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2017-06-06 第193回国会 衆議院 科学技術・イノベーション推進特別委員会 第5号
公式Web版
会議録情報
0
平成二十九年六月六日(火曜日) 午前十時
開議
出席委員
委員長
松野
頼久
君
理事
土屋 品子君
理事
松島みどり
君
理事
村井 英樹君
理事
簗 和生君
理事
山本ともひろ君
理事
鈴木 義弘君
理事
高井 崇志君
理事
伊佐 進一君
青山
周平
君 尾身 朝子君 大岡 敏孝君 大隈 和英君 神谷 昇君 神田 憲次君
黄川田仁志
君
小松
裕君 古賀 篤君
佐々木
紀君 田所 嘉徳君
田畑
裕明
君
豊田真由子
君 中山
展宏
君 馳 浩君 福山 守君 古田 圭一君
宮路
拓馬
君 八木 哲也君
北神
圭朗
君
坂本祐之輔君
篠原 豪君 津村 啓介君 伊藤 渉君 輿水 恵一君 島津 幸広君 真島 省三君 伊東 信久君 …………………………………
参考人
(
国際核融合エネルギー研究開発機構
(
ITER
)
名誉機構長
) (
未来エネルギー研究協会会長
)
本島
修君
衆議院調査局科学技術
・
イノベーション推進特別調査室長
行平 克也君
—————————————
委員
の異動 六月六日
辞任
補欠選任
青山
周平
君
佐々木
紀君
小松
裕君
田畑
裕明
君
谷川
弥一
君
宮路
拓馬
君 同日
辞任
補欠選任
佐々木
紀君
青山
周平
君
田畑
裕明
君
小松
裕君
宮路
拓馬
君
谷川
弥一
君
—————————————
本日の
会議
に付した案件
科学技術
、
イノベーション推進
の総合的な
対策
に関する件(
我が国
の
科学技術
、
イノベーション推進
の今後の
在り方
について) ————◇—————
松野頼久
1
○
松野委員長
これより
会議
を開きます。
科学技術
、
イノベーション推進
の総合的な
対策
に関する件、特に
我が国
の
科学技術
、
イノベーション推進
の今後の
在り方
について
調査
を進めます。 本日は、
本件調査
のため、
参考人
として
国際核融合エネルギー研究開発機構
(
ITER
)
名誉機構長
・
未来エネルギー研究協会会長本島修
君に御
出席
をいただいております。 この際、
本島参考人
に
委員会
を代表して
一言
御挨拶を申し上げます。 本日は、御多用のところ当
委員会
に御
出席
いただきまして、まことにありがとうございます。忌憚のない御
意見
をお述べいただきたいと存じます。 次に、議事の順序について申し上げます。 まず、
本島参考人
から三十分
程度
で御
意見
をお述べいただき、その後、
委員
からの
質疑
に簡潔、端的にお答え願いたいと存じます。 御
発言
の際は着席のままで結構でございます。 なお、念のため申し上げますが、御
発言
の際にはその都度
委員長
の許可を得て御
発言
くださるようお願い申し上げます。また、
衆議院規則
により、
参考人
は
委員
に対して
質疑
をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。 それでは、
本島参考人
にお願いいたします。
本島修
2
○
本島参考人
松野委員長
、ありがとうございます。 最初に、
松野委員長
及び
委員
の
皆様方
に、私を
参考人
として呼んでいただきましたことに感謝申し上げます。
核融合エネルギー
の
実用化
に向けての
現状
と今後について
意見
を述べさせていただく機会を得ましたことを大変感謝しております。
松野委員長
には、二〇一一年の秋に
国会議員
の
先生方
と一緒に
ITER
まで来てくださいまして、大変勇気づけられました。そのことをきのうのことのように覚えております。おかげで大変元気が出た次第でございます。 きょうは、お手元にございますこの二枚ずつの、全部で二十五
ページ
になりますけれども、その
資料
に基づいて説明をさせていただきます。それからもう一部、「激動する
世界
に思う」という、ことしの二月号「
電気評論
」でございますが、これは
参考資料
としてお配りさせていただきます。 では、二
ページ
目です。 まず申し上げたいことですが、
核融合エネルギー
の
開発
を進めることは新たな
時代
の
イノベーション
を生み出します、このことを
先生方
にまず申し上げたいと思って参りました。
我が国
は、
エネルギー資源
に乏しく、破壊されつつある
地球
の
環境
を守りながら、
エネルギー需要
の増大にどう対応していくのか。
地球
の
温度上昇
を二度C以下に抑えるためのCOP21は二〇一六年十一月に発効いたしましたが、いまだに
世界
の足並みはそろっておりません。
核融合エネルギー
を
我が国主導
で早期に
実現
して大
規模
な
エネルギー生産
を開始することが、この問題の主要な
解決策
であると考えております。
核融合エネルギー
の
実証
を目指す
ITER
でございますが、後ほど詳しく説明させていただきます。安全で持続可能な
社会
の
実現
に向けて、長期間使用可能な、これはもう十万年とか二十万年の
規模
で使用可能になります、
エネルギー
の
実現
に向けた
人類
の挑戦です。新たな
時代
へのステップになるわけです。
我が国
には、
核融合科学研究所
、岐阜県土岐市、
自然科学研究機構
に所属します。
那珂核融合研究所
及び
六ケ所
核融合研究所
、茨城県の那珂市、それから、
大学等
に高度な
研究基盤
と優秀な
人材
を擁しております。これをぜひ活用いただきたいと思います。
核融合エネルギー
の
開発
、
研究
は
プラズマ物理学
を基本としておりまして、必要な
キーテクノロジー
というのは多岐にわたります。真空、ダイバータ、
超電導
、
材料
、溶接、
電力
、ブランケット、
トリチウム制御
、安全、
組み立て
、
品質管理
、
プラズマ応用
といったことでございます。
産業応用
の幅も広いと言えます。 続きまして、
先生方
御承知のとおりではあると思いますが、三
ページ
目です。
核融合研究
の
目的
は、地上の
ミニ太陽
を
実現
することであります。その
目的
を
一言
で言いますと、安全かつ恒久的な新しい
エネルギー源
の
実現
にあります。
基幹エネルギー源
としての
核融合エネルギー
はどういうものか、その属性というのはどういうものかと申しますと、
燃料
となる
重水素
が海の中に多量に含まれています。水の中に〇・〇三%ございます。
皆様
の体の中の水分にも同じ量が含まれているわけです。 左上の図をごらんいただきますと、この
重水素
、それからもう
一つ
の
燃料
である
三重水素
、これは人工的につくり出します、それを一億度に
磁場
の中で加熱しますと、
核融合反応
が持続的に起こります。一億度は
磁場
を使って十分に断熱されますので、それから、一億度というととんでもない高温ではありますが、圧力としては十気圧
程度
ですので、十分制御できるということが申し上げられます。
反応
を起こすと、
ヘリウム
が出るわけでして、それから
中性子
が出ます。
中性子
は安全に遮蔽する必要がありますが、その
技術
はもうできているわけでして、この
中性子
を外側に置きました同じく海から取り出しますリチウムに吸収させますと
トリチウム
が発生する、こういう
燃料
を増殖するサイクルがつくれるわけなんです。三十万年ぐらいは使えるであろう。
排出ガス
は
ヘリウム
である。低
コスト
の
水素ガス生産
も可能になります。
水素エネルギーシステム
の構築にも貢献いたします。 左の
真ん中
の図ですが、
核融合反応
を
エネルギー源
として使って、そこから百万キロワットぐらいの
エネルギー
を取り出して、水蒸気をつくって、電気を発電する、こういう仕掛けでございます。
我が国
が引き続き
世界
をリードしていくための
科学技術
の
イノベーション
を生み出すことができます。そして、
科学技術立国
に必要な優秀な
人材
を育ててきましたし、育てることができます。 ちなみに、
ポリタンク
一個の海水からは、一番
左側
の下の図にありますとおり、
石油
二百五十本分の
エネルギー
が取り出せます。これを使わない手はないのではないか、こういうふうに申し上げられます。 成功の暁には、
地球環境
の保全と
世界
平和に貢献します。
人類
の
高度文明
を一万年の単位で続かせるためでございます。 ここで、持続可能で発展する
世界
をつくるための
条件
について見ていただきたいと思います。
ページ
四です。
右下
の番号で申しております。
炭酸ガス
の排出を抑えること。地域的に偏らない
エネルギー源
を持つこと。
材料等
の資源が再生可能であること、これは、繰り返し繰り返し使う必要があるからです。
コスト
がリーズナブルであること、当然、安くないと
社会
には受け入れてもらえません。
社会的受容性
を持つこと。安全でなければなりません。そして、
ビジネス
として
民間
の積極的な
参入
が得られることも必要でございます。そのほか多数の
条件
が複雑に絡み合ってまいります。 下の三枚を見ていただいて、どう思われるか。 私も思うのですが、北極海の氷は解けております。毎年解けているのが今問題になっているわけです。
日本
の衛星「いぶき」が、平均の
炭酸ガス濃度
が四〇〇ppmを超えたということを一昨年の十二月に検出しております。東京は、この部屋の中も結構高くて、多分一〇〇〇ppmぐらいにはなっているんじゃないかと思います。ただ、我々は二〇〇〇ppmぐらいまでは呼吸ができるんです、生物というのは意外と厳しい
環境
で進化してきましたので。ですから、緊急の問題という認識になりにくいところがあるんですね。これが
環境
問題の大きなところではないでしょうか。 そして、
真ん中
が
原子力発電所
です。これを見ると
緊張感
が走る場合が多いんじゃないか、特に一般の
皆様
は。
右側
が縄文、
弥生時代
の
竪穴式住居
で、これは見ると
安心感
を感じるのではないか。なぜかというと、我々は、進化をして、非常にすばらしい
環境
に生きているわけです。しかし、下手をすると、私たちの子孫が再びこのような家に住まないといけなくなるということもあり得るわけです。 それから、
日本海側
の
原子力発電所
について申し上げますと、
東南海地震
が来たときに
太平洋岸
それから
大阪湾岸
の
発電所
が津波で大きなダメージを受ける
可能性
があるので、やはり震源から遠い
日本海側
に
発電所
を持っておくということは、そういう
緊急事態
には非常に重要なんじゃないか。これは申し上げるまでもないことではないかと思います。 それで、五
ページ
目に移らせていただきます。 では、
核融合エネルギー
の
開発
がなぜ
イノベーション
を生み出すのか。 これは、具体的な例は後ほど申し上げますが、
核融合エネルギー
が
宇宙
の本質にかかわっているからだ、こういうふうに私は考えております。
核融合エネルギー
は
宇宙
に普遍的に存在しています。なぜなら、恒星の
エネルギー源
は
核融合反応
です。太陽もそうです。
宇宙
の物質の九九%は
プラズマ
なわけです。 その下はもう閑話休題でございますが、私が思うには、今、
宇宙空間
に
地球
型の惑星を見つけ出すということが科学的にも
天文学等
で活発になっています。 これには
