○池内
委員 努力方向は、ぜひ、もう本当にやらないといけないことだらけだと
思います。
ただ、先ほども
指摘したように、やはり、昨年、認可保育園の保育士の配置
基準さえ
政府は緩和をした。国による累次の保育に係る規制の緩和のみならず、二〇〇〇年の設置主体の規制撤廃によって、民間企業が保育事業に参入が可能となっている。つまり、私は、今この国の子供
たちというのは、営利追求の企業の参入で、まさに資本の利潤追求のやいばにもさらされている。これが今、どれほど保育の質の低下を招き、無抵抗な子供
たちに保育環境の劣化となって襲いかかっているのかという、この現状の
認識が私は大事だというふうに思うんです。
現実の保育事故が、そのことを如実に示しています。
東京都教育・保育施設等における重大事故の発生防止のための事後的検証
委員会の報告書が三月八日に公表されました。この報告書は、昨年三月十一日に一歳二カ月の男の子が、株式会社アルファコーポレーションが運営する事業所内保育所で亡くなったことをまさに検証している報告書になっています。
これを私は読むと、その当日のお父さん、お母さん、そのときのことがリアルに報告されていて、何度も涙が出る
思いでした。とりわけ、この子は、泣いてしまうからと別のところに移されて、一人で寝かされていた、うつ伏せ寝をさせられていた。
お父さんの手記があります。誰にも見守ってもらえずに、一人別室で苦しんで亡くなった。死後は、
警察署の冷たい霊安所で二日間を過ごしたそうです。解剖されて切り刻まれて、亡くなってなおぼろぼろになって子供が戻ってきた。霊安所では、遺族は一日四回しか子供に会えず、ひたすら
警察署の一室で、二日間、待ち続けたそうです。お母さんは、子供に会えないとわかっていても、解剖に向かう子供を、その後を追って、タクシーに乗って一人で追いかけたそうです。病院の外から、解剖されるその部屋を見詰めながら、子供の帰りを祈っていたと。この御夫婦のもとに生まれたお子さんは、本当に待望のお子さんで、もう二度と命は授かれないのではないかというふうな
状況があるわけですよね。この子も帰ってこないし。
私は、一件もあってはならないという保育事故にいつ
政府が真面目に向き合うのかということ、本当に重大なことが続いているということを
指摘したいと
思います。
この報告書の中では、意見書がいろいろありまして、私が注目するのは、契約はあくまでも個人とアルファコーポレーションのものとして、委託元企業が当事者としてかかわることはなかったと保護者が述べていることです。さらに、事業所内保育所といえど、企業は社員へ保育施設の利用枠を確保しているだけだ、この姿勢で、謝罪や補償については遺族とアルファコーポレーションでどうぞやってください、こういう姿勢だった。
報告書の中でも
指摘されていますけれども、委託元企業においても、委託先保育事業者と同様に、保育所が子供の健全なその発達の場となるように責任を負うべきだと私は求めたいと
思います。
このアルファコーポレーションは、保育事故を起こしておきながら、今も手広く事業を展開しています。検証
委員会からの報告もやっと最近上がったばかりなのに、この業者による事業拡大など、もってのほかだ、保育事故を起こしたような事業はだめだと言わないといけない。
当時の、まさに一年前の三月十一日ですけれども、その当時の保育士の配置
基準というのは、認可外施設の指導監督
基準に抵触はしていなかったと言われていますけれども、有資格者の四人のうち、園長はたった一年三カ月、ほかの三人も一年から四年の保育経験しかなかった
人物だと言っている。
また、非正規の保育士というのは、この数カ所の系列園を日常的にかけ持ちする勤務形態で、日常的に子供に接しているというわけではなかったわけですね、一つの園で。日がわりの保育士さんだった。本当に、その方もつらいと
思います。外形上、保育士配置
基準を満たしていても、保育の質という点で重大な疑問が残る。目先の利益のために、保育士の人件費にしわ寄せをしていたのじゃないか。
私は、認可外が全て悪いと言うつもりはないんです。しかし、事実、認可外施設での死亡事故が多くて、これは
政府の統計でも出ている。そこへ来て、さらに
政府は企業主導型という認可外をふやしていく構えだから、私は問題にしている。
私、
大臣にお伺いしたいんですけれども、この保育という、子供が育つ、
人間としての力を基礎の部分でつけていく大事な時期、この保育がもうけの対象にされることはあってはならないと思うんですけれども、いかがでしょうか。