○東徹君
日本維新の会の東徹です。
会派を代表して、本日の
議題である
公的年金制度の
持続可能性の
向上を図るための
国民年金法等の一部を
改正する
法律案について
質問いたします。
まず初めに、
年金制度への
信頼確保について
伺います。
政府は、
平成十六年の
制度改正により、現在の
年金制度が百年安心であると主張してきました。しかしながら、
国民の間に、
保険料を納めても将来
年金がもらえるかどうか分からない、もらえるとしても
給付額が少なく
老後の
生活の頼りにならないという不安がまだまだ残っております。特に若い
世代では、免除等を含む実質的
納付率につき、
平成二十七年度で、二十五歳から二十九歳が三二・二%、三十歳から三十四歳が三九・七%と他の
世代に比べて低くなっており、若い
世代ほど
年金制度への
信頼が低い
状況が続いています。まずは、
国民年金制度に対する
信頼をいかに確保していくかということが重要と
考えます。
特に若い
世代から
年金制度への
信頼を確保するために何をなすべきなのか、
安倍総理に御
見解をお
伺いいたします。
短時間
労働者への
被用者保険の
適用拡大について
伺います。
従業員が五百一人以上の
企業について、今年十月より、短時間
労働者への
被用者保険の
適用拡大が行われました。本
法案では、五百人以下の
企業についても労使の合意があれば同様の
適用拡大が可能となっている
内容となっています。これらによって、
保険料負担のなかった
国民年金の第三号被
保険者の一部が第二号被
保険者となって
保険料を負担し、
年金制度の
支え手となること、また、就労が
促進され、我が国の
労働力不足を補うことが期待されます。
本
法案による
適用拡大の
対象者数は五十万人程度と想定されていますが、我が国には九百万人を超える短時間
労働者がおり、今後
適用拡大をどこまで進めていくのか、
安倍総理の御
見解を
伺います。
あわせて、既に共働き世帯数が専業主婦世帯数を上回っている中、特に自営業者の配偶者よりサラリーマンの配偶者を優遇するものと言われている第三号被
保険者制度について、
国民の間の不公平感を解消するため、今後どのように改めていくのか、
安倍総理の御
見解をお
伺いいたします。
キャリーオーバー
制度について
伺います。
この
制度は、
マクロ経済スライドで、景気後退期の未
調整分を
景気回復期の
調整に上乗せするものですが、ここ十年の我が国のように
経済が十分に成長しない場合、未
調整分が累積し、景気が良くても
年金額が上がらない
状況が続いています。この点、
国民に十分な
説明を行う必要がありますが、塩崎
大臣の御
見解をお
伺いします。
年金支給開始年齢の引上げについて
伺います。
日本維新の会は、今年七月に行われた参議院選挙のマニフェストにおいて、
高齢者雇用の創出を図った上で
年金の支給開始年齢を段階的に引き上げることを主張しました。
平成二十六年の
財政検証におけるケースHのように、
経済成長が十分でない場合には、
マクロ経済スライドが十分に機能せず、将来の
所得代替率が五〇%を下回ってしまう上、積立金が枯渇してしまう可能性があります。このような
状況において、
年金の
給付水準を確保するためには、現在の上限が固定されている
保険料を値上げするか、
給付対象者を減らすために支給開始年齢を引き上げるなどの
措置をとるほかありません。
アメリカやドイツなど他国を見れば、
公的年金制度を持続させるため、平均寿命の延びに合わせた支給開始年齢の引上げが行われています。我が国においても、
高齢者雇用の創出を図りつつ、支給開始年齢の引上げを検討するべきと
考えますが、
安倍総理の御
見解を
伺います。
また、
政府は、支給開始年齢について、
年金財政の
観点というより、就労
期間と引退
期間のバランスなどの
観点から検討すべきものと主張しています。そこで、例えばフランスのように、満額の
年金を受給するために必要な
保険料拠出
期間と
年金の平均受給
期間を一定の割合に保つため、受給開始年齢を変更する
