○中山恭子君
日本のこころ、中山恭子でございます。
岸田外務大臣は、
北朝鮮による核・
ミサイル開発は日朝平壌宣言の明白な違反であると述べられました。まさにそのとおりであります。
このことは今に始まったことではありません。二〇〇六年、安倍第一次内閣が成立し、
安倍総理が
中国の訪問の後、
韓国に入りました日に
北朝鮮は
核実験を行いました。この時点で、当時、
拉致対策本部では、
北朝鮮は既に平壌宣言に違反をしたものであり、事実上平壌宣言は無効になったと判断し、
拉致被害者救出に的を絞って
活動を続けました。ただ、外務省はその後も平壌宣言にこだわり続け、二〇一四年には平壌宣言にのっとって協議を行い、
ストックホルム合意を結びました。
ここで、
皆様よく御承知のこととは
思いますが、平壌宣言が何か、
ストックホルム合意とは何かについてはっきりと
認識しておきたいと考えております。
そもそも、平壌宣言は
拉致被害者を救出するとのことを念頭に置いていません。平壌宣言では、
拉致問題について、
日本国民の生命と安全に関わる懸案事項、この中に含まれているとされておりますが、朝鮮民主主義人民共和国側は、日朝が不正常な
関係にある中で生じたこのような遺憾な問題が今後再び生じることがないよう適切な
措置をとるということを確認した宣言でありまして、平壌宣言以前の
拉致に関わる
被害者を
帰国させる、ないしは
拉致被害者については不問にするということを明確にした宣言でございます。したがって、この宣言にのっとっている場合には、
拉致被害者、この二〇〇二年以前の
拉致被害者に関しては
北朝鮮は何ら
対応をする必要がないということを宣言しているものでございます。
そして、その後、二〇一四年に
ストックホルム合意が結ばれました。この
ストックホルム合意におきましても平壌宣言にのっとったものでありまして、この先ほど白
委員から配付されております
ストックホルム合意、何が書かれているかといいますと、合意されたかといいますと、
北朝鮮側の
措置として、第五番目に、
調査の過程において
日本人の生存者が発見される場合には、その
状況を
日本側に伝え、
帰国させる方向で去就の問題、
北朝鮮にとどまるか、
日本に
帰国したいのか、この問題に関して協議をし、
措置を講ずるとされています。
拉致問題に関しての
ストックホルム合意の
内容はこれだけでございます。
これは何を
意味しているかといいますと、
日本人が見付かった場合、
日本からどなたか
関係者の方が来て、その人と協議をして、話合いをして、
北朝鮮にとどまりますか、
日本に帰りますかという協議をしてそこで決める、去就を決めるということでございます。これは、
北朝鮮の中では全て
被害者は指導員の下に置かれておりますので、この場で
日本に帰りたいということは決して発言できないということが実際でございます。
政府は当然そのことを知った上でこの合意をしたと
思います。
ということは、
ストックホルム合意におきましても、平壌宣言にのっとって
拉致被害者を
日本に
帰国させるということは一切考えられていないということが、平壌宣言、
ストックホルム合意に続いて考えられていることでございます。
二〇〇二年当時であっても、日朝国交正常化をするに当たって、当時は十人でしたが、たった十人のために国交正常化が遅れてはならないということが公の場で発言されておりました。その考え方がずっと引き継がれているということの明らかに分かることがこの平壌宣言、
ストックホルム合意でございます。したがって、はっきり申し上げまして、
拉致被害者救出の運動、そして、
政府の中でもその
動きは
努力されてきているとは
思いますけれども、
政府として救出できない一番大きな原因は、
拉致被害者を犠牲にしてでも日朝国交正常化を進めることが良いのだという考え方が
政府の中に強く存在していることであると言って過言ではないと考えております。
岸田外務大臣と
加藤大臣にお伺いいたします。
まず、今回、
北朝鮮が日朝平壌宣言に違反していると述べられました。そう考えていらっしゃる限りは、
日本側としては平壌宣言も
ストックホルム合意も
日本側から破棄するつもりはない、破棄してはならないというお答えが先ほど白
委員のお答えの中にありましたけれども、
北朝鮮がもう既に違反しているという
状況でございますので、こちらから破棄すると言わないまでも、平壌宣言や
ストックホルム合意に縛られずに
拉致被害者の救出のための交渉を真剣に行うべきと考えますが、この点について
外務大臣の御見解を伺います。
ついでと言ってはなんですが、ここで次の
お話もさせていただきます。
加藤大臣、
国連で
拉致問題について発言してくださいまして誠にありがとうございます。外務省との対話であれば、対話が続く限り
拉致被害者を帰さなくても済むと
北朝鮮は考えておりますので、外務省との交渉が一番楽だというのが
北朝鮮の
対応でございます。したがって、これまでの外務省の交渉、日朝国交正常化のための交渉は一旦中断してもらって、その前に
拉致グループが
拉致被害者救出、もちろん外務省と一緒になってでしょうけれども、
対策本部が中心になって
拉致被害者救出のための交渉を
北朝鮮と行う必要があると考えております。この点について、
加藤大臣のお考えをお伺いいたします。