○佐々木(紀)
委員 自由民主党の佐々木紀です。
私の方からは、サウジアラビアとの関係について少し御
質問を進めていきたいというふうに思います。
先月十二日から十五日まで、サウジアラビアのサルマン国王がサウジ国王としては四十六年ぶりに来日をされました。報道によりますと、約千五百人の大訪問団で、飛行機も約二十機に分乗して来日をされたということでございます。八十一歳の国王の年齢を考慮して、エスカレーター式のタラップとか、あるいはサウジで使用している医療器具一式を航空機に搭載して訪問してきたということでございまして、大変超豪華な、大名旅行のような感じでございました。都内の高級ホテルも約千二百室確保して、移動用の高級ハイヤーも約五百台以上準備されたということで、飲食や買い物などへの消費への期待から、サウジ特需という言葉まで生まれました。
これだけサウジアラビアが
日本において好意的に報道されて注目されたということは、大変ありがたいことだなというふうに思います。これを
機会に多くの
日本国民がサウジアラビアを含む中東に関心を持って、理解が進んでいくことを期待したいというふうに思います。
私は、二〇一四年、二〇一五年と、二年連続でサウジアラビアを訪問させていただきました。昨年も計画をしていたのでありますけれども、国会が延長したということでありまして、ちょっと行けなかったわけでありますけれども、夏の閉会中に行ってこようかなと思ってはいたんですが、真夏は気温が五十度以上とか、あるいはラマダンがあるとか、渡航の制約も大変多いわけで、なかなか日程が決めにくいといった事情もございます。
そもそも私がサウジアラビアを訪問しようと思ったきっかけは、三月十七日にお亡くなりになられました愛媛三区の白石徹代議士のおかげなんです。
白石先生は、二〇一四年当時、サウジアラビアの駐日大使であったトルキスターニ氏と大学の学友という関係で、サウジアラビアに関心を持って、
日本とサウジとのウイン・ウインな関係構築が必要だとお考えになられて、当時サウジアラビアが求めておりました中小企業同士のマッチング事業というものを発案されたんです。まさにこのたびの政府間
協定の先駆けとなった
取り組みでした。
二〇一四年九月五日から十三日にかけて、
日本の中小企業二十三社の経営者と、あと経産省、中企庁、
外務省の
職員も同行して、サウジアラビアSMEビジネスマッチングセミナーというものを実施しました。
日本人女性経営者に初めてビザを発給するなど、商談会の
開催のハードルはとても高かったことを覚えております。ただ、商談が成立したケースはほとんどなかったわけでございますけれども、この中小企業のマッチング事業というものを行った実績というのは、両国にとって大変大きな収穫であったというふうに思います。
このたび、サウジアラビアとの間で協力文書、日・サウジ・ビジョン二〇三〇を
締結したわけでございますけれども、この草分け的な事業を行った白石先生の功績は大変大きかったというふうに思っております。
先生が御存命ならば、先生の築かれた人脈や知見が今後の
日本とサウジの関係に大変大きく生かせたのではないかなと悔やまれるわけでございますけれども、心から先生の御冥福をお祈りするとともに、志半ばで世を去られた先生の思いが成就して、
日本とサウジアラビアのウイン・ウインな関係が構築されますよう、私もしっかり取り組んでまいりたいというふうに思います。
さて、サウジアラビアは大変親日的な国だというふうに思います。アラブの王室は
日本の皇室に強い尊敬の念を抱いているというふうに聞いております。サウジ国民も、
日本の文化や製品、技術に対して大変リスペクトしております。
例えば自動車ですね。砂漠の高温下で粉じんの中、エアコンをがんがんきかせてぶっ飛ばしても、エンストすることなく長距離を移動できるということで、
日本車は大変人気があります。また、民族衣装、男性は白色のトーブというものを着ますし、女性は黒色のアバヤというものを着ますけれども、これも高級品は
日本製なんですね。汚れにくくて涼しいとか、あるいは、ちらっと風ではだけますと、裏生地がきれいな派手なプリントが施されているとか、大変機能的な生地を
日本はつくっておりまして、こういったものも大変人気がございます。
ほかにも、食品や日用雑貨、化粧品、あるいは
日本のアニメですね、こういったことも人気がございますので、
日本への憧れが大変強い国の一つであります。
ただ、
日本から大変遠いということもあって、また何となく怖いイメージというか、ありまして、疎遠になりがちでありますけれども、つき合いやすい国の一つだ、民族の一つだというふうに思っています。
もちろん、
日本はサウジアラビアに輸入原油の三割を依存している、
エネルギー戦略上にとって最も大事な国であります。人口減少に悩む
日本にとっては、中東という大きな市場という意味でも重要だと思います。
ただ、そのサウジアラビア、近年大変困っておりまして、収入の大半を占める原油安によって財政悪化に苦しんでいる、今こそ原油収入に頼らない経済を目指さなければいけない。そういったことで、サウジ国内では、ビジョン二〇三〇というものを発表して、石油依存からの脱却をうたって今改革に取り組んでいるというところでもございます。新産業を興して石油に頼らない国づくりを目指す、長期戦略のことですけれども、国外企業の進出を通して技術移転を進め、多様な産業を振興するという構想です。
しかし、外国企業の進出は低迷をしております。独特の規制や文化が外資の参入を阻んでいる。イスラム教の二大聖地を抱えておりまして、メッカとメジーナですけれども、厳格なイスラム教の国ということで、イスラム教の戒律が国の法律だということもあって、それ用にさまざまな環境を整えていかなければいけないという制約がございます。
また、ビザの発給に時間がかかるとか、サウジ人を一定割合雇わなきゃいけないという義務、サウダイゼーションがあるとか、大変ビジネス環境は未整備な面が多くて、事業化へのハードルは大変高いわけであります。これまでも幾度と改革をしようと取り組まれておるんですけれども、なかなか国内産業が育たない。
しかし、このたびのビジョン二〇三〇は、改革の本気度が感じられます。定量化できるものについては具体的な数値目標を掲げていたりとか、あるいはただ同然のガソリンや電気、水道の料金を値上げするとか、あるいは消費税や
所得税、こういったものを導入するとか、国民の不人気政策も盛り込まれているということで、サウジアラビアの本気度がうかがえるわけであります。
サウジアラビアがピンチのときに
日本はしっかりと応えていかなければいけない。そういう意味では、原油輸入の三割をサウジに依存する
日本が真っ先にこのたび協力表明したということは大変評価ができるというふうに思います。
これまでは、対産油国外交というのは原油の確保ばかりが念頭に置かれておったわけでありますけれども、石油中心だった両国の関係が新たな段階に移る契機となるかが注目されているわけであります。日サ関係も、脱石油依存を目指すときが来たと言っても過言ではないかなというふうに思っております。
そこで、今回のサルマン国王の来日に際して、幾つか御
質問をしたいというふうに思います。
脱石油依存戦略であるビジョン二〇三〇、これはサウジで発表されたものですけれども、これに対して
日本が協力できる分野を盛り込んで、日・サウジ・ビジョン二〇三〇というものをこのたび
締結しました。報道によりますと、両国政府は、四十三の事業で合意し、サウジでの
再生可能エネルギーの普及や製造業育成の支援など、三十一事業について、先行プロジェクトとして重点的に官民挙げて取り組むというふうにありました。その内容について教えていただきたいというふうに思います。