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大門実紀史君 大変よく分かりました。
資産デフレも大変この
委員会で
議論になったんですけど、それで不良債権処理等々の問題もあったんですけれども、実は九八年の
金融国会の後ですけれども、私は二〇〇一年に国会に来ましたので、その後の
議論で申し上げますと、ちょうど小泉
内閣、竹中平蔵
経済財政担当
大臣が登場して、実はその頃この
財政金融委員会に、時々ですけれども、
経済財政・
金融担当
大臣も呼べるということがあったので、まさにあの構造
改革を進めた竹中平蔵さんがしょっちゅう座って私たちと
議論したんです。
そのときもほとんどデフレをどうするかという
議論でありまして、もちろん資産デフレもデフレの中の一つではあったんですけれども、小泉
内閣、竹中平蔵さんが主におっしゃっていたのは、需給ギャップがあるんだ、開いているんだと。それをどう埋めるかというところで、彼独特の
経済論なんでしょうけれども、サプライサイド、供給力を高めるんだと。何かセーの法則といって、供給が需要を生むと。もう破綻した昔の
経済学だと思うんですけれど、そういうことも国会でおっしゃりながら、サプライサイド、企業側の力を付けることが大事なんだということをおっしゃって、あの構造
改革があって不良債権処理があって、それでデフレは克服できるんだということをおっしゃったんですけれども、結局できなくて、できないまま国会を去られたわけですね。
当時、私なんかとデフレ論争をさせてもらったのは、私たちは、もちろん資産デフレとか不良債権処理あるんですけれど、根本的な需要と供給との
関係でいきますと、需要が弱いと。これは何かといいますと、九五年に経団連の、今はもう経団連に吸収されましたが、日経連というのがありまして、新時代の
日本的経営という大変方針転換の文書を出したんですね。
つまり、
日本は今まで終身雇用で正社員で、家族一緒に会社と一緒になってみんなで頑張っていこうと。よく
日本的経営と言われまして、それが
日本の経営の強みだという言い方もされた時代があったんですけれども、もうそれやめる、グローバル化の中でそれはやめていくんだということで、これからは正社員が当たり前じゃないよ、毎年賃金上げないよ、雇用の流動化、非正規雇用も増やしますよという大方針転換があって、それに応じて政府も必要な法改正をされて非正規雇用が増えて、やっぱり賃金が下がっていったと。
その下がっていったときにまた
日本の企業は
麻生大臣言われたもう一つの合成の誤謬をやったと思っているんですけれども、賃金は下がりますから物が売れなくなってきます。そうするとどうするかというと、値段を下げたら売れるんじゃないか、物の値段を下げたら売れるんじゃないかということで、当時、価格破壊とかユニクロ現象という言葉が流行語になりましたけれども、みんなで値下げ競争を始めたと。その中で勝ち抜く企業はいいんですけれども、みんなでそれをやりますとコストの引下げ競争になって、一番手っ取り早いのは賃金ですから、また賃金を下げると。
だから、物の値段を下げることと賃金を下げるということが悪循環でずっとスパイラルになっていって、それがあのときの、竹中さんとよくやったのは、デフレのスパイラルの原因だということでいろんな
質疑をやらせてもらったんですね。
その後、ですから、わざわざ賃下げ
政策やったんだから一遍わざわざ賃上げ
政策やらないと、この連鎖を断ち切らないとデフレは克服できませんよということを申し上げて、よく私なんかは最低賃金を引き上げることを民主党政権以来、安倍
内閣にはずっと提案させてもらっているんですけれども、そういうことがどうして、それなしにデフレの克服はないということを申し上げてきたんですけれども、賃金引上げというのは
経済界から抵抗があるということでなかなかそれには踏み込まないで何をやったかというと、デフレの反対はインフレなんだからインフレにすればいいと。
金融政策でデフレを解決しようという話が出てきて、インフレターゲット論が登場して、大胆に
金融緩和をやってインフレにすればいいんだというのはこの
委員会でも率直に申し上げて、民主党からも物すごく強硬なインフレターゲットをやれという、その方は落選しましたけれども、そんな
議論とか、舛添要一さんなんかはもう日銀総裁の首を切れとか、いろんなあって、安倍
内閣になって、それとはちょっとレベルが違いますけれども、大胆なそういうところに踏み込まれたと。
デフレの原因は、私たちはずっと賃金、そこのところにあると思っているのに、こっちやったり、こっちやったり、いろんなことをやっているんですね。結局デフレが克服できないで来ているのではないかと思ったときに、安倍
内閣は、その辺は、今まで何やっても駄目だったんだなという中から、やっぱり賃金だということで、恐らく自公
内閣、自公政権、民主党政権も含めて、賃金についてこれほど関心を持っておられる
内閣はないのではないかなと、賃上げ要請もされているのだと
思いますけれども、私はそういうふうに今ずっと振り返って見ているんです。
そういう、
経済がここまで長い間、失われた二十年、更に失われていくと思うんですけれども、このままだと。そういうときに、
消費税というのは、やっぱり
経済論としてよくよく考えないと、財源論とかいろいろな言い方ありますけれども、更に更にデフレから抜け出せないのではないかと
思いますけれども、そういう点でいかがお考えですか。