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2016-11-28 第192回国会 参議院 本会議 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十八年十一月二十八日(月曜日)    午前十時一分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第十四号   平成二十八年十一月二十八日    午前十時開議  第一 国務大臣報告に関する件(平成二十七   年度決算概要について)  第二 公職選挙法及び最高裁判所裁判官国民審   査法の一部を改正する法律案内閣提出、衆   議院送付)  第三 公職選挙法の一部を改正する法律案(衆   議院提出)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  議事日程のとおり      ─────・─────
  2. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) これより会議を開きます。  日程第一 国務大臣報告に関する件(平成二十七年度決算概要について)  財務大臣から発言を求められております。発言を許します。財務大臣麻生太郎君。    〔国務大臣麻生太郎登壇拍手
  3. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 平成二十七年度一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書会計検査院検査報告とともに国会に提出し、また、平成二十七年度の国の債権の現在額並びに物品増減及び現在額につきましても国会報告をいたしておりますので、その概要を御説明申し上げます。  まず、平成二十七年度一般会計決算につきましては、歳入決算額は百二兆一千七百五十三億円余、歳出決算額は九十八兆二千三百三億円余であり、差引き三兆九千四百四十九億円余の剰余を生じております。  この剰余金は、財政法第四十一条の規定により、既に平成二十八年度一般会計歳入に繰り入れております。  なお、平成二十七年度における財政法第六条の純剰余金は二千五百四十四億円余となります。  以上の決算額予算額と比較いたしますと、歳入につきましては、予算額九十九兆六千六百三十二億円余に比べて二兆五千百二十億円余の増加となります。この増加額は、前年度剰余金受入れ予算額に比べて増加した額三兆六千四百九十八億円余が含まれておりますので、これを差し引きますと、歳入の純減少額は一兆一千三百七十八億円余となります。  一方、歳出につきましては、予算額九十九兆六千六百三十二億円余に、平成二十六年度からの繰越額三兆六千四十八億円余を加えました歳出予算現額百三兆二千六百八十一億円余に対し、支出済歳出額は九十八兆二千三百三億円余であり、その差額は五兆三百七十八億円余となります。このうち平成二十八年度への繰越額は三兆五千九百十九億円余であり、不用額は一兆四千四百五十九億円余となっております。  なお、歳出のうち、予備費につきましては、その予算額は三千五百億円であり、その使用額は一千八百億円余であります。  次に、平成二十七年度特別会計決算でありますが、同年度における特別会計の数は十四であり、これらの決算内容につきましては、特別会計歳入歳出のとおりであります。  次に、平成二十七年度における国税収納金整理資金受入れ及び支払につきましては、同資金への収納済額は七十三兆四千百六十七億円余であり、一般会計歳入への組入額等は七十二兆二千百九十六億円余でありまして、差引き一兆一千九百七十一億円余が平成二十七年度末の資金残高となります。  次に、平成二十七年度政府関係機関決算でありますが、その内容につきましては、それぞれの決算書のとおりであります。  次に、国の債権の現在額につきましては、平成二十七年度末における国の債権総額は二百二十六兆四千二百六十九億円余であります。  次に、物品増減及び現在額につきましては、平成二十七年度中における純増加額は二千三百三十九億円余であります。これを前年度末現在額十二兆二千八十四億円余に加えますと、平成二十七年度末における物品総額は十二兆四千四百二十四億円余となります。  以上が、平成二十七年度一般会計歳入歳出決算等概要であります。  なお、平成二十七年度予算執行につきましては、予算の効率的な使用経理の適正な処理に努めてきたところではありますが、なお会計検査院から四百五十五件の不当事項等について指摘を受けましたことは誠に遺憾であります。  今後とも、予算執行に当たりましては一層配慮をいたし、その適正な処理に努めてまいる所存であります。  何とぞ御審議のほどよろしくお願いを申し上げます。(拍手)     ─────────────
  4. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。松下新平君。    〔松下新平登壇拍手
  5. 松下新平

    松下新平君 自由民主党松下新平です。  私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました平成二十七年度決算について質問をいたします。  平成二十七年度決算は、去る十一月十八日に国会に提出されました。二院制の下で、我々参議院は、決算審査を重視し、その審査結果を次年度予算編成反映させることを求めてまいりました。今年度例年どおり十一月に提出されたことを評価いたします。その上で、政府に対しては、今後の決算審査の結果を的確に予算編成反映させるよう求めたいと考えます。  まず、安倍総理に、決算審査予算編成への反映についてお伺いいたします。  次に、平成二十七年度決算に対する評価について、麻生財務大臣にお伺いします。  平成二十七年度決算は、税収が五十六・三兆円と前年度より二・三兆円以上増え、新規国債発行額は三十四・九兆円と前年度より三・五兆円以上減っています。この結果、公債依存度は三九・〇%から三五・五%に低下しており、財政健全化への努力の成果が見られます。  一般会計歳出を見ると、総額は九十八・二兆円と、前年度より僅かに減っています。内訳は、社会保障関係費が一・二兆円以上の増加となった一方で、公共事業関係費地方交付税交付金、文教及び科学振興費などが減額となっています。高齢化が進む中で、社会保障関係費が増えて他の歳出が圧迫されるという構造が現れた形となっています。  総理は、消費税率の引上げを平成三十一年十月まで延期するという御判断をされました。世界的な経済状況等考えると、苦渋の御決断であったと考えますが、これによって、今後更に工夫し、知恵を結集した財政運営が迫られます。  そこで、以上の点を踏まえ、平成二十七年度決算への評価と今後の財政運営基本方針について、麻生財務大臣に御見解をお伺いいたします。  最後に、会計検査院による平成二十七年度決算検査報告について麻生大臣に伺います。  平成二十七年度決算検査報告では、指摘金額が一・二兆円と大きかったのは、預金保険機構金融機能早期健全化勘定において一・一兆円の余裕資金指摘されたことによるものです。  この勘定は、預金保険機構整理回収機構を通じて金融機関資本増強措置を行うための資金を管理しています。金融機能早期健全化法規定によって、同法に関する業務以外の用途には使用できず、勘定が廃止されるまでは国庫納付もできないことになっています。  これは、金融庁預金保険機構の怠慢ではなく、法律規定でそうなっているわけですが、この結果、この業務使用する見込みがなく国庫納付もできない資金が一兆円以上余っていると指摘されました。会計検査院は、この資金有効活用するため、国庫納付やその他の使い方ができる制度整備を求めています。  金融機能早期健全化法案は、平成十年十月、金融システム安定化のために議員立法により成立したものでありますが、財政状況が厳しい中で一兆円もの資金を余らせておくのは適切ではなく、是非有効活用を図るべきと考えます。法改正を含め、早急に活用方策を行うべきだと考えますが、麻生大臣、いかがでしょうか。  世界パワーバランスが大きく変化し、保護主義が蔓延しつつある中で、日本の真価が問われます。世界リーダーが交代するここ数年、まさに、実績と信頼を積み上げてこられた安倍総理世界リーダーとして大きな期待が寄せられています。  二院制の下で、我々参議院に対する国民期待は、目先の議論に終始することなく、中長期的な視点に立って本質的な議論をし、あるべき将来像を国民にお示しすることです。改めて、参議院ならでは審議を呼びかけまして、私の代表質問といたします。  ありがとうございました。(拍手)    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇拍手
  6. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 松下新平議員お答えをいたします。  決算審査予算反映についてお尋ねがありました。  国会における決算審査は、執行された予算が所期の目的を果たしているか等について御審議いただき、その後の予算編成等反映させていくものであり、重要なものと認識しております。参議院において、これまでも決算審査の充実に取り組まれてきたことに改めて敬意を表します。  政府としては、従来より、例えば国会の議決に対する対応報告するなど、国会での審査内容決算結果等を翌年度以降の予算編成予算執行反映しているところであります。今後とも、決算審査等予算等に的確に反映するよう努めてまいります。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣麻生太郎登壇拍手
  7. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 平成二十七年度決算評価と今後の財政運営基本方針についてのお尋ねがあっております。  平成二十七年度決算では、歳入面において強い経済実現を目指した取組を含め、経済の好循環が拡大したことを反映いたしまして、税収が前年度に比べて二兆三千億円増加をいたしております。また、歳出面において、社会保障関係費の伸びの抑制を含め、各分野にわたり徹底的な重点化効率化を行ったところでもあります。この結果、二〇一五年度プライマリーバランス赤字半減目標は達成する見込みであります。  今後の財政運営に当たりましては、二〇二〇年度プライマリーバランス黒字化実現するという財政健全化目標実現に向け、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針の下、強い経済実現を目指した取組を進めてまいりたいと考えております。あわせて、歳出歳入両面からの取組を進めるため、二〇一九年十月に消費税を一〇%に確実に引き上げるとともに、引き続き、経済財政計画枠組みの下、改革工程表に基づいて社会保障改革を含め、徹底的な重点化効率化など、歳出改革を継続してまいりたいと考えております。  次に、預金保険機構金融機能早期健全化勘定における剰余金有効活用についてのお尋ねもあっております。  早期健全化勘定剰余金は、法律上、同勘定の廃止時に国庫納付するとされております。議員指摘会計検査院意見表示については、一部の勘定の現状のみに着目するのではなく、平成金融危機への対応を進める中、預金等全額保護のため約十兆四千億円という巨額国民負担が確定しているといった経緯や、また、預金保険機構の他の勘定欠損金含み損等が発生していること、及び金融資本市場状況等によりその含み損等は変動することなど等を踏まえて、総合的に検討していく必要があろうと考えております。(拍手)     ─────────────
