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北神委員 民進党の
北神圭朗でございます。
きょうは、附帯決議はなさそうなので、質問の方に専念をしたいというふうに思っております。
まず、
大臣、この前の議論、覚えていらっしゃると思いますけれども、
委員会で質問したときの経済
政策の話で、ちょっとおさらいなんですけれども、お配りしている資料で、私が一番憂えているのは、短期的には、今も景気はよろしいし、結構なことなんですが、これは中長期的に見たら非常に厳しい
状況だという話で、昔、財政学で、民主主義は財政赤字につながりやすいというワグナーの法則というのがあるんですけれども、経済
政策でいえば、民主主義というのは短期的な経済
政策に集中しやすいという、非常に将来に対する憂いがございます。
一ページ目をごらんになりますと、
内閣府の資料ですが、労働力人口でいけば、これは、仮に、かなり希望的な前提を置いて、出生率が二〇三〇年に二・〇七まで上昇し、かつ、女性がスウェーデン並みに働く、つまり三十歳から四十九歳の女性の労働力率が九〇%になるという話なんですが、さらに、
高齢者が現在よりも五年長く働いたとしても、二〇六〇年には五千四百万人程度まで減少する。下のグラフでいえば一番右の棒なんですが。それでも、この推計でいえば、二〇一三年からいえば、毎年平均〇・三から〇・五%人口が減っていくという
状況で、相当これは希望的な前提を置いている。
ほっておけば、この青い斜線の入った棒で、今の、二〇一三年、六千五百七十七万人から、半分弱の三千七百九十五万人まで、十五歳から六十四歳の、この働き盛りの人口が減ってしまう、こういう試算でございます。これは、今二〇一七年ですから、二〇六〇年というのは、まあまあそんな遠い将来ではない。
こういう
状況の中で、三ページ目を見ていただくと、潜在成長率というのがございますが、下のグラフなんですが、八〇年代、四%ぐらい潜在的な成長率があったのが、今、一%弱ぐらいになってしまっている。これをほっておけば、恐らく、いろいろな識者の話を聞いていても、下手するとゼロ近傍になり、そしてマイナスということも十分あり得る。例えば日本銀行なんかでも、そういうこともあり得るという
状況で、短期的な財政
政策とか金融
政策は、もちろんこれは
需要を喚起して、上のグラフにありますように、需給ギャップは
改善している。これは効果はあると思います。
しかし、この潜在成長率、長期的な成長率には、若干はあると思うけれども、やはり技術進歩、技術革新というところが一番重要で、この潜在成長率のグラフを見ても、TFPという要素の
部分がこの技術進歩ですが、これは大分、少しずつ減ってきているという
状況で、ここが非常に私が心配をしているところであります。
ちょっと一枚戻っていただいて、いや、そんなことを言ったって、やはり短期的な経済も大事だという話なんですが、短期的な山、谷ですね。短期の景気というのは山、谷の話ですが、それでいけば、これは
世界のGDP、OECD加盟国のGDP、米国、
中国、そして日本のGDPの成長率の推移なんですが、これをごらんいただくと、大体、OECD加盟国の山、谷と、まあまあ、ある程度比例していくわけです。つまり、
世界の経済がよければ短期的な日本の景気もいいし、今まさにそういう
状況でありますし、悪くなれば日本の経済も悪くなる。
こういう
状況の中で、心配すべきは、この山、谷は結構なんですが、その水準がどんどんどんどん下がっていって、OECD加盟国と大体、上か、同じぐらいの水準が、今やもう下回っちゃっている。こういう
状況の中で、私らは、やはり研究開発とか、そういったものに力を相当入れないといけない。
そこでお聞きしたいのは、この前も
大臣は、財政金融も大事だというお話で、そこは私とちょっと見解が違うんですが、いわゆる三本目の矢の第四次産業革命、これが大事だというお話をされたので、私もそのとおりだと。
ただ、残念なのは、
経済産業省の役人さんに聞いても、人工知能の技術自体は日本はもうおくれをとっている、そのものは。もうアメリカにも
中国にもかなわないと。しかし、その技術を利用して、日本のものづくりと合わせていけば、相当日本も経済成長に結びつけることができるという話なんですが、そこで心配なのは、心配ばかり言って申しわけないんですが、ここで日本のものづくりのたくみのわざというものが非常に生きてくる。
これは、ロボットというのが、人工知能によって目の
部分が非常にすぐれてきている。ここで、例えば瓦職人、これは熟達した職人にしかわからない、焼きぐあいとか色合いとか、よく言われるすり合わせ的な技術、経験、知識、こういったものがロボットにも、全く模倣することが可能になる。それで、ロボット自体を各国に
輸出したりして、そこで各国で日本の瓦技術というものを普及させることができるという意味では確かにいいんですが、問題は、その瓦職人であれ、例えば農業でもそうですね、農業の熟達した、このリンゴの色合いでちょうど採取する時期として適当だとか、周りの葉っぱをこう切ったらいいとか、こういう日本のたくみのわざというものが生かされるはずなんですけれども、私が心配しているのは、それだけデータにとられ、それだけロボットに入力されて、それで外国に売られるけれども、職人さん自体には何の利益も返ってこない。何の利益ということはないですけれども、若干の利益しか返ってこない。
そういう事態になると、非常に日本にとっては大きな損失ですし、逆に、今の時代こそそういう職人のわざを継承していかないといけないのに、余りもうからない分野だというふうになってしまうと、何か自分たちの技能だけとられて、それで何かほかの大企業とか外国の企業はもうけているというような話になってしまうと、これはまことに残念なことですので、そこをどうやって、知的財産権なりで保護するか、どういう方法があるのか、ここは非常に私、問題意識がございます。
ところが、瓦の職人の職人わざとか熟達した農家のはさみの入れ方とか、こんなことは新規性も進歩性もないということで特許の
対象にならない。それをどうやって保護していくかということを考えないと、せっかく、人工知能とものづくりを合わせて、これから第四次産業、突進するんだという
経済産業省の意気込みはよろしいんですが、そこをやらないと非常に大きな穴があいてしまうということについてどうお考えかということを伺いたいと思います。