
全面返還
を何としてもなし遂げる。
最高裁判所
の判決に従い、名護市
辺野古沖
への
移設工事
を進めてまいります。 かつて、最低で
もと
言ったことすら実現せず、失望だけが残りました。威勢のよい
言葉
だけを並べても、
現実
は一ミリも変わりません。必要なことは、実行です。結果を出すことであります。
安倍内閣
は、
米国
との
信頼関係
の
もと
、
抑止力
を維持しながら、
沖縄
の
基地負担軽減
に
一つ一つ
結果を出していく
決意
であります。 本年は、さまざまな国の
リーダー
が交代し、大きな変化が予想されます。先の見えない
時代
において最も大切なこと。それは、しっかりと軸を打ち立て、そして、ぶれないことであります。 自由、
民主主義
、人権、法の支配といった
基本的価値
を共有する国々と連携する。 ASEAN、豪州、インドといった諸国と手を携え、
アジア環太平洋地域
からインド洋に及ぶこの
地域
の平和と
繁栄
を確固たるものとしてまいります。
自由貿易
の旗手として、公正なルールに基づいた、二十一
世紀
型の
経済体制
を構築する。
TPP協定
の
合意
は、そのスタンダードであり、今後の
経済連携
の礎となるものであります。日・EU・EPAのできる限り
早期
の
合意
を目指すとともに、RCEPなどの枠組みが野心的な
協定
となるよう交渉をリードし、自由で公正な
経済圏
を
世界
へと広げます。 継続こそ力。就任から五年目を迎え、
G7諸国
の
リーダー
の中でも
在職期間
が長くなります。五百回以上の
首脳会談
の
積み重ね
の上に、地球儀を大きく俯瞰しながら、ダイナミックな
平和外交
、
経済外交
を展開し、
世界
の
真ん中
でその
責任
を果たしてまいります。
日本
海から東シナ海、南シナ海に至る
地域
では緊張が高まり、
我が国
を取り巻く
安全保障環境
は厳しさを増しています。
地域
の平和と安定のため、
近隣諸国
との
関係改善
を積極的に進めてまいります。
ロシア
との
関係改善
は、
北東アジア
の
安全保障
上も極めて重要です。しかし、戦後七十年以上たっても
平和条約
が締結されていない異常な状況にあります。 先月、訪日した
プーチン大統領
と、
問題解決
への真摯な
決意
を共有しました。元
島民
の
皆さん
の
ふるさと
への自由な訪問やお墓参り、北方四島全てにおける特別な制度の
もと
での
共同経済活動
について、
交渉開始
で
合意
し、新たなアプローチの
もと
、
平和条約
の締結に向けて重要な一歩を踏み出しました。 この機運に
弾み
をつけるため、本年の早い時期に
ロシア
を訪問します。七十年以上動かなかった領土問題の
解決
は容易なことではありませんが、
高齢
である
島民
の
皆さん
の切実な思いを胸に刻み、
平和条約締結
に向け、一歩でも二歩でも着実に前進していきます。 本年、
日中韓サミット
を
我が国
で開催し、
経済
、
環境
、防災など幅広い
分野
で
地域レベル
の協力を強化します。 韓国は、
戦略的利益
を共有する最も重要な隣国です。これまでの両国間の
国際約束
、相互の信頼の
積み重ね
の上に、
未来志向
で、新しい
時代
の
協力関係
を深化させてまいります。
中国
の
平和的発展
を歓迎します。
地域
の平和と
繁栄
に大きな
責任
を有することをともに自覚し、本年の
日中国交正常化
四十五周年、来年の
日中平和友好条約締結
四十周年という節目を迎えるこの機を捉え、
戦略的互恵関係
の
原則
の
もと
、大局的な観点から、ともに
努力
を重ね、
関係改善
を進めます。
北朝鮮
が昨年、二度にわたる
核実験
、二十発以上の
弾道ミサイル発射
を強行したことは、断じて容認できません。
安保理決議
に基づく制裁に加え、
関係国
と協調し、
我が国
独自の措置も実施しました。対話と圧力、
行動
対
行動
の一貫した方針の
もと
、核、
ミサイル
、そして、引き続き最
重要課題
であり、発生から長い年月がたつ拉致問題の包括的な
解決
に向け、
北朝鮮
が具体的な
行動
をとるよう強く求めます。 真新しい国旗を手に、誇らしげに入場行進する
選手たち
。
南スーダン独立
後初めての
全国スポーツ大会
には、異なる
地域
から異なる民族の
選手たち
が一堂に会しました。 その会場の
一つ
となる
穴だらけ
だった
グラウンド
に一千個を超えるコンクリートブロックを
一つ一つ手作業
で埋め込んだのは、
日本
の
自衛隊員たち
です。
最終日
、
サッカー決勝
は、くしくも政治的に対立する
民族同士
の戦い。しかし、
選手
も観客もフェアプレーを貫きました。終了後には、勝利した側の
選手
が負けた側の
選手
の肩を抱き、互いの健闘をたたえ合う光景がそこにはありました。 幼い息子さんを連れて観戦に来ていた
ジュバ市民
の一人は、その姿に感動し、こう語っています。
毎日スポーツ
が行われるような平和な国になってほしい。
隊員たち
がつくったのは、単なる
グラウンド
ではありません。平和を生み出す
グラウンド
であります。
自衛隊
の
活動一つ一つ
が、間違いなく、
南スーダン
の自立と平和な
国づくり
につながっている。 灼熱の
アデン湾
では、今このときも
海賊対処
に当たる
隊員諸君
がいます。三千八百隻を上回る
世界
の船舶を護衛してきました。 平和のため黙々と汗を流す
自衛隊
の姿を
世界
が称賛し、感謝し、頼りにしています。与えられた任務を
全力
で全うする彼らは、
日本国民
の誇りであります。
テロ
、難民、
貧困
、
感染症
。
世界
的な
課題
は深刻さを増しています。こうした
現実
から
我が国
だけが目を背けるようなことは、あってはなりません。今こそ、
積極的平和主義
の旗を高く掲げ、
世界
の平和と
繁栄
のため、
皆さん
、あとう限りの貢献をしていこうではありませんか。 昨年、
大隅良典栄誉教授
が
ノーベル医学
・
生理学賞
を受賞し、三年
連続
で
日本
人が
ノーベル賞
を獲得。
世界
の
真ん中
で輝く姿に、やればできる、
日本
全体が大きな自信と勇気をもらいました。
未来
は予言できない、しかしつくることはできる。
ノーベル賞物理学者
、デニス・
ガボール
の
言葉
です。 五年前、
日本
には、根拠なき
未来
の予言があふれていました。人口が減少する
日本
はもう
成長
できない、
日本
はたそがれを迎えている。不安をあおる
悲観論
が蔓延していました。 まさに
デフレマインド
、諦めという名の壁が立ちはだかり、
政権交代
後も、アベノミクスで
成長
なんかできない、私
たち
の
経済政策
には批判ばかりでありました。 しかし、
日本
はまだまだ
成長
できる。その
未来
をつくるため、
安倍内閣
は、この四
年間
、三本の矢を放ち、壁への
挑戦
を続けてきました。 その結果、
名目GDP
は四十四兆円
増加
。九%
成長
しました。
中小
・
小規模事業者
の倒産は二十六年
ぶり
の低
水準
となり、
政権交代
前と比べ三割減らすことに成功しました。 長らく
言葉
すら忘れられていたベースアップが三年
連続
で実現しました。史上初めて、四十七全ての都道府県で
有効求人倍率
が一倍を超えました。
全国
津々浦々で、確実に
経済
の好
循環
が生まれています。 格差を示す指標である
相対的貧困率
が
足元
で減少しています。特に子供の