  8. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) 石上俊雄君。    〔石上俊雄登壇拍手
  9. 石上俊雄

    石上俊雄君 民進党・新緑風会の石上俊雄です。  会派を代表して、ただいま議題となりました平成二十七年度決算について質問をさせていただきます。  決算審査は、衆参二院制の下、参議院がその独自性を発揮すべく長年重視してきた極めて重要な審議一つです。しかし、本日はその前に、先週のトランプ次期アメリカ大統領TPP離脱表明によって大きく揺らいだこの臨時国会意義についてお尋ねせざるを得ません。  トランプ次期大統領離脱表明は、発効が絶望的となったTPP協定審議し続ける意義を完膚なきまでに粉砕し、その結果、政府・与党がTPP優先国会と位置付けてきた今国会憲政史上類を見ない歴史的大敗北へと転落させてしまいました。このTPP優先国会敗北の責任は一体どこにあるのでしょうか。  総理は、この国会のさなか、しかも重要な終盤の一週間、国会を抜け出して、ニューヨーク五番街にそびえ立つトランプタワー最上階を目指しました。会談は予想以上に盛り上がったのか、当初予定の倍の時間の九十分に及び、信頼関係を構築できたとカメラの前でアメリカTPP残留可能性の印象を発信することに成功いたしました。そして、その余勢を駆って遠路はるばる南米ペルーに飛んでTPP参加国との会合に出席。TPP存続の旗印の下、各国の一致団結世界にアピールしてみせたのです。  総理の体力的なタフさにはほとほと頭が下がります。まさにあっぱれです。しかし、お得意の地球儀を俯瞰する外交も、今度ばかりはトランプ氏の離脱表明で痛い痛い、本当に痛い結果となってしまいました。総理自身ニューヨークでのあの盛り上がりは何だったのかと唖然とされているのではないでしょうか。地球儀を俯瞰する外交どころか、余りにも期待外れ、その落差の大きさに、私たちも俯瞰でなくてぽかんとさせられた外交と言わざるを得ません。  これ以外にも、臨時国会では、ぽかん連発の驚天動地の大失態が幾つもありました。その一つパリ協定の批准です。  パリ協定は、地球温暖化対策の新たな国際枠組みです。かつて京都議定書を牽引してきた我が国が、このパリ協定発効に、あろうことか、政府閣議決定の遅れなどで承認が間に合わず、条約発効後の初会合締約国として参加できない状態に追い込まれるとは、一体誰が想像できたでしょうか。  政府は、パリ協定は来年の通常国会でも間に合うとの希望的観測を打ち立てて、それより今はTPPでしょうと自作自演の物語に入れ込み過ぎ、TPP優先国会という、あらかじめ敗北が運命付けられた国会へと突き進んでしまったのです。農水大臣無責任発言連発も、総理には泣きっ面に蜂そのものだったことでしょう。  それにしても、この臨時国会成果とは一体何でしょうか。まさか総理自身自民党総裁任期の延長だけだったでは国民に申し開きができません。この歴史的大敗北となったTPP優先国会についてどのように総括するのか、安倍総理お尋ねいたします。  それでは、本題の平成二十七年度決算について伺ってまいります。  平成二十七年度一般会計歳出決算額は、九十八・二兆円と前年度より〇・五兆円減少しましたが、それでも過去五番目に多い歳出額となりました。一方、歳入決算額は、税収が五十六・三兆円と対前年度二・三兆円の増額。また、新規国債発行額も三十四・九兆円と昨年に引き続き四十兆円を下回った結果、一般会計基礎的財政収支、いわゆるプライマリーバランス赤字は四年連続で改善しましたが、その額は十二・一兆円と、いまだに巨額赤字となっております。  そこでお尋ねします。  我が国国際公約である二〇二〇年度におけるプライマリーバランス黒字化総理は本当に実現できるとお考えでしょうか。また、その実現のためなら、例えば特別会計余剰金などワンショットのお金を投じてでも絶対に達成するという強いこだわりがあるのでしょうか。それとも、困難となれば目標年度を後ろ倒しにする程度のお気持ちなのか、総理、併せてお答えください。  次の質問は、総理政治家としての御矜持でお答えいただければ結構ですが、かなり気の遠くなるような問題です。  私が参議院に当選したのは三年前の二〇一三年で、当時、プライマリーバランス黒字化については既に長年の議論が積み重ねられておりました。ある日、ふと気付いたのです。毎年のプライマリーバランスについては精緻な分析や議論がなされる割に、その累積額、すなわち国の借金全体については、一千兆円を突破してしまったにもかかわらず、返済する方策について詳細な議論を余り伺ったことがありません。もちろん、毎年の赤字削減だけでも大変なのに、それが積み上がった巨額借金など後回しだろうとの専門的御意見もあろうかと思います。しかし、政府としてこの国の借金全体を最終的にどうしていくのか、その考えを整理しておくことは大変重要なことではないでしょうか。  昭和四、五十年代の企業みたいに、その都度その都度の借金ができればそれでいい、借金全体は根雪のように寝かせておくと経営者側が余り深刻に考えない一方、銀行側も利払いが滞らなければ構わないと緩く考えていたのと、まさか同じではないでしょう。  政府は、プライマリーバランス黒字化実現の後には、一千兆円を超えた累積債務全体についても工程表を作り、いずれは全額返済、債務ゼロを目指すべきとお考えなのかどうか、総理の率直なお考えお尋ねします。  次に、今回、会計検査院が発見した預金保険機構埋蔵金一兆円について、麻生大臣お尋ねします。  今回の決算検査報告会計検査院が税金の無駄遣い、不適切な会計処理指摘した事項の合計は、件数で四百五十五件、金額では一兆二千百八十九億円となっております。金額の方は過去二番目の大きさで、前年度の一千五百六十八億円から一挙に一兆円超えの約八倍となりました。この原因が、金融庁所管預金保険機構金融機能早期健全化勘定における多額の利益剰余金、つまり世間でいうところの埋蔵金だったのでした。  会計検査院の説明はこうです。金融庁は、金融機能早期健全化のための緊急措置に関する法律に基づき、平成十年から十四年まで、預金保険機構及び整理回収機構を通じて金融機関が発行する優先株式の引受けなどにより八兆六千五十三億円の資本増強措置を実施した。この業務に係る経理を整理する金融機能早期健全化勘定利益剰余金について検査したところ、整理回収機構が引き受けた優先株式処分価額取得価額を上回ったことなどにより、利益剰余金は、二十一年度以降、一・五兆円を超えて推移していた。二十七年度末における利益剰余金一兆五千九百九十一億円から、今後使用する可能性のある資金、機械的な試算額で約五千億円を差し引いた一兆九百六十四億円は余裕資金であり、有効活用を図るための制度整備など抜本的な方策を検討する必要がある。  会計検査院は、憲法第九十条で定める決算検査を行う独立機関立場から、また会計検査院法第二十条の「会計経理を監督し、その適正を期し、且つ、是正を図る。」との規定にのっとり検査をし、会計検査院法第三十六条の規定により意見表示をし、余裕資金の一兆円は国庫返納など抜本的改善策を図るべきと指摘しているのです。  しかしながら、報道によると、金融庁担当としての麻生内閣特命担当大臣は、これは埋蔵金ではない、ほかの勘定赤字もあるのでそちらに回すと発言されたとのことです。金融庁のトップとしては、別勘定赤字補填に取っておきたいと考えるのは当然でしょう。しかし、麻生内閣特命担当大臣は、同時に、財政再建プライマリーバランス回復の大命題に身命を賭す財務大臣も兼任しておられるわけで、その立場からはこの約一兆円の余裕資金をどうするべきか、理にかなった御判断をなされると私個人は期待していますが、是非この決算審議の場でも財務大臣としての明快な御答弁を国民の皆さんにお聞かせください。  また、安倍総理におかれましては、麻生大臣が御自身の中の内閣特命担当大臣のお気持ち財務大臣としてのお気持ちとの間で引き裂かれ、判断に困っておられるようならば、総理自らがリーダーシップを発揮して、国民目線の御英断を下すとお約束をお願いします。  ちなみに、民主党政権時代にも似たケースがありました。会計検査院が、鉄道建設運輸施設整備支援機構で約一・二兆円の埋蔵金を発見したのです。このとき、民主党政権埋蔵金国庫に戻し、その後、同額を財源として二〇一一年度補正予算に充てました。総理の御判断の参考になればと、念のため、申し添えておきます。  次に、ここ数年の決算で明らかとなった、伸び悩む法人税収の強化についてお尋ねします。  法人税は、この税率の議論がにぎやかですが、税収強化の観点からは、企業の稼ぐ力の向上、すなわち国としての成長戦略が重要なのは論をまちません。  安倍政権では、TPP成長戦略の切り札と位置付けて推進してきましたが、もろくも崩れ去ってしまいました。不幸は重なるもので、先週、国のインフラ輸出戦略として推進してきたベトナムへの原発輸出も、ベトナム側資金難から建設中止となりました。個人的には大変残念ですが、経済再生を目指す我が国インフラ輸出重要性はいささかも変わりません。原発以外でも世界に誇るべき技術はあるわけで、例えば、潜在的需要の大きい粒子線がん治療装置などのインフラ輸出を国として本格的に推進していくべきではないでしょうか。その際、現地国の医師、看護師などを国内の施設でトレーニングする等の支援パッケージも一緒に相手国に提案することが重要と考えますが、世耕経済産業大臣見解を求めます。  また、高市総務大臣お尋ねします。  同じくインフラ輸出推進で、特にICT分野などに特化した海外通信・放送・郵便事業支援機構が発足して早くも一年が経過しております。しかし、同機構ホームページ投資案件一覧は、いまだに現在整備中のままです。現段階で投資案件はゼロなのでしょうか。  私も、昨年、総務委員会質問をさせていただきましたが、法案の審議の段階では夢やアイデアに満ちあふれ、実際、我が国ICT企業にも、例えば世界最高速度世界最高精度顔認証システムなど、すぐにでも海外展開できる優れた技術がたくさんあるのに、どうして同機構の活躍が表立ってこないのか不思議でなりません。機構に出資した国民のお金が無駄ではなかったことを、是非高市総務大臣より国民に分かりやすい御説明をお願いいたします。  最後になりましたが、質問を終えるに当たり、今回のTPP優先国会の大敗北のようなことが二度とあってはならないことをいま一度強調しておきたいと思います。そして、この決算審議を通じて国の予算が適切かつ有効に執行されているかをしっかりとチェックして、さらに、その結果が次の予算編成執行に反映されていくことに私自身も尽力していくことをお誓い申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇拍手