仕組みを我が国に導入する
考えがあるのかどうか、塩崎
大臣の御
見解を
伺います。
また、支給開始年齢の引上げは
高齢者雇用や低
年金者への対応などとセットで
考える必要があり、働くことに対するインセンティブを確保することが重要です。勤労税額控除は、勤労
所得のある世帯に対して勤労を条件に税額控除を与え、
所得が低く控除し切れない場合には
給付するもので、従来の
社会保障給付とは異なり、働けば働くほど手取り額が増える、そういう
仕組みです。
アメリカやイギリスなど十か国以上で導入されており、勤労意欲を
促進する
効果があると言われています。我が国でも勤労税額控除
制度を導入するべきと
考えますが、
安倍総理の
見解をお
伺いします。
歳入庁の設置についてお
伺いします。
公的年金制度を始め、我が国では
社会保障が保険
制度によるものとされています。
国民は、税と同様、
保険料を納めることが求められており、
国民の間の不公平感を解消するためにも、徴収コストを抑えつつ、
保険料の徴収強化を進めることが必要です。
歳入庁の設置については、
平成二十五年八月に
政府の検討チームによって論点整理が行われたことは承知しておりますが、その議事要旨を見てみますと、歳入庁を検討したというよりは徴収方法の検討にとどまり、歳入庁については全く検討されておりません。検討したというのは大うそであります。
また、現在、国税庁と
厚生労働省、
日本年金機構が連携を進めているとのことですが、
日本年金機構から国税庁への強制徴収の委任は
平成二十七年度まで三十四件にとどまっており、組織の壁を越えた連携は十分とは言えず、縦割り行政の体質はそう簡単に変わるわけではありません。
日本年金機構は、正規、非正規合わせて職員数二万一千七百八十七人の巨大組織であり、その身分は非公務員ながら人件費は国費で賄われていることから、組織の統合によって人件費の削減や事務所の統廃合などの効率化を進め、コストを削減することが可能です。また、利用者にとっても、統合により税務署と
年金事務所に別々の場所で手続を行う必要がなくなるという
メリットが生じます。
歳入庁の設置を今度は真剣にしっかりと検討するべきと
考えますが、
安倍総理の御
見解をお
伺いいたします。
国民年金保険料の徴収
業務は、
平成十四年度に市町村から旧
社会保険庁へ移管されました。それにより徴収
体制が弱体化して、
納付率もそれまで七〇%を超えていたものが六二・八%に急落し、その後低迷を続けております。現在の
年金事務所は三百十二か所しかなく、
日本年金機構が
納付率を大幅に
改善するには限界があります。
平成二十七年度における
国民年金保険料の不納欠損及び時効消滅額は六千四百三十二億円と極めて大きく、これは、ただ本人の将来もらえる
年金が減るということだけではなくて、将来の
生活保護者の増加につながるほか、積立金の
減少に伴い
年金財政にも悪
影響が生じてしまいます。
納付率を大幅に
向上させ、
年金財政を維持し、また低
年金者や
生活保護者の増加を防ぐためにも、歳入庁の設置に併せて、
国民年金保険料と
国民健康
保険料の納付をセットとするなど、抜本的な
改革を行うべきではないかと
考えますが、
安倍総理の
見解をお
伺いします。
現在、我が国の財政
状況が厳しい中、少子高齢
社会、
人口減少社会による
社会保障制度そのものが大変厳しい
状況にあります。
年金財政も大変厳しい
状況にあることは言うまでもありません。現在の
高齢者のことを
考えることは当然大事ではありますが、今の
現役世代の人たちやさらにこれからの若い
世代の人たちのことも
考える上で本
法案は大変重要なものであります。
批判も反論も多々あることと思いますが、将来
世代のことを
考えて是非とも真剣に議論すべきことを申し上げて、
質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(
拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君
登壇、
拍手〕