相対的貧困率
は二%減少し、七・九%。十五年前の
調査開始
以来一貫して
増加
していましたが、
安倍内閣
の
もと
、初めて減少に転じました。 できないと思われていたことが次々と実現できた。かつての
悲観論
は完全に間違っていた。そのことを私
たち自公政権
は証明しました。 この
経済
の好
循環
をさらに前に進めていく。今後も、安定した
政治基盤
の
もと
、力を合わせ、私
たち
の前に立ちはだかる壁を次々と打ち破っていこうではありませんか。
景気回復
の風を、さらに、
全国
津々浦々、
中小
・
小規模事業者
の
皆さん
にお届けする。 先月、五十年
ぶり
に、
下請代金
の支払いについて通達を見直しました。これまで
下請事業者
の資金繰りを苦しめてきた
手形払い
の慣行を断ち切り、
現金払い
を
原則
とします。近年の
下請いじめ
の実態を踏まえ、
下請法
の
運用基準
を十三年
ぶり
に抜本改定しました。今後、厳格に運用し、
下請取引
の
条件改善
を進めます。 四月から、
成長
の果実を生かし、
雇用保険料率
を引き下げます。これにより、
中小
・
小規模事業者
の
負担
を軽減し、働く
皆さん
の
手取りアップ
を実現します。さらに、賃上げに積極的な
事業者
を、
税額控除
の拡充により後押しします。
生産性向上
のため、今後二
年間
の
設備投資
には、
固定資産税
を三
年間
半減する。この
仕組み
を、
製造業
だけでなく、
小売サービス業
にも拡大することで、
商店街
などにおいても
攻め
の
投資
を促します。 一日平均二十人。人影が消え、
シャッター通り
となった岡山の
味野商店街
は、その壁に
挑戦
しました。 地場の
繊維産業
を核に、
商店街
、
自治体
、
商工会議所
が一体で
児島ジーンズストリート
を立ち上げました。三十店を超える
ジーンズ店
が軒を並べ、
ジーンズ柄
で構内がラッピングされた駅からは、
ジーンズバス
や
ジーンズタクシー
が走ります。 まさに
ジーンズ
の聖地。今や、
年間
十五万人を超える
観光客
が集まる
商店街
へ生まれ変わりました。評判は海外にも広がり、
アジア
からの
外国人観光客
もふえています。
地方
には、それぞれの魅力、
観光資源
、
ふるさと名物
があります。それを最大限生かすことで、
過疎化
という壁も必ずや打ち破ることができるはずです。
自分たち
の
未来
を、みずからの
創意工夫
と
努力
で切り開く。
地方
の意欲的な
チャレンジ
を、
自由度
の高い
地方創生交付金
によって後押しします。
地方
の発意による、
地方
のための
分権改革
を進めます。空き家や
遊休地
の
活用
に関する制限を緩和し、
自治体
による
有効利用
を可能とします。
ふるさと
への情熱を持って
地方創生
に
チャレンジ
する。そうした
地方
の
皆さん
を、
安倍内閣
は
全力
で応援します。 一千万人の壁。
政権交代
前、
外国人観光客
は
年間
八百万人
余り
で頭打ちとなっていました。
安倍内閣
は、その壁をわずか一年で突破しました。四年
連続
で過去最高を更新し、昨年は三倍の二千四百万人を超えました。
日本
を訪れる
外国クルーズ船
は、わずか三年で四倍に
増加
。秋田港で
竿燈祭
り、青森港で
ねぶた祭り
、
徳島小松島港
で
阿波踊り
、
各地自慢
の祭りをめぐる
外国
の
クルーズツアー
が企画されるなど、
地方
に大きなチャンスが生まれています。
民間資金
を
活用
し、
国際クルーズ拠点
の整備を加速します。
港湾法
を改正し、
投資
を行う
事業者
に岸壁の
優先使用
などを認める新しい
仕組み
を創設します。
沖縄
は
アジア
とのかけ橋。
我が国
の
観光
や物流のゲートウエーです。新
石垣空港
では、昨年、香港からの
定期便
の運航が始まり、
外国人観光客
の
増加
に沸いています。機材の
大型化
に対応するための
施設整備
を支援します。
全国
の
地方空港
で、
国際定期便
の就航を支援するため、
着陸料
の割引、
入国管理等
の
インフラ整備
を行います。羽田、成田両
空港
の二〇二〇年四万回の
容量拡大
に向け、羽田
空港
では新しい
国際線ターミナルビル
の建設に着手します。 いわゆる民泊の
成長
を促すため、
規制
を
改革
します。
衛生管理
などを条件に、
旅館業法
の適用を除外することで
民泊サービス
の拡大を図ります。 あらゆる政策を総動員して、次なる四千万人の高みを目指し、
観光立国
を推し進めてまいります。
地方経済
の核である
農業
では、
高齢化
という壁が立ちはだかってきました。
平均年齢
は六十六歳を超えています。 しかし、
攻め
の
農政
の
もと
、四十代以下の
新規就農者
は二年
連続
で
増加
し、
足元
では、
統計開始
以来最多の二万三千人を超えました。
生産農業所得
も、直近で
年間
三兆三千億円、過去十一年で最も高い
水準
まで伸びています。 さらなる
弾み
をつけるため、八本に及ぶ
農政改革関連法案
を今
国会
に提出し、
改革
を一気に加速します。
農業版
の
競争力強化法
を制定します。肥料や飼料を一円でも安く仕入れ、農産物を一円でも高く買ってもらう。そうした農家の
皆さん
の
努力
を後押しするため、
生産資材
や
流通
の
分野
で、
事業再編
、
新規参入
を促します。
委託販売
から
買い取り販売
への転換など、農家のための
全農改革
を進めます。
数値目標
の
達成状況
を初め、その進捗をしっかりと管理してまいります。 牛乳や乳製品の
流通
を、事実上、
農協経由
に限定している現行の
補給金制度
を抜本的に見直し、
生産者
の自由な経営を可能とします。
農地バンク
の
もと
、農地の大
規模化
を進めます。
世界
のマーケットを目指し、
生産工程
や
流通管理
の
規格化
、ジェトロの
世界ネットワーク
を
活用
した
ブランド化
を展開し、
競争力
を強化します。
農政改革
を
同時並行
で一気呵成に進め、若者が
農林水産業
に
自分たち
の夢や
未来
を託すことができる
農政
新
時代
を、
皆さん
、ともに切り開いていこうではありませんか。
チャレンジ
を阻む、あらゆる壁を打ち破ります。
イノベーション
を次々と生み出すための
研究開発投資
、そして
規制改革
。
安倍内閣
は三本目の矢を次々と打ち続けます。
医療情報
について、
匿名化
を前提に利用可能とする新しい
仕組み
を創設します。
ビッグデータ
を
活用
し、
世界
に先駆けた新しい
創薬
や
治療法
の開発を加速します。
人工知能
を
活用
した
自動運転
。その
未来
に向かって、本年、各地で
実証実験
が計画されています。
国家戦略特区
などを
活用
して、
自動運転
の
早期活用化
に向けた
民間
の
挑戦
を後押しします。
民間
の視点に立った
行政改革
も進めます。長年手つかずであった各種の
政府統計
について、一体的かつ抜本的な
改革
を行います。 本年四月からガスの小売を完全に自由化します。昨年の
電力自由化
とあわせ、多様な
サービス
のダイナミックな展開と
エネルギーコスト
の
低廉化
を実現します。
水素エネルギー
は、
エネルギー安全保障
と
温暖化対策
の切り札です。これまでの
規制改革
により、ここ
日本
で
未来
の
水素社会
がいよいよ幕をあけます。三月、東京で、
世界