目的
がありまして、
宇宙空間
で我々と同じような
高度文明
を見つけることができると、そこから電波なりが飛んでくるのに数万年かかるわけですね、それを検出するということは、確率論的にこの
文明
が数万年続いているんだということになるんです。これは、ドレイクの
法則
という
法則
があります。我々の
人類
も数万年続く
可能性
があるんだということを確率論的に証明できるわけなんですね。 私が
核融合研究者
として申し上げたいのは、そこの百万キロワットの
核融合発電所
からは、一秒間に一兆の百億倍という大量の
ニュートリノ
、これは
梶田先生
が
ノーベル賞
をもらわれた
ニュートリノ
です、発生していますので、
ニュートリノ
は何の障害もなく飛んできますので、
物理天文学
の総力を挙げてこの
ニュートリノ
の検出を試みると、
宇宙文明
がいるんだということの証明の近道になるんじゃないか、こういうふうに申しています。これは、少し道筋がずれましたけれども、私の夢としてです。 その次の
ページ
、六
ページ
目です。
世界
をリードする
我が国
の
核融合研究
ですが、
トコマック
、
ヘリカル
、
レーザー
という三
方式
、
日本
は
基盤
を持っております。
トコマック
型は、元
原子力研究機構
、現在の
量子科学研究開発機構
でしてきて、大変な
実績
を持っております。
ヘリカル
型は、
トコマック
とは違うんですが、
ヘリカルコイル
を使います。
核融合科学研究所
でしております。それから、
レーザー方式
というのがありまして、これは
レーザー
を使ってばしんと
反応
を起こそうという、大阪大学で
基盤
があります。 この六
ページ
で申し上げたいのは、この三つの
方式
が、
日本
で長い
実績
があり、
基盤
を持って、
世界
的にも評価されているということです。 次の
ページ
ですが、ここで
世界
の
研究
の最前線を説明いたしますと、多くの
装置
を擁して
研究
が進んでおるわけです。
ITER
についてのスケジュール、それからその後の
段階
、
DEMO炉
でございますが、示しております。協調と競合の
世界
でございます。
日本
も負けていられないということがございます。
日本
については、一番
真ん中
、上にありますように、LHD、
核融合科学研究所
です。それから、
量子放射線機構
、略して申し上げますが、
トコマック
の
建設
が現在進んでおります。それから、
右下
の方にありますのが、IFMIFという
材料試験装置
の
試験
が
六ケ所
村で進んでおります。こういった
研究
が進んでいます。 そして、
我が国
の
研究
の着実な
進展
、
核融合研究開発
については八
ページ
にまとめました。 時間がかかっているということは事実でございますが、ゼロからの出発で、急速に進んできたということを示しております。加速器やスーパーコンピューターに比肩できる
進展
をしております。 九
ページ
でございますが、私の
研究歴
をごく簡単に自己紹介させていただくためのものでして、今まで
ITER
を含めて三
段階
の
チャンス
をいただいております。私のこの
研究
の発展の中で、いろいろな
チャンス
をいただきました。
ITER
ですが、七カ国・地域から成る公的な
国際プロジェクト
、九
ページ
の一番下のところです。
フランス
の
原子炉法規
で規制される
核施設
、ニュークリアファシリティーでありまして、
出資者
のみならず
参入企業
を含め多くの
民間
の
ステークホルダー
を擁する
大変チャレンジング
な
プロジェクト
です。それだけ難しいということも言えます。 そこで、次の
ページ
、十
ページ
に行っていただきますと、
ITER
の
目的
をまとめてあります。
ITER
ですが、インターナショナル・サーモニュークリア・エクスペリメンタル・リアクターの略ではありますが、ラテン語で道という意味も持っております。
ITER
は、
炭酸ガス
フリーな
エネルギー源
となる
商業用核融合炉
に至るまでの道です。
ITER
は、
国際協力
でして、パワーの増幅器です。約十倍の
増幅能力
を持っております。後ほどまた説明いたします。それに対して
商業炉
は、私はマネーアンプリファイアーだと申しています。
電力
を出しますので、売れるわけです。したがって、
ビジネス
になるわけです。その前の
段階
が
ITER
です。
二つ目
の
ポチ
は、
核融合エネルギー
の
安全性
の
実証
です。それから、科学的、
技術
的に利用可能であることを
実証
するための
実験炉
であります。
ITER
は、五万キロワットの
エネルギー
を入れて、五十万キロワットの出力を出します。ですから、十倍の
エネルギー
を出します。これで
核融合
ができるということを
日本
の
皆様
及び
世界
に示すことを
目的
としていまして、その次に進むかどうかは、この
ITER
の
参加国
も独自に進めていく手はずになっております。
日本
は間違いなく行ってくれると思いますし、
ヨーロッパ
、
アメリカ
も恐らく。ただ、
アメリカ
は石炭をたくさん持っておりますので、少しおくれるかもしれません。
中国
は非常に強力に進めております。 全ての
知的財産
、
ノウハウ
ですが、七つのメンバーが共有いたします。
日本
の出資は全体の九・一%ですが、結果は一〇〇%もらえる、こういう取り決めでございます。
ヨーロッパ
は約四五%、やはり
サイト国
ですので。 設計、
組み立て
は
ITER
が行い、参加七極は製造して、それを物納、物で納めるという形です。約二万三千トンの重さを持ちまして、部品の数も二万点。それから、
建物
は全体で三十五万トンの重量になります。非常に大きな
プロジェクト
です。 次の
ページ
ですが、
ITER
の
現状
を申し上げたいと思います。 私も
ITER
を離れて二年ぐらいたっておりますので、その内情は一〇〇%理解していないところがございますが、まず、私のいるときから申し上げていたことは、
ITER計画
はターニングポイントを通過し、夢が現実の目標になっているんだ、これが重要なことです。頂上はまだ先だけれども見えているということが申し上げられます。したがって、
各国
の取り組み方は
真剣度
も増してきていると私は見ております。 現在、やはり大きな
プロジェクト
であるがゆえの困難というのはありまして、正直に申し上げますが、数々の、種々の
要素
を加味して、
コスト
と
計画
の改定が行われました。 これは
文部科学省
からいただいた
資料
です。
運転開始
が、二〇二〇年の十二月が二五年、約五年のおくれ。
核融合
の
運転開始
、先ほどの五十万キロを目指しての
燃焼実験
、
重水素
、
三重水素
、これが二〇二七年から二〇三五年。終わりはなるべくおくらせないようにしようという
計画
ですし、そのめどもつきつつあります。 やはり
先生方
にぜひお願いしたいのは、
計画
が延びるということによって、
経常経費
、インフレの影響、それから、新しい
技術
の
開発
の結果、新しいことを入れてくるといったことも発生いたしますので、どうしても現在の見積もりで五百七十億円ぐらいが必要になってくるということが
現状
でございます。しかし、
投資効果
は十分にあるはずだ、こういうふうに強く申し上げたいと思います。 そして、
我が国
が準
ホスト国
としてのリーダーシップをさらに発揮していただきたい、こういうふうに思うわけです。 その下の
写真
ですが、こういう一こまも五年間の私の在任中にありました。
左側
は、二〇一三年の
大臣級会合
でございます。
EU
の
エネルギー担当コミッショナー
、エッティンガーさん、それから
フランス
の
科学技術大臣
が、女性の方です、来ていただいています。それから、
日本
からは
文部科学省
の福井副
大臣
が来てくださいました。 そして、その次の年には、当時の
EU
の
バローゾ大統領
が訪問してくださいました。この
写真
は、スタッフの前でスピーチをしていただいたときの
写真
です。 その次の
ページ
を見ていただきたいんですが、
建屋
の
建設
が進んでおります。
トコマック
ピットの大きさは、八十掛ける百十の、
建物
の高さは六十メーターです。左下のとおりです。四百九十三本の
免震構造体
が支えております。これは、
フランス
の
原子力発電所
は全てそういう
構造
になっていまして、
免震構造体
が下にあります。
日本
では、ないことですね。
右側
の図は、最もクリティカルなパスである
建屋
です。横軸がちょっと見にくいんですが、一番右が現在、それから右から三番目が二〇一五年で、私が離任したあたりですが、青い線が
作業量
、
作業者
の人工を示していまして、
右肩上がり
で
作業量
がふえている。これは、順調に進んでいるんだということを示すわけです。私も大変心強く思っております。 それから、次の
ページ
へ移らせていただきますが、
主要機器
を示しております。
超電導コイル
、
真空容器等
で、旗がありますが、
各国
の
分担
でして、大事なことは、二万三千トンの
機器
のうち、
我が国
は主要な
機器
をとっているということでございます。これは、
技術
的な
ノウハウ
が十分たまる
構造
になっております。 それを示したのが十四
ページ
でして、いろいろな
分担
で、詳細は省かせていただきますが、
超電導関係
、
材料関係
、赤い字が
日本
のところです。
計測装置等
も
日本
はとっております。
日本
は、基本的にはおくれは発生しておりません。大変頑張ってくれております。 次が、やはり
安全性
というのは非常に重要なので、二
ページ
使って、簡単ですが説明させていただきます。 まず十五
ページ
ですが、
福島
やチェルノブイリのような事故は
核融合プラント
では起こりません。その理由は、
燃料
の
プラント
の中の量が一グラムだからです。十六
ページ
にもありますが、
原子炉
との比較をしています。
核融合炉
の場合は、
炉心
にある
燃料
が一グラムで、
石油
八トン分の
エネルギー
しかありません。ですから、万一何か起こっても、その
エネルギー
の被害の範囲でおさまるわけです。これは大きい。 ところが、
原子力
の場合は、これも非常に
安全性
に配慮はされているわけです。私は批判するつもりは全くありませんが、五百トンの
燃料
をあらかじめ
炉心
に入れて、少しずつ燃やしていくわけです。だから、制御ができなくなると
福島
のようなことになってしまう。この違いが大きいわけですね。
核融合炉
は、
原子炉
より
技術
的に高度であって、複雑でございます。したがって、つくることは難しいわけです。
原子炉
に比べると随分おくれて、まだ
実現
していないという事実がそれをあらわしております。しかし、
安全性
は高いということが言えます。これが大きな点です。ですから、十五
ページ
の
三つ目
の
ポチ
に書きましたが、どのような異常が生じても
プラズマ
を停止できるんだと。 それから、十五
ページ
の上から
三つ目
の
ポチ
にありますように、私はニュークリアオペレーターを務めましたので、
日本
でいえば
原子力規制委員会
の対象になるわけでございます。その中で、安全に求められる
要素
というのは、
放射性物質
の閉じ込めと周辺への被曝、その
二つ
だけでございます。 では、ちょっと急がせていただきます。 十七
