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真山勇一君 私は、ただいま可決されました
外国人の
技能実習の適正な
実施及び
技能実習生の
保護に関する
法律案に対し、自由民主党、民進党・新緑風会、公明党及び日本維新の会の各派並びに各派に属しない議員山口和之君の共同提案による附帯決議案を
提出いたします。
案文を朗読いたします。
外国人の
技能実習の適正な
実施及び
技能実習生の
保護に関する
法律案に対する附帯決議(案)
政府及び
外国人技能実習機構は、本法の
施行に当たり、次の事項について万全を期すべきである。
一
政府は、
技能実習制度が我が国の有する
技能等を発展途上国等へ移転するという国際貢献を本旨とする
制度であることを十分認識し、本法第三条第二項に規定する基本理念に従って、国内の人手不足を補う安価な労働力の
確保策として悪用されないよう本法を厳格に執行すること。
二
技能実習生の待遇について、本法の基本理念の実現及び
実習実施者による出
入国又は労働に関する法令遵守の
確保のため、以下の取組を行うこと。
1
外国人技能実習機構は、
技能実習計画の認定に当たり、
実習実施者に対し、
技能実習生の
報酬の額が、
日本人が従事する場合の
報酬の額と同等以上であることの
説明責任を課すとともに、
技能実習生の
技能等の修得等に応じてその
報酬等も向上するよう、第二号
技能実習生及び第三号
技能実習生の予定賃金については、それぞれ当該
技能実習生の第一号
技能実習及び第二号
技能実習における賃金を上回るように指導すること。
2
政府は、
技能実習生の
報酬にとどまらず、
報酬からの控除の実態把握にも努めるとともに、本法第七条第二項の基本方針において、
技能実習生に支払われる
報酬から、不当な控除が行われることにより
技能実習生の生活に支障が生じることがないよう留意すべき旨を定めること。
3
政府は、労働時間の実態を把握するため、
技能実習生の労働時間に関する調査を
実施するとともに、長時間労働の是正に向けた措置を講ずること。また、本法第七条第二項の基本方針において、違法な時間外労働など労働時間に係る労働法令違反が行われることがないよう定めること。
4
政府は、長時間労働により過労死が疑われる死亡事案が発生した場合において、国外に居住する遺族による労災申請を円滑に行うことが可能となるよう、遺族への必要な支援を行うこと。
5
政府は、
技能実習生が負担する食費及び居住費その他強制・半強制的に徴収される手数料等の把握に努めるとともに、本法第七条第二項の基本方針において、休日、休暇、宿泊施設等の
技能実習生の待遇について
日本人と不当に差別されることのないようにする等、
技能実習生の権利が確実に
保護され、適正な
技能実習が行われることを定めること。
6
外国人技能実習機構は、
実習実施者及び
監理団体の実地検査について、適正かつ実効性ある検査が
実施できる
体制と専門性を
確保するとともに、適時、予告をしない検査も含めて行うこととし、その際、1の内容並びに2、3及び5の基本方針にのっとった割増賃金等の
報酬の支払の実績、残業時間を含む総実労働時間の実情その他
技能実習生を巡る待遇の
状況を、帳簿類の点検のほか、
技能実習生及び
日本人従業員からの
意見の聴取など、実態を的確に把握できる方法により
確認すること。なお、その際には、
技能実習生及び
日本人従業員が不利益を被ることがないよう万全の配慮を行うこと。
7
外国人技能実習機構は、本法を含め、出
入国又は労働に関する法令に違反する事実を把握した場合には、地方
入国管理局、都道府県労働局等に対し、通報、
情報提供等を行うとともに、事案の重大性に応じ、告発を行うことも視野に、厳格な指導監督に努めること。
8
政府は、本法第七条第二項の基本方針において、
技能実習生が
実習期間の途中でその意に反して帰国させられることのないよう留意すべきこと、
技能実習計画の
実施途中で
技能実習を中止して帰国する場合については、原則、事前に届け出ることを定めること。また、
外国人技能実習機構は、基本方針に基づき、
実習実施者及び
監理団体に対する指導・監督を徹底すること。
三
政府は、
技能実習の適正な
実施及び
技能実習生の
保護のため、速やかに、
実習の
実施に関する責任者及び
監理責任者が受講すべき出
入国又は労働に関する法令等の知識の向上を図るための講習を整備し、その受講を義務化すること。
四
技能実習生の
実習先の変更について、本法の目的の達成及び
技能実習生の人権保障の
観点から、以下の取組を行うこと。
1
外国人技能実習機構は、
実習先の変更を求める
技能実習生からの相談に丁寧に応じ、2の基本方針の内容を踏まえ、変更する
実習先に関する
情報の提供などの適切な支援により円滑な
実習先の変更を図り、
技能実習生がその意向に反して帰国を余儀なくされる事態が生じることのないように努めること。
2
政府は、基本方針において、
技能実習生が
