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山本太郎君 私は、
IR法案、いわゆる
カジノ法案に反対の立場で討論をいたします。自由・社民の会派、希望の会を代表し、反対討論を行います。
本当に悲しい、これが国会なのって思っちゃいますよ。もう慣れたかもしれない、皆さんは、こんなものだって、政治は。でも、私はまだ日が浅い、三年しかたっていない。だから、まだ町の感覚、人々の声は聞こえる、こんな形でこんなことを決めていいんですかって。
私たちを食べさせてくれているのは、そしてこの国を回せているのは税金ですよって。誰の声を聞いてやるんですか。国民の中で、
ギャンブルできる
ようにしてくれ、
カジノ、賭場を開いてくれという声、どれぐらいありました。慎重にやってくれ、ちょっと行き過ぎているんじゃないか、そういう声の方が多いじゃないですか。誰の声を聞いて政治をやるんですかって、誰の国の政治を今行っているんですかって。
この
カジノという
考え方に関しましては、特区で元々ありましたよね。特区でできなかった理由、平たく言うと、ばくち場を開くことを特区だけで合法化するには無理があるという話でした。ならば違う
ルートで、プログラム法と実施法という二
段階で分かりにくく、ばくち場を開ける場所や主体を合法化してしまう準備
法案だとも言えます。
正面から来ればいいじゃないですか。
IR、劇場がどうした、
会議場がどうした、もちろんそれもあるだろうけど、本丸は
カジノじゃないかって、ばくちじゃないか、本丸はという話なんですよ。そして、この先の
法案、今回の
法案が通った先の
法案、これを通せば、
法務省と警察庁の懸念、
刑法百八十五条、百八十六条に係る懸念、今回と先の立法で払拭なさった後は、この後どうなっていくかという話ですよね。
一度その
ような形で迂回をさせて、ばくち場を開ける
ようにした上で、先々
危険性として考えられるのは、国家戦略特区に
認定すれば、
カジノを
運営する企業に税控除というインセンティブまで与えるという話になる。
カジノでもうけて、その税金や納付金を使って公益に資することをやりますという話が、もしも特区にこれが指定されてしまう
ような先々出来事があったとするならば、法人税は控除、所得税も控除、設備投資も控除で、もらえる税金ももらえないじゃないかって。また企業のためにやっているのかって、また海外の企業のためにも動くのかという話になっちゃいますよ。それが海外企業であろうと国内のパチンコ、スロット関係企業であろうと、こんなやり方、こんな税金の使われ方に納得する人はいません。
税金を掛けない、皆さんの税負担なしで民間がやりますからとうたっておいて、もし先々戦略特区内でやることによってその
ようなことになれば、これ一体どうなるんですか。もう一回やり直しできるんですか。できませんよね。じゃ、待ってください、この戦略特区で先々やりませんという担保、この
法案の中にあるんですか。取りあえず突破してしまえば関係ない話なんですかね。
しかも、これが外資であれば、税控除を受けて安く事業がやれた上に、再投資もほとんどすることなく、
日本人の富裕層からは大きく、そうでもない方々からはそれなりに資産を巻き上げる、国富の流出を税金まで使ってお手伝いをすることになる。これで納得するのは誰でしょう。予定地を地上げする不動産屋ですか。投資する人、ゼネコン、
あとカジノの
運営企業だけ。その
ようなことの歯止めになる条文も入っていない。プログラム法だからといういつものせりふですかね。でも、それぐらい気を付けてやらなきゃいけないという話だと思うんです。
外資事業者は短期な利益を追求する
傾向がある。その結果、
公共性、周辺産業への波及
効果は抑制される。超過利益の海外流出、つまり
日本国内に再投資されないことは容易に想像できる。外資の
カジノの
運営関連会社などに対して
日本を草刈り場として差し上げることにならないか、その
ような問題点。
二〇一四年、都内で
開催された
カジノの
国際会議、ジャパン・ゲーミング・コングレス。主な顧客は外国人
観光客ではない、
日本人の富裕層という
内容のやり取りが行われていた。
日本人富裕層の個人金融資産量を
日本にできる推定
カジノ数三から十で割る、海外に比べて、
日本の一つの
カジノ当たりの個人金融資産量は突出しているから
日本の
カジノは莫大な利益は確実、その
ような宣伝が
日本国内で行われている、余りにもおかしいじゃないですか。
IRでバラ色経済論を振りまく
カジノ幻想の現実を見てみる、周辺はどうなっている。海外では、
IR、
カジノではコンプというサービス、お客さん、
カジノが囲い込んでいますよね。中に入ったら出ないんですよ。
観光地の近くにとか
日本のすばらしいところを見てもらおうといったって、このコンプという
制度もある上に、その中から出ないんですよ。
コンプというのは英語のコンプリメンタリーの略、
日本語にするとポイント優待サービス、
IRの
カジノやホテル、レジャー施設の中だけで使えるポイント
制度。
カジノでの賭け額の一定比率がポイントとして還元、そのポイントを使って宿泊、飲食、娯楽等が無料になったり、あるいは格安で利用できる
ようになる。
先日
参考人として来ていただいた鳥畑
先生の論文によると、ニュージャージー州
カジノ管理