ページ
、これは
日本
の今後を示しております。やはり
ITER
を成功させて、今の
日本
の
基盤
を有効に使って次の
段階
に進もうという
計画
です。二〇五〇年を目途にしております。 それから、十八
ページ
目ですが、
世界
も
実用炉
に向けての
ロードマップ
が
ITER
の
進展
とともに進んできています。 特に
中国
について述べさせていただきます。
習近平主席
が二〇一一年に
研究所
を訪問している
写真
を見せておりますが、
中国
は本気でありまして、大学に
核融合学部
を新設して、
人材
の
養成等
も進めております。それから、
ITER
の
装置
もつくろうとしております。
日本
は絶対負けてはいられないと思います。 それから、低
放射化材料
の
開発
が必要ですが、これは
六ケ所
村の
研究所
で進んでおります。 それから、十九
ページ
、二十
ページ
は、もう
一つ
の
方式
でありまして、私が二〇〇九年まで所長をしておりました。こういう
ヘリカル
な
コイル
を使います。絶対にできないだろうという
装置
を一九九八年に完成して
世界
をはっと言わせたんですが、これは、私は
プロジェクトマネジャー
をしましたが、期限内に予算内につくらせていただきました。そういうことも評価して
ITER機構長
に推挙されたと思っております。 最近、
重水素
の
実験
が地元の御了解も得て始まって、一億度の発生に成功しております。こういうアクティビティーがあります。 それから、その次の
ページ
、二十一
ページ
を見ていただきたいと思いますが、
民間活力
の
参入
とその
必要性
です。
世界
的には数多くの
企業
が
参入
し出しております。
左側
のリスト、ちょっと見にくいと思います。
アメリカ
、
カナダ
、
ヨーロッパ等
ですが、
日本
も一社ございます。
我が国
にはまだその機運は醸成されていないというふうに思います、もう少し活発になってほしいと。
民間
の
開発意欲
は、
ビジネスそのもの
ですから、高い活力を持ち、
リスク評価
もきちっと厳格に行って、決断も早く、責任の所在も明確です。 右の方に、ジェネラルフュージョンという
カナダ
の
企業
がございますが、百億円を集めて、七十人の社員を雇って、
ビジネス
としての
研究
をしております。私はその
科学アドバイザー
も務めております。
イノベーション
についてですが、
二つ
御説明したいんです。
一つ
は、二十二
ページ
、地磁気が今消滅しようとしています。千年後にゼロになります。そうしますと、生命体の危機が訪れる
可能性
がありますので、
核融合
の
技術
を使って、十二本の鉢巻きを巻いて、今の約十分の一の地磁気を発生させると、飛行機にも乗れるし、地上の水とか空気が太陽風、太陽からの放射線ではじき飛ばされて火星とか月のようになることを防ぐことができるという構想です。火星と月は地磁気がないんですね。ですから、ああいう
世界
になっております。詳細は省かせていただきます。
コスト
ですが、私の見積もりでは一千兆円です。GDPと比べて、
人類
がもし滅亡するかもしれないというときにはこれぐらいの出資は得られるんじゃないかと。これは極端な
イノベーション
です。 もう
一つ
は、次の
ページ
、二十三
ページ
を見てください。これは、私が学事顧問をしております春日井にあります中部大学の超伝導センターでの結果を紹介しております。やはり
超電導
技術
です。 既に、一キロメーターの五万キロワットの送電線の
開発
に成功しておりまして、この応用例は、シベリアにある豊富な天然資源をシベリアまたはサハリンで発電して、ロスがほとんどない
超電導
線で持ってくると、海の中を通すわけですが、
日本
に大量の
エネルギー
を確保できる、そういうことに役立つはずだということで
開発
しております。現在、次の十キロのラインの
建設
を進めようとしております。これは比較的近未来の
イノベーション
です。 そのほか、先ほど申しましたが、多くの
イノベーション
がありますし、例えば、
超電導
になりますが、NMR等の
技術
にも使われております。 二十四
ページ
、二十五
ページ
目は私のまとめでございますが、読んでいただければと思います。 機構長
時代
に、各極との契約行為、プロキュアメントアレンジメントを九〇%結んだということが非常に大きなことの
一つ
と考えております。その結果、現在、物がサイトへ搬入され出している。 二十五
ページ
でございますが、七つの参加極と
ITER
チームに対して、
ITER
の
進展
に対する大きな努力に心から敬意をこの場をおかりして表させていただきます。そして、感謝しております。 設計
段階
から製作、インフラ
建設
に移行しており、物品も製作が開始され、
ITER
は、
建設
の
進展
により、既に折り返し地点を通過しております。
ITER
にかかわる我々の
目的
と責任というのは、
ITER
建設
の
進展
を
社会
に開示して、その全容、
コスト
、スケジュールにかかわるリスクを関係者と
ステークホルダー
が容認できる範囲に抑えることだと肝に銘じております。 そして、
我が国
に強くお願いしたいことは、今後も準
ホスト国
として最大の努力を傾注して全ての課題に挑戦していただきたい。巨大かつ複雑な国家
プロジェクト
の性質、初期
条件
に由来する困難を乗り越え、
ITER
の
プロジェクト
を完成へと導くためでありますが、それが
我が国
が得られる利益の最大化につながると確信しております。
我が国
の強力なコミットメント参画によりまして、
ITER
プロジェクト
を俯瞰する
ITER
機構の組織、協力の文化そして仕事のプロセスに抜本的な変革が進むと期待できます。これを確信しております。 御清聴ありがとうございました。(拍手)
松野頼久
3
○
松野委員長
ありがとうございました。 以上で
本島参考人
の
意見
の開陳は終わりました。
—————————————
松野頼久
4
○
松野委員長
これより
参考人
に対する
質疑
に入ります。
参考人
に対する
質疑
は、
理事
会の協議に基づき、まず、各会派を代表する
委員
が順次
質疑
を行い、その後、各
委員
が自由に
質疑
を行うことといたします。
参考人
及び
質疑
者におかれましては、御
発言
の際は自席から着席のままで結構でございます。
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。中山
展宏
君。
中山展宏
5
○中山(展)
委員
おはようございます。自由民主党の中山
展宏
でございます。
本島
先生、大変貴重な御講話をありがとうございました。早速でありますけれども、幾つか質問をさせていただきたいと思います。 六月の一日、今月の一日になりますけれども、トランプ大統領がパリ協定から離脱表明をいたしました。温室効果ガスを発生しない
核融合エネルギー
が
実現
すれば、
人類
にとっても
地球
にとっても未来に大きな利益につながると思いますが、このトランプ大統領のパリ協定からの離脱の表明、いかがお受けとめになられたか、御所感をお教えいただければと思います。
本島修
6
○
本島参考人
大変残念なことだと考えております。 ただ、ニュースによりますと、二〇二〇年までは時間があるということですので、その間に考え方を変えてくれるのではないかと。 それから、現在、
ITER
についてはいろいろなブリーフィングが行われている最中だと思いますので、特にリアクションが出ておりませんし、石炭を掘って燃やすためには、それにかわるクリーンな、
炭酸ガス
を出さない
エネルギー源
が必要になるはずですので、ブレーンが、特に
エネルギー
省の皆さんが、そういったことをいろいろ今後ブリーフィングされていかれるのではないか、こういうふうに期待しております。 もうちょっとだけですが、これに、順問題を解く手法なんじゃないかということを失礼ながら書いておりますけれども、境界
条件
がはまってくると今度は逆問題を解くことになってきますので、いろいろなことが起こるのではないか、こういうふうに思っております。
中山展宏
7
○中山(展)
委員
ありがとうございます。 私も非常に残念に思っておりますが、先生のお取り組みが、大統領のまた意向も変わってくるんだと思っておりますので、努めてまいりたいと思います。 これから
ITER計画
についてお伺いをしたいと思います。
ITER計画
は大変超長期な、しかも超大型
国際プロジェクト
であります。NASAが主導したような国際
宇宙
ステーションであったりとか、また、緒についたばかりのリニアコライダーといった
国際プロジェクト
もありますけれども、
日本
を初め七極が、ゼロから国際約束に基づいて
計画
を進めておられます。
本島
先生は機構長として本当に大変な御苦労をされたと思いますが、先般、きょう御説明をいただいたように、スケジュールや
コスト
の見直し、特に予算での大幅な増額ということを伺いました。そういった状況を考慮に入れても、
我が国
が
ITER計画
に
参加
している意義について改めてお教えいただきたいと思います。
本島修
8
○
本島参考人
ありがとうございます。 やはり
我が国
は、準
ホスト国
、もうあと一歩で
日本
に誘致できるところまで行っていたわけですが、準
ホスト国
としての
技術
的
基盤
それから政治的なバックグラウンド、ポテンシャルを持っておるわけです。準
ホスト国
としてリーダーシップをこういう大きな
プロジェクト
の中で発揮し、リーダーシップをとり続けていくということが、結果として、見える場合と見えない場合があると思いますが、
日本
の国益になるはずだ、こういうふうに思います。そこが一番重要な点だと思います。 ですから、粘り強く、しかも、向こうへ行って頑張っている人たち、私も向こうにいるときに
日本
からの応援が一番うれしかったですから、ぜひ応援を続けていただければ、彼らは二倍じゃなくて十倍ぐらい頑張ると思います。よろしくお願いしたいと思います。
中山展宏
9
○中山(展)
委員
ITER計画
の中では、
参加
七極が費用
分担
の方法として、
分担
金のほか、先ほどおっしゃったように、
機器
を製作し、物納する方法を、仕組みをとられています。例えば、超伝導トロイダル
磁場
コイル
ですか、中核的な
真ん中
の
コイル
、三菱重工業さん、東芝さんが半分を担っておられますが、ほかの
参加
極も製造していると伺っています。 各極が
ITER計画
の中で
機器
製作
ノウハウ
をしっかり蓄積していくことはそれぞれの国にとって有意義であると思いますが、かえって、一方で、
技術
水準を均質化していくことであったりとか、全体としての、機構長としてのマネジメントすることの難しさもおありになったと思います。それによってスケジュールのおくれが出ている側面も否めないと思いますが、
ITER計画
が物納という仕組みを採用した意義と、
我が国
がそれをどのように積極的に活用していくべきか、もう一度先生の方からお話をいただきたいと思います。
本島修
10
○
本島参考人
物納の
方式
は、やはり
ITER
協定が二〇〇七年につくられたときの基本的なこととして各極が承認したことでありますが、その意義は、やはりそれぞれの国が物を、設計は
ITER
