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高井分科員 前向きな御答弁をありがとうございます。
大臣、今おっしゃっていただいたとおり、非常に要望の強い分野、これからますますそうだろうと思いますので、ぜひ
改善に努めていただきたいと思います。
それでは、きょうはいろいろなテーマを取り上げますので、ちょっと話ががらっとかわります。
今度は働き方改革のことでございます。実は、中小企業、零細企業の
意見が働き方改革の中にどこまで反映されているかという観点で、ちょっと御質問をしたいんです。
私は実は、選挙で落選をしていた折に、自分で会社をつくってビジネスをやっておりました。そのときに、日創研経営研究会という、経営者が全国で四千五百名加盟している勉強会がございまして、全国に六十三の会がそれぞれ
地域ごとにあって、私の地元岡山にも岡山経営研究会というのがあって、百五十名近い経営者が参加をしています。
私は入ってよかったなと思うんですけれ
ども、本当に中小企業の経営者の方というのは真面目に勉強されていて、毎月一回の例会というのがあるんですが、これもほぼ一〇〇%近い出席率で行われていて、また、その月一回の例会のほかに、月一回、
委員会というのがそれぞれあって、その
委員会ごとに勉強している、研究をしている、そういう会でございます。
そのメンバーから、厚労
大臣と、それからきょうは経産省から中小企業担当の中川政務官に来ていただいていますので、ぜひこれは聞いてほしいという要望を受けてまいりました。
実は、その勉強会で「理念と経営」という雑誌を使いながら毎月勉強をしているんですけれ
ども、今回、働き方改革のことが取り上げられています。ちょっと紹介させていただきます。
企業経営は水道に例えられると思う、大企業は上水道で、いつも美しい水が流れる、新聞社などは上水道の仕事じゃないか、社会のひずみなどを記事にして、それをビジネスにして多くの社員を
雇用して、社会的役割も大きくて、退職金な
ども整備され、記者は仕事に誇りを持ち、賃金も高く、働いていると。
一方、新聞の拡販の現場、営業の現場に目を向けると、部数のとり合いで熾烈な戦いをし、以前は無理やりに押しつける営業な
どもあったと。拡販する人は上水道を守るための下水道の役割じゃないか、どんなに紙面は社会正義をうたっていても、下水道が見えないところで下支えをして、一つの企業としての経済行為が保たれていると。
中小企業は上水道役の大企業の陰で、目に見えない部分の重要な責務を果たしていると確信しています。大企業のような経営資源もなく、大企業のような特殊技術もなく、大企業のような人財も育っていないのが中小企業です。
仕事柄その悲哀を耳にしては、正直、世の中の矛盾を痛烈に感じるときがあり、尊敬する安倍晋三総理にふと疑問を感じたりします。
この会の代表の田舞さんという方が書いておられる文章なんですが、このとおり、安倍総理を尊敬している、そういう方でも疑問を感じると。
もう一つ例を挙げています。建設業界。
一番末端の中小企業は、元請の要求をのまなければ生きていけません、工事期間を決められ、それに間に合うよう深夜遅くまで働いています、それに比較して、いろいろな御苦労はあるでしょうが、大手ゼネコンはいつも、社会正義や経営理念や使命感などを標榜して、法令遵守をしていればよい立場にいます、末端の中小企業、零細企業は、働き方改革の諸条件を満たすことは容易ではありません、それでなくとも、建設関連の小企業は人手不足です、少ない人数でも期間を守らなければならず、あえて現場で無理をする状況を強いられているのです、こうした構図は他の業種にも似たような状況がありますと。
「働き方改革実現
会議」のメンバーには、学識経験者、官僚、政治家、大企業の経営者だけでなく、もっと現場感覚をもった人物を増やしてもいいのではないでしょうか。人手が足りない業種がたくさんあるなかで、仕事がないという理由で「生活保護」を受けている若者もいるようです。
私は
政策を立案する方に、下水道役を果たして苦しんでいる中小零細企業の実態を知ってほしいのです。
大臣室から「働き方改革実現
会議」の答申を発表するのもいいでしょう。中小零細企業の経営者の努力不足や勉強不足も認めます。しかし、真に国家の下支えをしているのは、きつい、汚い、危険を承知で働いている人ではないでしょうか。そのことが反映されていないことを思うと、いくつかの点で「働き方改革」には納得できません。
私も全く同感であります。
働き方実現改革には、大村さん、全国中小企業団体中央会の会長と、三村さん、
日本商工
会議所会頭が参加をしておりますが、しかし、やはりこの二人、果たしてお二人とも中小零細企業の
意見まで代弁されるような方かという疑問もあります。
こうした状況の中で、
塩崎厚生労働大臣はこれから法案をつくっていく責任者でありますが、こうした中小零細企業の声をしっかりと聞いていく、そういう決意はおありでしょうか。