○篠原(孝)
委員 そうです。
大臣、ぜひそうしていただきたい。
僕はやっちゃいけないと言っているんじゃないんです。まずはあいているところを有効活用しなかったら、これは
地方に行ってみたら本当に目立つんですよ。遊休農地は草が生えていたりするから、何だというふうになる。ところが、空き地のは、使っているんだか使っていないんだかわからないみたいな感じになっていたりして、ほったらかしになっているわけですよ。さっき言いました、十ヘクタール以上の小麦畑に使っているのも、どういうふうになっているのかというような感じになっているわけですから、ここをちゃんとやらないと私はうまくいかないんじゃないかと思います。
それで、このA3の紙をよく見ていただきたいと思います。こういうのを繰り返してはならない。効率的にやって、ちゃんと実のあるものにしていっていただきたいと思います。そうじゃないと
地方はますますおかしくなっていってしまう。それはどうしてかというと、もう行け行けどんどんの考え方は私は改めていただきたいと思っているんです。
どういうのかというと、もう縮小していく、
人口が減っていく。
人口が減っていったら何か世の中が真っ暗みたいに思う人がいるかもしれませんけれども、それはいいんです。少数精鋭で、残っている人たちがちゃんと暮らしていければいいんであって。
皆さん、そんなことかというふうに思われていると思いますけれども、私は、おととし、一度ここの会合で触れたですかね、
京都大学の教授の皆さんがお勉強会を開いておられてというのを、そこに来てくれと言われて行ったんです。その会の名前が縮小社会研究会。
三十五年前に私は、「農的小
日本主義の勧め」という本を書いたんです。高度経済
成長時代の真っただ中、もうこんなことが続くはずがないから、今余裕のある間に、これがだめになったときのことを考えて、もっとなだらかな
成長のスタイルにいろいろな仕組みを変えていかなくちゃいけないと書いたんですが、その京大の博士の教授たちの皆さんは二〇〇八年にその会をつくり上げたそうですけれども、そうしたら、何か変なことを、もっと大昔にそういうことを言っている変なのがいて、今、
国会議員になっているぞ。ここから後、ちょっと態度がでかいんですけれども、話を聞いてやるから来い。人に話を聞くときに、聞いてやるから来いというのはないんですけれども、行ってまいりました。
そこでのっけからどういうことを言われたかです。彼らの
基本認識が、一九〇〇年に
人口が四千万だったのが百年かけて三倍の一億二千万人になった。それが百年かけて四千万人になっていく。これは社会保障・
人口問題研究所もやっています。だから、もうその減っていくということを前提に、いろいろな制度、社会、経済、社会保障制度もそうですけれども、そうやって組み立てていくというべきなのに、相変わらず、五百兆円のGDPを六百兆円にするとか、できるんだったらいいです、それは無理なのではないか、もっと違う方法でやっていかなくちゃいけないということを言われたんですけれども、私はこれはもっともだなと思っております。
せっかく用意したので、また済みません、四ページの表をちょっと見ていただきたいんです。従来型の、そしてその延長線上にあるということで、ちょっと変わった表なんですけれども、ぜひ見ていただきたいと思います。
皆さん、
日本がこれだけ高度経済
成長を遂げたのは、ジャパン・インクというのがありましたね、ジャパン・アズ・ナンバーワンというので、
日本が株式会社的で一丸となってやってきた。何を言っているのかなと。世界で誤解があるんですけれども、
日本の農業を過保護だというのは、
日本で言っているだけで、あるいは貿易交渉のときちょっと言われるだけで、EUやほかのところの農政担当者からすると、全然そんなことはないんです。農業にお金なんかつぎ込んでいないんです。
直接所得補償、ダイレクト・インカム・サポートというので手厚くヨーロッパなんかは面倒を見ている。だから、ヨーロッパの農村地帯に
過疎地域なんてないですよ。そこで暮らしていけるように、百万、二百万、三百万の
