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政府参考人(
井上宏君)
お答えいたします。
ただいまのお尋ねは
入管法の七十条の二という規定につきましての運用についてのお尋ねでございます。
七十条の二という条文は、例えば
不法入国とか
不法残留とか、そのような罪を犯した者が難民である、さらに、その他
幾つかの要件を満たす場合には刑を免除するということにしておるところでございます。ここで言う難民とは何を
意味しているかということでございますが、
入管法における難民は定義規定が二条の三号の二というところに置かれていまして、これはいわゆる条約難民、つまり難民条約及び難民議定書に定義する難民であるということでございます。この難民とは条約上何かといいますと、「人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を
理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に
理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であつて、その国籍国の
保護を受けることができないもの」などと規定されておるところでございます。
したがいまして、この
入管法七十条の二の規定は、御
指摘のありました難民条約の三十一条の規定を受けて設けられた規定でございますので、同条の趣旨に従って、
不法入国、
不法残留等の犯罪については、
法定された要件の下では条約難民は処罰しないということとしているところでございます。
したがいまして、御
指摘がありましたが、人道的配慮から在留を認められたことや現在難民申請中であるということをもって直ちに
入管法七十条の二に言う難民に当たると、そう言えるものではございませんが、他方、これは
入管法の難民手続とは別に刑事裁判の過程で行われることでございます。つまり、
不法入国等により起訴された刑事裁判があったとした場合に、そこで条約難民に当たるかどうかと認められ、かつ、ほかの要件を満たせば
入管法七十条の二によって刑が免除されると、そのような枠組みになっております。