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2017-04-21 第193回国会 衆議院 文部科学委員会 第12号
公式Web版
会議録情報
0
平成
二十九年四月二十一日(金曜日) 午前九時
開議
出席委員
委員長
永岡
桂子君
理事
上川 陽子君
理事
亀岡 偉民君
理事
前田 一男君
理事
宮川 典子君
理事
山本ともひろ君
理事
菊田真紀子
君
理事
坂本祐之輔君
理事
富田 茂之君 あべ 俊子君 青山 周平君 安藤 裕君 尾身 朝子君
岡下
昌平
君 門山
宏哲
君 神山 佐市君
工藤
彰三
君 小林 史明君
國場幸之助
君 櫻田 義孝君
下村
博文君
田野瀬太道
君 田畑 裕明君
中山
展宏
君 馳 浩君
鳩山
二郎
君 福井 照君
福山
守君 船田 元君
古田
圭一
君 松本
剛明君
太田 和美君 高木 義明君 牧 義夫君 笠 浩史君
樋口
尚也
君 吉田
宣弘
君 大平 喜信君
畑野
君枝
君 伊東 信久君
吉川
元君 長島 昭久君 …………………………………
文部科学大臣
松野 博一君
文部科学
副
大臣
義家
弘介
君
文部科学大臣政務官
樋口
尚也
君
文部科学大臣政務官
兼
内閣
府
大臣政務官
田野瀬太道
君
政府参考人
(
文部科学省高等教育局長
) 常盤 豊君
政府参考人
(
文部科学省高等教育局私学部長
) 村田 善則君
参考人
(
筑波大学長
)
永田
恭介
君
参考人
(
日本私立大学団体連合会事務局長
)
小出
秀文
君
参考人
(
東京大学大学院教育学研究科教授
)
本田
由紀
君
文部科学委員会専門員
行平 克也君
—————————————
委員
の異動 四月二十一日
辞任
補欠選任
池田
佳隆君
中山
展宏
君
谷川
とむ君
岡下
昌平
君
古田
圭一
君
福山
守君 同日
辞任
補欠選任
岡下
昌平
君
谷川
とむ君
中山
展宏
君
鳩山
二郎
君
福山
守君
古田
圭一
君 同日
辞任
補欠選任
鳩山
二郎
君
國場幸之助
君 同日
辞任
補欠選任
國場幸之助
君
池田
佳隆君
—————————————
四月二十一日
教育費負担
の
公私間格差
をなくし、
子供たち
に行き届いた
教育
を求める
私学助成
に関する
請願
(
堀内照文
君
紹介
)(第七八一号) 同(
吉川元
君
紹介
)(第八一一号) 同(
秋本真利
君
紹介
)(第八二六号) 同(
中野洋昌
君
紹介
)(第八二七号) 同(
北村誠吾
君
紹介
)(第八四六号) 同(
今枝宗一郎
君
紹介
)(第八八四号) 同(
高井崇志
君
紹介
)(第八八五号) 同(
西村康稔
君
紹介
)(第八八六号) 同(
郡和子
君
紹介
)(第九〇〇号) 同(
河野正美
君
紹介
)(第九〇五号) 同(
赤松広隆
君
紹介
)(第九〇九号) 同(
伊藤渉
君
紹介
)(第九一〇号) 同(
池田佳隆
君
紹介
)(第九一一号) 同(
大見正
君
紹介
)(第九一二号) 同(
重徳和彦
君
紹介
)(第九一三号) 同(
大西健介
君
紹介
)(第九一四号) 同(
近藤昭一
君
紹介
)(第九一五号) 同(
左藤章
君
紹介
)(第九一六号) 同(
島津幸広
君
紹介
)(第九一七号) 同(
鈴木淳司
君
紹介
)(第九一八号) 同(
八木哲也
君
紹介
)(第九一九号) 同(
原田義昭
君
紹介
)(第九三二号) 同(
大塚高司
君
紹介
)(第九三七号) 同(
工藤彰三
君
紹介
)(第九三八号) 同(
熊田裕通
君
紹介
)(第九三九号) 同(
伴野豊
君
紹介
)(第九四〇号) 同(
古川元久
君
紹介
)(第九四一号) 同(
宮本徹
君
紹介
)(第九五〇号) 同(
初鹿明博
君
紹介
)(第九九三号)
給付制奨学金
の
創設
と
学費負担軽減
に関する
請願
(
畑野君枝
君
紹介
)(第八一〇号) 専任・
専門
・正規の
学校司書
の配置に関する
請願
(
小宮山泰子
君
紹介
)(第八四五号) 国の責任による三十五人以下学級の前進、
教育
の
無償化
、
教育条件
の改善に関する
請願
(
阿部知子
君
紹介
)(第八四七号) 同(
小宮山泰子
君
紹介
)(第八四八号) 同(
河野正美
君
紹介
)(第九〇六号) 同(
金子恵美
君
紹介
)(第九二〇号) 同(
原田義昭
君
紹介
)(第九二一号)
私立幼稚園
の充実と発展に関する
請願
(
畑野君枝
君
紹介
)(第九四九号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した
案件
政府参考人出頭要求
に関する件
学校教育法
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
第五六号) ————◇—————
永岡桂子
1
○
永岡委員長
これより
会議
を開きます。
内閣提出
、
学校教育法
の一部を改正する
法律案
を議題といたします。 本日は、
本案審査
のため、
参考人
として、
筑波大学長永田恭介
君、
日本私立大学団体連合会事務局長小出秀文
君及び
東京大学大学院教育学研究科教授本田由紀
君、以上三名の
方々
に御
出席
をいただいております。 この際、
参考人各位
に一言御挨拶を申し上げます。 本日は、御多用中のところ本
委員会
に御
出席
いただきまして、まことにありがとうございます。
本案
につきまして、それぞれのお
立場
から忌憚のない御
意見
をお聞かせいただきまして、
審査
の
参考
にいたしたいと存じますので、よろしく
お願い
申し上げます。 次に、議事の順序について申し上げます。 まず、
参考人各位
から一人十分以内で御
意見
をお述べいただき、その後、
委員
からの
質疑
に対してお答えをいただきたいと存じます。 なお、御
発言
の際はその都度
委員長
の許可を得て御
発言
くださいますよう
お願い
いたします。また、
参考人
から
委員
に対して
質疑
をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御了承ください。 それでは、まず
永田参考人
に
お願い
いたします。
永田恭介
2
○
永田参考人
今御
紹介
いただきました
筑波大学長
の
永田
と申します。 このような
意見
を述べさせていただく
機会
をいただきまして、
大変感謝
を申し上げております。 私、
筑波大学長
でありますけれども、この
案件
に関しましては、
中央教育審議会
のこの
案件
の
部会長
及び
大学分科会長
を務めておりました。その
関係
で、本日、最初には、この
案件
の
概要
について述べさせていただこうと
考え
ています。昨年三月に
審議経過報告
を出させていただき、昨年五月に
答申
の取りまとめに当たった際の
部会長
ということでございます。 そもそも、この
案件
は、
教育再生実行会議
の第五次、第六次の提言を受けて、
平成
二十七年四月、当時の
下村文部科学大臣
から
中教審
に対して諮問がなされた
内容
のものであります。
中教審
では、
特別部会
を
設置
して、
大学
はもとより、
短期大学
、
専門学校
、
産業界
、
高校関係者
、そのほか有識者から幅広い
意見
をお聞きして
審議
を進めました。都合、一年にわたり、十七回の
会議
、それから十五
団体
からのヒアリングを含めた
審議
で
内容
を深めていったものであります。 さて、この
概要
ですが、
専門職大学
の
意義
といった
観点
から、二、三述べさせていただきたいと思います。 まず、現在の
産業構造
の
変化
、あるいはこれからの
社会
の
産業構造
の
変化
及び
就業構造
の
変化
という
観点
から、今一番何が求められる
人材
であるかという
議論
の中で、現在の
大学
が育てる
人材
は有為な
人材
として必要であるということはもちろんでありますけれども、加えて、新しいこうした
変化
に
対応
する
人材
を育てていくというのは極めて重要なことである。もう一度申し上げますが、
産業構造
や
就業構造
の
変化
というものに
対応
する
人材
を育てるということは非常に重要であろうということを
考え
ていたわけであります。 もちろん、一番の
現場
で手を動かす方もいらっしゃいますが、この
専門職大学
で
考え
ているのは、
現場レベル
での問題を解決する、あるいは新しい
考え方
や手法を取り込んで革新的にそういった問題を進めていく、そういうことを先導できる
人材
の
育成
というものが重要であるという
認識
を持っていたわけであります。 そうした
構造
の中で、もう
一つ
大切な問題は、
社会人
の
学び
直しという
観点
であります。 これは、ここにいらっしゃる
方々
もそうですが、多分ITの
プログラミング
ができる方はそうはいらっしゃらないと思いますが、これからの
社会
は、人文・
社会科学
を習った者ですらそういった
プログラミング
の
初歩等
ができなければいけない、そういう
時代
に変わっていきます。そういう中で、
社会人
がそれぞれの仕事の中で、今のは例えですけれども、そうしたニーズに合わせた
教育
をもう一度受けたいといったものに
対応
できるような形も
考え
ていかなければいけないだろうというふうに
考え
ていました。 それがありまして、実は
議論
の当初から、四年制ではあるけれども、
前期
と
後期
の
課程
に分けて
考え
ていこう、
前期
に相当することを既に学んだ
社会人
に対しては、
後期
でより
専門
的なことを学んで、
現場
に
スピード感
を持って回帰するというようなことを
考え
ていたわけであります。 現在、
御存じ
のとおり、
我が国
は、二十五歳以上の
大学
で学ぶ
学生
の数を
考え
たときに、OECDの平均一八%に比べて、十分の一とは言いませんが、二%という非常に少ない数であるということは、これからの
産業構造
、
就業構造
を
考え
たときに、極めて憂慮すべき問題の
一つ
であるというふうに
考え
ていたわけであります。 第二点は、国際的な
通用性
を持った
職業人
あるいは
技能
を持った方というのを
育成
していく
必要性
であります。 本邦は、さきの大戦の終わった後に一旦、単線化した形の
高等教育
が始まったわけでありますけれども、
歴史
的に見れば、明治の
時代
から非常に、いわゆる
複線
型というよりは
分岐
型、フォーク型と呼ばれている
複線
型の
教育体制
をとっていたわけであります。 諸
外国
については、
複線
型、つまり教養やアカデミズムを目指すような
高等教育機関
と、それから
技能
や技術に集中するような
ボケーショナル
な
高等教育機関
、こういったものが並立をしていて、
御存じ
のとおり、イギリスあるいはフランス、ドイツ、オーストラリア等々でこうした
学び
の
複線化
、
複線化
というのは時々誤解されますので、あえて正確に申し上げれば
分岐
型の、途中から選ぶことができる、そういう
分岐
型の
教育
の
システム
が動いているわけであります。
我が国
も、当然ながら、四年
制大学
ができた後に
短期大学
や高専といったものが措置されて、こういったものに
対応
してきたわけでありますが、まだ、
高等教育機関
としてのこうした
ボケーショナル
なものを見詰めた
制度
というものがなかったという点があります。 そうした中で、学んだ
学生たち
は
世界
に出ていくわけでありますが、その
学び
の
内容
が、
世界
に通用するようなものである、あるいは
世界基準
である、もう少し言えば、
世界
と互換的なそういう
教育
を受けていないということについては、その
若者たち
にとっては、今度の新しい
システム
というのはかなり魅力のあるものであろうというふうに
考え
ております。
中教審
ではいろいろな
意見
がございました。もちろん、各種の
団体
からは、
産業構造
にもっと密着した
考え方
を入れてくれ、それからいろいろな
大学
からは、
独自性
をしっかり出せるような
システム
にしてくれというような御
意見
もあり、我々の中で、先ほど申し上げました、一年にわたり十七回の
議論
の中でその
意見
を取り入れながら、現在の
答申
という形でまとめ、今、
国会
でこのように
議論
をいただいているというふうに
考え
ております。 ただ、今後大切な問題は、
制度
の運用という面に関しましては、まだその
概要
について今
議論
しているわけでありまして、
制度設計
の詳細については
設置基準等
で深く
議論
をさらに重ねて、我々が
考え
ている
学び
の仕方が実現できる
制度設計
をつくっていかなければいけないだろうというふうに
考え
ております。 また、御質問をいただいたときにいろいろと回答させていただこうと思いますので、私の陳述はまずはここまでとさせていただきます。 どうもありがとうございます。(
拍手
)
永岡桂子
3
○
永岡委員長
ありがとうございました。 次に、
小出参考人
に
お願い
いたします。
小出秀文
4
○
小出参考人
日本私立大学団体連合会
の
事務局長
を仰せつかっております
小出
でございます。 本来なら、役員の
先生方
が参りまして、親しく
先生方
に御
説明
を申し上げ、
お願い
を申すべきところかと存じまするが、本日、所用のために参れませんので、私の方から、この問題に関する
私学
の
現状
につきましての御
報告
をさせていただきまして、御理解とさらなる御
審議
、御尽力を頂戴いたしたい、こう念願してございます。 私はきょう、話すべき
レジュメ
と、それから、いま
一つ
、先ごろこの
団体連合会
で取りまとめました、今、
日本
には六百からの
私立大学
がありますが、そのうちの百五十校ほどをノミネートいたしまして、それらがどのような
大学教育
の
現状
にあるか、
取り組み
をしておるかというものを冊子としてまとめました。実は、この
取り組み
の
状況
、事情というものが、きょう
お話
をさせていただくこの
専門職大学
と若干かぶるものでありますから、そのことの
参考資料
としてこの
資料
を持参させていただいてございます。 さて、早速でございますので、
レジュメ
に沿いながら
お話
をさせていただこうと存じます。 この間、この
専門職大学
の問題に関しましては、四年制の
私立大学
、二年制の
短期大学ともども
に、深い関心を持ちながら御
議論等
に参画をしてまいったところでございます。 しかし、結論から申し上げて、ただいま、まだこの
専門職大学
の基本的な
枠組み
というべき
設置基準
が明確に定められていない、公表されてございません
状況下
にございますので、
専門職大学
の実態、実情に関しましてはいささか不透明なところ、曖昧なところがあるものでありますから、これに対して
賛成
であるとか反対であるとかという
お話
については控えさせていただこうと思っております。 いずれにいたしましても、六百の四年制の
大学
の
現状
、現実を聞いてみますというと、
高等教育機関
への新しいアクセスについて、これが複数存在してくることは望ましいことではないかという、いわば
制度創設
に
賛成
とする御
意見
がある一方で、いま
一つ
、これは結構、半数以上のところから寄せられている御
意見
ではありますが、この
専門職大学
については、全体像はわからないけれども、果たして一体どのような
教育内容
を
考え
ておるのか、カリキュラムになっておるのか、あるいはまさに基本的な
枠組み
をどのように設計しておられるのか、その辺が不透明である、したがって、すこぶる不安であると同時に、どのような
対応
、判断を
考え
ていったらよろしいか、すこぶる懸念があるといったお声も結構強く寄せられておるところであります。 いずれにいたしましても、
状況
を、今後の
設置基準
の
枠組み
をよろしく見た上で、またさまざまな御
意見
も申し上げたいと思うし、恐らく各
私学
は、その
設置基準
を拝見いたしながら、
制度設計
の様子を見ながら
対応
を決めていかれることになるのではないかと思います。まず、この点を
お話
しさせていただきます。 具体的に
お話
を申し上げますが、
専門職業人材
が必要とされる
分野
は
那辺
にあるのか、あるいは
養成
すべき
人材像
というものについてどのようにお
考え
になっておられるか、
育成
すべきボリューム、人数をどの程度
考え
ておられるのか、この新たな
高等教育機関
の
設置
の前提となるべきところをより明確にしていただきたいという
お話
が一点でございます。
二つ目
でありますが、ここ十数年来、
大学
の
設置認可
にかかわりましては、大半が
看護系
あるいは
医療系
、
資格取得系
の学部・
学科
になっておることは御承知のとおりでございまして、これとの絡みで、このほど
創設
されようとする
専門職大学
の違いが一体
那辺
にあるのか、どのような目標、
目的
になってくるのか、ここのところがどうも明確になっていない。したがって、
私立大学
、
短期大学
の
現場
では
混乱
が生じておるところがございます。 この点は、やはり明確にしていただきたいものだ。
国会
の場における御
審議
において、この点を明確にしていただけるとありがたい。それは、
大学
が困るのみならず、そこに学ぶ
若者
、
学生
の
混乱
あるいは
ステークホルダー
の
混乱
を回避するものであるというように
考え
てございます。 三点目でありますが、新たな
高等教育機関
の
制度設計
と
産学連携
の問題であります。
実務家
の
教員
、
研究能力
をあわせ有する
実務家教員
の割合に関する
基準
、これを除きますれば、まだ全容がはっきりしてございません。これらに関しての特性をやはり明確にしていただきたいと念願をいたすものであります。諸
外国
の例を軽々に持ち出すつもりはありませんが、
産学連携
との絡みでは、この
あたり
のところが十分な
制度設計
が必要だと存じております。 それから、続いて四点目でありますけれども、これは当初から
私学団体
が
お願い
をしておる話であります。新たな
高等機関
に対する
財政措置
の問題でございますが、国策として推進をいただかれる新たな新規の政策でございますから、これの
創設
にかかわっての国の支援、
助成
に関しましては、現行の
私学助成
とは別枠にて、ぜひとも御考慮をいただく上でお
考え
をいただきたい、こう思ってございます。 それから、これはまとめの
お話
として申し上げたいところでありますが、
大学
の
歴史
、ボローニャに始まるところの一千年からの
歴史
、それから今日の
我が国
の
大学
の
進学率
が六〇%になんなんとする
状況下
の中で、改めてかような
専門職業大学
の
制度
を開設することになることについては、
歴史
の中にたえ得るような
専門職業大学
をつくっていただきたい。
大学
の類型の中でこれをつくるという
お話