  10. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 石上俊雄議員お答えをいたします。  TPP協定に取り組んだ今国会成果についてお尋ねがありました。  TPPには自由貿易を進化させる意義があります。自由で公正な経済圏のメリットは中小企業やそこで働く人々にも及ぶ、数年間の交渉を経て協定に結実したルールは今後の通商交渉におけるモデルとなります。日本TPP並みのレベルの高いルールをいつでも締結する用意がある、国会承認はその国家としての意思を示すものであり、他の交渉を加速させる力となります。  自由貿易は岐路に立っています。米国政権移行期にあり、世界保護主義の懸念と動揺が広がっている。自由民主主義国家第二位の経済大国である日本までもがここで立ち止まれば自由貿易は後退してしまいます。民進党は、それでよいと言うのでしょうか。このときに何の意思も表明できないというその姿にこそ、私たちはぽかんとしてしまいます。  世界は常に変化していますが、一つ一つの事象に右顧左眄していては、国際社会の荒波の中、国家のかじ取りは担えません。他国に影響されたり他国に追従したりするのではなく、日本として自らの大きな理念を掲げ、それを貫く強い信念がなくてはならないのではないでしょうか。今ぶれてはなりません。速やかにTPP協定国会承認をいただき、立法府を含めた日本の固い決意を世界にしっかりと発信するとともに、TPP意義米国に粘り強く訴えていきたいと考えています。  パリ協定については、政府としては、気候変動という国際社会の深刻な課題への取組に最大限貢献していくとの立場から、締結のための作業を可能な限り迅速に進め、その結果、十一月八日に締結しました。我が国は、COP22におけるパリ協定締約国会合にオブザーバーとして参加しましたが、COP22では積極的に議論に参加し、特にパリ協定の実施指針の策定に関する合意形成に大きく貢献しています。なお、国会における審議の進め方については、国会の御判断に従うべきものと考えております。  プライマリーバランス黒字化についてお尋ねがありました。  平成二十七年度決算では、歳入面においては、日本経済の好転を反映して税収が対前年度比で二・三兆円増加しています。歳出面においても、徹底的な重点化効率化を行っており、その結果、二〇一五年度プライマリーバランス赤字半減目標は達成見込みとなっています。二〇二〇年度プライマリーバランス黒字化実現するという財政健全化目標については、引き続き堅持し、その実現に向け、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針の下、未来への投資を実現する経済対策を始めとする強い経済実現を目指した取組を進めていきます。  これまでも、社会保障改革を含め、徹底的な重点化効率化など歳出削減にも取り組んできたところであります。この結果、社会保障関係費についてはその実質的な伸びを年平均五千億円に抑えることができるなど、歳出改革取組は着実に成果を上げております。引き続き、経済・財政再生計画の枠組みの下、安倍内閣のこれまでの歳出改革取組強化してまいります。  また、二〇一八年度時点で、目標達成に向けた歳出改革等の進捗状況を評価し、必要な場合には、デフレ脱却、経済再生を堅持する中で、歳出歳入の追加措置等を検討することとしています。今後とも、経済・財政一体改革を不退転の決意で断行し、経済再生を図りながら、一時的な歳入に頼ることなく、二〇二〇年度におけるプライマリーバランス黒字化実現に向けて取り組んでまいります。  債務残高の縮減についてお尋ねがありました。  平成二十七年度決算では、歳入面においては、日本経済の好転を反映して税収が対前年度比で二・三兆円増加しています。歳出面においても、徹底的な重点化効率化を行っており、その結果、二〇一五年度プライマリーバランス赤字半減目標は達成見込みとなっています。  一方、巨額の公債残高が累積する中、国の信認を確保するため、今後とも財政健全化は避けて通れません。その際、均衡財政を原則としている欧州各国と比較して大幅な財政赤字を抱えている我が国においては、まずは二〇二〇年度基礎的財政収支黒字化を目指し、債務残高対GDP比を中長期的に着実に引き下げることを目標としています。  今後とも、経済・財政再生計画において示された一般歳出の水準等の目安を十分踏まえた上で、聖域なき徹底した歳出効率化を図るなど、不退転の決意で目標達成に向けて取り組んでまいります。  預金保険機構金融機能早期健全化勘定における剰余金についてのお尋ねがありました。  預金保険機構早期健全化勘定剰余金の活用については、金融資本市場の状況や預金保険機構の他の勘定欠損金含み損等が発生していること、これまでの間に預金等全額保護のための巨額国民負担が確定しているという経緯等を踏まえ、総合的に検討していく必要があると考えております。  いずれにせよ、本件については、預金保険機構を所管する金融担当大臣であり、国庫を所管する財務大臣でもある麻生大臣において適切に対応していただけるものと考えております。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣麻生太郎登壇拍手
  11. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 預金保険機構剰余金についてのお尋ねがあっております。  まず、早期健全化勘定剰余金は、法律上、同勘定を廃止したときに国庫に納付することとされておりますのは御存じのとおりであります。現在、同勘定業務は継続をいたしております。法令の規定に従い適切に管理が行われた上で、預金保険機構の財務諸表におきましては、その額は既に公表しているものだと承知をいたしております。したがいまして、剰余金埋蔵金であるとの御指摘は全く当たらないと思います。  その上で、会計検査院指摘をしておられる、早期健全化勘定剰余金を適時に国庫に納付したり、預金保険機構の財政健全性の維持に活用したりすることにつきましては、これは、平成金融危機への対応を進めている中、預金等全額保護のため約十兆四千億円の巨額国民負担が確定しているといった経緯、また預金保険の他の勘定欠損金含み損等が発生していること、及び金融資本市場の状況によりましてはその含み損等は変動することなどを考えて、総合的に検討する必要があろうと考えております。(拍手)    〔国務大臣世耕弘成君登壇拍手
  12. 世耕弘成

    国務大臣(世耕弘成君) 石上議員お答えをいたします。  粒子線がん治療装置等のインフラ輸出への取組についてのお尋ねがありました。  医療の国際展開につきましては、日本再興戦略の柱の一つであり、健康・医療戦略推進本部の下に医療国際展開タスクフォースを設けて、政府として推進をしております。  粒子線がん治療装置などの医療技術等の国際展開についても、御指摘の外国人医師等の研修等を含めた支援パッケージの提案が重要と認識をしており、内閣官房を始め関係省庁と連携をしながら、経済産業省としても推進をしてまいりたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣高市早苗君登壇拍手
  13. 高市早苗

    国務大臣(高市早苗君) 石上議員から私には、株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構の活動状況についてお尋ねがございました。  機構が昨年十一月に設立されて以降、まだ投資実績はございませんが、四十件を超える具体的な相談が寄せられており、このことは機構の役割に対する民間企業からの期待の表れであると理解しています。さらに、そのうち四件につきましては、機構の内部手続を経て、支援決定に向けた本格的な検討を実施中と承知しております。この一年間の機構取組は今後着実に成果として現れるものと考えています。  我が国企業には優れた知識、技術及び経験がございますが、海外で通信・放送・郵便事業を行うに当たりましては、規制分野であるがゆえの政治リスクが存在し、海外で受注を獲得するためには、相手国政府を含む関係者と調整を重ねるなど地道な努力と準備期間が必要です。  そこで、総務省としましても、関係国政府に対するトップセールスや現地での実証事業を通じて機構の活動を後押ししています。今後も、機構と連携して、我が国企業による通信・放送・郵便事業の海外展開を積極的に支援してまいります。(拍手)     ─────────────
  14. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) 河野義博君。    〔河野義博君登壇拍手
  15. 河野義博

