○村山
参考人 ただいま御紹介をいただきました全国
信用保証協会連合会の村山でございます。
私からは、保証協会の業務の現状と私どもの取り組みなどにつきまして発言をさせていただきます。
私ども保証協会を御利用いただいているお客様でございますけれども、全国の
中小企業の約四割、百三十一万者の
中小企業・小
規模事業者の皆様に御利用いただいておりまして、中でも、従業員五人以下の小
規模事業者の方々が全体の約八割を占める
状況となってございます。
私どもの活動の実績でございますけれども、まず、平成二十八年度の保証実績全般についてでございますけれども、保証承諾件数で六十六万三千件、
金額で八兆五千億円、その結果、保証債務残高は二十三兆九千億円となってございます。
この残高は、近年のピークでございました、リーマン・ショックの後の景況悪化時に記録いたしましたピークの三十五兆九千億円に比べますと、十二兆円の減少となってございます。
これは、
信用保証の特徴的な機能といたしまして、
経済の
状況変化に応じまして
信用保証
制度が補完的機能を果たしているという機能のあらわれであると思っておりまして、
経済危機の際は保証利用が大きく伸びましたけれども、足元では、銀行の貸し出し総体が伸びる一方で、保証の実績は減少傾向となっているということだというふうに認識をいたしております。
二つ目は、災害関係の保証実績でございます。
震災あるいは台風、そういった近年多発しております自然災害によって
経営に影響を受ける
中小企業の皆様に対して、
信用保証を通じて、
事業の復旧そして復興、これを支援することも保証協会の大きな、大事な使命であると
考えてございます。
東日本大震災復興緊急保証の実績は、平成二十九年三月末までの累計で約十三万一千件、
金額で約二兆六千六百五十億円でございます。
それから、昨年発生をいたしました熊本地震そして鳥取における地震関連の保証承諾実績は、合わせて累計で約九千六百五十件、
金額では千三百六十億円となってございます。
私ども保証協会といたしましては、地域
中小企業の皆様に寄り添いながら速やかな
対応に努めているところでございますけれども、例えば熊本では、震災の翌日には地域
中小企業の皆様のための特別相談窓口を速やかに設置いたしまして、熊本の協会職員の中には自宅が被災した者も多かったわけでございますけれども、避難所からそこに出勤するというような者も多数いたというふうに
報告を受けております。
危機時こそ保証協会の存在意義が問われる場面であり、現場では、身を粉にして職員が
対応したというふうに承知しております。
また、震災後の混乱で、相談窓口が設けられてもそこへ赴くことがなかなか困難だという
事業者の方々のために、協会職員みずから現地に赴きまして親身な相談に乗るなど、
事業再建に向け、現在もこうした活動を継続しているところでございます。
三つ目は、個別
事業者に対する
金融調整支援への取り組みでございます。
全国各地の保証協会では、業況悪化局面にある
中小企業者が円滑な
金融調整を行うための支援を行っておりまして、各地の保証協会が、公的機関としての私どもの立場を生かして事務局的役割を担いまして、
中小企業と取引
金融機関に呼びかけを行って、
意見調整を行う場としての
経営サポート
会議を開催をいたしております。
そうした中、平成二十四年度以降、全国で延べ約二万二千件の
会議を開催いたしまして、その結果、約一万四千四百の
事業者の皆様について
金融機関との
金融調整の合意を得るなど、地域の
中小企業・小
規模事業者の早期の
事業再生や
経営改善を図るべく、
金融と
経営支援の一体的な取り組みを推進しているところでございます。
四つ目は、
経営支援と
金融支援を組み合わせた保証
制度の実績についてでございます。
日ごろより、
金融機関との連携を生かした保証
制度の取り組みとして、
経営支援を組み込んだ形での保証
制度の運用を行っております。
具体的には、
中小企業者の
事業計画の策定支援あるいは継続的な
経営支援を行いまして、
中小企業者の
経営力強化を図ることを
目的とした