になりますというと、学位が
世界共通
のものでなければならないわけであります。細部にわたるところの詰めの
段階
で、この
あたり
をしっかりと
お願い
申し上げたいものだと思っておるところであります。 ちょうど時間でございますので、この辺で失礼をいたします。 御清聴ありがとうございました。(
拍手
)
永岡桂子
5
○
永岡委員長
ありがとうございました。 次に、
本田参考人
に
お願い
いたします。
本田由紀
6
○
本田参考人
東京大学
の
本田由紀
と申します。
教育社会学
を
専門
としております。 きょうは、このような場で
意見
を表明する
機会
を与えてくださいまして、本当にありがとうございます。 これから申し上げます私の
意見
は、お手元にあります
配付資料
にまとめてあります。特に冒頭には、囲みの中にその要点を
箇条書き
にしてあります。 見ていただければおわかりのように、
意見
の
内容
は
小出参考人
の御
意見
と重複する点もありますけれども、私の言葉で以下御
説明
を差し上げたいと思います。 まず第一点目ですけれども、今回の
法改正
の趣旨、背景についてです。
日本
では
教育機関
の
職業スキル
の
形成
ということが国際的に見ても非常に弱体であり、
専門職業人材
の
育成
を
目的
とした
教育訓練機関
が拡充されることそのものは非常に重要であると
考え
ております。 この
職業スキル形成
の
弱体性
については、これまで私は、さまざまな書籍であるとか論文であるとか、あるいは
発言
を行ってまいりました。その一部を、別紙一であるとか、あるいは、ほかの
方々
の分析も含めて、この
配付資料
の三から六ページの
参考資料
一、二に幾つかのデータをつけてあります。 このような
状態
に鑑みますと、
専門職大学
、
専門職短期大学
の
創設
と
学校教育法
内への位置づけというのは
評価
できる面があると
考え
ております。 特に、私が従来から気にしておりましたのは、
日本
では、
高等学校段階
における
専門教育
、
専門学科
ですけれども、の規模が小さく、非常に
社会的評価
が不当に低いということが国際的に見ても大きな問題であると
考え
ておりますけれども、その重要な原因は、
専門学科
からの
大学進学
の
機会
が制約されているということにあります。同じ
高校卒
であっても、
専門学科
は
専門科目
の比重が高いがゆえに、
入試
において非常に不利な
立場
に置かれており、
AO入試
や
推薦入試
を通じて辛うじて進学している、そういう
状態
にあります。 このような
状態
の中で、
専門職大学
、
専門職短期大学
の
創設
により、
高校専門学科
からの
進学機会
がこれまでよりも拡大されるということには期待を持っております。 ただしかし、これは、
専門学科
から
進学先
として
専門職大学
、
専門職短期大学
のみを想定するというわけではなく、
一般
の
大学
への
進学機会
の確保ということは引き続き
取り組み
が必要だと
考え
ております。これが第一点目です。 第二点目ですけれども、この
改正法案
に対する
危惧
と言えるものですけれども、今回の
法案
においては、
大学
での
修業年限
が六年とされている医学、歯学、薬学の三
分野
のみが
専門職大学
に
課程
を置くことができないというふうに明記されております。これは、この三
分野
以外の
分野
に関しては、
既存
の
大学
における
専門職養成
と新しい
専門職大学
との
関係
が極めて不分明な
状態
のままであるということです。
大学
には、
教員免許
を初め、多数の
専門職業資格
を取得できる
課程
が存在します。このような従来の
大学
における
専門職養成
と新たな
専門職大学
との
関係
をどのようにお
考え
になっていらっしゃるのか、整理していらっしゃるのかということが、少なくとも、本
法案
あるいはこれまでの
中教審
などにおける
議論
からは、十分に読み取ることができないというふうに
考え
ております。 むしろ、上記三
分野
のみが明記されていることにより、従来の
大学
におけるさまざまな
専門職養成
が今後
専門職大学
へと、時には強引な形で
転換
を迫られるのではないかという
印象
を
一般社会
あるいは
一般
の
大学
の教職員及び
学生
は抱くおそれがあります。そのような
印象
は、国公立であれ
私学
であれ、従来の
大学
の運営にとって多大な
混乱
を招くおそれがあると
考え
ています。
既存
の
大学
における
専門職養成
は、
教育課程
全体の中に深く埋め込まれた形で実施されておりますので、それを無理やりに切り出すような改革が仮に行われたりすれば、これは従来の
大学
全体に対して大きなダメージを波及させる、そういうおそれがあります。それゆえ、本
法案
がそうしたことを意図しているのではないということが何らかの形で明示されることが望ましいと
考え
ます。 同様の
危惧
は、昨年十一月に開催された
全国知事会議
における
一つ
の
資料
においても表明されています。これは、本
資料
の六ページの
参考資料
三につけてあります。 近年、特に
地方国立大学
において予算の削減が著しく、非常に苦しい中で
地方国立大学
は運営されておりますけれども、一方で、
地方国立大学
はこれまで長きにわたり
地域社会
において非常に重要な役割を果たし、今回の
全国知事会議
の
発言
からもわかるように、高い
評価
も得ております。そうであるからには、
専門職大学
への急激な
転換
の要請などは行われるべきではないと
考え
ております。 なお、付言すれば、
一般
の
大学
や
短期大学
における
学問分野
の
職業的意義
を高める努力については、私は、引き続き必要であり、今回の
専門職大学
、
専門職短期大学
の
創設
をもって
一般
の
大学
がそうした
取り組み
から免責されるということも、他方でこれは問題があるというふうに
考え
ております。 第三に、
法改正
に伴って、
設置基準
などにおいて盛り込まれるような形で整備されるべき不可欠の
条件
について、二点申し上げます。 まず第一に、
専門職大学
、
専門職短期大学
の
教育課程
についてですけれども、これまでの
資料
で見る限り、これらの
大学
、
短期大学
においては、実習の強化や
実務家教員
の
積極的任用
ということが非常に強調されております。 しかし、
変化
の激しい
職業世界
の中で、真に
実践力
を発揮し得る
職業人
を
育成
するためには、目の前の実践的な
スキル
の
養成
にとどまらず、それぞれの
分野
及び関連する隣接諸
分野
の
歴史
や
現状
あるいは将来について俯瞰的、大局的な
認識
、理解を得ることができるような、そういう
教育課程
を整備し、非常に柔軟に、
状況
が変わっても対処し、その
分野
そのものの問題点を変革していくことができるような
職業人
の
養成
ということが必要であると
考え
ております。 こうしたことが保証されない限り、今回の新しい
教育機関
の
意義
というのは非常に疑わしい面を持つのではないかというふうに
考え
ております。 第二点が、
専門職大学
、
専門職短期大学
の修了者の労働市場での処遇についてです。 今回の
法改正
によって
専門職大学
、
専門職短期大学
が開設され、非常に充実した
教育
が仮に行われたとしても、そこで習得した
専門
性が発揮できるような労働市場と適正な労働
条件
の確保がなされない限り、その有効性は何ら発揮されません。
御存じ
のとおり、既に、
日本
の労働市場におきましては、
専門
的な訓練を受けたとしても、それがまるでなかったことかのように扱われ、あるいは非常に低く不安定な処遇でもって扱われるということが多々発生しております。学芸員など必要ないといったような
発言
まで起きるほど、
日本
では
専門
的な職業に対して大変低い見方がなされております、あるいは労働市場での処遇がなされております。 ここを改善しない限り、幾ら
教育機関
の方を拡充させたとしても、その
社会
的な
意義
というのは何ら確保されないと思っております。 既に有識者
会議
における
審議
のまとめにも記されてはおりますけれども、今後
設置
される
専門職大学
、
専門職短期大学
の各
分野
と密接に関連するような業界
団体
や労働組合、あるいは学協会及び省庁は、卒業生の採用や採用された後の処遇のあり方について指針や例えば職種別の最低賃金などを定めることにより、また企業を超えた労働移動を促進するようなサービスを充実させることにより、ここで
形成
された
専門
的
スキル
が十全に発揮されるような労働市場環境を整える責任と義務を担っている。
創設
したからには、そのような環境を整備しない限り、いわば詐欺のような形になってしまうというふうに
考え
ておりますので、このような方向での整備が別途、何らかの法制化の方向性も含めて、
設置基準
はもとよりですけれども、明確に規定される必要があるというふうに
考え
ております。 以上です。(
拍手
)
永岡桂子
7
○
永岡委員長
ありがとうございました。 以上で
参考人
の
方々
からの
意見
の開陳は終わりました。
—————————————
永岡桂子
8
○
永岡委員長
これより
参考人
に対する
質疑
を行います。
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。神山佐市君。
神山佐市
9
○神山(佐)
委員
おはようございます。
参考人
の皆さんにおかれましては、大変貴重な陳述をいただきましたことに心より感謝申し上げる次第であります。 新しい
専門職大学
及び
専門職短期大学
につきましては、
大学
の新しい類型については、一九六四年の
短期大学
の
創設
以来、五十五年になるということのようであります。 まず、
永田参考人
にお伺いするわけでありますけれども、今回の部分については、
社会人
の
学び
直し、そして、観光
分野
、農業
分野
、情報
分野
等々について実行力があり、即戦力になるというふうなことが大きく求められているんだというふうに
考え
ているわけであります。 今、
日本
の人口が減少してきている、少子高齢化
社会
を迎えてきているわけでありますけれども、その中で、
外国
人の観光客をふやすインバウンド、そして、これからの輸出をふやしていく、また、農業の
取り組み
をしっかりしていかなきゃいけないということでもあるわけであります。
日本
の経済を成長させるために、これからしっかり学校として、
大学
としても取り組んでいかなきゃいけないということで、新たな部分の
取り組み
になるんだというふうに
認識
しているわけであります。 その中において、
中教審
の中で、実践的な職業
教育
を行う新たな
高等教育機関
の
制度
化に関する
特別部会
では、十七回その
審議
がされたということであります。また、
専門職大学
及び
専門職短期大学
の
制度
化につきましては、さまざまな御
意見
があったというふうに推察するわけでありますけれども、有識者
会議
も十二回行われたということでお伺いしているわけでありますが、その中で、海外との比較、
賛成
、反対の
立場
の御
意見
等もあったんだというふうに思われますけれども、このことにつきまして、提案等、そして
賛成
、反対につきまして御
紹介
をいただければ、
お願い
いたします。
永田恭介
10
○
永田参考人
御質問ありがとうございます。 主に最後の部分だと思いますが、御
報告
を申し上げます。 もちろん、こういう
審議
会の中では賛否両論というのは当然のことでありますが、最終的には、
答申
という形で、一定のコンセンサスは得られたと
考え
ます。その過程の中で、当然ながら、新しいこういう機関を設ける
必要性
に関して、大きく分けて二つの賛否があったと
考え
ます。 もちろん、
賛成
の側は、当然ながら、今現在の
大学
が、ここで目指している実践的な職業に特化したような、あるいはそれを焦点に定めたような
教育
ができるかどうか、できる可能性の
枠組み
ではあるけれども、現況、
一般
の
大学
にそれが本当に可能であるかという点。 もう少し平たく申し上げれば、主に教養やアカデミックな方向に偏りがち、ある意味では偏らなければいけないような部分も
高等教育
にはあるわけでありまして、そういった
大学
がこのような実践的な
職業人
を育てる機関になり得るかという問題に関しては懐疑的であるということであります。 したがって、新たに新しい機関を新しい理念のもとに立ち上げるということが重要であろうということであります。 今申し上げた
意見
の中で、反対は、それでは
既存
の
大学
はこれが本当にできないのかという問題であります。 御指摘が先ほど
本田参考人
の方からもありましたが、例えば医学や薬学といった領域においては、当然のことながら、その
一つ
の役割であるところの医師や薬剤師といったものを育てているわけでありまして、必ずしもできないというわけではありません。 ただし、一方で、医学や薬学の領域では、研究の機能が非常に重要視されている部分もあり、必ずしも
現場
に出るようなカリキュラムになっていない、そういう
大学
も多々見られるわけであります。その是非を言っているわけではなくて、そういう
現状
に鑑みたときに、現在の
大学
がこういう実践的な
職業人
を育てることに
転換
可能かという問題については、全体的にはそう容易ではないということになったわけであります。 先ほどの御質問の中でございましたけれども、何百年も
大学
が存続している。多分、この
社会
の中で、
大学
という、組織体として存在しているものというのはなかなかほかにはそうはなくて、政治体制もいろいろ変わる中で、多分、
大学
は、その
時代
時代
にフレキシブルに
対応
してきたからこそ、今も
大学
という形で残っているのであろうと思っているわけであります。 そうした
観点
からは、今現在はもとより、これからの
社会
のあり方を
考え
て、この機関というものを新たに
考え
ていく
必要性
にたどり着いたということになります。 この
内容
ですけれども、何か実際にすぐサービスをするとかそういう問題ではなくて、やはり
大学
として
設置
するわけでありますから、研究、
教育
、
社会
貢献という
教育
基本法に書かれている
大学
の役目は当然ながら負うものというわけでありまして、その研究の
内容
については、より深い、単なる
専門
の
スキル
を教えるだけではない
内容
になるであろうというふうに
考え
ております。 したがいまして、
大学
という
枠組み
の中で、新たなこういう機関の
制度
を
考え
ているということでございます。
神山佐市
11
○神山(佐)
委員
ありがとうございました。 これからの
教育
の質の確保ということについては、しっかり
考え
ていかなきゃいけないということであるわけであります。 そして、企業勤務者の
実務家教員
の確保も必要だというふうに
認識
しているわけでありますけれども、これから、企業内実習や演習、この辺については、二年間で三百時間以上の履修が必要であって、四年間で六百時間以上というふうなことが
考え
られているということであるわけでありますけれども、今回の提出の
法案
では、
設置基準等
詳細な
制度設計
についてはまだ検討中であるということであります。 この
制度設計
いかんによって、新しい職業
教育
における
高等教育機関
の価値を高めていけるかというふうなことが必要だと思っているわけでありますけれども、
永田参考人
の御所見、そして優先順位として重要と思われる課題などにつきまして御指摘をいただければというふうに思います。
永田恭介
12
○
永田参考人
それでは、
考え方
を述べさせていただきます。 もちろん、先ほどから指摘があるように、
設置基準
の詳細については、こうした
議論
の上にさらに
議論
を重ねて、いろいろな
方々
からの
意見
を
参考
につくっていくものでありますが、今
委員
が御指摘のように、基本的に大変重要なのは、インターンシップ等の
現場
での実習ということであります。
一般
的に、理工系の研究
大学
であっても、三年次、四年次というのは、ほとんどが実験、実習というものでありまして、この場合はアカデミックな
観点
でのそういう
現場
での
学び
ということを続けているわけでありまして、ましてや、実践的な職業
教育
に向かうということに当たっては、
現場
での
学び
というものが著しく重要であるというふうに
認識
をしています。また、それがない限りは、決して満足のいく
学び
が完成するとは
考え
ていません。 以上です。
神山佐市
13
○神山(佐)
委員
ありがとうございました。 今、これからの部分で、
専門学校
から組織を改組するというふうなこと、そして
大学
からの併設が見込まれていくということでありますけれども、この辺について、校地それから校舎の面積等々、
専門学校
、そして
大学
からその併設をするということについては、
考え方
があろうと思うんですけれども、この辺について、
永田参考人
とそれから
小出参考人
にお伺いできればと思います。
永田恭介
14
○
永田参考人
専門学校
と
大学
との違いがもともとの御質問の中にはあると思いますが、それが、具体的に今求められた御質問は、実際に
大学
相当として機能し得る場合にどの程度の外形として必要かということかと思います。 この
大学
、そこの
答申
の中にも書きましたが、校地、校舎についてはいろいろな
条件
に鑑みて今後詳細を決めるということにしております。それは、先ほど申し上げましたように、国全体の中で新しい
産業構造
、
就業構造
を
考え
ていくという
立場
がそこにあるからであります。 東京の中であるいは地方で、新たな産業種によっては非常に広い校地、校舎が必要である場合もありますが、逆に、ある地域やある都市においては、そういう広い校地、校舎が必要なくとも
目的
を達成し得る可能性のある
分野
もあります。したがいまして、それらについては、重々に
考え
て、
設置
の
基準
を定めていかなければいけないと
考え
ております。 もちろん、私が自分でまとめている中で
危惧
したのは、実践的な
教育
をするんだから、
社会人
もいるだろうし、
学生
としてどうするんだという中で、やはり、
学生
の生活を保証できるようなものとして、校地、校舎の限定のほかに、そういうような変わり得るものも置くということがわかるような書き方に最後なっていると思います。 したがいまして、各種の
分野
における
教育
に支障のない限りの校地、校舎、それから
学生
にとっての
学生
生活が送れるだけの保証、それは必要であるというふうに
考え
ています。
小出秀文
15
○
小出参考人
御質問ありがとうございます。 私は、少し別な角度からこの
お話
をさせていただきます。 先ほどの
