○浜地
委員 ありがとうございます。
五月二日に行かれたときには、TOC
条約にしっかり
日本が入ってほしいという、そういった
会談の内容であったと思っていますが、改めて、衆議院で国内担保法、いわゆるテロ等準備罪が通過をしたことを受けての五月二十九日のフェドートフ事務局長の声明であります。
その中で、国内担保法が衆議院を通過したことを大変評価されているわけでございまして、まさに
国際社会においてはテロ等準備罪というものがTOC
条約締結には必要であり、また、よく言われておりますとおり、
国連の特別報告者と言われる方々が懸念を示されておりますけれども、そういったことというのは一切触れられずに評価をしているということは私は大事なことだろうと思っております。
私も、
岸田外務大臣にお仕えをした一昨年、政務官の
時代に、ジュネーブでの
国連人権
理事会等にも
出席をさせていただきました。ここにおきましても、
国連特別報告者と言われる方とも会話をしたことはございますが、その雰囲気というものは私自身は感じております。それ以上は当然申し上げませんけれども。やはり一番大事なのは、グテーレス事務総長も、
安倍総理との間で、
国連報告者のそういった報告というものは、これは、
国連の総意ではないんだ、あくまでも個人の資格で
行動しているものだというところが非常に私は大事だろうと思っております。
何といっても、TOC
条約を採択しました二〇〇〇年の
国連の総会におきまして、テロ対策であるということを明確に述べているわけでございます。
国連総会というのはコンセンサスで決まるわけでございますので、まさにこれが
国連の総意であろうというふうに思っています。
加えまして、ただいま
岸田外務大臣より御
紹介いただきましたフェドートフUNODCの事務局長自身が国内担保法の衆議院通過を評価しているということを、まず
冒頭、御
紹介させていただきました。
続きまして、テーマをかえます。テーマとしましては、
日本企業の海外進出の支援というテーマで、さまざま御
質問をしていきたいと思っています。
先日、五月の十八日の日経新聞に、
日本としては、今度の骨太の方針で、
政府としましては国際商事仲裁を専門に扱う施設の設置に向けて官民を挙げて乗り出すというふうに記事にございました。
我々公明党としても、やはり、企業が海外に進出する中で、進出した後の紛争であるとか、また安心して進出できるためには、国際仲裁機能というものを
強化しなければいけないということで、公明党の成長戦略の提案の中にもこれをまとめております。先日、菅官房長官の方に手交をさせていただいたところでございます。
きょう、資料一の一というふうにありますけれども、では、なぜこの国際仲裁というものが、裁判ではなくて、メリットがあるのかといったものの資料でございます。主に、二国間、また多国間の取引におきまして、こういった国際取引におきましては、合意管轄という、いわゆる裁判をどこでやるかという裁判を前提にした合意ではなくて、やはり当事者が、合意によって、裁判ではない制度によって、つまり仲裁というものを一般的に使われているというのが国際取引の今常識となっております。
私の持っている資料の括弧書きのところでございますが、では、なぜ仲裁が選ばれるのかといいますと、まず非公開の手続である、裁判は公開が原則でございます、ですので、やはり、その中での、さまざまな契約の内容であるとか、また企業の機密というものが漏れないというところがございます。
それと、執行
可能性、これはニューヨーク
条約に現在百五十六カ国が加盟をしておりますので、この国際仲裁で出た判断については執行力がある、まさに国際通用力があるということが一つの大きな点でございます。裁判の判決でございますと、国によっては、外国にはこの裁判の効力が及ばないというような国のたてつけもございます。
それと、このポツの下から二番目ですが、当事者、いわゆる仲裁を行う人間が専門家を任意に選定できるというところでございます。裁判になりますと、裁判長は選ぶことはできません。しかし、仲裁となりますと、仲裁人を選ぶことができますので、紛争の具体的な内容に応じた専門的な人間を選べるというところが非常に大きなメリットになっております。
しかし、その後、現状はということでございますけれども、
日本にも実際、国際仲裁機関はあるんですけれども、これは最近十年間、平均して十一件から二十七件しか
日本ではこの国際仲裁が行われていないという現状がございます。
右に行きまして、その問題点というところで、先ほど御
紹介した施設というところでございますけれども、やはり施設、ハードの部分が大変不十分であるというふうに
指摘をされております。
今現在、この
日本の仲裁機能をやっております一般社団法人
日本商事仲裁協会というところは、大体百十坪ぐらいの