単位で所得補償をしている。だからゆったりと暮らしていけるんです。
それに対して、土地に関していかに
日本は
企業をバックアップしてきたかというのを、これをちょっと見ていただきたいんです。今度また
企業にやりやすいように農地の転用の便宜を図るというようになっているんです。僕はこれは許しがたいことなんです。どうして許せないかというのを、これを見ていただきたいんです。
日本と欧米先進諸国で農地と林地と海岸。農地は
企業が所有できない。だけれども、アメリカやヨーロッパとか、ヨーロッパですね、アメリカはちょっと変わった国なので、余り考えるとよくないんですけれども。所有できるんです。しかし、所有できるんですけれども、農地ですね、だから、所有して、買ってなんかやっている人はいません。
企業経営というのもそんなにないんです。ファミリーファーミングなんです、ほとんど。
日本の場合は、いろいろ突っかかっています。農地
法改正しろとか、またやっていますけれども、所有できません。買ってやったりしたら、三百年かかったって回収できないですよ。だから、土地転がしのためにしか考えていないというのは、すぐこういうところから出てくるわけです。
林地は誰でも買えます。外から中国資本が買っているというのは問題があります。
次、ここです。ここをよく聞いていただきたいんです。海岸はどうだったかです。ちょっと考えていただきたい。白浜はいいところです。プライベートな所有はないんです。
日本は、海岸の所有は個人の所有と認めないんです。総有林、みんなのものなんです。ところが、ヨーロッパや何かは所有可能なんです。ここからここは自分の土地で、入っちゃいけない。
それで、ちょっと皆さんにわかっていただくために、ビル・ゲイツはレイク・ワシントンの湖岸に物すごい豪華な土地を持っています。すぐモーターボートが行ける。そこはビル・ゲイツの所有の湖岸になっているんです。そういうことが許されるんです。
日本は、琵琶湖の湖岸も海岸も所有できないんですけれども、圧倒的な権限で所有できたのが輸出系
企業なんです。おわかりになりますか。埋め立ての権限も知事、漁業権の認可も知事、どうにでもできる。ですから、
東京湾、伊勢湾、
大阪湾のほとんどの海岸端は全部輸出
企業の手に渡っているんです。こういうことを公然と認め、公然とバックアップしてきた国は
日本しかないんです。気がついていないんです。
さすが
大阪の権利意識の強い人たちはわかって、入浜権運動というのは、
大串政務官の地元の兵庫県から起きたんですよ。浜を返せと。今まで魚釣りは自由にできたのに、埋め立てて、入ってきちゃいけない、何とかかんとか株式会社の土地だと。これは欧米だったら絶対に許されないことですが、我が従順な
日本国民は、
日本の発展のためだというのでそういうふうにしたんです。
これ
一つを見ても、いかに優遇してきたか。それは簡単です。外国から鉱物資源を輸入して、それを加工して輸出していくわけですから。さっきちょっと長野県のをやりましたけれども、あれはみんな軽薄短小の電子機器です。重厚長大型の工業なんて長野県にできるはずがないんです。海岸端なんて一番有利なんです。国内の輸送コストはゼロです。物すごい有利だったんです。だからこれはできたんです。
そういうのをわかっておられない方がいる。これはおかしいんだと、外国はこれを
指摘しているんです。
これは僕が気がついたんじゃないんです。僕が留学していたときに、コースタルゾーン・マネジメントという項目があったんです。沿岸海域管理というのは今は
日本にもできているんです、沿岸をどうするんだ。
日本ほど海岸をめちゃくちゃにしてきた先進国はない。私が授業に出て、教授の
質問にぜひ答えてくれ、だから出てくれと言っては、兵庫県の話からこういうのをみんな聞いて
単位をもらいましたけれども。
出席するだけで
単位をくれると言ったんです。そのときに教えられたんです。
どういうふうに言ったか。そのときの天皇陛下は海洋生物学者、葉山の御用邸を持っているというのを知っているんです。だけれども、その前が天皇陛下専用の海岸になっていない。それを、輸出系