意見
陳述の中では、
大学
としての新しい形をここに開いていくものであると、
大学
類型としての
専門職業大学
をつくる、こういう方向でございます。 そのことに関して申し上げれば、
教育機関
はすべからく永続性が担保されていなければなりません。その意味から、校地、校舎
基準
、現在は、
大学
の場合は
学生
一人当たり十平米と
基準
上定められてあったと思います。それはさまざまな
学問分野
によって異なるのでありましょうが、
教育
の質を高め、
内容
を永続的に実現していく意味合いから、校地、校舎に関しても
既存
の
大学
との兼ね合いの中でしっかりと手当てされるべきものである。ただ、画一的である必要はなかろうと思います。 先ほど
永田
先生がおっしゃったような方向での、
分野
によっての違いも出てくると思いますが、この点については大切な
教育
環境
条件
だと心得ております。よろしく
お願い
いたします。
神山佐市
16
○神山(佐)
委員
ありがとうございました。 次に、
小出参考人
にお尋ねいたします。
参考資料
として、
日本
私立大学
連合会からの
意見
をいただいているわけでありますけれども、
専門
職業人
を
養成
しても需要が不透明なことや、
専門職大学
を
大学
体系の一部として
制度
化しなければならない
説明
に説得力がないというふうなことであるようでありますけれども、
産学連携
についての方策について具体性がなく曖昧との主張もされておるわけでありますけれども、加えて、
財政措置
について、別建てにての
考え
で……
永岡桂子
17
○
永岡委員長
申し合わせの時間が来ておりますので、手短に
お願い
いたします。
神山佐市
18
○神山(佐)
委員
はい。譲れないということであるようでありますけれども、先ほど、
私学
の
助成
金をさらにふやしていただきたいというふうなこともあったと思うんですが、この辺についてよろしく
お願い
いたします。
小出秀文
19
○
小出参考人
まず、財政の問題から
お話
をさせていただきますが、これは、別仕立てで財源措置をおとりいただき、小さく産んで大きく育てていくような手法をおとりいただく、こういうことが望ましいだろうということを、私ども一貫して
お話
をさせていただいているところであります。 この点は、昭和五十年の、自由民主党の若手の文教の
先生方
が議員立法でおつくりをいただいた
私学
振興
助成
法の精神にもかなう
お話
だと思ってございますので、その
観点
から別仕立てでよろしく
お願い
したいと思ってございます。 それから、
産業界
からの
人材
要請、それのお声がけというところでありますが、諸
外国
の例も見ながら、やはり
産業界
の、いかなる業種、いかなる
世界
がどのような
人材
をどの程度要求しているのかという
あたり
のところを試算いたす中で数値的にも示していただけることが、
制度
の健全
育成
のために必要になってくるだろう、こう思っております。 以上です。
神山佐市
20
○神山(佐)
委員
どうもありがとうございました。終わります。
永岡桂子
21
○
永岡委員長
次に、
菊田真紀子
君。
菊田真紀子
22
○菊田
委員
民進党の
菊田真紀子
でございます。 きょうは、お三方の
参考人
におかれましては、大変お忙しい中、こうやって御
出席
をいただきまして、それぞれの
立場
で御
意見
をお述べいただきましたことを心から感謝を申し上げたいと思います。 それでは、私の方から質問をさせていただきたいというふうに思いますけれども、まず、
永田参考人
と
本田参考人
に御
意見
を伺いたいと思います。 先ほど
小出参考人
の方から御
発言
がございまして、現在の
大学
、
短期大学
、それから実学を標榜する学部、
学科
においては、既に
実務家教員
を採用して
専門
職業人
の
育成
を行っている、あるいはまた、
社会人
の
学び
直しにも
対応
できるように、多くの
大学
で教学上の配慮が行われている、こういうような
お話
がありました。 今回、五十五年ぶりの
制度
改正ということで、学校
教育
の永続性が重要であるという
観点
からしてみても、今なぜここで
制度
改正をする必要があるのかということを明確にしていく必要があるというふうに思います。 例えば、
看護系
であるとか
医療系
であるとか、そういう既に
設置
されている
大学
もあるわけでありますけれども、そことの違いをどういうふうにつくっていくのか、これは大変重要な
観点
だというふうに思いますので、先ほどの
小出参考人
の
発言
に対して、
永田参考人
、
本田参考人
、どのような御
意見
をお持ちか、お伺いしたいと思います。
永田恭介
23
○
永田参考人
御質問ありがとうございます。 先ほど来から、ほぼ同じような部分が一番重要なので、皆さん繰り返し
議論
になっているわけでありますが、今、なぜこうした実践的な職業
教育
の
大学
が必要かということでありますが、逆に言うと、今現在、実践的な
教育
を行う
高等教育機関
というものがどれだけ実行力を持って動いているかということになるかと思います。 先ほど冒頭で述べさせていただきましたけれども、諸
外国
、
我が国
も過去を振り返れば、実はいつも
ボケーショナル
なものとアカデミックなものが
複線化
した中で、
学生たち
はその中を、
分岐
型と申し上げたのは、ニーズに応じてそれぞれに動いていくという形で育ってきました。そうした中で今一番欠けているのが、実践的な職業
教育
を
大学
の
基準
の中でやる、つまり、高いレベルの研究とそれから
人材
養成
目的
を持って
社会
にも貢献するという
教育
基本法の
大学
の役割の中に配置するということの重要性があるというふうに
考え
ています。つまり、
大学
が、
高等教育機関
としての
研究能力
をそこに付与していく必要があるであろう。 もちろん、暗黒物質やクオークを見つけるような、そういういわゆるアカデミックな研究がある一方で、しかし、おすしは何でおすし屋さんが握るとおいしいのか、そういう研究が当然あってもいいわけでありますけれども、我々が暗黙知として知っているようなことが科学的に本当にディスクリプションできるかどうかということに関しては、相当高いレベルの研究が必要である。そうなれば、誰でもそのメカニズムがわかればおいしいおすしが握れる、そういうことになるわけですが、これは、大変申しわけない、低いレベルの例え話ですけれども。 つまり、そういうふうに、ここが
大学
であるというのは、研究機能を持つということが後ろ側にあるということであります。四年生
大学
としての研究機能を持つということであります。 それをもとに、つまり、実践
教育
に役に立つというのは、先ほども、永続性を持たなきゃいけないというのは、ある職種だけに役立つことをもちろん規範に教えていくわけですけれども、なぜそういう職業でこれが必要かという原理を教えるのが大切なわけであります。したがって、違う職業にかわったとしても、物の
考え方
というものは既に身についているような
教育
を展開していくというふうに
考え
るわけです。 そのためには、
既存
のテキストブックを読んでいるだけではだめで、実践
教育
を行う
大学
そのものが新たな発見や発明を見出して、それを付加して
学生
に
教育
をしていくという
立場
が必要であろうというふうに
考え
ています。あくまでも一条校、
教育
基本法の
大学
というところに位置づけるのであれば、そういった
観点
が必要であるというふうに
考え
ています。
本田由紀
24
○
本田参考人
今御質問いただいたことに関しては、私自身、
危惧
を抱いております。 もう少し詳しく、どういう
危惧
かということを申し上げますと、
既存
の
大学
と新しい
専門職大学
とが全く別の
分野
をそれぞれ担うようになるということが一番問題が少ないケースです。これまでの
大学
にはなかったような新しい
分野
に
対応
するために
専門職大学
が設けられる、開設されるということは、共存が大変スムーズに可能だと思います。 問題は、同じような職業
分野
、かぶるような
専門
職の
養成
に関して新しく
専門職大学
というものが立ち上がってきたことが従来の
大学
にとっていかなる意味を持つかということについて、まだ非常に不明確であり、そこはもう少し御
説明
が必要なところだと
考え
ております。 例えば、どういうことが
危惧
されるかといいますと、
教員
養成
において、従来の
大学
でも可能だし、新しい
専門職大学
でも可能だけれども、採用等において新しい
専門職大学
の方がさまざまな面で優遇されるといったようなことが仮に発生した場合、そもそも
教員
養成
というのが非常に実践的な発想だけで成り立つものかといったようなことにも吟味が必要ですし、それによって、従来の
大学
の
教員
養成
に注力してきた
教員
などは膨大な数存在しているわけで、そこがこうむるダメージということははかり知れないものがある。 複数のルートがあって、いずれも同等に
評価
されるというのではありませんけれども、新しい
大学
の方に高い価値が置かれたりした場合の
既存
の
大学
の
立場
を
考え
ていただきたいということです。 中には、
既存
の
大学
に同じような
専門職養成
の
分野
があるのであれば、それは徐々に実践的な
専門職大学
の方に
転換
していけばいいのではないか、そういうお
考え
をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。これが自然に起きる、例えば、定員割れしているような
私立大学
などで新しく定員をきちんと確保するためには、これこれの
分野
における
専門職大学
へと生まれ変わろうというような選択をその
大学
の判断でされる場合には構わないのですけれども、あり得ると思うんですが、新しい
教育機関
の
枠組み
ができたからには従来の
大学
もそこに移れといったような、かなり強硬な指導というか政策的な圧力がかかった場合に、これもやはり
既存
の
大学
にとってはモチベーションが失われることになりかねない。 そういう非常にハードランディングな改革というものが、いろいろ批判もありながらも非常に多くの者の努力で成り立ってきている
既存
の
大学
というものを踏みにじるようなことにはしないでいただきたいというのが、私の非常に心配しているところです。 以上です。
菊田真紀子
25
○菊田
委員
ありがとうございます。
小出参考人
にお伺いいたします。 全国で私大は六百校ですか、
現状
あるという
お話
でありましたけれども、この私大を取り巻く経営環境の
現状
について、少しお聞かせをいただきたいというふうに思います。 また、先ほど、
お話
の中で、
現場
からはすこぶる不安があるという声も聞こえてくるという
お話
がありましたが、今回の
制度
化に関しまして御懸念があるとすれば具体的にどのようなことであるのか、御指摘をいただきたいと思います。
小出秀文
26
○
小出参考人
お答えを申し上げたいと存じます。
大学
の数はたしか六百五とか六百四とか言われますが、募集停止をしている学校などもございますので、六百と私は今申し上げました。正確な数値に関しましてはまた確認をせにゃならぬと思いますが、六百という理解で私はつくっております。 経営環境についてはどうか、こういう
お話
でございます。
我が国
の
高等教育
は
設置
形態ごとに、国が
設置
する国立
大学
、それから自治体が
設置
する公立
大学
、学校法人が
設置
する
私立大学
とございます。事
私立大学
にかかわっての
お話
と理解をいたしますと、経営組織体の
私立大学
にとりましては、今、都市部の
大学
の問題とそれから地方部の
大学
の問題、ここに、大きな格差といいますか、大きな差異が生じているというのが現実であろうかと思います。その
状況
から見ますと、地方部の
私立大学
は規模が比較的小さいわけであります。 経営の安定を確保するためには、定員が大体四千人を超えておらぬことには、スケールメリットからいっても経営の安定が確保できないといったようなトレンドもあるやに聞いておるのでありますけれども、四千人以下の
私立大学
がすこぶる地方には多い。その地方の
私立大学
にとっては、少子化の
社会
の中で、従来からの十八歳人口だけを頼っている体系の中では定員未充足といった事情が、今、定員未充足の
大学
の割合は全国平均では半数以上に上っているのではないか。それは全国平均でありますから、各地方地方によってかなり事情はもっと深刻度を増してきている、こういう
状況下
にあろうと思います。 しかし、いずれにしても、そういう経営問題を抱える
私立大学
が、今度新たに
専門職大学
の提案にかかわりまして不安としておっしゃっておられるところは、先ほどからの
議論
の中にも出ている
お話
のとおりでありますけれども、私どもが今
養成
を行っている看護
人材
にしても、あるいは放射線を取り扱う技術責任者のような
養成
にしても、そのようなものが今度の新しくできる
大学
との
関係
で一体どんな位置になってしまうのか、それをどう
学生
に
説明
したらいいのか、
ステークホルダー
の親御さんたちにどう
説明
したらいいのかというところで大変な困惑がおありになるということがございます。
私立大学
、経営組織体でございますから、その
あたり
をどう判断していくかという意味合いから、しっかりとしたデータをお示しいただき、そして懇切な方向に関する
説明
を
お願い
しなければならぬだろう、こんなふうに
考え
てございます。 回答になりましたでしょうか。
菊田真紀子
27
○菊田
委員
ありがとうございました。 もう時間ですので、最後に一問、三名の
参考人
にそれぞれお答えいただきたいと思います。
設置基準
が非常に大事だということでありますが、
専門学校
のそれよりもかなり厳しくなるということが想定されますが、ハードルが高ければ
専門学校
からの参入というのは限られてくるでしょうし、逆に、
設置基準
のハードルを低くすれば、今度は質の確保という
観点
から問題が出てくるというふうに思います。こうしたことについてどのような御
意見
をお持ちか、お聞かせください。
永田恭介
28
○
永田参考人
簡単にお答えします。 最終的に、国際的に通用する学位というものに相当できる
人材
養成
ができるように仕組むべきであって、そのために逆算すると、カリキュラムやアドミッション、あるいは校地、校舎も決まってくるであろうというふうに
考え
ています。
小出秀文
29
○
小出参考人
教育
事業体は失敗は許されない、一生一度の
教育
を預かる場所でございますから。その意味から、まだイメージのはっきりしないものについては小さく産んで大きく育てていく、そのような方式が必要だろうと思います。 したがって、この
基準
に関しましても、
専門職大学
にふさわしい
基準
というものが一体どのようなものなのか、これも懇切に
説明
をしていただきたいものだ、そのように念願をいたします。
本田由紀
30
○
本田参考人
一定の規模、ボリュームを確保するためにハードルを下げるということは、あってはならないことと
考え
ます。 今、
小出参考人
もおっしゃったように、新しい機関を
創設
するということの責任を担っているわけで、そこを通過して将来
社会
に出ていく
学生
あるいは保護者の
立場
に立った質の保証ということは、どうしても必要だというふうに
考え
ます。
菊田真紀子
31
○菊田
委員
質問を終わります。ありがとうございました。
永岡桂子
32
○
永岡委員長
次に、富田茂之君。
富田茂之
33
○富田
委員
三人の
参考人
の皆さん方、貴重な御
意見
をありがとうございました。 先ほど
永田参考人
の方から
本案
の成立の経過について御
説明
いただきましたが、実は私、
教育再生実行会議
にオブザーバーとしてずっと参加させていただいておりまして、今回のこの職業
教育
の点も、ずっと
委員
の皆さんの
意見
を聞いておりました。 第五次提言で、こんなふうに提言をさせていただきました。
社会
、経済の
変化
に伴う
人材
需要に即応した質の高い
職業人
を
育成
するとともに、
専門
高校卒
業者の
進学機会
や
社会人
の
学び
直しの
機会
の拡大に資するため、国は、実践的な職業
教育
を行う新たな
高等教育機関
を
制度
化する。これによって、学校
教育
において多様なキャリア
形成
を図ることができるようにし、
高等教育
における職業
教育
の体系を確立する。具体化に当たっては、
社会人
の
学び
直しの必要や
産業界
の
人材
需要、所要の財源の確保等を勘案して検討するというふうに提言させていただいて、
中教審
でいろいろ
審議
をしていただきました。 私、今回のこの
法案
は、実は、
平成
二十八年六月二日に閣議決定されました「
日本
再興戦略二〇一六 第四次産業革命に向けて」の中にも指摘がございまして、こんなふうに書かれております。 実践的な職業
教育
を行う新たな
高等教育機関
について、
専門
性に富み、従来の
大学
卒業生と同等以上の賃金、学位を得て、
世界
の産業革命をリードするような
現場レベル
の革新を牽引し得る高度
職業人
材を輩出する
教育
実施体制を整え、
我が国
の
人材
力を抜本的に強化する今までにない職業プロ
養成
機関として
創設
する。 このとおりだと思うんですが、今もさまざま三人の
先生方
から御
意見
をいただいて、実は、
日本
私大教連中央執行
委員会
、
私立大学
の
先生方
の連合会ですか、こちらから四月十日付で、「「
学校教育法
の一部を改正する
法律案
」の
審議
にあたっての要望」というのをいただきました。 ちょっと読んでいてどうなのかなと思ったんですが、これは
永田
先生に、ちょっとその
審議
の経過について、こういう疑問もあるので、ここの場で明らかにしていただいた方がいいんじゃないかと思うんです。 この中で、二〇一六年、
平成
二十八年四月十一日の第十四回
特別部会
で行われた
審議経過報告
に対するヒアリングでも、
意見
表明した
関係
七
団体
のうち、新たな職業
教育機関
を
大学
型として
設置
することに積極的な賛意を示したのは全国専修学校各種学校総連合会のみでした。
日本
私立大学
連合会、
日本
私立
短期大学
協会など六
団体
は、いずれも懸念や
危惧
、反対の意を表明しています。
日本
経済
団体連合会
も、どのような職業
分野
で当該
教育機関
へのニーズがあるかが不明確、経団連として、実践的な職業
教育
を行う新たな
高等教育機関
を
創設
することを要望したことはない等、疑義を唱えましたというふうにここには書かれております。しかし、
特別部会
は、こうした論点について
審議
