○大西(健)
委員 厚労省のモデル
事業をやっているからいいんだみたいな、ちょっと逃げ腰な感じもしたんですけれ
ども、ぜひ
内閣府、今、死因究明
法案というのが、失効してしまっていて議員立法でまたというような話もあるというふうに聞いておりますし、また、厚労省はやっていると言いますけれ
ども、例えば、
児童虐待防止に関する情報集約や研修をする
民間機関、子
どもの虹情報研修センターの調査では、厚労省が発表した〇八年から一一年度の
虐待死四百十三人のうち、検証が
確認できたのは約三割にとどまったと。つまり、厚労省、今はまだモデル
事業ということですけれ
ども、今まで、やはり全体の
子供の死亡について三割
程度しか事後検証もできていないわけですね。
先ほ
ども言いましたように、誤飲だとか転落については、
内閣府が音頭をとって、厚労省も含む関係省庁の連絡
会議というのができているわけですから、誤飲、転落、加えて
子供の全ての死について関係機関が寄って検討し、事後検証するような、まさに諸外国で行われているようなチャイルド・デス・レビューみたいなものを、私はやっていいんじゃないか、もう少し
内閣府にそこはリーダーシップを発揮していただいてもいいのではないかなというふうに思っております。ぜひとも引き続き御検討をお願いしたいと思います。
それでは、一時保護の中でも、特に親の同意なく強制的に
子供を引き離す職権保護、これは、現場での判断は多分非常に難しいんだろうなというふうに私は思います。そういう
意味では、先ほど来話が出ているように、現場も、非常に人員的にも逼迫をしていて大変な中で、こういう難しい事例の判断というのは非常に悩むところだと思います。ですから、今回、司法の介入というのも入っているんだと思うんですけれ
ども。
私自身、職権保護について、地元で百八十度異なる相談をいただいています。一方では、例えば、
虐待でも何でもなくて、ただ日常生活でぶつけてあざができただけにもかかわらず、
虐待を疑われて、強制一時保護で
子供を連れ去られてしまった、それから会わせてももらえないし、連絡もさせてもらえない、もう本当に発狂しそうなお母さんの相談というのを、人を介して受けたこともあります。それから、一方では、親との関係の悪化をためらうばかりに、児相が一時保護に非常に消極的になっている、これは一時保護しなきゃいけないんじゃないか、本当に
児童の生命身体が危ないんじゃないか、こういうケースの相談も受けています。全く百八十度異なります。
きょうは、後者のケースで私が実際にかかわった事例に即してお聞きをしたいというふうに思うんですけれ
ども、これはこういう話です。
児童は十六歳の少女。アルバイト先の方が、真夏なのに長袖を着ているから、おかしいなと思っていろいろ事情を聞いてみると、両腕はもうリストカットの跡だらけということで、幼少のころから家族全員から心理的な
虐待を受けてきた、中
学校もずっと不登校だったということなので、自傷行為や自殺未遂を繰り返しているということです。
これを見て、そのアルバイト先の方が、これはやはり助けてあげなきゃいけないということで、
児童相談所に相談をされました。
最初はやはり、家族じゃない第三者だからということで、なかなか、そもそもちゃんと話も聞いてもらえなかったようですけれ
ども、最終的には、
児童がそのバイト先にいるときを、まあ、なかなかほかのところでは難しいのでということで、見計らって相談員との面談がセットされた。保護してほしいと訴えたところ、児相がその後、家庭訪問した。家族は、当然のことながら、
虐待していないと否認する。
児童は、児相職員から、家族に会って話を聞いたけれ
ども、もっとお母さんを信じてあげなさいと言われて、自分の味方になってもらえると思ったら、そう言われてしまって、非常にショックを受けて、もう児相のことが信じられなくなってしまった。
それからさらに、
児童は、父親から、おまえが
児童相談所に電話したのかと問い詰められて、いや、知らないとしかもちろん答えられなかった。これを受けて父親は児相に対して、娘はあなたのことは知らないと言っているというふうに答えています。その後、児相は、親に、通報したのは自分だと告げないと自分たちは動けないと言ったそうです。児相が
児童の家に電話したところ、父親は、おまえのせいで妻がノイローゼになっている、もう連絡してくるなと言って、児相からの電話を切ったそうです。
その後、
児童は余り家からもう出してもらえなくなって、しばらくたってやっと久しぶりにアルバイト先の方が会えたときには、記憶障害が出ている、精神科の医院で解離性障害の診断も受けたということがわかりました。
これまでこの
児童を助けたいという思いで支援してきたアルバイト先の方の
お話を聞くと、児相は、親と一緒に来て、本人が親の前で保護を求める意思を示さないと動けないと言っているとのことです。しかし、このケースでは、私は、
児童は強い家族の心理的な、精神的なコントロールの支配下にあって親の前では怖くて本心が言えない、こういうケースで、親と一緒で、親の前で、助けてください、保護してくださいと言わなきゃ動けないなんというのはちょっとおかしいんじゃないかと。
実際、この子が書いた手紙というのを私は読みましたけれ
ども、例えばその中には次のようなことが書かれています。
助けてください。お願いします。あの家から早く出たいです。いつも監視されてつらいです。
皆さんが寝てから何度もリストカットやっています。死にたいと思っています。自分を責めたりしています。何で自由にさせてくれないの。今まで、本当のことを話しても誰も信じてもらえず、家族がうそでごまかすので、私がうそつきにされてきました。○○さんは私の話を信じてくれて、かわりに通報してくれています。
こういうふうに書いているんです。もうはっきりしているんです。ですから、本人の保護してほしいという意思は、私ははっきりしていると思います。
でも、やはり心が揺れるんでしょうね。また別の手紙には、今まで○○さんに迷惑かけてしまったし、今でも親がうそついている姿を見るのがつらいので、もう○○さんのところからは離れますみたいな手紙を今度は送ってくる。あるいは、児相の職員が行っても、ずっと話していると、きょうから自分が家で強くなりますというふうに言っちゃうそうなんですね。
ですから、やはりこのケースについて言えば、もう自傷行為を繰り返しているし、解離性障害まで出ているという緊急性がある。それから、親の精神的な支配から離してやることがやはり私は必要だと思うんです。そういう
意味では、一時保護をこれはためらうべき事案ではないと思いますし、場合によっては、精神病院への一時保護委託を検討することも考えなきゃいけない事案だというふうに思います。
あってはならないことですけれ
ども、これだけやってこの子が自殺するようなことがあったら、これはもう、私は児相の責任が問われるような問題だというふうに思います。
個別案件についてお答えいただきたいというのは難しいと思いますので一般論で結構ですけれ
ども、はっきり明確にしていただきたいのは、
子供の安全の確保が必要と認められれば保護者や
子供の同意がなくても
児童相談所は一時保護をちゅうちょなく行うべきであるということで間違いないかどうか、厚労省の御見解をお示しいただきたいと思います。