でするという原則で、ビルド・ツー・プリント・デザインと申しますが、製作設計に非常に近いところまでして、それを、プロキュアメントアレンジメントと申しまして、いわゆる契約行為で各極と設計図を渡して、
コスト
については二〇〇七年に取り決めた表に基づいて各極がつくる、こういう仕組みで、非常に合理的な仕組みでございました。 物納の大きなメリットは、
日本
の場合、特に大きな、重要なところをとっている限り、その
ノウハウ
がたまる、
企業
にもたまるというところでございます。
技術
的な
ノウハウ
は一〇〇%共有だと申しましても、やはりつくったことがあるかないかで大分違うというのも現実だと思います。そういう点でございます。
ITER
機構にもう少しお金があると
ITER
機構もやりやすいことがふえるというのは事実でございます。私も最後の
理事
会のときに、次の機構長にはもっとお金を渡してほしいということをはっきり申しましたけれども、それは
理事
会の議長も、うん、そのとおりだと。皆さん、うんうんとおっしゃっておりました。そういう状況でございます。
中山展宏
11
○中山(展)
委員
ありがとうございます。 済みません、駆け足で質問させていただいて恐縮です。 結びになると思いますけれども、
核融合反応
は、先ほどおっしゃったように、
燃料
の供給や電源を停止することによって、
制御
がしやすい、暴走しないという大変なメリットがおありになると聞きました。 核分裂よりも安全
対策
が容易である、ここの一点を捉えて、これは、原発事故の影響によって、核分裂から
核融合
へ、それから、
研究
開発
者の皆さんの意識というものが変わっていっているものなのかどうか、また
人材
のシフトは実際にこれから考え得るのかどうか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
本島修
12
○
本島参考人
大変センシティブなところが
我が国
にはあると思います。
世界
的に申しますと、私が
ヨーロッパ
にいましたときに思いましたことは、
ヨーロッパ等
では、そういう動きが実際に始まっています。実際に、
原子力発電所
をシャットダウンするというふうな動きもドイツ等であるとおりです。
我が国
の場合は、そういった非常に悲劇的な事故の後、
原子力
と
核融合
の違いといった理解が深まってきているのではないか、そういうふうに思います。ただ、まだ
核融合
については夢の
段階
でしょうと思われている方がまだまだ多いので、我々の努力不足ということも否めません。
中山展宏
13
○中山(展)
委員
ありがとうございました。
地球
の
太陽
実現
に向けて、これからも御尽力され、また
開発
の中心的な存在として引っ張っていただきますことを心からお願い申し上げて、私からの質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
松野頼久
14
○
松野委員長
次に、
北神
圭朗
君。
北神圭朗
15
○
北神
委員
民進党の
北神
圭朗
でございます。
本島
先生、きょうは貴重なお話をありがとうございました。 私も、
大学
の後輩なんですけれども、前にあがつく法学部でございますので、
技術
的なことは余りよくわからないんですが、
資源
の大変希少な
我が国
としては、この
核融合
というのはまことに理想的な
エネルギー
だというふうに思って、皆さんのこれまでの御努力に心から敬意を表したいというふうに思います。 質問なんですが、この
ITER
の事業自体は当然私も賛成でございますけれども、今まで大分おくれてきたというのも、これまた事実であります。それで、その大きな理由は、理論とかいわゆる
技術
の問題よりも、むしろ、組織のあり方の問題が大きかったというふうに聞いているんですけれども、そこは機構長として相当御奮闘されたというふうに思います。 三、四年前に、第三者機関が
ITER
の機構の分析をして、提言もされて、それに基づいて改革をされたというふうに伺っているんですが、簡単で結構なんですが、今までは何が問題で、改革をされてどう変わってきたのかということをお聞きしたいと思います。
本島修
16
○
本島参考人
今、第三者
委員会
、マネジメントアセスメントのことをおっしゃっていただいたと思います。 私は、真摯にその内容を受けとめて、私の在任中も、マネジメントの強化、特に
ITER
機構とそれから各極、七極の、ドメスティックエージェンシーと申しますが、担当の極がございます。それは大きな
研究所
に所属している場合が多いんですが、
日本
の場合は、現在の
量子放射線機構
の、略語で申しますが、
那珂
研にあります。そことの一体化を進めるということと、それから、先ほどの御質問にもあった、物納ですので、
ITER
機構が一旦図面を渡すと、なかなかその先の工程に介入できないという面がやはりありましたので、そういったことを、マネジメントを強化することによって強化していくという方策をとらせていただきました。 その方法は、さらにビゴ現機構長になって強化されたと聞いております。その結果が加速につながってきているのではないか、こういうふうに思います。 やはり、
国際プロジェクト
でほかにひな形が余りないという中での、手探りでマネジメントを進めていくというのはなかなか難しいものがございました。 以上でございます。
北神圭朗
17
○
北神
委員
ありがとうございます。 七つの極があって、きれいに言えば分権的な体制でやってきたという話ですけれども、それぞれが
計画
を変更するときも必ず七極全部同意しないといけないとか、非常に速度がどうしても遅くなってきたという問題があったと思います。それをマネジメント強化されたという話なんですが。 もう一点だけ。先ほどお話があった、お金がもっと
ITER
機構自体にあったらもっと言うことを聞かせられるというような話がありましたけれども、こういうことはどうなんですかね。
ITER
機構自体に予算をもっとふやすということは、今後、見通しというものはございますでしょうか。
本島修
18
○
本島参考人
それは、少しずつ
ITER
理事
会の方で勘案されているというふうに見ております。また聞いております。 非常に重要なポイントは、私が在任中に進めようとしましたのは、今の問題を解決するために
建設
期を早く終わらせるということが重要です。
建設
期は、物納ですから、いわゆるキャッシュフローが余りないわけですね。ところが、運転期に入る、最初の
プラズマ
を何とかつけて、
装置
はとにかく必要最小限で完成して、そういう戦略をとることを最優先課題の
一つ
といたしました。 何が違ってくるかというと、運転経費に変わっていくわけですね。これは、各極が条約で決められた年間の予算を
ITER
に渡して、
ITER
でそれを差配して使っていくというやり方です。ですから、今の新しい検討中のスケジュールもそれが一部取り込まれているというふうに見ております。ステージドコンストラクションという呼び方をしております。 やはり、できるだけ早くファースト
プラズマ
、最初の
プラズマ
をつけてみせて、
各国
及び
ステークホルダー
の理解を得て、そして運転
段階
に入る、こういうことが非常に重要なのではないか、こういうふうに思います。特効薬があるとしたら、それではないかと思います。
北神圭朗
19
○
北神
委員
ありがとうございます。 ぜひそういう方向でまた御指導していただければありがたいというふうに思います。 米国のロッキード・マーチン社とか、
民間
企業
もかなり進んできていて、二〇二〇年代前半ぐらいには
運転開始
ができるんじゃないかと聞いておりますけれども、ぜひ負けないように、あと、
中国
にも負けないように頑張っていただきたいというふうに思います。 あともう一点。先ほど、ターニングポイント、つまり
技術
の大きな転換点が見えてきて、今まで、悪い冗談じゃないですけれども、
核融合
の
技術
というのは永久に二十年後に完成されるというふうにやゆされていた部分があって、常に二十年後には完成するという話がありましたけれども、必ず今度は、山頂はまだ先だけれどもはっきり見えてきているという、この
技術
的なところをぜひわかりやすく教えていただければと思います。
本島修
20
○
本島参考人
やはり、それを私どもが
社会
に発信しないといけないわけでございまして、この十二
ページ
の
写真
、ここまで進んでくると、
建設
現場そのものですけれども、この
写真
の
左側
が
ITER
本体が据わるコンクリートの、クラウンストラクチャーと申します、これがもう建ち上がってきているわけです。 それから、その後ろにある、
ITER
の
写真
を張ってありますが、これは
組み立て
室なんですね。ここでトロイダル
コイル
等の部品の
組み立て
が行われます。こういったことが、部品が運び込まれれば対応できるような状態になっております。それから、その後ろにネズミっぽい
建物
、これは、インドがつくった
建物
なんですが、一番外側にくるクライオスタットは大き過ぎてインドから船で運んでこられませんので、ここで
組み立て
るためのものです。インドの場合は、
建物
の製作におくれは全く出ませんでした。非常に、
ヨーロッパ
とは違って対照的なんですが。いずれにしても、こうやって目に見えるものができてきている。 それから、
各国
、
日本
でいえば、三菱の工場にトロイダル
コイル
の中の巻き線部がもうできてきている、そういったことを新聞記者の皆さんなんかにもどんどん見てもらって、
社会
にどういうふうに使われて、どういう意味があるんだということをわかりやすく説明しながら示していくという意味で、先が十分見えているんだ、
ITER
の完成は間違いないんだということを示せるんじゃないか、こういうふうに思います。
北神圭朗
21
○
北神
委員
ありがとうございます。 最後の質問ですけれども、先ほどもトランプ大統領のお話がありましたが、先生は楽観的な見通しをされましたけれども、私が調べた感じでは、いわゆる米国国立科学基金、
核融合
の予算を預かっている所管の官庁ですが、これに対してトランプ大統領は二〇%の予算削減を提案しているという話を聞くんですが、彼のことですから、何をされるかは予測がつかないところがあると思いますけれども、仮に、米国が予算を減らしたり、あるいは脱退、今までも脱退したこともありますので、その場合はこの
計画
に狂いが生じるかどうかというのを最後の質問としてお聞きしたいと思います。
本島修
22
○
本島参考人
やはり、
アメリカ
のこの
計画
の中における存在というのは、それは大変重要な位置を占めておりますので、何らかの形で残ってもらうような努力をする必要がある、こういうふうに思います。 十五年ぐらい前、RアンドDの
段階
で撤退しましたのは、また今の状況とは違う理由で脱退していまして、
アメリカ
の場合は
核融合
はサイエンスとして捉えている面が大きいんですね。ですから、その要求を満たすような形で
ITER
に参画してもらえるような
環境
づくりが必要ではないかと。 今の
段階
では、私の経験から申し上げましても、時期的に、六月ですと、予算は大体厳しい側に振れていたことが多いので、もう少し注意深く見ていきたいな、こういうふうに思います。
北神圭朗
23
○
北神
委員
どうもありがとうございました。
松野頼久
24
○
松野委員長
次に、輿水恵一君。
輿水恵一
25
○輿水