せず、表明された懸念や異論に対する明確な回答も提示しないまま終息しましたということで、ちょっと批判的に言われているんです。 実際、先ほど先生は、いろいろな異論もあったけれども、最終的には
中教審
の中でこう取りまとめたというふうにおっしゃって、そういう経過をたどったんだと思うんですが、こういう批判に対しては、先生はどう思われますか。
永田恭介
34
○
永田参考人
批判というか、それはある一定の方向からの
意見
の取りまとめになっていると思います。 確かに、いろいろな御指摘がありました。
産業界
からは、当初は
産業界
で必要な
人材
育成
に向けてくれという話もございましたけれども、
議論
が進む中で、これが
大学
体系の中に入るということを重々理解いただいた上で、
産業界
に、いわゆる当初
考え
られていた形とは違う高度
職業人
になるという御理解に最後はたどり着いています。 それから、先ほども御
意見
があったと思いますが、国立
大学
は、一定の
基準
の中で一定の規模を持ったものができていますが、
私立大学
に関しては、さまざまな形態の
状態
となっています。そういう意味合いの中で、幾つかの
観点
からいえば、この新しい
高等教育機関
がもしできた場合に、これが従来の
私立大学
の教えているゾーンに食い込んでくる可能性も当然あるわけで、それについてはある程度の、先ほどもございましたが、両者が並んで成立するような環境をつくらないといけないという意味で、そういうことは現在の
段階
で別にどこにも保証されていないので、そういう御批判もありました。 ただ、
大学
設置
というものに関しては、
設置
者が希望して建てるものでありまして、誰かが命令して建てさせるものでも何でもありません。したがいまして、こういうものが大切と
考え
る
設置
者が建てていくという
観点
から、実は、
私立大学
の方により自由度が高いというふうに
考え
られます。
設置基準
の詳細が決まらない点は、先ほど
小出参考人
からもありましたが、不安を持って迎えられている部分であろうというふうに
考え
ております。 つけ加えて、どうしても申し上げておきたいことは、これは
産業界
もわかっていただけると思いますが、いわゆる本当の意味での学歴
社会
をこういうものを通じてつくっていきたいということに関しては、皆さんは賛同されていると思います。 ボリュームゾーンとして出てくる人たちが
高等教育
の
学び
を経て、本当に
大学
が改革をしながら求められる
学び
を供給できる
状況
になったときに、それはおのずと本当の意味での学歴
社会
、つまり、工業学校を出ようが農業学校を出ようが、それが次のレベルのものを学んでその先に進んでいく、その価値を
社会
が認めて就業人口として使っていく、そういう
観点
では、基本的には了解は得られているというふうに
考え
ています。
富田茂之
35
○富田
委員
今の
私学
連合会からの指摘に対して、今先生の方でお答えいただいたとおりだと思うんですが、実は
教育再生実行会議
で
議論
していたときも、
産業界
出身の方が
議論
のスタートを切ったんですね。やはり今のままの
大学教育
を卒業した
学生
を引き受けても役に立たない、自分たちのところで再
教育
しなきゃならないから、まずそこを
考え
てもらいたいというようなところから
議論
が始まりましたので、今先生がおっしゃったとおりの経過をたどったんだと思います。 ただ、今回のこの
法案
を読んでいて、実務
教育
の時間がかなり必要ですよね。実務
教育
をできる
教員
の採用というのも問題になってくる。これからどうやってそういう方たちを見つけて、なおかつ、順繰りに新しくなっていったときに
教員
をかえていかなきゃいけないというような指摘もありますので、そういった実務
教員
の方をどうやって探して
大学
にマッチングしていくのか、そういったところがちょっとわからない部分もあります。 もう
一つ
、新しい
大学
ができたときの、事務職員が
専門
性を持っていないと、今回問題になっております
文部科学
省からの天下りの問題とか、結局、頼るべきところに行ってしまうというような問題もあると思うんですね。 どういうふうに実務
教員
を採用していくのか、見つけていくのか、また事務職員の
専門
性をどう高めていくのか、その点について
永田参考人
と、そして、
小出参考人
は、私、ちょっと御経歴を見ていまして、文科省のもしかしたら天下りなのかなと思っていたんですが、プロパーでずっとやられていたということから見まして、ぜひ、各
大学
で
専門
性を持った職員を育てていくにはどうしたらいいか、このお二人からお聞きしたいと思います。
永田恭介
36
○
永田参考人
事務職員の話が主体でしたが、
教員
について簡単にお答えいたします。 今回の
高等教育機関
では実務能力を持つ研究力を持った方ということになっていまして、大変リクルートするのは難しい、そんなに簡単に見つかる
人材
ではないと思います。したがって、それをもってして、簡単に幾つもの
大学
がぽこぽことできてくるようなことにはならないと思います。我々が期待しているのは、いろいろな産業
現場
で、いろいろな問題や少し上の開発レベルで問題を解決していきながらみずから研究力を持っているという方を
考え
ていますので、そう容易ではないと思います。 事務職につきましては、
中央教育審議会
で既に何度も
議論
をしてきて、ようやく一部、
設置基準
の中に四月一日から盛り込まれておりますけれども、事務職はいろいろな決まったことを処理するという文言が、遂行するという文言に喫緊変わりました。つまり、我々も今悩んでいるところですが、以前のように何か流れてきたものを横に少し処理しておいていけばいいのではなくて、
教員
と同等に
教育
研究に参画できる人でなければいけないというわけであります。 その
観点
で、ぜひとも私も
先生方
に
お願い
をしたいのは、
教員
ではなくて職員ではない第三の職、つまり、本当に
専門
に特化した方を新しいそういう職に位置づけていただくような
考え方
を、こちらから実は
お願い
したいと思います。 給与表も、
一般
的には
教員
職と事務職の給与表しかない。その中で、将来教授にもならない、部長にもならない新しい職種の方は、自分のキャリアパスを見つけることができません。したがって、今の御質問に返してしまいますが、そういった新しい
専門
職が事務方として育つような、事務と
教員
の間のような、ぜひともお
考え
いただけるとありがたいと思います。
小出秀文
37
○
小出参考人
御質問ありがとうございます。
教員
をどのように探してまいるかというところは、私も同様に疑問を持っているところでございます。何らかの
システム
づくりがやはり必要なんだろうな、こう思ってございます。 今は、科学技術の進歩、あるいは
職業世界
のグローバルな展開の中での
変化
はすこぶる激しいものがあります。そこで、これは不易と流行の話があります。今すぐに役立つものはじきに役立たなくなるというあの
状況
があるわけでございますね。だから、そういう意味から
考え
ると、これは何らかの仕組み、仕掛けづくりをちょっと工夫していかなくちゃならないだろう、こういうように思っております。同感であります。 それから、いま
一つ
、職員の
お話
。私は持論として、職員の
養成
の話もそうでありますが、あるいは
教員
の
養成
の話もそうでありますが、
私学
の場合は、建学の理想を実現するためにその組織体が存在するわけでありまして、ボードの役員の
方々
は、その学園をどの方向に持っていこうかということでのボードの責任があります、
理事
長、
理事
の
方々
の責任があります。それから、ファカルティーの
方々
は、これはやはり
教育
の土俵の上で重要な責任を果たしておられる。 同様に、職員の
方々
は、それをプロモートしている、運営管理をしている
立場
でありますから、
私学
の場合の職員の
養成
の問題は、他の
教育機関
とは違って、ボードもファカルティーも、それから職員の三位一体での推進が必要になってくる、そういう持論をかねて持っております。したがいまして、単独で職員だけの
養成
が図られるものではない。
教員
と一緒になって、ボードと一緒になって、そしてカレッジ、ユニバーシティーのディベロップメントが図られるべきだろう、そういうような
考え
を持っております。 しかし、方向としては、職員の
方々
のこれまでの立ち位置から
考え
て、さらに一層の飛躍が全体の目指す方向の中で強化されていくべきだろうという持論を持ってございます。 以上です。
富田茂之
38
○富田
委員
もう時間ですので、最後に
本田参考人
にお尋ねしたいんです。 ちょっと調査室の方からいろいろ
資料
をいただいた中に、週刊東洋経済二〇一五年一月三十一日号に、先生の、
教育
、私はこう
考え
るという文章が載っておりました。この中で、赤ちゃん受け渡しモデル、今の
大学
生が就職する際、そのまま渡して、
産業界
の方で
教育
していくんだみたいな、今は、その先を行って、就職できない子たちが出てきて、放り出されている、こういったことを変えていかなきゃいけないというふうに御指摘をされていました。 先ほど、今回の
法案
は、
専門職大学
や
専門職短期大学
の
創設
により、
高校専門学科
からの
進学機会
が確保される、これは期待していいというふうに御指摘されていました。ここに学ぶ子たちが
専門職大学
や
専門職短期大学
に行って、さらに
スキル
アップしようというふうに、そういうインセンティブを与えるために何かできることがありますでしょうか、この
法案
を改正していくことによって。先生の方で何か御
意見
があればと思います。
本田由紀
39
○
本田参考人
言及ありがとうございます。 赤ちゃん受け渡しモデルというのは、ちょっと変な言葉ですけれども、私が使った言葉で、
職業人
としては非常に未熟である
若者
を企業が受け取って、はいはいと赤ちゃんから育てていく、企業の中で育てていくというようなこれまでのやり方では
日本
社会
はもうもたない、ちゃんとした
職業スキル
をつけるということが必要だ、企業を超えた流動ということも確保することが必要だということをずっと言ってまいりました。 特に、高校について、
日本
の高校は、国際比較で見ても、先進国の中で非常に普通科が多くて、
専門
科が少ないという偏った
教育
をやっていると思います。
専門学科
が少ない上に、位置づけは低く見られている。 ということで、
専門学科
に行ってしまうとやはり非常に進学に苦労しますし、かといって、今、高校を出てすぐ就職してもなかなか将来的に、
高校卒
という学歴が
日本
では相対的に低学歴になってしまっておりますので、苦しい面がある。ですから、
専門学科
の高校生であっても進学したいという気持ちを持っている子は多いわけです。 それに対して、今まで高校で学んだことをさらに伸ばすことができる、そういう
教育機関
がつくられて、自分たちが高校で
専門学科
の生徒として過ごしたこともちゃんと高く
評価
してもらえるということは非常に望ましいことだと思います。 ただ一方で、高校で学んだ
専門
分野
から直接に関連するような
専門職大学
にしか行けないような、非常に狭い、ここしか行けないというような進路の設計になってしまっては、これはむしろ、インセンティブとして、彼らにとってよいことになるかどうかわからないと思います。 そういうルートはもちろんいいんだけれども、例えばほかの
分野
を経験するとか
転換
するといったようなことも含めて柔軟な進路選択が可能であるように、高校
段階
とそれ以降の中等後
教育機関
との間の接続を
考え
ていただきたいというふうに
考え
ております。 以上です。
富田茂之
40
○富田
委員
ありがとうございました。終わります。
永岡桂子
41
○
永岡委員長
次に、大平喜信君。
大平喜信
42
○大平
委員
日本
共産党の大平喜信です。 三人の
参考人
の皆様、貴重な御
意見
、心から感謝申し上げたいと思います。 まず、
本田参考人
にお伺いをいたします。
本田
先生の御著書を読ませていただきました。先ほどの趣旨なのかもしれませんが、
教育
の
職業的意義
という言葉を先生は使っておられます。この
教育
の
職業的意義
といわゆる職業
教育
というのは、先生の御
説明
で同じものなのか違うものなのか、御
説明
いただけたらというふうに思います。
本田由紀
43
○
本田参考人
それを
お話
しし始めると、私、三時間ほどしゃべりそうなので、今どうしようかと思っているんですけれども。 職業
教育
という言葉は古くからある言葉でして、しかも、先ほど来申しておりますように、何となくその位置づけが
日本
では低くなってしまっているところがあります。そこを発想をほぐしたい、あるいは、職業
教育
というと、それにぴったり
対応
したような、特定の
分野
の狭い
教育
ということが
考え
られがちなんですけれども、今の
変化
が速くなっているような
職業世界
に
対応
した
教育
というのは、これを学んだらこの職業がすぐできますとか、一生それで食べていけますとかいったような、そういうものではなくなっている。 ですから、もっと柔軟で弾力性もはらんではいるけれども、しかし
職業世界
に
意義
があるような
教育
というものを、過去よりも難しくなっていると思いますけれども、
教育機関
は
考え
る必要があるということを何とか表現したくて、職業
教育
という古い言葉を改めて使うのは人々に誤った連想を与えかねないので、新しく、
職業的意義
ということを言っております。 それは、直接の
対応
をも含んでおりますけれども、間接的な連関であったりということまで含めて、
教育内容
、方法ということを
考え
直す必要があるということを表現しようとしました。 以上です。
大平喜信
44
○大平
委員
ありがとうございます。 その上で、さらにお伺いします。 今回提出されている
法案
は、深く
専門
の学芸を教授研究し、
専門
職を担うための実践的かつ応用的な能力を
育成
、展開する、こういう目標、
目的
を掲げておりますが、私、
法案
に至るまでの
議論
の経過を見ていますと、かなり産業側からの、産業側から見た職業
教育
という面が強いのではないかというふうに感じております。
本田参考人
は、御著書の中で、働く
若者たち
の
立場
からの、先ほど概観の
説明
がありました、
教育
の
職業的意義
について述べておられます。今、雇用の不安定化ですとか非正規雇用の拡大という中で、
教育
全体を通して、
学生
、
若者
に必要な、彼らが求めている
職業的意義
のある
教育
とは一体どういうものなのか、また、その
観点
から、本
法案
が目指している
教育
というのをどう
考え
ておられるか、
本田参考人
の御
意見
をお伺いしたいと思います。
本田由紀
45
○
本田参考人
先ほど申し上げたことを補足しますと、
教育
の
職業的意義
には二つの側面があるというふうにずっと
考え
ておりまして、
産業界
からの要請に適応するような
人材
、適応力が高いような
人材
を
育成
するという面と、今、実のところ労働市場は非常に荒れておりますので、それに対してきちんとノーを言う、違法な処遇などを是正していくことができる抵抗ですね、不当な
状況
に対してきちんと正当な抵抗を行っていくことができる力をつける。この両輪がないと
教育
の
職業的意義
は成り立たないということをずっと申しておりました。 そういう意味では、今回の
専門職大学
あるいは
短期大学
においては、どちらかというと適応力がある
人材
の
育成
ということに重きが置かれているということは確かです。 ただ、個人的に、そこにこれから
設置基準
などで盛り込んでもらいたいのは、今回の
レジュメ
ではちょっと曖昧な書き方になってしまっておりますけれども、今の各産業
分野
というのは、いい面ばかりでは全くないわけですね。農業
分野
であれ、観光
分野
であれ、情報
分野
であれ、非常にブラックな職場というのはあふれているわけですし、例えば農業
分野
では、GAP認証もないがゆえに輸出ができないような
状況
ということがあるわけです。そういう今の悪い
状況
というものをきちんと是正していくこと、ノーを言っていく、労働
条件
も含めて、そういう変革力を含めた
教育課程
というものをつくっていく必要があるのであり、
産業界
の要請、一方的に都合がいいような
人材
を
育成
されてしまっては、これは
日本
社会
をむしろ疲弊させる、衰退させる方向に向かうだけではないかと
考え
ております。 以上です。
大平喜信
46
○大平
委員
ありがとうございます。 続きまして、
小出参考人
にお伺いをいたします。 私大連合会は、先ほど来あります
中教審
のヒアリングの中で、
中教審
の中間
報告
で言われている新たな
高等教育機関
が行おうとしていることは、既に現在の
大学
や
短期大学
でも実施されている、なぜ新たな
高等教育機関
を
大学
体系の一部として
制度
化しなければならないのか、説得力のある
説明
がなされていないと述べておられます。 冒頭の
意見
陳述の中でも、
レジュメ
の二にもかかわるところかというふうに思いますが、改めて、具体的に、現在の
私立大学
でどのような職業
教育
が行われているのか教えていただきたいということと、あわせて、大事な論点ですので、若干重複をしますが、
永田参考人
、
本田参考人
にも、この
法案
で行おうとしていることは
既存
の
大学
ではできないのかどうか、御
意見
をいただけたらというふうに思います。
小出秀文
47
○
小出参考人
キャリア
教育
と言われる言葉が昨今盛んでございますが、
私立大学
の中では、そのような
教育
をカリキュラムの中に埋め込んで、そして、
大学
四カ年の学業、
人材
養成
、人間
形成
、そうしたものから
社会
へのアクセスをきちっとなそうとしている
大学
の、これは通常の形であると存じますけれども、これがなされていることは間違いございません。 私は、西の方の、広島・呉にございますある
大学
に見学に参りました。そこで展開されておる様子は、西
日本
の中で唯一、大変高価な機械を導入して、そして、西
日本
におけるところの放射線技師をそこで
養成
しているんですと。しからば、その機器に関しては国の支援はございましたか、そんな立派な
人材
養成
をしているんだからという
お話
を伺いましたが、そこそこの御支援はいただいている
お話
を聞いておりました。 そのような医学の進歩にかかわる
お話
もございましょうし、昨今のAIにかかわる研究活動などについても、同様に、各
私立大学
の中では、それぞれの
分野
分野
に応じて、多様な
分野
分野
に応じてさまざまな展開をしておられる、それが、
私立大学
が
養成
してきている分厚い
人材
層、分厚い中間層の
養成
へと直結しているんだ、であるからして、今日、