    ○河野義博君 公明党の河野義博です。  ただいま議題となりました平成二十七年度決算について、党を代表して質問をします。  決算審査意義は、国の予算執行状況を審査することにより、翌年度予算編成や政策遂行において、財政の無駄を減らし、民主的コントロールを徹底させることにあります。参議院では、決算審査の充実及び早期審査に努めてきたところですが、今般、平成二十年度決算以来七年ぶりに来年度予算編成前に審査に入ることができたことは、誠に意義深いことであります。  昨年度、当初予算では、地方創生、子育て支援など、我が国の諸課題への対応を強力に推進し、経済再生財政健全化の両立を実現することを目指すとされ、その後の補正予算では、一億総活躍社会の実現に向けて緊急の実施すべき対策などが講じられました。これらの結果である二十七年度決算は、我が国の課題に対する安倍内閣取組成果として位置付けられるものです。  一般会計歳出決算総額は九十八・二兆円であり、前年度対比で〇・五兆円減少しました。一方、歳入決算総額は百二・一兆円で、税収は前年度対比二・三兆円増加、公債金収入は三・五兆円減少しました。一般会計プライマリーバランスは十二・一兆円の赤字で、前年度対比赤字幅は一・九兆円縮小、四年連続で改善し、政府が掲げていた中期財政計画目標を達成しました。公債依存度も三五・五%と前年度から三・五ポイント低下し、三年連続で改善しています。  一方、会計検査院からは指摘金額が約一・二兆円あり、来年度予算編成に当たっては、この点を踏まえ、適切な措置が必要と考えます。  二十七年度決算及びこれまでの財政健全化への取組に対する評価、そして来年度予算編成に向けた安倍総理の決意を伺います。  政府においては、平成三十二年度までに国と地方のプライマリーバランスの対GDP比を黒字化することを目標に掲げています。そのためには、我が国経済再生をより一層着実なものとしていくことが重要です。  ただ、目下の経済情勢について、本年度上半期の円高などの影響で輸出企業を中心に業績が振るわず、国の税収は約十六兆円と前年同期を五%下回り、本年度税収が財務省見込みを下回る可能性があります。  経済の好循環による税収増加財政健全化目標の達成に欠くことができないものですが、麻生財務大臣に今後の税収見込み並びに財政健全化目標達成に向けた取組に関し伺います。  次に、教育、科学技術に対する公的投資に関して伺います。  我が国は、二〇一二年のOECD学習到達度で、数学、読解、科学、全三分野において加盟国の中で一位あるいは二位になっています。その一方、OECDが本年九月に公表した加盟各国のGDPに占める教育機関への公的支出の割合は、比較可能な三十三か国中三十二位に甘んじている現状です。  人口減少、少子高齢化という日本の構造的な問題に立ち向かうためにも、未来を担う子供たちの学びを充実し、世界トップレベルの学力を維持、向上させるために十分な予算措置が必要と考えます。また、科学技術をめぐる国際競争が激化し、大学や研究開発法人の強化が求められる中、我が国政府研究開発投資が停滞傾向にあることは、大いに懸念されます。  教育や科学技術への公的投資は我が国の更なる成長に欠かせないものと考えますが、安倍総理の所見を伺います。  近年は、家庭の経済的事情による教育格差の拡大や子供の貧困問題が深刻化しています。この格差を是正し、貧困の連鎖を断ち切るためには、教育の機会均等を図ることが重要です。特に、大学進学に係る家庭の負担が重いことが問題であり、奨学金返済の負担が若者の結婚や子育てといった生活設計にも影響を及ぼしているとも言われています。  現在、給付型奨学金についての検討が進んでいますが、公明党は、進学を諦めている子供たちの後押しになる金額、特に、社会的養護を必要とする子供たちに対しては特段の配慮をすべきとの考えです。あわせ、大学授業料の免除枠の拡大も検討すべきと考えます。  高等教育を受ける際の負担軽減とその財源の確保策について、安倍総理の所見を伺います。  次に、公共インフラの維持管理に関して伺います。  今月八日早朝、福岡市で大規模な道路陥没事故が発生しました。関係者の懸命な努力により通行可能な状態にまで復旧するには至りましたが、いまだ市民生活には不安が残っています。  我が国の都市の地下には、地下鉄だけではなく、上下水道やガス管といった様々な公共インフラが設置されており、道路の陥没が発生すれば市民生活に多大な影響が及びます。事故を未然に防止していく観点からも、今回の事故原因を究明し、得た知見や教訓を共有していくことが重要と考えます。  今後の対応に関し、石井国土交通大臣の所見を伺います。  最後に、再生可能エネルギーの導入拡大について伺います。  我が国のエネルギー需要は、いまだその多くを石油、石炭、天然ガスといった化石燃料の輸入に大きく依存しており、その金額は、平成二十五年二十七兆円、二十六年二十八兆円、二十七年十八兆円と膨大で、近年の貿易赤字の大きな要因となっています。こうした貿易収支の改善やエネルギー安全保障の強化、また脱炭素社会の実現に向けても再エネ拡大に向けた方策をより一層推進していかなければなりません。  一方、我が国の再エネ発電の割合は二十六年度末で僅か一二・二%と、主要先進国対比、依然として低い水準にあります。また、今後の導入見通しに関しても、二〇三〇年度における我が国の再エネ比率は二二から二四%と示されていますが、主要国の同年目標は、ドイツやカリフォルニア州では五〇%、EU全体では四五%と、日本が大きく遅れていることは明白であり、来年春のエネルギー基本計画見直しにおいては再エネ導入比率目標の大幅な上方修正が必要と考えます。  貿易収支の改善の観点を含めた中長期的な我が国の電源構成の在り方について、安倍総理の所見を伺います。  本決算審議を通じて、政府におかれては、諸課題への対応を強力に推進され、経済再生財政健全化の両立を実現されることを求めて、私の質問を終わります。(拍手)    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇拍手
  16. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 河野義博議員お答えをいたします。  平成二十七年度決算等に対する評価及び平成二十九年度予算編成についてお尋ねがありました。  平成二十七年度決算において、一般会計税収は五十六・三兆円と前年度から二・三兆円増加し、公債依存度は三五・五%と前年度から三・五%ポイント改善したところであり、二〇一五年度プライマリーバランス赤字半減目標を達成する見込みであります。  このように、安倍内閣においては、経済再生なくして財政健全化なしの基本方針の下、強い経済実現を目指した取組を進めるとともに、歳出歳入両面からの取組により、着実に財政健全化を進めてまいりました。  平成二十九年度予算については、引き続き、会計検査院決算検査報告国会における決算審査を踏まえつつ、安倍内閣のこれまでの歳出改革を継続していくとともに、一億総活躍社会の実現など安倍内閣の重要課題に対応することで、経済再生財政健全化を両立する予算としてまいりたいと考えています。  教育、科学技術に対する公的投資についてのお尋ねがありました。  若者こそ我が国の未来。教育再生は内閣における最重要課題の一つであり、教育を通じて我が国の未来を切り開く人材の育成に取り組むことが極めて重要であります。今後とも、必要な財源を確保しつつ、教育の質の向上や教育費負担の軽減など、教育投資の充実にしっかりと取り組んでまいります。  また、少子高齢化など困難な課題を克服し、経済を力強く成長させていくため、科学技術イノベーションが絶え間なく生み出される環境を整備していきます。特に、国際競争が激化する中、リスクの高い基礎研究を中心に、これまで以上に政府の役割が求められます。政府研究開発投資については、第五期科学技術基本計画に盛り込まれたとおり、経済・財政再生計画との整合性を確保しつつ、対GDP比一%を目指してまいります。  高等教育段階の教育費負担軽減についてお尋ねがございました。  子供たちの未来が家庭の経済事情によって左右されるようなことがあってはなりません。子供の貧困問題は、これからも安倍内閣の最重要課題であります。  このため、今般、無利子奨学金について、来年度から、低所得世帯の生徒についての成績基準を実質的に撤廃し、必要とする全ての生徒が無利子奨学金を受給できるよう募集を開始しました。また、給付型奨学金についても、平成二十九年度予算編成過程を通じ、制度内容について結論を得て実現していくこととしています。さらに、大学等における授業料免除についても拡大を図ってきたところであります。今後とも、希望すれば誰もが大学等に進学できるよう、高等教育段階における教育費負担の軽減に努めてまいります。  中長期的な電源構成の在り方についてお尋ねがありました。  東日本大震災後、化石燃料依存度が高まる中で、再生可能エネルギーの最大限の導入等により、化石燃料依存度の低減や貿易収支の改善を図っているところです。昨年七月には長期エネルギー需給見通しを策定し、二〇三〇年度における我が国の電源構成のあるべき姿をお示ししました。これは、安全性の確保を大前提に、安定供給の確保、電力コストの引下げ、二酸化炭素排出の抑制の三つを同時に達成するよう、再生可能エネルギーを最大限ぎりぎりまで導入し、その比率を二二―二四%としたものです。まずはその実現に向けて全力で取り組んでまいります。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣麻生太郎登壇拍手
  17. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 税収見込み及び財政健全化目標についてのお尋ねがあっております。  まず、平成二十八年度税収につきましては、課税実績や経済見通しなど様々な要素を踏まえる必要があります。したがって、現時点で見通しを申し上げることは困難であることは御理解いただきたいと存じます。  財政健全化につきましては、政府としては、二〇二〇年度基礎的財政収支黒字化実現するという財政健全化目標を堅持しております。その実現に向け、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針の下、未来への投資を実現する経済対策を始めとする強い経済実現を目指した取組を進めているところでもあります。  あわせて、歳出歳入両面からの取組が必要であります。そのため、二〇一九年十月に消費税率を一〇%に確実に引き上げるとともに、引き続き、経済・財政再生計画の枠組みの下、改革工程表に基づいて、社会保障改革を含め、徹底的な重点化効率化など歳出改革を継続いたしてまいりたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣石井啓一君登壇拍手
  18. 石井啓一

    国務大臣(石井啓一君) 博多駅前の道路陥没事故への対応についてお尋ねがございました。  当該事故の原因究明や再発防止策に関しまして、福岡市からの御要請を踏まえまして、国土交通省所管の土木研究所において、学識経験者等にも御参画いただき、第三者委員会を、明日、福岡市にて開催することといたしました。  国土交通省といたしましては、この第三者委員会による事故の原因究明や再発防止策の取りまとめについて全面的に支援をしてまいります。また、二度とこのような事故が発生することのないよう、得られた知見や教訓を生かし、地下工事の安全技術の確立等に努めてまいります。(拍手)     ─────────────
  19. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) 吉良よし子君。    〔吉良よし子君登壇拍手
  20. 吉良よし子