委員
おはようございます。公明党の輿水恵一でございます。 本日は、質問の機会を与えていただきまして、心より感謝を申し上げます。 先ほど、初めに、この
核融合炉
というのを、私も、一億、数億度に上げて、そして
磁場
をつくるということで、
超電導
ということで、マイナス二百七十度のそういった
環境
の中でということで、本当にできるのかな、そういった思いはしていたんですけれども、先ほどの見えてきたという
本島
先生のその
一言
、これはもういけるんじゃないかなということで確信をしたところでございます。 私も、もともとは
民間
企業
で
技術
開発
の現場にいまして、もうできそうにないことに挑戦をするんですけれども、まずやっている人たちができる、やると決めていけば大体できるものでして、そういった形で、ああ、これはできるんだなということで、改めて感じさせてもらったところなんですけれども。
一つ
、まず初めに、先生がそもそも、この
核融合
の第一人者としてこうやって長年御活躍をされてきたんですけれども、この
核融合
は、
人類
を救うんだ、できるんだ、やれるんだ、こう思って、それに突入した、そのきっかけみたいなことをまず教えていただけますでしょうか。
本島修
26
○
本島参考人
私は、
大学
の入学が昭和四十二年でして、
大学
紛争等がその直後にあって勉強できない期間があった世代なんですが、
大学
の二年生のときに、私は物理でしたから、自分の進路を決める必要がありまして、私自身は、親の影響か、親は
原子力
研究所
にいまして
原子力
をやっていましたので、やはり、全部そうなんですが、そのころの学生としては、
社会
の役に立つ、一番役に立つことでやりたいのは何だろうなと思っていたわけです。ちょうど、まだ一億度が必要なのに百万度ぐらいの温度しか出せない
時代
で、黎明期も黎明期で、いい
時代
だったんですが、
核融合エネルギー
、きょう御説明申し上げたようなことの基本的な部分はもう既にわかっていたわけで、原理的な面は。あっ、これだと思いました。 それからもう
一つ
は、まだ
研究
が十分進んでいないから自分にも
チャンス
があるかもしれぬな、こういうふうに思ったわけです。それが一番大きな動機でした。 あとは、
先生方
、皆さんの応援を得て、
チャンス
もいただいて、努力もしたつもりではいますが、ここまでいろいろなことができたというふうに思います。 これはもう内々で申し上げたいんですが、息子が聞いたら怒りますので。実は、息子も今
核融合
の
研究
者になっていまして、息子は、これは聞いていられると困るんですが、
核融合
はどうも親の代では終わらぬと見たようですね。自分にも
チャンス
があると。そのとおりで、二〇五〇年ぐらいに
日本
を引っ張っていっている人間の一人になってくれるんじゃないかと。 いずれにしても、長期的にやっております。 以上でございます。
輿水恵一
27
○輿水
委員
ありがとうございます。 まさに先ほどのドレイクの
法則
のところで、
宇宙
レベルで考えると
核融合炉
はもうできている
可能性
があるし、またそれをどう
実現
していくかという、そんな中での、壮大な中でも具体的に今進められているということで、先ほど、
重水素
実験
によりもう既に一億度を超えるイオン温度も達成しているということで、確かに、ターニングポイントを超えて、いよいよ
実用化
に向けての着実な推進が必要なときになってきたな、そういったことを実感するわけでございます。 しかし、
核融合炉
として
実用化
にはまだ時間がかかる中で、それに向けてさまざまな
要素
技術
というものを今
開発
されているわけで、その
要素
技術
というのは、我々の通常の、日常の今の課題にもさまざま対応できる、そういったものもあるのかなと思うわけでございますけれども、この
ITER
の
開発
に当たっての
要素
技術
、我々の今抱えている課題に対応できるようなものはどのようなものがあると考えられるのか、教えていただけますでしょうか。
本島修
28
○
本島参考人
やはり非常に重要なことでして、それが
社会
からよく見えるようになるといいんですが、例を申し上げたいと思うんですけれども、
超電導
技術
は、
中国
の例で申しますと、西安で
超電導
線をつくって、全て合格したわけです。高い
技術
レベルを
開発
できたわけですが、
ITER
の発注が終わった後どうするかというのは、
企業
として死活問題になるわけです。 どうしているかといいますと、今の波及効果をうまく応用いたしまして、その線材の
技術
をNMRに使っております。
中国
の場合、市場が非常に広いので、それで長期的にやっていける面があるわけですね。そういうふうに成功している例が既に出ております。 あとは、マイクロ波は一億度に電子を加熱するために必要な
装置
ですけれども、マイクロ波を使って陶磁器を焼成する、焼く
技術
、これは二〇一〇年ぐらいにもう既に
開発
が終わって、岐阜県東濃地区でかなり普及しております。リニア窯等もできているんですね。 それから、同じくマイクロ波を使いますと、アスベスト、今状況は大分よくなっているわけですが、アスベストを無害化する必要がありますので、マイクロ波を産廃に印加しますと、アスベストのとんがっている部分が丸くなって、万一肺に入っても発がん性
物質
等がなくなる、そういうふうな
研究
。 それから、現在まだ完成していませんが、もちろん、
原子力発電所
から出る高レベルの放射性廃棄物を、
核融合炉
の
中性子
等を使うことによって寿命を短くするということ、これも将来のスピンオフの
一つ
で期待できるんですが、そういったことにあります。 それとあと、非常に漠とした言い方をさせていただきますと、一億度の
プラズマ
まで扱う
科学技術
ができているわけですから、
プラズマ応用
を半導体産業、こういったところへは、
核融合
に携わったことのある
研究
者、または
研究
室を卒業した学生たちが採用されて、今の
日本
のITの最先端を支えるというふうな面で貢献しているということが言えると思います。 やはり、我々は
研究
者ですから、なかなか
ビジネス
が上手じゃなくて、これは使えますかというふうな言い方ですと限度があるんですね。ですから、先生、こういう問題があるけれどもどうかというふうなことで来ていただけると、いや、どうですかと引き出しをあけられたりするので大変進む、そういうふうに産学連携はしていかないといかぬのじゃないか、こういうふうに思っております。 ありがとうございます。
輿水恵一
29
○輿水
委員
どうもありがとうございます。 まさに、非常に期待しているのは、
ITER
で、遠隔でちょっと放射化した炉の中を操作する、そういったことが、例えば
福島
の廃炉にも使える
可能性
もあるのではないか。また、先ほどの、
磁場
をコントロールするということで、高精度なMRIで人の、いろいろな医学の進歩にもつながるのではないか。 そんなこともうまく組み合わせながら、この
研究
成果をうまく活用して、さらにこの
核融合炉
がしっかりと作動して
人類
の
太陽
となるようにまた応援をしていきたい、このように感じているわけでございます。 ちょうど時間となってしまいまして、まだまだ聞きたいところがあるんですけれども、さらなる御活躍を御祈念、期待申し上げまして、質問を終わらせていただきます。 大変にありがとうございました。
松野頼久
30
○
松野委員長
次に、島津幸広君。
島津幸広
31
○島津
委員
日本
共産党の島津幸広です。 きょうは、貴重な
意見
、お話をありがとうございました。
核融合
の話を聞きまして、私は、若いころに見た映画の「バック・トゥ・ザ・フューチャー」というのがあるんですけれども、あれを思い出したんですよ。車型のタイムマシンで過去、未来を行き来する映画ですけれども、最初の
燃料
はプルトニウムだったんですよね。ところが、未来から帰ってきたら、生ごみだとか空き缶だとかを入れて
エネルギー
にしている。身近なものが
エネルギー
になるという点で、非常にそういうことを思い出したんです。 きょうも話されましたけれども、先生も、二〇〇八年十月の
プラズマ
・
核融合
学会誌で、
宇宙
に
高度文明
が発見された場合の話として、一万年以上続いている
社会
では必ずや
核融合エネルギー
を
実現
していることでしょうと書かれていました。これを読んで、非常に夢とロマンあふれる話だというふうに感じたわけです。
人類
初の
核融合炉
の
実現
を目指す
ITER計画
ですけれども、しかし、これはまだ本当に初期
段階
にあるわけです。しかも、きょうも話がありましたけれども、スケジュールが遅延し、それにより
コスト
も増大する。追加費用は五十二億ユーロ、約六千五百億円で、
日本
の負担は、
分担
は九・一%ですから、約五百七十億円ほど。昨年の
ITER
機構の
理事
会では、この負担決定は暫定とされたと聞きます。
各国
がその負担増分の引き受けを国内でまとめられるかどうかわからないからだ、こういうわけです。
日本
国内でも、
科学技術
に対する予算は心細く、福祉や医療などが削られる中で、国民の皆さんも予算の使い方には厳しい目を持ち始めています。「もんじゅ」にこれまで一兆円の国費を使ってきたことに対する批判の声も高いものがあります。 先生は、「学術の動向」二〇〇九年四月号で、サイエンスの発展を続けるための原則を六つ挙げられています。そのうちの
一つ
に、
社会
への発信、これを指摘しています。学術に携わる人間は
社会
に正確に発信していかなくてはならない、これでないとサイエンスの発展がない、こういうわけです。これは国民の税金を投入している政府にも言えることだと思うんです。 しかし、
現状
、国民の皆さんがこの
ITER計画
に対してどれだけの理解があるのか、先生の御認識と今後の課題、また、政府としてやっていかなければならないこと、やってほしいことなど、率直な御
意見
をお聞かせ願いたいと思います。
本島修
32
○
本島参考人
日本
の国民の
皆様
の
核融合
に対する認識は、私どもの努力不足もあって、まだまだ不十分なところはあると思います。やはり、それをよりよく御理解いただくためには、特に
ITER計画
でその着実な
進展
を示すことが必要である。 今、ターニングポイントを過ぎて、やはり胸突き八丁のところでございます。ですから、これを乗り越えるべく、いろいろな応援をいただけるととてもいいな、こういうふうに思うわけです。 御質問に直接お答えすべきことは、やはりまだまだ
社会
への発信というのは、こちら側が十分だと思っている部分はないとは思うんですが、不十分で、これからも努力してまいりたい、こういうふうに思います。
島津幸広
33
○島津
委員
ありがとうございました。 ぜひ、政府としても、やはり国民の皆さんへの発信、理解を得ながら進めていくというのは大事だと思うんです。 次に、
核融合
と核分裂、よく比較されるわけですけれども、きょうもお話がありました。
核融合
では、
福島
第一原発事故のように暴走はしない、
核融合反応
を速やかに停止することが可能だ。また、原発の場合は使用済み核
燃料
など高レベル放射性廃棄物が発生しますけれども、その処理
技術
がまだ未確立だ。これに対して、
核融合
では高レベル放射性廃棄物は発生しない、低レベルは出るんですけれども、これはこれまでの
技術
で処理、処分できるというわけです。 先生も、
