○藤井基之君 自由民主党の藤井基之でございます。
今日は午前中に
川田先生の御
質問がありまして、ああ、もうそんなに時間がたったのかということを思いまして、馬齢をいたずらに重ねていないことを祈る、そういった
質問をさせていただけたらと思っております。
今、同僚の石井
先生から超高齢化社会を迎えますよというお話がございまして、まさに
社会保障の問題というのは、この高齢化社会との対応というのが非常に大きな
課題であるわけでございます。
私も団塊の
世代でございますが、昨年、二〇一五年に団塊
世代は全員が実は前期
高齢者の年齢に到達をいたしております。昨年十月一日現在では、六十五歳以上の
方々が三千三百九十二万人だと、高齢化率は二六・七%、四人に一人からそろそろ三人に一人高齢化、そういったようなときになっております。
国立
社会保障・人口問題
研究所の
推計というのがよく引かれるわけでございますが、これからの
日本の高齢化社会、どういうふうになるだろうかということをシミュレーションを行っておりますが、それによりますと、二〇四二年、
高齢者はピークを迎える、そのときの数が約四千万人に近い、そしてその比率は二〇六〇年には何と約四割になると、そういった超
高齢社会を現実のものとして迎えることになっております。
本年の八月五日に公表されました国立
社会保障・人口問題
研究所の二十六年度
社会保障費用統計によりますと、二十六年度の社会支出、いわゆるOECD基準によるものですが、これによりますと、総額が百十六兆八千五百三十二億円、前年度に対しての伸び率は一・二%。たった一%かと言われますけど、それでも額としては巨額の額になります。そして、これを
政策分野別に見てみると、実は高齢という、そういった
政策対応するものが最も多くて全体の四七%になる、次いで保健というものが三三%強、この二つで
社会保障全体の八割を超えるのが現在の
状況でございます。
こうした
状況ですから、
年金を始め、
医療、介護など
社会保障給付費は毎年増え続ける
状況にございます。
平成二十七年度の予算ベースで見ました
社会保障給付費総額は約百十七兆円。その内訳は、
年金が約四八%の五十六兆円、そして、続いて
医療が約三二%の三十八兆円となっております。これらの
社会保障制度の持続、安定化のためには、給付の適正化とその財源の
確保を図ることが喫緊の
課題であるとの認識を共有いたします。
御案内のとおり、我が国の
社会保障は、自ら助けるという自助というものと、共に助ける共助というものと、そして、最後はお上に頼むという、政府に頼むという公助という、その自助、共助、公助の三つの組合せにより形成されております。したがいまして、
社会保障に必要な財源の問題を述べる場合にも、やはりこの三つのバランスも踏まえて財源対策も考えなければいけないというふうになります。
政府は、持続的な経済成長は不可欠であるとしてアベノミクスを推進し、名目GDP六百兆円を目指すことを掲げております。また、本年六月の
日本再興戦略二〇一六においては、イノベーションの推進を図るとして、その重要な施策の
一つに、画期的なお薬や
医療機器の開発など
医療分野をそのターゲットに掲げております。
本年の四月に
医療費の改定がございました。その際、お薬の値段についても改定がなされました。通常のお薬の値段の改定に加えまして、今年の四月には、年間の売上高が非常に大きい、一千億円だとか一千五百億円売れたんだということで、結果として非常に市場において高い
評価を受けておりました、例えて言うならばC型肝炎の特効薬など四品目が特例市場拡大再算定という分かったような分からないような判断によりまして大幅な値下げがなされました。これは、
社会保障費がいわゆる財政的にどうかということに対しては適正化ということで
意味があることだと、それについては私も否定するものではありません。
また、ごく近々になりまして、
日本企業が世界に先駆けて開発に成功した新たな作用機序を有する画期的ながん
治療薬と言われておりますオプジーボに対しまして、売上げが年間一千五百億円を超えるとみなして、例外的に五割の薬価の引下げを決定いたしております。
こうしたある
意味明確なルールのない突発的な価格の引下げ等、これは、こういったお薬を
研究開発してそれを供給しているのは国ではありません。民間企業がそれを担っているわけです。企業経営の予見性を損ないます。企業の新薬開発意欲をそぎかねません。結果として、そのことは
日本の患者さんに対して新たなすばらしいお薬が届くのが遅くなることを
意味するのではないでしょうか。また、我が国の成長産業として期待されている医薬品産業等の国際競争力の低下につながるのではないかと危惧をいたします。
二年に一度、診療報酬の改定が行われます。そして、それと同時に、お薬の値段、保険診療で使われるお薬の値段についても改定がなされます。そのために、医薬品の市場における実勢価格の調査がなされております。この調査結果、細かい点は我々は分かりませんが、
厚生労働省の発表によりますと、今回の改定に用いられた二〇一五年の市場調査によると、公定価から八・八%安い値段で市場で取引が行われていた、
前回の二〇一四年改定の際に用いられた二〇一三年の調査データでは、八・二%値段が下がっていた、だから、これらの結果を踏まえて新しい価格は値下げをして患者さんに使っていただくようにするという、そういうふうな引下げがなされております。
昨今、物価が上昇するものが多い中で、この
医療保険に用いられるお薬の値段というのはずっと下がっているんです。私、この仕事を始めてから、かなりこの分野のデータについても精通しているつもりでありますけれ
ども、過去数十年にわたりまして、このお薬の値段の改定において、少なくともお値段が上がったというのは消費税を導入したとき一回こっきりです。あとは全て、お薬の値段はこれ下がってきているわけです。ある
意味で物価の優等生かもしれません。
この
医療保険で用いられるお薬が常に下がるのだというそういう
状況について、
厚生労働省はこの原因をどういうふうにお考えなのでしょうか。
社会保障費の適正化には資するかもしれませんが、産業
政策というものを踏まえた場合、これについてどのように判断なさっているか、御
意見を伺いたいと存じます。