で初めて大容量の
燃料電池
を備えたバスが運行を始めます。来年春には、
全国
で百カ所の
水素ステーション
が整備され、神戸で
水素発電
による
世界初
の
電力供給
が行われます。 二〇二〇年には、現在の四十倍、四万台
規模
で
燃料電池自動車
の普及を目指します。
世界初
の
液化水素船
による
大量水素輸送
にも
挑戦
します。
生産
から輸送、消費まで、
世界
に先駆け、国際的な
水素サプライチェーン
を構築します。その目標の
もと
に、各省庁にまたがるさまざまな
規制
を全て洗い出し、
改革
を進めます。
再生可能エネルギー
から大
規模
に
水素
を製造する。
最先端
の
実証プロジェクト
が福島で動き出しました。
南相馬
では、
町工場
の若い
経営者たち
が力を合わせ、
災害
時に
水中調査
を行う
ロボット
を開発しました。その一人、
金型工場
の二代目、
渡邉光貴
さんが、強い
決意
を私に語ってくれました。
南相馬
が
ロボット
の町と言われるよう、若い力で頑張る。
原発事故
により大きな被害を受けた
浜通り地域
は、今、
世界最先端
の
技術
が生まれる場所になろうとしています。
福島復興特措法
を改正し、
イノベーション・コースト構想
を推し進めます。
官民合同チーム
の体制を強化し、
なりわい
の
復興
を加速します。 今年度中に、
帰還困難区域
を除き、
除染
が完了します。廃炉、
賠償等
を安定的に実施することとあわせ、二〇二〇年には身近な場所から仮置き場をなくせるよう、
中間貯蔵施設
の建設を急ぎます。
帰還困難区域
でも、
復興拠点
を設け、五年を目途に
避難指示解除
を目指し、国の
負担
により
除染
や
インフラ整備
を一体的に進めます。 東北三県では、来年春までに、九五%を超える
災害公営住宅
が完成し、
高台移転
も九割で工事が完了する見込みです。
農業
、
水産業
、
観光業
など、
なりわい
の
復興
を力強く支援してまいります。
熊本地震
以来通行どめとなっていた、
俵山トンネル
を含む
熊本高森線
が先月開通し、
日本
が誇る
観光地阿蘇
へのアクセスが大きく改善しました。今後、
熊本空港ターミナルビル
の再建、さらには
復興
のシンボルである
熊本城天守閣
の
早期復旧
を国として
全力
で支援してまいります。 昨年の台風十号では、岩手の岩泉町で、
避難
がおくれ、九名の
高齢者
の
方々
が川の氾濫の
犠牲
となりました。現場に足を運び、御冥福をお祈りするとともに、
再発防止
への
決意
を新たにしました。
水防法
を抜本的に改正します。
介護施設
、
学校
、病院など
避難
に配慮が必要な
方々
がいらっしゃる
施設
では、
避難計画
の作成、訓練の実施を義務化します。
中小河川
も含め、
地域住民
に
水災リスク
が確実に周知されるようにします。
治水対策
のほか、水害や
土砂災害
への備え、
最先端技術
を
活用
した
老朽インフラ
の
維持管理
など、
事前防災
・
減災対策
に徹底して取り組み、
国土強靱化
を進めます。 糸魚川の大
規模火災
で被災された
方々
に、心よりお見舞いを申し上げます。一日も早い
生活再建
、
事業再開
に向け、国も
全力
で支援してまいります。 お年寄りなどを狙った
悪質業者
が後を絶ちません。
被害者
の救済を
消費者団体
がかわって求める新しい
訴訟制度
が昨年
スタート
しました。これを
国民生活センター
がバックアップする
仕組み
を整え、より迅速な救済を目指します。 三年後に迫ったオリンピック・パラリンピックを必ず成功させる。
サイバーセキュリティー対策
、
テロ
など
組織犯罪
への
対策
を強化します。
受動喫煙対策
の徹底、
ユニバーサルデザイン
の
推進
、多様な
食文化
への対応など、この機を生かし、誰もが共生できる
まちづくり
を進めます。 昨年七月、
障害者施設
で何の罪もない多くの
方々
の命が奪われました。決してあってはならない事件であり、断じて許せません。
精神保健福祉法
を改正し、
措置入院患者
に対して退院後も支援を継続する
仕組み
を設けるなど、
再発防止
対策
をしっかりと講じてまいります。 障害や難病のある方も、女性も男性も、お年寄りも若者も、一度失敗を経験した方も、誰もが生きがいを持って、その能力を存分に発揮できる社会をつくる。 一億総活躍の
未来
を切り開くことができれば、
少子高齢化
という
課題
も必ずや克服できるはずです。 しかし、家庭
環境
や事情は人それぞれ異なります。何かをやりたいと願っても、画一的な労働制度、保育や介護との両立などさまざまな壁が立ちはだかります。こうした壁を
一つ一つ
取り除く。これが一億総活躍の
国づくり
であります。 最大の
チャレンジ
は、一人一人の事情に応じた、多様で柔軟な働き方を可能とする労働制度の大胆な
改革
、働き方
改革
です。 アベノミクスによって、
有効求人倍率
は、現在、二十五年
ぶり
の高い
水準
。この三
年間
ずっと一倍を上回っています。正規雇用も一昨年
増加
に転じ、二十四カ月
連続
で前年を上回る勢いです。雇用
環境
が改善する中、
民間
企業でも、定年延長や定年後も給与
水準
を維持するなど、前向きな動きが生まれています。 雇用情勢が好転している今こそ、働き方
改革
を一気に進める大きなチャンスです。三月に実行計画を決定し、
改革
を加速します。 同一労働同一賃金を実現します。昇給の扱いが違う、通勤などの各種手当が支給されない、福利厚生や研修において扱いが異なるなど、不合理な待遇差を個別具体的に是正するため、詳細なガイドライン案を策定しました。今後、その根拠となる法改正について、
早期
の
国会
提出を目指し、立案作業を進めます。 一年
余り
前、入社一年目の女性が、長時間労働による過酷な状況の中、みずから命を絶ちました。御冥福を改めてお祈りするとともに、二度と悲劇を繰り返さないとの強い
決意
で、長時間労働の是正に取り組みます。いわゆる三六
協定
でも超えることができない、罰則つきの時間外労働の限度を定める法改正に向けて、作業を加速します。 抽象的なスローガンを叫ぶだけでは、世の中は変わりません。重要なことは、何が不合理な待遇差なのか、時間外労働の限度は何時間なのか、具体的に定めることです。
言葉
だけのパフォーマンスではなく、しっかりと結果を生み出す働き方
改革
を、
皆さん
、ともに進めていこうではありませんか。 人は、幾つからでも、どんな状況からでも再出発できる。十六
年間
子育てに専念した後、リカレント教育を受け、再就職を果たした島千佳さんの
言葉
です。役職にもつき、仕事に大変やりがいを感じているそうです。島さんは、笑顔で私にこう語ってくれました。子育ての経験をしたからこそ、今の職場で生かせることがたくさんある。子育てや介護など多様な経験を持つ人
たち
の存在は、企業にとって大きなメリットを生み出すはずです。 百三万円の壁を打ち破ります。パートで働く
皆さん
が就業調整を意識せずに働くことができるよう、配偶者特別控除の収入制限を大幅に引き上げます。 出産などを機に離職した
皆さん
の再就職、学び直しへの支援を抜本的に拡充します。復職に積極的な企業を支援する助成金を創設します。雇用保険法を改正し、教育訓練給付の給付率、上限額を引き上げます。子供を託児所に預けながら職業訓練が受けられる、また、土日、夜間にも必要な講座を受講できるなど、きめ細かく再就職支援の充実を図ります。 保育や介護と仕事の両立を図る。 子育てを理由に仕事をやめずに済むよう、育休給付の支給期間を最大二歳まで延長します。
