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奥田政府参考人 お答え申し上げます。
最後、原子力賠償の例についてどう思うかということですが、冒頭から幾つか
お話がありましたので、申しわけありませんけれども、ちょっと私からも幾つか話をさせていただきたいと思います。
最初に、JR北海道は、国が株主ということもあって、お客様、社員、
地域のために経営するという視点が欠けていて、全道一律で、
地域の実情に合わせた経営ができていないんじゃないか、こういう
お話だったと思います。
かつての国鉄は、公社制度のもとで
全国一元的な経営形態であったために、経営の自主性が失われたことや、適切な経営管理が行われがたく、輸送構造の変化に対応できずに、巨額の長期債務を抱えて経営が破綻した、それで、国鉄の経営形態を改めて、分割・民営化することとされ、現在のJRが発足したところでございます。
JR北海道を含めまして、国鉄の分割・民営化によって発足したJR各社は、できるだけ民間企業と同様の経営の自由、自主性を有することとなるよう、国の監督規制は必要最小限にとどめ、経営者が経営について権限と責任を持ち、当事者能力が発揮できる体制とされているというふうに私は考えております。
あと、JR北海道について言いますと、こういうのがあるのだそうでございます。「私たちの誓い」という冊子を職員が全員持っているそうであります。その中に彼らの誓いが書いてあるんですけれども、その中の一つに、「「お客様あっての私たち」 感謝を忘れず仕事をします。」と高らかに宣言されておりまして、そういった中身がいろいろと書いてあります。いろいろな
指摘もあるわけですけれども、彼らもそういった点で非常に努力をしているのではないかなというふうに私は見ております。
あと、
地域の実情に合わせた経営ということについては、本来、JR各社は、
旅客流動実態に即して六社に分割されたわけですけれども、JR北海道の場合は、営業キロが二千五百五十二キロに及んでおりますが、国鉄から
事業を承継する際に、札幌、釧路、旭川、仙台、こういったところに支社を置きまして、支社にもいろいろな権能を与えて、支社ごとに、いろいろなパック商品の設定だとか観光列車の運行みたいなものに努力しているということであります。そういった努力も今後継続していただきながら、経営改善に努めてほしいということです。
あと、十年ごとに総括してきたではないかという
お話でございます。
十年ごとというのを意識して私の先輩たちが取り組んできたかどうかというのはちょっとよくわからないんですが、昭和六十二年に国鉄の分割・民営化が行われました後も、大きなスキームの見直しに相当するようなものとしては、五年目の平成三年に、既設新幹線をJR本州三社に譲渡しまして、新幹線保有機構を解散したとか、七年目の平成五年以降、JR本州三社の株式を順次売却し、二十年目の平成十八年までに完全民営化したとか、十二年目の平成十年に、国鉄長期債務の最終的な処理を行って清算
事業団を解散した、十五年目の平成十三年に、JR会社法を改正して、本州三社を適用除外、三十年目の平成二十八年に、JR九州を適用除外にして株式を売却したなど、国鉄改革をするための措置が累次にわたって講じられてきたところでございます。
そういったことでありますし、また、この間、国は、三島会社、貨物の経営自立を支援するために、十一年目の平成九年以降、経営安定基金の運用益の下支え、それから二十五年目の平成二十三年以降、経営安定基金の実質的な積み増し、それから三十年目の平成二十八年以降、安全投資、修繕に対する助成及び無利子貸し付けなど、累次にわたってこれも支援を行ってきたところでございます。
一方、JR北海道につきましては、
地域における人口減、マイカー等の他の交通手段の発達に伴いまして、路線によっては、輸送人数が大きく減少し、鉄道の
特性を発揮しづらい路線が増加している厳しい
状況に置かれていると認識いたしております。
このため、国としてもこれまで累次にわたって支援を行ってきたところでありますけれども、今後、
地域の皆様にJR北海道の置かれている厳しい
状況について認識していただいて、
地域における持続可能な交通体系を構築していくために、関係者において速やかに協議を行っていただく必要があるというふうに考えております。国としても、道庁と連携しながら、これらの協議に参画して、
地域における持続可能な交通体系の構築に向けた対応につき検討してまいりたい、そういうふうに考えておるところでございます。
あと、経営安定基金の運用益の減少についての
お話がございました。
これは、繰り返し
お話をさせていただいておりますけれども、経営安定基金につきましては、元本をJR北海道に渡した後はJR北海道において自主運用されるものでございまして、その運用益が金利によって変動することは、当初から想定された仕組みでございます。したがいまして、金利情勢にはさまざまな変化がある中で、長期的な情勢の変化に伴って運用益が減少しているということについては、基本的には、JR北海道の経営努力によって対処されることが求められているというふうに考えております。
しかしながら、こういった考え方に立ちつつも、国としても、これも御案内かと思います、これまで、経営安定基金の運用益の下支えでありますとか、実質的な積み増し、設備投資に対する助成、無利子貸し付けなどの経営基盤強化のための支援をさせていただいてきたということでございます。
あと、このままで経営改善ができるのかということでございます。
大変厳しい
状況にあります。このため、JR北海道は、単独では
維持することが困難な線区について、持続可能な交通体系を構築するために、
地域の関係者と協議を
お願いしたいと申しているわけでございますが、収支を改善していくためには、それだけではなくて、さっき先生がお示しになった資料にありますような、運賃改定の実施による増収、鉄道の利用促進策による増収の
取り組み、経費節減に向けた
事業運営の効率化など、鉄道
事業の収支改善を進めますとともに、さらに、経営基盤強化のために、不動産賃貸業などの関連
事業による営業
利益のさらなる拡大に努めることで、必要な資金を確保できるようにしていく必要があると考えております。
引き続き、JR北海道の経営を持続可能にするため、鉄道
事業における安定的な経営基盤の確立や、関連
事業における収益拡大等の
取り組みを進めるよう、指導してまいりたいというふうに考えるところでございます。
あと、お尋ねの点です、済みません。
原子力損害賠償・廃炉等支援機構法において、機構の業務に要する費用に充てるために、原子力
事業者が機構に対して毎年度負担金を納付することとされております。これは、大規模な原子力
災害が生じた際に円滑な損害賠償の履行を確保するために必要な金額を、いわゆる相互扶助の考え方のもとで共同して負担しているものであるというふうに承知をいたしております。
これに対しまして、JR北海道やJR四国の営業赤字を補填するためにその他のJR各社に対して負担金の納付を求めることといたします場合には、相互扶助とはならず、負担金を納付する側のJR各社に負担が課せられるということになるわけでございます。
このように、ある
地域の鉄道
事業者の負担によって別の
地域の鉄道
事業者の経営の
維持を図るということにつきましては、負担をする側の鉄道
事業者でありますとか、その利用者あるいは株主の理解を得られるかどうかが課題でありまして、慎重に考える必要があるというふうに考えております。