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初鹿委員 私は、もう
大臣がおっしゃるとおり、人が足りないというのもあるし、在宅の支援をどうやってきちんとやっていくかということもあると思うんですが、まず、これは誤解をされるのを
承知で言いますけれ
ども、批判されるのを
承知で言いますけれ
ども、今まで、親子再統合をするということを前提に進めてきていたと思います。だから一時
保護も、延長という形なんですが、私は、むしろ、親子分離をきちんと徹底的にやることを進めた方が、
児相の職員にもいいし、
子供の利益にもかなうんじゃないかというふうに思うんです。今は、明らかに微妙な場合でも戻しているんじゃないかと思うんですね。
資料の八を見ていただきたいんですが、一時
保護を解除した後の
子供の行き先の、帰宅というところを見ていただきたいんですが、五三・八%、半分、帰宅なんですよ。では、このうち
虐待を受けている人はどうなのかということを聞いたら、
虐待を受けている場合でも九千四百七十六件で、
虐待を受けている
子供の場合でも五三%台と、ほぼ同じなんですね。つまり、
虐待があっても結局、戻している。
そこで先ほどの
答弁になるんですが、先ほど答えていただいたので省きますけれ
ども、私は、家に戻すというのを慎重にするべきだというふうに思います。
そこで、ちょっときょう御紹介したいのが、この本なんですけれ
ども、「「鬼畜」の家 わが子を殺す親たち」という、石井光太さんというノンフィクションライターが書いた本です。先日、我が党の部門
会議に来ていただいて、ヒアリングを行いました。この書いてある、三つの
事件が書いてあるんですが、新聞記事を載せさせていただきました。
一つは、厚木で起こったんですが、
子供が衰弱して死んでいたのに七年間発覚しなかった、これで、居所不明児という問題が世の中にクローズアップされた
事件です。そしてもう一つは、下田で、天井裏と押し入れに
子供を二人、死体を入れたままにしていて、発覚をしたという
事件。そしてもう一つは、足立区の
事件ですが、三歳の次男をウサギ小屋のケージの中に入れて、そして衰弱死をさせたという
事件。
どの
事件を見ても、とんでもない親だ、そういうふうに皆さんは思うと思います。しかし、石井光太さんはこう言っているんです。どの親も、口をそろえて、
子供のことを本当に愛していた、宝だと思っていた。では、宝なのに何でウサギのケージにつなぐのか。ウサギを飼っている方はウサギをかわいいと思いますよね。宝物のようにかわいがっていると思います。でも、いろいろなところでふんをしたら困るから、ケージの中に入れます。かわいがっているんですよ、その人も。それと同じ感覚なんだということです。我々普通の人とは価値観が全然違う、そういう方、そういう人が親になってしまっている。そこの親たちの考え方を変えるというのはなかなか容易じゃない。
そして、どうしてそういう考えに至ったかというと、やはり生育環境に依存しているところが大きいわけですね。
よく、
虐待の連鎖をなくさなければいけないとか、貧困の連鎖をなくさなければいけないということを我々は言うんですけれ
ども、本気で今までそういうことをやってこられたのかというのは、私はこの本を見て改めて反省しました。
まず、厚木のケース。
父親は、児童養護施設の出身です。母親が、小
学校六年生のときに、重度の精神障害、精神疾患に罹患をして、自分に火をつけて入院をしたこともあります。父親は、仕事が忙しいということでほとんど家に帰ってこないし、母親のフォローもしない。そういう中で、自分の弟たちを守るために、その父親が頑張っていた。
母親は、老舗の旅館のお嬢さんです。この旅館の、その母親にとってのおじいさんはかなり奔放な人で、奥さんに二人の
子供がいて、仲居さんにも
子供がいた、そういう人がおじいさんで、そこの次男の
子供なんですけれ
ども、母親がスパルタ教育で、そのスパルタ教育に応えられなかった母ということで、もう高校生のころから
学校に行かなくなり、この父親と知り合う、そういう家庭環境です。
もう一人、下田の
事件。
まず、下田の
事件の母親は、高校二年のときに最初の妊娠が発覚するんですが、十年間で八回妊娠をしております。生きている
子供は三人だけです。この母親の祖母は七人のシングルマザー、貧困状態、ひどかったそうです。そして、祖母の
子供、つまり、母親の母親は、当時五十一歳。まず、最初のお父さんに三人の
子供ができます。別れて、この母親が中学二年のときに二人の
子供ができます。そういう中で、自分が妊娠をして、なかなか言い出せないということで、結局、産むことになるということなんですが、この母親も大変な方です。かなり奔放でした。
この
子供の母親はどうしていたかというと、
子供ができて、おばのうちに身を寄せるんですが、おばさんにはフリーターの成人した息子がいました。そういう中ですから、経済的な負担をかけられないということで、ほとんど児童手当等のお金はそのおばさんにとられていた。そういう環境の中で育って、二人の
子供を殺すことになりました。
足立の
事件です。
足立の
事件は、まず、父親は、児童養護施設の出身ですね。この父親の母親も、五人の
子供をつくっていて、その五人全員、児童養護施設に預けております。風俗で働いております。そして、児童養護施設ではモンスターと呼ばれるような大変な母親でした。
そして、母親の方はどうかというと、母親の方のその親も、ホストに入れ上げている母親で、
子供を何人もつくっております。父親が逮捕されたこともありました。母親が連れていったホストクラブで、このケージに閉じ込める旦那と知り合って結婚をするということなんですね。
何が言いたいかというと、相当にそれぞれの生育歴がひどいんですね。そして、
子供ができて家庭を持った後も、親に相当振り回されて生きているんです。要は、
子供にとってみれば、祖父母にですね。ですので、
児童相談所が一時
保護をして、解除をする、また、その後どういう処遇にするかということを考えるときに、親だけを見るのではなくて、その親の親や、さらにその親、祖父母まで含めて、どういう生育環境だったということまでしっかり見きわめないといけないんじゃないかと思うんですよ。
例えば、親戚のおばさんがいるから、また、母親がいて
子供の面倒を見てくれるから大丈夫だろうと思って帰したら、その母親の方がとんでもなくて、
子供の児童手当や児童扶養手当を当てにして生活をするようになっている。まさに、下田の
事件のおばさんはそうなんですよ。そういうことがあったら、さらに
虐待の根は深くなってしまうと思いますので。
ですので、これから、こういう非常に複雑な問題を抱えている場合は、親だけじゃなくて、その親や祖父母のそういう状況まできちんと把握をした上で、別居しているか同居しているかに限らずですね、一時
保護の延長をするのか、それともそれ以外の
対応になるのかということも考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〔三ッ林
委員長代理退席、
委員長着席〕