企業専用の海岸、みんな渡していった。これだけやったりした、だからそうやって
日本株式会社と言われるんだというふうに言われたんです。こんなことをしてきている。
それで、僕が言いたいことは何かというと、これだけやってきているんです。だから、やはり第二次
産業が強者なんです。強者はちゃんと抑えて行動していただきたい。だから、僕らはいいですよ、この
地域未来投資促進法をやってください。しかし、農地を、俺たちが金もうけさせてやるので、
雇用を
拡大するんだから、何だっていいから、簡単に言うとこっちに渡せ、つべこべ言うじゃないぞ、こういう項目なんです。僕はこれは許しがたいと思うんです。
ほかは、あいているところを、空き家対策は議員立法でもできている。だから、この
法律案、ちゃんと条文で明確に、あいている工場用地を優先して書くべきだということを書いていいのに、嫌だと言うんです。それはよくないと思います。いやいや、ちゃんと書きます、
基本計画、
基本方針、
経済産業大臣がつくる
基本方針に書きますと資料の中に書いてあるんです。その資料の中に書いてある、我々のところで説明した資料のところに書いてある、遊休のあいているところを最優先するということを
法律上明記すべきだ。ほかのところは、あいているところを有効活用するためだけに
法律をつくってやっているんです。そしたら、さんざん虫食い状態にしてきた。
これは経産省だけの責任ではありませんけれども、これは覚えておられますか。吉川
理事なんか覚えておられると思う。苫小牧東港の
開発というのがあったわけです。一万ヘクタール。全然来ない。それで半分にして五千五百ヘクタールにしましたけれども、それだって石油の備蓄基地と北海道電力、わずかです。
むつ小川原もそうだったんです。あれも五千ヘクタール。利用されていない。そして、しようがないからなんて言っちゃ悪いんですけれども、六ケ所村、核燃料サイクルの基地になっている。
私から見ると死屍累々ですよ。そうやって迷惑をかけてきている。これを繰り返してはならない。
それで、また一枚目の「一極集中・都市と
地方の格差の推移」というのをちょっと見ていただきたいんですが、このところで、農地がどのように扱われてきたか。ちゃんと有効に守ってきたとは言えないと思いますよ。
日本の農地面積、五十五年前と比べて七四%になった。フランス、イギリスと比べました。それぞれ減っています。
しかし、減り方はずっと
日本の方が激しいし、もともとが広さが違って、フランスは
日本よりも六倍から七倍の農地面積です。イギリスは四倍。それでも一生懸命優良農地を確保しようとしている。下の、和歌山、長野、長野は五八%になっている。神奈川県なんて、都市近郊がどうだったかというのを入れたんですが、三分の一になってしまっている。こういう状態なんです。こういうことを平気でしている先進国はないんです。
これに拍車をかけるような
法律や制度は慎んでいただきたいというのが私の願いなんです。だからこれをしつこく言っているんです。
大臣も、遊休の工場用地を把握してやっていただくというのは、これは僕は当然のことだと思う。ぜひそうしていただきたいと思う。これをやるときにどういうことを言うかというと、例えば高速道路ができた、ここにインターができた。前の工場団地なんて、遠く離れて三キロ先だ。あんなところには行かない。このインターのすぐ近くだったら行ってやる。ここだ、ここをよこせと言ってやるはずなんです。それを、どうしても来てほしい、もう過疎で困っていますから、少しでも仕事をと。それに従ってしまう。僕は、それを国がとめなくちゃいけないと思う。とめていただきたいんです。
法律の条文にきちっと書いていただきたい。
そんなのは簡単です、あいているところを優先してやるというだけで、絶対あいているところじゃなくちゃいけないとまでしろとは言っていません。だけれども、それが嫌だと言うんです。その嫌だと言う根性というか精神が私はわからないんです。
ということで、どうでしょうか。