会議室を借りて今運営をされているそうでございます。我々の
国会の事務所が大体三十坪ぐらいでございますので、我々の部屋三つ分ぐらいでさまざまな国際仲裁の
案件を処理しているということでございます。
ですので、部屋が当然足りませんので、大きな国際商事仲裁
案件になりますと、ホテルを借りて、そこで行っている
状況だそうでございます。しかし、ホテルでは当然、英語で行われる場合の通訳ブースもございませんし、何しろ盗聴や機密性を確保するための建物のそういったシールドがかかっていないということでございますので、やはり外国から来る方々が
日本でこの仲裁を選ぶということにはちゅうちょをするというハード面の困難さがございます。
それと、ソフトの面につきましては、やはりこの国際仲裁の専門家、実務家が、実際に弁護士会も含めて育っていないというのが
状況でございます。特に、我々は母国語が
日本語でございますので、外国語を不得手にする、そういった代理人も多いということでございます。
そして、こういった二つのハードの不足、またソフトの不足が相まって、周知不足、知名度不足、ブランド力がないということで、
日本ではこういった国際仲裁がなかなか行われていないということでございます。
次のページは、
日本を紛争解決地とするメリットを書いたわけでございますけれども、やはり私、思いますのは、一番は
日本の仲裁法が適用できるということでございます、上から二つ目のポツなんですけれども。
やはり、ヨーロッパ、またシンガポールもそうなんですけれども、
大臣も御案内のとおり、あちらは英米法の国で、習慣法の国でございます。しかし、
日本のような、またアジアの諸国というのは、大陸法系の成文法の国でございまして、これはどういうことかといいますと、やはり訴訟手続の違いとか、または証拠のそういった開示の仕方でありますとか、事実認定の仕方というものが実は微妙に違ってくるという制度があります。ですので、やはり
日本に持ってきて、
日本人の法解釈の感覚に合った仲裁をしてもらうというのは非常に大事でございます。
特に、
日本は今、ASEAN諸国に対して法の能力支援をやっております。ベトナムやカンボジアでは民法の改正のお手伝いもしたり、さまざま、
日本法的な、大陸法的な考えをASEANで今能力構築しているわけでございますので、
日本の企業が海外、特にASEAN諸国に出たときに、紛争を英米法的に解決するのではなくて、やはり
日本法的といいますか、大陸法的に解決させるためにも、この仲裁の場所を
日本に持ってくるということは大変大きいであろうと思っております。
それと、一番下の、オリンピック・パラリンピックに関連するスポーツ紛争の解決需要が
日本でも起こってまいります。御案内のとおり、二〇二〇年、東京でオリンピック・パラリンピックが開かれますけれども、このときによくあるドーピングの判断についても仲裁が使われます。
ドーピングというと、大会が終わった後に、何か大物の選手ですと後で失格とかなるんですが、実はかなり頻繁に行われておりまして、大会中に例えばドーピング検査をする、その人が実際に仲裁等々申し立てて、すぐに判断を出して、東京オリンピックの大会中にちゃんと競技に出られるというのが大事だろうと思っています。
これが、仲裁機能が非常に脆弱だということで、
日本でやったら、本当は海外でやればすぐに仲裁判断で自分は出場できたのに、
日本のこういった仲裁機能が非常に不十分なので、結果的に時間がかかってオリンピックに出られなかったといったようなことになれば、まさにこれは
日本の恥だろうというふうに私は思っております。
ちょっと
質問が長くなっておりますけれども、逆にシンガポールは国策で、一の三の資料なんですが、マックスウェルチェンバースという大きな施設を官民主導、特に
政府主導で官民連携してつくっております。非常に立派な建物でございまして、一の四になりますと、見取り図がございますが、十の法廷と十二の準備室、通訳ブース、翻訳サービスも行います。そして、当然、機密性の確保ということで、盗聴でありますとかそういった書類の管理というのが厳格に行われている施設がございます。一の五は、その結果を受けての
日本での仲裁の受理件数でございますが、一番下が
日本、二〇一五年の資料でございますけれども、二十一件、しかしシンガポールは、その十倍以上の二百二十八件を計上しているということでございます。
長々とお話をさせていただきましたが、そこで
質問でございます。
私は、骨太の方針に恐らくこの国際商事仲裁を専門に扱う施設が盛り込まれるだろうと思っています。そのときに、法務省、そして経産省、
外務省において、それぞれ現在の問題点と、こういったものが骨太方針に盛り込まれた場合にどういった
取り組みをすべきか、それをそれぞれお聞かせいただきたいと思います。まずは法務省にお聞きをいたします。