我が国
は成熟化し、高度化した
社会
になっているんだろう、そんな自負を
私立大学
の連合の
立場
からは持っておるところであります。
永田恭介
48
○
永田参考人
今の
観点
でございますけれども、一番わかりやすい
説明
の仕方はわかりませんけれども、現在の
大学
で目指している
人材
養成
目的
というものは、もちろん
私学
はそれぞれの建学の理念にのっとっているわけであります。その
大学
が機関として、こういう職業
教育
を主体としたものに切りかわるということは、ある
分野
がこれに
転換
していくということになります。 我々にとっては、いろいろなことが勉強できる環境を整えることが非常に重要であって、しかも、実践的な職業
分野
に特化した
大学
をつくるとすれば、
教員
等も全てかえていかないとできません。ここでは機関を
設置
する
制度
化の法律の
議論
になっているわけでありますから、我々としては、
複線化
をそういう形で進めるというのではなくて、覚悟を持った
大学
が機関としてこういうものをやっていく。 現在の機関がこれができるか。それは先生を全部かえないとできない。
実務家教員
にかえて、それから職員も先ほど言われたようにかえて、それは、もともと
大学
が思っている、目指していた
人材
養成
の一部を捨てていくことになります。 ですから、ここで明確に、これこれの要件でこういう人を育てましょうということが
制度
化されることが重要であって、それを取り入れるか入れないかは、あくまでも
設置
者や
社会
のニーズであって、その可能性を今回
制度
化という形でとっていただくというのは、我々にとってはフェアなやり方だと思っております。
本田由紀
49
○
本田参考人
分野
という面では、今、
既存
の
大学
でも非常にさまざまな
学科
などが
創設
されておりまして、観光であったり、あるいは冠婚葬祭であったりとか、アニメであるとか、そのような
学科
も既に存在します。ただ、
分野
という点では
既存
の
大学
でも既に存在するけれども、そこでの実践性が十分かどうかという
観点
からすると、まだ不十分であるといったような
評価
がもしかしたらなされてしまうようなケースもあるかもしれません。 しかし、このように、
既存
の
大学
でもかなり
取り組み
はなされているのであって、そこに新しい今回の
専門職大学
が出てきたときに、やはりその間のフリクションということが非常に問題になってくるわけです。それをできるだけ避けて、かつ新しい
教育機関
を開設するとすれば、やはり、
既存
の
大学
にほぼないような、例えば手わざの熟練なども非常に重要になってくるような、理美容であるとか、あるいは高度なシェフとかパティシエ、ソムリエといったような、そういう事柄に関しては、既にあるのかもしれませんけれども、まだ
既存
の
大学
の中ではほぼない
分野
かと思いますので、そういう手わざの熟練なども伴いつつ、
歴史
などについても深い教養や知識を与えるような
教育機関
として新しく
専門職大学
ができれば、これは非常に平和的な共存というものは可能だと思います。 そこで食い合ったりとか、侵入してくるとか、戦ったりというようなことが始まった場合に、両者にとってよい結果をもたらさないのではないかということを大変
危惧
しております。
大平喜信
50
○大平
委員
ありがとうございます。 私は、今職業
教育
を行っている機関への支援の充実こそ必要ではないかというふうに
考え
ております。少なくない
私立大学
が定員割れを起こしている、こういうことも伺っております。その点で、やはり
高等教育
への国の予算が少ないということが何よりも問題だ、運営費交付金や
私学助成
の抜本的増加が不可欠だというふうに思います。
小出参考人
に改めてお伺いしたいと思います。 今度の
専門職大学
を
制度
化することとの
関係
においてということも含めて、
既存
の
大学
も含めた財政支援のあり方やその額などについてどのようにお
考え
でしょうか、お伺いいたしたいと思います。
小出秀文
51
○
小出参考人
ありがとうございます。 先ほど来、この
お話
については、新しい
大学
の種別をつくられるときには別途の予算措置をもって支援をしていただきたいという
お話
を申し上げました。これは一貫して
お願い
をしておる話でございます。 翻って、現在の私ども、最大の懸念を持っておりまする話は、
私立大学
の基盤的な経費と言われる経常費補助金につきましては、二十七年度決算の数値によりますというと、総経常経費の九・九%という
状況下
に置かれてございます。当初、昭和五十年の
私学
振興
助成
法で目標とされていたあの当時のことを思い出しますというと、二分の一をしっかりと確保した上で
私学
への役割、期待を申し上げていくという
お話
だったと存じます。ところが、現実はさような
状況下
にある。 これは、今議員御指摘のとおり、この国の
高等教育
への公財政支出がすこぶる貧弱である、かてて加えて、国立
大学
と
私立大学
との間にあるファンディング格差というものが大きな問題になっているんだということを、私ども、強く思っているところであります。 数値で申し上げるならば、
学生
一人当たりのこの国のファンディング格差の問題、国立
大学
生一人当たりには二百十七万円、
私立大学
生一人当たりには十七万円、そこに十三倍の格差が存在している。ともどもに
大学
を卒業したならば、この国を支え、この国の発展を力強く進めていく次世代のホープ、リーダーでございますので、この点については、格差是正の
観点
、そしてその前提となるところには、
高等教育
費を家計負担から脱皮いたしながら大いに支援をしていくことが、
日本
社会
が今後大いに発展していく上の原動力になる環境整備であろう、このように思っておるところでございます。 ありがとうございました。
大平喜信
52
○大平
委員
ありがとうございました。終わります。
永岡桂子
53
○
永岡委員長
次に、伊東信久君。
伊東信久
54
○伊東(信)
委員
日本
維新の会の伊東信久でございます。 お三人の
参考人
の皆様には、貴重な御
意見
、本当にありがとうございます。 さて、いわゆる
専門
職
教育
というところの
観点
でいいますと、私自身が受けた
大学教育
というのは、一種、クローズというか、どちらかというと
専門
職という形だとは思うんですけれども、実は私、神戸
大学
の医学部医
学科
卒業で医師免許を持っているんですけれども、そのときを思うに、五回生までずっと医療をやっていくわけです。二年間、
一般
教養で全く医学と
関係
ないことをやって、三回生にいきなり解剖実習が始まりまして、臨床が四回生ぐらいから基礎医学とハイブリッドで始まって、五回生でぴたっと終わりまして、六回生からポリクリといいます実習が始まるわけです。 私、神戸
大学
医学部を卒業したときに、自分が行きたい科がなかったので、大阪市立
大学
に移りました。大阪市立
大学
に入局したわけですけれども、そこから二年間、研修を受けました。
大学
病院というのは、医師法の
関係
上というよりも
大学
病院の決まりがあって、看護師さんが採血をしたり点滴をしてはいけないということでして、我々研修医がやりました。ところが、民間病院に行きますと、看護師さんが採血も点滴もするわけです。つまり、卒業してからそういった医者としての実務の
スキル
、基本的な
スキル
にそういったところで差ができるわけです。 今、医学部の
教育
も変わってきて、五回生から
大学
病院で研修して、六回生から外の病院で研修をする。にもかかわらず、スーパーローテートという仕組みができまして、つまり、昔のインターン
制度
が復活しまして、二年間、全ての科を回ってもう一回実習し直すんです。では、
大学
の実習は一体何なんだと常々思っているきょうこのごろなんですけれども。
大学
の
教育
で私自身が受けたのは、各科、我々医者は、内科も外科も産婦人科も小児科も整形外科も脳外科も精神科も、全ての知識を得なければいけないんですけれども、各
大学
の教授が自分の研究
分野
をテストに出して、卒業する間際まで我々の
大学
ではそういった研究
分野
に対する知識を得る、そういった場だと思って、全く実践的なところというのは、わずか一年間で全ての科を回るというのはどうなんだと。そういう意味では、職業
教育
というか実践的な
教育
というのは医学の
世界
でも本当にアンバランスかなと思っていたんですね。
社会
に出て、いろいろな職業の方がおられますから、私の狭い
世界
の中でも、そういった職業
教育
というのは本当に大事ではないかなと思います。 そういったことを鑑みて、まずは
本田参考人
にお聞きしたいんです。
本田参考人
が先ほどからの
質疑
の中で三時間は必要だとおっしゃっていたので、十分
お話
しいただきたいと思うんですけれども、文科省が我々にこの
法案
の
説明
をするときに、職業
教育
がやはり普通
教育
よりも一段低く見られている
社会
風潮をこの法律で打破したいといって
説明
に来たわけなんですけれども、率直なところ、本当にこの法律で打破できるとお
考え
でしょうか。
本田由紀
55
○
本田参考人
これだけで打破できるとは思っておりません。しかし、
一つ
の切り口というか切れ目を入れていただける一要素にはなるかもしれないというふうに
考え
ています、ぐらいです。
伊東信久
56
○伊東(信)
委員
ありがとうございます。 本当にいろいろな職業があると思うんですね。 これもまた文科省からの最初の
法案
の
説明
のときにあった話なんですけれども、
高校専門学科
からの
高等教育
の
進学先
を想定して、この
法案
では、主に専修学校
専門
課程
、
専門学校
を念頭に入れていると思うんですけれども、ただ、
進学先
として
専門学校
を中心としているので、それが
専門職大学
という名前に変わってそういった位置づけになっても、本当に、同じ人間が服だけをかえたみたいな感じで、今までとはちょっと違いが私自身は感じられないような気がします。 そういった
観点
で、要は、中身はこれから検討して変わっていくであろうという
お話
はいただいているんですけれども、本当にうまいこといくのかどうか。そういったことも含めて、
専門学校
中心という形では、
専門職大学
という位置づけになっても、今までとの違いが感じられないと思うんですけれども、この点を三人の
参考人
の皆さんにお聞きしたいと思うんです。
永田参考人
から
お願い
いたします。
永田恭介
57
○
永田参考人
専門学校
とどう違うかというような部分かと思います。 それよりも問題は、今、現在の
設置基準
の中で、
大学
に、先ほど詳細が出ていましたが、三百時間、四百時間のインターンシップや、あるいは
実務家教員
で研究力を持った人を何%以上というのは、当然ながらとれません。ですから
制度
化が必要なわけであって、我々に任せておくというか
大学
側に任せれば、自分たちにとっては、ある自分たちの
基準
の中での実践
教育
をしようとします。しかし、実践
教育
というのは一体何なのか、それは何が必要なのかというその
基準
にのっとって新しい機関をつくらないと、それは
委員
が御心配の段にあるように、何も変わらない可能性があります。 ですから、まず、
委員
の中から
既存
の
大学
のあり方を消し去っていただいて、一番実践
教育
に向く
高等教育
とは何かという形でつくるとしたらどうなるかという
議論
をこれから
中央教育審議会
でもしますし、もちろんこの
国会
の中でも進めていただきたいと思います。 ちょっと誤解を招いてしまうかもしれませんが、先ほど言った工業高校、農業高校の人たちも
社会
に出る、
世界
に出ていくわけでありまして、その
世界基準
の中に付加価値を、つまり本当の学習歴というものを意味する学歴を持って出ていってほしいというふうに
考え
ているわけであります。 したがって、本当に個々の
大学
が、ある一定の
基準
の中で、特色を持ったカリキュラムやインターンシップを
考え
るべきであるというふうに
考え
ています。
小出秀文
58
○
小出参考人
専修学校、
専門学校
のレベルが、今たしか、
文部科学大臣
のもとに登録をいたすというと、実践職業
養成
課程
とかいいましたかな、そういうような
課程
認定の仕組みがスタートしておるはずでございまして、その
あたり
のところの
現状
を私はよろしく見ていただいた上で、そうして、今度つくられる
大学
類型の中の
専門職大学
については、それとこれと、やはり基本は学位の、学位授与にかかわる
案件
になっていくと思うけれども、その
あたり
のところの比較考察をしながら、よろしい形のものをつくり上げていくことが大事であろうと思っております。 それから、関連しての話になりますが、やはりロースクールも、鳴り物入りで箱物がつくられてきたわけだが、その後の実態を
考え
てみると、必ずしもよろしい、想定した形にはなっていなかった。 これからの
社会
をどう見るのか、より慎重な考察の上に、この
専門職業大学
も、
考え
、組み立てられるべきだろう、こう思っているところであります。よろしく
お願い
をいたします。
本田由紀
59
○
本田参考人
専門
、専修学校等が
専門職大学
に変わっても大して
変化
はないのではないかという御
意見
がありましたけれども、しかし、結構
変化
はあると思います。 従来の学位と同等の学位が授けられる。
専門
職という名前はつくけれども、同じディグニティーを持つ
教育機関
という位置づけを与えられるということは、これまでいわゆる職業
教育
にかかわってきた者たちからすれば、ある種悲願のようなものでもありましたし、あるいは、保護者や
学生たち
の
立場
に立ちましても、自分がこんなに一生懸命学んでいることをちゃんと
認識
してもらえるという点では、それほど私は価値がないものではないと思っています。結構それなりの意味はあると思っています。 もう
一つ
申し上げますと、今、先進諸国を中心として、百五十を超える国々で、ナショナル・クオリフィケーション・フレームワーク、NQFというものが既につくられています。このNQFというのは、アカデミックな
学問分野
であれ、職業的な
学問分野
であれ、同等のものとして数
段階
に位置づけていく。これこれこういう
基準
を満たしたら、あなたは
段階
五ですね、あなたは
段階
六ですね、同じ価値を持つ
教育
訓練を受けた人ですねということをちゃんとクオリファイして労働市場に出していくという試みがなされています。 もうそれはどんどん動いているんですけれども、
日本
は非常にガラパゴス的に、そういう
一般
のアカデミックな
教育
と職業
教育
とを位置づけていこうとするような動きから取り残されています。そういう点でも、今回の新しい
教育機関
の
設置
そのものは私は
評価
できる面があるということは、最初の
意見
陳述でも申し上げました。あとは、その
内容
をどう実質化していくということの問題です。 これは、今後の
設置基準
の具体化を待つ必要がありますが、それとともに、従来の
大学
の問題点ということは放置してはならないということも、もうちょっと申し上げますと、先ほど医学のことを言及されました。残念ながら、医学部は今回の
専門職大学
の対象にはなっていないので、そういう問題ある
状況
というのは放置されてしまうわけなんですけれども、医学だけでなくて、今の
大学
の中では、それぞれの
分野
分野
でそれなりの、
小出参考人
がおっしゃったようないろいろな試みがなされていたり、いなかったりします。どこも、それぞれの
大学
や
学科
や
学問分野
の枠の中でいろいろなことをやったり、やらなかったり、サボったり、頑張ったりということが非常にむらむらに起きています。 その中で、一体どのように
教育内容
や方法を変えていけば、これが真に
学生
の将来にとって、卒業後の将来にとってよいことなのかというエビデンスに基づいた吟味ということが非常に欠けています。それがないままに、例えば一昨年に話題になった、人文・
社会科学
は
社会
的要請に応えていないので云々といったような
議論
が沸き上がってしまうわけですね。 要請に応えているのかいないのか、応えさせるためには一体何をどう変えていけばいいのかということについての大きなデータに基づいた検討がないままに、水かけ論のようなことが起きている。これは非常に不幸なことであり、私は、
既存
の
大学
、あるいは新しい
専門職大学
も含めて、ちゃんとデータをとって、実際に有益なのかそうではないのかということの吟味をずっと継続的にやるということが不可欠だと
考え
ております。
伊東信久
60
○伊東(信)
委員
ありがとうございます。 やはり私自身も、理科系で研究をやるときに、そういった定量的なエビデンスというのは非常に大事にしていますので、NQFも含めて、非常に
参考
になったと思います。 時間になりましたので、最後に一問だけ。
社会人
で働いている人が、みずから、もう一回、企業などの後押しで、
専門
職を身につけるためにまた学業に戻ることも想定されるわけなんですけれども、その
専門職大学
などがそういった
社会人
の
学生
を受け入れやすい仕組みづくりというところで、実際実務をやられておられます
小出参考人
に、最後、お聞きしたいと思うんですけれども。
小出秀文
61
○
小出参考人
社会人
の受け入れの形でございましょうか。 これまで、
日本
の
大学
、特に
私立大学
の場合には、十八歳人口、十八歳の
若者
を受け入れて、そしてそれを一定程度、四年間の中で育てて
社会
に送り出していく、こういう形であったけれども、
社会人
の受け入れについても、これは先ほど来
教員
養成
の
お話
があったりなどしておりましたけれども、これから確実にこの
世界
はふえていく、この
分野
はふえていくだろうと思います。 ただ、これは
教育
の
制度
だけの問題ではなくて、
社会
全体が、例えば
産業界
は横断的な労働市場が
形成
されているかどうか、その
あたり
のところ等、
社会
の
構造
全体にかかわって、単に
教育
界だけにこれを求められてもできるものではない。
私学
の
現場
の中でもそういうような傾向がありますが、よほど熱心な方が、
社会人
として
大学
へ戻って
学び
直しをしてくるという傾向ではないかと思います。 全体としての改革、検討、
システム
づくりをぜひ御期待申し上げたいものだ、こういうふうに思ってございます。 以上です。
伊東信久
62
○伊東(信)
委員
時間ですので、終わります。ありがとうございました。
永岡桂子
63
○
永岡委員長
次に、
吉川元
君。
吉川元
64
○
吉川
(元)
委員
社会
民主党の
吉川元
です。 三人の
参考人
の方、貴重な御
意見