地方
と連携し、子育て世帯に対する住宅ローン金利を引き下げ、三
世代
の近居や同居を支援します。 待機児童ゼロ、介護離職ゼロ、その大きな目標に向かって、保育、介護の受け皿整備を加速します。
国家戦略特区
で実施してきた、都市公園に保育園や
介護施設
の建設を認める
規制
緩和を
全国
展開します。 人材を確保するため、来年度予算でも処遇改善に取り組みます。介護職員の
皆さん
には、経験などに応じて昇給する
仕組み
をつくり、月額平均一万円相当の改善を行います。保育士の
方々
には、おおむね経験三年以上で月五千円、七年以上で月四万円の加算を行います。 加えて、全ての保育士の
皆さん
に二%の処遇改善を実施します。これにより、
政権交代
後、合計で一〇%の改善が実現いたします。他方で、あの三年三カ月、保育士の
方々
の処遇は、改善するどころか、引き下げられていた。重要なことは、
言葉
を重ねることではありません。
責任
を持って財源を確保し、結果を出すことであります。
安倍内閣
は、
言葉
ではなく結果で国民の負託に応えてまいります。 年金受給資格期間を二十五年から十年に短縮します。消費税率引き上げを延期した中でも、十月から、新しく六十四万人の
方々
に年金支給を開始します。
自治体
による国保の安定的な運営のため、
財政
支援を拡充します。最低賃金が大きく上昇を続ける中、失業給付について、若い
世代
への支給期間を延長するなど改善を実施します。 来年度予算では、
政権交代
前と比べ、国の税収は十五兆円
増加
し、新規の公債発行額は十兆円減らすことができました。こうしたアベノミクスの果実も生かし、
成長
と分配の好
循環
をつくり上げてまいります。 同時に、将来にわたり持続可能な社会保障制度を構築するため、
改革
の手も決して緩めません。 薬価制度の抜本
改革
を断行します。二年に一回の薬価改定を毎年実施することとし、国民
負担
の軽減と医療の質の向上の両立を図ります。 医療保険で、
高齢者
の
皆さん
が現役
世代
より優遇される特例に関し、一定の所得がある方については見直しを実施します。 累次の
改革
が実を結び、かつて毎年一兆円ずつふえていた社会保障費の伸びは、今年度予算に続き来年度予算においても五千億円以下に抑えることができました。引き続き、
経済
再生と
財政
再建、社会保障
改革
の三つを同時に実現しながら、一億総活躍の
未来
を切り開いてまいります。
我が国
の
未来
。それは、子供
たち
であります。 子供
たち
一人一人の個性を大切にする教育再生を進めます。 先般成立した教育機会確保法を踏まえ、フリースクールの子供
たち
への支援を拡充し、いじめや発達障害などさまざまな事情で不登校となっている子供
たち
が自信を持って学んでいける
環境
を整えます。 実践的な職業教育を行う専門職大学を創設します。選択肢を広げることで、これまでの単線的、画一的な教育制度を変革します。 邑に不学の戸なく、家に不学の人なからしめん。 明治の
日本
が学制を定め、国民教育の理想を掲げたのは、今から百四十年
余り
前のことでした。 それから七十年
余り
。
日本
国憲法が普通教育の無償化を定め、小中
学校
九
年間
の義務教育制度が
スタート
しました。 本年は、その憲法施行から七十年の節目であります。 この七十
年間
、
経済
も社会も大きく変化しました。子供
たち
がそれぞれの夢を追いかけるためには、高等教育もまた、全ての国民に真に開かれたものでなければなりません。学制の序文には、こう記されています。 学問は身を立るの財本ともいふべきもの。 どんなに貧しい家庭で育っても、夢をかなえることができる。そのためには、誰もが希望すれば、高校にも、専修
学校
、大学にも進学できる
環境
を整えなければなりません。 高校生への奨学給付金をさらに拡充します。本年春から、その成績にかかわらず、必要とする全ての学生が無利子の奨学金を受けられるようにします。
返還
についても、卒業後の所得に応じて変える制度を導入することで
負担
を軽減します。 さらに、
返還
不要、給付型の奨学金制度を新しく創設いたします。本年から、児童養護
施設
や里親の
もと
で育った子供
たち
など、
経済
的に特に厳しい学生を対象に、先行的に
スタート
します。来年以降、一学年二万人
規模
で、月二万円から四万円の奨学金を給付します。 幼児教育についても、所得の低い世帯では、第三子以降に加え、第二子も無償とするなど、無償化の範囲をさらに拡大します。 全ての子供
たち
が、家庭の
経済
事情にかかわらず、
未来
に希望を持ち、それぞれの夢に向かって頑張ることができる。そうした
日本
の
未来
を、
皆さん
、ともに切り開いていこうではありませんか。 子や孫のため、
未来
を開く。 土佐湾でハマグリの養殖を始めたのは、江戸
時代
、土佐藩の重臣、野中兼山だったと言われています。こうした言い伝えがあります。 おいしいハマグリを、江戸から土産に持ち帰る。兼山の知らせを受け、港では大勢の人が待ち構えていました。しかし、到着するや否や、兼山は、船いっぱいのハマグリを全部海に投げ入れてしまった。ハマグリを口にできず、文句を言う人
たち
を前に、兼山はこう語ったといいます。このハマグリは、末代までの土産である。子
たち
、孫
たち
にも味わってもらいたい。 兼山のハマグリは、土佐の海に定着しました。そして、三百五十年の時を経た今も、高知の
人々
に大きな恵みをもたらしている。まさに、
未来
を開く
行動
でありました。
未来
は変えられる。全ては、私
たち
の
行動
にかかっています。 ただ批判に明け暮れたり、言論の府である
国会
の中でプラカードを掲げても、何も生まれません。意見の違いはあっても、真摯かつ建設的な議論を闘わせ、結果を出していこうではありませんか。 みずからの
未来
を、みずからの手で切り開く。その気概が今こそ求められています。 憲法施行七十年の節目に当たり、私
たち
の子や孫、
未来
を生きる
世代
のため、次なる七十年に向かって、
日本
をどのような国にしていくのか。その案を国民に提示するため、憲法審査会で具体的な議論を深めようではありませんか。
未来
を開く。これは、国民の負託を受け、この議場にいる全ての国
会議
員の
責任
であります。
世界
の
真ん中
で輝く
日本
を、一億総活躍の
日本
を、そして子供
たち
の誰もが夢に向かって頑張ることができる、そういう
日本
の
未来
を、ともにここから切り開いていこうではありませんか。 御清聴ありがとうございました。(拍手)
—————————————
大島理森
10
○
議長
(
大島理森
君)
外務大臣
岸田文雄君。 〔
国務大臣
岸田文雄君登壇〕
岸田文雄
11
○
国務大臣
(岸田文雄君) 第百九十三回
国会
に当たり、
外交
の基本
方針
について所信を申し述べます。 本年、二〇一七年は、さまざまな変化の可能性を秘めた年です。現在、
世界
各地
では、保護主義や内向きの傾向が強まり、また、法の支配に基づく国際秩序が
挑戦
にさらされています。 こうした中、
同盟国
米国
では、まさに本日、トランプ新
大統領
が就任し、八年
ぶり
