○石井苗子君
日本維新の会の石井苗子です。
私は、我が党を
代表して、ただいま
議題となりました
パリ協定の
締結について
承認を求めるの件について
質問をいたします。
我が党は、
外交・安全保障
政策については、憲法の平和主義をしっかり守りながら国益を重視する
現実路線を取っております。したがって、TPPのような安全保障上も経済上も
我が国に大きなメリットをもたらす
協定は積極的に
推進すべきと考えます。そして、
京都議定書や
パリ協定については、地球環境を守るための先進国としての責務を当然果たすべきだと考えております。その一方で、
我が国の
経済成長と環境保護の両立を図るために、一定の
現実的な
対応も必要と考えます。
以上の立場から、何点か
質問をさせていただきます。
気候変動問題、いわゆる
地球温暖化問題に対して
世界的に懸念が高まっています。一九九七年の
京都議定書の採択以降、より
実効性のある対策が十年近く議論された結果、昨年十二月の
COP21で
パリ協定が採択されました。本
協定の長期的な
目標は、
世界の
平均気温の
上昇を
産業革命前と比較して二度を下回るよう
努力することであり、二十一世紀後半には
温室効果ガスの排出を実質ゼロとすることにあります。
こうした高い理想を目指して、百九十七の国と地域が
参加することは確かに歓迎すべきことではありますが、本
協定では
各国が
達成すべき
削減目標が決められておりません。
京都議定書では、条約上の
削減目標を実際に
達成することを先進国に義務付けておりました。これに対し、
パリ協定は、
達成を目指す
目標を
各国が自ら作成、
提出して
国内措置を実施することを後進国を含めて全ての国に義務付けています。
そこで、
外務大臣にお伺いいたします。
本
協定は、全ての国の
合意を優先する
余り、
各国ごとの
目標については結論が先送りされて曖昧となってはいないでしょうか。
目標の
達成の義務付けには
中国や
インドなどが消極的だったとも言われております。
各国に
目標達成を義務付けることができなければ、本
協定の
実効性に疑問が生じないか、
外務大臣の御
認識をお伺いいたします。
次に、本
協定では、
各国が五年
ごとに
目標を作成して
提出する義務を負い、その
目標は当該国の現在の
目標を上回らなければならないとされています。この義務を遵守させるメカニズムの詳細は、来月の
COP22と同時に開かれる予定の
パリ協定の第一回
締約国会合、
CMA1で議論され、採択される予定です。
そこで、本
協定の
実効性について、
外務大臣にもう一点お伺いをいたします。
各国の法的義務について、どのような遵守メカニズムが望ましいとお考えでしょうか。少なくとも、主要な
温暖化ガス排出国については、
目標の作成と実施について、
相当実効性の高い仕組みとしなければ本
協定の意味が薄れてしまうと考えます。
この点につき、
CMA1ではどのような方法が
検討される見込みかお伺いします。また、
我が国としてはどのような仕組みが望ましいとお考えなのかお伺いをいたします。
次に、国内
手続の遅れについてお伺いします。
来月の
CMA1で、本
協定の遵守メカニズムについて、
我が国は具体的な提案をすることができるのでしょうか。国内
手続の遅れにより、具体的な提案は不可能になったのではないかという懸念があります。我が党が外務省から行ったヒアリングでは、この
会議の親
会議である
COP22には
参加できるのだから問題ないという
趣旨の回答がありましたが、どうなのでしょうか。本
協定の遵守メカニズム提案の可否につき、
外務大臣の御
認識をお伺いいたします。
次に、本
協定の公平性について、
環境大臣にお伺いします。
日本は既に、一九九七年の
京都議定書の採択以来、真摯に
温室効果ガスの
排出削減に取り組んで、
削減目標を
達成し続けてまいりました。本
協定には、これまでこうした条約上の義務を負っていなかった多くの国が
参加することになります。ここに、従来から厳しい
削減目標を課せられてきた
日本のような国とこれからまだまだ
削減には伸び代のある国との間で不公平が生じてはいないでしょうか。
世界各国は経済的な国際競争の下にあります。
我が国の厳しい環境基準を更に厳しくすれば、
企業はこれを守るコストが高くなります。そうなりますと、
企業は環境基準の緩い国での活動を選んで、かえって
温室効果ガスの排出が増えるという結果にはならないでしょうか。
環境大臣にお伺いいたします。
さらに、この問題に関連しまして、そのような事態を防ぐために、一、
各国の
排出削減努力を適切に評価する仕組みが確保できるのかどうか、二、そうした仕組みの策定に
我が国が十分に関与できるのか、
外務大臣に御
認識をお伺いいたします。
次に、
我が国の
国内措置についてお伺いします。
我が国は、
パリ協定を踏まえた
地球温暖化対策計画において、
温室効果ガス排出削減の
中期目標として、二〇一三年度比で二〇三〇年度二六%減、長期的な
目標として、二〇五〇年までに八〇%減を目指すとしています。また、昨年まとめられた
エネルギーミックスの実現を図るために
エネルギー革新
戦略が定められています。
問題は、これらの計画、
戦略の
現実性と整合性です。
エネルギー革新
戦略が実現を目指している
エネルギーミックスによれば、二〇三〇年度の
電源構成は、再エネが二二から二四%、
原子力が二〇から二二%、LNGが二七%、石炭が二六%程度となっています。しかし、ここで示された
原子力発電
比率の
現実性については、四十年廃炉基準との関連などから、当初より疑問を持たれてきました。また、
エネルギーミックスの掲げる二〇三〇年度までの家庭部門や業務部門での約四〇%もの省エネも、決して容易に
達成できる
目標ではありません。
環境大臣にお伺いします。仮に
エネルギーミックスが当初の
目標どおりに
達成されなかった場合、
エネルギー革新
戦略と
地球温暖化対策計画の調整をどのように行うのか、お伺い申し上げます。
また、
温室効果ガスの二六%
削減も家庭と
企業での四〇%の省エネも多大のコストや負担を伴いますが、
日本再興
戦略では、
エネルギー関連投資が二〇三〇年度までに十兆円増えること以外には目立った
効果を掲げておりません。家計にも
企業にも負担を求める以上、環境の
改善や中長期的な
エネルギーコスト
削減など、
エネルギー関連投資全体によるリターンを
日本全体の成長
戦略の中で数値化して示すべきではないかと思いますが、
環境大臣の御
認識をお伺いします。
最後に、
エネルギーミックスに関連して、
原発再
稼働について
質問いたします。
鹿児島県と
新潟県で再
稼働反対を掲げる知事が誕生しました。しかし、そもそも知事には
原発の再
稼働を止める法的権限がありません。
我が党は、
原発についても
現実路線を取り、
原発の即時廃止でも積極的
推進でもなく、市場競争を通じたフェードアウトを目指しています。我が党は、再
稼働については、現在のように、避難計画策定も
地元同意も法律に位置付けられず、
政治闘争のみによって決着が付くという現状を直ちに是正すべきと考えております。
国の
エネルギー・環境
政策の根幹を成す問題は力ではなく法によって決すべきであり、
原発再
稼働の是非は明確な法的根拠に基づいて決めるべきです。このために、我が党は、今
国会に、
原子力損害賠償制度の確立、避難計画策定への国の関与、
地元同意の法定化及び使用済核燃料の最終処分
手続の……