、まことにありがとうございます。 私が最後の質問者になりますので、あと十五分間、おつき合いいただければと思います。 最初に、
永田参考人
にお伺いをしたいと思います。 三人の
参考人
の方の
お話
を聞いておりますと、
専門職業人材
の
育成
そのものについては、積極的に充実させていかなければいけないということについては、恐らく異論は余りないんだろうと思います。ただ、それがなぜ、
専門職大学
あるいは
短期大学
という形でやらなければいけないのかということがどうしてもやはり、私も、聞いておりましても、なかなか判然としないといいますか、ということがございます。 これはそもそも産業
分野
からこうした要請があったのかなというふうに思いましたら、先ほど富田
委員
からも少し
紹介
がありましたけれども、第十四回の
特別部会
の中で、
日本
経団連の方から、現時点でどのような職業
分野
で新たな
高等教育機関
へのニーズがあるのかは不明確、あと、一番いい形は、
既存
の
大学
で今の
人材
需要に
対応
した
教育
ができれば一番いいというような
お話
も
産業界
の方からは出ていたというふうにも聞いております。まあ、最終的には
産業界
も理解をした上でということではありますけれども。 ただ、私、非常に心配をいたしますのは、先ほど
本田参考人
が
意見
陳述の際に、卒業生の採用と処遇のあり方等々についてきちんとやっていかないととんでもないことになるという御指摘もありました。 そういう面でいいますと、この
専門職大学
ができた後、例えば四年間で卒業していったその卒業生がどういう形で就職をしていくのか。それは当然、
産業界
が受け入れていくわけですから、この
議論
を聞いていると、まあ、やりたいんだったらやればという程度にしか聞こえないんですけれども、その
あたり
、座長ですか、長として
特別部会
もやられた
永田参考人
、
産業界
の受けとめ、本当のところの受けとめというのはどういうふうになっているのか、お聞かせください。
永田恭介
65
○
永田参考人
お答えをいたします。
産業界
の方も千差万別の
意見
があるのは確かだと思います。もちろん、
産業界
の本音としては
産業界
で役立つ
人材
が欲しい、これはもう当たり前のことだと思います。一方、経団連から出ていたように、我々として単なる即戦力は要らない、これもまた事実だと思います。 問題は、ですから、この実践的な職業
教育
を行う
大学
が、育つものは一体何者かということになるわけですが、何度も申し上げておりますけれども、
産業界
、今ある産業に資する人が必要なのではなくて、これから我々が、アカデミアでは暗黒物質をやっていてもいいけれども、実
社会
の中で新しい産業を創出する基盤になるような人になっていってほしいわけです。その本当のサイエンティフィックな基盤というのは、もちろんアカデミックな研究や
教育
が必要であります。しかし、それをもって産業の
現場
に行ってそれを使える人というのは、一体誰がつくるのかということになります。 そういう意味合いで、もちろん、現存の
大学
の中でもそういう意識を持った
大学
が、一定の自分の満足の範囲で職業
教育
と称してすることはできます。しかし、ここに
制度
化されるということは、一定の
基準
がこれからできていくわけでありますから、その
基準
を満たすもの、では本当に現在あるかというと、インターンシップ数百時間、実務者能力を持った
教員
何%以上、それはないと思います。それが必要であるという
認識
のもとに外形を今決めていますけれども、詳しい、詳細な
設置基準
というのはこれから
考え
るべきだというふうに
考え
ています。
吉川元
66
○
吉川
(元)
委員
詳細な
設置基準
がなかなかまだ姿が見えないという中で、いろいろな不安もあるかというふうに思いますし、小津安
二郎
監督の映画じゃないですけれども、職業
大学
は出たけれど、そういう事態にならないように私はしなければいけないというふうにも思っております。 次に、
財政措置
について伺います。
小出参考人
からは、もう既に、他の
委員
の
質疑
の中でも、今の私大
助成
等々とは別枠でという
お話
を伺っておりますが、これに関して、
永田参考人
、
本田参考人
、この
財政措置
についてはどのように
考え
ておられるのか。あるいは、こういう形がいいのではないかということがあれば、教えていただければと思います。
永田恭介
67
○
永田参考人
現在の法整備の中身を見ていただくと、項目の次に第二項として、この新しい
大学
を
考え
る項目が法制上はできているかと思います。だとすれば、やはり、
既存
の
大学
とは違う範疇の財政支援が私は必要だと思います。 極論をしてしまえば、
高等教育
も
無償化
していただければ、それにこしたことはありません。しかし、
我が国
の財政
状況
を
考え
たときに、それはひとえに、わがままであろうとは思います。しかし、精神は、この国の人々がそれなりに興味の湧く
高等教育
を経て、
職業人
としても、国民としても、あるいは市民としても、十分に高いレベルに育っていくということをぜひとも実現していただきたい。この新しい
制度
でもし
大学
ができるのであれば、ぜひとも
財政措置
については
考え
ていただきたい、そう
考え
ております。
本田由紀
68
○
本田参考人
日本
は、
高等教育
に係る費用に占める公的な負担の割合というのが先進国の中で見ても異常に低い、よくこれで成り立っているなと思われるぐらい異常に低い国です。それをさらに削って新しい機関に振り分けるようなことになれば、これは本当に、むしろやらない方がいいということですから、別途の
財政措置
というのが絶対に必要です。 以上です。
吉川元
69
○
吉川
(元)
委員
私も全く同じ
意見
であります。 次に、
小出参考人
に伺いたいというふうに思います。 今回の
法改正
で、
専門職大学
は、
専門
性が求められる職業に関連する事業を行う者等の協力を得て
教育課程
を編成、実施し、及び
教員
の資質向上を図る旨の規定が条文化をされております。
中教審
の
答申
を見ますと、もっと過激といいますか、もっと強烈でありまして、「新たな
高等教育機関
は、
産業界
等のニーズに即応した
教育
を行う機関であり、
教育課程
の編成からその実施、
評価
に至るまでを
産業界
等の参画の下に行い、」こういう文言が入っております。 私、非常にえっというふうに疑問に感じるのは、
教育
基本法七条二項では、「
大学
については、自主性、自律性その他の
大学
における
教育
及び研究の特性が尊重されなければならない。」というふうにされているわけで、わけても、
教育課程
の編成というのは
大学
の自主性、自律性を体現する重要な項目だというふうに私は思っております。もちろん、第三者の
意見
を聞くということは当然あってしかるべきことだろうというふうに思いますが、実際にどのように
教育課程
を編成していくかについては、まさに自主的、自律的に編成していくというのが
教育
基本法の中の
大学
ということの
条件
だろうというふうに思うんです。 そうなった場合に、確かに今回の
法案
ではかなり丸めてはいるんですけれども、
中教審
答申
のような、こういう編成、実施、
評価
まで参画させるというふうになると、
教育
基本法の七条との
関係
は一体どうなるのかというのが非常に疑問に感じるんですけれども、この
あたり
、どのようにお
考え
でしょうか。
小出秀文
70
○
小出参考人
御懸念の
お話
は当然出てくる
お話
で、学問の自由、
大学
の自治との関連など、全く新しい発想で、その
あたり
がどう
説明
されていくのか、私どもも関心を払っている問題でございます。
産業界
の御要請というもの、
社会
の要請、
時代
の要請、いろいろなものがあると思うのでありますが、この要請に関して
大学
がどう応えていくかというのは、あくまでも
大学
の自主性の範囲の中において考慮されるべきものであろう。これにも新しい何か仕組みが必要のような感じがいたします。 古い頭で物を見ているから、私、ちょっと、今の議員御指摘の問題点に関して御同意の思いをすると同時に、どのようなイメージをこれからつくり上げていくのか、関心を持っているところであります。 そんなところで御回答にさせてください。
吉川元
71
○
吉川
(元)
委員
次に、
本田参考人
に少し伺いたいと思います。
本田参考人
もキャリア
教育
についても研究をされているというふうにお聞きをしております。今回の
専門職大学
の
意義
の
一つ
として、
社会人
が
学び
やすい仕組みというのが挙げられております。そのために、
課程
を
前期
、
後期
に分け、あるいは、どのように行うかはまだちょっと判然とはしないんですが、実務経験を勘案して、一定期間の
修業年限
を換算するスキームなんかも組み込まれているようであります。 ただし、
社会人
の
学び
直しといった場合に、
大学
の
教育
のあり方全体の問題であって、今回
設置
をしようとしている職業
専門
大学
、これができれば、私は、解決をするようなものではないんじゃないかと。
社会人
が必要とする
教育内容
が今度つくられる新しい
大学
種とマッチをしていなければ、どんなに履修環境がいいからといっても
専門職大学
を選択するわけではありませんし、それから、やはり働きながら学ぶ環境、言ってみれば就業
条件
、労働
条件
が変わっていかないと、幾らそういうものができたとしても、それはなかなか
学び
直しというふうになっていかないんじゃないか。 そういう点で、
社会人
の
高等教育機関
での
学び
直しに何が今不足をしていて、何が必要なのか、あるいは、今回の
専門職大学
で想定されるスキーム、これで十分それに
対応
できるものになっているのか。もし御
意見
があれば、いただきたいと思います。
本田由紀
72
○
本田参考人
社会人
の
学び
直しは、
専門職大学
だけの問題ではなく、従来の
大学
にとっても重要だということは、もうおっしゃるとおりです。
学び
直しのために必要なのは、例えば、夜間の授業であるとかパートタイムで修学できる
制度
であるとか
教育機関
側の
制度
の拡充整備ということももっと必要ですし、できる事柄はあると思いますので、それは従来の
大学
、新しい
専門職大学
の両者に関して進めるべきだと思いますが、おっしゃいましたとおり、就労環境、働く職場の問題というのは非常に大きいことであります。 私はかつて
社会人
大学
生、
大学
院生についての調査もやったことがありますけれども、彼らは何を一番苦しんでいるかというと、学んだ結果、成果というものが職場においてほぼ一切
評価
されない。ただ遊んでいるにすぎない、道楽だというような形で、そこで幾ら仕事に関連があるような、例えば経営学とかいうことを学んできても、それが全く認めてもらえない。 つまり、これは、
日本
企業においては、
大学
であれ、ほかの
教育機関
であれ、これまで学んできたものをちゃんと尊重して、それに合致した仕事につけたり、賃金面で優遇したりするような、そういう風土が全般に欠けています、非常にガラパゴス的なことなんですけれども。それで、フリーハンドで、やりたいように従業員を扱うというようなやり方を続けている限り、どんな
教育機関
をつくろうと、それはなかったことにされてしまうんです、今のままだと。そこを私は一番
危惧
しています。
吉川元
73
○
吉川
(元)
委員
ありがとうございます。的確な
お話
だというふうに思いますし、私も非常に同感をいたします。 最後に、
小出参考人
に伺いたいと思います。 先ほど、少しロースクールの
お話
がございました。私も同様の、法科
大学
院、華々しく登場したんですけれども、今、大変
混乱
を来しております。最後に被害というか悪い影響を受けるのは、これは
大学
もそうですけれども、
学生
が一番被害をこうむるわけで、その
観点
からして、今回の
専門職大学
、
短期大学
、将来の青写真あるいは見通しは果たして鮮明になっているというふうに言えるのかどうなのか。この点についての御
意見
、御感想があれば、出していただければと思います。
小出秀文
74
○
小出参考人
ロースクールの問題、確かに、私も、その
議論
、注目をしておりました。そのときに心配をした話は、これから
日本
社会
がアメリカのような訴訟
社会
になっていってしまうのか、そのためのロースクールなのか、そんな心配をした日のことを今思い出しておるのであります。 しかし、現実問題としましては、そのような
社会
の創成にかかわる現実よりも先に、需要と供給との
関係
で、ロースクールの問題は、ある意味、一頓挫というか方向
転換
を余儀なくされてきているのではないか、そんなように総括をして見ておるところであります。御努力をいただかれた
先生方
、大変な御様子も承知をする中では、そのような思いを持っておるのでございます。 さて、今回の
専門職業大学
が
社会
との接点の中で現実的にどのような受けとめ方をされていくのか。それを修了いたした
段階
で、
社会
とアクセスするときに、どのような生涯設計、キャリア設計に結びついていくのか。 この
あたり
のところは、実験的にという言葉は使いたくないんだが、先ほど来から申し上げているように、小さく産んで大きく育てるような形で、これはこの国の誇るべき
制度
としてお
考え
いただくような方向というのが一番およろしいのではないかといった感じを持ってございます。 回答にならぬかもしれぬが、お許しをいただきたいと思います。
吉川元
75
○
吉川
(元)
委員
ありがとうございました。 時間が来ましたので、終わります。
永岡桂子
76
○
永岡委員長
以上で
参考人
に対する
質疑
は終了いたしました。 この際、
参考人各位
に一言御礼を申し上げます。
参考人
の皆様におかれましては、貴重な御
意見
をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。
委員会
を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
参考人
の
方々
は御退席いただいて結構でございます。ありがとうございます。(
拍手
) 速記をとめてください。 〔速記中止〕
永岡桂子
77
○
永岡委員長
速記を起こしてください。
—————————————
永岡桂子
78
○
永岡委員長
引き続き、
内閣提出
、
学校教育法
の一部を改正する
法律案
を議題といたします。 この際、お諮りいたします。
本案審査
のため、本日、
政府参考人
として
文部科学省高等教育局長
常盤豊君及び
高等教育
局
私学
部長村田善則君の
出席
を求め、
説明
を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
永岡桂子
79
○
永岡委員長
御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————
永岡桂子
80
○
永岡委員長
これより
質疑
に入ります。
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。青山周平君。
青山周平
81
○青山
委員
自由民主党の青山周平です。 本日は、先ほど
参考人
質疑
、
参考人
の
意見
陳述もございましたが、
学校教育法
の一部を改正する
法律案
について質問させていただきます。 このたびの
法改正
に向けては、
中教審
初め
教育再生実行会議
など、さまざまな
会議
で
議論
がなされてまいりました。自民党においても、それに並行しながら、プロジェクトチームを立ち上げて活発な
議論
をしてきたところであります。 よく言われることでありますが、新たな産業が次々と生まれて、今ある仕事が多く新しい職業に変わっていく。産業も高度化、複雑化して、
職業人
材に求められる能力も高度化、多様化する。そんな産業の
変化
のスピードが増す
時代
の中で、
職業人
のキャリアアップやキャリア変更が求められている。そのような
状況
の中で、今回、
高等教育
にも変革が求められ、
法改正
に至ったと
認識
をいたしております。 私は、この
法改正
によって新たに
専門職大学
、
短期大学
が
設置
されることによって、高度な
専門
性と
実践力
を備えた
人材
を
育成
すること、これによって、今、
日本
で叫ばれている、例えば生産性を向上するだとか、
日本
の成長を支える
人材
をつくる、
職業人
材をつくっていく原動力となると思っております。大いに期待をしているところであります。 まず初めに、この
専門職大学
の
必要性
について、文科省にお尋ねをしたいと思います。 〔
委員長
退席、山本(と)
委員長
代理着席〕
松野博一
82
○松野国務
大臣
青山先生にお答えをいたします。
産業構造
が急激に
変化
する中、それぞれの職業
分野
で業務の改善、革新や新規
分野
の開拓が求められており、より高度な
実践力
と新たな物やサービスをつくり出す創造力を有する
人材
の
育成
が喫緊の課題であることは、先生の御指摘のとおりであるかと思います。
専門職大学
は、
大学
制度
の中に実践的な職業
教育
に重点を置いた仕組みとして
制度
化するものであり、
産業界
との密接な連携により、
専門職業人材
の
養成
、強化を図るとともに、
大学
への進学を希望する者にとっても選択肢が広がるものであると
考え
ております。
青山周平
83
○青山
委員
ありがとうございます。 非常に重要で、これからの
日本
の
社会
に必要な
制度
となっていかなきゃいけない、
大臣
の決意をお聞かせいただきました。 次に、想定される
分野
というところで質問させていただきたいと思うんですが、
教育再生実行会議
のみならず、
平成
二十八年六月に閣議決定された
日本
再興戦略二〇一六の中には、新たな有望成長市場の創出、ローカルアベノミクスの深化と題して、観光立国の実現のために新たに講ずべき具体的施策として、
産業界
のニーズを踏まえた観光経営
人材
の
育成
強化とあったり、また、イノベーション、ベンチャー創出力の強化、チャレンジ精神にあふれる
人材
の創出として、実践的な職業
教育
を行う新たな
高等機関
の
創設
が求められているところであります。
法改正
による
制度設計
に当たって、具体的にどのような
分野
においてこの
専門職大学
を
設置
することを想定しているのか、お伺いをいたします。
義家弘介
84
○
義家
副
大臣
青山
委員
におかれましては、実際に幼児
教育
の
現場
で
子供たち
と対峙しながら、
変化
の激しいこの
時代
の中で、我々が果たさなければならない強い使命、責任感をいつも持たれ、御指導いただいていることに感謝をいたします。 この
専門職大学
院は、
制度
上といたしましては、対象の職業