に政権が交代します。フランス、イラン、韓国では
大統領
選挙が行われ、ドイツ、オランダでは議会選挙が行われます。
中国
でも五年に一度の共産党大会が開催される予定です。さらに、英国のEU離脱
交渉
も開始される予定です。国際社会において不透明感が増大しています。 その中で
日本
は、これまで四
年間
にわたり安定した政治、
外交
を実現し、国際社会における存在感を高めてきました。昨年はG7
議長
国として国際社会の議論をリードするなど、
日本
は、
世界
の安定と
繁栄
を主導する国として多くの国から期待される存在です。
日本
は、国際社会の安定勢力として、
基本的価値
を共有する国々と連携し、変化の可能性を秘めたこの一年が
日本
の国益を増進し、
世界
の平和と
繁栄
につながる一年となるよう、国際社会をリードしていかなければなりません。 本年も引き続き、
日米同盟
の強化、
近隣諸国
との関係強化、
日本
経済
の
成長
を後押しする
経済外交
の
推進
という三本柱を中心に、
日本
外交
を力強く推し進めてまいります。 第一の柱は、
日米同盟
の強化です。
日米同盟
が
日本
外交
の基軸という
方針
は不変です。
世界
経済
の原動力である
アジア
太平洋
地域
の安定は
日米両国
の共通の
利益
です。 昨年末、安倍総理の真珠湾訪問において日米の
和解
の価値を国際社会に示しました。戦後七十一年の日米
協力
の
積み重ね
に基づく
日米同盟
の強化こそが
地域
の平和と
繁栄
の鍵であるという認識の
もと
、トランプ新政権とも緊密な関係を構築しつつ、
日米同盟
を一層強化するとともに、
地域
及び
世界
の平和と
繁栄
に貢献します。
日米同盟
の
抑止力
を一層強化すべく、新たな日米物品役務相互提供
協定
、日米ACSAについて
国会
で承認をいただけるよう丁寧に説明するとともに、新ガイドライン及び平和安全法制の
もと
での具体的な
協力
をさらに進めていきます。 在日米軍の安定的駐留には地元の理解が不可欠です。
北部訓練場
の過半の
返還
が実現し、日米
地位協定
の軍属に関する
補足協定
を署名しました。
普天間飛行場
の一日も早い辺野古への移設を初め、引き続き、
沖縄
の
負担
軽減に
全力
で取り組みます。 また、
米国
を中心とした
同盟
ネットワークの強化に向け、日米豪、日米印、日豪印の
協力
も強化していきます。 第二の柱は、
近隣諸国
との関係強化です。 日中関係は、最も重要な二国間関係の
一つ
です。
戦略的互恵関係
の
もと
、
両国
が
地域
や国際社会における
協力関係
を築いていくことが重要です。 昨年春の私の訪中や累次の
首脳会談
を経て、日中関係の肯定的な側面を拡充強化し、懸案を適切に処理しながら、本年の
日中国交正常化
四十五周年という節目の年に日中関係を全面的に改善させていくよう双方が
努力
することで一致しています。引き続き、さまざまな
分野
での対話、
協力
、交流を強化し、安定的に関係を発展させていくべく、私自身も引き続き
努力
してまいります。 東シナ海では、
中国
による尖閣諸島周辺における領海侵入や一方的な資源
開発
などが継続しています。
日本
として主張すべきことは主張し、引き続き、毅然かつ冷静に対応します。 韓国は、
戦略的利益
を共有する最も重要な隣国です。 一方、昨年末に、在釜山総領事館に面する歩道に新たに慰安婦像が
設置
された事態は極めて遺憾です。一昨年末の慰安婦問題に関する
合意
を双方が
責任
を持って実施することを引き続き韓国側に強く求めていきます。
日本
固有の領土である竹島については、引き続き
日本
の主張をしっかり伝え、粘り強く対応します。
安全保障
を含む幅広い
分野
においてさまざまなレベルで意思疎通を図り、相互の
信頼
の
もと
、日韓関係を
未来志向
の新
時代
へと発展させていくことが重要です。 日中韓三カ国による
協力
プロセスは重要な意義を有しています。
議長
国として、昨年八月に日中韓外相
会議
を開催したのに続き、本年のしかるべき時期に
日本
において
日中韓サミット
を開催するよう調整します。
北朝鮮
による
核実験
やたび重なる弾道
ミサイル
の発射は、新たな段階の脅威であり、断じて容認できません。
日本
は、
米国
、韓国及び
関係国
と緊密に連携しながら、
北朝鮮
への人、物、金の流れをさらに厳しく
規制
する
安保理決議
の実効性を確保し、独自の
措置
を着実に実施するなど、断固たる対応をとっていきます。 さらに、
北朝鮮
の脅威に対処するため、日米韓の連携を主導し、日米及び日米韓の
安全保障
協力
など、これまでの取り組みをさらに前進させていきます。 拉致問題は、政権の最
重要課題
です。 対話と圧力、
行動
対
行動
の
原則
の
もと
、ストックホルム
合意
の履行を引き続き求めつつ、一日も早い全ての拉致
被害者
の帰国を実現し、御家族の皆様との再会という積年の思いを遂げるため、引き続き、あらゆる
努力
を傾注する
決意
です。 昨年十二月の
プーチン大統領
の訪日は、
平和条約
の
締結
に向けた重要な一歩となりました。今後も、政治対話を
積み重ね
ながら、
日本
の国益に資するよう、日ロ関係をさらに発展させていきたいと
考え
ています。 最大の懸案である北方領土問題について、先般の
首脳会談
では、北方四島における特別な
制度
の
もと
での
共同経済活動
に関する協議を開始し、また、元
島民
の
方々
がより自由に
ふるさと
を訪問するために手続を改善することでも一致したところです。引き続き、北方四島の帰属の問題を
解決
して
平和条約
を
締結
すべく、新しいアプローチに基づき粘り強く
交渉
を続けます。 また、ウクライナ情勢の平和的
解決
に向け、G7等との連帯を重視しつつ、引き続き、
建設
的な役割を果たしていきます。 ASEANは本年設立五十周年を迎えます。ASEANのさらなる統合、
繁栄
及び安定は、
地域
の平和と安定にとり極めて重要です。ASEANの中心性及び一体性を支持しつつ、ASEAN及びASEAN各国との関係を一層強化します。 先般の総理訪豪の成果に基づき、豪州との特別な戦略的パートナーシップを一層深化します。インドとは、日印新
時代
をさらに大きく飛躍すべく、モディ首相訪日の成果に基づき関係を深化させます。太平洋・島サミットプロセスを通じ、太平洋島嶼国との関係を一層強化します。 また、EUやNATOといった
地域
的枠組みも
活用
しつつ、欧州との関係を重層的に強化します。特に、英国、フランス、ドイツ、イタリアとの間で、
安全保障
・防衛
分野
における
協力
も
推進
していきます。中央
アジア
・コーカサス
諸国
は、ユーラシアの安定に重要な戦略的要衝であり、さまざまな
分野
での
協力関係
の
拡大
を
推進
します。また、中南米
諸国
との
協力関係
を
拡大
します。 第三の柱は、
日本
経済
の
成長
を後押しする
経済外交
の
推進
です。
自由貿易
は
世界
経済
成長
の源泉であり、TPPを初め、
日本
が先頭に立ってこれを牽引していきます。 日・EU・EPA
交渉
は、可能な限り
早期
に大枠
合意
が実現できるよう最大限
努力
します。また、東
アジア
地域
包括的
経済連携
、RCEP、日中韓FTA等、他の
経済連携
協定
の
交渉
も質の高い
協定