制度でございます
経営改善サポート保証などを活用いたしましてきめ細やかな
資金繰り支援に取り組んでおりまして、二十九年三月末時点の累計で、約一万九千八百件、約四千八百四十億円の実績を記録してございます。
五つ目は、個別
事業者のニーズに応じた
経営支援の取り組みでございます。
保証協会は、通常の
金融支援に加えまして、
事業改善の意欲がある
中小企業・小
規模事業者への
経営支援策といたしまして、
企業訪問活動を通じた
経営相談、そして、相談内容によっては、専門家派遣を実施するなどの支援策を実施しているところでございます。
中小企業の中には、
経営改善の必要はよく認識しているんだけれども、日常業務に追われてなかなかそこに手がつけられないという方も少なくないわけでございまして、また、明確なメーンバンクが存在しないような場合もございますので、そうした場合、保証協会が
企業を訪問し、専門家派遣につなげていくということで、それが有効な手段になっていくのではないかというふうに
考えてございます。
保証協会の限られた人員で何ができるのかというような御疑問を抱かれる方もあろうかと存じますけれども、この間、延べ約三万三千件の
企業訪問を行いまして、約九千件の専門家派遣を実施いたしまして、多くの
中小企業の実効的な
経営改善計画の策定を実現してきてございます。
この
事業に当たりましては、政策的な後押しとして、国の予算で
経営支援強化促進補助金を設けていただいておりますけれども、私どもとしてはこれを活用して本
制度の運営を行っておりまして、おかげさまをもちまして、地域の
中小企業・小
規模事業者の皆様方からも大変御好評をいただいているところでございます。
以上、保証協会の業務の現状につきまして、取り組み
状況、実績等々を
報告させていただいたわけでございますけれども、このように、
金融支援に加えまして
経営支援も行ってきておりますけれども、その際、代位弁済を可能な限り回避するという点も大切な点だというふうに
考えてございます。これは、
信用保証協会みずからの運営もそうですけれども、さらには、国民負担の
観点からも重要であるというふうに
考えてございます。
次に、以下では、今回の
信用保証協会法等の
改正案に関連いたしまして、私どもが今後力を入れて取り組んでいこう、あるいはいくべきだというような課題につきまして、幾つか、
改正に伴う期待等も含めて発言をさせていただきたいと存じます。
まず
一つは、創業関連保証への取り組みについてでございます。
今回の
改正案におきましては、創業関連保証の限度額を一千万円から二千万円、引き上げることが盛り込まれてございます。
例えば創業者の中には、比較的大きな
設備投資を伴うケースがございますけれども、これまでは、一千万円という限度があることから御利用を見送られてきたこともありますけれども、今後は、こうしたニーズにも応えることが可能となります。
また、創業後五年目までは、いわゆる死の谷とも表現されているように、なかなか業況が不安定な時期にございますけれども、スタートアップのときの
資金だけではなくて、こういう、徐々に成長、発展を遂げようという時期における
資金需要に対しても今後応えていくことができるのではないか、そして、
事業拡大のチャンスにもつながっていくのではないかというふうに期待をしているところでございます。
二つ目は、特別小口保険の拡充に伴う取り組みについてでございます。
今回の
改正案には特別小口保険の限度額拡大を盛り込んでいただいておりますけれども、小
規模事業者の皆様は、地域社会に根づいて地域を支えていらっしゃる方がたくさんいらっしゃいます。他方で、小
規模事業者の特性といたしまして、自己
資金や、あるいは担保力という面で乏しい
事業者の方が多いのもまた事実でございます。
こうした
事業者の皆様の
資金ニーズにお応えすることは
事業の安心感につながるものだろうと
考えてございまして、小
規模事業者の皆様は地域にとってもとても大切な存在でございまして、こうした皆様を支えることが保証協会の本分であるとも
考えてございますので、引き続きこの面でしっかりと支えていきたい、かように