ITER
機構の特別インタビュー、これを読ませていただいたら、その中で、「
原子力
の場合、
炉心
に大量の
燃料
をあらかじめ装填して、少しずつ
制御
棒を抜きながら燃やしていきます。
制御
不能になるとメルトダウンをおこしてしまいます。そういったリスクが非常に少ないのが
核融合炉
だといえます。
福島
第一原発のような事故は、
核融合炉
では、絶対におきません。」こう述べられているわけです。 さまざまなところで原発に比べての
核融合
の
安全性
を指摘されているわけですけれども、しかし、これは逆に言いますと、
核融合
に対して、核分裂を利用する原発は問題が多く、リスクも高いということの裏返しなわけです。原発の負の遺産がどうなるのか。これは今でも、廃炉の作業というのは非常に長期間、長い年月がかかるわけです。処理できない高レベル放射性廃棄物、使用済み核
燃料
などをどうするかという問題もあるわけです。 私たちは、そういうことを考えると、これ以上、リスクのある原発をふやしていくことはどうなのか、原発から手を引いていくべきではないかと思うんですけれども、この問題での先生の将来的なお見通し、またお考えをお聞かせ願いたいと思います。
本島修
34
○
本島参考人
まず、非常に重要なことと思いますのは、長期的なビジョンが必要になってくるのではないか。
日本
の国力で
核融合
の
実証
炉ができて、
電気
を発電して、それで三割とか五割とかを賄おうというふうにしていくためには、一年間に一個
発電所
を
核融合
でつくっても、百年で百台にしかならないわけですね。ですから、やはり百年ぐらいはかかる。 ですから、その間に政策を維持していただく必要がありますし、将来的には、
核融合炉
が百台になれば、それは
原子力
はもう役目が、御苦労さまでしたということは、私が生きていれば言えると思いますし、その間はいろいろな方法をミックスして考えていっていただく必要がどうしてもあるんじゃないか、こういうふうに思います。
島津幸広
35
○島津
委員
ありがとうございました。 もう
一つ
、
核融合
は原発と比べて
安全性
が高いわけなんですけれども、しかし、リスクがないわけじゃないと思うんです。 例えば、
核融合炉
での爆発というのはまずないわけですけれども、
電気
系統などからの爆発なんかは想定されるんじゃないかと思うんです。もちろん、高レベルの
放射性物質
が拡散される原発に比べて被害は桁違いに少ないわけですけれども、リスクはゼロじゃないと思うんです。安全神話をもとに進められた原発の苦い教訓もあります。
核融合炉
の
開発
に当たって、原発との違い、あるいは
安全性
を強調することとともに、さまざまなリスクも想定して、国民の皆さんにも示して、理解を得ながら進めていくということの必要があると思うんです。 どういうリスクがあるのか、その点、どう国民の皆さんにお示ししていくかということでお話しください。
本島修
36
○
本島参考人
その点、
ITER
での経験、つまり、
フランス
の
原子力
規制当局、ASNからライセンシング、許可を受けたと。その中には、
フランス
の
原子力
規制法に基づく縛りを全て受けておるんです。そのことが大変重要な
実績
になってくると思いますが、やはりその中ではリスクは明確にしております。 放射線的には、何か起こる、例えば上からボルトが落ちて八百立方メーターの一億度の
プラズマ
に当たった、そうすると、
プラズマ
は一遍にとまってしまうわけですが、
トリチウム
は
放射性物質
ですから外へ出てくるわけです。それで、エバキュエーションと申しますが、人の避難とかの
計画
も立てて、それで許認可をいただいています。被曝量については、事故時でも、一般の皆さんには自然放射線レベルで抑えられるような基準でつくっております。 それから、地震ですね。今の
ITER
のサイトは、
日本
で起こるような大陸移動説型の地震は起こらないんですが、やはり局地型の地震はあります。それに対しては、震度七までもつような
構造
をつくって、それで
建物
等の許可をいただく。 それから、津波は来ないんですが、上流にデュランス川という大きな川があって、大きなダムがあるんです。そこから
フランス
の場合はかんがいをしておりまして、発電もしているんですが、豊かな農地をつくっているんです。そこのダムが決壊したときにどうなるのか、こういう評価もしています。これは十五メーターぐらい水位が上がるんです。津波はないといって安心していられないわけでして、リスクとしてはそのリスクが結構怖いものだというのが後で結論として明確になったんです。 そういったことを、
日本
でいえばいわゆるパブコメをいたしまして、
フランス
の場合はコミッションをつくって、そこで一般の
皆様
からの二万件ぐらいの質問を受けましたけれども、対応させていただきました。 そういった経験というのは、私は成功した経験だと思いますから、ほかの国にも応用できることなのではないか、こういうふうに思っております。 以上でございます。
島津幸広
37
○島津
委員
どうもありがとうございました。
松野頼久
38
○
松野委員長
次に、伊東信久君。
伊東信久
39
○伊東(信)
委員
日本
維新の会の伊東信久でございます。
本島
先生、本日は大変興味深いお話をありがとうございます。私、本日先生に御質問ができると思って、きのうから興奮して寝られていない状態なんですよ。 私自身、いろいろ本当に興味があることがいっぱいございまして、できるだけ夢をかなえる、未来に向けて楽しい質問というか、今後の
日本
の未来についてのお話をさせていただきたいわけなんです。 その前提となるところで、
核融合
の閉じ込め
技術
で、
ITER
はトカマク
方式
を使っていまして、先生がかつてLHDをやられていたところでは
ヘリカル
式を使われていまして、本当に素人ながら申しわけないんですけれども、僣越な
意見
になっちゃうんですけれども、やはりねじれをつくって
ヘリカル
にした方が
磁場
をつくる上でもかなり効率的だと思いますし、
ITER
自体がトカマクで進んでいっているんですけれども、とっとと本当に
プラズマ
を発生させることが大事だと思いますし、
ITER
もとっとと進めるべきだと思うんです。 その後、
日本
でやられているBAの
計画
であるJT60、そこがJT60SAになって、今のところトカマクということなんですけれども、トカマクと
ヘリカル
のメリット、デメリットも含めて、
日本
もやはりここで
ヘリカル
の方に進めていくべきじゃないかと私は考えているんですけれども、先生の御所見をお伺いしたいと思います。
本島修
40
○
本島参考人
私はずっと
ヘリカル
の方をやってきましたので、
ITER
へ行きましたときに、最初にヘッドクオーターミーティングをしましたら、そこでロシアの副機構長が、おまえは
ITER
を
ヘリカル
にする気かというふうな質問をしてきまして、そのときに答えました、これは
一言
で黙らせないかぬと思いましたから、あなたは知っていますか、きのうの敵はきょうの友という言葉があるだろうと。それで黙りましたけれども、私は
ITER
の成功のために来たんだ、黙れ、こういうわけです。
ヘリカル
がいいか
トコマック
がいいかについては、現時点ではやはりまだ結論は出せないと思います。ですから、
科学技術
の
開発
ということと、それから学問として、学術としての
研究
をしっかり進めていっていただきたいと思うのはそういうところに理由があります。そういう
基盤
を持っている国が最後に、勝ち負けでいえば、勝てるはずだと思います。
ITER
は
実験炉
ですので、やはり
コスト
が高くなっている理由がありまして、初めてやることですから、
ヘリカル
でやっても一緒ですけれども、これも必要、これも必要、これも必要というふうな最適化はしているわけです。これが、
ITER
の成功の後は、次の
段階
では、これは要らない、これは要らない、これは要らない、それから運転する動作範囲もここからここまでとるという、ちょっと抽象的な言い方ですが、でも、成功した
条件
というのは
一つ
か
二つ
つくるわけですね。では、これだけでいい、そういうつくり方をしますので、
コスト
は随分圧縮できるわけです。 御質問にお答えさせていただきますが、その前に、したがって、
ITER
でできることとできないことがあるわけですね。それは、
一つ
は長時間運転なんです。
ITER
は千秒までしますが、長時間ではありません。ですから、JT60SAをつくって長時間の
実証
をするという
プロジェクト
の意義が出てくるわけです。 それから、
ITER
は早くつくるということでステンレスを使っておりますが、ステンレスはどっちかというと放射化しやすい
材料
なんですね。だから、低
放射化材料
を
開発
して、百年使って百年置いておくと、また普通の工場で溶鉱炉で溶かして使えるというふうなサイクルを確立するための、鉄とかバナジウム系なんですが、その
開発
実証
が必要である。だから
ITER
ではできないわけですね。 将来、
ヘリカル
がいいか
ITER
がいいかというのは、
ITER
自身がその成功の暁にみずから課題を提示する、こういうふうに思います。ですから、その時点で判断していただければいいし、それは、
ヘリカル
も、車でいえばガソリンエンジンとディーゼルエンジンがあって、
一つ
への集中というのは終わりの始まりというふうなこともあり得ますから、幾つか裕度を持たせておいていただいて、
日本
で百台のうちの七十台が
トコマック
で三十台が
ヘリカル
とか、そういうバランスが一番いいんじゃないか、こういうふうに思います。リダンダンシーというか、そういうためにも必要なんじゃないか、こういうふうに思います。
伊東信久
41
○伊東(信)
委員
ありがとうございます。 本当に、
ITER
の
コスト
がかかる原因とか、
ITER
における問題点も御質問しようと思ったんですけれども、今先生がお答えいただいたことで、私自身、すとんと落ちた気がします。 加えて、先ほど先生、カミオカンデ、
梶田先生
のお話をされていましたけれども、昨年、カミオカンデの方に科技特で行かせていただきまして、そのときに、いわゆるブラックホールの連星の重力波を観察するKAGRAを見まして、KAGRA自体はその観察にNdYAG
レーザー
を使っていまして、私自身、椎間板ヘルニアの
レーザー
治療にNdYAG
レーザー
を使っていますので、ちょっと喜んでいたんですね。 今回の
核融合
の閉じ込め
方式
の中に、もう
一つ
、
レーザー方式
というのがございますけれども、文献を読んだところで、何の
レーザー
スペックを使っているかというのをきっちりと書いていないところもあったんですけれども、そもそも、今回、一億度を超えられたというのは非常にすばらしい業績だと思いますし、二億度に向けてなんですけれども、そもそも
太陽
は千五百万度で
核融合
を起こしていまして、そこに高密度、高圧というのがあると思うんですけれども、そこに何かしら、例えば
レーザー方式
の方が有利になるところがあるのか、それとも、やはり
ヘリカル
、トカマクのような、空間で閉じ込める方がいいのか、
レーザー方式
に対する未来の展望について、先生の御所見をお伺いしたいと思います。
本島修
42
○
本島参考人
レーザー方式
は大変興味深い
方式
