○
吉田(宣)
委員 法務省が所管をされる
民法を中心とした
法律では、この
ケース、すなわち、延焼についての救済というのは図られないということなんですね。
もちろん、そのために保険という
制度があって、私も地元の自宅は賃貸マンションですけれども、保険の加入が義務づけられておりまして、保険にしっかり入って住んでおります。
ただ、この保険というものも、絶対強制ということではなくて、入っていない賃貸人の方というのも多数おられるんだろうと思います。そういった
ケースにおいては、やはり、延焼を起こしてしまった際には失火責任法で全て免責をされてしまうということは、私は合点がいかないところなんです。
先ほど申し上げたとおり、この失火責任法というのは明治時代の規定であって、明治時代から今では、もう随分環境も変わってきているんだろうというふうに私は思っております。したがって、失火責任法の立法趣旨が妥当しないような
ケースも多くなっているのではないかというふうに思っております。
私も、この質問をするに当たって、少し火事の、出火の状況について消防庁から資料をいただきまして、古い資料はないということでしたので、平成十八年と平成二十八年、少し比較してみたんですけれども、数字、あらわれているんですけれども、明らかに失火の
発生というのは減っております。これは、さまざまな建築技術の進展や、耐火構造の発展や、また材質についても、CLTであったり不燃木材であったりというふうなものが普及をしてきている結果であろうと思いますので、国民の生命や財産、また身体というものを守る上では非常に喜ばしいことであろうかというふうに思っております。
それはさておき、この失火責任法、私が一番理不尽だと思うことの例は、失火者がお金持ちであった場合なんですね。十分賠償できるような資力があったにもかかわらず、延焼者というものは、この失火責任法の壁で、十分資力を持っている失火者に対して賠償請求ができないということなんですね。これで実は物すごく泣き寝入りをしている方がたくさんいて、本当にかわいそうなんだという
お話を、私、地元福岡の不動産
関係の仕事に従事している友人から聞く機会がありました。
私も、非常に理不尽な話なんだろうと思うし、こういう状況を、いわゆる法
制度上の問題として考えるなら、国民というのは、先ほどもありましたように保険があれば大丈夫なんですけれども、
法務省の所管する
法律では救済できないというような状況を考えれば、国民の法
制度に対する信頼というのをやはり損ないかねないのではないかというふうに私は思います。
次回の
民法の改正がいつ行われるのかというのは私もわからないところですけれども、今回の改正で
対象でなかった不法
行為に関する規定は、ぜひ失火責任法との関連においても改正を検討していただきたいというふうに思います。
また、私も、具体的な事例といいますか、これは統計的な数字もないものですから、なかなか主張するに材料が少ないところもありますけれども、この件は研究をしていきたいとも思っておりますので、
法務省の受けとめをお聞かせいただければと思います。