考えてございます。
三つ目は、
信用保証協会法の一部
改正に伴う業務の追加についてでございます。
保証協会の業務は、従来、保証あるいは回収という面が中心でございましたけれども、先ほど、私どもの活動実績の
報告の中でも申し上げましたとおり、
経営支援に係る取り組みにつきましても、現在、全国の保証協会、一生懸命力を入れて取り組んでおります。
こうした中、今回、法
改正の中で
経営支援を協会業務の
一つとして正式に位置づけていただけるというふうに伺っておりますけれども、これまで
経営支援に取り組んできたものについての一定の評価をいただけたのかなと、私どもといたしましては励みと感じておりますと同時に、今後さらに
経営支援に積極的に取り組もうとしております私ども保証協会にとって力強い後押しになるものと
考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
もう
一つの
改正点として、
金融機関と連携を図ることとされております。
保証協会の日々の業務におきまして、
金融機関と信頼関係を構築し、情報を共有しながらリスク分担あるいは
経営支援を行っていくことは、
中小企業支援にとって極めて重要でございます。保証に当たりましてはプロパー
融資とのリスク分担を図るという
考え方は、保証協会の現場で育まれてきた知恵でもございます。これを今回政策として取り上げていただいたことを踏まえまして、今後、全国的に一層この点を進めてまいりたいというふうに決意をいたしているところでございます。
経営支援の取り組みは、
中小企業・小
規模事業者を支える上で必要な取り組みでありますけれども、同時に私ども保証協会にとっても、事例をそうやって積み重ねていくことで協会職員のスキルアップにもつながりますし、また、ひいては審査の迅速化にとっても、さらには、再生などの困難な
案件に対してさらに一歩踏み込んだ
対応を進めていく上でも、大きな役割を果たすものと
考えてございます。
また、今回の法
改正を踏まえまして、関連した各種施策に対しましても積極的に取り組んでまいるとともに、再チャレンジを行いやすくする環境整備などにつきましても注力をしてまいる所存でございます。
中小企業政策審議会
金融ワーキンググループの取りまとめにおいても言及いただいておりますとおり、近年では、求償権を消滅させるような保証の実施であるとか、あるいは、
経営者保証ガイドラインを活用した保証債務の免除等も
対応されているわけでございますけれども、今後とも、再チャレンジ目線に立って、好事例の共有等を図りながら、よりきめの細やかな
対応に努めてまいる所存でございます。
以上るる申し上げてまいりました取り組みを進めていくに当たりましては、地域ごとでの景況感の違い、あるいは地方ごとの地理的事情という物理的な問題もございまして、おのおの置かれている
状況、異なるわけでございますが、それぞれ地域の中で、さまざまな工夫を凝らしながら支援関係者の皆様ともさらに連携を深めまして、しっかりと取り組んでまいることが重要であると認識しております。
と同時に、各地域での優良な取り組みの経験を全国で共有いたしまして全体的な取り組み水準を引き上げていくことが、地域
中小企業を現場で支えていく上では重要でございますので、こうした取り組みにつきましては、各地の保証協会を会員とする私ども連合会が負うべき部分が非常に多いというふうに自覚をいたしておりますので、しっかりと、優良事例の横展開あるいは研修等々を通じまして保証協会の取り組み水準の向上に向けて努力してまいりたい、こう決意しているところでございます。
結びでございますが、保証協会といたしましては、今後とも、地域に根差して地域
中小企業の発展を促し、生産性の向上あるいは地方創生に寄与するべく最大限努力してまいる所存でございますので、先生方におかれましては、何とぞ私どもの取り組みに対しまして、一層の御支援、御指導、そして御鞭撻を引き続き賜りますようお願い申し上げまして、私からの発言とさせていただきます。
どうぞ、よろしくお願いを申し上げます。(拍手)