○阿部
委員 今の御答弁のうち、
世代内、
世代間の公正公平というふうにおっしゃいましたが、
世代内の公平公正を言えば、実は、同じ商品を買うのに、少々お金がおありだから人の二倍、三倍お払いなさいと、同じ御
高齢者のグループがいたとして、あなたは少しお金持ちの御
高齢者だから、それは少しですよ、二倍、三倍お払いなさいというのは、ちょっと
世代内の公平というのとは違うと私は思います。
それから、百歩譲って、
世代間の公正ということは、四十代から六十五歳までは
保険料はお納めであっても
サービスを利用できないので、利用されている方で少し余力があれば、余力があればです、御
負担をいただくというのは、成り立たない考えではないとは思います。
でも、考えますに、どこの国であっても、
保険というものをしいた場合に、
保険料は応能
負担ですが、同じ
サービスを受けるのに、お金があるから高く払いなさいと言われたら普通は逃げてしまいます、金持ちの方が。やはりそこは、この
制度が余りにある
意味で納得できないものにならないためには、二割
負担、三割
負担というところは十分慎重に、
制度を理解してみんなで支えるための工夫が私は必要なんだと思うんですね。
それで、実は、きのう、すごく
厚生労働省の担当者に御苦労いただきまして、朝五時までかかってつくってくださった表があります。残業させて、まして女性で、申しわけなかったです。男性でも申しわけないんですけれ
ども、申しわけなかったです。朝届いておりましたグラフが一枚目であります。
これは、私は何を
大臣にお示ししたいかというと、
介護給付というもの、すなわち、給付はほとんど
収入と一緒です。一番上のラインをごらんいただきますと、始まった当初は三兆円、今は九兆円ちょっとでしょうか、給付費で三倍に上がり、公費は二倍ほどに上がり、
保険者の二号
保険料、一号
保険料もおのおの上がっておりますが、窓口の
利用者負担というのは大体七、八%で推移しておりまして、これは、さっき申しましたように、余りに窓口
負担が高いと、これはちなみに二割
負担になる前ですけれ
ども、払えない、利用できないということもあって、大体こういう形で推移している。
逆に言うと、この
利用者負担の
部分の全体の財政に及ぼす
影響というのは比較的小さい。これは、河野議員も代表
質問のときにおっしゃったと思うんです。財政寄与
効果はないわけではないけれ
ども、そう大きなものではない。そうでなくては困るんです、窓口
負担が余り高いと。
でも、財政の持続性を保つために窓口
負担をしなさいよというのは、何か本当の理由じゃない。本当は、財政の持続可能性を云々と言うなら、ほかの方法を。いろいろあります。公費を上げる。あるいは一号の応能
負担のカーブをもっと上げる。二号については、今回、総
報酬制になった。おのおの、その寄与度というのはあると思うんです。
私は、これを見ていると、
利用者負担の二割、まして三割への引き上げは、財政
効果はさして大きくなく、そして、同じものを買うのに不平等感を植えつけた上で、
サービスの利用抑制まで起こる、百害あって一利なしとは申しませんが、いいところがないなというふうに、この表から私は酌み取るわけです。
そして、
大臣は先ほどおっしゃいました。把握する限り、利用の抑制は、
厚生労働省としては把握しておらぬということでしたので、では、把握していただきたく、次の資料をお示しいたします。
これは、一五年度
改正、すなわち
平成二十七年度
改正での
影響についてお聞かせくださいということを、全国老人ホーム施設長に対するアンケートで送ったものであります。回答が大体千九百以上ございまして、各特養、老健、さまざまな施設系入所のところに送ったアンケートでございます。
その中の、2、特養入所者で一五年改定でどのような
影響が出ましたか。これは施設の運営者に聞いておることでございますが、一、利用料支払いの滞納。二、支払いが困難を理由に退所。三、多床室へ移った。四、日用品などの買い控え。五、これが一番多いんです、配偶者の生活苦。すなわち、御夫婦でどちらかが入所されていた場合、残った、今の場合、
日本は女性の方が長生きなので、多分、女性が多いと思いますが、その奥様が生活苦だ、苦しい、暮らせないと訴える比率が高い。その他、いろいろございます。
その下に、では、一から六とお答えになった方にお聞きしますが、その理由は何ですかと聞きますと、やはり、
利用者負担が二割になったから、補足給付の要件が変わったから、この
二つが断トツであります。
大臣、これは老人施設をみずから運営されている方が御自身たちでとられたアンケートです。
厚生労働省が独自にとっていただいても構わないと思うんです。その上で、同じように調査して違いが出るのか、あるいはここのプロフィールのようなものが出るのか。
ここで施設入所を使わせていただいたのは、比較的データが得やすいからであります。在宅の場合は、例えば、それこそ
介護離職して、
介護に人がかわってかかわっている、それで利用を減らすなどの要因が多いので、なるべくクリアカットに出やすいものを利用したのがこの老人入所系施設であります。
同じような
趣旨の調査を
厚生労働省としてやっていただけませんか。もちろん、施設の協力は必要です。でも、協力はやぶさかじゃないと思います。
利用者さんは、利用されている入所者の奥様の生活が苦しいと言ったら、おちおち療養できません。自分が早く死んじゃった方が妻が楽になるんじゃないかと思う方もおありでありましょう。私が多く、
地域で聞こえてくる声は、やはり残された奥様の日々の生活が苦しいということであります。これは私は深刻な
実態と思いますので、ぜひ
大臣にあっては同じ
趣旨の調査をしていただきたい。
全調査、やれないなら、全部とは申しません。でも、この法案の成立前に。だって、厚労省は
影響がないと言うんですよ。実際やっている皆さんはあると言うんですよ。この大きな違いがあるわけですから、ぜひ
大臣も、御自身の省庁の皆さんは優秀です。きのうも本当に遅くまでおつき合いいただきました。その方たちの能力を使ってでも、
国民のための調査ですからお願いしたいと思います。いかがでしょう。