○清水
委員 昨年三月二十四日に、公正
取引委員会は朝日新聞社に対して、独占禁止法違反につながるおそれがあるとして、違法行為の未然防止を図るという観点から注意を行っております。しかし、その後もいわゆる押し紙問題は
解決しておりませんし、これはほかの新聞社に対しても言えることだと思うんです。
資料の二をごらんください。ちょうどきのうなんです、これ。ちょうどきのう、佐賀新聞押し紙訴訟というもので判決が出ました。その弁護団の声明をきょう皆さんに、弁護団の皆さんの了解を得てお配りさせていただいております。
この事件は、ある販売店が、押し紙の仕入れ代金の増加に苦しめられておりまして、昨年四月に、弁護士を通じて、新聞社に対して減らしてほしいという減紙の申し入れを行ったわけです。ところが、佐賀新聞社は、減紙の申し入れに応じないばかりか、押し紙の仕入れ代金七百万円を払えと
請求してきた。それだけではありません。この販売店との
契約を一方的に解除するという通告をしたということなんですね。そのために、弁護団が
契約更新拒絶の無効を求める仮処分の申請を行い、それが認められたという声明なんですね。
それで、本当にこれはリアルなんですけれども、
資料の三、皆さんにお配りしている四枚目をごらんいただきたいというふうに思います。
これは、販売店の注文部数と佐賀新聞社が供給した部数の生数字です。これも了解を得て、きょう皆さんにお示しさせていただいております。
平成二十八年、二〇一六年四月、販売店の注文部数が二千五百五十部であったのに対し、佐賀新聞社は、四百三十部も多い二千九百八十部を毎日供給していたわけであります。ずっと続きまして、ことしの二月にも、二千五百二十部で注文しているにもかかわらず、二千九百五十九部、四百三十九部多い、これは一・二割ぐらいですからね、そういう新聞を供給している。これはまさしく、先ほど公正
取引委員会の方からも答弁ありましたけれども、独占禁止法に違反する行為だと言えるのではないでしょうか。
それで、
資料の二枚目、三枚目にもつけましたけれども、この声明文にもありますように、やはり、販売店を苦境に追い込む押し紙というのは、佐賀新聞社のことだけじゃないんです。ほかの新聞にもあるんです。
実は私調べました。直接伺った朝日新聞の販売店、
特定しません、読者数が約二千なんですね。それに対して予備紙が七百部でした、七百部。読者がいない新聞が三割以上ごみになっているんです、毎日。
さらに言いますと、読売の販売店では、管理能力を超えた残紙のせいで新聞こん包が入り乱れる。つまり、千二百とか千三百とか千四百とかの残紙があると、もう一々販売所の中に入れないで出しっ放しにするんですよ。そこに古紙回収業者が来て積んでいくのですけれども、古紙回収業者も最近もうかりまして、夫婦二人でやっていたのを従業員を雇うようになったんですよ。そうしたら、従業員は一週間に一回休まさなあかんでしょう。休みの日にとりに来なくて、そこへ次の日に読売新聞の翌日の朝刊がどさっとおりて、混在して、前の日の新聞を読者に届けるという事件も起こっております。
毎日新聞も結構ひどいんですね。大阪地裁では今二件の訴訟、いわゆる本社と販売店の訴訟が係争中であります。
結局、三百も四百も五百もある新聞というのはごみになりますから、ちょっとでも
お金を払ってくれるんやったら配達した方がいいんですよ。ですから、これは原価割れ、まさしく再販を崩して、新聞の定価を独自に決めて、例えばスポーツ新聞に本紙をつける。昔は毎日新聞に土日スポーツニッポンをつけていたんですけれども、今は逆で、スポーツニッポンに毎日新聞の本紙をつけるというようなこともやっておりまして、まさしく読者間の負担の公平性という観点から、これは
消費者問題にもつながるというふうに私は思っております。
それで、なぜこのようなことが放置されているのか。実は、これは一九八二年三月八日に、我が党、共産党の議員が初めてこれを取り上げたんですね。瀬崎衆議院議員でありました。三十五年たってもいまだにこのような
状況が残されているというのは大問題だと思います。
そんなんやったら、要らぬと言うたらええやん、切ってくれと言ったらいいんじゃないの、販売店はと思われるかもわかりませんが、実は、新聞本社が優越的な
立場を
利用して販売店が告発させないという仕組みができ上がっているんですよ。
例えば、販売店の方が公正
取引委員会に告発するとか、あるいは弁護士とか政治家に何とかしてくれとお願いしているのが知れると、もうとんでもない嫌がらせや仕打ちを受けると。例えば改廃というのがあります、強制改廃。先ほどの佐賀新聞の例ではありませんけれども、一方的に
契約を解除する、そして、そこの販売店が持っていた読者を別の販売店に全部つけかえて廃業に追い込む、こういうことが行われるので物が言えないという
状況があるんですね。
もう一つは、読者に配られていない新聞については補助金とか奨励金が出るんですよ、補助金、奨励金が、一部当たり幾らかというのが。ですから、新聞残紙、押し紙を減らすと自動的に補助金、奨励金も減るので販売店にとってはやはり減収になるという。
さらに、折り込み広告が持ち込まれますけれども、この折り込み広告というのは、いわゆる申請部数に基づいて基本的に持ち込まれますので、供給部数が減ると、スーパーやあるいはマンションのチラシなどが持ち込まれる、その折り込み部数も減るということでこれも減収になる。どっちにしてもジレンマに陥って、販売店の方々が余分な新聞を、大量の新聞を切ってくれというふうに言い出せないというような仕組みがあるということを、私はいろいろな方からお話を聞いてわかりました。
胸を痛めた話がありますので、紹介します。
この販売店では
日本経済新聞社に対して毎月増減表を送付しているんですが、全くこれが改善されない。私は見せてもらいました、注文票とそして
請求書。全くこれは反映されない。結局、この方は、
立場が弱いですから、
日本経済新聞社に対して仕入れ代金を納めるために泣く泣く六百万円の借金を背負ったと。この方はおっしゃいます、このままでは、
日本の伝統文化である新聞宅配制度がもう崩壊しますよ、やっていられないですよと。これはやはり私は危機だというふうに思うんですね。
公正
取引委員会にお伺いするんですけれども、こうした販売店の方々が公正
取引委員会に通報した場合、具体的にどう対応してくれるのかということですよ。個別の例はいいですよ。一般的な話なんです。
というのは、どの方に聞いても、公取は当てにならぬと言うんですよ。それは人によるかもしれませんよ。潰されるかもわからない、不
利益を受けるかもしれないという決死の思いで通報しているにもかかわらず、それに応じた対処をしてもらえていないという声を私はたくさん聞きましたので、具体的にどのように対応していただけるのか、今のお話を聞いていただいて、そして、販売店の
情報はしっかり守られるのか、この辺いかがか、お答え願えますでしょうか。