でして、もう既に大阪
大学
、学術
研究
、学問としてかなり大きな
規模
になっているんですが、私は
日本
としても続けていただきたい、こういうふうに思っています。
レーザー
については、瞬間的に
反応
を起こさせますので、
反応
そのものの原理は一緒なんですが、メカニズムが大分違うという点があって、興味深いことが多々出てくる
可能性
はあると思いますし、それから、今御指摘になった医療応用への広がりというのも期待できますし、
物質
の新しい状態をつくり出すというふうな全く別の学問、それから、
宇宙
創成のときの状態のシミュレーションができれば、それはそれですばらしいですし、そういったことを、いろいろなところへ活路を見出していっていただければと。
レーザー
で今後の課題というのは、いわゆるペレットゲインと申しまして、
レーザー
の効率を百倍ぐらい上げる必要があるんですね。ですから、これはもちろん大阪
大学
、それから
世界
的には
アメリカ
のリバモア等で行われていますが、そこにさらに集中していただくと評価がついてくるんじゃないか、こういうふうに思います。 あと、
一つ
だけ阪大
方式
について特徴を申し上げたいと思うんですが、我々の
研究
というのは全然違うんですが、
アメリカ
の場合は水爆のシミュレーションとして使うというのがあるんですね。実際の
実験
ができないので、リバモアの場合は水爆のシミュレーションをする。阪大がそうかというと、実は違うんです。阪大の場合は、高速点火という効率的な
方式
を独自に提案して、それで今
実験
をしているわけですが、シミュレーションに使うタイムスケール、要するにどれぐらいの時間で、非常に早いんですけれども、それが高速点火の場合はさらに十倍早いんですね。だから、シミュレーションにならないんです。ということは、阪大の
方式
はもう純然たる平和利用ですよということが言えまして、これが大きな特徴になっていくんじゃないか、こういうふうに思います。
伊東信久
43
○伊東(信)
委員
ありがとうございます。 本当にいろいろお話は尽きないんですけれども、時間になったので終わります。本当にありがとうございました。
松野頼久
44
○
松野委員長
以上で各会派を代表する
委員
の
質疑
は終わりました。 これより自由
質疑
を行います。 この際、
委員
各位に申し上げます。
質疑
のある
委員
は、お手元のネームプレートをお立ていただき、
委員長
の許可を得て
発言
されるようお願いいたします。
発言
が終わりましたら、ネームプレートをお戻しください。また、
発言
の際は、所属会派及び氏名をお述べください。 なお、
理事
会の協議によりまして、一回の
発言
時間は二分以内となっておりますので、
委員
各位の御協力をお願い申し上げます。 それでは、
質疑
のある方はネームプレートをお立てください。
尾身朝子
45
○尾身
委員
発言
の機会をいただきまして、ありがとうございます。自由民主党・無所属の会の尾身朝子です。
本島参考人
の大変有意義な、そして熱い思いを拝聴させていただき、本当にありがとうございます。
核融合エネルギー
が、
エネルギー
問題と
環境
問題、さらには
資源
の地政学的問題を根本的に解決するという点で、まさに
人類
社会
の発展に不可欠な、安全かつ恒久的な究極の
エネルギー
であるということを改めて認識いたしました。 そして、
核融合エネルギー
の早期
実現
を目指す
ITER計画
は、
技術
的先進性に伴う課題や東
日本
大震災などのさまざまな困難を乗り越えて、この十年で大きく前進したと感じております。 先ほど、折り返し地点を通過したというお話もございました。
我が国
は、前人未到のビッグ
プロジェクト
を創成期から牽引してきており、現在でも、
ITER計画
の準
ホスト国
として、着実な役割を果たしてきております。
本島参考人
を初めとする関係者の
皆様
の御努力に、心より敬意を表したいと思います。 一方、息の長い
ITER計画
は、現世代の私たちにはその恩恵が見えにくい中で、最先端
プロジェクト
ゆえのスケジュールの遅延や
コスト
増があり、
ITER計画
に対して厳しい御
意見
があることも承知しています。 改めるべきは改めるとしても、
我が国
は、
科学技術
イノベーション
の先進国として、長期的、さらに超長期的ビジョンを見据えて、
人類
社会
の未来への責任を果たす義務があると考えます。加えて、
我が国
は、
ITER計画
において、先ほどお話にありましたとおり、
超電導コイル
などの主要な
機器
の製作を担当しており、その過程でさまざまな
イノベーション
創出に貢献しているということも忘れてはなりません。 したがって、
我が国
は、今後とも
ITER計画
をリードし、
核融合エネルギー
の早期
実現
を国家的課題として進めていくべきだと考えております。 そこで、お伺いいたします。
核融合エネルギー
の早期
実現
のために
我が国
の
核融合研究開発
をどう進めていくべきか、そして、
核融合エネルギー
が
実現
した暁にはどのような明るい
社会
が訪れるのか、
本島参考人
の熱いビジョンをぜひお聞かせください。
本島修
46
○
本島参考人
ありがとうございます。 まず、どのように進めるべきかについては、やはり、ここまで
日本
の
核融合研究
が、私の経験としましても成功してきているわけですので、それは、
基盤
をしっかりつくっていって、
開発
の部分とサイエンス、学術の部分とを車の両輪として進めてきた点にあると言えます。ですから、今後もそれを、その分
コスト
がかかる部分が出てくると思いますが、ぜひ続けていただきたい。つまり、
日本
の
科学技術
の
基盤
の
一つ
として、しっかり維持して育てていっていただけないか、そこの点になるかと思います。 そうしますと、人も、
研究
者だけじゃなくて、
企業
とか、それから
ビジネス
の
世界
にもいろいろと育って、広がっていく、こういうふうに思います。 それから、どういう
社会
かということにつきましては、やはり、これはもう夢になると思うんですが、
炭酸ガス
がフリーな
社会
というのは非常に貴重で、我々
人類
の、もちろん
人類
だけではなくて、いろいろな生命体も含めて、生物も含めて、選択肢が広がるということだと思うんです。ですから、我々が人間として、知的な動物、責任をそれだけ多く負うわけですが、視野が広がることにつながるはずで、より平和になる
社会
がつくれるのではないか、そのように思います。
尾身朝子
47
○尾身
委員
ありがとうございました。
伊藤渉
48
○伊藤(渉)
委員
御
発言
の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。公明党の衆議院議員の伊藤渉でございます。 改めまして、きょうは
本島
先生には貴重なお話、そしてお時間をいただきまして、本当にありがとうございます。
ITER計画
、大変夢のある重要な取り組みでございますし、この
科学技術
特別
委員会
に籍を置く、私のみならず全ての議員が、そのために必要な予算を獲得するために、またこれを機会にさらに力を入れてまいりますことをお誓い申し上げたいと思います。 その上で、私は、ちょっと非常に素朴なことをお伺いしたいと思って、きょうは手を挙げさせていただきました。 かつて
原子力
発電の
技術
者の方とお話をしたときに、高濃度放射性廃棄物の処分について、彼は私にこう言ったんです。究極は、その廃棄物は何らかの形で
太陽
に届ければ全て解決するんだと。 私は、単純に、燃えてしまうのかなぐらいに思ったわけですけれども、そのときはそう深く議論をする時間がなかったので、そもそもそういうことが論理的にはあり得るのか、もしそうだとすると、まさに
核融合
ということが人工的に可能な
時代
になれば、
原子力
発電における高濃度廃棄物の問題も解決の糸口が出てくるというふうに理解をしてよろしいのか、こういうことをきょうぜひお伺いしたいと思って参りました。よろしくお願いいたします。
本島修
49
○
本島参考人
まず、
太陽
に打ち込むという点については、私は考えたことがないので、さあ、どうかなと思うんですが、まず
太陽
は、あれだけ、
地球
の三十三万倍でしたか、重さがありますけれども、
太陽
の、四十六億年ほとんど、一%、二%でしか、
核融合反応
ですね、変わっていないのに、影響があってはいけないんじゃないか、そういう懸念があると思います。
技術
的には、
太陽
の重力は非常に大きいので、打ち込むのは、
太陽
ぐらいの大きい星からロケットを打ち出すのと同じぐらいの
エネルギー
、つまりブレーキをかけないといかぬわけですね。だから、
エネルギー
的には恐らく収支がつかないんじゃないか、こういうふうに思います。つまり、不可能なんじゃないかなと思います。 むしろ、
核融合プラント
から出る
中性子
またはミューオンとか、今ミューオンを使って
福島
をはかるような
技術
もできているとおり、いろいろ発達してきていますが、よくわかってきているんですね。
核融合
の
装置
の一部でそういうことを、高レベルの放射性廃棄物を、長寿命のものをもう一回核
反応
させて、核
反応
と言うと、気安く言えないことなんですけれども、百年とか短寿命に変えてしまえば、そこで熱が新たに出て冷却の問題とかいろいろ解決する必要はあるんですが、
可能性
としては
研究
の余地が十分あると思います。 そのためには、かなり大きな
研究
施設をつくる必要がありますので、それなりの投資をしていただく必要があるな、こういうふうに思いますが、
可能性
としては十分ある、おもしろい、おもしろいというより興味深いことだと思います。 最後に
一言
申し上げれば、廃棄物は地上の
ミニ太陽
に持ってきてください、
太陽
ではなくて、こんなふうに思います。 以上です。
伊藤渉
50
○伊藤(渉)
委員
ある意味、突拍子もない御質問に丁寧にお答えいただいて、ありがとうございます。大変勉強になりました。 そして、やはりきょう先生のお話を聞いていて、夢を持って、我々、特に政治に携わる者が取り組みを進めていくということの重要性を改めて認識させていただきました。本当に貴重な機会をありがとうございました。
津村啓介
51
○津村
委員
民進党の津村啓介と申します。手短に
二つ
伺いたいと思います。 今、
日本
は、大きなビッグサイエンスの
プロジェクト
として国際リニアコライダーの誘致ということを議論しているわけですけれども、私もその誘致のメンバーの一人としてワシントンにこのゴールデンウイークに行ってきたんですが、
ITER
のマネジメントについては、厳しい評価も含めて、いろいろな注意事項を聞いてまいりました。 先生は、
ITER
誘致については
フランス
と
日本
はある意味でライバル関係にあったわけですけれども、その
フランス
に
日本
から行かれて、今後、
日本
がリニアコライダーのようなビッグサイエンスを誘致するに当たって工夫すべきことであるとか、あるいは慎重に考えるべきこととか、いろいろ思われることがあったと思いますので、その御所見を聞きたいというのが
一つ
目です。 もう
一つ
は、きょうは
核融合
の話に若干終始しているわけですけれども、ちょっと視野を広く広げさせていただきまして、これからもこういう大きなサイエンスに国民の理解を得て大きな予算を使うのはなかなか大変なことだと思うんですけれども、
