○清水
委員 想定しているんだったら、法文上、そこにちゃんと
近隣住民とか
地域住民と記載するべきですよ。そして、「協議会を組織することができる。」じゃなくて、しなければならないというふうにしないと、
制度的担保はとれないと思います。
それで、きょうは配付資料を皆さんにお持ちいたしました。なぜ私がこれにこだわるかといいますと、結局、
地域住民の声を聞かずに行政がトップダウンで
都市公園内にさまざまな便益
施設を建設すると問題が発生するということの例なんです。板橋区の平和
公園、広島中央
公園、湘南ベルマーレ平塚のビーチパーク、そして杉並区の久我山東原
公園、奈良
公園、いずれも
地域住民の皆さんの反対運動が起こっているんです。
図書館、サッカースタジアム、
保育園がだめだということではないんですけれども、
住民への説明を丁寧にしていないんですね。反対の声を聞かないんですよ。だからこそ、
住民の皆さんは行政の態度や姿勢に反発を強めて、こういう問題が発生しているということなんですね。
一番下に書いてあります奈良
公園について、私、紹介したいと思うんですね。
ここは、奈良は鹿と大仏で有名なんですけれども、文化財保護法や古都保存法、奈良市風致地区
条例の第一種風致地区に指定されております。新たな開発は厳しく規制されているんですね。かつて、奈良県では、若草山にモノレールをつくろうという
整備計画が出まして、こんな自然、風光明媚な若草山にモノレールをつくるなんてやめてくれということで、
住民運動が、反対が起こりまして、頓挫したんです。
ところが、これに反省を見ない現在の奈良県知事のもとで、今度は、奈良
公園の敷地内、いわゆる景勝地、浮見堂というのがあるんですけれども、それに隣接した裁判所の跡地に、今度は高級ホテルを建設する
計画を持ってきた。このホテルが建設される区域というのは、世界遺産の緩衝
地域、バッファーゾーンというふうに言われておりまして、これにユネスコが指定しておりまして、もう二重三重に保護を求めている
地域なんですね。ですから、もうホテル建設なんてあり得ないんですよ。
では、奈良県はどうやってここに、つくれないような場所にホテルをつくるかというと、いわゆる高畑裁判所跡地を、今回、
都市公園に認定したんですよ。
公園じゃなかったところを
都市公園に認定する。そして、その
都市公園の便益
施設としてこのホテルを建設しよう、こういうふうにして、
制度を先取りといいますか逆手にとって、このようなことを今やろうとしているわけであります。
それで、この
計画に対して
住民運動が起こりまして、奈良
公園の環境を守ろうと声が上がっております。昨年十二月に、奈良
公園の環境を守る会と高畑町有志の会が結成されました。知事宛てに建設反対の申し入れを行っているんです。
実は、この会の代表は、アウトドア用品モンベル、御存じでしょうか、モンベルの会長さんの辰野勇さんという方なんですね。この方がこうおっしゃっておられます。高級ホテルを建てたら奈良
公園の価値が上がるという知事の考え方は理解できない、既存の旅館、ホテルに対して手厚い支援を行うべきと意見を表明されておられます。奈良市内のホテルの稼働率というのは八割ぐらいなんですね。旅館業でいったら三割ぐらいなんですよ。そこにまず手厚い支援をしようじゃないかということをおっしゃっておられます。
反対署名の呼びかけ人には、作家の椎名誠さん、夢枕獏さん、著名な方も名を連ねておられまして、まさにこの時間、きょうこの瞬間も奈良の春日野フォーラムという場所で、今、奈良
公園整備検討
委員会が開かれているんですが、ここで反対の示威活動をやっております。
なぜわざわざここへ行って辰野さんたちが反対の意思表明をしているかというと、この検討
委員会では、この奈良
公園内にホテルを建てる
計画に反対意見はないというふうに表明しているんですよ。ですから、全くそんなことはなくて、
地域住民の声を聞かない姿勢、これに対する批判のあらわれだと言わなければなりません。
そこで、
石井大臣にお尋ねするんですけれども、いずれも
住民の声を聞かずにトップダウンで進めているということはやはり許されないと思うんです。
都市公園法の
改正によりまして、今回、
民間事業者というのはさまざまなインセンティブを受けます。例えば、
設置期間が十年から二十年に延長される。それから、
建ぺい率も規制緩和されますよね。さらに言うと、
民間の賃料を払うよりも、公共団体が
条例で制定した使用料を払う方がよっぽど安いわけです。ここまで規制緩和しておきながら、
公園利用者それから
地域住民、こういう方々の声を直接聞くという仕組みがこの法案は欠落していると言わなければなりません。
なぜこれが大事かといいますと、この弊害が、実は、この奈良
公園のホテル建設をめぐって奈良県議会であらわれているんですよ。
これを紹介したいと思うんですが、奈良県議会では、議員から、
都市公園法施行令第八条四項、少し読み上げます。「
都市公園に宿泊
施設を設ける場合においては、当該
都市公園の効用を全うするため特に必要があると認められる場合のほかこれを設けてはならない。」こう書いているんですよ。ですから、そもそも、
都市公園というのは泊まるところと違いますから、よっぽどのことがない限り、ホテルを建てたらだめ、宿泊
施設を建てたらだめ、こう書かれているわけなんですね。
このことを奈良県知事に対して
指摘をしたところ、奈良県知事は、さまざま書かれていると。例えば、
国交省の
都市局が監修しております「
都市公園法解説」、私も読みましたけれども、例えば、大
面積の
公園の近くにホテルも旅館も一軒もない、そういうときには建ててもいいという例示は示されているんですよね。でも、そうでなければだめだということがわざわざ記載されているのに、奈良県知事は、そんなものは単なる例示だ、高級ホテルを建ててはいけないということは書かれていない、だからつくってもいいんだという姿勢を貫き、
住民感情を逆なでしているということなんですね。
ですから、何が大事かといいますと、
住民合意、その
ニーズをつかむ、そして理解を求める、こういう仕組みは、
大臣、やはり法律で担保するべき。運用
指針だとか、あるいは協議会任せにするんじゃなくて、聞かなければならないと法律で担保するべきだというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
〔西村(明)
委員長代理退席、
委員長着席〕