を目指して
推進
していきます。 企業の海外展開支援を在外公館と一体となって支援します。質の高い
インフラ
の輸出、訪日
観光客
、対日
投資
の
拡大
などを官民一体で精力的に進めます。 英国のEU離脱については、
世界
経済
や日系企業の活動に対する離脱による影響を最小限にすべく、引き続き、英国及びEUに対し働きかけを行っていきます。
日本
は国連安保理非常任理事国として二年目を迎えます。
南スーダン
PKOへの要員派遣を含め、国際社会の平和と安定のため、一層貢献してまいります。 また、包括的な安保理
改革
を
推進
するため、G4の一員として、
改革
推進
派
諸国
と緊密に連携し、
早期
改革
に向けた
努力
を続けます。 昨年五月の
オバマ大統領
の被爆地広島訪問は、核兵器のない
世界
に向けた国際的機運を再び盛り上げることにつながりましたが、引き続き、核兵器のない
世界
の実現に向け、唯一の戦争被爆国として、核兵器国と非核兵器国との間の
協力
を促し、
現実
的かつ実践的な取り組みを重ねることで、NPTを初めとする軍縮・不拡散の国際的な取り組みをリードしていきます。 なお、核兵器禁止条約
交渉
については、ただいま申し上げた
考え
の
もと
、主張すべきは主張していくことが重要であると
考え
ます。いずれにせよ、政府全体で検討していく
考え
です。
開発
協力
大綱の
もと
、国際社会の平和と安定及び
繁栄
と、それを通じた
日本
の国益確保に官民一体で取り組むべく、積極的かつ戦略的なODAの
活用
に努めます。 人間の
安全保障
の
考え
の
もと
、実施指針に基づき、持続可能な
開発
のための二〇三〇アジェンダを着実に実施していきます。 TICAD6の成果を踏まえ、官民が連携した取り組みを通じてアフリカ
諸国
を支援していきます。 気候変動に関するパリ
協定
については、全ての国による実効的な排出削減が達成されるよう、各国の排出削減の透明性がより高まるルールづくりに貢献していきます。 女性の活躍
推進
に向けた
日本
の積極的取り組みの発信、難民・
避難
民問題への取り組み、
科学技術
の
外交
への一層の
活用
を引き続き
推進
します。 鯨類を含む海洋生物資源の持続可能な利用については、
日本
の
政策
に対する国際社会の理解と支持を得るべく一層
努力
します。
アジア
太平洋
地域
の
安全保障環境
は一層厳しさを増しています。国際協調主義に基づく
積極的平和主義
の立場から、平和安全法制の
もと
で、
地域
と国際社会の平和と安定及び
繁栄
にこれまで以上に積極的に貢献していくとともに、いかなる事態に際しても、国民の命と平和な暮らしを守り抜きます。 南シナ海における一方的な現状変更は国際社会共通の懸念事項です。引き続き、
関係国
と連携し、南シナ海における問題の全ての当事国が国際法に基づく紛争の平和的
解決
に向け
努力
することの重要性を訴えてまいります。海における法の支配の三
原則
に基づき、開かれ安定した海洋の維持発展に取り組みます。 中東
地域
の安定に向け問題の根本的な原因に対処するとともに、
地域
各国に安定の実現に向けた
建設
的役割を働きかけていきます。
拡大
する
テロ
、暴力的過激主義の脅威に対し、特に
アジア
における水際
対策
や穏健な社会の構築など、国際連携を強化し、国際
テロ
情報収集ユニットを通じた情報収集を含め、総合的な
テロ
及び暴力的過激主義
対策
に取り組んでいきます。 昨年七月のダッカ襲撃
テロ
事件を受けて作成した報告書に沿って、国際
協力
事業関係者の安全
対策
の強化を進めるとともに、中堅・
中小
企業を含む海外進出企業、留学生など在外邦人の安全
対策
をさらに強化していきます。 宇宙空間及びサイバー空間における法の支配の強化のための国際的なルールづくりや北極をめぐる国際社会の
努力
に積極的に参加するとともに、各国との
協力
をより一層強化します。 主要国並みの
外交
実施
体制
の実現を含む総合的な
外交
力を引き続き強化します。
日本
の正しい姿や多様な魅力を、本年
世界
三カ所に開設するジャパン・ハウスも
活用
しつつ戦略的に対外発信するとともに、親日派、知日派の育成を引き続き強力に
推進
していきます。
日本
の魅力は
地方
にこそあふれています。
地方
から
世界
へ
地方
の魅力を発信し、
世界
から
地方
へ多くの
外国人観光客
、対内
投資
などを誘致できるよう、私自身が先頭に立って取り組んでいきます。 政府は、これまで四
年間
、
日本
を取り巻く厳しい
安全保障環境
を冷静に認識し、平和安全法制や特定秘密保護法を制定するなど、
安全保障
面での備えを
整備
する取り組みを進めてきました。同時に、
オバマ大統領
の広島訪問や安倍総理の真珠湾訪問、韓国との一昨年の慰安婦問題に関する日韓
合意
といった
和解
の取り組み、また、軍縮、
防災
、女性の活躍
推進
などのグローバルな
課題
への積極的な取り組みを続けるなど、
外交
におけるバランスを重視してきました。こうしたバランスのとれた
外交
こそ、
外交
に対する国民の理解を得る上で重要であり、今後も丁寧に説明の
努力
を続けながら
外交
を進めていきたいと
考え
ています。 議員各位、そして国民の皆様の御理解と御
協力
を心からお願い申し上げます。(拍手)
—————————————
大島理森
12
○
議長
(
大島理森
君)
財務大臣
麻生太郎君。 〔
国務大臣
麻生太郎君登壇〕
麻生太郎
13
○
国務大臣
(麻生太郎君)
平成
二十九年度予算及び
平成
二十八年度第三次補正予算の御審議に当たり、
財政
政策
等の基本的な
考え
方につきまして所信を申し上げますとともに、予算の大要を御説明させていただきたいと存じます。
日本
経済
につきましては、
安倍内閣
のこれまでの取り組みによって、雇用・所得
環境
が着実に改善するなど、
経済
の好
循環
が生まれてきております。この好
循環
を確かなものとするため、今後とも、金融
政策
、
財政
政策
、構造
改革
を総動員してアベノミクスを一層加速してまいります。 一億総活躍社会の実現に向けては、
未来
への
投資
の
拡大
に向けた
成長
戦略を
推進
するとともに、子育て、介護の
環境
整備
等の取り組みを進め、
少子高齢化
社会を乗り越えるための潜在
成長
率を向上させてまいります。 また、厳しい
状況
にある
財政
につきましても、その持続可能性を維持するため、二〇二〇年度の基礎的
財政
収支の黒字化
目標
の達成に向け、
経済
・
財政
再生計画及び
改革
工程表に沿って、これまでの歳出歳入
改革
の取り組みを強化してまいります。 次に、
平成
二十九年度予算及び税制改正の大要を御説明申し上げます。
平成
二十九年度予算は、
経済
・
財政
再生計画の二年目に当たる予算でもあります。現下の重要な諸
課題
に的確に対応しつつ、
経済
再生と
財政
健全化の両立を実現するものといたしております。 具体的には、一億総活躍社会の実現に向け、保育士及び介護人材などの処遇改善や給付型奨学金の創設などの主要な取り組みを確実に行ってまいります。
科学技術
振興費を伸ばすとともに、公共事業関係費の
成長
分野
への重点化など、
経済
再生に直結する取り組みを
推進
してまいります。また、国民生活の安全、安心を確保する観点から、海上保安
体制