    ○吉良よし子君 私は、日本共産党を代表して、二〇一五年度決算について質問いたします。  二〇一四年四月からの消費税五%から八%への増税は家計に重くのしかかりました。二〇一五年度予算は、その苦しい家計に更に社会保障国民負担増と給付削減の追い打ちを掛ける一方で、大企業には法人税や研究開発税制の減税で大盤振る舞いをするなど、国民の暮らし圧迫、大企業優遇の予算でした。その結果、個人消費は一四年度に続き一五年度も前年比マイナスに落ち込みました。個人消費が二年連続マイナスというのは戦後初めてのことです。一方で、資本金十億円以上の大企業の内部留保は三百八十六兆円と、史上最高額となっています。  国民には負担増、大企業には負担減という安倍政権経済政策そのものが消費を冷え込ませ、景気を停滞させていることを総理はお認めになりますか。  総務省の家計調査を見ると、今最も苦しい生活を強いられ消費が落ち込んでいるのは、三十九歳以下の若年層の子育て世帯です。夫婦共働きでも、二人とも非正規雇用で生活に余裕がなく、職を失うかもしれない雇用の不安を常に抱え、子供の教育費のために少ない収入の下で少しでも貯蓄に回そうと食費まで切り詰めているという実態があります。  政府経済財政白書でも、子育て世帯の将来不安の拡大を認め、その背景に非正規雇用の増加があると指摘しています。子育て世帯が安心して働き子育てできる社会にしなければ、景気も良くならないし、日本に未来はありません。その認識を総理はお持ちでしょうか。お答えください。  子育て世帯の将来不安を取り除くには、雇用、子育て、社会保障の抜本的な改善が待ったなしです。  まずは、雇用です。  二〇一五年は、いわゆるブラック企業が社会的にも大きく取り上げられた年でした。私も、昨年二月に決算委員会で、安倍総理に若者を酷使し違法を繰り返す悪質な企業名の公表を求めたところ、総理は厳正に対処すると答弁し、社名公表を指示しました。しかし、ブラック企業が根絶されたわけではありません。二〇一五年、労災認定された過労死の件数は九十六件、未遂も含む過労自殺の件数は九十三件で、そのうち二十代から三十代の若者の過労自殺は三十六件に上ります。  先日、過労自殺であると労災認定された電通の新入社員で当時二十四歳の高橋まつりさんが、月百三十時間を超える残業を含む超長時間労働を強いられた上に、上司からは君の残業は無駄と言われるなどパワハラを受け、精神的に追い詰められ、入社僅か九か月目の昨年十二月に自殺した事件は象徴的な出来事です。若者の命をも奪うブラック企業、絶対になくさなくてはなりません。  今、異常な長時間労働で、労災認定の目安である過労死ラインと言われる月八十時間を超えて社員を残業させる企業が二割を超えています。安倍政権法案提出している裁量労働制の拡大や残業代ゼロ制度は、こういう労働者の過重労働を合法化したい大企業の要望を取り入れたものであり、企業の労働時間管理責任を更に曖昧にするものです。政府提出の関係法案は撤回すべきではありませんか。  また、ブラックな働かせ方を強いる企業を一掃するとともに、若い世代の将来不安をなくすためには、非正規ではなく正社員を増やす方向に切り替えることは欠かせません。労働法制の規制緩和をやめ、昨年改悪した労働者派遣法を抜本改正し、派遣労働は臨時的、一時的業務に限定して、正社員の派遣労働への置き換えをなくすべきではありませんか。お答えください。  次に、保育士の待遇です。  保育士の待遇改善は、二〇一五年も緊急の課題となりました。今年三月の本会議で、総理は私に、保育士の給与について具体的で実効性のある待遇の改善策を示すと答弁しました。しかし、概算要求で僅か二%の賃上げが事項要求とされました。これが実効性のある待遇の改善なのかと、私は怒りを禁じ得ません。質の高い保育の実現には、保育士の配置基準の引上げと賃上げは待ったなしの課題であるという認識はありますか。  そもそも、保育士の給与の基となる国の基準を低くして、保育現場の実態に見合わない保育士配置基準を放置してきたのは政府です。総理はその自覚はありますか。お答えください。  社会保障について、自然増削減路線は見直すべきです。  安倍総理は、一五年六月に閣議決定した経済財政運営改革基本方針で、一六年度から三年で社会保障費の自然増を一兆五千億円程度に抑え込むとし、削減を推進する段取りを示す工程表も昨年末に決定しました。社会保障の安心と安全を揺るがす工程表、これは撤回するべきではありませんか。  また、工程表の一環で出された年金カット法案が、先週金曜日、衆議院厚生労働委員会で強行採決されました。日本共産党は、これに断固抗議いたします。  公的年金は、高齢者の生活を支える命綱となっています。しかし、この法案は、物価が上がっても賃金が下がる場合には賃金下落に合わせて二〇二一年から年金を下げるというものです。これでは、高齢者の命綱は失われ、若い世代の将来不安も増すばかりです。総理、この法案が、公的年金に頼る高齢者に痛みを強いて、若者の不安も広げる重大な法案であるという認識はありますか。  地域経済にもマイナスとなる年金カット法案は廃案以外にはあり得ません。  二〇一五年九月十九日、安倍政権は、憲法違反の安保法制、戦争法を強行成立させました。そして今、安保法制の本格的運用に乗り出しています。  政府は、南スーダンで反政府勢力は支配地域を持っておらず紛争当事者ではないから武力紛争ではない、PKO参加五原則は維持され、首都ジュバは落ち着いているとしています。しかし、自衛隊派遣要員の家族には、反政府勢力が支配地域を持っていると説明していたことが明らかになりました。十一月十日に発表された国連事務総長の報告では、ジュバ及びその周辺の治安状況は引き続き不安定、南スーダンは崖っ縁などと述べており、政府説明はもはや総崩れです。  にもかかわらず、安倍内閣は、駆け付け警護などの新任務を自衛隊に付与し、派遣を強行しました。南スーダンへの派遣が、自衛隊が殺し殺される最初のケースとなりかねないという認識はありますか。  日本共産党は、南スーダンからの自衛隊撤退を強く求めます。憲法九条の立場に立った非軍事の人道支援、民生支援の抜本的な強化こそ日本が行うべき貢献です。  最後に、憲法について伺います。  総理は、参院選後、改憲先ありきの様々な主張を国会で繰り返していますが、なぜ今憲法を変えなければならないかという根本的な理由は今も全く分かりません。改めて伺います。そもそも、現行憲法のどこに問題があり、どこをどう具体的に変えなければならないのですか。総理、具体的にお答えください。  今政治に求められていることは、憲法を踏みにじる政治でも改憲でもありません。世界的にも先進的な内容を持つ日本国憲法の理想に現実の政治、社会をできる限り近づける努力であるということを強く申し上げ、質問を終わります。(拍手)    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇拍手
  21. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 吉良よし子議員お答えをいたします。  安倍内閣経済政策についてお尋ねがありました。  安倍内閣が進めている政策は、成長と分配の好循環をつくり上げていくというものであります。成長し、富を生み出し、それが国民に広く均てんされ、多くの人たちがその成長を享受できる社会を実現していきます。  御指摘消費税率の引上げは、社会保障制度をしっかりと次世代に引き渡すとともに、国の信認を維持していくためのものです。増収分は、全額社会保障の充実、安定化に充てられます。法人税の減税については、法人実効税率を二〇%台にまで引き下げると同時に、政策減税や大企業欠損金繰越控除制度等を見直し、特に大企業の課税ベースの拡大に取り組んできています。研究開発税制についても、利用件数を見ると、大企業だけでなく中小企業も含め幅広く利用されています。個人消費も、過去最高水準の企業収益を雇用の拡大、賃金の上昇につなげることにより、経済の好循環が生まれる中、三四半期連続で前期比プラスとなるなど、総じて見れば底堅い動きとなっています。  こうした状況を更に推し進めるため、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジである働き方改革を断行します。同一労働同一賃金を実現し、正規と非正規の労働者の格差を埋め、若者が将来に明るい希望が持てるようにすることにより、中間層が厚みを増し、より多く消費することにつながると考えています。今後とも、あらゆる政策を総動員し、成長と分配の好循環をつくり上げてまいります。  安心して働き、子育てもできる社会についてのお尋ねがありました。  現在、安倍内閣は、誰もがその能力を存分に発揮できる一億総活躍社会の実現に向け、取組を進めています。  その中で、子育ての環境整備は重要な位置を占めています。保育の質の確保を図りつつ受皿の確保を進めるとともに、保育士の離職防止や再就職支援、処遇改善を行うなど、保育人材の確保に総合的に取り組んでいます。また、働き方改革において、子育てと仕事の両立に向け、長時間労働の是正や同一労働同一賃金の実現を進め、ライフスタイルに合わせた多様な働き方が選択できるようにしていきます。  子育てをしながら仕事を続けることができる社会をつくり出すことは、子育て世帯の所得を支えることになるのはもちろん、日本経済の持続的成長にもつながります。成長と分配の好循環の実現に向け、引き続き安倍内閣取組を進めていきます。  労働の在り方についてのお尋ねがありました。  先般、電通の社員の方が働き過ぎによって尊い命を落とされました。こうしたことは二度と起こってはなりません。働く人の立場に立った働き方改革をしっかりと進めてまいります。  現在提出中の労働基準法改正案は、長時間労働を是正し、働く人の健康を確保しつつ、その意欲や能力を発揮できる新しい労働制度を選択可能とするものです。残業代ゼロ法案との批判は当たりません。また、昨年成立した労働者派遣法改正法は、正社員を希望する方に道を開けるようにするとともに、派遣を積極的に選択している方の待遇改善を図るものであり、しっかりと施行状況を注視してまいります。  長時間労働の是正については、働き方改革実現会議において、時間外労働の上限規制の労働基準法の在り方を含め、働く人の立場、視点に立ってきちんと議論を進め、年度内に具体的な働き方改革実行計画を取りまとめ、関連の法案を提出いたします。  保育士の配置基準と処遇改善についてお尋ねがありました。  保育士の配置基準は、児童の身体的、精神的、社会的な発達に必要な保育の水準を確保するための最低基準であり、質を確保するため適切に設定しているものと認識しています。一方で、より質の高い保育を提供するため、平成二十七年度から、三歳児に対して手厚い保育士の配置を行った保育園等に対して、そのために追加的に要した人件費を、消費税財源を活用し、一定の範囲で補助しています。  保育士の処遇については、安倍政権は、政権交代直後二・八五%相当改善し、以降、毎年度改善に取り組み、これまで七%相当改善してきました。来年度は更に二%相当の処遇改善を行うとともに、保育士としての技能、経験を積んだ職員について四万円程度の追加的な処遇改善を実施することとしており、継続して実施できるよう予算編成過程でしっかり検討してまいります。  