委員会のレポート、二〇一二年、アトランティックシティー内にある十二の
カジノホテルの収入五千百三十九万ドル、約六十億円、この
収益のために使われたホテルのコンプ、実に二千七百五十八万ドル、約三十二億円、
カジノホテルの収入の半分に匹敵する額に上っている。また、ラスベガスのストリップ地区、四十三の
カジノで売上げの三〇%をコンプに費やしており、最終的には大赤字になっている。
結局、コンプのポイントサービスで多くの客が
IR施設のホテルやレストランに囲い込まれて、周辺の商店、レストランは寂れていっているという現実がもうはっきりと分かっているのに、そして外に
観光に出ていくなんということがほとんどなくなっちゃうよ、中が楽しいんだもの、だって。時計もない、窓もない、そんなところで一日中やり続けるという
ような
状況に人々が陥ったときに、
観光も何もないじゃないですかって。しかも、周辺もそこまでおいしい思いできないよ、
最初だけですよ。この
ようなことを推し進められていくなんて余りにもおかし過ぎる。
で、これ海外企業じゃなく国内企業だったらどうなんだって。セガサミーホールディングス、
韓国カジノ最大手のパラダイスグループとの合弁で立ち上げる統合型リゾート、
IR、二〇一七年五月開業を目指して既に建設中。
日本の企業だったらまだいいか、そう思うかもしれない。けれども、このセガサミーの会長さん、里見治さん、安倍政権、深いつながりがあると。セガサミー会長の娘さんの結婚式に総理やほかの閣僚がわざわざ
出席されるほどの仲、こういったきずなでお友達人事的に
カジノの
運営決定される
可能性否めませんよね。
そして、これはセガサミーに限った話だけではありません。パチンコ、スロットに関する企業が
カジノの
運営権を手に入れた場合、この
委員会でも
衆議院でも一番問題になった
依存症の問題に対してちゃんとした規制ができますかって。その企業の母体の
収益、すなわちパチンコ、スロットに関連する
収益に影響する
ような規制が、
ギャンブル依存症対策が、パチンコ、スロット規制が本当にできるのかって。
依存症対策、進みにくくなる原因が生まれてくるんじゃないでしょうか。
ギャンブル症者、
ギャンブル依存症の方は、はまる
ギャンブル、五割から六割がパチンコ、スロット。パチンコ、スロット絡みでないのは五%以下でしかありません。しかも、女性ではほぼ全例がパチンコ、スロット。パチンコ、スロットのホール、全国のローソンよりも多い一万二千館、世界中にあるパチンコ、スロットの機器、七百二十万台中三分の二が
日本にあるんだって、これ誰がつくり出したんですかって、国ですよ、政治ですよって。それに対する
依存症者がたくさんいると思われる。もう既に重症化している
人たちたくさんいますよ。一度なったらなかなか抜けられない。大根がたくあんになる
ようなものだって、たくあんから大根には戻れない
ように、なかなかそこからまた元に戻るなんて大変な作業なんだ。それを国として野放しにする
ような
状況でずっとそれをエスカレートさせていった現実があるじゃないかって。
カジノ解禁じゃないんだよ、
IRがどうしたという話じゃないんだよ。まず目の前のここに
対策しろという話だと思うんですよ。それが政治なんじゃないの。もちろん話の中にありますよ、そこになかなか
対策費がつぎ込まれないから、だからこそ、この
IRをやりながら、そこから得た
収益でやっていこうじゃないか、その
考え方もあると思う。でも、まず
IR、
カジノと言う前に、立ち止まるという
考え方をしていただきたいんですよ。胴元が勝って商売が成り立つ、要は負けた
人たち、この
人たちを踏み付けながら経済成長していく企業やそして世界があるんだとしたら、それ地獄じゃないですか。世界中の
カジノが寂れている原因、それなんじゃないですか。
ギャンブル、自殺との関係では、一年以内の自殺は一般の約十倍、生涯の自殺は一般の約四十倍にもなる。これらはほとんどマスコミが取り上げない。統計データがあるのに知らない人の方が多いだろうと
ギャンブル依存問題に詳しい医師は語ります。そして、この
ようにおっしゃいます。最後にこれを読ませてください。
もし
日本で
カジノが合法化されたら、もし
カジノ法案が国会で可決、成立し、
カジノが合法化されれば、新たな
ギャンブル依存症が大量に発生することは確実である。
カジノ推進派からは、
カジノの
収益から
ギャンブル依存症の
治療施設を造り、その
治療に当たればよいという
意見が聞かれる。
依存症になってしまった後、
ギャンブルから離脱するために当事者とその家族などがどれほどの努力と労力と年月を必要とするかを全く理解していないとしか考えられない。
しかも、一旦
依存症になれば、もう
ギャンブルに関するコントロール、取り戻すことはできない。
推進派は、
ギャンブル依存症が本人の人生ばかりか家庭をも破壊してしまうほど深刻な病であることを理解していない。そもそも、医療で現在最も重要な課題の一つとなっているのが病気を予防することである。人々が病気にならないための施策を考え実行するのが国を始めとする行政機関のすべきことであり、我々専門家の仕事である。
この
法案に賛成する皆さんにお聞きしたい。
依存症をつくり出さない最大の予防策とは何でしょうか。答えはもう簡単です。
カジノ法案の廃案と、現在一番
依存症を生み出しているパチンコ、スロットの規制です。
反対討論を終わります。