分野
は限定しておりません。ただし、基本的な
制度設計
として、
産業界
との密接な連携を必須の要件としているものであることから、おのずから実践的かつ創造的な
人材
へのニーズの拡大が見込まれ、その
分野
の
人材
の
育成
が強く求められる、いわゆる成長
分野
が中心になると想定しております。 具体的には、例えば観光、食と農業、ITコンテンツ等の
分野
が
考え
られます。
青山周平
85
○青山
委員
ありがとうございます。 限定をされないという前提の中で、成長する
分野
、また目まぐるしく
変化
していく
分野
、そこを想定しているということで承りました。 この
制度
、まだ
設置基準
などが明らかになっていない中でありますが、イメージとして、
一つ
、農林水産業、さっき食と農業という
お話
がありましたが、農林水産業・地域の活力創造プランの中に、これは
平成
二十八年十一月二十九日に地域の活力創造本部から出されているものでありますが、「農業
大学
校の実践的な職業
教育
を行う新たな
高等教育機関
への
転換
、農業高校と農業
大学
校等との連携促進等による農業
教育
の充実・強化」ということが書かれておりますが、具体的に、農業
大学
校で例えてみると、その農業
大学
校が
専門職大学
になったときに、今ある
既存
のものとどのような違いがあって、そしてまた競争力を高めることができるのか、具体的にお伺いできればと思います。
常盤豊
86
○常盤
政府参考人
お答え申し上げます。
専門職大学
におきましては、長期の企業内実習などを含め、
教育課程
の開発等を
産業界
と連携して行いまして、より実践的な
教育
を行う仕組みでございます。 また一方で、こうした
専門
分野
での即戦力としての実践的な
教育
に加えまして、基礎
教育
や関連
分野
での
教育
を通じ、新たな物やサービスをつくり出せる創造力を有する
人材
育成
を
目的
とするというような特徴を有しておりまして、
高等教育機関
としての新たな選択肢を提供するということでございます。 今御指摘をいただきました農業
分野
でございますけれども、
専門学校
では、例えば多くの県で、これも今御指摘がございましたが、農業
大学
校が
専門学校
としての認可も受け、農業後継者となる
人材
等に必要な農業生産技術等の
教育
を行っております。また他方で、
大学
、
短期大学
でも、例えば農学部でも、生物
関係
、環境資源など多様な
専門
分野
を擁しております。ただ、ここの
大学
、
短期大学
においては、やはり主に、卒業生は、農業後継者に限らず、幅広い
分野
でのさまざまな業務に従事をしているという実態がございます。 こういう中で、
専門職大学
において、農業
分野
について申しますと、農業生産者としてすぐれた産品を生産するための技術等に加えまして、第二次産業でもある加工の
分野
、あるいは第三次産業である流通に関する
分野
の知識なども含めて関連
分野
の
教育
を総合的に行うことで、例えば地域の農業の第六次産業化を担えるような
人材
を
養成
するということが期待されているということでございます。
青山周平
87
○青山
委員
ありがとうございます。 アカデミックに農業を勉強する人たち、また実践的に勉強する人たち、それをマッチングしながら、新たに産業を創出できるような農業者を育てるということだと思います。 先ほど、
参考人
の
意見
陳述の中でもずっと語られてきたんですが、結局、この
制度
、法律が改正された上で、
設置基準
がどうなるかということが何よりも重要であるということを先ほど来
お話
がされてきたわけであります。自民党のPTの中でも、この
設置基準
に関しては多くの
議論
がありました。それについて、
設置基準
についてお伺いしたいと思います。 どのような
設置基準
になるかによって、先ほどちょっと質問でもありましたが、本当に、
設置基準
が甘くなれば、質が確保できるのかどうかというのがわからない。でも、高くし過ぎれば、入り込んでこられない。これは非常に難しいところだと思います。 それとともに、本
法案
が成立した後、これは施行が
平成
三十一年四月ということになっております。
大学
の
設置認可
のスケジュールと見合わせると、ことしの秋には申請が始まってくると思うんですね。今もう四月でありますので、すごく
スピード感
を持って、この
設置基準
をしっかりとしたものをつくり上げ、そして募集をかけなければいけない、そんなふうに思っております。 そのような
状況
の中で、文科省として、
専門職大学
の
設置基準
をどんな
考え
に基づいて今進められているのか、お伺いをいたします。
義家弘介
88
○
義家
副
大臣
お答えいたします。
専門職大学
院の
設置基準
につきましては、まず前提として、国際
通用性
を求められる
大学
の
枠組み
の中で位置づけられる機関としてふさわしい
教育
研究水準を担保する必要がございます。同時に、
専門職大学
院は、
産業界
と密接に連携した実践的職業
教育
に重点を置く、
社会人
の受け入れも主要な機能とするなどの特性を有しており、こうした特性を踏まえた
設置基準
とすることも求められております。
教育課程
、
教員
、施設設備等に関する
基準
の具体的
内容
については、このような
考え方
のもとで、これまでの
中央教育審議会
等を踏まえつつ、またさまざまな
議論
を踏まえつつ、
スピード感
を持って適切な
内容
を定めることとしたいと
考え
ております。
青山周平
89
○青山
委員
どういうふうになっているかというのは
基準
ができるまで言えないということですので、何しろ、先ほどの
お話
も通しながら、質をしっかりと確保しながら、
日本
の成長に資する
専門職大学
ができるような、そんな
設置基準
にしながら、また、しかし成長産業の
分野
がしっかりと入り込めるような、そんな
基準
を期待しております。よろしく
お願い
いたします。 先ほどの
お話
の中で、
産業界
との密接な
関係
、これがないとできない、非常に重要だという
お話
をいただきましたが、先ほど来、出口のことも言われております。
大学
を卒業したけれども受け手がいないというんじゃ意味がない。
社会
から必要とされるということが何よりも重要だと思います。 それだけに、
関係
業界、
関係
府省、また地域、連携は非常に重要だというふうに思っております。高度な
実践力
と新たな物づくり、物やサービスをつくり出すことのできる創造力を有する
人材
を
育成
するには、
教育課程
と
実務家教員
などについて、
産業界
と連携協力が必要不可欠であります。どのようにこの連携を進めていくのか、お伺いをいたします。 〔山本(と)
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
常盤豊
90
○常盤
政府参考人
お答え申し上げます。
専門職大学
等が質の高い
教育
を行うためには、これを担う
教員
が非常に重要だと
考え
てございます。とりわけ、企業等の
現場
の生きた知識、
技能
等を指導できる
教員
や、理論と実践の橋渡しを担う
教員
を確保していく必要があるということでございます。 この点について、
中央教育審議会
答申
でも、専任の
実務家教員
や
研究能力
をあわせ持つ
実務家教員
を一定数以上配置することが必要であるとしているところでございます。
文部科学
省といたしましては、現在、各省の連携での
人材
育成
に関する検討の場もございますので、
関係
の業界
団体
や
関係
省庁等に対し、
実務家教員
の確保を含め、
専門職大学
への連携協力を積極的に働きかけてまいりたいというふうに
考え
てございます。
青山周平
91
○青山
委員
これは本当にしっかりと連携をとりながら、
産業界
に必要とされる、
日本
にとって必要な
人材
をつくらなきゃいけないという前提では、確実に連携を図りながら、
意見
をしっかり受けながらこの
制度
をつくっていただきたい、認可
基準
もつくっていただきたい、そんなふうに思っております。 関連でありますが、企業内で受け入れる時間が二年間で三百時間、四年間で六百時間ということで、大変多くの時間を企業の中で
学生
が学ぶということが
答申
で出されているわけでありますが、受けていただける企業を整えるという体制も非常に重要になってくると思います。 それと、企業の中のことでありますが、例えばインターンシップのように、見学をするだとか、座学で学ぶだとか、そういったことに関しては報酬は生じてこないと思うんですが、三百時間、六百時間、企業内で実習するときには、当然、実務の中で、例えばラインに入って仕事をするだとか、仕事をしながらOJTで学ぶだとか、そういうことが出てくると思います。そういったときには、当然、実習中の
学生
に報酬が生じてくると思います。そんなときに、報酬や労働
基準
法の適用のあり方についてどのような
対応
をしていくのか、お教えいただきたいと思います。
常盤豊
92
○常盤
政府参考人
専門職大学
では、長期の企業内実習を必修とするということを予定しております。 企業内実習の実施に当たりまして、まず第一点、労働
関係
法令の適用でございますけれども、この点につきましては、その実施方法等、個々の実態に即して、実習先企業と
学生
との間に使用従属
関係
が認められるか否かによって判断をされるというふうに承知をしてございます。 また、有給でのインターンシップを行う場合の報酬でございますけれども、この点につきましては、報酬の額、費用負担等について、受け入れ先企業等と
大学
との間で事前に協議をして決定するということとなるというふうに承知をしております。 これらの点を含めまして、企業内実習が適切に実施されるよう、厚生労働省とも連携をしながら、各
大学
等に対し、必要な情報提供や指導等を行ってまいりたいと
考え
ております。
青山周平
93
○青山
委員
この点は本当に、
学生
を守っていくとかそういう部分でも重要になると思いますので、ぜひしっかりとした通知をしながら、これは認可のときに、契約だとかそういったところがしっかりなされていないといけないというふうに思いますので、しっかり進めていただきたいと思っております。 少し変わりまして、新たな
専門職大学
の
制度
が有効に活用されるためには、
産業界
だけでなく、入ってくる高校生、保護者、また進路指導に当たる
教員
、学校の
関係
者も、この
専門職大学
というものの
意義
を周知して理解を深めていかなきゃいけないというふうに思っております。 先ほども
お話
ししましたが、三十一年度から新しい
専門職大学
、
短期大学
ができるということは、もう来年から手を挙げる
学生
が出てくるということになるわけでありますので、結構時間がないと思うんです。そんな限られた時間の中で、文科省として
関係
者への周知をどのように図っていくのか、お伺いをいたします。
常盤豊
94
○常盤
政府参考人
お答え申し上げます。 これまでも、
専門職大学
等に係る検討の過程におきまして、
教育
や
産業界
等の
関係
団体
等への
説明
や
意見
交換、あるいは
文部科学
省の広報誌も含めまして
教育
関係
者向けの刊行物等への寄稿、各シンポジウム等を通じての情報発信を行ってきたところでございます。
専門職大学
等は、高校生にとっても、進路の新たな選択肢となります。したがいまして、
制度
化をお認めいただきましたら、高校生や保護者、進路指導に当たる
教員
、
教育
委員会
関係
者等に対し、その特徴等を十分周知し、理解を深める必要がございます。このため、より具体的でわかりやすい
資料
等によりまして、メディアなども活用しながら、丁寧な
説明
、情報発信に努めていきたいと
考え
ております。
青山周平
95
○青山
委員
ありがとうございます。 まず、こういう
制度
ができているということ、要するに、
職業人
材の
課程
の中で学位の認定が取れる
大学
の
制度
だということをしっかりと周知した上で、それぞれ特色ある学校ができてくるわけでありますので、そういったところにしっかりとアクセスできるような、そんな体制をこの一年間ぐらいで整えて、そしてスタートしていかなければ、スタートでつまずいてしまってはいけないというふうに思いますので、しっかりとした周知を
お願い
したいというふうに思っております。 次に、
専門職大学
校
設置
による地方創生の効果についてお伺いをいたします。
教育再生実行会議
の「「
学び
続ける」
社会
、全員参加型
社会
、地方創生を実現する
教育
の在り方について(第六次提言)」がまとめられておりますが、「
教育
がエンジンとなって「地方創生」を」と題して、新たな
高等教育機関
が地域の
職業人
材
育成
に大きな効果をもたらすことが期待をされております。 少子化の進行により、今後、生産年齢人口は減少していきます。またさらに、
高校卒
業後、多くの
学生
が東京ですとか大都市にある
高等教育機関
に就学する、それで地方の人が減っていく、こんなこともずっと言われてきたわけであります。 そこで、この
専門職大学
を
設置
することによってどのように地方創生に資することができるのか、
文部科学
省としてお
考え
があれば、教えていただきたいと思います。
義家弘介
96
○
義家
副
大臣
先ほど答弁の中で、
専門職大学
のことを
専門職大学
院というふうに表現してしまいました。訂正いたします。 この
専門職大学
は、
産業界
や地元企業等と密接に連携して実践的な職業
教育
を行うところに特徴がございまして、地域産業の活性化や地域で活躍する
人材
の
育成
など、地方創生にも大きく資するものと
考え
ております。
平成
二十七年十二月に閣議決定された、まち・ひと・しごと創生総合戦略においても、地域を担う
専門職業人材
育成
の
観点
から、新たな
教育機関
の
制度
化について所要の措置を講ずることが盛り込まれたところでございます。 その後、昨年五月、
中央教育審議会
答申
において、
専門職大学
の
制度設計
として、
教育課程
の編成、実施や企業内実習について地域と連携して行うことなど、提言いただきました。 このような特色を生かすことにより、
専門職大学
が地域の活性化に貢献することを期待しております。
青山周平
97
○青山
委員
ありがとうございます。 ぜひ、地域を支えるというところで、生まれた
子供たち
がその地域で、遠くに行かなくてもそこでしっかりと学んで仕事までついていく、これによって人口が流出していかない、そんなところにも大きな期待を寄せておりますので、そんな
制度設計
を期待いたします。
一つ
ちょっと飛ばしまして、予算の確保についてお伺いをいたします。 先ほど来、特に多くの時間が予算の確保という部分で語られてまいりました。
専門職大学
の
制度
を充実したものとするためには、財政的な支援がなくてはならないものだと思っております。 先ほど来
お話
ありますとおり、諸
外国
に比べて、
高等教育
に対する公的財政支出は少ないということはもう周知の事実でございます。
高等教育
全体に係る予算の充実を図りつつ、新設される
専門職大学
への
財政措置
についても、そのための追加的財政需要に見合った財源の確保が必要だと
考え
ておりますが、財源の確保について、
大臣
の御決意をお教えいただきたいと思います。
松野博一
98
○松野国務
大臣
専門職大学
は
大学
制度
の中に位置づけられるものでありますから、学校法人が
設置
する場合は、現行
制度
上、いわゆる
私学助成
の対象となります。
専門職大学
に対する
財政措置
につきましては、
中央教育審議会
の
答申
において、必要な財源の確保を図り、改革に積極的に取り組む
既存
の
高等教育機関
への支援が維持、充実されるようにしていくとともに、新たに
制度
化される機関に対して、実践的な職業を担い、
専門
職業人
の
養成
を担う
高等教育機関
としてふさわしい支援を行っていくことが必要であるとされております。また、
産業界
や地域と緊密に連携した実践的な
教育
を行う機関であることから、民間資金の活用が重要であり、地方公共
団体
等からの多様な資金を導入していくとされています。 今後、
中央教育審議会
の
答申
も踏まえ、必要な財源の確保を含め、新たな機関にふさわしい支援に努めてまいります。
青山周平
99
○青山
委員
ありがとうございました。 財源については、特に私立の
大学
、
短期大学
、
私学助成
の中にこの
制度
が食い込んでしまって、そのせいで、ただでさえ少ない
私学助成
の予算がさらに少なくなっていく、この懸念が多くあるわけであります。先ほど
参考人
の話の中には、特に別枠で、
専門職大学
には別枠でという
お話
もありましたが、それも含めて、しっかりと財源の確保をしていただきたいと思っております。 ここで、財源の見込みについてなんですが、お答えいただけることであればお答えいただきたいと思うんですけれども、
大学
が学部を
設置
して、現行の
大学
が職業
専門
大学
をつくるときには、現行の
私学助成
で既にもう
私学助成
を受けているわけですので大きな予算が生じないとは思うんですけれども、
専門学校
から
大学
に移る場合には、それまで補助金がないわけでありますので、ここに新たな財源が生まれるというふうに思っております。 特に、新たな
専門職大学
に移行する
専門学校
がどれだけあって、何人の子たちがそこで学ぶかということによって、獲得すべき予算が、措置すべき予算が決まってくるというふうに思うんです。その見込み、大体、何年までにどれだけの学校をつくり、どれぐらいの生徒がここで学ぶという見込みというのは、予算がその分必要になってくるわけでありますので、そういう見込みがあるのかないのか、教えていただきたいと思います。
常盤豊
100
○常盤
政府参考人
お答え申し上げます。
専門職大学
の開設数でございますけれども、これはあらかじめ想定することは非常に難しいところでございます。 実際に
設置
するためには、
教育内容
の開発、編成、
教員
の確保や施設設備等の
教育条件
の整備、
産業界
との連携など、
設置基準
で定める要件を満たす必要がございますので、相応の準備を要します。したがいまして、少なくとも
制度
発足当初においては限定的な数になるのではないかと
考え
ております。 当面は、既に
専門職大学
に求められる水準に比較的近い
条件
を備え、
教育課程
の開発等においても実績を有する
専門学校
等が
専門職大学
を目指すことなどが想定されているというのが
現状
でございます。
青山周平
101
○青山
委員
ありがとうございます。 小さく産んで大きく育てるという御答弁だったのかというふうに思いますが、予算を別枠でとってもらって、そこに何人来るかというのは、この後の
職業人
材
育成