科学技術
予算全体の配分を我々政治家なり行政が考えていくときに、すぐに成果が出るもの、なかなか成果が出ないもの、いろいろあるわけですけれども、どういったスタンダードを用いていくべきなのか、今の予算配分に対する先生の御
意見
を伺いたいと思います。
本島修
52
○
本島参考人
リニアコライダーにつきましては、私、それほど承知していないものですから、適切なお答えができるかどうか、ちょっと自信がないんですけれども、
物質
の本質を探る、それから
日本
の、特に高
エネルギー
研での
研究
の
実績
、それを発展させていこうという
プロジェクト
については、大変ポジティブに受けとめております。ですから、できるだけ合理的に、ロー
コスト
で、ただし、
計画
立ち上げの
段階
でしっかりした
計画
をつくっていただくということが重要なんじゃないか、こういうふうに思います。 それから、リニアコライダーの場合は、コンポーネントが、それぞれのマグネットが比較的小さいですから、物納
方式
というのが非常にフィットしてくるのではないか、こういうふうに思っております。 あとは、あちらは間違いなく学術
研究
ですから、
ノーベル賞
に届く
研究
シナリオをしっかりつくっていただくことが重要なのではないか、こういうふうにエールを送らせていただきたいと思います。 それから、予算の配分につきましては、やはり集中と選択が今後必要になっていくのではないか、こういうふうに思います。 そのために、例えば、それが
研究
者の時限雇用とかそういう方向に行ってしまうのはできるだけ避けていただきたい。若い人を長期的な展望を持って、そのためには生活もしていけるようにする必要があるし、海外にも出ていって、帰ってこられるようにする必要もありますね。そういうところのソフト面の仕組みはぜひつくっていただきたい。 あとは、
研究
テーマについては、いつまでも同じものをしていくというわけにはいかないと思いますので、集中と選択ということが少しずつ必要になってくるんじゃないか、こういうふうに思います。
津村啓介
53
○津村
委員
ありがとうございます。
鈴木義弘
54
○鈴木(義)
委員
本日はありがとうございます。 二点だけお尋ねしたいんですけれども、御説明いただいた中で、
ニュートリノ
がたくさん出てくるから、使い道が、いろいろな壮大な想定ができるんだというんですけれども、昔、小柴先生の講演を聞いたことがありまして、私たちの手をかざしても
ニュートリノ
は透過しちゃうんだというんですね。それで、
核融合
の施設ができたときに、
ニュートリノ
を、では捕捉するとか保持するということが今の
技術
でできるのかというのが
一つ
。 あと、
プラズマ
の温度を一億二千万度に上げれば
実用化
に一歩近づくんだというんですけれども、今一億度まで上がってきたんですけれども、ちょっと想像ができないんですけれども、何千度という単位だったらわかるんですけれども、一瞬なんだと思うんですね。その辺を、ではあと何年かければ一億から一億二千万、では一億二千万でいいのか、一億五千万になるのかといって、どんどんどんどん追っかけていってしまうので、二十年、三十年で
実用化
できるといったら、また三十年になりました、またこれから先三十年になりますという話になるので、予算の投下が無駄じゃないかというような批判が出てくるんだと思うんです。 あと何年というのがきちっとプログラムできるのかどうか、そこのところを教えていただきたいと思います。
本島修
55
○
本島参考人
まず、
ニュートリノ
ですが、小柴、梶田両先生が
ノーベル賞
をとられて、
日本
の非常にすぐれた
研究
分野でございます。 今、先生の体を
太陽
から飛んでくる
ニュートリノ
が、先生だけじゃないです、全員ですが、一秒間に一平方センチ当たり六百六十億個当たっているんです。感じませんでしょう。これが放射線だったら大変なわけです。我々はもうとっくに消滅しているわけです。でも、それだけ飛んできている。ほんのちょっと
反応
するわけですね。ですから、カミオカンデ、スーパーカミオカンデで検出できた。 それから、恒星の中とか何でも突き抜けますから、
太陽
系外惑星で四万光年とかのところで一万年ぐらい続いている
文明
があれば
核融合発電所
を持っていますから、それに一種の
ニュートリノ
望遠鏡をつくって焦点を合わせれば、今の検出感度が一万倍とか上がらないといけませんのでまだまだ先の長い話をしているわけですね。十分検出は可能だと言えると思います。 それから、変動の仕方が人為的になりますでしょう、昼と夜がかわったりとか、一年で一回とまったりとか。そういうのは、弁別閾と申しまして、検出感度を上げることはできるんですね。
ニュートリノ
の、超新星爆発のときにわっと来たので昔のカミオカンデでも検出できた、そういうことがございます。 そういう意味で、今の
技術
ではできませんが、できる
可能性
はあるんじゃないか、こういうふうにカミオカンデのグループには申したことがありますが、まだ彼らもそこまで手が回っていないみたいですので、先を楽しみにしているところです。 それから、温度ですが、温度の定義は、我々は今二十五度ぐらいの
世界
に住んでおりますが、いわゆる熱平衡状態、ここも空気も大体同じ温度というわけです。 一億度と申しますが、既に
量子放射線機構
のJT60アップグレードという
装置
では五億度ぐらいの温度は出しておりますので、温度的にはもうターゲットはクリアできている、こういう言い方をさせていただけると思います。 温度のイメージは、非常に温度が高い、例えば
太陽
の中心は一千五百万度ぐらいあるんですが、表面は五千度ぐらいですね。今我々が、こうやって、すりガラス等で見られる
太陽
の温度というのは五千度ぐらいなんです。やはり熱平衡状態で決まってくるんですね。そういうイメージで一億度、私もさわったことがないので何とも、さわるとどうなるかとかいうことはよう言いませんけれども、ただ、薄いですから、何か風船が爆発するようなイメージの状態ではありません。
鈴木義弘
56
○鈴木(義)
委員
ありがとうございます。
島津幸広
57
○島津
委員
二回目ですが、よろしくお願いいたします。 ちょっと角度を変えるんですけれども、
核融合
の
研究
開発
は、二〇一六年四月に、当初の
日本
原子力
研究
開発
機構から分離されて、放射線医学総合
研究所
から名称変更された量子
科学技術
研究
開発
機構に移されました。この量研機構のホーム
ページ
を見ますと、「量子
科学技術
に関する
研究
開発
や放射線の人体への影響、被ばく医療並びに放射線の医学的利用に関する
研究
開発
等の業務を総合的に行うことにより、量子
科学技術
と放射線医学に関する
科学技術
の水準の向上を図ることを使命とします。」こうありました。
日本
原子力
研究
開発
機構は
福島
の原発事故後も国策として進められている原発の推進を担って、
核融合
の
研究
開発
は医療の
研究
や
技術
とともに進めていくというふうに読めるんですけれども、このことで、
核融合
の
研究
というのは格下げされたんじゃないか、こういう
意見
を聞きました。 移行した経緯、もし承知しておられるようでしたら教えていただきたいし、このことに対する先生の御認識をお伺いしたいと思います。
本島修
58
○
本島参考人
そのときはまだ
フランス
におりました関係で、余り詳細には存じておりません。 ただ、私の経験でも、幾つかの
大学
共同利用機関、
核融合科学研究所
もそうですが、全部で十六、そのころはありましたけれども、二〇〇三年でしたか、四つの大きな
研究
機構に統合されて、マネジメントの強化とそれから予算等の合理化が図られているわけです。 私が承知しておりますのは、外から見ておりましたので不正確な点があるかと思いますが、やはり当時の
原子力
機構が、非常に大きな組織になっておりますし、サイクル機構を随分前に統合しておりますし、「もんじゅ」のこと等もまだ懸案事項として残っておりましたので、
原子力
とは違う、
核融合
を分離するという力が働いたのではないか、こういうふうに思っております。 決して格下げではないというふうに、彼ら自身が頑張っていただきたい、こういうふうに思いますし、頑張っていると思います。やはり
ITER
の直接の担当部局ですから、しっかりしていただきたい、こういうふうに思います。
島津幸広
59
○島津
委員
ありがとうございました。
伊東信久
60
○伊東(信)
委員
二回目ですので、私も手短に一問だけ質問させていただきます。 今医学の
世界
で、BNCT、硼素
中性子
捕捉療法、ボロン・ニュートロン・キャプチャー・セラピーというのが注目されていまして、がん細胞に硼素が取り込まれて、そこに
中性子
を当てて、細胞内だけ放射線が出て、ほかの細胞を傷つけないという画期的な治療法なんですけれども、問題はこの
中性子
の加速でして、加速器というのは、ビル一棟分、それを回転性にして大分コンパクトにはなったんですけれども、
中性子
自体を閉じ込めるところというのが問題なんです。
ITER
の炉内での
中性子
も、壁に当たれば放射線が発生するし、劣化もすると思うんですけれども、これがそのまま応用に使えると思うんですけれども、
ITER
及び今の
研究
の
中性子
の扱いの、
材料
も含めて、どのようなことになっているか、先生から御所見をお伺いしたいと思います。
本島修
61
○
本島参考人
中性子
の難しい点は、加速器等から出てくる荷電粒子ではありませんので、したがって、どこかに焦点を合わすということが、理論的にはあり得るんですが、現在、
技術
的には完成していないところがあるんです。 ですから、今のボロン、ニュートロンの治療法も、昔は、例えば京都
大学
の熊取の
実験
用
原子炉
に患者さんの、ボランティアですね、頭を突っ込んでという、そういう
実験
をしたぐらいで、
原子力
研究所
でも、たしかしたと思います。やはり難しかったようですね。 ですから、今、先生もおっしゃられた、私、そちらの専門ではありませんのでちょっとよくわからないところはありますが、加速器を使って放射線を出して、それが人体の中を生理学的には透過しやすいような
エネルギー
にしておいて、ボロンの近くで
中性子
に変えるとか、そういう方法も検討されているのではないかと思います。そうしますと、積極的に、例えば大脳の中にできたがん細胞を患者に負担を与えずに消滅させることもできるかもしれないな、そういうふうに思いながら御質問を伺っておりました。 昔と比べると、また全然違う方法でボロンを使った
研究
が進んでいるというふうに言えると思います。 以上でございます。
伊東信久
62
○伊東(信)
委員
ありがとうございます。
松野頼久
63
○
松野委員長
これにて
参考人
に対する
質疑
は終わりました。 この際、
本島参考人
に
一言
御礼を申し上げます。
本島参考人
には、貴重な御
意見
をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。
委員会
を代表して厚く御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。(拍手) 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時五十一分散会