経済・財政再生計画の改革工程表と年金改革法案における年金額改定ルールの見直しについてお尋ねがありました。  昨年末に取りまとめた経済・財政再生計画の改革工程表は、持続可能な社会保障制度の構築と財政健全化を同時に達成していくために必要であり、撤回すべきものとは考えておりません。  年金制度については、現役世代が負担する保険料、さらには税によって高齢者世代を支えるという仕組みで運営されています。その仕組みにおいて、今回提案している賃金に合わせた年金額の改定の見直しは、支え手である現役世代の負担能力に応じた給付とすることで将来にわたって給付水準を確保し、世代間の公平の確保等に資するものです。  また、この見直しについては、低年金、低所得の方に対する年最大六万円の福祉的な給付金が平成三十一年十月までにスタートした後の平成三十三年度から適用することとしており、現在の給付者にも十分配慮しています。これにより、年金と相まって、今まで以上に高齢者の生活を支えてまいります。したがって、高齢者に痛みを強いるや若者の不安を広げるといった御指摘は当たらないと考えています。  南スーダンPKOに関するお尋ねがありました。  南スーダンは、最も新しい国連加盟国であり、独立から間もない世界で一番若い国です。治安情勢は極めて厳しく、だからこそ、その平和と安定を図るため、我が国を含め世界のあらゆる地域から六十か国以上が部隊等を派遣しています。治安情勢を理由に撤退した国はありません。  武力紛争の当事者となり得る国家に準ずる組織は存在しておらず、また、反主流派によって支配が確立されるに至った領域があるとは考えていません。PKO参加五原則は維持されています。  自衛隊が展開している首都ジュバについても、今後の状況は楽観できず、引き続き注視する必要がありますが、現在は比較的落ち着いています。危険の伴う活動ではありますが、自衛隊にしかできない責務をしっかりと果たしています。  先般の国連報告書については、治安情勢に関する内容我が国の認識と基本的に異なるものではないと考えています。他方、報告書の末尾に潘基文事務総長の意見が付されており、その内容報告書全体の治安情勢の評価と一致しない部分があるため、その真意を国連に照会したところ、安保理が行動を取らなければ状況が深刻になるという趣旨であること、また、ジュバは比較的安定している、ただし引き続き情勢を注視する必要があるとの趣旨である旨、回答を得ています。なお、過去の隊員家族に対する説明資料には誤解を招きかねない不正確な記述があったことから、既に防衛省において資料の訂正を行っています。  駆け付け警護について申し上げれば、南スーダンには現在もジュバ市内を中心に少数ながら邦人が滞在しており、邦人に不測の事態が生じる可能性は皆無ではありません。過去、自衛隊が東ティモールや当時のザイールに派遣されていたときにも、不測の事態に直面した邦人から保護を要請されたことがありました。自衛隊は、十分な訓練もなく、任務や権限が限定された中でも邦人保護に全力を尽くしてくれました。  実際の現場においては、自衛隊が近くにいて、助ける能力があるにもかかわらず何もしないというわけにはいかないのが現実です。現実を直視しなければなりません。それが私たち政治家の責任でもあります。  しかし、これまでは法制度がないため、そのしわ寄せは結果として現場の自衛隊員に押し付けられてきました。本来あってはならないことであります。駆け付け警護はリスクを伴う任務です。しかし、万が一にも邦人に不測の事態があり得る以上、あらかじめ必要な任務と権限を付与し、事前に十分な訓練を行った上でしっかりと態勢を整えた方が、邦人の安全に資するだけではなく、自衛隊のリスクの低減に資する面もあると考えます。  また、南スーダンでは、一つの宿営地を自衛隊だけでなく複数の国の部隊が活動拠点としています。宿営地の共同防護の権限付与により、平素から他国と共に訓練を行うことができ、緊急の場合の他国との意思疎通や協力も円滑になります。これにより、宿営地全体としての安全性を高めることになり、自衛隊に対するリスクの低減に資するものと考えています。  自衛隊による貢献に対しては、南スーダンのキール大統領から、また政府内で反主流派を代表するタバン・デン第一副大統領からも、感謝の意が、言葉が示されており、国連を始め国際社会からも高い評価を受けています。国連の旗の下、国際社会とともに力を合わせている自衛隊の活動が殺し殺される活動であるかのごとくの主張は、全く不適切なものであります。  政府としては、今後とも、現地情勢について緊張感を持って注視してまいります。その上で、自衛隊の安全を確保し、意義のある活動が困難であると判断する場合には、撤収をちゅうちょすることはありません。この点は明確に申し上げておきたいと思います。  憲法改正についてお尋ねがありました。  現行憲法が成立して七十年がたちました。憲法は国の未来そして理想の姿を語るものであり、二十一世紀の理想の姿を私たち自身の手で描いていくという精神が、日本の未来を切り開いていくことにつながっていくと信じております。  国民主権、基本的人権の尊重、平和主義といった現行憲法の基本原理は堅持しつつ、その上で必要な改正は行うべきものと考えておりますが、どの条文をどのように変えるかは国会国民的な議論が深まる中で収れんしていくものと考えております。(拍手)     ─────────────
  22. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) 清水貴之君。    〔清水貴之君登壇拍手
  23. 清水貴之

    ○清水貴之君 日本維新の会の清水貴之です。  日本維新の会を代表して、平成二十七年度予算決算につき質問をいたします。  我々は、財政再建のためにはまず歳出削減を優先させ、増税は最後の手段とするべきと考えています。歳出削減のためには、毎年度予算執行の在り方や決算について、厳しい国会の監視が必要です。  こうした立場から、衆議院でいまだに平成二十四年度、二十五年度決算が議案となっていることは誠に遺憾であります。企業決算では考えられないことですし、地方議会でもこのような事態は通常見られません。この責任は国会にあることはもちろんです。与野党を問わず各党各会派が決算審議の迅速化に向けて努力をし、予算の作成過程にしっかりと反映させるべきと考えますが、安倍総理、いかがでしょうか。  さて、平成二十七年度予算安倍政権により編成された三度目の予算ですが、その決算を見ると、日本経済が今なお脆弱性を有していることが明らかとなっています。二十七年度決算においては、租税及び印紙収入が二・三兆円増加して五十六兆二千八百五十四億円となる一方で、公債金収入が三・五兆円減少して三十四兆九千百八十二億円となるなど、一見すると財政改善が進んでいるように見えます。  しかし、補正後予算額に対し、租税及び印紙収入は一千三百八十五億円減少していて、特に法人税予算額に対して九千百三十五億円の大幅減となっています。安倍総理は、政権の功績として、アベノミクスにより日本経済状況が改善し、その結果として法人税を始めとする税収増加してきたと主張してこられましたが、二十七年度決算において税収予算額に対して大幅減となっている事態は、いまだ日本経済が回復途上であり、強さを達成できていないことの証左であると言えるのではないでしょうか。総理、どのように思われますか。  また、二十七年度末における国債及び借入金現在高は一千四十九兆三千六百六十一億円となり、前年度と比べて三・九兆円減少したものの、二十八年度末には一千百十九兆円へと大幅に増加することが見込まれるなど、その増加傾向に歯止めが掛かっているとは言えません。  このように、将来世代への負担が多額に上っている状況に対し、安倍政権は、国、地方を合わせた基礎的財政収支プライマリーバランスを三十二年度までに黒字化した後に、債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指すとされています。中期財政計画における二十七年度の目標は達成されており、政府財政再建に対する取組が一定の成果を上げているとは言えますが、二十七年度税収予算額に比べて大幅減となっている状況からは、財政再建に関する今後の見通しが非常に厳しいものであることが予測されます。  総理、三十二年度プライマリーバランス黒字化は相当厳しいとの声が多々聞かれますが、本当に目標は達成できるのでしょうか。目標を堅持する立場に変わりはありませんでしょうか。また、二十七年度決算において我が国経済に内在する脆弱性が明らかとなったことに対する所見、及びこのような状況の中でいかにして財政再建を進めていくのか、その具体的方策安倍総理にお伺いします。  平成二十七年度決算検査報告では、預金保険機構金融機能早期健全化勘定利益剰余金のうち、一兆九百六十四億円が使う見込みのない余裕資金とみなされ、国庫に納付すべきとされました。これに対し、麻生金融担当大臣が、ほかの勘定では損失も生じていると答えています。このやり取りは、今の日本の財政の姿を象徴的に表しています。  ある会計や勘定には何千億円、何兆円の余裕があり、別の会計や勘定ではやはり何千億、何兆円の不足が生じています。こうした過不足について、政府には効率的に融通を利かせようという発想が乏しく、巨額のストックが有効活用されないままになっていないでしょうか。総理考えをお聞かせください。  国会で何度も取り上げられた例でいえば、労働保険特別会計の問題があります。平成二十七年度決算での積立金は、労災勘定で七兆八千億円、雇用勘定で六兆二千億円あります。我が党は、この特会への一般会計からの繰入れ見直しと雇用保険料の引下げを主張してきました。政府がこれに応えて雇用保険料を下げていることは評価できますが、問題は、労保特会の余裕資金との関係で、下げ幅が十分か否かです。  厚生労働大臣にお伺いします。現在のところ、労保特会の現預金等の規模は適正規模から見てどれほど大きいのか。今般の雇用保険料引下げで適正水準に近づくのでしょうか。  今回の決算検査報告では、補正予算についても重要な指摘がなされています。平成二十四年度から二十六年度まで、七つの府や省について、予算の項目ごとに調べると、当初予算との合計全体よりも補正での追加額の方が翌年度に繰り越される率が高かったということです。つまり、補正予算では、当初予算よりも不要不急の事業が多かったということになります。財務大臣にお伺いしますが、これは財政法上問題ではありませんか。  個別の事業についての検査報告指摘に移れば、JOC加盟団体の不適切経理の問題があります。二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、文部科学省は日本オリンピック委員会、JOCに委託して、ジュニア競技者の育成強化事業を実施しています。