の体系の中で、職業
大学
校がどれだけできるかというのは大きなキーになってくると思うんです。ですので、将来的にしっかりとそこのところを、どれぐらいの数が適正なのかというのも
考え
ていく必要があるんじゃないかというふうに私は思っておりますので、御検討いただければというふうに思います。 それとともに、
財政措置
は基本的には卒業生を送り出した後ということでありますので、最も早くても
平成
三十三年からの予算措置ということでありますので、
設置
の認可の
状況
を見ながら、しっかりとした予算の確保を
お願い
したいというふうに思います。 最後に御質問いたします。 先ほども少し触れましたが、
高等教育機関
、今まで
大学
、
短期大学
と高等
専門学校
、また
専門学校
など、
既存
の機関がもうあるわけでありますが、この
専門職大学
ができることによって、
高等教育
全体のあり方を再度検討する必要が生じてくると
考え
ておりますが、
文部科学
省の見解をお伺いいたしたいと思います。
義家弘介
102
○
義家
副
大臣
極めて重要な御指摘でございます。 第四次産業革命の進展や本格的な人口減少
社会
の到来の中で、一人一人の実りある生涯と
我が国
社会
の持続的な成長、発展を実現するためには、
人材
育成
とイノベーション創出の中核である
高等教育
の役割が一層重要となってまいります。 このため、
文部科学
省では、今回
法案
審議
を
お願い
している
専門職大学
を含め、
高等教育
が真に求められる機能を果たすために必要な方策を検討するため、本年三月、
中央教育審議会
に対して、
我が国
の
高等教育
に関する将来構想について諮問を行ったところでございます。 この中で、まず、
大学
、
短期大学
、高等
専門学校
、
専門学校
それぞれの強みを生かして機能強化を図るために早急に取り組むべき方策、
二つ目
として、各
高等教育機関
における学修の質の向上に向けた
制度
の改善方策、三つ目として、基盤的経費や競争的資金の充実や配分のあり方など、総合的、抜本的な検討を進めているところでございます。 このような検討も踏まえながら、引き続き、各
高等教育機関
における
教育
研究の振興にしっかりと取り組んでまいりたいと決意しております。
青山周平
103
○青山
委員
ありがとうございます。本当にしっかりとした決意をいただきました。 この
高等教育
、
専門職大学
の
設置
に当たって、
職業人
材の地位向上が私は図られると思っておりますし、また、今本当に必要なことだというふうに痛感をいたしております。 ただ、
大臣
初め副
大臣
、文科省の皆様方、非常にタイトなスケジュールの中で、確実なものをつくっていくということは大変なことだというふうに思いますが、これを成功させるかどうかは
日本
の成長に大きくかかわると確信をいたしておりますので、どうか、しっかりと
制度設計
をいただいて、すばらしい職業
専門
大学
、また職業
専門
短期大学
をつくっていただければというふうに思います。 質問を終わります。ありがとうございました。
永岡桂子
104
○
永岡委員長
次に、吉田
宣弘
君。
吉田宣弘
105
○吉田(宣)
委員
公明党の吉田
宣弘
です。 本日も、この
文部科学
委員会
においてこのように質問の
機会
を賜りましたこと、
委員長
、また
理事
の皆様、
委員
各位に心から感謝を申し上げて、質問に入らせていただきます。
日本
を取り巻く
状況
、これはIoTやビッグデータの技術の発展、普及、それらを駆使したグローバル企業の台頭、そのような
状況
の中、今国際競争は激化しているというふうに承知をしております。このような中、職業の盛衰サイクルの短期化や予測がなかなか難しいというふうな
状況
の中、
産業構造
も急激に
転換
をしていっている、そういった
状況
にあるかと思います。 このような
状況
において、やはり
日本
の産業、国力、これを上昇させるためにも、すぐれた
専門
技能
をもって
変化
に即応した新たな価値を創造することができる
専門
人材
の
育成
というものは、これは急務な課題であろうというふうに私は承知をしております。 そのために求められる
人材像
というのは、理論にも裏づけられた高度な
実践力
を強みとして、
専門
業務を牽引できる
人材
、かつ
変化
に
対応
しつつ新たな物やサービスをつくり出す
人材
であるとお聞きをしているところでございます。 では、このような高度な
実践力
と豊かな創造力、これをあわせ持つ
人材
の
育成
を行うに当たって、この法律ができる以前、今、
既存
の
大学
制度
、広く
既存
の
高等教育
体制ではどのような課題があると
認識
をされているのか、
文部科学大臣
に御
認識
を伺いたいと思います。
松野博一
106
○松野国務
大臣
吉田先生にお答えをいたします。
既存
の
高等教育機関
においても職業
教育
が行われており、
大学
、短大は、
専門教育
と教養
教育
や学術研究をあわせて行うという機関の性格から、比較的学問的色彩の強い
教育
が行われる傾向がある一方、
専門学校
は、特定の職業実務での即戦力として、直接必要な実践的知識、
技能
の
育成
を主に行っております。 議員御指摘のとおり、近年
産業構造
の急速な
転換
が進んでおり、高度で実践的かつ創造的な職業
教育
の充実が喫緊の課題となっていることから、これまでの
大学
、短大の強みと、
専門学校
の強みの双方をあわせ持った新しい職業
教育
の
枠組み
が求められているところであります。 こうした要請を踏まえ、
大学
制度
の中に位置づけられ、実践的な職業
教育
に重点を置いた仕組みとして、今回、
専門職大学
の
制度
を新たに
創設
することとしたものであります。
吉田宣弘
107
○吉田(宣)
委員
大臣
、ありがとうございます。 まさに今、
大臣
、御答弁いただいた中に、本法のいわゆる立法
目的
、趣旨というものが凝縮をされているというふうに承知をいたしました。高度
人材
育成
を目指す本
法律案
を、そういった意味からして、私は高く
評価
をしたいと思います。 また、そのような
人材
に対する民間事業者の即戦力としての期待も、これも大きいものだと私は推察をしております。 本
法案
について、これまで
中教審
において民間事業者からの
意見
もさまざま提示をされたかと思われますけれども、どのような御
意見
が提示されたか、お聞かせください。
常盤豊
108
○常盤
政府参考人
お答え申し上げます。
中央教育審議会
での
審議
に当たりましては、
専門職大学
に対するニーズ等について、経済
団体
等からのヒアリングを行ったところでございます。 各
団体
からは、例えば、新たな
人材
養成
に関するニーズに関しましては、ただいまもございました
産業構造
の急速な
変化
を踏まえて、より実務に即した
教育
や
社会人
の
学び
直し、高度な革新技術を身につける
教育
がますます必要になっているとか、あるいは、産業の競争力を高める上で、課題解決に必要な教養、知識、技術、
スキル
を
育成
する中核機関としての
大学
が必要というような
意見
がございました。 また、
養成
すべき
人材像
に関しましては、ビジネスマインドと
実践力
を備えて自律的に活躍できる
人材
であるとか、あるいは、地域の独自資源を活用して新たな事業変革を起こしていける若手
人材
、ITによる企業の経営革新に貢献する
人材
、中核的、
専門
的な国際
人材
等々の
意見
がございました。
教育
システム
に関しましても、カリキュラムづくりを含め、企業、
社会
と連携した実践的な
教育
を行うことや、インターンシップの充実強化が重要という
意見
もございました。 こうした御
意見
も踏まえながら、
制度設計
についての検討を行ってきたところでございます。
吉田宣弘
109
○吉田(宣)
委員
ありがとうございます。 そのような御
意見
を受けて、さまざま検討された結果の成果が本
法律案
であるというふうに承知をしております。 済みません、ちょっと次の三番目の質問については、通告しておりましたが、少し割愛をさせていただいて。 この法律のたてつけ、民間事業者も積極的に
専門職大学
に携わるというふうに承知をしておりますけれども、
専門職大学
に民間の事業者からしっかり御協力をいただかなければいけないわけでございますが、民間事業者の協力というものについて
文部科学
省としてどのように携わっていくのか、お聞かせいただければと思います。
常盤豊
110
○常盤
政府参考人
お答え申し上げます。
専門職大学
制度
の
創設
に向けましては、
文部科学
省といたしましても、
関係
の
産業界
等に対し、
専門職大学
等を開設しようとする
設置
主体への
教育課程
の編成、
実務家教員
の確保、実習の実施、卒業生の進路の開拓、
学生
支援などの資金協力等について連携協力を働きかけていきたいと
考え
ております。また、
社会人
が働きながら学ぶ場としての活用、そのための環境整備についても協力を求めていきたいということでございます。 さらに、この点につきまして、今、政府の中で各省連携によります
人材
養成
に関する検討の場もございますので、成長
分野
の各産業を所管する
関係
省庁とも連携をして協力を得ていきたいと
考え
ております。
吉田宣弘
111
○吉田(宣)
委員
ありがとうございます。 通告していました五番目の問いも、申しわけありません、少し飛ばさせていただきたいと思います。 次に、六番目の問いに移らせていただきますが、
専門職大学
の
設置
、これは、即戦力の
人材
を輩出するという意味で、投資としての性質がより強いと私は
考え
ております。そのためにも適切に予算措置が施されなければならないと私は
考え
ておりますが、
文部科学大臣
、この予算措置についてのお受けとめをお聞かせください。
松野博一
112
○松野国務
大臣
専門職大学
は、
大学
制度
の中に位置づけられるものであることから、学校法人が
設置
する場合は、現行
制度
上、いわゆる
私学助成
の対象となります。
専門職大学
に対する
財政措置
については、
中央教育審議会
の
答申
において、必要な財源の確保を図り、改革に積極的に取り組む
既存
の
高等教育機関
への支援が維持、充実されるようにしていくとともに、新たに
制度
化される機関に対して、実践的な職業
教育
を担い、
専門
職業人
の
養成
を担う
高等教育機関
としてふさわしい支援を行っていくことが必要であるとされています。また、
産業界
や地域と緊密に連携した実践的な
教育
を行う機関であることから、民間資金の活用が重要であり、地方公共
団体
等からの多様な資金の導入をしていくとされています。 今後、
中央教育審議会
の
答申
も踏まえ、必要な財源の確保を含め、新たな機関にふさわしい支援に努めてまいります。
吉田宣弘
113
○吉田(宣)
委員
私、この法律は、すばらしい法律だというふうに承知をしております。ただ、財源の面ではさまざまあろうかと思います。民間資金、また地方自治体の協力、これが不可欠であろうかと思いますので、しっかり文科省としても、この点、配慮をしていただき、この
大学
の
設置
によってよもや他の
文部科学
省予算が削減されることがないようにぜひ努めていただきたいと思います。 済みません、七番の通告の質問も少し割愛をさせていただいて、私が一番聞きたかった
お話
にちょっと移らせていただきます。 この
専門職大学
、
私立大学
も
設置
をできるというふうにお聞きをしております。この点、皆様のお手元に
資料
を配付させていただきました。これは、
私立大学
等における経常的経費と経常費補助金額の推移というものでございます。 見ていただきたいのは、上の表の一番下の段にある補助割合というところです。これを見ると、いわゆる補助の割合がどんどんどんどん
平成
二十七年度まで低下をしていっているところが見てとれます。このことは何を意味するか。すなわち、いわゆる
私立大学
に通っている
大学
生及びその御家庭の負担が、この割合の分だけふえていっているということを意味しているんだろうと私は承知をしております。 そこで、まず、この傾向、私は問題だと思っておりますが、なぜこのように減少をし続けてきたのか。ただ、幸いなこと、この三年、総額と真ん中の方に書いてありますけれども、変わっていないという
状況
については、これは私は非常に喜ばしく思っておりますが、まず、この減少傾向が続いたことの要因について政府から
説明
を求めたいと思います。
村田善則
114
○村田
政府参考人
お答え申し上げます。
私立大学
等の経常費の補助金につきましては、現在の厳しい財政
状況
のもとでございますけれども、二十九年度予算におきましては前年同額の三千百五十三億円を計上するなど、
私学助成
の確保に努めてきているところでございます。 一方で、近年、
私立大学
等において、特色ある
教育
研究活動が進展していることに伴いまして、
教育
ニーズの多様化に
対応
するために人件費が増加をしているということがございます。それからさらに、
教育
研究活動の発展や多様化に
対応
するために、
教育
研究経費や管理、設備
関係
経費が増加していることなどによりまして、経常的経費が増加傾向にあるものでございます。 この結果といたしまして、先ほど先生からデータでお示しをいただきましたように、
私立大学
等全体の経常経費に対する国からの補助割合は年々低下傾向となっておりまして、
学生
一人当たりに換算した補助金額も低下している
状況
でございます。
吉田宣弘
115
○吉田(宣)
委員
この点、かつては、この補助の割合を五〇%を目標にするというふうな
時代
もあったというふうにお聞きをしております。そのことからすれば、さまざま
歴史
的な経緯があろうかと思いますが、近年まで続いたこの減少は私は問題であろうかと思っておりますし、やはり、
私立大学
に通う
学生
さんというのは全部の
大学
生の七割ぐらいを占めているというふうなこともお聞きをしておりますので、この点については、私は、さまざま分析を続け、しっかりとした予算確保に努めていかなければならないというふうに感じております。 そして、この減少傾向がまた始まってしまえば、せっかくいい
専門職大学
という
制度
が
私立大学
ではなかなか実施が難しくなるんじゃなかろうかというふうな私は心配があります。
私学
にも積極的に
専門職大学
というものを実施していただくためにも、私は、この減少傾向、二度と起こしてはならないというふうに思っておるわけでございますが、
文部科学大臣
の受けとめをお聞かせいただければと思います。
松野博一
116
○松野国務
大臣
御指摘の
私学助成
について、
文部科学
省としては、先ほど吉田先生から御指摘があったとおり、
我が国
の約七割を超える
学生
が
私立大学
で学んでおります。
私立大学
等の果たす重要な役割に鑑みまして、
私立大学
等が
社会
や
時代
のニーズを踏まえた特色ある
教育
研究や
学生
の負担軽減を行えるよう、引き続き、
私学助成
の確保に努めてまいりたいと
考え
ております。
吉田宣弘
117
○吉田(宣)
委員
やはり
私立大学
は、私は国立
大学
の出身ですけれども、国立
大学
にはないようなさまざまな個性豊かな
大学
の特色、
教育
というものが実施されている大切な機関であろうかと思っております。もちろん、国立
大学
と
私立大学
、学費が随分違うわけでございますけれども、今
大臣
からも
お話
がありましたとおり、七割ぐらいの
大学
生さんは
私立大学
に通っているということも
考え
れば、しっかりここに関する財政的な手当て、これは今後も絶対に必要になってくると私は感じております。 済みません。質問を飛ばした
関係
で少し時間が余っておるようでございますけれども、最後の質問になります。本法を離れて、私、高等
専門学校
について少しお聞かせいただきたいと思います。 私が中学校を卒業する当時というのは、高等
専門学校
というのは物すごく難しいところでした。狭き門で、本当に成績がいい生徒じゃないとなかなか合格しないという
状況
で、私も実は、熊本の生まれ育ちなんですけれども、熊本に国立の電波高等
専門学校
というところがございまして、非常に難しいところだったんですけれども志して受験しましたが、あえなく落とされてしまいました。もし合格していたら、私は、この場所でこういうふうな
お話
をしていないのかなというふうな思いもありますけれども。 直近の
中教審
の
審議
においても高等学校全体のあり方というのがしっかり
議論
をされたというふうにお聞きをしているところでございますけれども、忘れてはならないのが、この高専と言われるものでございます。 もう少し
お話
しすれば、私の実家というのは熊本の荒尾市というところにあるんですけれども、有明高等
専門学校
というところもありまして、非常にすぐれた生徒さんが卒業して、さまざま、地域の中で中小企業の技術的な側面であったりとか、そういったものをしっかり担って大活躍をしているというふうに承知をしております。 松野
大臣
、高専の振興策について
大臣
の力強い御答弁をいただければと思いますので、どうかよろしく
お願い
いたします。
松野博一
118
○松野国務
大臣
お答えをいたします。 高等
専門学校
は、中学校卒業後の生徒を受け入れ、中等
教育
段階
から
高等教育
段階
にかけて工学
分野
を中心に五年一貫
教育
を行う学校として、卒業生の求人倍率や就職率も高く、これまで
産業界
から高い
評価
を得ているものであります。 国立高等
専門学校
については、新産業を牽引する
人材
育成
、地域への貢献、国際化の加速、推進の三つを軸に、各学校における機能強化の
取り組み
を推進するため、今年度の運営費交付金を増額したところであります。 現在、
中央教育審議会
において
高等教育
に関する将来構想の
議論
も進めており、こうした高等
専門学校
の実績等も踏まえ、高等
専門学校
のさらなる振興を含め、
高等教育
の充実と改革を進めてまいります。
吉田宣弘
119
○吉田(宣)
委員
大臣
、本当にありがとうございます。 高専の存在を決して忘れてはなりませんし、高専もしっかり財政的な支援を行って、より高い能力を持った
人材
がどんどん輩出していける、そのような
教育
環境の整備に努めていただければと私は思います。 質問をする
内容
が終わりましたので、ここで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
永岡桂子
120
○
永岡委員長
次回は、来る二十六日水曜日午前八時五十分
理事
会、午前九時
委員会
を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時五十三分散会