実習先の変更を求めることについてやむを得ない事情があると認めるときは、
実習先の変更を認めることとする旨を定めること。
3
政府は、
技能実習生が第二号
技能実習から第三号
技能実習に移行する際に、
技能実習生の意向に基づき
実習先を選択することを認めるとともに、
技能実習生の選択に資するため、
外国人技能実習機構は、必要な
情報の提供その他の援助に努めること。
五 二国間取決めについて、送出
機関の
適正化に向けた送出国
政府との
連携の必要性に鑑み、以下の措置を講ずること。
1
政府は、
技能実習生の送出国において、保証金等不当な金銭の徴収や管理が行われ、また、労働契約不履行に係る
違約金を定める送出
機関が介在する実情があることを踏まえ、全ての送出国との二国間取決めを速やかに
作成し、その内容を公表するよう努めること。
2 二国間取決めにおいて、送出
機関に関する
基準を設け、当該
基準に適合しない送出
機関からの
受入れを禁止すること、送出国が送出
機関に対し本法第四十七条と同様の規制を行うこと、規制に違反した送出
機関に対し送出国
政府当局が迅速かつ厳正な対処を行うべきことなどを定めるよう努めること。
3 二国間取決めに違反する行為が認められた場合、当該送出
機関に係る
技能実習計画について、新たな申請に対する認定をしないことや、事案によっては、既に認定された
技能実習計画の認定の取消しを行うことも含め、厳格な対応を行うこと。
六 帰国後の
技能実習生が、
技能実習によって得られた知識や技術をいかして送出国の発展に貢献できるよう、
技能実習生に対するフォローアップ調査について、その充実を図った上で今後も毎年行うとともに、回答の回収率の目標を定め、二国間取決めにおいて送出国及び送出
機関の調査への協力に関する規定を設けるなど、回収率向上に向けた方策を講ずること。
七
政府は、
外国人技能実習機構が適正な運営のために専門性を有した職員を
確保できるよう、必要な支援及び財政上の措置を講ずること。また、同
機構に対し、毎年一回、その業務に関する報告を求めるとともに、その報告を受けたときは、遅滞なく、その内容を公表するよう努めること。
八 第三号
技能実習生の
受入れが可能となる
実習実施者及び
監理団体については、出
入国又は労働に関する法令等の違反事例がないなど真に優良と認められる
実習実施者及び
監理団体に限定することとなる
基準を主務省令等において厳格に定めること。また、優良な
実習実施者及び
監理団体については、その適正な運用を
確保するため、その
要件が満たされているかを定期的に
確認し、
要件が満たされない場合にはその
見直しを行うこと。
九
技能実習制度の対象
職種の
追加又は削減を行うに当たっては、以下の取組を行うこと。
1
政府及び
技能実習評価試験の整備に関する
専門家会議は、単純
作業ではないこと、
技能実習生の送出国の
ニーズに合致すること、一定
水準以上の
技能等を修得したことを公的に
評価できることという
現行の第二号
技能実習の移行対象
職種の考え方を踏まえて
判断すること。
2
政府は、
意見公募手続など
国民に広く
意見を募った上で第二号
技能実習に移行することができる
職種の
追加又は削減を
実施すること。
3
技能実習評価試験の整備に関する
専門家会議の運営の透明性の
確保のため、同
会議の議事の速やかな公開に努めること。
十
技能実習制度の対象
職種への
介護の
追加について、
介護がサービス
利用者の命や健康、尊厳にも関わる重要な
対人サービスであることに鑑み、
技能実習生の適切な
処遇及び
利用者の安全・安心を
確保するとともに
介護サービスの質を
担保するため、以下の措置を講ずること。
1 対象
職種への
介護の
追加は、国内の
人材不足を補うために
実施するものではなく、あくまで送出
国側の
ニーズに応じた国際貢献であることに鑑み、基本方針における、特定の
職種に係る施策(本法第七条第三項)等において、「
外国人介護人材受入れの在り方に関する
検討会中間まとめ」の中で、
日本語能力などの必要な
コミュニケーション能力の
確保等、
検討を要する事項として掲げられた七点につき、同
中間まとめで示された具体的な対応の在り方に沿った適切な対応策を定めた上で行うこと。その際、
利用者や他の
介護職員等と適切にコミュニケーションを図るためには、例えば、会話の内容をほぼ
理解できる
程度の
日本語能力が求められることを踏まえ、
技能実習生の
入国時に必要な
日本語能力については、指示の下であれば、決められた手順等に従って、基本的な
介護を実践するために必要となる
日本語レベルを望ましい
水準とし、二年目の業務への円滑な移行を図ること。
2 本法の
施行後、
介護従事者の適切な
処遇の
確保や
介護のサービスの質の
担保等の
課題が生じていることが
確認された場合には、
技能実習の対象
職種の
見直しを行うこと。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ
委員各位の御賛同をよろしくお願いいたします。