の強化や
テロ
に備えた情報収集・対処能力の強化などを行ってまいります。 一般歳出につきましては約五十八兆三千六百億円であり、これに
地方
交付税交付金約十五兆五千七百億円及び国債費約二十三兆五千三百億円を加えた一般会計総額は、九十七兆四千五百億円となっております。 一方、歳入につきましては、租税等の収入は約五十七兆七千百億円、その他収入は約五兆三千七百億円を見込んでおります。また、公債費は約三十四兆三千七百億円であり、前年度当初予算に対し、約六百億円の減額を行っております。 次に、主要な経費について申し述べます。 社会保障関係費につきましては、一億総活躍社会の実現に向けて、保育士及び介護人材等の処遇改善を行うこととしているほか、保育の受け皿
拡大
、年金受給資格期間の短縮など、社会保障の充実を図ることといたしております。一方で、持続可能な社会保障
制度
を構築する観点から、社会保障に係る
改革
工程表に沿った医療・介護
制度
改革
の着実な実行等に取り組むことといたしております。 文教及び科学振興費につきましては、給付型奨学金の創設や無利子奨学金の拡充など、一億総活躍社会の実現に向けた取り組みの充実を図るほか、大学
改革
、教育
環境
の
整備
などを
推進
することといたしております。また、
民間
の
投資
を引き出し、
日本
経済
の
成長
力を高めるような研究
開発
を重点的に
推進
することといたしております。
地方
財政
につきましては、歳出特別枠を減額するなど
地方
歳出を見直す一方、
地方
の一般財源総額を適切に確保するため、
地方
交付税交付金等を増額し、
地方
に最大限配慮いたしております。 防衛関係費につきましては、中期防衛力
整備
計画に基づき所要の取り組みを講じるとともに、
沖縄
の
基地負担軽減
等のためには在日米軍再編事業を着実に
推進
することとしております。 公共事業関係費につきましては、豪雨・台風
災害
等を踏まえた
防災
・
減災対策
や、
民間
投資
を誘発し、
日本
の
成長
力を高める事業などへの重点化、効率化を
推進
することといたしております。
経済
協力
費につきましては、難民
対策
等のグローバルな
課題
への対応に重点化しつつ、ODAは予算、事業量ともに必要な額を確保いたしております。
中小
企業
対策
費につきましては、事業承継支援及び
下請取引
対策
を充実するほか、
生産
性の向上や資金繰り
対策
等にも万全を期すことといたしております。 エネルギー
対策
費につきましては、省エネルギーの
推進
支援に重点を置きつつ、国内資源の
開発
や海外資源の権益確保等を
推進
するほか、
原子力
防災
対策
等に取り組むことといたしております。 農林水産関係予算につきましては、
農林水産業
の
成長
産業
化などを図るため、輸出力の強化や
農業
基盤
整備
の充実等に取り組むことといたしております。 国家公務員の人件費につきましては、給与改定や給与
制度
の総合的見直し、定員純減などを的確に予算に反映いたしております。
東日本大震災
からの
復興
につきましては、
復興
のステージに応じた
課題
に対応するため、
平成
二十九年度
東日本大震災
復興
特別会計の総額を約二兆六千九百億円といたしております。
平成
二十九年度
財政
投融資計画につきましては、現下の超低金利
環境
を生かし、リニア中央新幹線の全線開業前倒しを図るほか、
成長
戦略の実行や
地域
活性化に向け、長期のリスクマネーを積極的に供給するなど、真に必要な資金需要に適切に対応し、総額約十五兆一千三百億円といたしております。 借換債等を含みます国債発行総額につきましては、約百五十四兆円と、依然として極めて高い
水準
にあり、市場との緊密な対話に基づき国債管理
政策
を適切に運営してまいりたいと存じます。
平成
二十九年度税制改正におきましては、
日本
経済
の
成長
力の底上げのため、就業調整を意識しなくて済むよう配偶者控除などの見直しを行うとともに、
経済
の好
循環
を促す観点から、研究
開発
税制や所得
拡大
促進税制の見直しなどを行うことといたしております。 あわせて、酒類間の税
負担
の公平性を回復する等の観点から、酒税
改革
を行います。また、
日本
企業の海外展開を阻害することなく、国際的な租税回避に効果的に対応するため、
外国
子会社合算税制を見直すこととしております。 このほか、
災害
に関する特例の
整備
などを行うことといたしております。 続いて、
平成
二十八年度第三次補正予算の大要について御説明申し上げます。 一般会計において、
災害対策
費、国際分担金及び拠出金、
自衛隊
の安定的な運用
体制
の確保など、総額約六千二百億円の歳出の追加を行うことといたしております。これらにつきましては、既定経費を約四千二百億円減額するとともに、税外収入で約一千億円の増収を見込むほか、
建設
公債を約一千億円発行することで対応することとしております。 他方、税収は、最近までの収入実績等を勘案して、約一兆七千四百億円の減収を見込んでおります。また、
地方
法人税の税収減に伴う
地方
交付税原資の減額の補填のため、
地方
交付税交付金を計上いたしております。これらにつきましては、特例公債を約一兆七千五百億円発行することで対応することといたしております。 この結果、
平成
二十八年度一般会計第三次補正後予算の総額は、一般会計第二次補正後予算に対して歳入歳出ともに約二千百億円
増加
し、約百兆二千二百億円となります。 また、特別会計予算につきましては、所要の補正を行っております。 以上、
財政
政策
等の基本的な
考え
方と、
平成
二十九年度予算及び税制改正並びに
平成
二十八年度第三次補正予算の大要につきまして御説明をさせていただきました。
経済
再生と
財政
健全化を両立させる中で、
成長
と分配の好
循環
を
確立
し、
日本
経済
全体の持続的
拡大
均衡を目指すには、本予算及び関連法案の一刻も早い成立が必要であり、それが最大の
経済
対策
であると
考え
ております。 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますよう、
財政
政策
等について、国民の皆様及び与野党の議員各位の御理解と御
協力
を切にお願い申し上げます。(拍手)
—————————————
大島理森
14
○
議長
(
大島理森
君)
国務大臣
石原伸晃君。 〔
国務大臣
石原伸晃君登壇〕
石原伸晃
15
○
国務大臣
(石原伸晃君)
経済
財政
政策
を担当する内閣府特命担当大臣として、
我が国
経済
の
課題
と
政策
運営の基本的
考え
方について所信を申し述べさせていただきます。 第二次
安倍内閣
発足後、
我が国
の
名目GDP
は四十四兆円、実質GDPは二十五兆円
増加
し、
デフレ
ではないという
状況
をつくり出しました。雇用者数は二百万人近く
増加
、失業率は四%程度から三%程度まで低下しました。また、賃上げについても三年
連続
で二%以上となるなど、国民生活にとって最も大切な雇用・所得
環境
は大きく改善し、景気は緩やかな回復基調が続いております。 ただし、海外
経済
の不確実性や、金融資本市場の変動の影響等への注意を怠ってはなりません。また、アベノミクスの効果を、
地域
の隅々まで、
中小
企業、
小規模事業者
の
方々
