○池内
委員 今、さまざま御答弁をいただいて、私がこだわるのは、やはり、金銭目当てといったときに、その背景が余り語られることなく、この
言葉だけがひとり歩きしている。そのことが与える印象というのは、ちょっとよろしくないといいますか、現実を正しく反映していないんじゃないかというふうに思うんですね。
警察の
調査を報じたマスコミの報道がどうなっているかというと、JKビジネス、安易な動機、金銭目的性行為、抵抗感薄くなどというふうに報じているわけなんです。別の新聞では、警視庁担当課の、軽い気持ちで働く例が多いというコメントを
紹介している。また、大阪で昨年、女子中高生が六十九人補導された事案を報じたあるマスコミは、大阪府警幹部のコメントを
紹介しています。安い給料で女性を雇いたい店側と、合法的に働けない中高生らとの利害が一致している。
マスコミの報道や
警察関係者のコメントというのは、JKビジネスにかかわる女子高生たちが、彼女たちが安易だというふうにして、金欲しさに進んでかかわっていると言わんばかりの報道姿勢だというふうに私は思うんですね。
高校生というのはまだまだ子供で、安易と言うのであれば、それは確かに、子供としての経験の制限とか、家庭や学校に居場所がないことで、受けるべき教育から漏れてしまっている、そうしたことからくる安易さというのはあるかもしれませんが、しかし、それはその子たちの責任ではないと思うんです。
問題は、子供の性を簡単に買う側の安易さだと言いたい。
警察の認識も、新聞の見出しに躍る文字も、買う側の安易さをこそ批判するものになるべきだというふうに思うんです。
その点、警視庁が行った懇談会、先ほど
紹介しましたが、「いわゆるJKビジネスにおける犯罪防止
対策の在り方に関する報告書」、これを読むと、本当に、非常に真面目な議論がされています。
この報告書は、法的規制と並び、必要な
施策として、青少年を取り巻く社会
環境の
整備ということを述べている。その(一)で、読み上げますけれども、社会全体の機運の醸成、JKビジネスにおいては、青少年による接客行為を、いわば
商品として捉える業者のみならず、当該営業においてサービスを受ける客、特に、あわよくば青少年からの性的サービスを期待する客が存在している。こうした客の存在により、裏オプションと称する性的サービス等の児童買春事案につながるなど、JKビジネスにかかわる青少年自身の健全育成に大きな影響を及ぼすばかりでなく、客がいるのだからJKで働いたって仕方がない、働いている子も喜んでいるんだから問題ないと、青少年においてJKビジネスを正当化させる要因ともなっていると指摘されている。
さらに続けて、青少年は、その存在を
商品として利用するためのものではなく、健全な成長を見守っていくべきものであることを社会全体に対して周知し、青少年の健全育成にとって有害な営業、それを利用する客を生み出さないための
環境づくりに取り組むことが重要だと指摘をしている。
警視庁の報告書ですよ。本当にこれは、真っ当な指摘だと私は思います。
警察が三月三十一日付で緊急
対策を発表された、
全国に通達を出したという報道を見ましたが、このJKビジネスについて、今後、店舗への立入
調査もやるというふうに報道されています。その取りまとめが五月中とある。
その結果の見方や、また新聞報道へのプレスリリースが、何か、子供の側に責任があるかのような、そのような印象を流布するような手段とならないように、その点は、私は強く要望をしておきたいというふうに思います。
重ねて言いますけれども、少女たちの被害というのは、加害者の存在なしには発生しません。子供を
商品と捉える業者、そして、青少年からの性的サービスを期待している客、こうした人物たちの気安さと気軽さこそ、私は問題にする社会でなければならないと思う。その点で、今の
日本社会はどうでしょう。子供の性を消費することを擁護する詭弁があふれています。私にはそのように見える。援助交際とかJKビジネスとか、何かいいことのように、人助けのような顔をして立ちあらわれているというのは一体どういうことかと言いたい。
その結果、子供への性暴力の実態というのが長らく見えなくさせられてきた。男女格差を数値化している
世界経済フォーラムの調べでは、
日本は、ジェンダーギャップ指数、堂々の
世界百十一位です。こうした社会にあって、構成員一人一人に多かれ少なかれ女性差別意識というのがもう既に内面化をされている。その事実を自覚しているといないとにかかわらず、結果、世に流布される言説というのは、買う側を擁護する立場での物言いの声の方が多くなっている。私は、これは大いなる不幸だというふうに思います。
政府の
取り組みは序章にすぎないと思います。
局長会議を形だけの看板にぜひとも終わらせていただきたくないし、子供を買う側、この論点を
政府の
取り組みの中にきちんと設けることが重要だと思います。裏オプションの存在、知っている、知らない、そういうことじゃなくて、子供の認識を問うのではなくて、知っていようが知っていまいが、子供を買うということは、それはもう異常なことだ、許されない、そういう立場に立つことが大事だと思う。
私は、警視庁の報告書には、本当に真面目な検討がされていて、例えば、男性客が、JKリフレ店、個室の店内において、同店で稼働する女子従業員、これは十六歳の高校生ですよ、に援助交際を持ちかけた。自分が持ちかけた、しかも援助交際という言い方も腹が立ちますけれども、持ちかけた。そして、後日、ホテルにおいて現金五万円を供与して性交等をしたと。もう、これを読み上げるのが全部嫌になりますので、ここでとめますけれども、持ちかけているのは客の方。少女たちの被害というのは、まさに加害の側があるから今苦しんでいるわけで、加藤
大臣にお伺いしますが、この買う側の問題こそ、
政府の
取り組みの中で力を入れて位置づけて、克服すべき課題ではないでしょうか。