JOCはこの事業をスポーツ団体に再委託していますが、日本ボート協会等の六団体において、合宿に参加した選手から徴収した負担金を収入として計上していない事態等の不適切な会計処理会計検査院検査によって明らかになりました。  また、日本障害者スポーツ協会が日本パラリンピック委員会に加盟する障害者競技団体に委託して実施した選手強化事業についても、日本ブラインドサッカー協会等の五団体において不適切な会計処理が明らかとなったほか、東京オリンピック・パラリンピック競技大会関係以外でも、独立行政法人日本スポーツ振興センター、JSCがラグビーワールドカップ二〇一九組織委員会に対して事務所の貸付料を徴収していない等の事態が明らかとなりました。  近年、スポーツ団体における不祥事等が相次ぎ、本院決算委員会では、平成二十三年度決算及び平成二十四年度決算の措置要求決議において、助成金の交付に関するスポーツ団体のガバナンス強化を求めていたところです。しかし、二十七年度決算検査報告においても、依然として多くのスポーツ団体において不適切な会計処理が明らかとなったことは重大な問題です。  そこで、会計処理の適正化等、今後のスポーツ団体におけるガバナンスの徹底に向けた取組について、松野文部科学大臣にお伺いをします。  我が党は、国民からお預かりしている貴重な税金が一千億単位、一兆円単位で有効活用されずに眠っている実態を決して看過することはできません。東京オリンピック・パラリンピックについて、スポーツ団体が国民の皆さんの期待を裏切るような税金の使い方をすることも許してはいけません。  個々の支出についても、予算制度全体についても、我々日本維新の会は、徹底的に見直しをして、税金の有効活用実現することを皆さんにお約束して、質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手)    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇拍手
  24. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 清水貴之議員お答えをいたします。  決算審議の迅速化についてお尋ねがありました。  国会決算審議における議論や決議等を翌年度以降の予算やその執行反映させていくことは、予算効率化、ひいては財政健全化の観点からも重要であると認識しております。このため、政府としては、決算書の早期の国会提出に努めているところです。決算審議日程やその進め方に関しては国会の御判断によるものと考えておりますが、政府としては、引き続き決算審議に最大限協力してまいります。  プライマリーバランス黒字化目標及び財政健全化に向けた具体的方策についてお尋ねがありました。  平成二十七年度決算では、歳入面においては、税収が補正後予算額に対して〇・一兆円減少したものの、日本経済の好転を反映して、対前年度比で二・三兆円増加しています。また、歳出面においても、社会保障改革を始め徹底的な重点化効率化を行っており、その結果、二〇一五年度プライマリーバランス赤字半減目標を達成する見込みとなっています。  二〇二〇年度プライマリーバランス黒字化実現するという財政健全化目標については、引き続き堅持します。その実現に向け、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針の下、未来への投資を実現する経済対策を始めとする強い経済実現を目指した取組を引き続き進めていきます。  一方、これまでも、社会保障改革を含め、徹底的な重点化効率化など歳出削減にも取り組んできたところです。この結果、社会保障関係費については、その実質的な伸びを年平均五千億円に抑えることができるなど、歳出改革取組は着実に成果を上げております。引き続き、経済・財政再生計画の枠組みの下、安倍内閣のこれまでの歳出改革取組強化してまいります。  また、二〇一八年度時点で、目標達成に向けた歳出改革等の進捗状況を評価し、必要な場合には、デフレ脱却、経済再生を堅持する中で、歳出歳入の追加措置等を検討することとしています。今後とも、経済・財政一体改革を不退転の決意で断行し、経済再生を図りながら、二〇二〇年度におけるプライマリーバランス黒字化実現してまいります。  国の会計やその勘定間での資金融通についてお尋ねがありました。  特別会計やその勘定の積立金等は、それぞれの特別会計等の趣旨に鑑み、必要な金額を積み立てております。その大宗は年金保険料や雇用保険料等を財源として積み立てた将来への備えであり、これを取り崩して他の目的に使用することは適当でないことを御理解いただきたいと思います。  また、剰余金については、特別会計の目的や財源の性質、一般会計における厳しい財政状況等を踏まえ適切に対処されるべきものであり、活用が可能なものについては最大限活用できるよう努力しております。その結果、平成二十七年度に発生した特別会計剰余金について、総額一・七兆円を平成二十八年度一般会計に繰り入れました。  なお、預金保険機構金融機能早期健全化勘定剰余金有効活用については、所管大臣である麻生大臣において適切に対応していただけるものと考えております。  いずれにせよ、今後とも効率的かつ適切な財政運営に取り組んでまいります。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣麻生太郎登壇拍手
  25. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 補正予算追加額の翌年度繰越しについてのお尋ねがあっております。  平成二十四年度から二十六年度補正予算につきましては、経済対策などに基づいて、当初予算編成時にはいわゆる予測し得なかった財政需要に対応するため編成したものであり、いずれも年明けの二月に成立をいたしております。  これらの補正予算執行について、結果として当初予算よりも繰り越す割合が高くなる事業が生じたことは御指摘のとおりであります。しかし、いずれも年度執行を前提として計上した上で、地元との調整や気象条件などのやむを得ない理由により翌年度に繰り越された結果でありまして、補正予算では当初予算よりも不要不急の事業が多く、財政法上問題があるとの御指摘は当たらないと考えております。(拍手)    〔国務大臣塩崎恭久君登壇拍手
  26. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 清水貴之議員お答え申し上げます。  労働保険特別会計の積立金についてのお尋ねがございました。  まず、労災保険については、その年金給付の財源となる積立金は、平成二十七年度決算で約七・九兆円となっています。労災保険の積立金については、将来の年金給付に必要となる費用の全てを賄える水準にすることとしております。その費用は、平成二十七年度末で約七・七兆円と見込んでいることから、現在の積立金水準は適正なものと考えております。  また、雇用保険の失業等給付の積立金は、雇用情勢の回復等の影響により、平成二十七年度決算で約六・四兆円となっております。その適正な水準につきましては、景気の影響等もあり一律に設定することは困難でありますが、積立金の額が失業等給付金の額のおおむね一倍から二倍の間であることを一つの目安とすることができると考えております。  本年四月の雇用保険料の引下げにより、積立金は今後徐々に減少をしていくものと考えております。さらに、八月の経済対策において、雇用保険料の時限的な引下げ等について、必要な検討を経て成案を得、平成二十九年度から実現をするとされており、現在、労働政策審議会において検討を行っております。(拍手)    〔国務大臣松野博一君登壇拍手
  27. 松野博一

    国務大臣(松野博一君) スポーツ団体のガバナンスについてお尋ねがありました。  今回の決算検査報告において、御指摘のような不適切な経理処理が明らかになったことは誠に遺憾です。文部科学省では、各団体に対し、過払い額の返還等の措置を講じているところです。  スポーツ団体のガバナンス強化については、国として、昨年三月にスポーツ団体の組織運営や体制強化の指針を示し、各団体に対して組織の現状の把握や改善を促しているところです。  また、日本オリンピック委員会では、昨年度から競技団体の会計やマネジメント教育等の支援を行うNF総合支援センターを設置しているほか、日本パラリンピック委員会と日本財団が連携しパラリンピックサポートセンターが設立されるなど、適正な組織運営のための支援が行われています。  文部科学省としては、日本オリンピック委員会等と連携し、これらのガバナンス強化取組を推進することにより、再発の防止にしっかりと取り組んでまいります。(拍手)     ─────────────
  28. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) 又市征治君。    〔又市征治君登壇拍手
  29. 又市征治

    ○又市征治君 希望の会、社民党の又市征治です。  私は、会派を代表して、ただいま議題となりました二〇一五年度決算について、以下、質問をいたします。  初めに、総理の訪米に関してお尋ねをいたします。  安倍総理は、今月十七日にアメリカを訪問され、次期大統領のトランプ氏と会談をされました。会談後、信頼関係を築けると確信を持てる会談だった、こう述べられました。ところが、そのトランプ氏は、二十一日、来年一月二十日の就任日にTPPからの離脱を通告する、こう表明をされました。総理信頼関係に確信を持ったトランプ氏の発言ですから、当然それは実行されるでしょう。とすれば、TPP発効は不可能になります。しかし、総理は依然、早期批准に固執をされています。それは、トランプ氏が離脱を翻意をする確信があるからなのか、あるなら、総理、その根拠を国民説明してください。  第二に、二〇一五年度決算について、会計検査院が不当事項として指摘した件数は三百四十五件、百七十八億円余に上ります。また、改善が必要な事業が四百五十五件、総額一兆二千億円余と指摘されており、過去二番目に多い金額に上ります。毎年このような指摘を受ける原因をどう捉え、根絶するためにどのような方策を取るおつもりなのか、財務大臣見解を伺います。  第三に、安倍総理が二〇一五年度中に海外歴訪や来日した各国首脳に表明されたODA単年度分については、有償で四千八百四十七億円に上ります。こうしたトップセールス件数は二〇一二年度と比べますと約三倍に上り、また、中身も以前の草の根無償援助や人間の安全保障中心から国益確保ということが前面に押し出され、さらに、昨年度からは相手国の軍又は軍籍を有する者への援助も加わり、ODA変質の批判があります。  そこで、まず、資金援助、物資援助の軍事転用を防ぐ運用基準はあるのかどうか、総理の明快な見解を求めます。  