まで波及させていく必要があります。このようなリスクや諸
課題
に的確に対応していくためにも、生まれ始めた好
循環
を腰折れさせることなく、
成長
と分配の好
循環
につなげてまいります。 当面の
経済
財政
運営に当たっては、引き続き、
経済
再生なくして
財政
健全化なしを基本とし、
名目GDP
六百兆円
経済
の実現と二〇二〇年度の
財政
健全化
目標
の達成の双方の実現を目指します。 まずは、
未来
への
投資
を実現する
経済
対策
を円滑かつ着実に実施し、内需を下支えするとともに、民需主導の持続的な
経済
成長
と一億総活躍社会の着実な実現につなげていかなければなりません。
名目GDP
六百兆円
経済
の実現に向けては、働き方
改革
、
地方創生
、
国土強靱化
、女性の活躍も含め、あらゆる
政策
を総動員するとともに、
科学技術
イノベーション
等を通じて潜在
成長
率を向上させることにより、
デフレ
脱却を確実なものとしつつ、
経済
の好
循環
をより確かなものとしてまいります。
日本
銀行には、
経済
・物価情勢を踏まえつつ、二%の物価安定
目標
を実現することを引き続き期待します。 これらを踏まえ、本日閣議決定した政府
経済
見通しでは、来年度の
日本
経済
について、雇用・所得
環境
が引き続き改善し、
経済
の好
循環
が進展する中で、民需を中心とした
景気回復
が見込まれ、
経済
成長
率は実質で一・五%程度、名目で二・五%程度になると見込んでいます。 また、景気判断や
経済
構造の把握等の基盤となる
経済
統計について、
経済
財政
諮問
会議
で取りまとめた統計
改革
の基本
方針
に基づき、政府一体となって
改革
してまいります。
世界
的に
技術
革新がかつてない速さで進んでいる中で、
成長
戦略をさらに加速させていく必要があります。 そのための鍵は二つあります。
一つ
目は、
人工知能
、IoT、
ビッグデータ
、
ロボット
といった
分野
で新しい付加価値を生み出す
イノベーション
。二つ目は、それを企業や個々人が
活用
してその恩恵を享受するとともに、社会問題の
解決
に大いに
活用
すること、いわゆる社会実装です。この二つをさらに強力に実行し、あらゆる場面で快適で豊かに生活できる超スマート社会、ソサエティー五・〇を実現していく。 このため、
成長
戦略の司令塔である
未来
投資
会議
において、人材不足を解消するための
建設
現場での
生産
性革命、健康寿命を延ばすための予防、健康管理と自立支援に軸足を置いた医療・介護システムの本格稼働、新たな有望市場を創出するための国や
自治体
の有する
インフラ
データの
民間
開放などについて議論しています。 今後も、構造
改革
の総ざらいを行うとともに、
民間
部門の活動の本格化には何が足りていないのか、
イノベーション
の社会実装にとって何が障害かについて、徹底的に議論し、その成果を、年央に公表する
成長
戦略で具体的にお示ししたいと思います。 健康・医療戦略の観点からは、
日本
医療研究
開発
機構による研究支援などに加え、新しい医療・介護システムの基盤
整備
や健康、医療、介護
産業
の国際展開についても、官民一体となって取り組んでまいります。
空港
等の
成長
分野
や上下水道等の生活関連
分野
における公共
施設
を
整備
、運営するに当たっては、コンセッション方式を初めとするPPP、PFIを着実に
推進
し、公的
負担
の抑制を図りつつ、
民間
投資
やビジネス機会の
拡大
を図ります。
世界
的に保護主義の台頭への危機感が高まる中で、保護主義の蔓延を食いとめるためにも、
自由貿易
の
もと
で
経済
成長
を遂げた
我が国
こそが、さきの
国会
で御承認いただいた
TPP協定
の発効、そして自由で公正な共通ルールに基づく
自由貿易
を主導していかなければなりません。このため、政府として、今後もさまざまな機会を通じて、各国に対して、
自由貿易
の重要性に対する共通の土台の構築、
経済連携
の
推進
などに向けて粘り強く取り組んでまいります。
経済
再生なくして
財政
健全化なし。引き続き、
経済
再生との両立を図りながら、
経済
・
財政
再生計画及び
経済
・
財政
再生アクション・プログラム二〇一六にのっとって、歳出全般にわたり聖域なく徹底した見直しを
推進
していきます。
改革
の二年目に当たる二〇一七年度においても、見える化を徹底、
拡大
し、
改革
の具体化や
改革
工程表に沿った取り組みを引き続き着実に進めます。また、
改革
の点検、評価、
政策
効果の分析を強化し、取り組みのPDCAサイクルをしっかりと定着させていきます。
少子高齢化
が進展する中で、社会保障の安定財源確保と
財政
健全化を同時に達成する観点から、引き続き、社会保障と税の一体
改革
に取り組みます。
世界
に誇るべき社会保障
制度
を次
世代
に引き渡していく
責任
を果たすため、社会保障の充実、安定化に取り組むなど、
改革
を
推進
してまいります。さらに、医療・介護情報の見える化を進め、各
地域
の
状況
を比較した結果も踏まえて、支出の効率化、適正化を図ります。 この四
年間
の取り組みにより、雇用・所得
環境
が大幅に改善し、
デフレ
ではないという
状況
をつくり出すことができました。昨年後半から、
世界
経済
は全体として上向きつつあり、
日本
経済
についても、先月、二十一カ月
ぶり
に政府の景気判断を引き上げました。
日本
経済
を
デフレ
から脱却させ、持続的に力強く
成長
させるためには、賃金の上昇を可処分所得の向上に、そして
消費
の
拡大
に結びつけ、企業の
投資
を喚起していくことが不可欠です。
経済
の
成長
が賃金の上昇などを通じて所得として分配され、それがさらなる
成長
を促し、さらなる分配の原資にもなっていくという
成長
と分配の好
循環
を力強く回していくため、
全力
を尽くしてまいります。 国民の皆様と議員各位の御理解と御
協力
をよろしくお願い申し上げます。(拍手)
————◇—————
笹川博義
16
○笹川博義君
国務大臣
の
演説
に対する質疑は延期し、来る二十三日午後一時から本
会議
を開きこれを行うこととし、本日はこれにて散会されることを望みます。
大島理森
17
○
議長
(
大島理森
君) 笹川博義君の動議に御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
大島理森
18
○
議長
(
大島理森
君) 御
異議
なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。 本日は、これにて散会いたします。 午後三時二十五分散会
————◇—————
出席
国務大臣
内閣総理大臣
安倍 晋三君
財務大臣
麻生 太郎君 総務大臣 高市 早苗君 法務大臣 金田 勝年君
外務大臣
岸田 文雄君 文部科学大臣 松野 博一君 厚生労働大臣 塩崎 恭久君 農林水産大臣 山本 有二君
経済
産業
大臣 世耕 弘成君 国土交通大臣 石井 啓一君
環境
大臣 山本 公一君 防衛大臣 稲田 朋美君
国務大臣
石原 伸晃君
国務大臣
今村 雅弘君
国務大臣
加藤 勝信君
国務大臣
菅 義偉君
国務大臣
鶴保 庸介君
国務大臣
松本 純君
国務大臣
丸川 珠代君
国務大臣
山本 幸三君 出席内閣官房副長官 内閣官房副長官 萩生田光一君