○
太田参考人 真庭市長の
太田でございます。
参考人として、私から、今回の
地方自治法等の一部を
改正する
法律案について
意見を申し述べたいと思います。
まず一点目、
内部統制についてでございます。
どのような組織であっても、
事務の
適正性を確保する、そして効率的、効果的な
業務を推進していく、そのためには、適切に
情報が集められ、
重要度に応じて各
レベルでの
判断をしなきゃならないというふうに思っております。これは
地方自治体であろうと同じでございます。
しかしながら、
職員の
異動ということがございます。そしてまた、新しい
案件もあります。複雑な、各部局にまたがるようなものもございます。それから、
真庭市が九
カ町村合併ということで、そういうふうに
合併をして、十年たっても
一緒になってまだまだというところもございます。そういうようなところで、適切に
情報が集められ、共有され、そして
レベルに応じた
判断、これがなかなか難しいという現実もあります。
そうしたいわゆるリスク、これを、
事前にそういうものがあるものだというのを認識して体制を整えていく。そして、そういう中で
一定の、過度の
安心はしたらだめですけれども、
安心感を持って
首長が
政策判断に集中していくということ、それが大事だと思っておりますから、
民間でも進んでおりますが、こういう
内部統制について進めていくというのは大事であり、その根拠というのは必要だろうというふうに思っております。
次に、
監査制度の
充実強化についてでありますが、私は、従来から、
地方自治体の
監査機能をもっと充実させなきゃならないというふうに思っておりました。
ある
改革をした県の
首長さんがおっしゃっていましたけれども、
監査委員事務局にやり手の
職員を持っていったんだということを言われていましたが、そういうことで、いい
意味で
強化をする必要があると思っております。先ほど述べました
内部統制というのが一方ではある。一方では、
監査についても、いい
意味で
強化していく必要があるというふうに思っております。
そういう中で、
監査の
あり方を徹底するということで、各
自治体において
監査基準をつくっていくということは大事だと思います。ただ、なかなか、
真庭のように
人口五万を切るようなところで、一からつくれと言われるよりは、少し
参考になるものがあった方がありがたいと思っております。
そういうことで、今回の
改正については必要なものだというふうに思っております。ただ、それをうのみにするのではなくて、それぞれがまた
監査基準をこなしていくということが大事だと思っています。
その次に、
首長等の
損害賠償責任の見直しでございます。
住民訴訟制度、これ
自体は本当に必要な、
緊張感を持つのに非常にいい
制度だと私は思っております。ただ、いたずらに萎縮をするようなことがないことも大事だろうというふうに思っております。
過去の
経験から、そしてほかの事例から、国の方が
法律の
解釈誤りをして
地方自治体が
違法性を問われたとか、それから、相手方との交渉が必要な土地の購入で、
過失がないのになと思うようなことで
責任を問われるケースなどもありました。
私は、
京都府の
職員をしておりました。そのころ、その中の
京都市さんのことでありますけれども、
京都市長さんに対して二十六億円余の
損害賠償を認めた判決がなされました。
つまびらかには存じませんけれども、
住民ニーズに応えて
ゴルフ場開発を不
許可にした、そしてその結果、
開発業者から
損害賠償を求められて用地を購入した、その
価格決定が高過ぎたということで
損害賠償を求められたものですけれども、この
価格そのものは、
民事調停において
裁判所の
判断に従った、そしてまた鑑定もし、
議会の
議決も得ているというものでありますが、
住民訴訟では、
裁判所が決定するときに
異議を申し立てなかったことに
首長、
市長の
過失があるというようなものでありました。
こういうものについてまで、二十六億円という
損害賠償は、結局、
相続の方が限定
相続したというようなことをお聞きしておりますけれども、こういうことについては、やはり少し
制度として考えていただく必要があると常々から思っておりました。
今回の
改正は、
条例によって、善意でかつ重
過失がない場合に
賠償責任の
限度額を設けるというもので、これぐらいは、
会社法でもあるように、していただかなければならないというふうに思っております。
一方、
損害賠償請求権の
議会による放棄の
議決ということもございますけれども、これについて、
監査委員の
意見聴取を義務づけるということでありまして、やはりこういうことは安易にすべきじゃないということもありますから、まさに、
監査制度の
強化とともに、
監査委員の
意見を義務づけるというのは必要なことだろうというふうに思っております。
今回の
改正で、
首長や
職員の
個人責任の
あり方について、
自治体が
条例によって
事前にルールを決めた上で、事後的に
請求権を放棄する際に
監査委員の
意見を聞く、先ほど申し上げましたけれども、そういうことで、これまで以上に、
首長の方も
議会に対して説明をする
責任が
強化されるというふうに思っております。
次に、
地方独立行政法人の
業務への
窓口関連業務等の追加についてでありますが、各
自治体それぞれ、
行政を経営するという
観点から
仕事をしていると思っております。
市町村の、特に
地域福祉関係の
仕事とか、
仕事量も権限も非常に増しております。そういう中で、市役所が担う
業務、それを、
行政サービスを提供して、市が何でもすればいいんだというのから、
自治体が
地域を経営して、そして市が
経営責任を果たすとともに、
住民との
協働の中で
一緒に
仕事をしていくという
住民参加という
観点も必要だろうというふうに思っております。
そういうことで、
真庭市でも、市がやるべきこと、できること、それは徹底的にしよう。しかし、
協働すること。そして、
一定、出せるものは出していく。全体として、
行政が円滑に、そして
行政サービスを上げていくということになることはやろうというふうにしております。
その中で、
民間委託もそうでありますけれども、中山間の
地域では一人の
職員が多くの
仕事を抱えています。そういう中で、
民間に委託することがなかなかできないような、そして、しようにも
民間企業がないというようなこともあります。
そういう中で、
民間企業ではなくて
地方独立行政法人というような、
行政にほぼ近い、また
首長の
関与もできるというような、そういうところに
一定の
業務を負わせるという方がかえっていいんじゃないかという思いを持っております。
今回、
地方独立行政法人に
窓口業務を行わせるということで、いろいろな
意見はあるかもしれませんけれども、みずからつくった
法人でその
一連の
業務を、今の
民間委託ならば受け付けと引き渡しという機械的なことしかできない、
一定、定型的なものに限り全体を任せることができるということは、これは
コスト削減にもつながりますし、そしてまた、
一定の縛りを
法律改正の中で
関与してかけるということですから、これはこれでいいものだというふうに思っておりますし、そういう
選択の余地を広げていくということが必要だろうと思っております。
そういうことで、安易なアウトソーシングがいいとは言いませんけれども、先ほど申し上げましたように、まとめれば、
行政の
仕事が非常に多様化して多くなっている、その中で、安易に
職員をふやすわけにもいかないという中で、
公平性、
公正性を担保しながら、
地方独立行政法人の
関与を強めながらそこに
定型業務を出していくということは、私は、
一つの
選択、それができるようにしておくということが必要だろうというふうに思っております。
以上、私の
参考人としての考えを陳述させていただきました。
御清聴ありがとうございました。(
拍手)