第四に、二〇一五年度補正予算は二〇一六年度当初予算と一体で編成をされました。そもそも、補正予算は、財政法二十九条で、当初予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出に限りと規定をされています。  この間の安倍政権補正予算は、翌年度当初予算の前倒し計上が多々見受けられます。二〇一五年度補正予算も、例えば、巡視船艇や航空機の建造費などが前倒し計上され、海上保安庁の補正予算は過去最高の二百五十五億円になり、また安保法制による新たな任務を見据えた装備の前倒し計上も、当初予算で防衛費の増額を小さく見せる粉飾的手法が取られています。このような補正予算は、財政法二十九条に違反をすると言わねばなりません。それとも違反でないと強弁をされるのか、総理見解を伺います。  第五に、高速増殖炉「もんじゅ」について、本院は政府に対して度々警告決議や措置要求決議を上げてまいりました。例えば、平成二十三年十二月の警告決議では、九千四百八十一億円もの多額の予算が投じられてきたにもかかわらずトラブル続きと指摘をした上で、「もんじゅ」の在り方についても十分に検討すべきであると指摘をしています。しかしながら、それから五年、毎年二百億円もの税金が浪費をされてまいりました。  総理、年内に「もんじゅ」の廃炉を決断されるのか否か、明確にお答えください。  関連して、使用済核燃料プールが数年で満杯になる原発が幾つもあります。この最終処分場はいつ頃決定をし、いつ頃から使えるようにするのか。そのめどもないまま原発の再稼働を進めるのは、無責任ではありませんか。国民の不安に明快にお答えをいただきたいと思います。  以上、二〇一五年度決算審査の皮切りの質問といたします。(拍手)    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇拍手
  30. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 又市征治議員お答えをいたします。  トランプ次期大統領TPP協定離脱の表明についてお尋ねがありました。  TPPには自由貿易を進化させる意義があります。自由で公正な経済圏のメリットは中小企業やそこで働く人々にも及ぶ、数年間の交渉を経て協定に結実したルールは今後の通商交渉におけるモデルとなります。日本TPP並みのレベルの高いルールをいつでも締結する用意がある、国会承認はその国家としての意思を示すものであり、他の交渉を加速させる力となります。  自由貿易は岐路に立っています。米国政権移行期にあり、世界保護主義の懸念と動揺が広がっている。自由民主主義国家第二位の経済大国である日本までもがここで立ち止まれば、自由貿易は後退してしまいます。今ぶれてはなりません。速やかにTPP協定国会承認をいただき、立法府を含めた日本の固い決意を世界にしっかりと発信していきたいと思います。トランプ氏がTPPの離脱を翻意するという確信があるわけではありませんが、TPP意義米国に粘り強く訴えていきたいと思います。  我が国のODAについてお尋ねがありました。  我が国は、人間の安全保障の推進や草の根無償援助の供与など、非軍事的協力による平和と繁栄への貢献といった我が国ODAの基本方針を引き続き堅持するとともに、国際社会の課題の解決に貢献するため、ODAを戦略的に活用することとしています。ODAを軍事的用途及び国際紛争助長のために使用しないとの原則が開発協力大綱において明確に定められており、この原則に照らし、ODAが非軍事目的に限られることをしっかりと確認しています。  例えば、バングラデシュ国防省傘下の気象局に対し、ODAによる気象レーダー整備の協力を行いましたが、これは気象観測の成果が広く民間に開放されること等から非軍事目的の協力であるとして妥当と判断をいたしました。  こうした協力の実施に当たっては、相手国と取り交わす文書の中で軍事目的に使用しないことを確認しているほか、事後のモニタリング等も実施し、適正性の確保に努めています。今後とも、平和国家としての日本にふさわしい開発協力を推進してまいります。  補正予算における防衛関係費や海上保安庁予算の緊要性についてお尋ねがありました。  当初予算編成後も、刻々と変化する安全保障環境や頻発する自然災害に対して、活動回数が増加する自衛隊や海上保安庁の安定的な運用を確保するため、装備品の修理や更新等に必要となる経費を補正予算で措置しているものであり、財政法第二十九条に違反するとの指摘は当たりません。  「もんじゅ」、高レベル放射性廃棄物の最終処分についてお尋ねがありました。  「もんじゅ」については、廃炉を含め抜本的な見直しを行うこととし、その取扱いに関する政府方針を本年中に原子力関係閣僚会議で決定することとしております。  高レベル放射性廃棄物の最終処分場の選定については、国民や地域の御理解をいただきながら、一歩ずつ進めていくことが不可欠です。これまでのやり方を見直し、責任を持って最終処分場を確保すべく、地域の科学的特性を国から分かりやすく提示するなど、国が前面に立って取組を進めてまいります。  資源に乏しい我が国がエネルギー供給の安定性を経済性、気候変動の問題にも配慮しつつ確保するためには、原子力はどうしても欠かすことができません。もちろん、安全性の確保が最優先です。そのため、高い独立性を有する原子力規制委員会が科学的、技術的に審査し、世界で最も高いレベルの新規制基準に適合すると定めた原発のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めてまいります。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣麻生太郎登壇拍手
  31. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 決算検査報告における不当事項などの原因と対応策についてのお尋ねがあっております。  平成二十七年度決算検査報告において、会計検査院から不当事項等として四百五十五件、一兆二千百八十九億円と数多くの指摘を受けたことは誠に遺憾であります。  これらの指摘は、各府省において会計法令違反や補助金交付要綱違反、各種制度等に対する認識不足、事務事業の実施に当たっての調査確認体制の不備などによるものと考えております。このため、検査報告を受け、私の方から各閣僚に対して、改めて予算の厳正かつ効率的な執行経理の適正な処理に努めるように要請を行ったところであります。  財政当局といたしましても、この検査報告を真摯に受け止め、今後とも、研修や会議などあらゆる機会を捉えて、国会における決算決議や決算検査報告指摘事項の周知徹底、関係職員の責任の明確化、資質の向上、内部牽制、内部監査の徹底、予算執行の適正化と透明性の確保などについて更に努めていただくよう指示をするとともに、指摘内容に応じて一つ一つ着実に改善策を講じ、引き続き、その後の予算や会計事務などにしっかり反映してまいりたいものと考えております。(拍手
  32. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) これにて質疑は終了いたしました。      ─────・─────
  33. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) 日程第二 公職選挙法及び最高裁判所裁判官国民審査法の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送付)  日程第三 公職選挙法の一部を改正する法律案(衆議院提出)  以上両案を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員長有田芳生君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕     ─────────────    〔有田芳生君登壇拍手
  34. 有田芳生

    ○有田芳生君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  まず、公職選挙法及び最高裁判所裁判官国民審査法の一部を改正する法律案(閣法第七号)は、有権者が投票しやすい環境を整えるため、在外選挙人名簿の登録申請の方法の見直し、選挙人名簿の内容確認手段の閲覧への一本化、都道府県選挙の選挙権に係る同一都道府県内移転時の取扱いの見直しを行うとともに、最高裁判所裁判官国民審査の期日前投票の投票期間を延長するなどの措置を講じようとするものであります。  次に、公職選挙法の一部を改正する法律案(衆第三号)は、実習を行うため航海する学生、生徒その他の者の投票の機会を拡充するため、これらの者を洋上投票制度の対象とするものであります。  委員会におきましては、両法律案を一括して議題とし、閣法第七号の法律案について高市早苗総務大臣から、衆第三号の法律案について衆議院政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員長竹本直一君から、それぞれ趣旨説明を聴取した後、在外投票及び洋上投票を更に使いやすくするための方策、ICTを活用した投票環境向上の可能性、公平な投票機会の確保に向けた不在者投票等の取組等について質疑が行われました。  質疑を終局し、両法律案を順次採決の結果、いずれも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、閣法第七号の法律案に対し附帯決議が付されております。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  35. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) これより両案を一括して採決いたします。  両案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕
  36. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕
  37. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         二百三十七     賛成           二百三十七     反対               〇    よって、両案は全会一致をもって可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕     ─────────────
  38. 伊達忠一

    議長伊達忠一君) 本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十七分散会